女子学生 の就業形態 に対す る意識調査研 究
一 母親 との比 較調査 よ り一
宗 倉 絹 枝 ・石 川 洋 子
1は じ め に
1986年 か らの戦 後 最長 と言 われ る 大型 景 気 と, 同年 施 行 の男 女 雇 用機 会 均 等 法 は,女 性 の社 会 進 出 を促 した。 総 務 庁統 計 局*i)による と,1989年 の 労 働 人 口総 数 に 占め る女 性 の 割合 は40.4%と,過 去 最 高 を示 す と共 に,男 性 を上 回 る増 加 率 で あ る。
しか し,女 子 雇 用 者 の1/4(25.2%)が 短 時 間 雇 用 者 で あ り,女 子 雇用 者 の 増 加 は短 時 問雇 用 者 の 増 加 に よ る もの が 大 きい。 今 後 の高 齢 社 会 のお と ず れ に よ る労 働 市場 の慢 性 的 な 人手 不 足 を考 え る と,女 性 の 就 業 は 欠 くこ とが で きな い と 同時 に, そ の 就 業 も生 涯化 の傾 向 をた どるで あ ろ う と予 想
され て い る。
しか し,女 性 の就 業 には,労 働 時 間 の 問 題 や 保 育 制 度 の 問題 な ど様 々 な課 題 を残 して い る こ と は, 周 知 の通 りで あ る。 そ の 困難 な状 況 の 中 で,女 性 達 は 就業 形 態 を選 択 して い る のが 現 状 で あ る 。
本研 究 で は,そ の よ うな諸 問 題 に も うす ぐ直面 す る で あ ろ う女 子 学 生 が,ど の 様 な 就 業 形態 に対 す る意 識 を持 ち,そ の意 識 が ど こか ら くる もの な の か,そ して,そ の選 択 に際 して受 け る影 響 が 大 きい で あ ろ う と考 え られ る母 親 との 関連 につ い て 探 ろ うと し,意 識調 査 を行 った 。
母 親 か ら受 け る影 響 につ い て は様 々 な方 面 か ら の研 究 が あ るが,室 田 ら*2)(199ユ)に よ る と 「お お むね 母 親 の 生 き方 を娘 はそ の ま ま引 き継 ぎた い と考 え,母 親 と同 じ様 な生 き方 を志 向 す る場 合 は 就 業 形態 と言 う よ り母 親 の 『生 き生 き度 』 が 影 響 し,母 親 と異 な っ た生 き方 を考 えて い る娘 は,母 親 の 生 き方 が娘 自身 に直接 被 害 を与 えた と考 え ら
れ る。」 と報 告 され て い る。 本 調 査 で は,こ の 点 も含 め て,女 子学 生 とその 母 親 に対 して 比 較検 討 を行 った の で ここ に報 告 す る。
II調 査対象及び方法
本 学 家 政 科1年 生200名(以 下,娘 群 とす る) に対 して,自 分 の将 来 像 に関 す る 質 問 と,女 性 の 職 業 観 に 関 す る 質 問,母 親 に対 す る評 価 の合 わせ て31項 目か ら な る 質 問紙 を作 成 した。(尚,こ の 質 問項 目につ い て は,1990年 に プ リテ ス トを行 い, そ の 結 果 を も とに 再 検 討 して作 成 した もの で あ る 。)
そ して,そ の母 親(以 下,母 親 群)に 対 して は, 現 在 まで の就 業 状 況 に関 す る 質問 と,夫 や子 ど も
に 関す る質 問,現 在 の 生活 に対 す る意 識,そ して 女 性 の職 業 観 に関 す る質 問(こ れ は,娘 群 と全 く 同 じ もの)な ど,同 じ く31項 目の 質 問 紙 を作 成 し た。
学 生 に は配 布 後 直 ち に記 入 を して も ら った。 母 親 へ の 質 問 紙 は,学 生 に持 ち帰 って も らい母 親 が 記 入 の 後,封 筒 に い れ て両 者 を合 わせ て 回収 した。
有 効 回 収 数95組 回u又 率47.5%
調査 実 施 日1991年7月 上旬
皿 結果ならびに考察
1.女 子 学 生 の 母 親 の 就 業 形 態
母 親 群 の 平 均 年 齢 は46.7歳,最 多 年 令 は46歳 で 13名 で あ っ た 。 最 終 学 歴 は,高 校 卒 業 以 上 の 学 歴 の も の が8割 を 占 め,高 卒 者 は67.4%,各 種 専 門 学 校 卒 者10.5%,短 大 卒 者5.3%,大 卒 者5.3%で
