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【書評】『社会変容をめざすESD:ケアを通した自己変容をもとに』曽我幸代 著

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Academic year: 2021

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(1)書 評. ね な い だ ろ う。 し か し、 一 つ の 「確. 令によって利用されるだけになりか. 育がかつてのように国策による大号. て あ る の で は な い。 そ れ は、 人 の 希. ~七〇年代の環境論争の再登場とし. と環境とのバランスという一九六〇. と し て 捉 え ら れ、 と り わ け 経 済 発 展. ま た、 こ の よ う に 相 対 化 さ れ た 自 己. ( 三 二 頁 ) と い う 表 現 で 表 し て い る。. うな思考を全体論的システム思考. が で き る 教 育 で あ る。 著 者 は こ の よ. も 国 際 的 な 大 運 動 (イ ベ ン ト) な の. ば し ば 「こ れ は 教 育 な の か、 そ れ と. の進展と 近 年、 へ の 取 り 組 み が 進 む 中、 私 た ち は し. と パ ブ リ ッ ク (公 共) と の 関 係 性 を. に ど の よ う に 貢 献 す る か、 と い う 個. な 教 育 が 「持 続 可 能 な 社 会」 づ く り. そ し て、 次 の 規 定 と し て、 こ の よ う. が る こ と に 教 育 の 本 質 的 意 義 が あ る。. つくウェル・ビーイングに直接つな. も の で あ り 、「 わ た し 」 の 生 と 結 び. さ に 教 育 が 「わ た し」 自 身 の た め の. よ い 状 況 を 表 す 概 念 と さ れ る が、 ま. 障 さ れ、 身 体 的、 精 神 的、 社 会 的 に. イングは個人の権利や自己実現が保. れ て い よ う 。 一 般 的 に 、ウ ェ ル・ビ ー. のキーワードの連結にその本質が表. 「 個 人 」 と「 ウ ェ ル・ ビ ー イ ン グ 」. る か 」 と い う 問 い で 表 さ れ る 通 り、. に社会のウェル・ビーイングを高め. 瞭 だ 。 端 的 に 、「 教 育 が 個 人 な ら び. あ る。 こ の 問 い に 対 し て も 本 書 は 明. か な る 教 育 か、 と い う こ と の 規 定 で. 規 定 す る こ と は、 そ の 「教 育」 は い. 育」 で あ る と す る な ら ば、 こ の 次 に. 教育と運動との峻別を可能にしてい. 能 性 な の か ( 二 頁 )、 と い う 問 い が. で あ り、 何 の た め の 持 続 可. がいったい誰のための. 他 者 か ら、 ま た、 自 然 の い の ち の 立. あ る か ら、 自 己 の 存 在 を ( 例 え ば ). 中に事実として成り立つ存在なので. 間的意味で膨大な因果関係の連鎖の. よ う な 生 物 的、 精 神 的、 人 間 的、 時. え る。 換 言 す る と、 私 た ち は、 こ の. う に 形 成 す る か、 と い う こ と だ と 言. 択を担う当事者としての私をどのよ. 去から引き受けた事実と未来への選. 自 然 の 連 鎖 の 中 に 存 在 す る 自 分、 過. 事 者 と な り 得 る 自 分、 い の ち を 育 む. 指 す べ き 教 育 は、 自 ら の 人 間 性 の 当. な り に そ れ ら を 解 釈 し て 示 す と、 目. い く つ か の 提 言 が な さ れ て い る。 私. さ て、 こ の 書 に は そ の よ う な 社 会 へ 向 か う た め の 「 教 育 」 に つ い て、. 造 を 規 定 す る よ う な 変 容 観 が あ る。. ダ ウ ン で は な い) 下 部 構 造 が 上 部 構. し ろ (著 者 が 述 べ る と こ ろ の ト ッ プ. テ ィ ブ に と ら え る 変 容 観 で あ り、 む. の変容と社会の変容をインタラク. 本 書 の 随 所 に 見 ら れ る よ う に、 個 人. 具 体 的 な 姿 で あ る だ ろ う。 す な わ ち、. れ た 社 会 で あ り、 持 続 可 能 な 社 会 の. (人格の完成) と結びつく明徴化さ. の現実を通じて獲得される個の確立. 望 や 苦 悩、 成 長 と 挑 戦 な ど、 暮 ら し. の. 頭 に も 記 し た「 い っ た い 誰 の た め. う な 社 会 で あ ろ う か。 そ れ は、 冒. る持続可能社会や未来とはどのよ. そもそも国際的に目指している 「持続可能な開発」 の概念で示され. で は な い か ら で あ る。. な る。 こ れ を 「主 体 性」 と 呼 ぶ べ き. 安心感を求める態度に窮することに. 己保存のための服従と優越感そして. 不安の中で自らの主体性を捨てて自. は 恐 ろ し い ほ ど 狭 く、 結 果 的 に 常 に. し か な い。 そ の 関 係 か ら 見 え る 社 会. 「 下 位 者 」 そ し て「 同 位 者 」 の み で. ら 見 え る も の は、 自 己 の 「上 位 者」 ・. 大 好 き 社 会」 の 現 代 病 理 の 中 で、 自. 表 す と、 既 存 の 序 列 と 「ラ ン キ ン グ. で は、 こ の よ う な 主 体 性 を 築 く 教 育 が な ぜ 必 要 な の か。 そ れ は 簡 単 に. る 。( 八 四 頁 ). 基づく主体性が認識される自己であ. た な 「わ た し」 が 自 覚 さ れ、 そ れ に. し あ う (つ な が る) 営 み を 通 じ て 新. 対 象 と の 関 係 に お い て、 相 互 に 生 か. か さ れ る 存 在。 す な わ ち、 あ ら ゆ る. は、 自 然 な ど の 対 象 か ら 癒 さ れ、 生. 信 」 を 導 く 大 切 な 手 掛 か り は、. か ?」 と の 疑 問 に 遭 遇 す る。 そ れ は、. き れ い に ト レ ー ス し て い る。 そ う い. E E S S D D る こ と で あ る 。そ し て 、. が「 教. )が付され に ( Education て い て も、 そ の 実 と し て 「教 育」 と. か 」 と 同 質 の 問 い で あ る。 られる多義的な自分を意識すること. 場 か ら、 あ る い は 他 の 生 物 か ら 捉 え. や社会的強者にとっての社会や未来. こ れ に 対 し て は、 少 な く と も 先 進 国. E S D. S D G. E S D. の概 念 が環 境・ E S D. E S D. E. 分の位置を測って過ごす立ち位置か. 「 運 動 」 と の 区 別 を( 実 践 者・ 研 究. S. う 意 味 で は、. 伊井直比呂 経済・社会という抽象的一般的課題. 大阪府立大学人間社会システム科学研究科. 者 問 わ ず) 教 育 に 携 わ る 者 が 問 い か. 曽我 幸代 著 学文社 2018年. け、 確 信 を も っ て お か な け れ ば、 教. 37. 社会変容をめざすESD -ケアを通した自己変容をもとに― S D.

