• 検索結果がありません。

フォーラム139号1-3頁責了

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "フォーラム139号1-3頁責了"

Copied!
18
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

死刑廃止国際条約の批准を求める

FORUM

90

目次 冤罪処刑の危険性を真摯に受け止め、死刑執行停止と死刑制度廃 止の検討を直ちに開始するよう強く求める 1 頁 松島みどり前法相への要請行動の記録 2 頁 死刑日録 3頁 死刑廃止を迫る袴田冤罪事件 西嶋勝彦・袴田巌・秀子 4 頁 死刑廃止デー新宿デモ報告 6 頁 大道寺幸子・赤堀政夫基金へ 7 頁 死刑映画週間日程表 17 頁 インフォメーション 18 頁

VOL.139

    頒価 300 円 2014 年 12 月 20 日発行 フォーラム 90 実行委員会 〒 107-0052 東京都港区赤坂 2-14-13   港合同法律事務所気付 TEL:03-3585-2331 FAX:03-3585-2330 振替口座:郵便振替 00180-1-80456 加入者名:フォーラム 90

地球が決めた死刑廃止

冤罪処刑の危険性を真摯に受け止め、死刑執行停止と

死刑制度廃止の検討を直ちに開始するよう強く求める

 11 月 24 日、フォーラム 90 は上川陽子新法相の地元、 静岡駅頭で、静岡県内の諸団体とともに死刑執行をしない でというビラをまき、14 時から労政会館にて集会を持っ た。  集会は、会場確保など準備をしていただいた植垣康博さ んの挨拶で始まり、アムネスティ・インターナショナル日 本の若林秀樹事務局長、袴田事件弁護団の小川秀世弁護士、 島田事件、袴田事件という二つの静岡での冤罪事件と取り 組んできた鈴木昂さん、フォーラム 90 の安田好弘弁護士、 袴田巌さん・秀子さんと、講演と挨拶が続いた。  その後、袴田さんを含むメンバーが上川事務所に要請文 を届けた。ここでは上川事務所への要請文を全文掲載する。  12 月 14 日、衆議院議員総選挙があり、安倍自民党が圧 勝、翌 15 日、全閣僚を再任する方針を明らかにしたので 上川法相への要請は今後も続けねばならない。 法務大臣 上川陽子 殿 2014 年 11 月 24 日 要請書 冤罪処刑の危険性を真摯に受け止め、死刑執行停止と 死刑制度廃止の検討を直ちに開始するよう強く求める 「上川陽子法務大臣の地元で冤罪と死刑 について考える集い」集会参加者 一同  私たちは、上川法務大臣に対し、冤罪による処刑を 防ぐための制度改正や死刑廃止に向けた検討を速やか に開始するよう要請する。そして、その第一歩として、 死刑の執行をただちに停止するよう強く求める。  上川法務大臣は、10 月 21 日の初登庁後記者会見に おいて、死刑制度について、「法務大臣たる者につき ましては、今の法の仕組み、枠組みを前提として行動 するというのが第一義でございます。そういう意味で、 この制度につきましても、歴代の法務大臣同様、基本 的に現行の法というものを前提といたしまして尊重し てこられたということをしっかりと胸に、私自身、こ れを引き継いでまいりたいと思っております」と発言 した。しかし、法務大臣の職責は、単に前職の職務を 引き継いで現行の法を機械的に運用することではな い。法務大臣には、法務省設置法に基づき、人権保障 の観点から法制度の整備や改廃について取り組む重要 な職責がある。  上川法務大臣の地元である静岡においては、島田事 件、袴田事件と、死刑冤罪事件が相次いで起こってい る。島田事件は 1989 年に再審無罪が確定し、逮捕か ら 34 年間にわたって投獄されていた赤堀政夫さんが 釈放された。また、袴田事件では、今年 3 月に静岡地

死刑映画週間 4

2015 年 2 月 11 日(土)∼17 日(金)ユーロスペース

(2)

裁が捜査機関による証拠ねつ造を指摘して再審開始決 定を下し、袴田巌さんが逮捕から実に 48 年ぶりに釈 放された。  これらの事件は、日本の刑事司法において冤罪の人 間を処刑する危険性を如実に示している。国際社会も、 こうした冤罪と死刑の問題について、日本の刑事司法 に対する強い懸念を繰り返し表明してきた。今年 7 月 には、国連の自由権規約委員会での日本政府報告書審 査において、袴田事件に大きな注目が集まった。同委 員会は、日本政府に対し、袴田事件など強制された自 白の結果として死刑が科されてきたという点に懸念を 示し、冤罪処刑の防止、死刑確定者の権利保障や処遇 改善、そして死刑廃止の実現を勧告している。  日本政府には、日本国憲法 98 条 2 項に基づいて、 締結している条約を「誠実に遵守する義務」がある。 そして、1979 年に国際人権規約(社会権規約および 自由権規約)を批准し、自由権規約委員会による審査 を受け入れている。日本は憲法および国際法の観点か ら、誠実に自由権規約の規定を遵守する法的義務を負 っており、委員会による勧告についても、これを遵守 しなくてはならない。  上川法務大臣は、法務大臣の職責として、自らの地 元で起こった袴田事件や島田事件が提示している冤罪 処刑の危険性を真摯に受け止め、これらの死刑冤罪事 件を二度と再び繰り返さないように、死刑廃止を求め る国際社会からの声に真摯に向き合い、自由権規約委 員会からの勧告を速やかに実施するための措置を講じ るべきである。私たちは、上川法務大臣に対し、死刑 執行をただちに停止し、冤罪処刑の防止や死刑廃止に 向けた検討を開始するよう、重ねて要請するものであ る。 上川事務所へ要請に訪れた袴田巌さん・秀子さん (撮影・アムネスティ・インターナショナル日本)  もう遥か昔のことになってしまった気分だが、9 月 3 日 に法相に就任した松島みどり前法相は、「日本の法律に規定 されており、執行の署名をすることも覚悟してこの職を引 き受けた。議論は必要かもしれないが、国民の考えに基づ いた制度として必要だと考えている」と述べ、死刑執行に 積極的な姿勢を見せたため、私たちは 10 月 18 日、法相の 地元、京成スカイツリーライン曳舟駅頭でビラを撒き、そ の後、押上の地元選挙事務所へ要請文を届けた。その翌々 日の 20 日に、夏にうちわを配布したことが公職選挙法の 禁じる寄付行為に当たる(うちわ問題)と追及を受け松島 法相は辞任した。この要請文は、国連自由権規約委員会の 総括所見での死刑制度に関する勧告の速やかな実施を求め たものであり、記録として掲載しておく。(編集部) 法務大臣 松島みどり 殿 2014 年 10 月 18 日 要請書 死刑制度に関する法相発言に抗議するとともに、自 由権規約委員会の総括所見での死刑制度に関する勧 告について、その速やかな実施を強く求める 死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム 90 私たち「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォー ラム 90」は、松島法務大臣の法相就任時の記者会見 での死刑制度に関する発言に強く抗議し、今年 7 月 に国連の自由権規約委員会が日本政府に対して行っ た、死刑制度に関する勧告について誠実に履行する よう要請する。 松島法相は、9月3日の初登庁後記者会見において、 「死刑の署名をすることをためらうものならば,法務 大臣を引き受けてはいけない」と発言した。この発 言は、袴田巌さんの再審開始決定で明確に示された、 冤罪の人間を処刑する危険性というものをまったく 考慮しておらず、国連の人権理事会や複数の人権条 約機関、さらには欧州連合など、世界中から日本政 府に繰り返し寄せられている死刑廃止を求める声を 無視するものである。 また、法相は同じ記者会見で、内閣府の世論調査 に言及し、「国民の意思がそこにあるからには,この 制度は正しい」と発言している。しかし、この点に ついては、2008 年に自由権規約委員会が、「世論調 査の結果にかかわらず、死刑の廃止を前向きに検討 すべきである」と勧告を行っており、世論調査の結 果に依拠して死刑制度の存続を図る姿勢は、国際社 会からすでに強く批判されている。そもそも、死刑は、 人の命を奪う残虐かつ非人道的な刑罰であり、世論 を根拠にその制度の正しさを主張することは、人の 命を世論で左右してもよいと政府が公言するのと同 じ暴言である。

