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雑誌名 東北学院大学経済学論集

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(1)

最適人口成長率とCES生産関数

著者 高橋 秀悦

雑誌名 東北学院大学経済学論集

号 167

ページ 81‑100

発行年 2008‑03‑10

URL http://id.nii.ac.jp/1204/00024054/

(2)

最適人口成長率とCES生産関数

高  橋  秀  悦

1 .   はじめに

重複世代モデル(overlapping generation mode1)は,1958年のSamuelson[6]に始まる。

この論文は,  世代間の消費貸借を取り上げ,  貨幣がも

経済学的意味を明確にした論文であった が,  このモデルに新古典派の生産関数を導入したのが, 1965年のDiamond[3]であった。

1975年に.in

tern

ationalEconomic

R

ie

ω誌に掲載されたSamuelson[7]は, 今ではすっかり 周知のものとなったSamuelson

-

Diamond型の重複世代モデルによって, 社会的厚生を最大にす る人口成長率 (=最適人口成長率)  が 存 在 す る こ と ,  および市場均衡において新古典派的なゴ

ル デ ン ・ルル・パス(利子率=人口成長率)が達成されるときにはこの人口成長率が最適人口

成 長 率 と な る こ と を 明 ら か に し よ う と し た 論 文 で あ っ た 。  Samuelsonは, 直感によ,1)て, 最適 人口成長率が存在することとその経済学的な意味をとらえようとしたのである。 しかしながら, 効用関数と生産関数がともにCobb

-

Douglas型である場合には, Samuelsonがいう 「最適」人口 成長率が存在しないこと, それどころか市場均衡においてゴルデン・ル パスをもたらす 人口成長率は「最悪」人

成 長 率 で あ る こ と が , D e a r d o r f f [ 2 ] に よ っ て 示 さ れ た の で あ る 。 さらに,Deardorff[2]では,効用関数に関する一般的な仮定と生産関数に関する非有界の仮定 (すなわち, k→

°°

の と き

f

(1lt) →

° °

)の下でも,この結論は変わらないことが示されたのである。

D e a r d o r f f [ 2 ] は , 生 産 関 数 が 有 界 と な る ケ ー ス,例えば生産要素の代替の弾力性(o)が 1よりも小さいCES生産関数ならばSamuelsonのいう最適人口成長率が存在する可能性を示唆 し て い る 。 こ れ に 対 し て , S a m u e l s o n [ 9 ] は , D e a r d o r f f [ 2 ] の 批 判 に 同 意 し こ れ を 評 価 し た。すなわち,  0 < , o

,

< l の C E S 生 産 関 数 の 場 合 に は , あ る 有 限 な1iにおいてはσが急速にゼ ロ に 低 下 す る こ と を 想 定 し た ほ う が 現 実 的 で あ る と し た 上 でl )

,

f = 0 のケースを取り上げ, 最適人口成長率が存在する可能性を排除したのである。

その後,重複世代モデル(overlapping generation model)をペスにした研究は,  2つの著 書の副題,すなわち,1991年のMcCandless Jr.[4]の副題 AnOverlapping Generation  Ap

-

proach や2002年のCroix  and  Michel[1]の副題 Dynamics and  Policy  inOverlapping Generation  が 示 す よ う に ,  経済成長理論分野の重要な一角を構成するまでになったが,  最適人 口成長率に関する研究としては, l993年のMiche1  and  P e s t i e a u [ 5 ] が 唯

のものである。

) o=0 は ,  資本と労働とが互いに補完的な生産要索して一定比率で用いられなければならないことを意味 している。

-

8 l

-

(3)

東北学院大学経済学論集  第l67号

彼らの論文は, CIES効用関数2 )  と CES生産関数を取り上げて, 「異時点間の消費の代替の弾力 性」と「生産要素の代替の弾力性」がともに小さいときに,Samuelsonの「最適」人口成長率 が存在することを示したものであった。

この論文では, Micheland Pestie a u [ 5 ] の よ う に ,  効用関数をCIES効用関数に特定化する ことはしないで, Samuelson

-

Deardorffの論争に戻つて,  よ り

般的なCobb

-

Douglas型効用関 数を用いて議論を展開していく

すなわち,  こ の 論 文 の 日 的 は , 第 1 に , T a k a h a s h i [ 1 0 ] の 観 点からSamuelson

-

Deardorffの最適人口成長率をめく'る 論 争 を 整 理 し 直 す こ と ,  第 2 に , Samuelsonの「σ→0」を想定しない場合には,Deardorffが述べているように,  0 <lf < 1 の CES生産関数において最適人口成長率が存在する可能性があるが,  この場合には生産関数や効 用関数のパラメータの値が経済の現実を反映した値ではないことを示すこと, 第 3 に ,  このモデ ルにおいて人

成長率と ( 労 働 者 1 人 当 た り ) 資 本 ス ト ッ ク の 過 不 足 と の 関 係 を 明 ら か に す る こ と , 第 4 に , D e a r d o r f f [ 2 ] は 人 口 成 長 率 が 負 と な る 可 能 性 を 検 討 す る た め に , 減 価 做 却 率 (

,

l l )  を考慮したが,  これを考慮に入れても重複世代モデルでは負の最適人

成 長 率 を と る こ と が で き な い こ と を 示 す こ と , の 4 つ で あ る 。

2.  モデル

2 . 1   s

amuelson

-

Diamond型の重複世代モデルと市場均衡

まず議論の出発点としてSamuelson

-

Diamond型の2世代で構成される重複モデルを構築し, このモデルの下での市場均衡を考えることから始めよう。

この種のモデルでは, 単純に若いときが労働の期間, 年老いてからが引退生活の期間と仮定さ れ,  また, 若いときに受け取つた所得が時蓄され老後の生活を支えるものと仮定されている。 さ らに子孫に遺産を残さないとものとすれば,  この代表的個人の予算制約は,

CltSt

= ω

t C2 tl= ( 1「 t十1)St と な る が ,   こ こ か ら 直 ち に

c1l

c

2l+1( 1 r

-

)

-

1 = ωl ( l )( 2 )( 3 )

が得られる。 こ こ で , cは消費, ωは賃金, rは利子率, sは貯蓄を表している。 また時間の流れ を明確にするために, すべての変数に時間変数として下付きの添え字 (tとt+1) を

