垂直上昇界面活性剤‑空気二相流の流動伝熱特性
荒 賀 浩 一 ¥ 村 田 圭 治 ヰ
Heat T r a n s f e r and Flow C h a r a c t e r i s t i c s o f Ai r ‑ S u r f a c t a n t S o l u t i o n Two‑Phase V e r t i c a l Flow
Koichi ARAGA*
,
Ke討
iMURATA孝It is known that small quantities of surfactant additives can greatly reduce the企ictionfactors. This is because the generation of turbulent vortices is suppressed by the formation of rod‑like micelles, and the f10w remains laminar. However, the heat transfer coefficients decrease during f10w laminarization. The research objective is to examine heat
仕ansferenhancement effects by air inj ection. This paper presents an experimental investigation on the heat transfer characteristics in an air‑surfactant solution two・phasef10w through a vertical tube. Heat仕 組sfercoe伍cientsand創ction factors were much larger for the air‑surfactant solution two‑phase f10w也anfor surfactant solution. However, they were smaller也 組 anair‑water. It seems to be due to drag reduction effects of micelle s甘ucture.The f10w pattems were investigated by visualization. The f10w pa壮emof air‑surfactant solution two・phasef10w changed企oma slug f10w to a chum f10w or仕oma chum f10w to a bubbly f10w at low liquid phase Reynolds number compared with the case of air‑water two‑phase f10w on fixed air f10w rate.
Keyword Drag reduction, Surfactant solution, Two‑phase f1ow, Heat transfer enhancement, Flow visualization
1
.はじめに
管内流れにおいてある種の界面活性剤を微量添加する と管摩擦抵抗が劇的に減少することが知られている(1)こ れは界面活性剤水溶液中に形成される棒状ミセル構造に より乱流渦の発生,成長が抑制されて高レイノルズ数まで 層流状態が持続するためである.こうした抵抗低減流では,
その熱伝達率も同時に低下するために種々の伝熱促進法 が検討されているω.一方,気液二相流における界面活性 剤添加の影響については,津井ら(3)が水平管路において界 面活性剤水溶液ー空気二相流の管摩擦抵抗やボイド率変 化等を測定してはいるものの,流動伝熱特性を詳しく検討
した例は少ないと思われる.
本研究室では界面活性剤水溶液流れの伝熱促進法のー っとして空気混入による方法を提案し,その界面活性剤水 溶液‑空気二相流の流動伝熱特性を水平管路を用いて実
本近畿大学工業高等専門学校 総 合 シ ス テ ム 工 学 科 機 械 系
験的に調べた結果について報告した(4) しかし,水平流れ においては層状流や波状流といった流動状態が存在し,こ の様な流れにおいては管壁表面のドライアウトに伴い伝 熱特性が変化するため界面活性剤水溶液流れに及ぼす空 気混入の影響を正確に把握することが難しい.
本研究は抵抗低減効果を示す界面活性剤水溶液流れの 流動伝熱特性に及ぼす空気混入の影響に関する実験的研 究であり,水と界面活性剤水溶液に空気を混入した気液二 相流の管摩擦損失,熱伝達率を測定し,また,可視化撮影 により流動様式を計測して両流れの流動伝熱特性の差異 を検討した結果について報告する
2 .
実験装置および実験方法実験装置の概略を図1に示す.試験管路は内径D=5.0 阻の鉛直アクリル製円管とし,圧力損失・熱伝達率測定 用管路および可視化撮影・ボイド率測定用管路の 2種類の 管路を用いた.圧力損失・熱伝達率測定用管路の助走区間 長は 200000,テストセクション長は 900凹 で あ る.作
‑1‑
動流体は試験管路を通過後,気液分離タンク,冷却器を経 て溶液タンクへと流れる.テストセクションの銅管表面に は,管壁温度測定用 CA熱電対 (φo.5皿)を 8ヶ所に設 置し,その上からシースヒーター (φ1.0 mm)をテストセ クション入り口から 50"‑'850皿間で等ピッチで巻き付け た.