松島みどり前法相への要請行動の記録

(3)

法務大臣には、法務省設置法に基づき、人権保障 の観点から法制度の整備や改廃について取り組む職 責があり、内外からの懸念の声を無視して死刑執行 に固執することは、法務大臣の重要な職責を放棄す ることに他ならない。 自由権規約委員会は、2014 年 7 月 15 日および 16 日に、ジュネーブにて第 6 回日本政府報告審査を実 施し、7 月 24 日に日本政府に対する総括所見を発表 した。日本の人権状況がこの委員会で審査されるの は今回で 6 回目であり、これまでの審査においても、 死刑制度について繰り返し懸念が示され、死刑廃止 を求める勧告が出されている。 今回の審査では、特に袴田事件について注目が集 まり、死刑制度や死刑確定者の処遇などが主要な人 権問題として取り上げられ、議論された。そして、 審査後の 7 月 24 日に発表された委員会の総括所見で は、そのパラグラフ 13 において、死刑制度および死 刑確定者の処遇について、以下のような詳細な懸念 と勧告が提示された。 ・ 冤罪処刑の防止:袴田事件など強制された自白 の結果として死刑が科されてきたという点に懸 念を示し、弁護側に検察側資料への全面的なア クセスを保証し、拷問や虐待により得られた自 白が証拠として用いられることがないように確 保し、不当な死刑判決に対する法的な安全装置 をただちに強化することを勧告 ・ 死刑確定者の権利保障:死刑確定者とその弁護 人との面会の秘密性が保証されていないことに 懸念を示し、死刑制度における義務的な再審査 の制度を確立すること、再審・恩赦の申請に執 行停止効果を持たせること、死刑確定者とその 弁護人との再審請求に関するすべての面会の厳 格な秘密性を保証することを勧告 ・ 死刑確定者の精神状態の審査:死刑執行に直面 する者が「心神喪失状態」にあるか否かに関す る精神状態の検査が独立していないことに懸念 を示し、死刑確定者の精神状態の健康に関する 独立した審査制度を確立するよう勧告 ・ 死刑確定者の処遇改善:死刑確定者が死刑執行 まで最長で 40 年の期間、昼夜間独居に置かれ、 死刑執行について事前の告知を与えられていな いことについて懸念を示し、死刑確定者とその 家族に死刑執行の日時を合理的な余裕を持って 事前告知すること、そして原則として昼夜間独 居を科さないことを勧告 ・ 死刑廃止の実現:死刑の廃止を十分に考慮し、 死刑廃止国際条約への加入を検討するよう勧告  また、自由権規約委員会は、少なくとも 1993 年 の第 3 回審査以降、死刑制度に関する懸念と勧告を 繰り返し出している。にもかかわらず、日本政府の 対応には前進がみられない。今回の勧告も、2008 年 に行われた前回審査の際の勧告と重複する点が数多 くみられる。 今回の審査で取り上げられた他の人権問題におい ても、同様に前進がない点がいくつも存在し、審査 の中で委員から、「日本は国際社会に抵抗しているよ うに見える」との指摘が出されたほどであった。最 終所見のパラグラフ 5 においても、前回審査の際に 出された勧告の多くが実施されていないとして、「こ の総括所見およびこの前の総括所見において委員会 が採択した勧告を実施すべきである」と明記されて いる。  そもそも、日本政府には、日本国憲法 98 条 2 項に 基づいて、締結している条約を「誠実に順守する義 務」がある。そして、1979 年に国際人権規約(社会 権規約および自由権規約)を批准し、自由権規約委 員会による審査を受け入れている。これらの点から、 日本政府は、誠実に自由権規約の規定を遵守する法 的義務を負っており、委員会による勧告についても これを遵守しなくてはならないことは明らかである。 日本政府および法務省は、死刑廃止を求める国際 社会からの声に真摯に向き合い、自由権規約委員会 からの勧告を速やかに受け入れ、ただちにこれらを 完全実施するための措置を講じるべきである。  私たちは、日本政府に対し、自由権規約委員会に よる今回の勧告について、誠実にこれを受け入れ、 死刑確定者の処遇改善、冤罪による処刑を防ぐため の制度改正、そして死刑廃止に向けた検討を速やか に開始するよう要請する。そして、その第一歩として、 死刑の執行をただちに停止するよう強く求めるもの である。

◇死刑廃止チャンネルは

http://www.forum90.net/

10 月 1 日 東京高裁(八木正一裁判長) は浅山克己さんの控訴を棄却、死 刑判決 10 月 16 日 最高裁第一小法廷(山浦 善樹裁判長)は奥本章寛さんの上 告を棄却、死刑確定へ 12 月 2 日 最高裁第三小法廷(大谷剛 彦裁判長)は桑田一也さんの上告 を棄却、死刑確定へ (12 月 15 日現在、確定者 129 人、執 行停止中を含む)

死刑日録

袴田巌さん多田謡子反権力人権賞受賞  12 月 20 日、袴田巌さんが、第 26 回「多田謡子反権力 人権賞」を受賞する。支え続けた秀子さん、弁護団、支援 団体の懸命の活動を労い、長期の拘禁で心身とも弱り果て た袴田さんの回復と一日も早く再審無罪を勝ち取ることを 願っての受賞決定である。同時に受賞したのは、川内原発 建設反対連絡協議会、 こるむ(在特会らによる朝鮮学校に対 する襲撃事件裁判を支援する会)。

(4)

 10 月 11 日、四谷区民ホールで恒例の「響かせあおう死刑 廃止の声 2014」が開催された。この集会のメインテーマであ る袴田事件、その弁護団長である西嶋勝彦弁護士から以下の ような講演をしていただいた。この事件についてはこれまで 本誌で繰り返し掲載してきたので、死刑をめぐるお話を中心 に、事件の経緯、雪冤への活動などを要約し報告する。(文責・ 編集部。事件について詳しくは本誌 135、136 号および『年報・ 死刑廃止 2014』を参照して下さい)

