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第 32 回日本脊髄外科学会推薦演題抄録 Spinal Surgery Anterior cervical foraminotomy 術後長期経過観察後の 罹患椎間 隣接椎間における放射線学的検討 Long Term Radiological Results in A

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Academic year: 2021

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はじめに 

 今日,頚椎変性疾患に対する手術方法として Smith Robinson氏法や Cloward 氏法に代表されるような頚椎 前 方 除 圧 固 定 術(anterior cer vical discectomy and fusion:ACDF)は確立された術式となっているが,固定 を行うことによる隣接椎間障害の出現などいくつかの課 題が報告されてきている.Anterior cervical foraminot-omy(ACF)は固定を行わず可能なかぎり椎間可動域を 温存したまま,頚椎前方の圧迫要素を除圧することを目 指す術式である.しかし,長期の経過観察の後にも椎間 可動域が温存されているのか,隣接椎間障害が起こって いないのかに関してはいまだ詳細は不明である.また, ACDFと直接比較した長期成績の論文は渉猟するかぎり 見当たらない.今回,藤枝平成記念病院脊髄脊椎疾患治 療センターで行われた ACF 術後の手術椎間,隣接椎間に おける長期観察後の放射線学的変化を検討した. 対象および方法  対象  2004∼2011 年の間に,当科にて行われた ACF 症例全 44症例のうち 5 年以上の経過観察を行うことができた 9 症例を対象とした.男性 6 例,女性 3 例,手術時平均年 齢 54.5 歳(32∼66 歳),平均観察期間は 8.7 年,対象疾 患は頚椎症:2 例,頚椎椎間板ヘルニア:7 例であった. 罹患椎間高位は C4/5:1 例,C5/6:3 例,C6/7:5 例で あった.治療対象は,十分な保存加療に抵抗する頚椎神 経根症とし,神経学的診察により罹患神経根を決定し た.全症例に対し,頚椎 MRI,脊髄造影,造影後 CT scan (CTM)を実施し,これら画像所見により確認される病 変部位と神経学的診断により決定した病変レベルと 1:1 に対応するものを今回の ACF の適応症例とした.脊髄症 状を呈するようなものは除外した.また,術前より不安 定性があり固定術の適応と判断する症例も ACF の除外 対象とした.  対照群として,同時期に当院で行われた ACDF 症例 (Cloward 氏法)のうち,同一条件で比較可能な 13 例を 設定し比較検討した.ACDF 症例の内訳は,男性 7 例, 女性 6 例,手術時平均年齢 48.4 歳(33∼71 歳),平均観 察期間は 8.1 年,対象疾患は頚椎症:2 例,頚椎椎間板ヘ ルニア:11 例であった.罹患椎間高位は,C2/3:1 例, C4/5:2 例,C5/6:9 例,C6/7:1 例であった.  これらに関して,術前後における各種の放射線学的変 化に関して検討した. 放射線学的検討項目  下記の項目に関し,以下のように定義した後に術前後 での比較を行った.  Disc height(DH):中間位頚椎側面写真において罹患 椎間の上下終板に平行な線を引き,その前方端(1),中 1 2 Spinal Surgery 32(1)88 92,2018

*1 藤枝平成記念病院脊髄脊椎疾患治療センター/Spinal Disorders Center, Fujieda Heisei Memorial Hospital

連絡先:〒060 8570 札幌市中央区南 1 条西 14 丁目 291 中村記念病院脳神経外科/脊髄脊椎・末 神経センター 大竹安史 〔Address reprint requests to:Yasufumi Ohtake, M.D., Department of Neurosurgery/Spine & Peripheral Nerve Center, Nakamura

Memorial Hospital, 291 South 1, West 14, Chuo ku, Sapporo shi, Hokkaido 060 8570, Japan〕

*2 中村記念病院脳神経外科/脊椎脊髄・末 神経センター/Department of Neurosurgery/Spine & Peripheral Nerve Center,

Nakamura Memorial Hospital

第 32 回日本脊髄外科学会推薦演題抄録

Anterior cervical foraminotomy 術後長期経過観察後の

罹患椎間・隣接椎間における放射線学的検討

Long Term Radiological Results in Affected and Adjacent Segment Disease after Anterior Cervical Foraminotomy