あ っ た。1960年 の*3)高校 進 学率 は82.1%,高 校 卒 業 後 の就 職 率 は58.2%で あ った こ とか ら も本 調 査 対 象 の母 親 は,平 均 的 な教 育 水準 で あ る と思 わ れ
る。
母 親達 は学校 卒 業 後,ど の 様 な就 業形 態 をた ど って 来 た の か 分 析 を して み た。 「学 校 卒 業 後 は, 就 職 した 」 と言 う もの が92.6%お り,L度 も職 業 に つ い た こ とが な い 」 とい う母 親 は4.2%と 少 な く,母 親 達 は何 らか の形 で,就 業 を経 験 して い る結 果 で あ っ た。 母 親 群 が18歳 頃 の1963年 は,オ
リ ン ピ ック景 気 に沸 き高 度経 済成 長 の なか で 女 性 の 雇用 も増 加 し,学 校 卒 業 後 は女 性 も就 職 す る こ
とが 定 着 した 頃 で あ っ た と思 わ れ る。
また,学 校 卒 業後 か ら現 在 まで の 就業 形 態 は,
「就 業 し,結 婚 や 出 産 な どを契 機 に完 全 に家庭 に 入 っ た」 とす る家 事 専 業 型 が40.0%,「 結 婚 ・出産 を契 機 に一 時 期 家 庭 に 入 ったが,そ の 後 パ ー トタ イ ムで 働 いて い る」 とす るパ ー ト就 業 型 は37.9%,
「結 婚 や 出産 を契 機 に一 時期 家庭 に入 っ たが ,そ の後 復 帰 しフ ル タ イ ムで 働 い て い る」 とい う復 帰 フ ル タ イム就 業 型 は5.3%で あ っ た。 「今 現 在 まで, 継 続 して フル タイ ム の職 業 を持 って い る」 とい う
継 続 フ ル タ イ ム就 業 型 は4.2%と 少 数 で あ り,ほ とん どの もの が,一 時期 で も家 庭 に入 って い る と
表 一1母 親 群 ・就 業 形 態 と 娘 群 ・志 望 就 業 形 態 (N)
母親群 娘 群
就 職 した こ とが な い ・しな い 4.2 (4)
一
(0)
家事専業型 40.0
(38)
20.0 (19)
パ ー ト就 業 型 37.9
(36)
53.7 (51) 復 帰 フ ル タ イム 就業 型 5.3
(5)
16.8 (16) 継 続 フ ル タ イ ム就 業 型 4.2
(4)
3.2 (3)
その 他 8.4
(8)
6.4 (6)
TOTAL 100.0
(95)
100.0 (95)
い う結 果 で あ った(表 一1)。
「家 庭 に 入 っ た理 由」 と して は,大 半 の もの が 子 育 て を理 由 に上 げて い る(表 一3)。
就 業 形 態 と学 歴 の ク ロス 集 計 を試 み た が有 意 差 は見 い だせ なか った(表 一2)。
また,結 果 は載 せ て い な いが,母 親 の現 在 の職 業 別 に お いて,専 業 主 婦 ほ ど,自 分 の 自由 な 時 間 が あ り,楽 しい こ と ・夢 中 に な れ る ことが あ る が, 将 来 につ い て は な にか と不 安 を抱 い てい る もの が 多 い傾 向 に あ っ た。
2.女 子学 生の就 業形 態志 望 と母 親 との比較 娘 群 の 年齢 は18〜19歳,1973〜1974年 生 まれ で あ る。 大 学 及 び短 期 大 学 の 学 生 数 に おけ る女 子 学 生 の比 率 は*"1990年 に40.8%と 戦 後 最 高 を記 録 し, 女 子 の高 等 教 育 は 男子 とほ ぼ 同等 に まで 達 した と 言 え よ う。
卒 業後 の進 路 と して92.6%の もの が就 職 す る と 答 え,残 りの7.4%の もの も 「進 学 後 に な ん らか の 職 業 に就 く」 とい う答 え で あ った 。結 婚 理 想 年 齢 は24歳 以 降 と考 え る もの が77.9%を 占 め,結 婚 前 に一 度 は就 職 し,社 会 に出 た い とい う ものが 非 常 に多 い 結 果 で あ っ た。
