す地盤と上部構造の影響( 本文(Fulltext) )
Author(s)
木下, 幸治
Citation
[土木学会論文集A1(構造・地震工学)] vol.[68] no.[4]
p.[I_509]-[I_522]
Issue Date
2012
Rights
Japan Society of Civil Engineers(公益社団法人土木学会)
Version
出版社版 (publisher version) postprint
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/53186
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。円柱を有する既設鋼製ラーメン橋脚の
地震応答特性に及ぼす地盤と上部構造の影響
木下 幸治
1 1正会員 岐阜大学助教 工学部社会基盤工学科(〒501-1193 岐阜市柳戸1-1) E-mail:[email protected] 都市内高架橋梁の交差する箇所等に円柱を有する鋼製ラーメン橋脚が多数採用されているが,このタイ プの橋脚に対する研究例は尐なくその耐震性能は必ずしも明確ではない.著者らは,円柱を有する既設鋼 製ラーメン橋脚を対象に実績調査を行うとともに,その結果に基づいて選定した異なる形状の既設橋脚を 対象にその耐震性能を把握してきた.本研究では,対象橋脚の地震応答特性に影響を及ぼすと考えられる 地盤と上部構造のそれぞれの影響について検討した.その結果,コンクリート充填による補強を行った場 合,地盤の影響は小さく,有利に働く場合もあることが明らかとなった.また,上部構造の影響として橋 軸方向の応答低減効果があるが,橋軸直角方向の応答には殆ど影響を与えないことが明らかとなった.Key Words : steel bridge frame piers, circular columns, ground springs, superstructures, earthquake response analysis
1. はじめに
兵庫県单部地震において,鋼製ラーメン橋脚の被害が 報告されている 1).鋼製ラーメン橋脚は,都市内高架橋 梁に多数採用されており,地震による被害状況によって は社会的・経済的な損失が大きい.そのため,このタイ プの橋脚の耐震性能を正確に把握し,補強の必要がある かどうか明らかにすることは重要な課題である.著者ら は既設の鋼製ラーメン橋脚のうち,耐震性能の検討例が 尐ない円柱を有する鋼製ラーメン橋脚(以下,円柱ラー メン橋脚)を対象とし,円柱ラーメン橋脚としての損傷 モードや損傷程度,地震応答等の耐震性能,および耐震 補強の有無の影響について弾塑性 FEM 解析を用いた調 査を行ってきた 2).その結果,実績調査結果を基に選定 した形状の異なる3 つの橋脚において,柱部材へのコン クリート充填といった耐震補強後はいずれの橋脚も大規 模地震動に対する耐震性能を満足することを示した2). 一方,既往の研究で注目されているように,橋脚の地 震応答に対して地盤 3),鋼桁とコンクリート床版等で構 成される上部構造等 4-6)についても影響を及ぼすと考え られることから,円柱ラーメン橋脚としての耐震性能評 価を行なう上でそれらの影響についても考慮する必要が あるかを明らかにすることが重要である. 他方,シェル要素を採用し鋼部材の局部座屈を考慮し た弾塑性 FEM 解析を用いた鋼製ラーメン橋脚としての 耐震性能評価は,従来のはり要素を採用したひずみ照査 法に比べ,より合理的であるとして期待されている 7). しかし,シェル要素を採用した鋼製ラーメン橋脚のモデ ルに加え,地盤や上部構造等を考慮した解析の実施には, 多大な計算コストを要することから,実務では鋼製ラー メン橋脚のみを対象に評価を行なうことが現実的であろ う.これより,鋼製ラーメン橋脚としての耐震性能評価 において,地盤や上部構造等の影響がそれほど大きくな い,または,耐震性能上有利に働くことが確認できれば, 鋼製ラーメン橋脚のみを対象に評価を行なうことが可能 となり,シェル要素を採用した弾塑性 FEM を用いた鋼 製ラーメン橋脚としての耐震性能評価を進めることがで きると考えられる. 本研究では著者らの既往の研究を基に,地盤と上部構 造のそれぞれの影響について弾塑性FEMを用いた地震応 答解析により把握し,既設の円柱ラーメン橋脚全体とし ての耐震性能を評価する上での地盤や上部構造のそれぞ れの考慮の必要性について考察した.2. 対象橋脚ならびに解析手法
(1) 対象橋脚対象橋脚を図-1 に示す.著者らは橋脚形状の異なる3 橋脚を対象に検討を実施してきており 2),それらの橋脚 のうち,コンクリート充填補強後に橋脚の応答が大きく なった2層ラーメン橋脚を本研究の対象橋脚とした.な お,著者らが実施した実績調査に基づいた橋脚選定理由 の詳細等については文献 2)を参照頂きたい.図-1(a)に 示すように,対象橋脚と隣接橋脚とのスパンは26.5m で ある.上部構造は鋼桁とコンクリート床版で構成されて いる.基礎構造は直径1.2m の杭 12 本である.対象橋脚 と隣接橋脚とでは柱基部の断面,並びに隅角部の断面の 板厚が異なる.地盤としては,2 種類検討した.図-1(d) に示す地盤は対象橋脚の実地盤であり,地盤種別は II 種地盤,深さ10m以下の N 値が 50 以上となっている. 図-1(e)に示す地盤は,より軟弱な地盤について検討する ことを目的とし,平成2 年の道路橋示方書8)に掲載され ている代表的な地盤種別III種を用いることとした. (2) 解析ケースと地震応答解析方法 解析ケースを表-1に示す.Case1~10は対象橋脚の橋 軸直角方向の地震応答に及ぼす地盤の影響の把握を目的 としており,対象橋脚のみをモデル化し,かつ橋脚中心 (d) II種地盤