けて現在 期 間 (t期 ) と 将 来 期 間 (

t

+ 1 期 ) を 区 別 し ,  さ ら に 消 費 に

いては消費

c

に上付きの添え字 ( 1 と 2 ) を

け て , 若 い と き ( 個 人 の 第 1 期 ) の 消 費 と 年 老 い て か ら の ( 個 人 の 第 2 期 の ) 消 費 を 区 別 し て い る 。 し た が っ て ,

t

期 に 生 ま れ た 人 の 若 い と き ( 第 1 期 ) の 消 費 が

c

l

,

と し て,

2 )  CIES効用関数は,  異時点間の消費の代替の弾力性が

定 (constant inter

-

temporalelasticityof substitution) である効用関数を意味している。

-

82

-

(4)

最適人

成長率と

c

E

s

生産関数

またこの人は

t

+1期には引退生活をおく る こ と に な る が ,  この期間の消費が

c

2

,

+1 として示され る こ と に な る 。

代表的個人は,この予算制約式に従つて効用関数Uを極大にする。一般には

U

は「厳密な準 凹関数」 と 仮 定 さ れ る こ と が 多 い が ,  ここでは後の議論を簡潔にするために, 最初から1og

-

1inearの効用関数を仮定することにする。

U =βlog

c

lt(1一β)10

g

c2t+1  (ただし,  0 < β < 1 )   ( 4 ) この代表的個人が,  (3)式の予算制約に従つて効用を極大にすれば, 最適解として

Clt

=βω

t

C2tl(1「 j.十

)

-

l =S l=(1一β)lllt

が得られる。

貯蓄s

,

は,

t

+1期の資本ストックKt+1として利用される。 したがって,均衡においては

slLl=K

-

( 5 )( 6 )( 7 )

が成立する。ただし,

L ,

t

期に生まれた人の数である。いま人口が各期gの割合で成長してい る 仮 定 す れ ば , ( 7 ) 式 は

ht+ l

=

St(1g)

-

l =(1一β)(1g)

-

1110t ( 8 ) と し て 書 き 直 す こ と が で き る 。  ただし,k

,

+ l1l+1期の労働者1人あたりの資本ストックであ る

。 

ここで労働者1人あたりの生産関数を

f

(h

,

)で表し,  また貨金が利潤極大条件から決定され る も の と す れ ば , ( 8 ) 式 は

kt+ l

(1一β)(l9)

-

l[

f

( kt)

-

kt

f

( J;tt)

( 9 )

がなる。 これが資本蓄積の経路を示す動学方程式である。 ( 9 )  式は, 長期均衡解々の近傍では 1 >

-

(1一β)(1+g)一

k

f

(k) (10) が 満 た さ れ る と き ,  長期均衡解kに収束する。 2.3節以下では,  (10)  式が満たされているもの

と し て , 長 期 均 衡 解 h , す な わ ち ,

k=(1一β)(1+g)

-

1[

f

( k)

-

k

f

'(、k) ] を 取 り 扱 う 。

:f:

(11)

(5)

東北学院大学経済学論集  第l67号

2 . 2   ゴ

ルデン・ル

パス

t期には,  この期に生まれた若い人とt

-

l期に生まれた年老いた人とが重複して生存し消費活 動を行つている。 したがって,

t

期に生存している人の社会的厚生は,  効 用 関 数 ( 4 )   を前提と すれば,

U =βlogclt (1一β)10

gc

2t (ただし,  0β < 1 )   (12) と し て 表 現 さ れ る こ と に な る 。

t

期の経済全体の財の需要と供給を考えると,  この2つの世代の消費需要とt+1期の生産のた め に 必 要 と さ れ る 資 本 ス ト ッ クK

との和が需要され,  この期に新たに生産された財Y

,

と こ の

期 に 用 い ら れ た 資 本 ス ト ッ ク が 供 給 さ れ る こ と に な る 。  したがって財の需給均衡は,,

CllLt 十C2tLt

-

1 十 K

-

=Yt

K

t

と し て , す な わ ち

Clt (1g)

-

1C2t=

f :

kt) kt

-

(1g l kt+1 (13)

と し て 示 さ れ る こ と に な る 。

こ の よ う に し て

t

期の社会的厚生の極大化は,  (13) 式の制約の下で (12) 式を極大化するこ として定式化されるが,  こ こ で ,  この経済が定常状態kに到達している状態を想定すれば,

cl 十 (1

g

)

-

lc2 =

f

(k)

-

gk の下で

U

=β1ogcl +(1一β)1ogc (ただし,  0 < β < 1 ) を極大にする間題に転換されるが,  ここから直ちに最適解として

c

l= β [

f

(k)

- g k

]

c2= ( 1

g

)(1一β)[

f

(k)

-

gk]

(14)

(15)

(16) ( l 7 ) が得られる。

さ ら に , 通 常 の よ う に 「人口成長率gが

定であること」を仮定すれば,  い く

か存在する定 常状態の中では,

f

'( k) =g (18)

を満たす定常状態kが 社 会 的 厚 生 を も っ と も 大 き く す る こ と が 分 か る 。これが「ゴルデン ・ 

パス」であり,重複世代モデルでも,Solowに始まる新古典派の成長モデルの結論と同じ結 論になる。

84

(6)

最適人口成長率と

c

E

s

生産関数

2 . 3  

定常状態:市場均衡パスとゴルデン

パス

2 . 1 節 で 述 べ た よ う に レ ッ セ フェルの下では,t期の代表的個人の予算制約式は(3) 式である

他方,t期の財の需給均衡式は,  ( l 3 ) 式 で あ る 。 こ こ で 重 要 な こ と は , T a k a h a s h i

[ l 0 ]  で も 指 摘 し た よ う に ,  この2式が同時に満たされなければならないことである。

( 3 ) 式 にu

,, = f

(

, t

l

,

)

-

k

, f

'(Jt

,

) と

r -

=

f

'(fi

1

) を 代 入 し た 後 , ( 3 ) 式 の 両 辺 か ら ( 1 3 ) 式 の両辺を引き整理すると,

1j(1kt+

、 f

一(1' (,lit) ) ( l

gl

)

-

1

g

(1)

-

l

f i

l'k(tk

- -

(1) )

- g

l)

c -

2

-

(1]

- f

'( kt) )

-

l

c

2t] = 0

が得られる。

いま経済が定常状態であるとすれば, 略 す る こ と が で き る 。 す な わ ち ,

(l9)

( 1 9 ) 式 の 時 間 変 数 の 下 付 き の 添 え 字 ( t と f + l )  を省

(g

-

.

f

(1i) ) ( 1 +

g

)

-

l[k

-

(1

g

)

-

l( 1 +

f

' (1ll) )

-

lc2] = 0   (20)

である

明らかに,  (20)式は, この経済が定常状態にあるとすれば,  (18)式が成立するゴル デン

-

パスか,市場均衡の長期解h( k= ( 1 +

gl

)

-

1( 1 +

f

' (k) )

-

1c2) か , あ る い は 両 者 が同時に成立するか, のいずれかであることを意味している。 この結論は, 効用関数を特定化せ ず と も 導 出 す る こ と が で き る が ,   効用関数を ( 1 +

r

t.

