Title
固体高分子の凝集構造と機能性に関する研究( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
綱島, 研二
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第048号
Issue Date
1996-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1769
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を を 料 と LK. れ し を iC 高 こ 0 氏 名(本 籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題 目 学位論文審査委員 綱 島 研 二(京都府) 博 士(工学) 甲第 48 号 平成 8 年 3 月 25 日 物質工学専攻 固体高分子の凝集構造と機能性に関する研究 (主査)教 授 矢 野 紳 一 (副査)教 授 川 村 尚 教 授 三 輪 賓
論文内容の要旨
本論分は主鎖に凝集構造をもつ主鎖型高分子液晶である液晶性エポキシ樹脂、お よびフッ素化ポリエステル液晶、さ らに、側鎖イ オン基が凝集するエチレンアイ オノマ一について、その凝集構造と機能的性質、また相転移について述べている。 以下にその成果を示す。 (1) 液晶性熱硬化塑樹脂は、その樹脂の牲質に、さらに高分子液晶の倭れた 機能的牲貿を加えることが出来るため、最近新しいエンジニアリ ングプラスチッ ク と して注目されている。本研究は、新しい液晶性エポキシ樹脂の開発と、その 構造、および液晶相転移を解明している。最近、液品性エポキシ樹脂は、2、3 の研究者によ り開発されているが、それらは液晶性ジュポキサイドに市販の有機 アミ ン系硬化剤を用いていたものである。本研究は、液晶性化合物、4.4'-ビス (w一カルポキシアカノキシ)アゾキシベンゼン(C A^10)を合成し、このC^Al Oを硬化剤と してジュポキサイドである4,4'-ビス(2,3-エポキシプロポキシトビス フェノールA(B P A)、あるいは4,4'-・ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3',5,5 '-テトラメチルビフェニル(M B P)との硬化反応を行い、液晶を開発している。 硬化反応機構を1Rスペクトルによ り解析し、ゲル化したBI-∧-C A^10、およ びM BI)-C∧AlOポリマーの分岐度は、それぞれ8、%、および6%と見積もった。 次に、1iP..∧-C∧AlOではゲル化前では7 0∼9 0℃にスメナック相類似の液晶 相が存在したが、ゲル化後は存在しなかった。M BI)-C A AlOでは、ゲル化前で はスメナック相類似の液晶相が6 7 ∼8 3℃に、またゲル化後は4 2 ∼ 8 2℃に ネマチック相類似の液晶和が存在した。ゲル化したB f)A-C A^10†およびM rミ Ⅰ)-C∧∧10の熱膨張係数は、Tgよ り低温域でそれぞれ3.4×10 ▲、および6.9×1 0【4(℃▼ l)と′トさかった。 (2) ポリエステル液晶は代表的な主銃型高分子液晶と して、塵磋研究、さ ら には_l二巣材利と してのJ心ノl】が広く研究されている。本研究は、ポリ(4-ヒドロキシ 安息香椴)(l}IIIりの4 フツ化化合物であるポリ(`トヒドロキシー2,3,5,6一テトラフ ルオロ安息香椴)(4 F-Ⅰ)ⅠIn)の相転移と分子運動を明らかにしている。4IJ-l)ー49-IlIiは熱履歴によ り複雑な仰転移挙動を示すが、基本的には・昇温過程でⅠ)11Ilよ り約18 0℃低い2 51∼2 5 2℃に融点があり、それより高温域でネマッチク 液晶凧を示す。降温過程では結晶化が2 0 3℃付近で起きる。次に、誘電緩和、 および動的鮎弾性測定より,高温域よりα‥ α、およびβ緩和が、1kltzで、それ ぞれ216、3 9、および-3℃付近に存在した。α。緩和は、結晶域の分子運動 に、またα、およびβ緩和は、それぞれT gよ り高温域の主分散、および低温域 の局所援和に帰属された。4 F-Ⅰ)l-IBでは高温域に結晶域に緩和が存在し、さら に温度を上げると融解し、ネマチック相を示すことが明らかにされた。 (3) アイオノマーでは、疎水性高分子マトリックス中に存在する少量の親水 性イオン基が相分離を起こし、イオン凝集体を形成する。このイオン凝集体がア イオノマーの特徴的な性質を支配していることが知られている。本研究は、代表 的なエチレンアイオノマーであるエチレンーメタクリ酸(5.4m ol%)共重 合体のZ n塩、およびそのl.3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン錯塩(Z n -B A C錯塩)について、遠赤外吸収スペクトル(F T-IR)、およびX線吸 収(r;X^F S)測定を行い、イオン凝集体の 構造と物牲について調べる。そ の結果、イオンクラスターは、共有結合性のZ n塩では形成されていないが、イ オン結合性のZ n-B^C塩では形成されている。さらに、最近提案されている イオンクラスターは、室温ではその内部が秩序構造を持ち、50℃程度より高温 域では無秩序状態になるとする秩序一無秩序転移モデルの正当性を明らかにして いる。
論文審査の結果の要旨
本研究は高分子液晶及びアイオノマ一について、その凝集構造及び諸物性を調 べ、さらに凝集構造による新しい機能の発現を探求したものである。第一に、液晶性エポキシ樹脂の開発とその硬化反応機構及び液晶相転移、さら
には熱膨張率について研究している。エポキシ樹脂はよく知られているように、 強い接着性と優れた物理、化学的な性質をもつエンジニアリングプラスチックと して広く使われている。液晶エポキシ樹脂は高分子液晶のもつ低熱膨張率、低成 形収縮率、高弾性寧等優れた性質をもつ新しいエポキシ樹脂と して着目される。 本研究はジエポキサイドを液晶牲硬化剤により反応硬化させ、新しい液晶牲エポ キシ樹脂を開発している。具体的には、液晶性硬化剤として 4I4-ビス(山一カルポキシアカノキシ)アゾキシベンゼン(CAAlO)を合成して、これを
2種類のジュポキサイド,ビスフェノールAジグ・リシジルエーテル(BPA)及びテトラメチルビ
スフェノールジグリシジルエーテル(MBP)を反応硬化させた液晶エポキシ樹脂を
開発している。この Bl)^-C^^10及び MBP-C^^10エポキシ樹脂はスメクチック相、 あるいはネマチック相をもつ高分子液晶であることを見出している。さらに熱膨 脹係数はガラス状態で1‡P∧-C^^10では 3.4XlO▲.℃ ▼l、MRt)-C^^10では2.1XlOJJ℃-50-でP ‖ 不 マ ッ 誘電緩和 IIzで、 の分子 び低温 在し、 〉量の叔 巨集体が :は、代 %)共