(2) を 指 す の で は な く、 ま た あ る 特 定 の 随 す る 教 育 で は な く、 端 的 に、 そ こ. が一方的に設定した到達要求にどれ. る。 換 言 す る と、 教 育 を 提 供 す る 側. 要 求 に 応 え る 「教 育」 で あ る と 言 え. ることなく具体的に変容を持たらす. 教 師 に 対 し て 「理 念」 の 丸 投 げ を す. ( 一 四 一 頁 )。 こ の こ と か ら 、 本 書 は 、. 柱」 と 接 合 さ せ て 一 覧 に 示 し て い る. か ら 「解 放 さ れ た 教 育」 に よ っ て で. 教育に必要なコンピテンシーを示し. 同 時 に、 学 習 者 の 権 利 に 基 づ く 学 習. あ る こ と に 気 づ か さ れ る。 こ の 場 合. だ け 応 え た か、 と い う 「 教 育 」 で. 教 育 は、 も ち ろ ん 序 列 化 と 排 除 に 追. す の で は な い は ず で あ る。 す な わ ち、. は な い。 ま ず こ の 点 に. 人のみがその恩恵に浴する社会を指 い か な る 属 性 や ル ー ツ、 あ る い は 経 の 教 育 の 本 質 は 『変 容』 を も た ら す. 解の仕方や各自に帰する課題が異な. 的 に、 前 者 は、 学 習 者 そ れ ぞ れ の 理. 普遍的価値に基づく人権思想に貫. 最 後 に、 本 書 は 単 な る 教 育 論 に 終 わ る こ と な く、 人 類 の 歴 史 と し て の. め る 教 育 の 再 方 向 性 が 見 え る。 具 体. そ し て、 こ の 画 一 性 と 序 列 化 か ら 解 放 さ れ た 「変 容」 を も た ら す 教 育. た と 言 え よ う。. 済的事情などの背景があったとして と い う こ と に な ろ う。. こ そ が 、「 持 続 可 能 な 開 発 の た め の. が求. も、 そ れ ら に 関 係 な く ひ と し く 全 て 続 け、 そ れ ぞ れ の 文 化 と よ き 環 境 が. か れ て い る よ う に 思 わ れ る。. の い の ち が つ な が り 続 け、 支 え あ い 深 ま り 続 け る た め の 当 事 者 と し て、. る こ と に 着 目 し、 こ れ ら に 応 じ て 目. (. )ということであ. を推進するための. Global. れの想いを引き受けることができる. 対 す る 考 え 方、 多 様 な 価 値、 そ れ ぞ. 決 め た 選 別 の 枠 組 み か ら 脱 し て、 相. そ 、「 序 列 」 と い う 誰 か が 都 合 よ く. い、 と い う こ と だ ろ う。 だ か ら こ. を予見しイメージすることはできな. つ ま り、 永 遠 に 持 続 可 能 な 社 会 の 姿. は 自 ら の 生 を 証 明 す る に は 至 ら な い。. 小さな安心感に縋って暮らすだけで. るいは序列化された狭小社会の中で. 済 の 二 項 対 立 や、 支 配 と 被 支 配、 あ. を (著 者 が い う と こ ろ の) 環 境 と 経. 成 り 立 っ て い る に も 関 わ ら ず、 そ れ. とが複雑な因果関係によって社会が. ら ば、 人 と 人、 人 と 社 会、 人 と 自 然. ら 否 定 す る こ と に な る。 だ と す る な. 成り立つ私たち一人ひとりの生を自. 私たちに網羅的な理解を提供してく. 表 さ れ て い る ( 一 三 四 ~ 一 三 六 頁 )。. 分析が加えられて. レ ポ ー ト 』) な ど か ら 丁 寧 に 比 較 ・. び 」の「 学 習 の. の内容が. 本 柱」 (『 ド ロ ー ル・. た め の 学 び、 人 間 存 在 を 深 め る 学. 学 び、 為 す た め の 学 び、 共 に 生 き る. 国 際 委 員 会」 が 示 し た 「知 る た め の. 