,

, 1)

-

! = ( 1 一 β )ultが 得 ら れ る こ と か ら ,  ( 4 ) 式 の よ う に 仮 定 す れ ば ,  (20)式の中のk =(1+

g

)

-

l ( 1 +( 6 ) 式 か ら c

f

'( k) )

-

lc2が市2

-

場均衡の長期解kを示す (11)  式と同

の式ものであることがよりいっそう明確になる

しかし, 当 然 の こ と な が ら,前節のレッ セフェルの市場均衡の下での長期均衡解

k

((11) 式 の 解 ) が 同 時 に ( 1 8 ) 式 を 満 た す こ と は 偶 然 に し か 起 こ り え な い。 こ う し た こ と か ら , Samuelson[8]やTakahashi[10

は,市場経済に賦課方式の年金制度を導入することによっ て , 「 ゴルデンルールパス」が達成されることを示したのであった。すなわち,Samuelson [ 8 ] は , 1 u m p

-

sum型の年金掛金・給付金の導入を提案し,またTakahashi[10]は,政府が 人口成長率と利子率を参照しながら,  毎期,  年金の掛金・給付金を調節する逐次的な方式を提示

したのであった。

3 .   「最適」人 ロ

成長率と

「 最悪」

人口成長率

3 . 1  

間接社会的厚生関数と「最適」人口成長率

Samuelson[8]のように市場経済に賦課方式の年金制度を導入することによって, 「ゴル デン バ ス 」 が 達 成 さ れ る こ と か ら , S a m u e l s o n [ 7 ] で は , ( 1 8 ) 式 の 成 立 を 前 提 と して,gに関する間接社会的厚生関数を導出している。 S a m u e l s o n [ 7 ]  と は 異 な り ,  この論文 の場合は, 社会的厚生関数が1og

-

linearであることが仮定されていることから,  間接社会的厚生 関 数 を 明 示 的 に 求 め る こ と が で き る 。 す な わ ち , ( 1 5 ) 式 に ( 1 6 ) ( 1 7 ) 式 を 代 入 す れ ば ,

85

-

(7)

東北学院大学経済学論集  第l67号

U =1og

?

(k)

- g k

](1一β)1og(1g)A

と な る 。 た だ し , A = β l o g β + ( 1 一 β ) l o g ( 1 一 β ) で あ る 。

最適人口成長率g*を求めるために, 間接社会的厚生関数 (21) を

g

で微分すれば

d U f

dg=

-

k[

f

( k)

-

g k]

-

1 +(1一β)(1+g)

-

l

が得られる。

それゆえ,最適人口成長率g*は,

d U

1/dg=0の解(すなわち,極大化の必要条件) k= ( 1β)(1+

g

)

-

1[

f

(1ll)

-

k

f

' (1k:) ]

およびゴルデンル ・ パ ス

f

(1t) =g

を 連 立 し て 解 く こ と に よ っ て 求 め る こ と が で き る で あ ろ う 。

(21)

直ちに (22)

(23)

(18)

(23) 式は,  (11) 式,  すなわち,  2 . 1 節 の レッ セ ・フェルの市場均衡の下での長期均衡解 kである。 こ の こ と か ら ,  経済がある人口成長率gの下でレッ セ フェルの市場均衡によって, 偶然にも「ゴールデンパス」に到達可能であれば,その人口成長率

g

こそが最適人口 成長率

g

* で あ る と い う こ と が で き る で あ ろ う 。 あ る い は , 同 じ こ と だ が , 人 口 成 長 率

g

が最適 人口成長率

g

*のときには, レッセ フェルの市場均衡によって「ゴルデン パス」

を 達 成 す る こ と が 可 能 で あ る と い う こ と が で き る で あ ろ う  ( S a m u e l s o n [ 7 ] は こ れ を S e r e n

-

dipity Theoremと呼んだ)。

しかしながら,

Intern

ati

o ,

tal E cmomic

Re

t

,

ieω誌にSamuelson[7]が掲職されてから, ま も な く し て ,  こ れ に 対 す る D e a r d o r f f [ 1 ] の コ メ ン ト が 同 誌 に 掲 載 さ れ た

それは,  この論文の 冒頭で述べたように, 効用関数と生産関数がともにCobb

-

Douglas型である場合には, Samuel

-

sonがいう 「最適」人口成長率が存在しないこと,  それどころか市場均衡においてゴルデン

パスをもたらす人口成長率は「最悪」人口成長率であるという内容のコメントであった。

S a m u e l s o n [ 7 ] は ,

g

*の極大化の十分条件に言及しながら,事実上,  こ れ を 検 討 す る こ と な く, 必要条件からのみg*を導出したのであった。

3 . 2  

CES生産関数

こ の 節 で は , D e a r d o r f f の コ メ ン ト に お い て , 代 替 の 弾 力 性 ( σ ) が 1 よ り も 小 さ い C E S 生

産 関 数 な ら ば ,  Samuelsonのいう最適人口成長率が存在する可能性が示唆されていることもあ

り ,  生産関数

f

(Jt)をCES関数に特定化して,  CES関数の場合に最適人口成長率が存在するか否 かを検討する。

さ て ,  

般にCES生産関数は,

f

(k) = [ak

-

Pl一α]

-

l/P

86

-

(24)

(8)

最適人

成長率と

c

E

s

生産関数

として示すことができる。 ただし, αは分配率のパラメータ  ( 0 < α < 1 )  で あ り ,  

ρ

は代替パ ラ メタ (

-

1 <

ρ

: (;=1/(1+ρ) ) で あ る 。

準備として,  まず,  労働の限界生産力を計算すると,

f

(1ll)