反論を許さないかたちで死刑廃止を迫ってい

るのは、袴田さんの事件だ

 獄中にあった 48 年のうち 33 年を死刑確定者とし て死刑の恐怖にさらされて生きてきた袴田さんが、 いま身をもって日本の司法に突きつけているものは なんだろうということを考えてみたい。  まず袴田さんが犯人と疑われた唯一の証拠らしき ものは事件直後の捜索の過程で発見された血や油が 付いているパジャマだった。しかし科警研で調べる と血痕らしきものから血液は検出されず、油の専門 家による再鑑定でも静岡県警の検査の有効性に疑問 が出された。しかし静岡県警は、ボクサーあがりだ ったこと、金に困っていたことで袴田さんに狙いを つけて逮捕し、しゃかりきになって自白を強要した。 証拠としてのパジャマの位置が低くなり、苛酷な取 り調べが明らかになると、味噌タンクの中から 5 点 の衣類が「発見」され、これを証拠としてこれまで の犯行ストーリーを変えて死刑判決へ持ち込む。し かし今回、静岡地裁で証拠自体が捏造であるとして 再審開始決定がでたのである。  それに対して静岡地検は東京高裁に即時抗告を し、静岡地裁の決定を覆そうといろんなところに働 きかけ、証拠を作ったり用意したりしている。その 醜い姿を弁護団は何がなんでも粉砕したいと思って いる。  代用監獄の廃止、取り調べの可視化と弁護人の立 ち会い、証拠の全面開示などで冤罪をなくしていか ねばならない。  最後に西嶋弁護士は以下のように締めくくられ た。  「袴田さんの事件を見て、これ以上死刑が存続し て良いのだろうかと問われて、かまわないと答える 人はいないんじゃないか。唯一、抗弁があり得ると すれば、被害者の立場はどうなるのだということで す。しかしそれは本当に訴追されている人が真犯人 であり、処罰が間違いないということを前提にした 議論です。もう一つは、本当に被害者は重罰を望ん でいるのか。つま り、ひどい被害が ある場合に、かな らず加害者を死刑 にしなければなら ないというふうに 思っているのだろ うかと。これはち ょっと思いすぎじ ゃないかと思います。  後者の問題については、本来は刑罰によって解決 する。つまり行為者、加害者を死刑にすれば解決す る問題ではない。被害者の一時的な溜飲は下がるか もしれないけれども、置かれた境遇は全然改善しな いですね。これは国家、社会が被害者を救済しなけ ればならない問題であって、加害者を死刑台に送れ ばすむ問題ではない。  このことは、実はずいぶん昔から、有名なチェー ザレ・ベッカリーアという犯罪学者も死刑の廃止を 叫んでおります。それからフランスで死刑の廃止を 実現したときの法務大臣、ロベール・バダンテール 氏が本を書いており、「日本の読者に」で、こう書 いております。  『時代遅れで非人間的、しかも無実の人間が処刑 される場合には犯罪的とさえ言える刑罰への執着 は、人権を尊重する社会原則とは、相容れないもの である。もっとも基本的な人権は生命への権利なの だから。死刑廃止国でなされたすべての研究が示し ているように、死刑は凶悪犯罪との闘いになんの効 果もない』(『そして、死刑は廃止された』作品社、2002 年、 藤田真利子訳)。  そして有名な最高裁の裁判官を務めた団藤重光さ んも、裁判官を辞めた後、前々から死刑に疑問を持 たれておりましたけれども、強烈な死刑廃止論者と して皆さんの前に現れております。  そして今、大きな勢いをもって、反論を許さない かたちで死刑廃止を迫っているのは、袴田さんの事 件ではないかと思います。」

死刑はやはりあるべきではないんだな、世の

中に

袴田秀子 袴田でございます。 袴田厳 奈落の壺。本能の壺、全能の神。全世界全 権力者、袴田巌でございます。  死刑廃止というような問題。死刑廃止という問題

死刑廃止を迫る袴田冤罪事件

西嶋勝彦・袴田巌・袴田秀子

(5)

になると、人類は恨み骨髄で生きてい るもんじゃない。シャバの世界で死ね ば、神に頼って地下 500 メートルの東 京拘置所監獄制度へ行って、ここで例 の生活をするんだ、皆。朝ごはんを食 べておみおつけを飲んで、縫い物をす る。パンツだとかシャツを作るんだ、 毎日。これでお金をもらって生活をし ているんです。死後の世界だ、これはね。 神によって運営されている死後の世界 で、神によって死ぬ人はいないんだ。生きているわ けです。  そういう社会情勢のなかで、殺した人をだな、死 刑にするとかしないとかという問題は神に依存して いるんだ。個人の考えはないんだ。殺された者の、 個人の考えはないんですね。神に依存していて、神 が決めることなんです。  死刑廃止ということで全世界が動いております が、死刑はやはりあるべきではないんだな、世の中 に。国家が国民を殺すなんていうことは、法律が許 してねえんだ。よって、国家が法律を殺す、法律を 以て国民を殺すということは、いけないというんだ な。神によっても許せないんだ。  よって、どうするかといえば、司法権力が、警察・ 検察・裁判所という。裁判所が死刑判決をうっちゃ いかんということだな。無期にしなさいということ だ。無期ならいいということだね。まあ今日、こん にち、こういう場をもらったということで、御身の 神においては、最高裁長官でもあるんだな。全世界 にて総理総裁首相であって、最高裁長官なんだ、こ の御身の神は。だからこの最高裁長官の権力を以て、 裁判所が死刑判決をうっちゃいかんと。無期にしな さいということを、今日はここで御発表いたします。 終わり。これで、死刑の問題は終わったということ だな。全世界は。 秀子 ありがとう。 若林秀樹 ありがとうございます。巌 さん、大分本当にお元気になられて。 ここで秀子さん、ちょっと最近の近 況をお話しいただけたらありがたいで す。 秀子 そうですね。巌はこのように、 ご覧の通りでございます。  もう 3 月 27 日に拘置所から出まし て、2 カ月間、多摩の病院に入院しま した。そして 1 カ月は浜松の病院に入 院しました。そして 2 カ月間はわたくしの家で生活 いたしました。その 2 カ月は、もう家の外には一歩 も出ませんでした。階段も降りない。そういう生活 を続けておりまして糖尿病が悪化して、肺炎を起こ して、それで緊急に入院いたしました。それで手術 も胆嚢と胆石をたくさん取りまして、カテーテルの 手術もいたしまして、それを1週間おきにやりまし た。回復が早かったものですから、1 カ月で退院し ております。  そして 9 月 29 日に退院いたしまして、10 月 8 日 に医者へ行きまして検査して頂きましたら、もう肺 炎もきれいになったし、言うことはないって。糖尿 の血糖値も 90 いくつかで平常だから大丈夫だと。 今度は 11 月 26 日においでください、ということを 先生からおっしゃられました。  それを本人は聞きまして、もちろん喜ぶことは喜 びましたが、お腹が空いて仕方がない、腹が減って しょうがないと言って、沢山食べますの。ご飯も、 糖尿食をわたくしは気をつけるようにしておりまし たが、ここ 2、3 日は、ご飯のお代わりをいたします。 2 膳ならまだ良いけども、3 膳目を出しますの。そ れで 3 膳目は、もうお米がないから駄目だって言っ て、諦めさせております。  いま、このように元気になっておりますが、まだ 本調子ではありません。今後とも、よろしくお願い 申します。ありがとうございました。 年報・死刑廃止 2014 

袴田再審から死刑廃止へ

定価 2300 円+税 A5 版 278 頁 ISBN978-4-7554-0249-4 インパクト出版会刊 ご注文は FAX03-3818-8676

袴田事件再審開始決定に思う 笹原恵 袴田巌さん、雪冤の 48 年と現在 袴田ひで子 袴田再審を死刑廃止へ 袴田事件弁護団座談会 西嶋勝彦・小川秀世・田中薫(司会・岩井信・安田好弘) 袴田事件=国家による究極の冤罪 保坂展人 飯塚事件と足利事件 徳田靖之・佐藤博史・安田好弘