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表土 火山灰 質粘 性土 粘性土 砂礫0
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表土 火山灰 質粘 性土 粘性土 砂礫 (c) 隣接橋脚 22350 8 7 2 5 (Unit: mm) 1500φ 1750φ 1 5 0 0 1 5 0 0 隅角13 9 1 7 0 t=28 t=28 t=40 t=28 t=28 t=36 t=25 t=28 t=25 t=28 隅角14 隅角12 隅角11 22350 8 7 2 5 (Unit: mm) 1500φ 1750φ 1 5 0 0 1 5 0 0 隅角13 9 1 7 0 t=28 t=28 t=40 t=28 t=28 t=36 t=25 t=28 t=25 t=28 隅角14 隅角12 隅角11 図-1 対象橋梁 (e) III種地盤8) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 N値 0 10 20 30 40 50 S波 速 度 (m/s) 600 500 400 300 200 100 0 As Ac Ac Ac Ac As 土 質 深さ (m ) 富 士 市 浮 島 地先: 地盤種 別III種 1200 9600 7200 1200 Φ1200 L=9000 1200 9600 7200 1200 Φ1200 L=9000 固定 支承 26.5m 対象スパン 対象 橋脚 隣接 橋脚 可動 支承 固定 支承 可動 支承 1200 9600 7200 1200 Φ1200 L=9000 1200 9600 7200 1200 Φ1200 L=9000 1200 9600 7200 1200 Φ1200 L=9000 1200 9600 7200 1200 Φ1200 L=9000 固定 支承 26.5m 対象スパン 対象 橋脚 隣接 橋脚 可動 支承 固定 支承 可動 支承 (b) 対象橋脚 (a) 対象スパン 22350 8 5 1 0 (Unit: mm) 1500φ 1750φ 1 5 0 0 1 5 0 0 隅角9 9 1 7 0 上部工重量 上層(W2):4053 kN 下層(W1):3481 kN t=28 t=25 t=34 t=28 t=22 t=40 t=22 t=34 t=25 t=34 隅角10 隅角8 隅角7 7200 4800 1200 1200 Φ1200 L=8000 1200 Φ1200 L=9000 7200 4800 1200 22350 8 5 1 0 (Unit: mm) 1500φ 1750φ 1 5 0 0 1 5 0 0 隅角9 9 1 7 0 上部工重量 上層(W2):4053 kN 下層(W1):3481 kN t=28 t=25 t=34 t=28 t=22 t=40 t=22 t=34 t=25 t=34 隅角10 隅角8 隅角7 22350 8 5 1 0 (Unit: mm) 1500φ 1750φ 1 5 0 0 1 5 0 0 隅角9 9 1 7 0 上部工重量 上層(W2):4053 kN 下層(W1):3481 kN t=28 t=25 t=34 t=28 t=22 t=40 t=22 t=34 t=25 t=34 隅角10 隅角8 隅角7 7200 4800 1200 1200 Φ1200 L=8000 1200 Φ1200 L=9000 7200 4800 1200 Φ1200 L=9000 7200 4800 1200に対称条件を与えたモデルC-N(図-2(a))を用いた.こ のため,橋軸方向を含めた地盤の3次元的な影響の把握 については今後の検討課題である.C-Nはコンクリート 充填の無いモデル,C-Conは橋脚の1層目の柱部材へのコ ンクリート充填を考慮したモデルを用いた.なお,充填 範囲は実際に耐震補強された範囲としている.C-N-GS, C-Con-GS,C-ConGS3には地盤,並びに基礎構造物の特 シェル要素 質点 橋脚頂部 固定 固定 固定 コンクリート床板(シェル要素) 鋼桁 (はり要素) 質点 隣接橋脚 (はり要素) 対象橋脚 (シェル要素) 600 1800 22 9 22 200 (Unit:mm) 桁断面 固定 固定 固定 固定 26.5m 26.5m 固定 固定 図-2 FEM解析モデル (c) 3次元に拡張した対象橋脚のモデルC-N(3D) (e) 隣接2径間考慮したモデルC-N-S2, C-Con-S2 (d) 隣接1径間考慮したモデルC-N-S1 Case 解析モデル 地震 波形 地盤ばね考慮 上部構造 1 C-N 2 C-Con 3 C-N-GS 4 C-Con-GS 5 C-Con-GS3 有(III種地盤) 6 C-N 7 C-Con 8 C-N-GS 9 C-Con-GS 10 C-Con-GS3 有(III種地盤) 11 C-N(3D) 12 C-N-S1 1径間 13 C-N-S2 14 C-Con-S2 15 C-N(3D) 重量のみ 16 C-N-S1 1径間 17 C-N-S2 2径間 ポー トア イラ ンド JR鷹 取駅 ポー トア イラ ンド JR鷹 取駅 2径間 無 重量のみ 無 有(II種地盤) 無 有(II種地盤) 橋脚頂部 橋脚底部 水平成分ばね 回転成分ばね 剛部材 質点 固定 固定 シェル要素 充填 範囲 充填 範囲 橋脚頂部 表-1 解析ケース (a) 柱基部を固定としたモデルC-N, C-Con (b) 地盤バネを考慮したモデル C-N-GS, C-Con-GS,C-Con-GS3
