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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 伊 藤 一 成

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 伊 藤 一 成

審 査 委 員

主 査 松冨 直利 ◯ 副 査 古賀 大三 ◯ 副 査 柴田 均 ◯ 副 査 森嶋伊佐夫 ◯ 副 査 内海 敏彦 ◯

題 目 Role of N-glycosylation of hen egg ovalbumin on quality control of protein タンパク質の品質管理機構における鶏卵白アルブミンの

N

型糖鎖の役割

審査結果の要旨(2,000字以内)

鶏卵白アルブミン(OVA)は、N 型糖鎖を有する糖タンパク質である。OVA のアミノ酸配列から、N 型糖鎖付加部位は2ヶ所(Asn-292, Asn-311)存在するが、鶏卵白中にはAsn-292に糖鎖が付加したモノ グリコシル型のみ存在し、ジグリコシル型や非グリコシル型は存在しない。そこで本研究は、OVAの 糖鎖の役割や、何故Asn-292のみに糖鎖が付加しているのかという事を明らかにしようとしたもので、

真核生物で高発現が期待できる酵母発現系を用いて、OVAの糖鎖の役割を解明している。

まず、酵母Pichia pastoris発現系を用いて野生型OVAを発現分泌させ、分子量の異なる2成分が分 泌されることを示している。この2成分は、卵白中のOVA同様に、糖鎖が1ヶ所(Asn-292のみ)に付 加したモノグリコシル型と、2ケ所に付加したジグリコシル型であることを明らかにしている。この 2成分に、構造的特徴や熱安定性等に有意な差がなかったことから、Asn-311への付加的な糖鎖付加は、

OVAの構造安定性には影響がないことを示している。また、糖鎖付加以外の翻訳後修飾は起こってな いことも明らかにしている。さらに、非グリコシル型は分泌されないことから、OVA の分泌には

Asn-292への糖鎖付加が必要であることを示した。併せて、OVAの合成、構造形成、成熟、及び分泌

に至るいずれかの過程で、Asn-292への糖鎖付加が重要な役割を担っている事を推察している。

酵母発現系では、Asn-311に付加的に糖鎖付加したOVAも分泌されることから、糖鎖付加部位に変 異をかけた、N292Q、 N311Q、及び N292/311Q を構築し、糖鎖の役割を精査している。N311Q 変異 体は野生型に匹敵する分泌量を示したが、N292Q及びN292/311Q変異体の分泌量は野生型に比較して 激減した。また、N-グリコシル化阻害剤存在下では、野生型、及びN311Q変異体の分泌はほぼ完全に 抑制された。一方、細胞内では、全ての変異体は野生型と同程度に発現されており、培養時間経過と ともに減少したため、合成後、N292Q及びN292/311Q変異体は分泌される前に大部分が分解されると 考察している。また、分泌された各変異体の構造・熱安定性を精査し、N292Q及びN292/311Q変異体 は、野生型と比べ構造の変化ならびに熱安定性が低下していたことを示し、Asn-292への糖鎖付加は、

OVAの正確なフォールデイングに重要であるという結論を導いている。

一般に、N型糖鎖は、糖タンパク質の品質管理機構において重要な役割を果たしている事が報告さ れている。OVAの場合、N292Q及びN292/311Q変異体の分泌が激減したことから、Asn-292の糖鎖が タンパク質の品質管理機構に関与していることを推察し、糖鎖が付加することによってミスフォール ドしやすい変異体(I34N)を構築し、発現分泌を調べた。その結果、I34N変異体は分泌されなかったこ

とから、N292Q及びN292/311Qと同様に細胞内で正しくフォールド出来ないため分解系へ送られると

結論付けている。

(2)

Asn-292への糖鎖付加が部位特異的に重要なのかを明らかにするため、新たにN型糖鎖付加部位を 様々な位置(Ser-168, Ser-236, Ile-371)に導入した変異体を構築し、これらの変異体の分泌を精査してい る。その結果、いずれの糖鎖付加配列を導入した変異体も、Asn-292 に糖鎖が付加されなければ分泌 量が低下することを見い出し、Asn-292 への糖鎖付加が、合成後のフォールデイングや分泌に必須で あることを明らかにしている。

併せて、糖タンパク質の品質管理機構に関与している分子シャペロンのカルネキシンを欠損させた

酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて野生型や糖鎖付加変異体の発現・分泌を調べている。その結果、

カルネキシン欠損株では、分泌されていた野生型とN311Q変異体の分泌量がN292QおよびN292/311Q 変異体と同様に強く低下することを示し、OVAのAsn-292の糖鎖はカルネキシンと相互作用し、正し いフォールデイングを促がすことを示している。

OVAのAsn-292への付加糖鎖は、タンパク質の品質管理機構において重要な役割を果たし、OVAの

正確な構造形成に必須であることを提唱し、卵白中のOVAが、Asn-292にのみ糖鎖付加したモノグリ コシル型として存在している意味を明らかにした。

以上の結果の一部は、既にBioscience, Biotechnology, and Biochemistryoy及びJ. Biochemistryに掲載 されており、併せて学位論文の内容は、本人を鳥取大学大学院連合農学研究科博士科課程修了者とし て認め、博士(農学)の学位を与えるに十分な資格を有するものと判断した。

参照

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