1996 年版から在庫あり。ぜひ全巻お揃えください。

ブックレビュー 『刑務官 佐伯茂男の苦悩』小笠原和彦著  刑務官から死刑を描いた文学作品と して、柘植文雄『石の叫び』、丸山健二 『夏の流れ』、吉村昭『休暇』などがあ るが、そのどれもが短篇だ。本書は拘 置所内の刑務官同士の人間関係や、担 当する死刑囚の人生と事件を刑務官が 調査するといった展開で、死刑をめぐ る多くの論点を盛り込み、死刑制度を 問うていく。死刑囚に油絵を描かせる という虚構を設定することで物語はク ライマックスへ。池田市付属小学校事 件をモデルとした長編小説。 [現代書館、1700 円 + 税] 『終身刑を考える』大阪弁護士会死刑廃 止検討プロジェクトチーム編  昨年 3 月に大阪で行われたシンポジ ウム「死刑と無期刑の間―終身刑の導 入と死刑廃止について考える」をまと めたもの。  第 1 部が制度論から考える。日本の 犯罪、刑罰動向、運用と死刑について・ 浜井浩一、絞首刑の残虐性について・ 石塚伸一、テキサスにおける死刑と終 身刑・布施勇如、第 2 部は刑事弁護の 最前線からとして、光市母子殺害事件・ 安田好弘、此花パチンコ店放火事件・ 後藤貞人。 [日本評論社、1700 円 + 税]

(6)

 死刑廃止デー集会終了後の デモは、アムネスティ・イン ターナショナル日本の先導で、 17 時 30 分から集会会場の四 谷区民センターを後にし、新 宿アルタ前∼新宿大ガード下 ∼新宿駅西口駅前経由で、代々 木第三児童遊園地に至る、昨 年同様約 50 分の行程で行われ た。  折しも台風 18 号と 19 号の 間隙を縫って予定されたかの ような当日は、筆者が強風に あおられながらデモの先頭を歩いた昨年の記憶とは けた違いに穏やかな天候で、80名ほどの参加者が「秋 は夕暮」とばかりに宵闇迫る新宿の繁華街を練り歩 いた。  今年のデモはどんなかたちのものにするか、アム ネスティの死刑廃止ネットワークセンター東京の例 会では、当初さまざまな意見が提案されていたが、 原発反対デモやその他最近各地で行われているデモ を参考に、鳴り物入りのリズム感・躍動感のあるデ モをやってみたいという結論から、その種のデモ をリードしてくれそうな助っ人・応援団に依頼をか けていた。が、結局種々の事情から外部からの応援 は断念せざるを得ない結果となった。それではわた したちだけで創意工夫を凝らすことはできるだろう か? 本番を間近に控え、再度侃々諤々の(?)話 し合いとなった。「コールをビートに乗せて合わせ ていくのは面白いかもしれない」、「いや、参加者が 皆ついていけるか不安だ」、「『死刑』とか『命』と いうワードと明るいノリが合わないかもしれない」、 「音も欲しいが、ずっと鳴らし続けるのはかなり疲 れる」……そんなやりとりを踏んだ結果、「音楽や シュプレヒコールなしで、デモの目的などをアピー ルしながら、全体としては黙々と歩く」ということ で落ち着いた。イメージとしては、『西洋の葬列』。 参加者は、なるべく黒を基調とした服装を着用し、 『死』『刑』『廃』『止』と大書したパネルを、沿道に 見せながら歩く。ただ、「喪服調」ドレスコードの 事前告知はフォーラム 90 の会議やメーリングリス トに限られるため、当日の集会に参集するすべての 方々にご案内できるわけではない。はたしてどうな ることか?  さて、当日。出発時に区民センター前で「今日の デモはシュプレヒコールなしの黙々と歩くかたちを とります」と参加者の皆さんにアナウンスはしたも のの、デモに参加される方々それぞれの思いや期待 はまちまちである。80 名の隊列は決して大きくも 長くもないが、先頭を行く車 から流れるアピールは、街の 喧噪や隣を走る一般車の騒音 にかき消され、後方を歩く人 たちの耳にはなかなか届かな い……。というわけで、コー スの途上ほどなく、先頭車の アピールとは別のシュプレヒ コールが、列の後方から上が っていった。デモの隊列を前 後しながら調整にあたってい たアムネスティのメンバーに よれば、この後方のシュプレ ヒコールの開始にあたっても、歩行中の参加者から 賛否両論さまざまな声が聴かれたという。  どんなデモが効果的であり、人を惹きつけるか。 参加者数、沿道の人々へのインパクト、参加者の満 足度……沿道の人々へのインパクトの大きさを量る のは難しく、デモに参加する人々の思いは、前述の ように参加者の数ほどまちまちである。デモ終了後 の打ち上げでも、また後日行われたアムネスティ例 会の反省や感想でも、シュプレヒコールを叫びたか ったという声、あるいは静かに黙々と歩きたかった という声があった。服装は黒でよかったという人も いるし、もっと派手にラメが入ったような衣装がよ いのではないかという人もいた。太鼓のような鳴り 物があったほうがよいという意見、いやキャンドル のような光るものがあったほうがよいという意見も あった。「みんな違ってみんないい」、まさに正解は なく、ひとつずつ試してみるしかない。そして、ひ とつずつ楽しむしかない。  前列付近で観察する沿道の人々の顔は、まさしく 「え? この新宿のど真ん中で、何のデモ? え? 死 刑反対? なに、それ?」という驚きそのものだった。 10 月の心地よい秋の夜、日本の中心新宿で、何千、 何万(まではいない?)の人々の耳目を、その数 分間だけでも集め、「なぜこの人たちは、この平和 な(?)日本で、こんな自分 ( たち ) とは関係のな い問題にかかわっているのか、訴えているのか?」 と疑問を感じてもらう。人々の、そのふと立ち止ま る時間が、数分から数十分になり、数時間、数日間 となっていけば、「なんで日本に死刑制度が必要な の?」と思う人たちが増えるかもしれない。増えて ほしい。心の底からそう思いながら、さて、来年渋 谷での集会の後はどうしたらよいのだろうと、わた したちアムネスティのチームはすでに考え始めてい る。来年までは残り 350 日程度。皆さんからの侃々 諤々のご意見をお待ちしたい。   (大島みどり) (写真提供=アムネスティ・インターナショナル日本)

死刑廃止デー新宿デモ報告

(7)