-

k

f

'(Jt) = ( l 一 α ) [ αk

-

P+1一α]一

/P

-

1 (25)

となる。 次に  (18) 式で示されるゴルデンルールパスをもたらす人口成長率gと定常状態 kと の 関 係 を 調 べ る と , ( 2 4 ) 式 の 徴 分 と ( 1 8 ) 式 よ り

a[α

k -

P 十1一α]

-

l/ P

-

1 1ll

-

P

-

l=g

と な る こ と か ら

kp= ( 1

̲

α)

-

l[(α/9)p/(1p)

̲

α]

(26)

(27) が得られる。 最後に,  経済がゴルデンルールパスにあるときのCES生産関数の労働の限 界 生 産 力 は , ( 2 5 ) ( 2 6 ) 式 か ら ,

f

(k)

-

k

f

'(k) = ( 1

-

a) (g/a、)kP+ l

と な る

さ て , 経 済 が ゴルデン・ルパ ス に あ る と き , ( 2 2 ) 式 は

d

Uid

g =

k[

f

(k)

-

gk]

-

l {(1一β)(1+

g

)

-

ik

-

1[

f

(k)

-

k

f

' (k) ]

-

1 }

と 変 形 す る こ と が で き る 。 こ の 式 に ( 2 7 ) ( 2 8 ) 式 を 代 入 す れ ば

d U/dg=k[

f

(1ll)

- g k

]

-

l {(1一β)(1+g)

-

l (g/α)[(α/g)P/(1 +P)一α]

-

1}

= ( 1 一 β ) ( l +

g

:)

-

1ill[

f

( k)

- g

h]

-

l

t

h(

g ) -

m(

g )

}

が得られる。ただし,,

h

(g) = (

gf

α)l / ( l + p )

m(

g

) = [ l(1一β)

-

1]

g

(l一β)

-

1

(28)

(29)

(30)

(3l) (32) で あ るo

生産関数がk→ o oの と き

f

(k) → o o と な る 場 合 に は ,  

最適」人口成長率が存在しないことが すでにDeardorff[1]によって示されている。 CES生産関数では,代替の弾力性oが l よ り も 大 き い 場 合 (

-

1 <

ρ

< 0 の 場 合 ) に ,  ( 2 4 ) 式 よ り 確 認 で き る よ う にk→

°°

の と き

f

(

,

ll) → o

°

となる。それゆえ,この場合に「最適」人口成長率が存在しないことは明らかであるけれども, これをわれわれの方法で示してみよう。

第 1 図 の よ う に , m ( g ) は , 切 片 ( l

-

19)

-

l, 傾 き [ 1 + ( 1 一 β )

-

l] の 直 線 で あ る 。 他 方 ,

-

87

-

(9)

東北学院大学経済学論集  第167号

h(g) は ,  原点を通る「1/(1+p) 次 曲 線 」 で あ る が,

,

1> 1 (

-

1 <p0 ) の 場 合 に は , gが大 き く な る に

れ て 傾 き も 次 第 に 大 き く な る た め (h' (

g

) > 0 , h" (g) > 0 の た め ) ,  どこかでh(g) が m(

g

) を 超 え る。( 3 0 ) 式 から h(

g

) >m(

g

) の と き , d U/

d g

> 0,h(g) <m(g) の と き , d U/d

g

< 0 と な る。言 い 換 え る と ,  

σ

> 1 (

-

1 <1o0 ) の 場 合 に は, h(

g

) =m(g) と な る よ う な

成長率g*が必ず存在するが, 0 < g <g* でd U/dg< 0, またg* <gでd U

f

dg> 0 と な る 。 そ れ ゆ え ,   こ の g*は , 「 最 適 」 人 口 成 長 率 で は な く , 社 会 的 厚 生 を も っ と も 低 く す る 「 最 悪 」 人 口 成長率である。 なお,  ,f= 2 (1o

- -

0,5 ) の と き , grJl' = {1l1

+

= [ 1(1

-

1l j )- t ] α2 ) に な る 。

b2十4a 1

- 1

i

-

1} / 2 ( た だ し , 1b 現 実 に 要 当 し そ う な 値 と し て α = 0 . 3 , 111 = 0 . 5   ( 第 1 図 の パ ラ メタ )   を 考 え る と ,

g

*=0.5802となる。

h ( g ) 1 4 6 8 9

0

7 5 3 2

m

( g )

0  0.2  0

,

4  0.6  0.8

第 1 図   ,o

,

>1のケ

i a

9

周知のように, ( i= 1 (1o = 0 )  の場合, CES生産関数はCobb

-

Douglas生産関数に帰着する。

Cobb

-

Douglas生産関数に っいては,  Deardorffの反証から,  (21〕 式に極値が存在するとすれば そのときの人口成長率は 

最惡」人

成 長 率 で あ る こ と が 明 ら か に な っ て い る 。  われわれの方法 では, m(

g

) は , 第 l 図 と ま っ た く 同 じ 直 線 で あ る が , h(

g

) は , 第 2 図 の よ う に , 原 点 を 通 る

「傾きI/or」 の 直 線 に な る 。 し た が っ て ,  1/α>[1+(1

-

13) l ] , す な わ ち ( 1α)(1

-

,l3) > α な

らば, h(

g

) = m (g)  と な る

g

* は , g* = α [ ( 1

-

a) ( 1

-

18)一α]

-

lと し て 求 め る こ と が で き る が , この

g

*は, a > l (

-

l < p< 0 ) の 場 合 と 同 様 の 理 由 に よ っ て ,  「最惡」人口成長率になる。

( l 一 α ) ( 1

-

1

l

l) < α な ら ば ,

g

> 0 に お い てh(g) =m(

g

) が 成 立 せ ず ,   第 3 図 の よ う に ,

-

8 8 -

(10)

h( g ),

m

( g ) 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 7 6 5 4 3 2 1 0

最適人口成長率と

c

E

s

生産関数

. , /

/ /

/ /

/ / /

.