大竹安史*1, 2  花北順哉*1  高橋敏行*1  河岡大悟*1

小柳侑哉*1  佐々木夏一*1  中村博彦*2  南  学*1

Yasufumi Ohtake, M.D.*1,2, Junya Hanakita, M.D, Ph.D.*1, Toshiyuki Takahashi, M.D., Ph.D.*1, Taigo Kawaoka, M.D.*1,

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間部(2),最後端(3)の距離を平均したものを DH とし た(Fig. 1 a).また,自然歴による椎間板高の低下の程 度を調査するため今回対象となった全 22 症例の C2/3∼ C7/T1 までの罹患椎間を除く頚椎全椎間板高位における DHも上記と同様の手法にて測定した(DH all level).  Functional segmental height(FSH):中間位頚椎側面 写真における罹患椎間を挟む上位椎体の頭側終板およ び,下位椎体の尾側終板に平行線を引き,その前方端 (1),中間部(2),最後端(3)の距離を平均したものを

FSHとした(Fig. 1 b).

 また,局所後弯角(focal kyphosis:FK),Cobb s angle に準じ側弯角(scoliosis),罹患椎間板の角度の変化(focal angle:ΔFA),前後屈位での棘突起間距離の変化(spi-nous process distance:ΔSPD),すべり(ΔSlip)を測定 した.

 統計学的処理には paired t test,unpaired t test を用い て検定した. 術式(ACF)  体 位:仰臥位にて頚部を軽度伸展位とし,回旋は行 わず正中位とする.  皮切から椎体前面へのアプローチ:罹患側よりアプ ローチする.皮切から頚椎前面にいたるまでは,通常の ACDFと同様である.前述のごとく,術前に全例脊髄造 影を施行しており,その際同時に CTM も撮像し病変の 局在を同定する.椎体削除の部位を決定するに際して は,この CTM 所見が最も重要である.まず,CTM の冠 状断再構成画像にて罹患神経根,あるいは硬膜管の陰影 欠損が最大になるスライスにて病変の局在を決定する. 次にこの地点をマークしつつ,CT のスライスを椎体前 縁までずらし罹患椎間・椎体における骨削除部分を決定 しこれを目標に骨削除を進める.  骨孔の作成:顕微鏡下にドリルを使用する.椎体・椎 間板の削除の目安としては,罹患椎間板を骨窓の中で見 失わないよう留意しつつ,幅 7 mm×長さ 10 mm 程度を 原則とし,深部では末広がりになるようにする(Fig. 2  b).外側はできるかぎりルシュカ関節は温存し,椎体外 側縁の骨皮質を残したまま骨孔を作成する(Fig. 2 a). こうすることで椎骨動脈を露出することなく操作可能 で,椎骨動脈損傷を防止できる.また,深部に掘り進め る際にも,椎間板を正中に置き,頭尾側を均等にドリリ ングすることで disorientation になることを防止できる.  除圧操作:最深部の骨皮質が卵殻状に薄くなった段階 で,マイクロキュレットや 1∼2 mm のケリソンパンチな どで,皮質骨,骨棘,脱出椎間板塊などの除去を行う. 深部にいたった段階で術者の立ち位置を健側へ移動し, 対側から深部を覗き込むようにして除圧の操作を進め る.この際に硬膜外静脈叢からの出血に遭遇することが 多いが,インテグラン®などを用いて圧迫止血すること で対処可能である.後縦靭帯は圧迫因子が除去されてい ると判断される際には摘出にはこだわらないし,外側病 変の場合には除去する必要のない場合が多い.  後療法:術翌日から離床を許可している.ソフトカ ラーの装着を 1 週間程度行う.術後 7 日で抜糸を行い, 通常術後 10 日ほどで退院となる. 3

Fig. 1  The measurement methods of disc height(DH)and functional segmental height(FSH)

a : Measurement of DH using plain radiography in neutral lateral position.

   Three parallel lines are drawn to the cranial endplate, caudal endplate, and anterior posterior spur and the following are mea-sured:

   1 .Ventral end of DH    2 .Medial(maximum)DH    3 .Dorsal end of DH

  Average DH was defined as(1+2+3)/3.

b : Measurement of FSH using plain radiography in neutral lateral position.