ここに掲載するのは 10 月 11 日に行われた、「響かせあおう 死刑廃止の声 2014」でのシンポジウムである。 1、発足 10 年目の幸子基金 太田 こんにちは。死刑廃止のための大道寺幸子基金 が運営し始めた死刑囚表現展は、今年で 10 年目を迎 えました。発足当初から 10 年間を時限として始まっ た試みです。今後どうするかについてはこのシンポジ ウムの最後に発表しますが、ともかく 10 年目の節目 であるということで、今年度の作品に限らず、10 年間 を振り返った形での話し合いにしたいと思います。  選考会は 1 カ月前に 7 人の選考委員全員が出席して 行われました。残念ながら今日は、皆さん以前から予 定されていた仕事がかちあいまして、選考委員の方の うち、香山リカさん、川村湊さん、坂上香さんのお三 方は残念ながら欠席です。皆さんにくれぐれもよろし くとのことです。加賀乙彦さんは昼間、静岡県で講演 中で、今頃東京駅に戻られたころだと思いますので、 後半に間に合えばいいと事前に打ち合わせしておりま す。そういうわけで、今日は選考委員のうち池田浩士 さん、北川フラムさん、司会はわたくし太田昌国が行 います。よろしくお願いいたします。  いつもは文章作品からやっておりましたが、今回が 最後だと皆さん思われたと思うのですが、応募作品が 非常に多かったので、今日は絵画作品から講評に入っ ていきたいと思います。一点一点を詳しくやっていく ことは時間の制約上、難しいと思いますが、できるだ けたくさんの作品を、絵画作品はロビーでもご覧にな っていただけますが、この画面でもご覧いただきなが ら進めたいと思います。 金川一さんの絵  まず最初は金川一さん。この方は初回の頃からずっ と絵画を応募されていて、独自の表現をずっと試みて 来られた方です。池田さん、北川さんお二人のほうか ら、何かこれはということがありましたら、言ってい ただければ。 北川 静物画というか、植物は本当にていねいに描い てあって。しかも影というかぼかしの部分が非常に効 いていて、とても好感を、好感というか、僕が好きだ っていうだけの話ですが。ただ、この女の人はどうす るとこういうふうな感じになるのか、僕はさっぱり分 からないんだけど、何か、一つの世界があって魅力的 ですね。そう思って見ていました。 池田 実はもう 20 年近く前になると思うんですが、 インパクト出版会から『死刑囚からあなたへ』という 本が出たんですが、そこで初めて金川さんの文章を読 み ま し た。 私 は その時、一生かか っても、こういう 文章は自分には書 けないな、という 思いを心から抱い た記憶が、今でも 鮮明に生きていま す。つまり、文章 にもすごく感動し たんですけれど も、その金川さん が、こういう絵画 作品を毎年送って こられる。それを 毎年見ていて、本 当に多彩な試みというか、多様な試みを重ねている人 だな、表現することがいっぱいあるんだなという思い をいつも抱いています。私は今までの中で、今年が一 番良かったです。自画像を見て、「あ、この人なんだ !」 という、そういうところも含めて、とても感動しまし た。フラムさんみたいに専門家ではないのですが、僕 もあの女性像というのは、うん、どうやって見たらい いのかというのは戸惑っていますけれども。ただ、よ く男がヌードの女性を描くときの眼差しみたいなもの とは全然違うということは、僕でも何となく感じとっ て、とてもいいなというふうに思います。 北川 それと、この女性像もそうですし、自画像もそ うですが、一本一本の髪の毛を本当によくていねいに 描いていて、それが良く、とても魅力的な感じに伝わ ってきますね。 宮前一明さん 太田 それでは次、宮前さん。宮前さんは去年も応募 点数が非常に多かったのですが、今年も 10 数点。様々 な、紙もいろいろ工夫されていますし、描き方も多彩 な方です。特に今日、すでにロビーで作務衣が掛かっ ている、その作品もご覧になったかと思いますが、い つも非常に工夫をされている。そしてご自分でどんな 工夫をしてきたかというメモを送ってこられる。今日 もテーブルの上で見て頂いております。昨年もそうで した。これはどういうかたちで和紙のようなものを手 に入れて、どういう工夫をしながら描いたかというこ とも合わせて書いてこられるような方です。これが先 ほど申し上げた作務衣ですね。 北川 絵画の作品に関して言うと、最初は、芭蕉の奥 の細道・絵画版みたいな絵を描かれて、僕はそれに相

大道寺幸子・赤堀政夫基金へ

大道寺幸子基金選考委員シンポジウム

池田浩士・北川フラム・太田昌国

金川一「自画像」

(8)

当文句を言った記憶がある。恐れ入りましたというよ うなので、美術でそんなことはあんまりやってもらい たくないなと思って、そこから始まった縁ですね。今、 太田さんが言われたように、本当にいろんな工夫をし ています。扇面を縦に使うというのは、僕は初めて見 ましたね。普段横に使っているものを縦にするという のも、普通考えそうなことだけれども今まで誰もやっ たことが歴史上ないと思います。これはちょっとびっ くりした。不思議な良い効果が出ていると思いますし、 本当にお上手なんですね。このお上手なのが僕は欠点 だと思っているぐらいで、なんでもできちゃうってい うか字もちゃんと書けちゃうし、そういうアーティス トってあまり日本にいなくて、本当にこれぐらいのこ とを今、現役でやっているのって横尾忠則さんぐらい だと思いますね。 太田 横尾忠則さん。 北川 ええ。もう本当に達者なんですよ。いろんなこ とが。書をやったって、本当に数年ですごい書を書く し、それぐらいいろんなことをやっておられるんです が、後で出てくる、違う方との比較で言いますと、本 当にいろんなことを知っているし上手だし、本当にあ らゆることをやっているんですね。つまり、美術史の なかで系統発生でやってきたことを、一人の中でやっ ている。こういう例というのは、国立新美術館がオー プンする前に、オーストラリアのアボリジニのエミリ ー・ウングワレーさんが、つまり文章がない、文字が ない社会。 太田 無文字社会ですね。 北川 だから全部記憶の中、人との会話の中で、それ こそ何万年前の言葉でもっている、頭の中に入ってい るわけですよ。しゃべりながら伝えていく世界ですか ら。それでそこで美術をやられて 10 数年の間に、本 当に美術史を全部バーッと自然にやっちゃうんです ね。ダダ、キュービズムがあったり、印象派があった り。そういうのに近い形でいろいろやって、ついには デュシャンという現代美術を、ばーんとトイレを使っ て、本当に美術とはなんだということを問いかけた人 みたいなことを、作務衣でやってきた。こういうのを 選んでいいのかと僕なんか思っちゃったぐらい、本当 にびっくりしましたね。宮前さんも、ついにここまで 来ちゃって、普段自分が使っているものを。これ、ど うやって送ってきて、どうしてこうなったっていうの は。 太田 これは、宅下げというかたちです。 北川 それで、そのまんまで。 太田 ええ。ちょっと簡単に読みますと、「10 年の節 目もあって、10 年にふさわしい表現方法はないかと考 えておりました。そしたら、この 10 年間、四季を問 わず着続けている作務衣の半襦袢でした。これをオリ ジナル作品と呼べるかどうかの判断は、当委員会で決 めてください。今から 10 年前、禅の老師の養子にな り、得度と同時に頂いた掃衣のなかの一枚であります。 すでに両袖は七分袖と変わり果て、丈のほうは 5 セン チ以上と短くなり、少なくとも 80% 以上は元の生地 は存在していませ ん。あえて作品に 仕上げたのではな く、10 年 た っ て みるといつの間に か原型がなくなっ ていました」と書 かれています。 北川 はい。だか ら美術という世界 から見ると、作品 とか何とか言われ るけれども、一人 一人の人間の分身 であったり、アイ デンティティであ るとすれば、まさ にこれはそうなの であって、そういう意味では、舞台裏を話しますと、 僕はこれは全然、推してなかったんですね。ただ出し ただけじゃないかと思っていて。だけど、選考委員の 方が…… 太田 坂上香さんが。 北川 あ、具体的に言っていいのか。僕は駄目だって 言ったら、あんた現代美術やってるのに、なに考えて ダメだとか言ってるのかと言われて、はい、じゃあ、 という感じになったんですが。そういうことも含めて、 なにかこう、わざわざ手を使って何かやるんじゃない、 そのアイデンティティの出し方っていうのが、こうい う中で凝縮されて、この 10 年間出てきたっていうの は、やっぱり驚きでしたね。 池田 この「糞掃衣」という題名がついている、これ は別としてですね、別としてというか、これが重要な んですけれども、これはひとまずちょっと置いておい ても、先ほどの扇面を横にした構図であるとか、そう いう表現に宮前さんが行きついたのは、私、今日ずっ と後からまた文章のところでそのことにまた立ち返り たいんですけれども、この方が死刑囚だったからなの かというのは、一番やっぱり、すごくこう…… 北川 私はそう思いますよ。 池田 それが一番、考えると苦しいことでもあるんで すけれども、ここに行きついたということと、彼が死 刑を毎日目前にして生きているということとの関係を 考えると、自分では言葉が出ないというふうな思いが あります。ただ最初に北川さんが言われたように、な んかこう、わびとさびの芭蕉みたいなそういうふうな 表現から出発して、こういうところに行きつかれたと いうのは、本当にすごいなあと。私は本当に、小さな お手伝いしかしていないんですけれども、やはりこの 表現展が、それをある意味で言うと強いたわけですよ ね、彼に。ですからそこから表現が文字通り強引に引 き出されてきたという思いがあって感動的でした。 宮前一明「糞掃衣」

