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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 澤 田 宙 広

    

学位論文題名

Existence and regularity of the Navier‑Stokes flow   with non‑decaylngornon

―regularinitialVelOCity

    

( 非 減 衰 又 は 非 正 則 な 初 期 速 度 に 対 す る

    

ナヴイエ・ストークス流の存在と正則性について)

学位 論文内容の要旨

  

流 体 の 運 動 を 表 す

Navier

Stokes

方 程 式 の 数 学 的 な 考 察 は

70

年 前 に 始 ま り 、 今 尚 活 発 に 研 究 さ れ て いる 。そ れは 純粋 に数 学の 問題 と して の 興 味 か ら だ け で な く 、 物 理 学 や 医学 など の他 の分 野へ の応 用が 広 範に 及 ぶた めで もあ る。 事実 、それ らからの要請もあり、現在のN avier −Stokes 方 程 式 の 研 究 に は 実 際 の 物 理 モ デ ル を 反 映 さ れ た も の が 多 い 。

  

物 理 現 象 と し て 流 体 の 運 動 を 観察 する のに 、小 さい 領域 の中 で の運 動 を 変 数 変 換 に よ り 拡 大 し て 考 え る事 がよ く行 われ る。 そう する と 、空 間 無 限 遠 に お い て 解 は 減 衰 し て お らず 、例 えば 有界 なも のを 扱う 必 要が 出 て来 る。 本論 文の 主目 的の ーっ は 、Navier 一Stokes 方程 式の初期値問題を 考 え 、 空 間 無 限 遠 で 減 衰 し て い ない 初期 速度 を与 えて 、こ の問 題 の解 を 与 え た り 、 ま た 得 ら れ た 解 の 性 質 を 調 べ た り す る 事 に あ る 。

  

近 年 の 研 究 に よ り 、 こ の 問 題 に対 する 時間 局所 解の 存在 は示 さ れて い る 。 そ こ で

2

次 元 の 場 合 に つ い て の 考 察 を 行 い 、 以 下 の 結 果 を 得 た : 定 理

1

. 初 期 速 度 を 有 界 か つ 一 様 連 続 な 関 数 と す る 。 こ の 時、 滑 らか な 時間大域解が唯一つ存在する。

  

無 限遠 で減 衰し てい る問 題に つ いて はエ ネル ギー法を 用いて示される。

し か し定 理1 の 状況 では エネ ルギ ーが 無限 大で ある から 、こ の方 法 は使 え ない 。そ こで 渦度 の振 舞い に注 目 し、 その 渦度 の有界性 を用いて示した。

  

次 元 が

3

以 上 に つ い て は 、

1934

年 に

J.Leray

が 弱 解 の 概 念 を 導 入 し 、 その時間大域解を構成した。この時間大域的な弱解の正則性(及び一意性)゛

は 有 名 な 未 解 決 問 題 で あ る 。

1960

年 代に

H.F

uita

とT .Kato が 積 分方 程

式 の 概 念 を 導 入 し 、 初 期 速 度 に 滑ら かさ を仮 定し て、 滑ら かな 時 間局 所

解 を 構 成 し た 。 そ の 後

80

年 代 に 、

T

Kato

Y

Giga

T

Miyakawa

の 研 究 に よ っ て 、 非 正 則 な 初 期 速度 に対 する 滑ら かな 局所 解が 構 成さ れ

てい る。 近年 にお いて は、 さら に 正則 性を 下げ たときの 研究が、多くの研

究 者 に よ っ て な さ れ て い る 。 本 論 文 で は

Besov

空 間

q

q

又 は 斉 次

Besov     

―77 ―

(2)

空 間 嘩 ,

g

に お い て 、

s<0

の 場 合 を 調 査 し 、 以 下 の 結 果 を 得 た : 定 理

2. n>2

n

p

oo

1

g

< 一

00

0<

ど く

1‑ n/p

と す る 。 初 期速度をBp5 (R )に与えた時、滑らかな時間局所解が構成できる。また

Bp5

R

)でも ど

‑0

を除い て,同様 に滑らかな局所解が構成できる。

  p=

ニoo の時、この関数空間は無限遠で減衰していない関数を含み、今 までに解の構成が出来た空間の中で最も大きなものである。この局所解 は 、逐次近 似法によって構成する。その際に、Besov 空間での