性を加味した集約ばね(以後,地盤ばね)を考慮したモ デル(図-2(b))を用い,C-N-GSとC-Con-GSはII種地盤, C-Con-GS3はIII種地盤から算出したばね定数を用いた. 地盤と基礎構造物の効果を地盤ばねにより表現する方法 は容易な手法ではあるが,地盤に対して平面ひずみ要素 を用いた弾性地盤メッシュモデルとの比較より概ね妥当 であることが,葛西ら3)により確認されている.また, 葛西ら3)は,等価線形化手法9)により非線形性を考慮した 地盤メッシュモデルでは,橋脚と地盤との固有周期が一 致しない場合には,橋脚の応答値が小さくなるといった 有利に働く可能性があることも示している3).以上より, 地盤と基礎構造物の効果については,地盤ばねを用いた モデルにより概ね把握できると考えられる. Case11~17は地震応答に及ぼす上部構造の影響の把握 を目的としており,対象橋脚を3次元に拡張したモデル C-N(3D)(図-2(c))に対象スパンの上部構造,支承,隣 接橋脚を考慮したモデルC-N-S1(図-2(d))とC-N-S2(図 -2(e))を用いて,橋軸方向,並びに橋軸直角方向の地震 応答に及ぼす上部構造の影響の把握を試みた.さらに, C-N-S2のモデルに対し,対象橋脚にコンクリート充填を 考慮したC-Con-S2を用いた.なお,上部構造の影響を検 討するモデルには地盤ばねを考慮していない. 図-3に入力地震波形の加速度応答スペクトルを示す. 入力地震波形として,地盤の影響を検討するモデルには JR鷹取駅スペクトル適合調整地震波形のEW成分(以後, JR鷹取駅)の主要動10秒程度を橋軸直角方向に用いて解 析を行なった.また,地震波形の違いによる影響も検討 するため,JR鷹取駅に比べ卓越周期の長い地震波形とし て,ポートアイランドスペクトル適合調整地震波のEW 成分(以後,ポートアイランド)の主要動10秒を用いた 解析を行った.上部構造の影響に関する検討モデルでは JR鷹取駅のEW成分を橋軸直角方向,NS成分を橋軸方向 に同時に入力し,主要動10秒程度を用いて解析を行なっ た.また,ポートアイランドのEW成分を橋軸直角方向, NS成分を橋軸方向に同時に入力し,主要動10秒程度を 用いて解析を行なった.なお,著者らの既往の研究で橋 軸直角方向にEW成分を入力して検討を進めており2),既 往の研究と合わせ橋軸直角方向にEW成分を入力した. 図-4 鋼材の応力-ひずみ関係 0 100 200 300 400 500 600 700 0 0.05 0.1 0.15 0.2 ひずみ 応力 ( M P a) SM570 SM490Y SM490 SS400 -20 -15 -10 -5 0 5 10 -0.012 -0.008 -0.004 0 ひずみ 応力 (M P a ) 引張 圧縮 図-5 コンクリートの応力-ひずみ関係 図-6 可動支承の履歴挙動 F F o rc e Displacement F F F o rc e Displacement 100 1000 10000 0.1 1 10 固有周期 (s) 加 速 度 応 答 スペ クト ル (g al ) ポートアイランドEW成分 ポートアイランドNS成分 標準加速度スペクトルⅢ種地盤 図-3 入力地震波形の加速度応答スペクトル (a) JR鷹取波形 (b) ポートアイランド波形 100 1000 10000 0.1 1 10 固有周期 (s) 加 速 度 応 答 スペ ク ト ル (g al ) JR鷹取駅EW成分 JR鷹取駅NS成分 標準加速度スペクトルⅡ種地盤
解析には,汎用解析プログラムABAQUS10)を用いた. 地震応答解析は,直接積分法により行った.解析の時間 ステップは,ABAQUSの自動時間間隔制御機能により1 ×10-15~0.02秒の間で自動調整した.収束判定基準は ABAQUSのデフォルト(釣り合い方程式における最大残 差が0.5%以下)とした10).上部構造および橋脚の自重を 考慮するために,鉛直下方に重力加速度を入力した.減 衰には,レーリー減衰を用いた.減衰定数は,道路橋示 方書を参考に,鋼構造物は0.01,コンクリート充填部は 0.02,基礎は0.10とした11).本研究では橋軸直角方向の地 震応答に着目していることから,橋軸直角方向に卓越す る2つの振動モードから算出することとした.振動モー ドが卓越しているかどうかの判断は,固有振動解析から 得られた各解析モデルの橋軸直角方向の有効質量の大き い振動モードとした12).上部構造を考慮したモデルでは, 表-3に示す2次と3次モードが該当した. (3) 対象橋脚の解析モデル 図-2に示す解析モデルにおいて,対象橋脚の鋼部材は, 3節点あるいは4節点のシェル要素を用いてモデル化を行 った.上部構造の重量は,質点として上部構造の質量を 支承位置に作用させた.充填コンクリートは,ソリッド 要素を用いてモデル化した.鋼部材のシェル要素とコン クリートのソリッド要素接触部は要素節点を共有させて 一体化した.隅角部および柱基部は局部座屈の発生が懸 念され,要素分割が解析結果に影響を及ぼすと考えられ る.山口らは,円形断面橋脚の局部座屈発生領域の要素 分割について検討し,対象領域の要素サイズを軸方向に D/30以下,要素の縦横比を1:3以下にすることで,最大耐 力の収束解に対する誤差を10%以下に抑えられることを 示しており13),これに従って要素分割を行った.隅角部 コーナー部の要素の最小サイズは板厚程度とした.鋼材 の降伏点は,道路橋示方書11)に示される鋼材の基準降伏 点を用い,応力-ひずみ関係は,文献14)に従って,図 -4に示すように多直線で応力-ひずみ関係を近似した. 硬化則は,移動硬化則とした.