   Two parallel lines are drawn to the cranial endplate and caudal endplate and the following are measured:

   1 .Ventral end of disc FSH    2 .Medial FSH

   3 .Dorsal end of FSH

  Average FSH was defined as(1+2+3)/3.

1 2 3

a

1 2

3

(3)

結 果   DH:ACF 群での DH は術前 5.36 mm から術後 4.77 mm と有意に椎間板高は減少していた(p<0.01).しかし, 全椎間板高位における DH(all level)でも術前後 5.18 mm→4.95 mm(p<0.01)と経年変化によるものと思わ れる有意な椎間板高の減少が生じていた.また,DH と DH(all level)の間でその減少幅を比較しても有意な差 は生じず,ACF による椎間板高の低下は生じるものの, 自然歴と比して過大なものではなかった(Table 1).  FSH:ACDF では固定により罹患椎間板高が消失する ため FSH を測定したが,ACF 群,ACDF 群ともに術前 後で統計学的に有意な減少は生じなかった(Table 1). また,ACF 群と ACDF 群の間を比較しても有意な差は生 じなかった.  FK:若干の後弯変化はきたすものの,ACF 群,ACDF 群ともに術前後で統計学的に有意な差は生じなかった (Table 1).また,ACF 群と ACDF 群の間を比較しても

有意な差は生じなかった.  Scoliosis:術後罹患側への側弯変化は明らかではな かった(Table 1).  ΔSPD:ACF 群における術椎間のΔSPD は,術前 5.89 mmから術後 3.79 mm へと可動性は有意に減少していた が(p<0.01),3 mm 強の可動性は残存していた.一方, ACDF群では 7.17 mm→0.72 mm(p<0.01)と有意に減 少し,全例 2 mm 以下となり可動性はほぼ消失していた (Table 2).  ΔFA:ACF 群では,術前後で罹患椎間板の ROM の変 化は目立たなかった.一方,ACDF 群では,固定により 罹患椎間板は消失し評価不可能であった(Table 2).  ΔSlip:ACF 群における罹患椎間板高位のすべりの増 大は認めなかった.一方,ACDF 群では固定により罹患 椎間板は消失し評価不可能であった(Table 2). 隣接椎間への影響(Table 2)  ΔSPD:ACDF 群で頭側椎間でのΔSPD の有意な増大 が認められ(p<0.01),ACF 群でも同様の傾向が認めら れたが統計学的には有意なものではなかった.

Table 1 Summary of radiographical measurement

Pre op. Post op. Δ %Δ p value

DH 5.36 mm 4.77 mm 0.58 mm Decrease13.5% p<0.01 DH

(all levels) 5.18 mm 4.95 mm 0.23 mm Decrease4.2% p<0.01 FSH (ACF) 37.4 mm 34.9 mm 1.08 mm Decrease3.0% N. S FSH (ACDF) 36.1 mm 34.9 mm 1.3 mm Decrease3.5% N. S FK (ACF) −0.57° 2.01° 2.58° ― N. S FK (ACDF) −1.40° 0.27° 1.67° ― N. S Scoliosis (ACF) 0.07° 0.86° 0.79° ― N. S

Δ:difference,Pre op.:pre operative,Post op.:post operative,ACF: anterior cervical foraminotomy,ACDF:anterior cervical discectomy and fusion,DH:disc height,FSH:functional segmental height,FK:focal kyphosis,N. S:not statistically significant

N. S

N. S

N. S

Fig. 2  Keyhole in anterior cervical foraminotomy

A 7 mm×10 mm keyhole is made in the center of the disc, with preservation of lateral bone cortex as much as possible. 7mm

10mm

(4)

 ΔFA:ACF 群,ACDF 群ともに有意な差を生じるもの はなかったが,ACDF 群において統計学的に有意ではな いものの,頭側椎間の可動性が増大していた.  ΔSlip:ACF 群では隣接椎間でのすべりの増大を認め ないものの,ACDF 群では頭側椎間での有意なすべりの 増大が認められた(p<0.01). 考 察  現在までに提唱されている各種 ACF について  Microsurgical ACF は,1970 年代の Hakuba らの trans unco discal approachや Verbiest ら の anterolateral approachが初期の報告とされる.その後さまざまな術式 が提唱されてきたが,現在本邦で行われている術式は大 きく 3 つに分けられると思われる.まずは,1996 年に

