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渡 遺

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Academic year: 2021

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(1)

児 童 の 学 習 を 深 化 さ せ る 授 業 実 践 に つ い て の 研 究

高度学校教育実践専攻 教員養成特別コース

渡 遺

1.研究の動機と背景

「習得・活用・探究」という学習サイクノレにお ける習得場面において,児童は習得する知識や技 能を,教師の説明や他の児童の考えを聞き,多角 的に捉えられるようになっていることが重要で あると考える。なぜなら,それができれば習得し た知識や技能を活用することがより容易になる と筆者は考えるからである。そのため,授業の中 で習得場面の工夫が重要であると考えた。また,

活用場面で適切な課題を与えることで,習得した 知識や技能をよりよく活用できるようになると 考えた。このようなプロセスを経ることで,児童

を「より深くわかる」状態に導けると考える。

昨年度,実習校において筆者が行った授業で は,児童を「より深くわかるJ状態に導くこと ができなかった。算数科では,例題を解くのみ で児童は満足し,道徳では,教材に沿って考え ることができれば満足していた。この状況で,

習得したことを活用する力が付いたかどうかは 疑問である。 例之ば算数科の問題では,文言や 適応する場面が変わっても,それまでに習得し た知識・技能を使って問題を解くことができる。

道徳では,教材に沿った学習を通じて自身の生 活について考え,見直していくことができる。

このような状態こそ「より深くわかる」という ことであり,教師としてその状態を生む働きっ かけを授業の中で行ってし、かなければならない。

実習校において観察した授業の多くは,学習

実 習 責 任 教 員 江 川 実 習 指 導 教 員 木 下 専 任 教 員 藤 原

弘 一 彦

克 光 伸

対象である知識・技能を精徽化していったり,

習得した知識や技能を使って自身の生活につい て考えたりする活動があった。その際,児童ら は,教師の説明や他の児童の考えを聞き,学習 内容について真剣に考えていた。何人かの児童 は,学んだ学習内容について,自主学習等でさ らに探求することもできていた。これらの授業 観察を通じて,児童の「より深くわかる」状態 を導くために,授業の在り方において習得や活 用の場面を工夫することが重要であると考えた。

II. 研究にあたって

本研究では,児童が多角的に知識・技能を習 得し,それらを活用できるようになることを,

学習の深化とする。

習得場面においては,児童自身が他の児童と の関わりの中から,もともとあった自身の考え をより確かなものにしたり,考え方を変えたり できるような支援をすることが重要であると考 える。そうすることで多角的に知識・技能を習 得することができると考える。

また活用場面においては,習得した知識・技 能を日常生活の具体的な問題解決に活用したり,

それらが活用されている日常生活の様々な場面 を見出したりできるようにすることが重要であ ると考える。

以上のようなことに注意して学習を組織する ことによって,知識・技能の多角的な習得と,

(2)

それらを有効に活用するための力をはぐくむこ ④.活用力を問う課題の達成状況を把握するこ とができると考える。 とで,多角的な知識・技能の習得が確実なも のとなっているのか,活用する力をつけられ

m .

実践研究の目的と方法 ているかを検証する。

(1)研究の目的

本研究の目的は,初等教育段階の「習得・活

N.

授業実践の分析と考察 用型授業」における学習を深化させる具体的方

策を探って実践にいかし,その結果,児童の学 習の深化にどのような効果があったのかを検証 することである。加えて,自身の授業の課題も 明らかにし,改善策についても考察する。

(2)研究の方法

<授業での手立て>

①:習得段階での発聞や学習課題を児童の既習 内容や生活経験と関わるようにすることで,

児童が学習課題に対して意欲的に取り組むこ とができるようにする。

②・児童 1人ひとりの考えを明確にするために,

児童が考える観点を示す。

③・②で示した観点に基づいて,クラス全体で 考えを交流する場を設定する。

④  単元や授業の終末で適切な活用課題を設定 し,多角的な知識・技能の習得が確実なもの なっているか児童自身が確認し,活用する力 もつけていけるようにする。

<分析の方法>

①.ワークシートに書かれた内容や授業中の児 童の発言から,全員が考えをもつことができ

たかを検証する。

②  考える観点が適切かどうかを,机閑指導時 の児童の様子,児童の授業中の発表,ワーク シートに書かれている内容から分析する。

③:考えを交流する場から,多角的な知識・技 能の習得が生まれているかをプロトコノレから 検証する。

ア 授業実践1 国語科「詩の楽しみ方 を考えよう J (2013.