コンクリートの圧縮側の 応力-ひずみ関係は,コンクリート標準示方書15)に示さ れる応力-ひずみ関係を図-5に示すように多直線で近似 した.コンクリートの除荷再載荷時の剛性低下について も,コンクリート標準示方書に従った.引張側について は,引張強度を圧縮強度の10分の1とするとともに完全 弾塑性形の応力-ひずみ関係とし,除荷時の剛性は初期 剛性と仮定した.コンクリートの圧縮強度は耐震補強が 実施された時期の平成8年の道路橋示方書16)に従い 15.7N/mm2とした.軟化型の構成則を用いた場合,解が 要素分割に依存することが報告されているが17),18),葛ら の研究では充填コンクリートに軟化型の構成則を用いた ファイバー解析の要素分割を2種類検討したところ,僅 かな差が出た程度であったことが報告されている19).こ れは,コンクリート充填部ではコンクリートの軟化挙動 に追従して鋼材が応力を負担するためと考えられる. (4) 地盤の影響に関する検討モデル ここでは,文献3)を参考に地盤ばねを考慮しないモデ ルと考慮したモデルを用いた.地盤ばねを考慮しないモ デルC-N,C-Conでは,柱基部を固定とした.地盤ばね を考慮したモデルC-N-GS,C-Con-GS,C-Con-GS3では図 -2(b)に示すように,地盤と杭基礎(図-1(a),(b)参照)を 道路橋示方書11)に準じて,水平成分,回転成分,連成成 分を有するばねとしてモデル化した3),11).なお,連成成 分のばねについては,基礎下面に 仮想な剛部材を設け 連成成分のばねを除去している12). (5) 上部構造の影響に関する検討モデル 図-2(d)に示す 1 径間分の上部構造を考慮した解析モデ ルC-N-S1の対象橋脚は 3次元に拡張したモデル C-N(3D) (図-2(c))と同じとした.桁断面は断面変化させず,実 橋の平均的な断面とし,図-2(d)に示す桁断面を有するも のとした.ただし,断面変化の有無が影響を及ぼす可能 性が考えられるが,ここではその影響は小さいと考えた. 鋼桁をはり要素,コンクリート床版をシェル要素でモデ ル化し,それらを剛な要素で繋いでいる.また,上部構 造を考慮していない反対側の径間については,上部構造 の重量を考慮した.コンクリート床版を有する鋼上部構 造の場合,慣性力の作用位置は床版の下面に配置するこ とが良いとされている12).本研究では,床版厚さの中心 にシェル要素を配置していることから,床版下面よりも 若干上方にはなるが,シェル要素の節点位置にコンクリ ート床版,並びに鋼桁等の上部構造の質量を質点として 分割して配置した(図-2(d)).隣接橋脚は,はり要素に よりモデル化した.隣接橋脚の隅角部の要素は剛域とす るために隅角部の鋼材の弾性係数を 10 倍大きくした. 隣接橋脚の応力-ひずみ関係は2次勾配を有するバイリ ニアとした.2 次勾配は鋼材の弾性係数 E の 100 分の 1 とした.硬化則は,移動硬化則とした. 対象橋脚と隣接橋脚には固定支承と可動支承が配置さ れている.既往の研究において,固定支承の履歴挙動に 対し,支承の破壊を考慮したものが提案されている12). しかし,支承の破壊を考慮した場合,破壊により上部構 造から橋脚に伝達される慣性力が低減し,有利に働くと 考えられる.そこで,本研究では,固定支承の挙動が不 利に働くと考えられる固定とした.可動支承の橋軸直角 方向の挙動は兵庫県单部地震以降,サイドブロックの耐 震補強等が実施されていることから固定とした.可動支 承の橋軸方向の挙動はトラス要素を用いて図-6に示す摩 擦を近似した履歴挙動により表現した.既設の可動支承
は経年の使用による腐食や堆積物等により摩擦係数が大 きくなり,橋脚に伝達される慣性力が大きくなっている 可能性が高いと考えられる.そこで,可動支承の摩擦係 数は,実際に使用され撤去された可動支承を実験的に検 討した文献20)に示される0.15とした. 図-2(e)に示す2径間分の上部構造を考慮した解析モデ ルC-N-S2,C-Con-S2の隣接橋脚と反対側の径間について は,実際の図面が入手できなかったことから,隣接橋脚 側の径間と同じモデルとした. (6) 耐震性能評価法 本研究では,上部構造を考慮したモデルを対象とし, 対象橋脚の大規模地震に対する耐震性能を地震応答解析 より得られた最大応答変位と,上部構造を考慮していな いモデルC-N(3D)の橋軸方向,並びに橋軸直角方向の Pushover解析より得られた終局変位とを比較することに より評価した2),21).Pushover解析では,上部構造の重量お よび橋脚の自重を考慮し,橋脚全体に水平方向加速度を 慣性力として漸増させた.本研究では,Pushover解析に おけるベースシェアーの最大値Vuを示した時を終局点と して定義した2),7),14).ここで,ベースシェアーとは柱基部 の固定位置における水平反力の和である.なお, Pusho-ver解析で得られた終局変位は,地震応答解析結果であ る図-14~図-15,図-19~図-22中に水平線として示した. (7) コンクリート充填部の解析の妥当性について コンクリート充填部の解析モデルの妥当性について検 証することを目的に,土木研究所(PWRI)で実施されたコ ンクリート充填した円柱鋼製橋脚供試体22)の解析を実施 した.図-7に解析対象の供試体とFEMモデルを示す.な お,供試体の詳細な諸元は文献22),23)等を参照頂きたい. 解析モデルと解析手法は3.(3)で示した方法に従った. なお,本研究では既設ラーメン橋脚の耐震性能について, 最大荷重時を終局変位とした手法により評価しているこ とから,解析は最大荷重付近までとした. 図-8に実験結果と解析結果との比較を示す.図-8(a)中 の実験結果のように,コンクリートを充填した鋼製橋脚 では,変位が大きくなるに従い,水平荷重がゼロ付近で 剛性が低下するといったくびれのある特徴的な履歴曲線 を示す23).図-8(b),(c),(d)は2δy,3δy,4δyの各段階の 表-3 上部構造の影響に関する検討モデルの固有周期 表-2 地盤の影響に関する検討モデルの固有周期 1次モード 2次モード 図-9 地盤の影響に関する検討モデルの 固有振動モード