Jhoらの報告した鉤状突起を摘出し外側から椎間板に到

達する経鉤状突起到達法(trans uncal approach)である. 後に,彼らはこの到達法の変法として鉤状突起を温存し たまま,さらに外側から椎間板へ到達する術式を報告し ている.この報告によれば,罹患椎間レベル,病変局在 などによって 3 つの骨窓を使い分けることでさまざまな 病変に対応することが可能になると記載されている.つ いで,Snyder が報告した椎間板の外側 3 分の 1 程度の位 置から骨削除を行い鉤状突起を温存する方法で,経椎体 到達法の一種とされることもあるが厳密には椎間板を経 由する到達法であると考える.これは前述のごとく当院 で採用している術式に一番近いと考えられる.もう 1 つ の術式は,原らや Choi らが報告した椎間板を可及的に 温存するために椎体を経由する経椎体到達法(trans ver-tebral anterior foraminotomy:TVAF)である.これら 3 つの術式はすべて手術用顕微鏡下に行われるものであ り,これらを基本術式としておのおのの施設にてさらに 各種工夫しながら行われているのが現状である.しか し,報告者により各術式間の境界が不明確であり,厳密 な術式の識別には混乱も見受けられる. ACF術後罹患の椎間板高低下について  今回の結果では平均 8.7 年の観察にて椎間板高(DH) は有意に減少しており,術前 5.36 mm であったものが術 後 4.77 mm へと平均 0.58 mm,13.5%の減少を示した (p<0.01).DH(all level)でも有意な減少を示しており, 加齢性の椎間板高低下の影響も十分考慮されるが,この 手術手技の特性に応じるところもあると考える.ACDF と異なり ACF では椎間板腔を充塡するような手技は行 わない.そのため,椎間板の一部とはいえ,手術操作に よって椎間板を摘出するため一定程度の椎間板高の低下 は生じ得ると想定される.このような椎間板ダメージを 防ぐためには TVAF が有利と考えられるが,TVAF を 行った症例を検討した論文でも,術後有意な椎間板高の 低下を認めたとの報告が数多く見受けられる.ただし, 椎間板高の低下の程度を論じるには術式,経過観察期間 が統一されていないので直接比較することはできない.  ACF における 3 年以上の長期の成績を論じたもののみ を渉猟し,今回の結果と比較検討したところ,Park ら1) は術後約 8.8 年の経過で 78%の症例で 10%以上の椎間板 高の低下をきたしたとし,Kim ら2)は術後約 6.1 年の経過 で 83.5%の症例で 1 mm の椎間板高の低下をきたしたと 報告していた.これはわれわれの術後約 9 年の経過で平 均 0.58 mm,13.5%の減少という結果とほぼ同等程度と 考えられ,ACF 術後長期にわたっては椎間板高の低下が 生じることは避けがたいものと考える.ただし,今回の 検討で示したごとく自然歴による椎間板高の減少を考慮 に入れれば,臨床的に問題になる減少ではないと考える. ACF術後罹患椎間の可動域制限について  一方,ACF 術後の頚椎の可動域変化に関しては,報告 によって結果が大きく異なる.Park ら1)は術後有意に可 動域が減少したとするが,Kim ら2)は術前後で統計学的 有意差を生じなかったとしている.ほかの短期の報告を 1 2 3 Table 2 Summary of radiographic measurements(ROM)

ACF ACDF

Pre op. Post op. Δ p value Pre op. Post op. Δ p value

ΔSPD Cranial levelOperative level 5.75 mm5.89 mm 7.29 mm3.79 mm +1.53 mm−2.1 mm p<0.01N. S 6.46 mm7.17 mm 0.72 mm7.55 mm −6.46 mm+1.09 mm p<0.01p<0.01 Caudal level 4.14 mm 4.47 mm +0.33 mm N. S 6.36 mm 6.28 mm 0.08 mm N. S ΔFA Cranial levelOperative level 4.89°4.9° 3.84°3.68° −1.21°−1.5° N. SN. S 5.56°― 7.17°― +1.60°― N. S―

