• 検索結果がありません。

地すべりの変動地形解析による 地塊運動特性に関する基礎的研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地すべりの変動地形解析による 地塊運動特性に関する基礎的研究"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 佐 々 木 一 郎

学 位 論 文 題 名

地すべりの変動地形解析による 地塊運動特性に関する基礎的研究

学位論文内容の要旨

  日本 の総 農地 面積 の約4割に あた る中 山間 地域 には 、地 すべ り地 が 多く 分布 して いるが、

農 林 業 生 産 の 主 要 な 場 であ るこ とか ら、 近年 、生 産性 の向 上 を図 るた めの 水田 区画 整理 や 農 道 ・ 林 道 建 設 等 の 基 盤整 備が 進め られ るよ うに なっ た。 こ れら 大規 模な 地形 改変 に伴 つ て 地 す ぺ り 災 害 が 誘 発 され るた め、 地す ぺり 運動 特性 を考 慮 に入 れた 土地 利用 ・地 形改 変 手 法の 開発 が求 めら れて いる 。

  地 す ぺ り 現 象 は 一 般 にそ の変 動痕 跡が 地形 とし て残 るこ と から 、こ の変 動地 形か ら運 動 特 性 を 抽 出 す る こ と が 重要 とな る。 しか し、 地す べり の変 動 地形 がど のよ うな 地す ぺり 運 動 に よ っ て 形 成 さ れ た かに つい ては 未解 明で あり 、と くに 左 右側 部を 含む 平面 的形 態お よ ぴ その 三次 元的 運動 に関 する 地形 ・運 動 情報 は収 集・ 整理すら ・されてこなかった。そこで 本 研 究 で は 、 地 す ぺ り 現象 の典 型で ある 地塊 型平 面地 すべ り に焦 点を あて 、地 すべ り変 動 地 形と 運動 特性 との 関連 を明 らか にす る こと を目 的と した 。

  近 畿 地 方 中 山 間 地 域 の災 害に 直結 した 地塊 型地 すべ り地 を 研究 対象 とし 、地 すべ り変 動 地 形 の 解 析 に よ り 、 特 異地 形の 形成 をも たら す地 すべ り三 次 元運 動特 性を 解明 する こと と し た 。 こ れ ら の 地 す ぺ り地 の中 から 、地 塊型 平面 地す べり の ニつ の類 型を 示す 黒谷 ・狸 谷 地 す ぺ り 地 を 典 型 事 例 とし て、 地す ぺり 地に おけ る変 動地 形 と地 すべ り運 動と の関 係を 考 察 す る 地 す ぺ り 地 形 解 析と 、な らぴ に運 動主 体で ある 地す べ り地 塊構 造お よび 運動 を規 定 す る す べ り 面 構 造 解 析 を行 った 。そ して これ らの 結果 と各 地 の現 場計 測デ ー夕 等か ら得 た 運 動 実 態 の 再 現 結 果 と を総 合し て、 地す ぺり 現象 の変 動地 形 ・す ぺり 面構 造・ 運動 の相 互 関 係を 考察 した 。

  側 部 の 滑 落 崖 ( 閉 塞 ・開 口) と陥 没帯 に焦 点を あて た地 す べり 地の 変動 地形 解析 にも と づ き、 平面 形態 を各 部位 の変 動地 形を 形 成し た変 形要 素cei張 ・圧 縮 ・剪 断) によ って類型 化 した 。こ れに よる と、 頭部 と末 端部 の 変形 はい ずれ もそれそ れ弓|張、圧縮であるが、側 部 の変 形に っい てみ ると 、黒 谷地 すぺ り 地は 弓f張・ 弓| 張の 組合 せ (平 面形 態I)に、狸谷 地 す べ り 地 は 弓1張 ・ 剪断 の組 合 せ( 平面 形態II)に分 類さ れ た。 さら に横 ズレ 性を 考慮 す る と 、 平 面 形 態Iは 側 部 の 一 方 の み が 横 ズ レ 大 と なり 、平 面 形態IIは 両側 部で 横ズ レ大 と な った 。

  っ ぎ に こ れ ら の 変 形 要素 と側 部横 ズレ の大 小と いう 平面 形 態の 特徴 から 、地 すべ り地 塊 運 動 様 式 を 運 動 学 的 に 考 察 し 、 平 面 形 態Iで は 並 進・ 平面 的 回転 運動 、平 面形 態IIでは 並 進 運 動 を と る こ と 、 そ して これ らの 地塊 運動 によ って その 周 囲の 各部 位に その 運動 に応 じ