/ / /

,

0  0.5  1  1.5

第2図  σ = 1 の ケス ( そ の 1 )

h ( g ), m ( g )

0  0.5 

1 . 5  2

第 3 図  

,

f= 1 の ケス ( そ の 2 )

- 8 9

-

g

g

l

(11)

東北学院大学経済学論集  第167号

h(g) <m(g)  と な る

。 

したがって

ねにd U/dg0 と な る 。  この場合,  人口成長率「ゼロ」にお いて,  社会的厚生がもっとも高くなっている。

Deardorff[2]が最適人口成長率の存在可能性を排除していないのは, σ < 1 ( 0 <

ρ

) の CES生産関数である。m(g) は ,   こ れ ま で と ま っ た く 同 じ 直 線 で あ る 。1li(g) は , 原 点 を 通 る

「1/(1+ρ) 次 曲 線 」 で あ る が,

g

が 大 き く な る に つ れ て 傾 き も 次 第 に 小 さ く な っ て い く 曲 線 で あ る (:m' (g) > 0 , m" (g) < 0 ) 。 こ の た め に,第4図のように, h(g)

-

m(g)が成立せず,

h

(

g

)

< (g) ,   したがってdU/dg< 0 と な る か ,  あるいは, 第 5 図 の よ う に,h(g) =m(

g

)  と な る 実 根 解 を 2 つ も

か, のいずれかになる。第5図の場合には, 社会的厚生は,

g

の 増 加 と と も に ,

d U

/dg< 0 , d U/dg> 0d

Ui

l

:l

g<0と変化するので,人口成長率gと社会的厚生

U

の関係を図示す

れば,第6図のようになる。従つて,理論上は,Samuelsonのいう「最適」人口成長率が存在す る

な お , 第 5 図 と 第 6 図 は , パ ラ メタ を σ = 0 . 5 (

ρ

= 1 ) ,  α=0.05,  β = 0 . 4 と し た と き の グ ラ フ で あ る ( た だ し,第6図の

U

は , ( 2 1 ) 式 を 見 や す い よ う に 変 換 し て い る ) 。

そ こ で , 第 5 図 の よ う に , h(g) =m(g) が 2 実 根 解 を も

可能性を検討してみよう。(31) ( 3 2 ) 式 を み る と ,  αと

ρ

が 大 き く な る と , h(g) の 値 が 小 さ く な り , ま た ,   β が 大 き く な る と , m ( g ) の 傾 き と 切 片 が 大 き く な り , こ れ に と も な っ て m ( g ) の 値 も 大 き く な る こ と が 分 か る 。 それゆえ, α,  β, pが 大 き く な れ ば な る ほ ど , h(

g

)=m(g) が 実 根 解 を も

こ と が 困 難 に な る 。 さ ら に い う と , 実 根 解 を も つ た め に は ,   3つのパラメタ の う ち α が 極 端 に 小 さ く な る こ と が要求される。例えば, σ=0.5(

ρ

= 1 ) の と き は, βが0.4とすれば, h(g) = m(

g

) が 実 根 解 を も

ためには, αが0.05程度まで極端に小さくなる必要がある。 βが0.1ならば, αは0.lでも あ ( g ) = m ( g ) が 2 実 根 を もっ。しかしながら, α と β は , 理 論 上 ,   と も に 0 と 1 の 間 と 仮 定 さ れてはいるが, こ れ ら に

いて極端に小さな値を想定することは, 現実の経済では妥当性を欠く こ と に な ろ う 。

さ ら に , h(g) =m(

g

)が2実根解を持つ場合,社会的厚生が, gの 増 加 と と も に , d U/dg< 0 , d U/dg> 0d U/dg0 と 変 化 す る こ と か ら ,  第 6 図 の よ う に ,   2つの解の中で小さいほうが「最 悪」人

成 長 率 , 大 き い 解 が 「最適」人口成長率となる。どれくらいの時間スパンで人

成長率 を捉えるかが間題になるけれども,  このモデルは  ( 2 世 代 か ら な る )  重複世代モデルなので,  1 世代として30年程度を想定することは, かなり要当な線であろう。 しかしながら,  30年間という 時間スパンで見ても,  人口成長率を100

%

以上に想定すること  (30年間で人

が2倍以上になる

こ と ) は 現 実 か ら 逸 脱 し た も の と な る で あ ろ う 。 例 え ば , 第 6 図 ( バ ラ メタ と し て ,  σ = 0 . 5 (p =1), α=0.05,β=0.4)の場合,最適人口成長率が125

%

,最悪人口成長率が32%と な るが,  このようなことは現実の人口成長率をはるかに超える値であり, 非現実的である。 このモ デルが, 現実をそのままに反映したものではないことは承知しているけれども,  もし

g

lの制 約を加えてSamuelsonの最適人口成長率を議論するとすれば, σ1のCES生産関数を想定し た場合でも, 最適人口成長率を見出すことはかなり困難になるであろう。

10 -g 0 -

(12)

h(

g

), m(g) 5 4.5

4 3.5

3 2.5

2 1.5

l 0.5

0

76543210

最適人ロ成長率と

c

E

s

生産関数

/ /'

, , ,

,

r

̲

/

' '

/ //

,

/ /

'

''

/

' ̲

0.2 

̲ -

̲

0

.

0.6 

0.8

第 4 図 a

,

<1のケス ( そ の 1 ) h(g),m(g)

g

0  0.5  1  1.5  2

第5図  f <1のケス ( そ の 2 )

-

91

g

l

(13)

2 9 8 6 4 2 8 8 6 4 2 9 2 8

'

8 8 8 2 7

'

7

'

7 7

'

2 2 2 2 2 2 2 2 2

u

東北学院大学経済学論集  第167号

/  ^ 、

/ / / /

¥ 

̲ / /

l

0  0.5  1  1

,

5  2

第6図  人口成長率と社会的厚生

(tJ= 0.

5

, a=0.05

.

1li=0.4のケス)

4 . パ ラ ド

ク ス : 人 口 成 長 率 と 資 本 ス ト ッ クの

関係

g

これまで人

成長率gと ゴルデン ・ ル ・ パス上の社会的厚生

U

との関係を検討してき たが,  この両者の関係の背後には,  ゴルデン パ ス 上 の 資 本 ス ト ッ ク と 比 較 し た と き

市場均衡の資本ストックの過不足が関係している

成長率gと ゴルデン , パス上の社会的厚生

U

の関係は,  (22)式に端的に示さ れるが,  この式を少し変形すると,,

d U/alg= [

f

lJ3)

-

g il]

-

l { ( l

-

11l ) ( 1 +

g

)

-

1[

f

( k)

-

h

f

'(

, t

l) ]

-

k}  (33)

が 得 ら れ る 。 こ こ で 後 の 識 論 の た め に , ゴルデン パス上の資本ストックを区別する ために,  このkをkg と 書 き 表 す と ,,

d

Uf

dg= [

f

(kg)