Caudal level 2.16° 0.98° −1.75° N. S 5.16° 4.22° −1.23° N. S

ΔSlip Cranial levelOperative level 1.89 mm0.91 mm 1.84 mm0.8 mm −0.05 mm+0.11 mm N. SN. S 1.61 mm― 2.85 mm― +1.24 mm― p<0.01― Caudal level 0.57 mm 0.58 mm +0.01 mm N. S 0.95 mm 1.9 mm +0.95 mm N. S Δ:difference,Pre op.:pre operative,Post op.:post operative,SPD:spinous process distance,FA:focal angle,N. S:not statistically significant

(5)

みても,術後の頚椎可動域に関しては術前後で変化がな いとするものから,有意に制限されるとするものまで幅 広い報告がある.これは頚椎の可動域の評価を,あるも のは C2 7 角を測定し,一方あるものは罹患椎間の局所 の可動域を測定しており評価方法が統一されていないこ とも一因と考えられる.今回のわれわれの検討の中で可 動域に関する項目は,ΔSPD とΔFA である.ACF では罹 患椎間高位のΔSPD は 5.89→3.79 mm と有意に減少し可 動域の低下は起こっていたが,可動域自体は消失せず残 存していた(Table 2).一方,ΔFA では有意なものでは なかった.後述の隣接椎間への影響を捉える際にも ΔSPD とΔFA は同様の傾向を示すものの,統計学的な差 を生じるのはΔSPD によるものが多かった.これは,局 所の角度変化は大きくても 5 度程度のものが多く,その 微細な変化と測定誤差の間で変化が打ち消され頚椎の可 動域変化を捉えきれなかった可能性がある.可動域を測 定するにあたっては小さな局所の角度の変化よりは, ΔSPD として把握するほうが誤差を生じにくく,より正 確な評価方法と考えられた. 隣接椎間障害について  ACDF による放射線学的隣接椎間障害に関しては種々 の報告があるが,ACF 術後の隣接椎間障害に関するもの は少なく,ACDF と直接比較したものは渉猟するかぎり 見当たらなかった.本検討では,ACF 術後に起こる頭側 椎間でのΔSPD,ΔSlip,ΔFA の増大は皆無ではないが, ACDFに比較して緩やかなものであった.上述のように 罹患椎間高位での軽度の可動域制限をきたすため隣接椎 間障害は免れないものの,固定までいたらないため軽度 で経過したものと考えられた.また,臨床的な隣接椎間 障害に関しては,前述の Park らの報告では症候性の隣 接椎間障害で 2 例(4.5%)が再手術を要したと報告して いる.また,Wirth ら3)は,posterior cervical foraminot-omy/ACDF/anterior cervical discectomy without fusion の 3 手技を randomized trial にて比較し,再手術はすべ ての手技で生じたが,統計学的に有意な差はなく各手技 間に優越性はなかったと報告した.ただし,統計学的な 有意差はないものの posterior cervical foraminotomy で の同一椎間での再手術,ACDF での隣接椎間障害での再 手術が多い傾向にあったとも報告している.

結 論 

 Anterior cervical foraminotomy は,長期的には椎間可 動性の低下・変性をきたすものの,隣接椎間への影響は, 椎間固定を実施する術式に比べ少なかった.神経根症を 呈する症例に対する有力な手術方法の 1 つとして,今後 も採用されるに値するものと考えられた.  本文の要旨は第 32 回日本脊髄外科学会にて発表した.  著者全員は日本脳神経外科学会への COI 自己申告の登録を 完了しています.  本論文に関して開示すべき COI はありません. 文 献

1) Park YK, Moon HJ, Kwon TH, et al:Long term outcomes fol-lowing anterior foraminotomy for one or two level cervical radiculopathy. Eur Spine J 22:1489 1496, 2013

2) Kim MH:Clinical and radiological long term outcomes of anterior microforaminotomy for cervical degenerative disease. Spine 38:1812 1819, 2013

3) Wirth FP, Dowd GC, Sanders HF, et al:Cervical discectomy. A prospective analysis of three operative techniques. Surg Neurol  53:340 346, 2000

Fig. 1  The measurement methods of disc height(DH)and  functional segmental height(FSH)
Fig. 2  Keyhole in anterior cervical  foraminotomy
Table 2 Summary of radiographic measurements(ROM)

参照

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