1 .

22) 

[他の児童の考えを聞いて,自身の 考えを深めていく

l

イ 授業実践2:算数科「ひきざん(2) J  (2013.11.12) 

[複数の計算の仕方を比較して減 加法のよさに気付く]

授業実践3 道徳「生きている喜びJ (2013.12.11) 

[元気で生きているありがたさを 実感する]

筆者が行ったこれらの授業実践を分析・考察 し,成果と課題を明らかにする。それぞれの実 践で行った具体的な手立てを以下に記す。

<授業での手立て①について>

{ア]詩の解釈について考える時に,前時まで に学習した内容や自身の経験をふまえて考え ることができるような課題を設定した。

[イ]計算の方法を考える時に既習の考え方を 生かせるような言葉かけをした。

[ ウ 1

日常生活の中では意識することのないこ とを,学習を通じて意識づけすることで,その ありがたさに気づけるようにした。

<授業での手立て②,③>について

[ア】詩の解釈を考える観点をワークシート詳 細に設定し(②),その観点に基づいて児童同 士の考えを交流する場を設定した(③)。

[イ

1

計算の仕方をブロックで操作する。さら

(3)

に言葉で説明するなどしながら(②),そこで 考えた全ての計算の方法を児童全員に模倣さ せ,違いを実感させた(③)。

[ウ]教材を読みながら,その内容と自身の経 験を関わらせるような言葉かけをし,児童が 考えやすいようにした(②)。そこで考えたこ とを交流させることで(③),自分は気付かな かった角度から何気ない日常の行動について 考えていけるようにした。

く授業での手立て④>について

[ア

1

単元の最初と終末で同じ詩の解釈を行い,

児童が,それまでに自身が学習した詩の解釈 の仕方を生かすことができている自身の成長 を実感できるようにする。

[イ]授業の終末で,その時間で身に付けた考 え方を利用して解く練習問題を行い,知識・

技能の活用力を確認できるようにした。

[ウ]生活をする中で普段は気にとめないこと についての児童の捉え方が,授業前と授業後 でどのように変容したか児童が振り返るため に,授業の前後でインタビューを行った。

v .

成果と課題についての考察 (1)成果と課題

<授業での手立て①>に関する成果と課題 [ア]既習内容や自身の経験を生かして,ほと

んどの児童が意欲的に解釈を進めていくこと ができた。

[イ]教師の言葉かけにより,計算の仕方を考 える際に,学習が苦手な児童も既習の内容を 積極的に生かすことができていた。

[ウ]生活の中で当たり前の「食べる」という ことから教材の本質的内容に追っていったの で,多くの児童は,当たり前だがありがたい ことについて関心をもつことができていた。

<授業での手立て②>に関する成果と課題 [ア

1

何人かの児童は,自身の経験をふまえて,

選んだ詩について解釈を加えることができて いた。しかし,ヲークシートの観点に沿って 記入していた児童の中にも,既習内容を生か すことができていない児童もいた。

[イ]児童が計算の仕方を考える時間のデザイ ンは再考する必要があったが,全員の児童が 何かしらの考えで式を解くことはできた。

[ウ]主人公の気持ちゃ日常の何気ない行動に ついて考える際に,本日寺で学習したことを生 かして自分なりの考えをもつことができた。

<授業での手立て③>に関する成果と課題 [ア

1

4害IJの児童は,他の児童の解釈が自分に

はない考えで面白いと感じていた。しかし,

具体的にどの考えが自分にはないのかは明ら かにできなかった。

[イ

1

学習の苦手な児童が,計算の方法を比較 しながら,減加法の良さに気付てことができ ていた。しかし,減加法の考え方をまとめる ときに,減力日法の計算方法を全員に模倣させ る時間を確保できなかったので,減加法の良 さに気付き切れていない児童もいた。