将来 志 望 す る就 業 形 態 は,母 親 群 の 就 業形 態 と 同様 に,結 婚 や 出 産 を契 機 に家 庭 に入 る とす る も の が 多 いが,パ ー ト就 業 型 が53.7%と 半 数 を占 め, パ ー トタイ ムで の 再就 業 を志 望 して い る もの が 多 い 結 果 で あ っ た。 そ の 内訳 は(表 一1)の 通 りで あ る。1989年 総 理 府 実 施*5)の 「女 性 の就 業 に関 す る世 論 調 査」 に お いて は,家 事 専業 型 は14.2%の 割 合 で あ った が,本 調 査 対 象 の この 割合 は20.0%
と若 干 高 くな って い る の は,家 政 科 とい う学 科 の 特 性 か も しれ な い 。
次 に,就 業 形 態 の志 望 の理 由 を,娘 群,母 親 群 とで比 較 を して み た ものが(表 一3,4)で あ る。
両群 と も 厂共 働 きの理 由」 は,金 銭 的 理 由 を上 げ て い る のが わか る。
「家 庭 に入 る ・入 っ た 理 由 」 は,子 供 の為 とす る もの が娘 群 で は56.8%と 半 数 を占 め,母 親群 も
ま た,36.8%で 最 も多 い理 由 で あ った 。前 出 の世 論 調 査*5)にお い て も同 じ様 な結 果 を得 て い る。
こ の2項 目につ い て は単 数 回 答 で 求 め て い るが, 母 親 群 の 回答 で は,「 色 々 な 理 由が 絡 み 合 って い て 一 つ の 理 由 で は回答 しきれ ない」 と言 う記 述 が 多 く見 ら れ,「 そ の他 」 の 理 由の もの が増 えた か
た ち とな って い た 。
住 宅 ・教 育 費 の 高騰 につ けて,よ り豊 か な生 活 を 目指 す 為 に,妻 も収 入 を得 る こ とが必 要 不 可 欠 とな っ て きて い るが,子 供 の 為 に家 に い る とい う 調 査 結 果 は,現 代 の保 育 を取 り巻 く問題 のせ い ば か りで もな く,母 性=家 とす る 日本社 会 の根 強 い 意 識 が 伺 え る結 果 で あ った 。
3.女 子 学生 と母親 の性役 割意識 の差
女 子 学 生 の 就業 形 態 に対 す る意識 を,母 親 との 関 連 で 分 析 して い くに あ た り,就 業 形 態 の志 望 に 影 響 を与 え る で あ ろ う と思 わ れ る性 役 割 意 識 につ い て,分 析 を して み た。
娘 群,母 親 群 に対 して,女 性 の就 業 観 や性 役 割 に関 す る同 じ質 問(12項 目)を 行 い,両 群 の差 を 検 定 した(図 一1)。 そ の 結 果9項 目に つ い て差 が 認 め られ,全 体 と して 娘 群 と母親 群 の 問 には, 男 女 の 性 役 割 意識 に違 いが 見 い 出 され て い る。
まず 厂女 は 内,男 は外 」 とい う性 役 割 意識 は, 母 親 群 で は,個 人差 が 大 きい もの で あ った が,娘 群 に お い て は,か な りの もの が 否定 的 で あ った。
そ の一 方 で,「 で きれ ば 専 業 主 婦 に な って 楽 を
表 一2母 親 群 。就 業 形 態 ×学 歴
(N) 中学卒
丶
高校卒 専 門卒 短大卒 大学卒 そ の 他 TOTAL
家事専業型 5.3
(2)
71.0 (27)
7.9 (3)
7.9 (3)
7.9 (3)
冖
(0>
100.0 (38)
パ ー ト就 業 型 16.7
(6)
72.2 (26)
8.3 (3)
2.8
(1) (0)
冖
(o>
100.0 (36) フル タ イム 就業 型(含 復 帰 ・継 続) 11.1
(1)
44.5 (4)
一
(o)
11.1 (1)
22.2 (2)
11.1 (1)
100.0 (9)
そ の他 8.4
(1)
58.3 (7)
33.3 (.4)
一
(0)
一
(o)
冖
(o>
100.0 (12)
TOTAL 10:5
(10)
67.4 (64)
10.5 (10)
5.3 (5)
5.3 (5)
1.0 (1)
100.0 (95)丶
表 一3娘 群 ・家 庭 に入 る理 由 、 母 親 群 ・家 庭 に 入 っ た理 由 %(N)
子 供 が小 さ
い うち は 夫 に尽 くす 育児 と仕 事 の 両立 難
家事 と仕事 の両立難