101

(2)

  た変動地形が現れるという仮説を提示した。とくに、地すべり地形に見られる左右非対称 性は、この左右の変形性(弓f張・剪断)の違いと平面的な回転運動による横ズレの大小に   よって現出したものであること、また、左右側部の変動地形の変形性が異なっているのは 平面形態II、回転の要素によって左右の移動量や移動方向が異なっているのは平面形態I で ある ことを示した。この形態分類にもとづいて、59ケ所の地すべり変動地形解析を行 っ た と こ ろ80% を占 める 平面 地すべ り(20% は円 弧地 すべ り) のう ち、 平面 形態Iが   84% 、平 面形 態Hが16% を占 める こと 、ま た平 面形 態Iは 二次 すべり型、平面形態II は初生・再発すぺり型であることが明らかとなった。

  地塊型平面すべりの平面形態は様々で、塑性的変形・地塊ブロック化・崩壊・流動等、

他の斜面変動と類似の態様を呈するものであるが、これらはすべり面の凹凸・地すべり地 塊の性状・地すべり進行度合等の規定を受けて、多様な変動を出現させているものと考え た。しかし、すぺり面構造に規定される運動が基本的であることから、地質調査にもとづ き、すぺり面を主すべり面(底部すぺり面・側部すぺり面)と派生すべり面(主働崩壊面・受 働崩壊面)に、地すべり地塊を主すべり面上の主地すぺり地塊と派生すぺり面上の派生地塊 cec張変形地塊・圧縮変形地塊)に区分し、主すぺり面構造のモデル化を行った。これによ っ て、 平面形態Iでは底部すぺり面が主となる構造I、平面形態IIでは底部すぺり面と側 部すぺり面がクサピ構造をなす構造IIのすぺり面構造をとるものとした。すべり面構造実 態調査によって、この平面形態とすぺり面構造との関係にっいてみたところ、すべり面構 造Iの93% が平面 形態Iを 、す ぺり 面構 造IIの すぺ てが 平面 形態IIを示すことが明らか になった。

  っぎに、地すべり地塊がすべり面構造に規定されてどのような運動様式をとり、どのよ うな地すぺり変動地形が形成されるかにっいて検討を行った。移動杭による表面移動量と 孔 内傾 斜計による地中移動量との現場観測データによって、平面形態I.すべり面構造I の地すぺり地においては並進・平面的回転運動が、また平面形態II・すべり面構造IIの地 すべり地においては並進運動が行われていることの実態を明らかにした。すナょわち平面形 態I( 船木 地すべ り地 )で は、 主地 すべり地塊の地表部(すぺり面)では、角速度4.6x 10−5 rad/day(8.6X10−5rad/day)の平 面的 回転 運動 と6.2mm/day(5.Omm/day)の 並 進運動が確認された。これに対し、平面形態II(山田地すべり地)では平面的回転運動は ほ とん どみ られ ず、 主地 すべ り地 塊の地表部(すべり面)で0.24mm/day(0.09mm/day) の並進運動が認められた。

  これらは、すぺり面構造とこれに規定された地すぺり地塊の運動学的考察と、その形態 をモデル化した模型の検討によっても確認された。また、地表部とすぺり面付近では移動 量・移動方向が異なっていているケース、主地すべりでの上下方向での移動量の異なるバ ターン、平面的回転方向が地すぺりの進行に伴って反転するケース等の運動実態が明らか に凝った。

  以上のことから、平面地すべりの地塊運動は、構造Iの並進・平面的回転と構造IIの並 進の大きくニつの運動様式をとり、すべり面構造とこれに規定された地塊運動によって、

地塊周囲の各部位は変形をうけ、地表にはその変形によって地すべり変動地形の平面形態 i‑nを 現出 させる こと にな ると いう 、すべり面構造・地塊運動・変動地形の三次元的相 互関係が明らかになった。

  従来、非対称的変動地形の原因、局所的な運動と地塊運動の差異、地塊部位ごとの移動

102

(3)