- g

ltg]

-

i

( l

-

1l1 ) ( I +g)

-

l[

f

(kg)

- kg f

'(jtg) ]

-

kg]

(34) と な る 。  さ ら にdUldg= 0 と な る

g

の近傍において2階の条件を求めると

d2

u

dg2

-

[

f

kg)

-

g kg]

-

1 {

-

(1

- 11

l)(1+g*)

-

lAg

f

(kg) dkg/

dg

-

(1

-

13) ( 1 +g* )

-

2[

f

(1llg)

-

kg

f

' (kg) ]

-

dkg/dg (35)

と な る 。

他 方 , 人

成長率

g

と定常状態kと の 関 係 は , 市 場 均 衡 で は ( 1 1 ) 式 に よ っ て 示 さ れ る の で , こ の 資 本 ス ト ッ ク をkと お き , gで微分すれば,

「li

-

92

(14)

最適人

成長率と

c

E

s

生産関数

dk/dg=

-

(1

- ,

;) ( 1 +

l g

)

-

lk

f

"(

i i l) d

k/dg

-

(1一β)(1+

g

)

-

2[

f

(

i

t)

- 1i

t

f

' (

i i

l)]  (36)

となる。 これをk=kgをもたらす人口成長率であるg*の近傍で評価すれば

d k/dg=

-

(1一β)(1+g* )

-

1

,

llg

f

"(k

g

)d k/dg

-

(1一β)(1+g* )

-

2[

f

(

, t

1lg)

-

hg

f

'(kg) ]

(37) すなわち,,,

d k/dg

= -

(1一β)(1+g* )

-

2[

f

(kg)

-

kg

f

' (kg)][1(1

- l

1l ) ( 1 +g* )

-

I 1

t

g

f

'' (1lg) ]

-

1

=

-

[1(1一β)(1g* )

-

1kg

f

''(Jtg) ]

-

1(1

g

* )

-

lhg (38) が得られる。

先 に 導 出 さ れ た ( 3 5 ) 式 は , ( 3 7 ) 式 を 考 慮 す る と ,,

d2U

f

dg2 = [

f

(hg)

-

gkg]

-

1[1+(l一β)(1+g* )

-

1 1l:g

f

''(kg) ] [dk/dg

-

dkg/dgl ] (39) と 変 形 す る こ と が で き る 。 1 + ( 1 一 β ) ( 1 + g* )

-

11lg

f

''(1llg) は ( 1 0 ) 式 に よ っ て 「 正 」 で あ る こ と か ら ,  (39)式は, k

=

hgをもたらす人口長率であるg*が存在するとすれば,  この

g

*において d k/dg>d kg/dgな ら ば,社会的厚生

U

が極小であること(d2

Uf

d

g

2 > 0 ) ,  またdk/dg<d kg/dgな

らば,社会的厚生

U

が 極 大 で あ る こ と (d2

U fd

g20)を意味している。

(11)(18)式をgで徴分すれば,,

dk/dg=

-

[1+(1一β)(1+

g

)

-

l

i l f l

"(k) ]

-

l(1+g )

-

1k< 0   (40)

d kg/dg=1/

f

"(Jtg) 0 ( 4 l )

と な る か ら ,

l i

lと kg

g

の增加ともに減少する。 従て, k曲線と kg曲線はともに右下がりの 曲線になる。

Cobb

-

Douglas生産関数の場合, 社会的厚生

U

が極小となるから,

i l

l=kgをもたらす人口成長 率であるg*においては, d

1 l

l/dg>d kg/dg, す な わ ち , k曲線の傾きがkg曲 線 の 傾 き よ り も 緩 く な る こ と か ら ,   2つの曲線の関係は,第7図のようになる。す な わ ち , 0 <

g

<

g

* で は , ゴルデ ン パス上の資本ストックと比較して市場均衡の資本スト ッ ク が 不 足 し て い る (khg)。

こ の と き , 人 口 成 長 率

g

が 減 少 す る と , 労 働 者 l 人 あ た り の 資 本 ス ト ッ ク は 、k と kgが と も に 増 加し、労働者(消費者)が受け取る所得も増加するために、社会的厚生の水準も大きくなる。し か し な が ら kより h gのほうが增加の程度大きいために,ますます資本不足になる。つまり資 本不足経済での人

成長率の滅少は,  資本不足を解消するように作用するものと期待されるが, この場合には, 逆によりいっそうの資本不足をもたらすのである。 また,

g

* <

g

では,資本スト ッ ク が 過 剰 に な っ て い る (k>kg) こ の と き , 人

成長率gが 增 加 す る と , kとkzが と も に 減

-

93

-

l 3

(15)

東北学院大学経済学論集  第l67号

少し, 労働者 (消費者)  が受け取る所得も滅少するが,

g

が大きいので第2期の消費に及ばす効 果 も 大 き く な る こ と か ら , 社 会 的 厚 生 は 増 加 す る 。 し か し な が らkよ りkgの ほ う が 大 き く 減 少 するために,  よ り い っ そ う 資 本 過 剰 に な る 。  つまり資本過剰経済での人

成長率の増加は,  資本 過 剰 を 解 消 す る よ う に 作 用 す る も の と 期 待 さ れ る が ,   よ り い っ そ う の 資 本 過 剰 を も た ら す の で あ る 。

前 節 で 示 し た よ う に ,   CES生産関数の中でも非常に特殊なケスには「最適」人

成長率が 存在する。 この場合,  こ れ ま で の 議 論 か ら 明 ら か な よ う に ,   島曲線とたg曲線の関係は, 第 8 図 の よ う に な る ( 第 8 図 は , 第 5 図 や 第 6 図 と 同 じ パ ラ メタ の 値 ( σ = 0 .5 ( l)= l ) ,  α = 0 . 0 5 ,

,l

i= 0 . 4 ) のとき の グ ラ フ で あ る ) 。

i l ,

=kgを も た ら す 2 つ の 人 口 成 長 率 のうち 大 き い ほうが ,,

最適」 人口成長率

g

* * で あ り ,  小さいほうのgが 

最悪」 人

成長率g#である。

g

#<

g

<

g

* * では,資 本 ス ト ッ ク が 過 剰 (k>kg) で あ る が , 人 口 成 長 率

g

が 増 加 す る と , kとkgは と も に 減 少 す る け れ ど も ,   し だ い に 資 本 過 剩 が 解 消 す る と と も に ,

g

増加の効果から社会的厚生Uも 増 加 す る 。 ま た , g

'

