Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
支台歯形成時のマージンの設定は,歯肉縁上?歯肉縁下
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Author(s)
佐藤, 亨
Journal
歯科学報, 117(6): 488-489
URL
http://hdl.handle.net/10130/4408
Right
Description
支台歯マージン位置はどこに設定すべきか。これ にはいろいろな条件が絡んでくると考えている。こ のいろいろな条件の中で,どの条件を優先していく かでマージン設定位置が変化すると考える。 1)患者さんのプラークコントロールは? 補綴装置装着のための支台歯形成をする前には, 必ずプラークコントロールが必要であることは言う までもない。しかし,いろいろな患者さんがいるの も事実である。あまり口腔内の清掃状態が良好でな い患者さんのクラウンマージン位置は,二次カリエ スの起こりにくい歯肉縁下0.5mm 程度とすること が望ましい。 2)支台歯の部位による設定は? 審美性の配慮が必要な前歯の修復においては,唇 側面のマージン位置は歯肉縁下に,舌側(口蓋側)の マージン位置は歯肉縁あるいは歯肉縁上に設定す る。一方,大臼歯の修復においては,頬側,舌側 (口蓋側)のマージン位置はともに歯肉縁,あるいは 歯肉縁上に設定する。では小臼歯はどうか,歯冠補 綴材料にもよるが一般的には前歯と同様に審美性を 重視したマージン位置の設定が望ましい。 3)補綴装置の違いによる設定は? 全部被覆冠の補綴装置には,全部金属冠,前装 冠,CAD/CAM 冠,オールセラミッククラウンが ある。 全部金属冠の適応は臼歯部になるため,マージン 位置は歯肉縁あるいは歯肉縁上に設定する。 前装冠の唇(頬)側マージン形態はショルダーある い は ヘ ビ ー シ ャ ン フ ァ ー,舌(口 蓋)側 は シ ャ ン ファーである。前装冠は審美性を考慮するためのク ラウンであるので,唇(頬)側のマージン位置は歯肉 縁下に舌(口蓋)側は歯肉縁あるいは歯肉縁上に設定 する。 CAD/CAM 冠のマージン形態は,全周囲ディー プシャンファー(ヘビーシャンファー)の形態であ る。小臼歯では頬側のマージン位置は前装冠の唇 (頬)側と同様に審美性を考慮して歯肉縁下に,舌 (口蓋)側のマージン位置は歯肉縁あるいは歯肉縁上 に設定する。新規に保険収載された大臼歯の CAD/ CAM 冠は小臼歯と比べて審美的要求度は低いた め,マージン位置は頬舌側ともに歯肉縁あるいは歯 肉縁上に設定する。 オールセラミッククラウンのマージン形態は, CAD/CAM 冠と同様で全周囲ディープシャンファー (ヘビーシャンファー)の形態である。マージン位置 においても CAD/CAM 冠と同様に,小臼歯での頬
臨床のヒント
Q&A
クラウンブリッジ補綴系
Q&Aコーナーは,東京歯科大学の3病院の臨床研修歯 科医から寄せられた質問に対しての回答です。回答は本 学3施設の専門家にお願い致します。内容によっては基 礎や臨床,あるいは歯科や医科と複数の回答者に依頼す る場合もあります。毎号掲載いたしますので,会員の皆 様もご質問がございましたら,ぜひ東京歯科大学学会ま でeメールかファックスで依頼していただきたいと存じ ます。必ずご期待に添えることと思います。今号は支台 歯形成時のマージン設定位置に関する質問です。Question
支台歯形成時のマージンの設定は,歯肉縁上?歯肉縁下?Answer
488 歯科学報 Vol.117,No.6(2017) ― 58 ―側のマージン位置は歯肉縁下に,舌(口蓋)側のマー ジン位置は歯肉縁あるいは歯肉縁上に,大臼歯での マージン位置は頬舌側ともに歯肉縁あるいは歯肉縁 上に設定する。 部分被覆冠であるラミネートベニアクラウンは, 審美性を重視した部分被覆冠であるのでマージン位 置は歯肉縁下に設定する。 ラミネートベニアクラウン以外の部分被覆冠の形 成面は舌(口蓋)側が中心となるため,マージン位置 は歯肉縁あるいは歯肉縁下に設定する。しかし審美 性を考慮したセラミックインレーで,近心隣接面に マージンがある場合のマージン位置は,歯肉縁下に 設定することが望ましい。しかし遠心隣接面におい ては歯肉縁あるいは歯肉縁上に設定しても問題はな い。 4)生活歯,失活歯(メタルコア,レジンコア)での 設定は? 生活歯は歯の変色がないため,歯冠色の補綴装置 の色調が歯と一致していれば,経年的に将来歯肉退 縮が起こっても審美的に問題はない。 失活歯の場合は生活歯とは異なる。失活歯におい てレジンコアを使用している場合は歯(歯根)の変色 は起こりにくい。しかしメタルコアを使用している 場合,歯(歯根)は変色している,あるいはこれから 変色していく可能性が高い。このように失活歯,特 にメタルコアを使用した支台歯に対して歯冠色の補 綴装置を装着する場合のマージン位置は確実に歯肉 縁下に設定する必要がある。 5)隣接面のマージン位置,唇(頬)側,舌(口蓋)側 との移行は? マージン位置は唇(頬)側,舌(口蓋)側については よく問われるところだが,隣接面のマージン位置は どうするべきか。隣接面のマージン位置は,唇(頬) 側から舌(口蓋)側に連続的に移行するように設定す る。 唇(頬)側のマージンを歯肉縁下に設定している場 合は隣接面においてもマージン位置はしっかりと歯 肉縁下に設定する必要がある。前歯では近心,遠心 隣接面の両方を注意深く形成することは重要だが, 小臼歯においては近心側のマージン位置にはより一 層注意を払う必要がある。 唇(頬)側,舌(口蓋)側が同様なマージン位置の場 合も,歯冠乳頭の形態に合わせたマージン設定で支 台歯形成することが重要である。 6)マージン位置と歯冠補綴装置との調和を? マージン位置と歯冠補綴装置の歯冠形態が歯周組 織に大きな影響を与えることは言うまでもない。設 定されたマージン位置と歯根側とくに歯肉構内から 歯頚部1/3の歯冠豊隆,エマージェンスプロファ イルをしっかりと確認する必要がある。これはプロ ビジョナルレストレーションで事前に診断し,状況 によっては歯周組織の改善,マージン位置の修正等 を行うことが重要となる。 7)歯冠補綴装置装着時の注意は? 最終歯冠補綴装置の試適時には,マージンの適合 とその移行性についてしっかりと確認する。最終補 綴装置を仮着して口腔内での状態を確認する方法も あるが,できるだけプロビジョナルレストレーショ ンの時点で再現することが望ましい。 装着後は余剰セメントをしっかり除去し,歯と歯 冠補綴装置の移行性を確認することが重要である。 Answer:佐藤 亨 東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座 歯科学報 Vol.117,No.6(2017) 489 ― 59 ―