家事 は女の 役割
家 で楽 を し
た い その 他 TOTAL
娘群 56.8
(54)
8.4 て8)
7.4 (7)
6.3 (6)
3.2 (3)
2.1 (2)
15.8 (15)
100.0 (95)
母親群 36.8
(35)
4.2 (4)
7.4 (7)
4.2 (4)
6.3 (6)
一
(0)
41.1 (39)
100.0 (95) 表 一'4共 働 き を す る理 由
(N) お金 の ため 生 きが い 視 野 を広 げ
る 社会 に貢献 家 に い て も
暇 その 他 TOTAL
娘群 43.2
(41)
11.6 (11)
12.6 (12)
2.1 (2)
6.3 (6)
24.2 (23)
100.0 (95)
母親群 34.7
(33)
18.9 (18>
18.9 (18)
2.1 (2)
3.2 (3)
22.2 (21)
100.0 (95)
した い」 とす る ものが,娘 群 にお い て か な り強 い 傾 向 に あ り,上 述 と矛 盾 す る よ うで あ るが,専 業 主婦 は楽 で あ る とい う認 識 が 娘 群 に あ る よ うだ。
「専 業 主 婦 で あ る な ち ば 家 事 や育 児 を夫 に手 伝 わ せ な い 」 とい う項 目で は,両 群 と も否定 的 で は あ るが,娘 群 に そ の傾 向 は強 い。 家 事 や 育児 は,
も は や 女 性 だ け の 領 域 で は な く,夫 婦 平 等 な 家 事 ・育 児 参 加 を望 ん で い る よ う で あ る 。 「楽 を し たい 」 とい うの は現代 の10代 の年 齢 層 に共 通 の考 え方 で あ る よ う に思 うが,家 事 ・育 児 の 労 力 が社 会 化 ・機 械 化 の 促 進 に よ りさ らに軽 減 され た と し
て も,こ れ らは,も はや 男 性 の 参加 な く して は考
図 一1女 性 の就 業観 と性 役割 意識
1.育 児 と仕事 の両 立 は難 しい
2.家 事 と仕事 の両 立 は難 しい
3.子 供 が 就 学 す る まで は母 親 が 側 に い るべ き
4.女 性 は男性 のサ ポー ト的 な仕 事 が大 半 だ
5.で きれ ば専 業 主婦 に なっ て楽 を した い
6.乳 幼 児 を保 育 園や 託 児 所 に預 け るの は かわ い そ う
7.仕 事 に成 功 して い る女性 は 家族 を犠牲 に し て い る
8.夫 の 育児 制 度 の利 用 に抵 抗 は な い
9.仕 事 をす る上 で 男女 に能 力 の差 はな い
10.本 来 、女 性 は家事 ・育児 に専念 し男性 は外 で 働 くの に専 念 すべ き
11.管 理 職 な ど責 任 あ るポ ス トにつ きたい
12.専 業 主 婦 で あ るな らば家 事 や 育児 は夫 に手 伝 わ せ るべ きでな い
え られ な い もの の よ うで あ る。
ま た,「 子 供 が 就 学 す る まで は 母 親 が 側 にい る べ き」 とす る意 識 が 変 化 しつ つ あ り,乳 幼児 を預 け る こ とへ の抵 抗 感 も娘 群 にお い て は低 くな っ て い る。
仕 事 に対 して の 男女 平 等 意 識 は,母 親 群 よ り娘 群 の方 にや や 高 い が,ま だ ま だ平 等 で は ない とす る,半 ばあ き らめ の部 分 もあ る よ うで あ る。
また,「 仕 事 に 成 功 して い る 女 性 は,家 族 を犠 牲 に して い る」 とい う意識 は,母 親群 に か な り高 くあ り,仕 事 と家 庭 の 両 立 は可 能 で あ ろ う とす る 意 識 は,娘 群 よ り母 親 群 の 方 が 若 干 低 い結 果 だ っ
た 。
職 業 人 に な るの な ら母 性 の部 分 を切 り捨 て なけ れ ば な ら ない と言 う選 択 を強 い られて い た の が過 去 の女 性 達 で あ っ たが,現 在 は,職 業 人 の 道 を選 択 して も,夫 の協 力 を得 て ゆ と りの あ る生 活 を共 に家 庭 に求 め て い こ う とす る傾 向 が徐 々 に浸 透 し つ つ あ るの で は ない だ ろ うか。