熱伝達率は,ヒーターへの電気入力から求めた熱流束と,
流体と管壁との温度差から算出した.今回はテストセクシ ョン入口から450皿下流,加熱開始位置から 350皿 下 流 における局所熱伝達率をデータ評価に用いた.管摩擦係数 は,テストセクション両端部の差圧をデジタルマノメータ で測定して算出した.可視化撮影は可視化用試験管路入口 部より 1450皿下流においてCCDにより行った.
試験流体は水道水および界面活性剤水溶液とした.界面 活性剤水溶液は水道水に同モル量のテトラデシルトリメ チルアンモニウムブロミド
C T T A B )
とサリチル酸ナトリウ ム CNaSal)を溶かして作成し,濃度は 500ppm C重量濃 度)とした.なお,データの無次元整理にはすべて水の物 性値を用いた.3.結果および考察
管摩擦係数入を図2に示す.横軸は液相レイノルズ数 ReLを表す.摩擦圧力損失は全圧力損失から重力損失を差 引いて求めた.重力損失は,既報(5)で測定したボイド率を 用 い て 算 出 し た.図2の入の変化より,水 単 相 流 は ReL=3000付近で乱流に遷移しているのがわかる.一方,
界面活性剤水溶液単相流は,ReL=10000程度まで層流が維 持されており,抵抗低減効果が表れているのが入の変化よ
りわかる.
気液二相流の実験では液流量一定のまま空気流量を増 加させて入の変化を調べた.水一空気二相流の入は Vcに よらず水単相流の入よりも大きくなるが,ReLとともに減
①Tank
②Cooling pipe
③Pump
④Valve
⑤Flow meter
⑥Switching Valve
⑦IThermocou ple
⑧Heat coil
⑨Digital manometer
⑮Valve for void fraction measurement
Fig. 1. Experimental apparatus
少して水単相流の値に近づく.界面活性剤水溶液一空気二 相流の入は,やはり界面活性剤水溶液単相流の入よりも大 きくなるが,Vc=0.5 L/rnin, ReL<13000の場合には水単 相流の値 CBlasius式)より小さくなっている.これは,
空気混入によりλは増加するが,抵抗低減効果が完全には 消失していないため入が水単相流の値よりは小さくなっ たのと推察される.また,ReLの増加(せん断応力の増加) ともに棒状ミセル構造の破壊により抵抗低減効果が消失 することで,水単相流の値に近づくのがわかる.ここで,
空気混入によるλの増加率を比較すると Vc>0.5 L/rnin (図ではん=2.0L/rninが対応)においては特に水一空気 に比べて界面活性剤水溶液ー空気二相流のほうが大きく なっている.これは,界面活性剤水溶液の場合は空気混入 によりλが増大するだけでなく抵抗低減効果の消失に伴 うλの増大も生じたためであると推察される.