[ウ]他の児童の考えを聞き,感嘆の声をもら している児童がいたのにもかかわらず,その 児童に,どの言葉からその声をもらしたのか 問わなかったので,その考えを深めていくと いうことはできなかった。

<授業での手立て④>に関する成果とl課題 [ア]ワークシートには,最初と最後の詩の解

釈に変化が表れているものもあった。しかし,

本時までに学習した比喰や反復などの効果へ の気付きが表れていない児童もいた。

[イ]本時で考えた有効な計算の方法を生かし て,終末の練習問題に取り組めている児童が

(4)

多くいた。しかし,本時に学習した内容を生 かし切れていない考え方のまま授業を終えた 児童もいた。

[ウ]インタピ、ューをした児童の中には,普段 は何気なくしているようなことも,実はあり がたいことだと言葉にできている児童もいた。

(2)課題改善のポイント

授業を実践したことで得られた成果と課題か ら明らかになった「児童の学習を深化させる授 業実践」のポイントは以下の通りであるo

<授業での手立て①>について

児童の実態を正確に捉え,児童の生活経験と 教材の本質的内容がリンクするような教材を選 択したり,工夫したりする。これにより,児童 が意欲的に自らの知識や経験を基盤として学習 を進める素地を養うことができると考える。

く授業での手立て②>について

③において児童が授業の中で相互に意見を交 流させるために,②では考える観点、を示すなど して,児童にとってそれぞれの考えを比較しや すい状態をつくる。その際,考える観点は,児 童の習熟度に配慮したものをいくつか設定する。

<授業での手立て③>について

習得をより多角的なものにしていくためには,

児童の発表について教師が問い返しをし,さら に考えさせたり,児童同士で質問させ合ったり する時間を設けることが必要であると考える。

そうすることで,自分の考えを精激化できた り,他の児童の考えのよさに気づいたりできる と考える。また,全ての児童が,出されたそれ ぞれの考えを比較できるように,学習の習熟度 に応じた支援を講じることができるように注意 して指導していきたい。

<授業での手立て④>について

質問紙の項目や,授業の終末での活用課題を

デザインする際には,前時までの学習や本時の 学習を生かしながら取り組めるようなものに設 定する。それにより,児童は,学習前の自身の 状態から,授業を通してどのように変容したか ということを確認することができると考える。

また,ここまでの手立てが確実に打てれば,児 童の学習意欲がその後の学習にも継続していき,

探求する力にもつながると考えられる。

羽ー研究のまとめ

児童の学習を深化させるためには,学習の本 質的内容を児童にどのように学習させていくか ということを,児童の実態をふまえて考えなけ ればならない。筆者自身,本研究を行いながら,

授業実践を重ねることで,子どもの学習を深め るために,授業細案やワークシートを作成する 際,児童 1人ひとりの実態をふまえながら作成 するようになった。児童 1人ひとりの実態に合 った支援を考えることで,学習への理解度が 様々な30入学級において,全ての児童に学習 の深化を生むことができた。

しかしながら,本研究においての授業実践の 対象となったのは,経験豊かなメンターの指導 を受けた児童である。児童らはメシターの実践 によって,確実な知識・技能の習得ができる土 台を形成することができていた。

今後の課題としては,自身が 1年間を通して 学級担任となった時に,メンターが作り上げて きた土台と同じものが形成できるかということ が挙げられるだろう。そしてその中で,クラス 全体で考え方を深化させていく活動を取り入る ことや,児童が自ら継続して学習内容を「探求」

していこうとする態度を育てていきたい。

児童の学習が深化する授業を行うことができ るよう,今後も研究と修養に励んでいく。

参照

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C :はい。榎本先生、てるちゃんって実践神学を教えていたんだけど、授