献、 そ し て ユ ネ ス コ 「二 一 世 紀 教 育. ロ ー の 「変 容 的 学 習」 や ユ ネ ス コ 文. ウロ・フレイレの影響を受けたメジ. で最も偉大な教育学者と言われるパ. る。 と り わ け、 本 書 で は、 二 〇 世 紀. きが導かれていることにあると言え. 合による新しい思知からこの結びつ. スコが蓄積してきた教育と人権の統. てそれを支える子どもの権利やユネ. 換 を 図 る 時 代 的 要 請 と 必 然 性、 そ し. 去 ・ 現 在 ・ 未 来 」、「 変 容 を 遂 げ る こ. 実 践 」、「 変 化 を 想 像 す る こ と : 過. ク・ ア プ ロ ー チ: 統 合 的 な 思 考 と. ン ピ テ ン シ ー と し て 「ホ リ ス テ ィ ッ. す と 言 え る 観 点 か ら 「教 育 者」 の コ. て、 本 書 は 学 習 者 の 学 習 要 求 を 満 た. は な い こ と が わ か る。 こ の 点 に つ い. ら、 後 者 の 教 育 は 採 用 さ れ る べ き で. を明瞭に理解する必要があることか. 自 分( わ た し )と の 関 係( つ な が り ). 事 者 と な る 変 容 を 遂 げ る た め に は、. 身近なことから社会に至る課題の当. 体 性 が 認 識 さ れ る 」 こ と を 通 し て、. た し』 が 自 覚 さ れ、 そ れ に 基 づ く 主. な 因 果 関 係 と つ な が り の 中 で 「『 わ. 度 で 測 る。 し か し、 先 の よ う に 多 様. 目標に到達したかという一律の達成. 化 さ れ た 「児 童 生 徒」 が ど れ だ け 諸. 教 育 目 標 や 達 成 目 標 に 対 し て、 抽 象. け る こ と が で き よ う。. の 「教 育 の 再 方 向 性」 と し て 位 置 づ. 人権と教育との歴史的枠組みの中で. な 社 会 ) と の か か わ り を 導 く 点 で、. い う 個 人 の 主 体 的 な 社 会 (持 続 可 能. ワ ー ド で あ る 変 容 は 、「 わ た し 」 と. 構 成 さ れ て い る。 本 書 の 重 要 キ ー. 学習への権利の内容の具現化として. る」 一 人 ひ と り の 人 間 的 成 長 を 伴 う. て「 選 択 肢 を 広 げ 可 能 性 を 追 求 す. る で あ ろ う 課 題 に 向 き 合 い 」、 そ し. る 内 容 で あ り 、「 人 生 の 中 で 直 面 す. 教育は個人の尊厳を確かなものにす. こ と が 示 さ れ て い る。 つ ま り、 そ の. 教育アプローチを土台としている」. 後者はあらかじめ用意された一定の. 人 (当 事 者) へ と 自 己 を 『変 容』 し. れ て い る 点 で 必 見 で あ ろ う。. 本. て 、「 わ た し 」 と い う 主 体 性 を 持 つ. か ら 援 用 し 、「 学 習 の UNECE. と : 人 ・ 教 授 法 ・ 教 育 シ ス テ ム」 を. て、 そ の よ う な 『変 容』 を 生 み 出 す. 必 要 が あ る こ と が 理 解 で き る。 そ し. に内包される教育価値の転. る ( 一 一 二 頁 )。 重 要 で あ る こ と は 、. 標 を 設 定 し て 教 育 を 提 供 す る。 一 方、. 教 育 」( =. す る 社 会 で あ ろ う。 そ う で な け れ ば、. これら恩恵が得られることを可能に. E S D. と こ ろ で、 こ れ ら 教 育 の 根 底 を 貫 いているのは先の非画一化であると. あらゆる命の営みとその尊厳の上に. E S D. )「 原 則 ( c )」 に Action Program お い て は 、「 は権利に基づく. G A P. E S D 4. E S D. 4. E S D. E S D. 38.

(3)

参照

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