* <

g

では, 資 本 が 不 足 (k<kg) し て い る の で, 人

成長率gが減少すると,

kとkgは と も に 増 加 す る け れ ど も ,  資本不足は解消し, 所得の増加から社会的厚生Uも增加す る 。

l l

0.35 0.3 0.25 0

̲2

0.15 0

̲

1

0.05

0  0.5  1  1.5  2

第7図  人 口 成 長 率 と 資 本 ス ト ッ ク (Cobb

-

Douglas生産関数)

-

94

﹇ ︐ g

(16)

0.5

4 5 5 3 5 2

1 5 1 5

0

4 3 2 0 0

0

0

0

0 0 0 0 0

最通人口成長率と

c

E

s

生産関数

0.5  1  1.5 

2

第 8 図  

成 長 率 と 資 本 ス ト ッ ク

(a

- 0

.

5 .

a=0.05, 

,

li=

0

.4のケス)

j l

g

般的には「資本過剰経済では,人口が増加すれば資本過剰が解消される」と考えられている よ う に 思 わ れ る が ,  重複世代モデルにおいてこの考え方が支持されるのは, CES生産関数の中 で も 第 8 図 の よ う な 特 殊 な ケスに限定される。 この特殊なケス を 除 く と ,  第7図で典型的に 示 さ れ る よ う に ,  「資本過剰経済では人口が増加すると,  ま す ま す 資 本 過 剰 が 拡 大 す る 」 こ と に な り ,  も っ と も 一 般 的 と 思 わ れ る 考 え 方 が こ こ で は 成 り 立 た な い 。  重複世代モデルにおける人口 成 長 率 と 資 本 ス ト ッ クの関係には,  この意味でのパラドック スが存在する。

なお,重複世代モデルにおける人

成 長 率 と 資 本 ス ト ッ クの 関 係 ( 第 7 図 な い し 第 8 図の関係) を , 上 の ( 3 5 ) ˜ ( 3 9 ) 式 の 関 係 を 用 い て 導 出 す る 代 わ り に ,   ( 3 4 ) 式 と 第 9 図 か ら 導 出 す る こ と が可能である。横軸にk 縦軸に kと ( 1

-

19) ( 1 +

g

)

-

[

f

(、k)

-

k

f

'(、k) ] を と る と ,  ( 1 0 ) 式 の 仮定から, 第 9 図 の よ う な 曲 線 が 得 ら れ る

kと ( l

-

j

a

) ( 1 +g) [

f

(Jt)

-

k

f

'( k) ] の 交 点E

か ら

1 l

1が 決 定 さ れ る が ,   もし k>k g とすれば, こ の 図 よ り, k = (1

-

111) ( 1 +

g

)

-

1[

f

(11

,

)

-i

t

f

'(.1

l ,

) ]

> ( 1

- 1

i) ( 1 +

g

)

-

[

f

(、kg)

-

kg

f

(hg) ] >kgは 明 ら か で あ る 。 こ の 場 合 は ,   ( 3 4 ) 式 よ りdU/dg

> 0 と な る 。 ま たk<kgとすれば,  こ の 図 よ り k= ( 1

-

,

l

i) ( 1 +g)l [

f

(

1l 1

)

-

1k

f

' (

i

l) ] < ( 1

- e

)

( 1 +

g

)

-

[

f

(kg)

-

ka

f

'(kg) ] <kg と な る こ と か ら ,  ( 3 4 ) 式 よ りdU

f

d

g

< 0 と な る

すなわち,

k>kgの と きd U/dg> 0 ,

i ,

<kgの と きd

U

/

dg

< 0 で あ る 。  Cobb

-

Douglas生産関数の場合,0

g

<

g

* に お い てd U/d g< 0 ,

g - g

* に お い てd U/dg=0,

g

>

g

* に お い てdU/d g> 0 で あた か ら ,

-

9 5 - li;'

(17)

6 5 4 3 2 1 0 0 0 0 0 0 0

東北学院大学経済学論集  第167号

L

一一

第 9 図 kg

1 l ,

の関係

-

(1

-

18) (

f-

k

f

') / ( 1 +

g

)

k

dU

f

d

g

の 「 正 負 」 の 符 号 を 媒 介 と し て ,  0 <

g

<

g

*において

i

<kg,

g

=

g

*においてk<kg,g>g* において

i

t>kgと な る 。  さ ら に , k曲 線 と;1

,,

曲 線 は と も に 右 下 が り の 曲 線 であり , gの 增 加 と と もに, k, k

,,

と も 減 少 す る こ と を 考え合 わ せ る と ,   こ の 方 法 で も 第 7 図 が 得 ら れ る 。 同 様 に し て CES生産関数の中でも非常に特殊なケスに

いては, 第 8 図 が 得 ら れ る 。

5 .   コ

メ ン ト  

:減価償却率について

D e a r d o r f f [ 2 ] で は , S a m u e l s o n [ 7 ] の 対 す る 反 例 を 挙 げ る 際 に , 減 価 償 却 率 (1l ) を 考 慮 し , 人 口 成 長 率

g

が 「 負 」 の 値 (

g

>

-

, l l ) を と り う る ようにモデルに拡張している

この節

では,  こ れ に

いて若干の検討を行う。

減価償却率を考慮した場合, t期の経済全体の財の需給均衡は,,

cllL!十c2tL1̲ l 十Kt +1

-

K1十δKj

-

Yt

と な る 。  し た が っ て ,   ( 1 3 ) 式 は

c1!十(1

g

)

-

]c

-

1

- - f

(iit)(1

-

0)ht

-

(1

g

)k1+ 1

と 改 め ら れ る 。  こ

経済が定常状態kに到達している状態を想定すれば,  ( l 4 )  式は

l【l 96

(42)

(18)

最適人口成長率と

c

E

s

生産関数

cl 十(1g)

-

1c2=

f

(k)

-

(g十,ll、)k (43)

となる。

「人口成長率gが一定であること」を仮定すれば,  2.2節と同様の手順を踏むと,  いくつか の定常状態の中では,

f

' (

t

) = g +δ (44)

を満たす定常状態kが 社 会 的 厚 生 を も っ と も 大 き く す る こ と が 分 か る

。 

これが減価償却率を考慮 した場合の「ゴル デ ン ・ルパス」であり,(18)式が少しだけ変形されるに過ぎない。

他方,  f期に生まれた代表的個人の予算制約式は

C llC2l+ l(1十「 l+ l)