以 上 の よ うに,両 群 にお け る性役 割意 識 の差 は, 全 体 と して か な り大 き く表 れ た結 果 で あ っ た。
4.母 親 か らの影響
一般 に,娘 が 母 親 か ら受 け る影響 に は大 変 大 き い ものが あ る こ とが指 摘 され て い る 。 こ の点 を検 討 す る た め に,女 子学 生 が 志 望 す る就 業 形 態 に与 え る母 親 の影 響 とい う点 に焦 点 をあ て て分 析 を行 って み た。
娘 群 の 選 択 し た 就 業 形 態 を 「家 事 専 業 型 」
「パ ー ト就 業 型 」 「フ ル タ イ ム就 業 型(含 復 帰 ・ 継 続)」 の3グ ル ー プ に分 類 し,そ れ ぞ れ の母 親 達 が 選 ん で 来 た就 業 形 態 や,娘 の母 親 へ の 評価 と, 子 供 の 頃 に関 す る こ と,両 親 に 関す る こ とな どの 項 目に対 して グ ル ー プ 問の比 較 を行 って み た 。
母 親 の就 業 形 態 別 にみ る と,3グ ル ー プ 問 に お い て 有 意 な差 は み られ なか っ た。 母 親 が フ ル タイ ム で 継 続 して 職 業 を持 っ て い て も,娘 の選 択 は 様 々 で あ っ た(表 一5)。 大 方 の ものが 母 親 に対 して肯 定 的 な見 方 を して い るが,だ か ら と言 って 同 じ就 業 形 態 を選 ぶ とい う こ とで は な い よ うで あ る。
室 田 らのい う*2>「子 供 に対 す る直 接 的 被 害 」 と 言 え る項 目 に,本 調 査 で は子供 の 頃 に関 す る項 目 表 一5娘 群 ・志望就 業形態X母 親 群 ・就 業形 態
にお い て,「 寂 しい思 い を した 」 「家 族 で 出か け た 思 い 出が 少 ない 」 とい った項 目で 比 較 ・検 討 を し てみ たが,志 望 の 就 業形 態 に おい て3グ ル ー プ問 に有 意 差 はみ られ な か っ た。
ま た,「 母 親 の 生 き生 き度 」*2>とい え る項 目 に 関 して は,本 調査 で は,母 親 群 の 生 活 に 対 す る意 識 の 質 問 項 目の 中 か ら 「楽 しい こ と ・夢 中 にな れ る こ とが あ る」 「ゆ と りの あ る生 活 を した い」 「将 来 につ い て何 か と不 安 」 な どの項 目 を取 り上 げ,
「母 親 の よ うに な りた い」 とい う娘 群 の項 目 との ク ロス 集 計 をお こ な っ たが,有 意 差 はみ られ な か った 。 本 調査 結 果 に 関す る限 り,母 親 が 楽 し く生 活 して い る こ と と,娘 に 「母 親 の よ う に な りた い」 と思 わせ る こ とは関 連 が み られ なか っ た とい う こ とで あ る 。
しか し,ほ とん どの 娘 が 母親 自 身 に対 して 肯 定 的 で あ り,評 価 が 高 か った こ とを考 え る と,母 親 の生 き方 は生 き方 と して認 め る一 方 で,自 分 達 に は 自分 達 の生 き方 が あ る とみ な し,将 来 の 就 業 形 態 を選 択 しよ う と して い る よ うで あ った 。
Nま と め
女 性 の時 代 で あ る と騒 が れ る現 在,晩 婚化 ・少 産 化 とい った 最近 の傾 向 をふ まえ,こ れ か ら自 ら の就 業 形 態 を選択 し,同 時 に,家 庭 生 活 を築 いて い くで あ ろ う女 子 学 生 を対 象 に ,女 性の就業 と家 事 ・育 児 に対 す る意 識 の 分析 を試 み た。
女 子 学 生 の 志 望 就 業 形 態 は,「 結 婚 ・出産 を契 機 に,家 庭 に は い る が そ の 後 パ ー トタ イ ムで 働 く」 とす る もの が53,7%と 半 数 を 占め,「 結 婚 ・ 出産 を契 機 に,完 全 に 家庭 に はい る」 とす る もの
(N) 家事専業型 パ こ ト就 業 型 フル タ イム就 業 型 TOTAL
家事専業型 55.6
(10)
38.9 f'7)
5:5 (1)
100.0 (18)
パ ー ト就 業 型 39.5
(17)
..