1次
2次
C-N 0.581 0.312 C-N-GS 0.602 0.313 C-con 0.546 0.311 C-Con-GS 0.568 0.312 C-Con-GS3 0.610 0.313 Mode1次
2次
3次
4次
5次
C-N(3D) 1.355 0.588 0.427 0.408 0.313 C-N-S1 0.996 0.524 0.355 0.300 0.257 C-N-S2 0.943 0.467 0.358 0.305 0.287 C-Con-S2 0.917 0.450 0.358 0.304 0.286 Mode 図-8 実験結果と解析結果との比較 3173 コンクリート 充填長さ 2300 900 t=9 軸力 水平荷重 Shell Fix Dia. Solid (a) 供試体 (b) FEMモデル 図-7 土木研究所で実施された供試体22)とFEMモデル -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad ( tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 2δ y 3δ y 4δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad ( tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad ( tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 2δ y 3δ y 4δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad (tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 3δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad (tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad (tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 3δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad ( tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 2δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad ( tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad ( tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 2δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 4δ y 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad (tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 4δ y -150 -100 -50 0 50 100 150 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 水平変位 (mm) 4δ y 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad (tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) 150 100 50 0 -50 -100 -150 -200 -100 0 100 200 L o ad (tf ) Displacement (mm) Experiment (PWRI) Analysis (this study) (d) 4δy (c) 3δy (b) 2δy 字 (a) 履歴曲線履歴曲線を示しているが,実験結果は変形が大きくなる に伴いくびれのある特徴的な履歴曲線に近づくことがわ かる.本解析は2δyで実験結果と良く一致しているが, 履歴曲線のくびれを再現できていないため,3δy,4δy と変形が大きくなるに従い,徐々に実験結果との差異が 大きくなることがわかる.この差異は,本解析において 解の収束性を考慮し,鋼部材のシェル要素とコンクリー トのソリッド要素接触部の要素節点を共有させて一体化 し,コンクリートと鋼管の界面の挙動を考慮していない 点や,後藤らの研究23)で示された仮想ひび割れを導入し ていない点等が考えられる.これより,本解析の妥当性 については,更なる検討が必要であると考えられる.以 上より,本解析結果と実験結果に差異は見られ,解析の 精度は必ずしも十分ではないが,本研究の対象橋脚は, 柱部,梁部の複数箇所で塑性化が生じ,コンクリート充 填後はコンクリート充填部での耐力低下には至らないこ とから2),最大荷重付近まで良く一致している本解析に より耐震性能評価が可能と判断した.