(9)

高尾康司さん 太田 はい。それでは 次、高尾さんです。こ れは『年報・死刑廃止』 のための表紙を意識 して作ったんでしょ うね。 北川 ちょっと説明 すると、なにか線と色 というのを、非常にプ リミティブに使って 描いていく人と、ご自 分の記憶の中で見た いろいろなもので、イ ラストレーションに行 く方向と、この間見ていて、あると思いましたね。イ ラストレーションに行く人というのは、やはり言葉と 図柄といったものが、一緒にパラレルなものとしてわ りと考えているということがあります。それで、根が 不真面目というかサボり魔なせいもありますが、先ほ ど例えば、宮前さんのを太田さんが説明してくれた、 僕はああいうのを何も読んでないんですね(笑)。と にかくずっと第1回目から、この人がどなたかという のもわかっていないで、絵しか見ないということを自 分に、立派に言えば言い聞かせてやってきていて、ど ういうふうなことなのかなということで見たいと思っ て。だからイラストレーション系というのが、もうち ょっと次になると、ものすごいのが出てくるというの があって、そういう一つの流れだと思いますね。 原正志さん 太田 よろしいですか。じゃあ次は、原さん。 北川 これなんですね。つまり、思いというものを、 いろいろやっていくと足りない部分はここの背景にあ る、ものすごく小さい文字で、立看を細かく書いたみ たいな、いろいろな言葉がわっと出てきたりしている ということが あって、そこ でとにかく埋 め尽くしてい かないと気持 ちが出せない ということで すが、そこが イラストレー ションのほう の方向で。つ まり、なんで もなんでも足 していくしか なくなるとい う美術の方向 だと思います。 そして、こう いう絵は昔はなかったんですね。しかしある時期から、 本当に僕はこういう大衆週刊誌の表紙みたいなのが好 きではないけれども、こういうのを描くほうがいいと 思ってずっと応援しているんですけれども、だけど、 その先がなかなか進展しないというところがあって。 わっと出てきた時は衝撃的だし。ただ、こういう表現 がおそらく、出てくるのは日本だけだったと思います ね。僕はあまり見ていないんですね、外国の死刑囚の 表現では。だからそれはやっぱり、相当意味のあるこ とが出てきたと僕は思っていますよ。 池田 原さんのは、先ほど北川さんも言われましたよ うに、文字通り、アジテーションの立看に書いてある ような文句が実はずーっと書いてあるわけですね。極 めて政治的なメッセージが書いてあったんですが、今 年は、割とそれが少ないですね。 北川 少ないですね。 池田 言葉が少なくなって。それと対照的に、背景の 色と細かい積み重ねで作るという。背景の色だけじゃ なくて、ものすごく細かい絵があるわけですよね。 北川 もしかしたら変わっていく可能性がちょっと見 え始めたという感じがしましたね。 池田 そういう感じが今年しました。 謝依俤さん 太田 なるほど。それでは、次。謝さんですかね。謝 さんはご記憶の方は多いと思いますが、B4 で 15 枚と か、25 枚とか、そうした墨絵的な作品を今まででした ら出品されて。それはみんなバラバラに外に出てきま すから、専門業者に託して裏打ちをしてもらって、今 までは展示してきました。今年はそういう大型の作品 はなくて、小ぢんまりとしていますね。6 点くらいあ るのかな。もっとありますね。9 点ありますね。謝さ んのこの変貌というか。これは北川さん、どのように。 北川 いや、もともと絵のかなり描ける方だと思いま すが、なんでもっと大きいものに挑戦してきてくれな かったのか、ちょっとさびしい気がします。 太田 ちょっとそんな感じがありすよね。今までのを 知ってるから。 北川 もう、ここいっぱいになるぐらいに描いて、貼 りあわせろっていうことをやってくださってもいいと 思います。 太田 百枚とか。大凧 みたいなやつとかです かね。池田さんはなに かありますか。 池田 あまりにも上手 なので、私は、ある意 味で言うと、跳ね返さ れるような思いで毎回 見ているのですが、や はり思いもしなかった、 B4 をたくさん貼りあわ せてというのは、やっ ぱり1回だけなんだろ 高尾康司 「年報・死刑廃止 2014」 原正志「横たわる Idol 少女」 謝依俤「無題」

(10)