(21)
11.5 (5)
100..0 (43) フル タ イム就 業 型(含 復 帰 ・継 続) 43.8
(7)
37.5 (6)
18.7 3)
too.o (16) 注)そ の他 、 不 明 回答 除 く
は20.0%で あ っ た。 「継 続 して フ ル タ イ ムの 仕 事 を持 ち続 け た い」 とす る もの は,3.2%で あ っ た。
そ れ に 対 して,女 子 学 生 の母 親 の就 業 形 態 で, 最 も多 か った の が 「結 婚 ・出 産 を契 機 に,完 全 に 家 庭 に 入 っ た」 とす る もの が40.0%を 占 め,「 結 婚 ・出産 を契 機 に,家 庭 に 入 った が そ の後 パ ー ト
タイ ムで 働 い た」 とす る もの が37.9%で あ っ た。
「継 続 して フ ル タイ ム の仕 事 を持 ち 続 け て い る」
者 は4.2%で あ った 。
娘群,母 親群 と も,家 庭 に入 る理 由 と して は,
「子 供 の 為 」 とす る ものが 多 か っ た。
母 親 か ら受 け る影響 にお い て は,娘 の 志 望 す る 就 業 形 態 と,母 親 が と って きた就 業 形 態 との関 係 は な く,母 親 の生 き方 か らの 影響 とい う点 に お い て は,現 在 で は あ ま りない よ うで あ る。 これ は, 現代 で は 生 育者 で あ る母 親 か ら大 き く影響 を受 け
る とい う こ とで は な く,母 親 は母 親 と して認 め, 自分 は 自分 の 生 き方 を模 索 す る時 代 と な って きた とい え る ので は ない だ ろ うか 。 また,娘 と母 親 の 間 に,性 役 割 意 識 の 差 が み られ た結 果 か ら も,母 親 の影 響 とい う よ り,そ の 後 の 教 育 や社 会 背 景 か ら受 け る影響 が大 き く占め る よ う に思 わ れ る。 女 性 の もの の 考 え方 の根 底 に は,日 本 の 産 業社 会 が 生 み 出 した女性 の就 業 の あ り方 や,母 性 へ の価 値 観 が ま だ ま だ根 強 くあ る よ うで あ るが,娘 と母 親 の世 代 間 に お いて徐 々 にそ の意 識 は変 化 しつ つ あ る よ うに思 わ れ た。
最 後 に,本 調 査 に ご協 力 下 さい ま した本 学 家 政 科学 生 とそ の お母 様 方 に厚 く御礼 申 し上 げ ます 。
〈参 考 文 献 〉
「共 働 き子 育 て を して い る女 性 の 育 児 と仕 事 に 対 す る意 識 調 査 」 石 川 洋子(1986)
東 京 成 徳 短期 大学 紀 要 第19号
「母 親 と就 労 に関 す る一 研 究 」 石 川 洋 子 (1989)東 京 成 徳 短 期 大 学紀 要 第22号
「家庭 管 理 論 」 宮 崎 礼子 ・伊 藤 セ ッ編(1991)
「労働 白書 」 労 働 省(1991)
「婦 人就 業対 策 等 の現 状 と課題 」(1991)
総 務 庁 行 政 観 察 局
「最 近 の 人 口動 態 」 厚 生 統 計協 会(1991)
「日本 女 性 生 活 史 第5巻 現 代 」 女 性 史総 合 研 究 会
東 京 大 学 出版 会(1990)
〈引 用 文 献 〉
*1)厂婦 人 労 働 の 実 情 」 労 働 省 婦 人 局(1990)
*2)「母 親 の 生 き 方 が 子 供 の 生 育 に お よ ぼ す 影 響 に つ い て の 基 礎 的 研 究 」 室 田 洋 子 ら(1991)
日本 保 育 学 会 第44回 大 会 研 究 論 文 集
*3)「学 校 基 本 調 査 」 文 部 省(1987)
*4}「学 校 基 本 調 査 」 文 部 省(1991)
*5}「女 性 の 就 業 に 関 す る 世 論 調 査 」
内 閣 総 理 大 臣 官 房 広 報 室(1987)