3. 地盤の影響に関する検討結果
(1) 固有値解析結果 表-2に各解析ケースの固有周期,図-9に振動モードを 示す. 1次モードは橋軸直角方向への変形が卓越し, 2 次モードは2層目のはりが上側に持ちあがる変形であっ た.表-2より,地盤ばねを考慮することによりコンクリ ート充填の有無によらず若干長周期化した.III種地盤の C-Con-GS3が最も長周期化した.なお,2次モードは2層 目のはりが上方に持ち上がるモードであったため,地盤 ばねの影響は小さく,2モードの固有周期は殆ど変化し なかった. (2) 地震応答解析結果 図-10に地震応答解析で得られた橋脚頂部の橋軸直角 方向変位の時刻歴を示す.地盤ばねを考慮したモデルで 図-10 地盤の影響に関するモデルの 橋軸直角方向変位の時刻歴 (e) コンクリートを充填したモデル (JR鷹取駅,III種地盤) (f) コンクリートを充填したモデル (ポートアイランド,III種地盤) -200 -100 0 100 200 300 0 2 4 6 8 10 水平変位 (mm) Time (s) C-Con C-ConGS3 6%増加 -200 -100 0 100 200 0 2 4 6 8 10 水平変位 (mm) Time (s) C-Con C-Con-GS3 13%増加 (b) コンクリートを充填していないモデル (ポートアイランド) (c) コンクリートを充填したモデル(JR鷹取駅) (d) コンクリートを充填したモデル (ポートアイランド) -200 -100 0 100 200 300 400 0 2 4 6 8 10 水平変位 (mm ) Time (s) C-N C-N-GS 26%増加 (a) コンクリートを充填していないモデル(JR鷹取駅) -200 -100 0 100 200 300 0 2 4 6 8 10 水平変位 (mm) Time (s) C-N C-N-GS 29%増加 -200 -100 0 100 200 0 2 4 6 8 10 水平変位 (mm) Time (s) C-Con C-Con-GS 2%増加 -200 -100 0 100 200 300 0 2 4 6 8 10 水平変位 (mm) Time (s) C-Con C-Con-GS 7%減尐は,橋脚頂部と橋脚底部の相対変位の時刻歴としている. なお,著者らの研究において,コンクリート充填により 1層目の変形が抑えられ,2層目が変形しやすくなるため にコンクリート充填前よりもコンクリート充填後の方が 最大応答変位が大きくなることを示している2).図-10よ り,コンクリートを充填をしていないモデルでは,地盤 ばねを考慮することにより最大応答変位が最大で30%程 度大きくなることがわかる.一方,コンクリートを充填 したC-Con-GSでは,ポートアイランドのケースにおいて 最大応答変位が2%大きくなる程度であった.さらに, JR鷹取駅のケースでは最大応答変位が7%程度小さくな った.また, III種地盤を検討したC-Con-GS3では,C-Con-GSに比べ若干最大応答変位が大きくなったものの, JR鷹取駅のケースで6%,ポートアイランドのケースで 13%大きくなる程度であった.ここで,コンクリート充 填したモデルにおいて,地盤ばねの影響が最大応答変位 が小さくなるといった有利に働いたケースについて検討 するために,図-11にC-Con,図-12にC-Con-GSのJR鷹取 駅のケースの解析終了時の変形と相当塑性ひずみ分布を 示す.変形倍率は10倍とした.ひずみのコンターは,塑 性化している箇所を容易に把握するために最大値を1% とした.そのため,1%以上のひずみが発生している箇 所は赤く示されている.塑性化域の拡大図では面外変位 の最大値を示した.なお,本研究では,相対評価のみに ひずみを用いた.1層目のはり(図-11(a)中のC),並び に柱基部での塑性ひずみとフランジの面外への変形量 (以後,面外変形)はほぼ同程度であるが,2層目のは りの断面変化位置Eでの塑性ひずみと面外変形は小さく なった. 以上のように,地盤ばねの影響としてはコンクリート を充填していない場合では最大応答変位が大きくなると いった不利に働く可能性が高いが,既設ラーメン橋脚の ようにコンクリート充填後では,その影響は小さく,場 合によっては最大応答変位が小さくなるといった有利に 働く可能性がある.
4. 上部構造の影響に関する検討結果
(1) 固有値解析結果 図-12 C-Con-GSの解析終了時の変形および 相当塑性ひずみ分布(JR鷹取駅) 図-11 C-Conの解析終了時の変形および 相当塑性ひずみ分布(JR鷹取駅)表-3に各解析ケースの固有周期,図-13に振動モード を示す.上部構造を考慮していないモデルC-N(3D)では, 1次モードは橋軸方向への変形が卓越し,2次モードは橋 軸直角方向に変形が卓越した.上部構造等を考慮したモ デルの1次モードは橋軸方向,2次モードは橋軸直角方向 となり,上部構造を考慮することによる振動モードの変 化はなかった.一方,表-3より1次の振動モードの固有 周期は,C-N(3D)では1.355秒,上部構造を考慮したモデ ルC-N-S1では0.966秒,C-N-S2では0.943秒,C-Con-S2では 0.917秒と上部構造を考慮することにより大きく短周期 化していることがわかる.これは,上部構造を考慮した ことにより橋軸方向の変形が抑制されたためと考えられ る.C-N-S1とC-N-S2との違いは僅かであった.C-Con-S2 ではコンクリート充填による影響も加わり短周期化して いる.2次以上の振動モードの固有周期については,上 部構造を考慮することにより僅かに短周期化する程度で 1次モード (a) C-N(3D)の固有振動モード 1次モード (b) C-N-S1の固有振動モード 2次モード 2次モード 2次モード (c) C-N-S2の固有振動モード 図-13 上部構造の影響に関する検討モデルの固有振動モード 1次モード
あった.なお,2次以上の振動モードでは,対象橋脚の ねじれや上部構造の上下方向への変形といったモードが 確認された. -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 0 2 4 6 8 10 変位 (m m ) Time (s) C-N(3D) C-N-S1 C-N-S2 終局変位 終局変位 図-15 橋軸直角方向の変位の時刻歴(JR鷹取駅) -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 0 2 4 6 8 10 変位 (mm) Time (s) C-N(3D) C-N-S1 C-N-S2 終局変位 終局変位 図-14 橋軸方向変位の時刻歴(JR鷹取駅) 図-16 C-N(3D)の解析終了時(10S)の変形および相当塑性ひずみ分布(JR鷹取駅) 図-17 C-N-S1の解析終了時(9.4秒)の変形および相当塑性ひずみ分布(JR鷹取駅)