方向・移動量の差異、すべり面傾斜方向と移動方向の偏差などについては明らかにされて こなかったため、地すべり機構解析および地すべり対策上に問題があった。しかし本研究 によって、地塊型地すぺりのニっの類型を取り出し、それがすぺり面構造とこれに規定さ れた運動(とくに形態Iの平面的回転運動)によって説明し得ることが明らかになったこと から、地すべり三次元安定解析・地すぺり三次元対策工事設計の可能性、ならびに地すべ り 地 塊の 変 動 特性 に 対応 し た 土地 利 用・ 地 形 改変 計画検 討の可能性 が提示さ れた。

103

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

新谷 中村 笹 山田

学 位 論 文 題 名

    融 太士 賀一郎     孝

地すべりの変動地形解析による 地塊運動 特性に関する基礎的研究

  本 論 文 は 、 図40、 表10、 写 真11を 含 む 総 頁 数150の 和 文 論 文 で あ り 、 他 に 参 考 論 文6編 が 添 え ら れ て い る 。

  地 す べ り 地 で は そ の 変 動 痕 跡 が 地 形 に 残 存 す る こ と か ら 、 そ の 変 動 地 形 か ら 運 動 特 性 を 抽 出 す る こ と が 対 策 計 画 立 案 上 重 要 と な る 。 し か し 地 す べ り 変 動 地 形 の 形 成 機 構 は 未 解 明 で あ り 、 と く に 左 右 側 部 を 合 む 平 面 形 態 お よ ぴ そ の 三 次 元 運 動 に 関 す る 地 形 ・ 運 動 情 報 は 収 集 ・ 整 理 す ら さ れ て こ な か っ た 。 本 研 究 は 、 地 す べ り 災 害 が 多 発 す る 地 塊 型 地 す ぺ り の 変 動 地 形 解 析 に も と づ く 三 次 元 運 動 特 性 の 解 明 を 目 的 と し た も の で あ り 、 そ の 成 果 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る 。

1. 研 究 方 法

  近 畿 地 方 中 山 間 地 域 の 地 塊 型 平 面 地 す べ り 地 を 研 究 対 象 と し た 、 地 す べ り 地 形 と 運 動 と に 関 わ る 変 動 地 形 解 析 、 地 す べ り 地 塊 の 地 質 構 造 と 運 動 を 規 定 す る す べ り 面 構 造 解 析 、 な ら び に 現 場 移 動 計 測 デ ー 夕 等 に も と づ く 運 動 再 現 解 析 と か ら な る 、 地 す べ り 地 塊 運 動 特 性 の 総 合 解 析 手 法 を 提 起 し て い る 。

2. 変 動 地 形 解 析 に よ る 地 す べ り 平 面 形 態 特 性

  側 部 の 滑 落 崖 ( 閉 塞 ・ 開 口 ) と 陥 没 帯 に 焦 点 を あ て 、 各 部 位 の 変 形 要 素 ( 引 張 ・ 圧 縮 ・ 剪 断 ) に よ っ て 平 面 形 態 の 類 型 化 を 行 い 、 左 右 両 側 部 と も に 引 張 変 形 で 側 部 一 方 が 横 ズ レ 大 の 平 面 形 態Iと 、 両 側 部 が 弓I張 と 剪 断 変 形 で と も に 横 ズ レ 大 の 平 面 形 態IIに 分 類 し て い る 。こ の 形 態 分 類 に も と づ い て 、59ケ 所 の 地 す べ り 変 動 地 形 解 析 を 行 な い 、 平 面 形 態Iが 地 塊 型 平 面 地 す べ り の 大 半 (84% ) を 占 め そ の 多 く が 二 次 す べ り 型 を 呈 す る 一 方 で 、 平 面 形 態IIの 多 く が 初 生 ・ 再 発 す べ り 型 を 呈 す る こ と を 明 ら か に し て い る 。

(5)

   っぎ にこ れら 平面 形態 をも たら す地す べり地塊運動様式を運動学的に考察し、地すべり地 形 の左 右非 対称 性が 側部 変形 要素 の差異 (引張・剪断)とともに横ズレをもたらす平面的回 転 運動 によ るも ので ある こと 、そ してこ の平面的回転運動が左右の移動量・移動方向の異な る 平 面 形 態 I を形 成す るこ と、 すな わち 平面 形態 I は並 進・ 平面 的回 転運 動( 平面 形態II は 並 進運 動) に起 因す るも のと 示唆 してい る。