Holder

の 不等式を新たに導入した。

  

得られた解が正則であれば、それがさらに解析的であるかどうかが問 題 と な る。

1967

年 に

K.Masuda

は 、 外 力項 の ある

Navier‑Stokes

方程 式の初期値境界値問題を考え、外カァが時間と空間変数について解析的 で あれば、 弱解が領域の内部で解析的である事を示した。その2 年後に

C.Kahane

が 全空間の 問題に対 して、外 カノが空間変数について一様に 解析的であれば、弱解も空間変数について局所解析的である事を示した。

そこで本論文では、全空間での滑らかな解について考察を行い、以下の 結果を得た:,

定 理3. 外カァ は空間変 数につい てある程 度の解析性を満たしていると する。このとき、滑らかな解は空間変数について解析的であり、その収 束 半 径 は 空 間 変 数 に 一 様 で あ って 更 に時 間 と とも に 大 きく な る。

  

具体的には解の導関数について、正則性f 又、時間大域解の場合には減 衰〕のレートを導いた。解の全ての微分まで込めて、正則性のレートが計 算できたので、空間変数についての解析性のレート、即ちTaylor 展開の 収束半径の評価も得た。これらのレートの評価には微分の階数に対する 帰納法を用いて示される。その際には、新たに用意したGronwall の不等 式が重要な役割を果たした。

  

また本論文では,熱対流を表すBoussinesq 方程式についても,一般次

元 の滑らか な局所解の存在と,2 次元の場合の大域存在を導いている.

(3)

学位 論文審査 の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 助 教 授

儀 我 小 澤 神 保 津 田 谷

美 一     徹 秀 一 公 利

    

学位論文題名

Existence and regularity of the Navier‑Stokes flow   with non‑decaying or non‑regular initial velocity

    

( 非 減 衰 又 は 非 正 則 な 初 期 速 度 に 対 す る ナヴィエ・ストークス流の存在と正則性について)

  流体の 運動を 表すNavier一Stokes方程式の数学的な考察は70年前に始ま り、今尚活発に研究されている。それは純粋に数学の問題としての興味から だけでなく、物理学や医学などの他の分野への応用が広範に及ぶためでもあ る。事実、それらからの要請もあり、現在のNavier・Stokes方程式の研究に は実際の物理モデルを反映されたものが多い。

  物理現象として流体の運動を観察するのに、小さい領域の中での運動を変 数変換により拡大して考える事がよく行われる。そうすると、空間無限遠に おいて解は減衰しておらず、例えぱ有界なものを扱う必要が出て来る。本論 文の主目的のーっは、Navier‑Stokes方程式の初期値問題を考え、空間無限 遠で減衰していない初期速度を与えて、この問題の解を与えたり、また得ら れた解の性質を調べたりする事にある。

  近年の研究により、この問題に対する時間局所解の存在は示されている。

そこで本論文では2次元の場合についての考察を行い、以下の結果を得た:

主結果1.初期速度を有界かつ一様連続な関数とする。この時、滑らかな時 間大域解が唯一つ存在する。

  無限遠で減衰している問題についてはエネルギー法を用いて示される。し かし上の状況ではエネルギーが無限大であるから、この方法は使えなぃ。そ こ で 渦 度 の 振 舞 い に 注 目 し 、 そ の 渦度 の 有 界 性を 用 い て 示し た 。 ゛   次元が3以上に ついては、1934年にJ.Lerayが弱解の概念を導入し、その 時間大域解を構成した。この時間大域的な弱解の正則性(及ぴ一意性)は有名 な未解 決問題 である 。1960年代 にH.FuitaとT.Katoが積 分方程 式の概念 を導入し、初期速度に滑らかさを仮定して、滑らかな時間局所解を構成した。