うなと思うんですよね。ですからそれをやられたと いうことは歴史的な出来事なので、それはそれでしっ かりと心に留めておかなければいけないと思うんです が、それ以後の表現は、私は正直に言って、ああ上手 いなぁ、と思うのですが、自分にも描けたらいいなあ とまではいかないですね。ああ、上手いなあ、という。 そういう感じです。 太田 そうですか。 池田 これは決して軽蔑しているのではなくて。 風間博子さん 太田 もちろん、そうです。それでは次、この方もい つも話題になりますが、風間博子さん。 北川 僕は、風間博子さんのは、どちらかというと判 断停止をずっとしているんです。 太田 なぜでしょう。 北川 それは、ご自分は冤罪だと思っておられると思 う。それが絵の中で描かれている。それもすごくてい ねいだし、いろいろ考えてやられている。だけど、そ れが絵としてそういうかたちで描いていくということ が上手くいっているのかということに対して、僕から 言えば、イラストレーション的なんですね。つまり、 説明が増えていくだけ、やっぱりなにか人の理解を求 めている部分が出てきて、そこが、やっぱりちょっと 厳しい。僕から見ると弱点になるような気がしている。 前にグランプリをとった時もありますね。井戸の中か ら這い上がっていくような。その時も、僕はちょっと 判断停止状態になるというところがありますね。 太田 メッセージがストレートすぎるというところが 何か、こう。 北川 そのメッセージがストレートなのはいいんだけ れども、メッセージのストレートが合意する範囲が、 一般の人たちと合意しようと思うと、ぐんぐんやっぱ り、思いの強さとか何かみたいなのが抜けていくんじ ゃないかというふうなところがある。これなんかも、 手榴弾みたいなものがありますが、つまりそれがそこ らじゅうにあって、素足で踏んじゃうというぐらいの ところにあるというのは、そこの前提になっている、 地雷を踏むとどうだ、というあたりに対して、僕は非 常に、そこ自身があまりにも一般的な説明から出発し ているのが、どうなのかと思うところがあります。 太田 なるほどね。 池田 私は全然、そういうふうにまとまった言葉にな らなかったんですけれども、いま北川さんが言われた のを私なりに伺って、ああ、そうなのかと納得しまし た。確かに、井戸の底から這い上がっていく、あの作 品よりも、やっぱりずっと衝撃力が弱いというのがど うしてだろうなと思っていたんですけれども、今のお 話を伺って私なりに納得したということだけ、申し上 げます。 井上孝紘さん 太田 はい。それで は、井上さんですか ね、次は。5 点ほど あるのかな。なんか 1点だけ際立って いるのがあって、あ とはどうでしょう か。 北川 達者という か、ここまでやれる んだぞ、というのは よく分かるんです ね。 池田 この鯉の絵 は刺青の原画とし て描かれているわけ ですね。僕はこの絵自体はある一つの型がたぶんあっ て、そういうものを踏まえているのだと思うんですけ れども、刺青というものを私は実感したことがなくて。 人のを見るだけですから。ですけれども、刺青の原画 を描いたというのは、すごく面白いなと。例えば、こ ういうのを背負っているお兄ちゃんと出会ったら、と いうことを思うと、誰かこの中で、この絵を自分の背 中に彫る人、おられませんか ? というふうなことまで ちょっと思って、楽しい思いをしました。 北村真美さん 太田 なるほど。では次に移って、北村真美さん。こ の方はけっこう多いんですよね。漫画的なものもある。 イラスト。 北川 前回で言いますと、これがカレンダーになって 風間博子「無礎の一道」 井上孝紘「日本伝統刺青原画:紅葉遊鯉」

(11)

いたり、拘置所の生活になったりしている、そういう 絵もありました。この方じゃないんですけれども。も うちょっとそういうところに行くと面白いかなと思う んですね。そういう意味で言うと、やっぱりちょっと コンセプトの強さ、あるいは写実の強さ、両方がやっ ぱりちょっと弱い。なにか知っている範囲の中を出し ていくみたいな感じになっちゃってて、そんなにグッ と来ないというところがありますね。 池田 個人的な趣味で言うと、私は色紙(しきし)と いうのが大嫌いなんですけれども、色紙に何かを書く 人がいますよね。だから、こういう色紙とは関係のな いような、縁がないような作品でも、なんとなくこの 人は色紙に描いているのではないかみたいな、そうい うふうな感じがしていて、それをぶち破らないといけ ないんじゃないかなという思いがとても強いです。 林眞須美さん 太田 はい。それでは次は林眞須美さんですが、驚く べき数の出品がありました。 北川 ロッキーのボクサーパンツが出てきたりして、 僕はえっと驚いたんですが、ただ基本的にはこの方は、 全く最初から変わらないんですね。この絶対的拒絶と いうか。これというのは、今までの一つの、これが先 ほどの後で説明したいと言ったことと関係するわけで すが。つまり、普通何かやっていくと、成長するとい うか、それをその中で発展させたいと思うんですね。 そういうこと を全然思って いなくて、た だ、ご自分が 思っている気 持ち。これは 僕 は よ く 分 かりませんが、 僕がこの絵か ら感ずるもの っていうのは、 他者に対する 絶対的な不信 しか感じない んですね。私は一人なんだということしか言っていな い。誰も分かっちゃくれないということを僕はずっと 思っていて。それに関しては最初から、絵がお上手で はないんだけれども変わらない。このすごさっていう のは大変なものだと思っています。理解を求めていな いしね、絵の中で。「ロッキーのパンツ」だって、そ れから「シルエットロマンスを聞きながら」というの も、ありましたね。青いなかに、読めない字が書かれ ているのとか。これも含めて、理解拒絶ということを 言っているような感じがして、ちょっとすごいなあと 思っているんです。分かってもらおうと思っていない と思いますね。絵から伝わってくるものは。だから対 照的に、共通で理解できる物事から組み立てていく、 さっきの風間さんみたいな作品とはまったく違うかた ちで。使う材料、そのものから共通の所がないんです ね。線を引く、色を塗り絵のように埋めるということ だけでやっているということはすごいなあと思ってい て。 池田 去年は、四角い黒い中に、赤い四角があったり とか。一つのパターンというか型にずっとこだわって おられて。今年もそれがたくさんあるんですけれども、 それ以外にもいろんなことを、いまのパンツも含めて 出てきているんですけれども、この人の絵を見ている とやっぱり苦しいですね。多様な表現を試みておられ るなとは、あまり受け止めることができないというの が、僕はすごく苦しかったです。 北川 あと、これはどういうふうに思われるかわかり ませんが、「国旗」という、日の丸の代わりが涙にな っているというのがありましたね。これは涙じゃない のか。僕は涙としか見えなかったのですが。これはす ごいですね。 太田 先ほど出ていた風間博子さんと同じく、林さん も自分が冤罪であるということを主張されている方で すけれども、風間さんは先ほど北川さんが言ったよう に、思いがストレートに伝わるメッセージ性のある絵 で、あの絵も見る側にとっては苦しいですが、林さん の絵もまた別の意味で苦しいということですね。でも 面白いですね。 音音さん 太田 それでは、次へ移りましょう。音音さん、2 点 です。この日本地図は台風の進路を描いて、いろいろ 工夫しているんですね。 北川 本当に文章のほうであとで触れていただけるか と思いますが、いろいろなことを本当に工夫していま すね。美術のほうから言うと、レトリックというか修 飾というか。そういう部分でいろんなことを考えよう としているんですね、美術を。この「囚」字というの もまさにそうで。やっぱりアイディア、何かをこう、 それはある意味で言うと、獄中にありながら、外のも のの何かに楽しみをどう見つけるか。やることをどう 見つけるかということを相当考えて。これもまた違う タイプのものを描く姿勢だと思います。 太田 これは実際ロビーでご覧になった方は読まれた 北村真美「イラスト」 林眞須美「ロッキーのパンツ」

(12)