3. すべり面構造特性と平面形態特性

   すべり面を主すべり面(底部・側部)と派生すべり面(主働・受働)、地すべり地塊を主すべ り面上の主地すべり地塊と派生すべり面上の派生地塊(引張変形・圧縮変形)の区分による、

す べり 面構 造の モデル 化を 行っ てい る。 そし て地すべり地質調査結果にもとづいたすべり面 構 造 解 析 に よ っ て 、 底 部 す べ り 面 を 主と す る す べ り 面 構 造 I の 93 %が 平 面 形態 I を、 また 底 部と 側部 のす べり面 がク サピ 構造 を呈 する すべり面構造II のすべてが平面形態II を示すな ど 、平 面形 態と すべり 面構 造と の対 応関 係を 明らかにしている。すなわち、地塊型平面地す べ りの 平面 形態 は、す べり 面の 凹凸 ・地 すべ り地塊の性状・地すべり進行度合等のなかでも と く に す べ り 面 構 造 に 規 定 さ れ た 地 塊 運 動 を 反 映 し た も の と し て い る 。 4. 移動 観測 デー 夕解 析に よる 地す べり 地塊 運動 特性

   移動 杭に よる 表面 移動 量と 孔内 傾斜 計に よる 地中 移動 量によ って 、すべり面構造に規定さ れる地 すべ り地 塊運 動特 性と 地す べり 変動 地形 との 関連 につい て検 討を行っている。その結 果、 平 面 形 態 I ・ す べ り 面 構 造I の 地 すべ り試 験地 では、 主地 すべ り地 塊の 地表 部・ すべ り 面 に お け る 6.2mm7day . 5.Omm7day の 並 進 運 動 と 角 速 度 4.6 x10 − 5rad/day . 8.6X10‑s rad / day の 平 面 的 回 転 運 動 を 、 ま た 平面 形態 II . すべり 面構 造II の地 すべ り試 験地 では 主 地す べ り 地 塊 の 地 表 部 ・ す べ り 面 で 0.24mm/day . 0.09mm/day の並 進運 動を 抽出 して いる 。 これら 並進 ・平 面的 回転 運動 につ いて は、 すべ り面 構造 ・平面 形態 の地すべり模型による運 動再現 実験 によ って も確 認さ れた こと から 、す べり 面構 造に規 定さ れた地すべり地塊運動特 性を解 明し てい る。

5. 地す べり 地塊 運動 機構 の解 明と 三次元 安定 対策

   すべ り面 構造 ・地 塊運 動・ 変動 地形の 三次 元的相互関係の運動学的検証を行い、主地すべ り 地塊 の上 下方 向で の移 動量 の差 異、地 表部 とすべり面における移動量・移動方向の差異、

地 すべ りの 進行 に伴 う平 面的 回転 方向の 反転 等、地すべり地塊の多様な運動機構を解明して い る。 さら に本 研究 の成 果に もと づいて 、地 すべりの三次元安定解析およぴ対策・優先順位 の 選択 や三 次元 対策 工事 設計 の可 能性、 さら には地すべり地塊の変動特性に対応した土地利 用 ・地 形改 変計 画の 可能 性を 提起 してい る。

   以上 のよ うに 本研 究は 、地 すべ りの変 動地 形・すべり面構造・地塊運動の相互関係を運動 学 的に 解明 した もの であ り、 その 成果は 学術 ・応用両面から高く評価される。よって審査員 一 同 は 、 佐 々 木 一 郎 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受け る 十 分 な 資 格 が あ る も のと 認定し た。

     ― 105 −

参照

関連したドキュメント

区域内 下飯野新 神明社 山側 尾根. 区域内 板屋 神明社

ストックモデルとは,現況地形を作成するのに用

こうした背景を元に,本論文ではモータ駆動系のパラメータ同定に関する基礎的及び応用的研究を

This paper considers a possibility of decision whether the robot hand is having a correct work or not by using the analysis of the mechanical vibration of robot that is doing

方法 理論的妥当性および先行研究の結果に基づいて,日常生活動作を構成する7動作領域より

Terwindt (1995) : Extracting decadal morphological behavior from high-resolution, long-term bathymetric surveys along the Holland coast using eigenfunction analysis, Marine

担い手に農地を集積するための土地利用調整に関する話し合いや農家の意

地盤の破壊の進行性を無視することによる解析結果の誤差は、すべり面の総回転角度が大きいほ