その後80年代に 、T.KatoやY.GigaとT.Miyakawaらの研究によって、非 正則な初期速度に対する滑らかな局所解が構成されている。近年においては、

さらに正則性を下げた場合の研究が、多くの研究者によってなされている。

79

(4)

本 論 文 で はBesov空 間 ヰ ,g又 は 斉 次Besov空 間B;gに お い て 、s<0の 場合を 調査し 、以 下の結 果を得 た:

主結 果2.n〉―2np oo,1≦g< −ooO<e1‑ n/pと す る 。初 期 速 度 をB五;(聽J)に与えた時、滑らかな時間局所解が構成できる。またB五;(R ) でもe‑0を除 いて, 同様 に滑ら かな局 所解が 構成 できる 。

  p ‑ ooの 時 、 この 関 数 空 間 は無 限 遠 で 減 衰し て い ない関 数を 含み、 今まで に解 の 構 成 が 出 来た 空 間 の 中 で最 も 大 き な もの で あ る。こ の局 所解は 、逐次 近 似 法 に よ っ て 構 成 す る 。 そ の 際 に 、Besov空 間 で のHolderの 不等 式 を 新 たに導 入した 。

  得 ら れ た 解が 正 則 で あ れぱ 、 そ れ が さ らに 解 析 的で ある かどう かが問 題と な る 。1967年 にK.Masudaは 、 外 力 項 の あ るNavierStokes方 程 式 の 初 期 値境 界 値 問 題 を 考え 、 外 カ ノ が時 間 と 空 間 変数 に つ いて解 析的 であれ ぱ、弱 解 が 領 域 の 内 部 で 解 析 的 で あ る 事 を 示 し た 。 そ の2年後 にC.Kahaneが 全 空 間の 問 題 に 対 し て、 外 カ ァ が 空間 変 数 に っ いて 一 様 に解析 的で あれば 、弱解 も空 間 変 数 に つ いて 局 所 解 析 的で あ る 事 を 示し た 。 そこで 本論 文では 、全空 間 で の 滑 ら か な 解 に つ い て 考 察 を 行 い 、 以 下 の 結 果 を 得 た : 主 結 果3‑外 カ ノ は 空 間 変 数 に つ い てあ る 程 度 の 解析 性 を 満 た して い る と す る。 こ の と き 、 滑ら か な 解 は 空間 変 数 に つ いて 解 析 的であ り、 その収 束半径 は 空 間 変 数 に 一 様 で あ っ て 更 に 時 間 と と も に 大 き く な る 。   具 体 的に は解の 導関数 につ いて、 正則性 (又、 時間大 域解 の場合 には減 衰)

のレ ー 卜 を 導 い た。 解 の 全 て の微 分 ま で 込 めて 、 正 則性の レー トが計 算でき たの で 、 空 間 変 数に つ い て の 解析 性 の レ ー ト、 即 ちTaylor展開 の収 束半径 の 評価 も 得 た 。 こ れら の レ ー ト の評 価 に は 微 分の 階 数 に対す る帰 納法を 用いて 示 さ れ る 。 そ の 際 に は 、新 た に 用 意 したGronwallの 不等 式 が 重 要 な役 割 を 果たし た。

  ま た 本 論 文 で は , 熱 対 流 を 表 すBoussinesq方程 式 に つ い ても , 一 般 次 元 の 滑 ら か な 局 所 解 の 存 在 と ,2次 元 の 場 合 の 大 域 存 在 を 導 い て い る . 以上 の よ う に 、 本論 文 で はNavier‑Stokes方 程 式 の初 期 値 問 題 の 可能 性 に 新 たな 知 見 を 与 え 、解 の 滑 ら か さに つ い て も 精密 な 結 果を導 いた 。本研 究は非 線形 偏 微 分 方 程 式論 に 対 し て の重 要 な 寄 与 であ る 。 よって 著者 は、北 海道大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 が あ る も の と 認 め る 。

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