(2) 地震応答解析結果 JR鷹取駅を用いた地震応答解析で得られた橋脚頂部の 橋軸方向の変位の時刻歴を図-14に,橋軸直角方向の変 位の時刻歴を図-15に示す.図-14より,C-N(3D)の最大 応答変位は,終局変位よりも大きくなった.一方, C-N-S1の最大応答変位は僅かに終局変位よりも小さくなり, C-N-S2では,最大応答変位は終局変位よりもかなり小さ くなった.また,図-15より,C-N(3D)の最大応答変位は 終局変位よりも小さいことがわかる.C-N-S1の最大応答 変位はC-Nのそれよりも僅かだが小さくなり,さらに, 図-20 橋軸直角方向変位の時刻歴(ポートアイランド) -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 0 2 4 6 8 10 変位 (mm) Time (s) C-N(3D) C-N-S1 C-N-S2 終局変位 終局変位 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 0 2 4 6 8 10 Time (s) T ra n sv er se d is p la ce m en t ( m m ) C-Con-S2 C-N-S2 終局変位 終局変位 変位 (m m ) Time (s) 図-22 C-Con-S2の橋軸直角方向変位の時刻歴(JR鷹取駅) 図-18 C-N-S2の解析終了時(10秒)の変形および相当塑性ひずみ分布(JR鷹取駅) 図-19 橋軸方向変位の時刻歴(ポートアイランド) -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 0 2 4 6 8 10 変位 (m m ) Time (s) C-N(3D) C-N-S1 C-N-S2 終局変位 終局変位 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 0 2 4 6 8 10 Time (s) L o n g it u d in a l d is p la c e m e n t (m m ) C-Con-S2 C-N-S2 終局変位 終局変位 変位 (m m ) Time (s) 図-21 C-Con-S2の橋軸方向変位の時刻歴(JR鷹取駅)
C-N-S2の最大応答変位はC-N-S1のそれよりも僅かだが小 さくなった. 図-16,図-17,図-18に解析終了時の変形と相当塑性 ひずみ分布を示す.変形倍率は10倍とした.ひずみのコ ンターは,塑性化している箇所を容易に把握するために 最大値を1%としており,1%以上のひずみが発生してい る箇所は赤く示された.C-N(3D)では,柱基部,柱の断 面変化部,ならびに1層目,2層目の隅角部とはりとの間 の断面変化部(以後,隅角-はり断面変化部)において 塑性化が見られる.一方,C-N-S1では,E位置の2層目の 隅角-はり断面変化部,C位置の1層目の隅角-はり断 面変化部の損傷がC-N(3D)のそれらよりも低減している ものの,柱のA,B位置,D位置の隅角-はり断面変化 部の塑性化領域が拡がっている. C-N-S2では,E位置の 2層目の隅角-はり断面変化部,C位置の1層目の隅角- はり断面変化部,僅かであるがD位置の隅角-はり断面 変化部の塑性化がC-N-S1のそれらよりも低減している. 一方,柱部材のA,B位置の塑性化に伴う面外変形が大 きくなっている.このように,対象とした2層ラーメン 形式の橋脚では,上部構造を考慮することにより,2層 目のはりの塑性化の低減が見られるが,橋軸方向地震動 を考慮したことにより1層目の柱部材での塑性化が大き くなる傾向が確認できた.2層目のはりの塑性化が低減 する点については,著者らの研究において,コンクリー ト充填後に2層目の塑性化が増加する傾向2)を示している 点からも有利な効果であったと言える.一方,1層目 の 柱部材での塑性化が大きくなる傾向については,図-14 よりC-N-S2はC-N(3D),C-N-S1に比べ,繰返し挙動が増 加していることがわかり,この繰返し挙動の増加に起因 したものと考えられる. ポートアイランドを用いた場合の橋脚頂部の橋軸直角 方向変位の時刻歴を図-19に,橋軸直角方向の変位の時 刻歴を図-20に示す.なお,C-N(3D)の橋軸方向において, ポートアイランドを用いた場合の方が,JR鷹取駅を用い た場合の最大応答変位よりも大きくなった.これは,ポ ートアイランドの方が1秒以上の固有周期の加速度応答 スペクトルが大きく,橋脚の橋軸方向の1次の振動モー ドの影響が強く出たためと考えられる.図-19より, C-N(3D)の最大応答変位は,終局変位よりも大きくなるこ とがわかる.一方,C-N-S1の最大応答変位は終局変位よ りも小さくなることがわかる.図-20より, C-N(3D),C-N-S1の最大応答変位は,終局変位よりもかなり小さいこ とがわかる.C-N-S1の最大応答の最大値はC-N(3D)のそ れよりも僅かに小さいが,大きな違いはないと言える. さらに,C-N-S2の最大応答変位はC-N-S1のそれよりも僅 かだが小さくなった. 次に,JR鷹取駅を用いた場合のコンクリート充填した 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 -5 0 5 10 15 20 25 面 外 変 形 (mm) 柱高さ (mm) C-Con-S2 C-N-S2 図-23 C-Con-S2の解析終了時(10秒)の変形および相当塑性ひずみ分布(JR鷹取駅) 図-24 柱基部の橋軸方向側の面外変形量 B位置の拡大図 D位置の拡大図 C位置の拡大図 A位置の拡大図 E位置の拡大図
C-Con-S2の地震応答解析結果をC-N-S2と併せて図-21, 図-22に示す.これらの図よりコンクリート充填後の C-Con-S2はC-N-S2とほぼ同じ応答を示すことがわかる.図 -23にC-Con-S2の解析終了時の変形と相当塑性ひずみ分 布,図-24に解析終了時のC-N-S2とC-Con-S2の柱基部の 橋軸方向側の面外変形量を示す.コンクリート充填によ り,柱基部での面外変形が大きく低下するといったコン クリート充填の効果が確認できた. 以上より,上部構造を考慮することにより,橋軸方向 の応答が大きく低減し,地震に対して有利に働くこと, また,考慮する径間が増えるほど効果が大きい可能性が あることがわかった.一方,橋軸直角方向の応答につい ては,それほど大きな影響を与えないことがわかった. また,上部構造を考慮することにより橋軸方向の応答が 低減するものの,橋脚の繰返し挙動の増加による橋脚基 部での損傷が増加する傾向があるが,コンクリート充填 後では大きな問題とはならないと言える.