局所熱伝達率を図 3に示す.横軸は液相レイノルズ数 ReL'縦軸はNulPrLll3である.水単相流の熱伝達率は,ReL
=3000付近で乱流遷移にともない急増し,ReL>6000では
Colbumの式に近い値を示している.一方,界面活性剤水 溶液単相流の熱伝達率は,抵抗低減効果により ReL=10000
1 L │ . : ; i ; ; 1 V
吋 2I/min)• water (YG=O. 5 I/mi n)
畠 water(YG=2 1/聞in) o SA500
ロSA500(YG=O. 2 I/min) oSA500 (YG=O. 5 1/聞in)
0 . T P ¥ a b Lλ=0.3164Rfy
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30x103
Fig. 2 Friction factor
100
• water
• waler (VG=O. 2 I/min)
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.. wwaatteerr ((YYGG==2 1O. 5 /I/min)聞in) o SA500
ロSA500(YG=O. 2 1/聞in)
<> SA500 (YG=O. 5 I/minl a SA50D印G=21/聞in)
‑‑‑‑‑Sieder‑Tate EQ
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0.5 1 10 30x103 Re L
Fig. 3 Heat仕 組sfercoe伍cient
‑2‑
水‑空気二相流および界面活性剤水溶液ー空気二相流 の可視化撮影した • V c= 1.0 Llminの場合を例として図4 (a), (b)に示す.実験は空気流量を一定とし,液流量を増 加させて実験を行った.水一空気二相流の場合,ReL=3600 の流れはスラグ流であり,ReLの増加(クオリティの減少) とともに流動状態はチャーン流(ReL= 19000) ,気泡流(ReL
=29000)となった.一方,界面活性剤水溶液ー空気二相 流の場合も ReL=3600の流れはスラグ流であり,ReLの増 加とともに,チャーン流 (ReL= 20000) ,気泡流 (ReL=
30000)へと変化するが,水一空気と比べて液相中に微細 な気泡が多数存在すること,および,より低いReLでスラ グ流からチャーン流へと変化することがわかった.
水一空気および界面活性剤水溶液一空気二相流の流動 様式線図を図5(a), (b)に示す.横軸は見かけの液相速度 JL,縦軸は見かけの気相速度JGを示しており,図中の実線 はTaitel& Duklerの値(6)を示す.図5(a)より,水の結果は ほぼTaitel& Duklerの結果とおよそ一致しているのがわか る.一方,界面活性剤500ppmの結果は定性的には水と同 じであるが,水一空気と比べて気泡流の領域が多いこと,
および,気相速度一定の場合,水‑空気と比べてより低い 液相速度でスラグ流からチャーン流へ,チャーン流から気 程度までSieder& Tateの式に治って徐々に上昇する.その
後,流れは乱流に遷移して熱伝達率は水単相流の乱流熱伝 達率に近づく.水‑空気二相流の熱伝達率は水単相流のそ れよりも大きいが,ReLとともに水単相流の値に近づく 一方,界面活性剤水溶液一空気二相流の熱伝達率は,界面 活性剤水溶液単相流のそれよりも大きいが,水一空気二相 流のそれよりは低下している.これは空気混入により流 れが乱され単相流熱伝達率よりは向上するが,形成された 棒状ミセルによる層流化の効果で水一空気二相流よりは 低下しているものと考えられる.
FINNEL Y DISPERSED BUBBLE
10
a ‑ ‑
ロ
a a ‑
ロ
d11
的
ε
ィ(a)ReL =3300 (b)ReL =8300 (c)ReL =19000 (d)ReL =29000
(a) Air‑Water two phase f10w
区︿﹂コ
ZZ
︿
。
SLUG OR CHURN
Air‑Water
。 。
。 。
。
。
。
0.1
100 10
m/s J G
0.1 0.02
(a) Air‑Water two phase f10w
A 肘i汁ト「ト‑s釦 釧u山凶「f丙陶
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ぽ︿﹂コ
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︿
FINNEL Y DISPERSED BUBBLE
•
•
SLUG OR CHURN
•
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全
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10
411
師︑Eイ
0.1
(b)A廿'‑Surfactantsolution two phase f10w Fig. 5 Flow pa仕emmaps
100 0.1
0.02 (a)ReL =3400 (b)ReL =8500 (c)ReL =20000 (d)ReL =30000
(b) Air‑Surfactant solution two phase f10w Fig. 4 Flow visualization
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泡流へ遷移しているのがわかる.
謝辞
本研究を実施するにあたり,近畿大学工業高等専門学校 長 神 野 稔 氏 に は 多 大 な 支 援 を 賜 り ま し た . こ こ に 感 謝 の意を表します
参考文献
(1) Z北in,J.L., Lu, B. and Bewersdorff, H. W.: Rev. Chem. En .,g
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‑4‑