かもしれません が、この人型は 死刑囚の「囚」 の字を表してい て、死刑囚表現 展というポスタ ーを、「囚」の ところはこれを 応用しながら、 外の人、あなた たちが作ってほ しいという、そ ういう依頼だっ たのですが、なかなか僕たちにその時間がなくて。今 日はこうやってお見せするだけです。発想がいろいろ 豊富ですよね。 檜あすなろさん 太田 それでは次は、檜あすなろさん。1 点でしたか。 北川 あまり絵を出したことがないような気がしてい ますが、もうちょっとやっていただくと面白くなって くる可能性を感じさせていただきました。 池田 あとから出てくると思うんですが、この方はこ のところ毎年、 言語表現と言い ますか、文章の 表現を送って下 さる方なんです けれども、この 人は冤罪を主張 しているのでは な く て、 実 際、 自分が罪を犯し たことを自覚して、その自分とどう向き合うかで、長 いこと、毎年苦闘を続けておられる方です。この方の 絵をきちんと、今年見ることが出来たのは、ああ、良 かったなあと思いました。つまり、彼の文章作品につ いては、私たちはものすごくこの人のことを今まで批 判してきたんですね、講評で。それに対して打ち返す ように、毎年自分を深めた表現をずっと繰り返し送っ て下さっているんですけれども、やはり文章だけでは なくて、こういうふうな図像というか絵画表現でも自 分を見つめ直すということを始められたんだというこ とを思いました。 伊藤和史さん 太田 それでは、伊藤さんに移りましょう。13 点かな。 外のロビーでも一角を占める作品が伊藤さんから提出 されています。 北川 簡単にパッと思った感じで言いますと、伊藤さ んの場合は自我というか描いていることが重要で、あ とは描いているもののマチエールというか、バックに いろいろなことができるということを見せているのだ と思うんですね。そういう意味では楽しまれていると 思います。 太田 なるほど。 池田 先ほど、具合の悪いことに私は、色紙が大嫌い ですと言ってしまったんですけれども、伊藤さんの絵 というのは典型的な色紙で。やはり言葉でメッセージ が書かれていて。絵自体は、色紙をぶち破っていくと いうことは、おそらく自分でも意図しておられないん だと思いますが、私はそれはやっぱりぶち破ってほし いなあという期待がすごくあるんですけれども。 鈴木勝明さん、千葉祐太郎さん、豊田義己さん 太田 それでは、鈴木さんです。どうでしょう。 北川 美術の良いところは、なんでもいいというとこ ろなんですよ、本当に。いろいろやりたいことをやる のが良いということなので、そういう意味では、いろ いろなことをやられるだろ うと思うけれども、観音様 がいて、こういうのがあっ て、なんともちょっと説明 のしようがないですね。 池田 これとか、丸がいっ ぱい。これなんか面白いな あと思うんですけれども。 それを来年はぜひやってい ただきたいなと。 太田 期待したいと。もうじゃあ来年もやるという感 じで、池田さんはお話しになっていますね。  じゃあ次は千葉さん。千葉さんはこれ 1 点ですが、 香山リカさんがえらく推薦して、選考会の時は見入っ ておられましたね。千葉さんの今まで生きてきたプロ セスがこの 1 枚の中に凝縮されているということで。 池田 一番左の上から 2 番目というのは、「酒酒酒酒 ……」といっぱい書いてあるんですね。そして「助け る」という字が書いてあって。ですから、酒に助けら れてというか、酒に助けを求めて生きてきた一時期が あったみたいなことが、非常に僕は自分を振り返って も、ある意味でこう、じーんと身につまされたんです けれども、やっぱり多くの人は、文章で今まで自分が 生きてきた一生というか、今まで生きてきた自分を振 音音「『囚』字デザイン」 檜あすなろ「無題」 伊藤和史「究竟涅槃」 鈴木勝明「無題」

(13)

り返ってこられま したよね。でもこ の方は、こういっ たコマ漫画で、や っぱり自分ともう 一度向き合おうと しているんだとい うのが、とても新 鮮だったように思 います。この絵画 作品の中では。 太田 確かにそう で す ね。 今 ま で、 こういうのはなか ったですね。それでは最後、豊田さんです。 池田 これは、感動するしかないですね。本当に。 2、文章作品について 太田 残り 30 分を切ってしまったので、文章に移り ましょう。全体の受賞作については、文章との絡みで の方もおられるので、全部が終わった段階で発表しま す。今後のこともありますので、これから文章作品に ついては、一つ一つをていねいにやることは少し難し いかと思います。20 分ぐらいで全体をざっと見るとい うことで、特に言及したいと言いますか、ぜひ触れた いという作品から、やっていきましょう。 池田 文章表現というか言語表現を自分のある意味で 言うと関心領域にしておられる方が、少なくともお二 人、川村湊さんと加賀乙彦さんがまだ来て おられないので、とりあえず私から始めさ せていただきます。私が申し上げることは、 偏頗なことしか言えませんけれども、率直 に申し上げます。今年が 10 回目なので、10 年間こういう作品に触れてきて、いったい 今までどういうふうに自分は死刑囚が送っ てこられる表現と向き合っていたんだろう ということを、私なりに反省したわけです。 つまり、何を期待してこの大道寺幸子基金 の死刑囚表現展の選考に加わってきたかと いう私なりの思いなんですけれども。私は もちろん検事でも判事でもありませんので、 いわゆる改悛の情を作品から求めるとか、 あるいは、これは冤罪ではない場合ですけ れども、罪の懺悔をきちんとして欲しいと か、そういうふうな思いは全くありません し、言う権利も義務もないと思っていまし た。私がもしも死刑囚の表現に期待しうる ことがあるとすれば、それぞれの表現者が、 今まで向き合ってくることがなかった自分 の内部をどれだけ深く見つめることができ るか。そしてそれを、どれだけ人の心に伝 わる表現にしていくことができるかという ことを、ずっと追求して欲しいという思いが 私にはあったと思うんです。それは、実際に この 10 年間、そういう表現と自分なりに向き合って きて、本当に表現者が自分の中を見つめようとした表 現と出会った時には、やっぱり私自身がもう一度、新 しい眼で世界を見ることができるような、そういう実 感がとてもありました。ですから私は、10 年間こう いう仕事に加えて頂いて、非常に語弊のある言い方で すけれども、自分なりに自分がある意味で豊かになっ たという実感があります。だからこそ、その表現者が、 死刑と向き合ってしか、あとの命を生きることができ ない人たちであるという事実は、私にはとても耐え切 れないほど重いものであるという実感があります。そ して、そういうことを踏まえた上で敢えて要望という か私の期待というのはですね、ちょっとこれは飛躍が あるように聞こえるかもしれませんが、「嘘」を書い てほしい、フィクションを書いてほしい、ということ です。ありのままを書くということを超えて、つまり、 自分はこういうふうな生き方をしてきましたとか、こ ういうふうな、例えば人を殺すにしても、なんでもい いんですが、こういう、いま死刑の判決を受けること になった、その原因であるところの罪の真実を書いて ほしいというふうには、あまり思わないんですね。つ まり、そういう真実というのは、多分、人間には見え ない。書き手には見えないと私は思うんです。だから、 どんなに頑張っても自分のやったことの真実というも のを発見するというのは、とても困難であるどころか、 ほとんど不可能かと思うんです。それではどうやって 自分の内面をもう一度深く見つめることができるのか というと、私はフィクションを書くことだというふう 千葉祐太郎「一瞬の走馬灯か。諦めがない反芻の道か。」 豊田義己「無題」

参照

関連したドキュメント

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

(ロ)

(2)特定死因を除去した場合の平均余命の延び

五二五袴田事件──死刑判決(有罪認定)は今や維持し難い!(斎藤)

AC100Vの供給開始/供給停止を行います。 動作の緊急停止を行います。

360 東京都北区個店連携支援事業補助金事業変更等承認申請書 産業振興課商工係 361

※定期検査 開始のた めのプラ ント停止 操作にお ける原子 炉スクラ ム(自動 停止)事 象の隠ぺ い . 福 島 第

※定期検査 開始のた めのプラ ント停止 操作にお ける原子 炉スクラ ム(自動 停止)事 象の隠ぺ い . 福 島 第