5. 結論
本研究では,著者らの既往の研究 2)を基に,地盤と上 部構造のそれぞれの影響について弾塑性 FEM を用いた 地震応答解析により把握し,既設の円柱ラーメン橋脚と しての耐震性能を評価する上での地盤や上部構造のそれ ぞれの考慮の必要性について考察した.本研究で得られ た結論を以下に示す. 1) 地盤ばねを考慮することにより,橋脚の橋軸直 角方向の固有周期は若干長周期化する程度であ った. 2) 地震応答解析により地盤ばねの影響を検討した 結果,コンクリートを充填していない場合では, 最大応答変位が大きくなるといった不利に働く 可能性があるが,既設ラーメン橋脚のようにコ ンクリート充填後ではその影響は小さく,場合 によっては最大応答変位が小さくなるといった 有利に働く可能性がある. 3) 上部構造の考慮の有無による橋脚の振動モード の違いは殆ど無いが,橋軸方向の変形が主体と なる 1 次の振動モードが大きく短周期化する. ただし,橋軸直角方向の振動モードへは大きな 影響を与えない. 4) 地震応答解析により上部構造の影響を検討した 結果,上部構造を考慮することにより橋軸方向 の応答が大きく低減するが,橋軸直角方向の応 答には,殆ど影響を与えない.また,上部構造 を考慮することにより,橋脚の繰返し挙動の増 加による橋脚基部の損傷増加が懸念されるが, コンクリート充填後は大きな問題とはならない. 5) 以上の結果より,円柱を有する既設鋼製ラーメ ンの耐震性能は,地盤と上部構造の影響を考慮 しない評価法により評価できる可能性が高い. 本研究の成果は対象とした円柱を有する2 層の鋼製ラ ーメン橋脚と寸法等に大きな違いがない鋼製ラーメン橋 脚に対して適用可能と考えられる.異なる形式の鋼製ラ ーメン橋脚に対してはさらなる検討が必要となるが,本 研究の成果と考え方は有用であると考える. 謝辞:本研究を行うにあたり,東京工業大学院の三木千 壽教授,市川篤司教授より貴重な助言を頂いた.ここに 記して感謝の意を表する. 参考文献 1) 土木学会:阪神・淡路大震災における鋼構造物の震災の 実態と分析,1999. 2) 木下幸治,三木千壽,市川篤司:円柱を有する既設鋼製 ラーメン橋脚の耐震性能に関する検討,土木学会論文集 A,Vol.64,No.3,pp.571-587,2008. 3) 葛西昭,河村康文,宇佐美勉:鋼製橋脚―基礎―地盤連 成系の大地震挙動,土木学会構造工学論文集,Vol.46A, pp.745-756,2000. 4) 渡邊英一,杉浦邦征,北根安雄:地震時における橋梁構 造物の 3 次元的挙動,土木学会構造工学論文集,Vol.43A, pp.897-906,1997. 5) 林川俊郎,大嶽敦郎,中島章典,佐野雅章:3 成分大地震 動を受ける連続曲線高架橋の非線形応答解析,土木学会 構造工学論文集,Vol.45A,pp.849-858,1999. 6) 工藤忠,中島章典,斉木功,大植健:隣接径間の影響を 考慮した高架橋の 2 方向地震動下における弾塑性地震応 答性状,土木学会論文集,No.752/I-66,pp.267-276,2004. 7) 垣内辰雄,葛西昭,稲垣冴城,藤原良憲,宇佐美勉:上 下部一体鋼ラーメン高架橋の耐震性能評価,土木学会構 造工学論文集,Vol.55A,pp.564-572,2009. 8) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説・V耐震設計編, 1990. 9) 杉戸真太,合田尚義,増田民夫:周波数特性を考慮した 等価ひずみによる地盤の地震応答解析に関する一考察, 土木学会論文集,No.493/III-27,pp.49-58,1994.10) Hibbitt, Karlsson & Sorensen, Inc.:ABAQUS/Standard User’s Manu-al, 2006.
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INFLUENCES OF FONDATION AND SUPERSTRUCTURES ON SEISMIC
PERFORMANCE EVALUATION OF EXISTING STEEL BRIDGE FRAME PIERS
WITH CIRCULUR COLUMNS
Koji KINOSHITA
In order to grasp effects of foundation and superstructures on seismic behavior of existing steel bridge frame piers, frequency analysis and elasto-plastic FEM earthquake response analysis by considering foundation or superstructures in the FEM models were carried out. Based on the author' previous research, a 2-story type frame pier was used as object frame piers. As a result, effects of foundation on seismic be-havior in the transverse direction of the 2-story frame pier were not so significant after applying concrete filling. Moreover, effects of superstructures on seismic behavior in the longitudinal direction of the 2-story frame pier were beneficial. However, their effects on the seismic behavior in the transverse direction are not so significant. Thus, seismic performance of existing frame piers can be applicably evaluated by seismic performance evaluation in the transverse direction.