-

t ( 3 )

に変更がない。 しかし,  このモデルにおいて減価做却率を考慮した場合, t期の企業の利潤  (1

,,

) は,

1tt= Yl

-

[tOtLt(「 t十 δ)Kt]

と し て 示 さ れ る こ と に な る 。  このとき企業の利潤極大化行動から

f

(Jtt) =「 tδ

ω

,

=

f

(是

,

)

-

ht

f

'(分

,

)

(45)

(46) (47) が成立しなければならない。

と こ ろ で

t

期首の資本ストック

K :,

は,  この期に引退生活を送つている世代の貯蓄s

, ̲

l

L , ̲

lを源

泉 と し て い る ( す な わ ち , K

,

=s

, , ̲

lL

, ̲

l) 。 資 本 ス ト ッ ク が 減 価 す れ ば,

t

期末の資本ストック は ( 1

- ,

li)

K ,

となるはずであるが,

t

期には企業によってδ

K

tの 補 填 投 資 ( ( 4 5 ) 式 ) が 行 わ れるので,

t

期 末 の 資 本 ス ト ッ ク は , 期 首 の 資 本 ス ト ッ クKtと同額になる。従つてt期末の資本 ス ト ッ クK

,

は , 過 不 足 な く ,

t

期に引退生活を送つている世代に対してその貯蓄の元本(s

, ̲

1

L

, ̲

l) と し て 返 済 さ れ る こ と に な る 。 こ の 関 係 は ,

t

+1期に

い て も あ て は ま る か ら , K

-

=s

,

L

,

が成立する

。 

すなわち,

kt+ l= (19)

-

1St= (1

g

)

-

l(1「 t+ l)

-

1C2

-

(48)

が成立する。 ここで効用関数を ( 4 )  式のように特定化すれば,  資本蓄積

経路を示す動学方程 式 と し て ,   2 . 1 節 と ま っ た く 同 じ 式

k

-

(1一β)(1+g)

-

l[

f

( k

,

)

-

k

f

'(kt)

が得られる。

-

97

-

( 9 )

l 7

(19)

東北学院大学経済学論集  第167号

さて,

t

期の代表的個人の予算制約式(3)  に ( 4 6 )   (47)式を代入した後,  ( 3 ) 式 の 両 辺 か らf期の経済全体の財の需給均衡式(42)の両辺を引き整理すると,

[1llt+1

-

(1g)

-

l(1「 t+ l)

-

lC

1

ll,l]

-

(1「 t+ l) ( 1

g

)

-

l [kt

-

(1g)- l ( l「 t+ l)

-

1C2t]  = 0 が得られる。 定常状態是を考えると

(

g - r

) ( 1g)

-

l [1l1

-

(1g)

-

1(1r)- lc2] = 0

(49)

(50) が得られる。 明らかに,  (50) 式は, この経済が定常状態にあるとすれば, ゴルデン

パ ス (r=g, そ れ ゆ ぇ ( 4 4 ) 式 ) か , 市 場 均 衡 の 長 期 解k ( k= ( 1 +g)- 1( 1 +r)

-

1c2) か , あ る

いは両者が同時に成立するか, のいずれかであることを意味している。

D e a r d o r f f [ 2 ] は , 人 口 成 長 率gが 「 負 」 の 値 (

g

> 一 δ ) を と りうる よ う に , 減 価 彼 却 率 ( δ ) を 導 入 し た 。 確 か に

見 す る と , 人 口 成 長 率 が 「 負 」 の 値 ( 0 > g> 一 δ ) で あ っ た と し て も,  ( 4 4 ) 式 が 成 立 す れ ば , こ の 経 済 は , ゴルデン

-

パスに到達できるように思われ る 。 し か し な が ら , ( 5 0 ) 式 を 検 討 す る と , 人

成長率,gは , g = r で あ る こ と が 要 求 さ れ る 。 利 子 率 ( 賃 貸 率 ) r は 「 負 」 の 値 を と ら な い か ら , 人 口 成 長 率 g が 「 負 」 の 領 域 ( 0 >g> 一 δ ) に あ る と き

g

=rは , 経 済 学 的 意 味 を も た な い 。 そ れ ゆ え , D e a r d o r f f [ 2 ] が 0 >g>一δの人口成 長率を検討したこと, 及びSamuelson[9]がDeardorffの反例に同意して0>

g

>δの領域の 社会的厚生Uを図示したことは, ほとんど意味がなかったことになる。

6 .   むすびにかえて

この論文では,冒頭でも述べたように,Takahashi[l0]の観点からSamuelson

-

Deardorffの

最適人

成 長 率 を め ぐ る 論 争 を 整 理 し 直 す と と も に ( 第 2 節 ) , 0 < σ < 1 の C E S 生 産 関 数 に お いてSamuelsonの最適人口成長率が確かに存在するが, その場合の生産関数 (及び効用関数) のパラメータの値は経済の現実を反映するような値ではないことを示した ( 第 3 節 ) 。  さ ら に 人 口成長率と (労働者1人当たり)資本ストックの過不足がどのような関係にあるかを明らかにし た ( 第 4 節 ) 。 こ れ に 加 え て , D e a r d o r f f [ 2 ] は , 減 価 値

:

却 率 ( δ ) を 考 慮 に 入 れ て , 人 口 成 長 率 g が 「 負 」 の 値 ( g> 一 δ ) を と り う る よ う に モ デ ル に 拡 張 し た が , こ れ が 経 済 学 的 意 味 を も た な い こ と を 示 し た ( 第 5 節 ) 。

初めてSamuelson[6],Diamond[3]を読んだのは,今から35年以上も前の和歌山大学大 学院経済学研究科修士課程のとき, 1972年だった。当時は, 1965年に発表されたDiamond[2]

が新鮮そのものであり,  まだ重複世代モデル (overlapping generation mode1)  と い う 呼 び 名 も つけられていなかった。修士論文は, D i a m o n d [ 3 ] を ペスにして,  これに政府による逐次 的な調整ルルを導入したものであった。 この論文では 「政府が人口成長率と利子率を参照しな が ら , 毎 期 , 年 金 の 掛 金 給付金を逐次的に調節すれば,経済がゴル デ ン ・ルバスに到

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参照

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