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眺望・景観の利益と瑕疵担保責任(1)

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眺望・景観の利益と瑕疵担保責任(1)

野 口 大 作

はじめに 1 眺望・景観の利益の特徴 2 瑕疵担保責任における眺望・景観の利益に対する評価

はじめに

 不動産の売買において、買主は、当該不動産自体に関する事項 (区画、面積、形状、仕様、間取りなど)についてはもちろんであ るが、当該不動産の周囲の環境に対する関心も高い。特に、居住用 不動産の購入の際には、交通の利便性をはじめ、近隣の医療機関や 学校の存在、自然環境などの、周囲の環境のプラス面を重視して購 入する傾向にある1。不動産業者も、これらの周囲の環境上の利益 (プラス要素、いわゆる付加価値)を広告・宣伝し、買主の購入を 促す場合が多い。中でも、眺望・景観の美しさについては、買主に 対し住宅周辺の良好な環境をアピールできる点であることから、売 主又は仲介者である不動産業者が、売買の勧誘の際に、セールスト ークとしてこれを強調し、買主も、他の考慮要素とともに、眺望・ 景観をも重視して購入を決定する場合が少なからず存在する。とこ ろが、買主が、売主又は仲介業者のセールストークに乗じて不動産 を購入したにもかかわらず、購入後間もないうちに、隣接地に高層 マンション等が建設され、眺望・景観が妨げられる場合がある。  眺望・景観を妨げられた買主は、直接的に眺望・景観を妨げる建 築物等を建築した者に対して、眺望・景観の阻害は、法律上保護さ

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れるべき権利又は利益の侵害にあたるとして、民法709条の不法行 為責任を追及することも可能であるが、良好な眺望・景観を重要な 動機として不動産を購入して間もなく眺望・景観が阻害される建築 物が建設された場合には、買主が当該不動産の売主又は仲介業者の 責任を追求したくなるのは当然であろう。そこで、買主の売主への 責任追及手段としては、錯誤による無効(民法95条)、売主の詐欺 による取消(民法96条1項)、いわゆる環境瑕疵としての瑕疵担保 責任(民法570条)、売主の説明義務違反・契約締結上の過失責任 (民法1条2項、信義則)、売主の眺望保証特約違反の債務不履行 (民法541条、415条)、売主の不法行為責任(民法709条)、消費 者契約法上の不実の告知や不利益事実の不告知による取消(消費者 契約法4条1項1号、4条2項)、宅地建物取引業法における事実の不 告知又は不実の告知禁止違反(宅地建物取引業法47条)などが考え られるが、本論文は、眺望・景観等の環境上の利益が、民法570条 の瑕疵担保責任の「隠れた瑕疵(いわゆる環境瑕疵)」として認め られるかについて中心的に論じ、加えて他の責任との関係にも言及 しようとするものである。  買主が、眺望・景観の阻害を民法570条の「隠れた瑕疵」(いわ ゆる環境瑕疵)として、売主の責任を追及できるかについて検討す るに際しては、これらの眺望・景観の利益が、目的物自体の形状や 物理的性質でないことはもちろん、目的物自体が有する、心理的に 嫌悪されるべき事情(自殺や殺人事件2など)や嫌悪されるべき使 用状況(性風俗に使用されていた3など)ではないこと、また、近 隣に暴力団事務所等が存在するなど、契約当時から近隣に外在する 不利益環境、すなわち、当該不動産における通常の日常生活(目的 物の使用・利用)に支障を来たす、又は支障を来たす蓋然性が高い 場合(環境上の不利益の中でも、極めて悪影響を与えるもの)でも ないことに注目すべきである。つまり、眺望・景観の利益は、あく まで、近隣に外在する環境のうち、目的物の付加価値として存在す る利益であって、日照や通風のように、通常の日常生活に最低限必

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要な要素ではなく、その阻害が日常生活に直ちに支障を来たす欠陥 といえるものでもないのである。また、眺望・景観の利益は、売買 契約締結時に存在していた付加価値としての利益(プラスの利益) が、後に、他人の行為(時には、売主の場合もある)によって損な われる(失われる)のであり、売買契約時すでに存在していた欠陥 (不利益)が、後に発見されるものではないのである。他方で、眺 望・景観を妨げる可能性のある隣地の計画が売買契約締結時すでに 存在し、契約締結後その計画が間もなく実行されたことにより眺望 ・景観が阻害された場合には、契約時潜在的に存在していた眺望・景 観を妨げる欠陥が、後に表面化したと評価できなくもない。以上の ように、眺望・景観利益の損失が、570条の「隠れた瑕疵」に該当 するかについては、種々の問題があるが、その前段階として、ま ず、眺望・景観の利益の特徴について、判例等を参考にしながら検 討する。

1 眺望・景観の利益の特徴

 まず、眺望と景観の区別について、眺望は、私人が特定の場所に おいて良い景色を享受できる個人的利益とされ、景観利益は、客観 化、広域化して価値ある自然状態(自然的、歴史的、文化的景観) を形成している景色を享受できる利益とされている4。眺望又は景 観が他人によって侵害された場合に、眺望については、その侵害に 対して私法的救済(差止め、損害賠償)の可能性があり、判例上、 観光旅館等の営業利益に関して認められたものが多かったが5、近 時は、眺望が一般私人の法的に保護されるべき生活利益として認め られる判例も出現している6。一方、景観については、公共的性格 を有する利益(住民一般の利益)として、その侵害に対して主に公 法的救済(都市計画・行政訴訟)の可能性があるとされていたが7 近時の判例、特に、国立景観訴訟最高裁判決によって、私法上の救 済も認められる可能性が高まった8

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 一般個人の眺望の利益について、東京地決昭和51年3月2日判時 834号81頁「熱海分譲マンション事件1」は、「眺望は快適な生活 環境を保持し豊かな精神生活を送るうえで好ましいものであり、そ の故に人の経済的利益にも結びつくことを考えると、一般論として は全く法的保護に値しないと言いきることはできない。しかしなが ら眺望は日照、通風と異り人の生活に欠くことのできないものとは 言えず、債権者らの職業ないし社会的地位にてらして本件の眺望を 確保することによって何らかの経済的利益をはかるものではないこ とが明らかであり、しかも他人の所有権の行使を制限してまでも保 持された眺望のもとで生活することが果たして精神的に豊かといえ るかどうかも甚だ疑問である。」とし、その法的保護性自体を否定 した。これに対して、その控訴審である、東京高決昭和51年11月11 日判時840号60頁は、眺望の利益は、建物所有ないし占有と密接に 結びついた、保護されるべき生活利益であり、「殊に、特定の場所 がその場所からの眺望の点で格別の価値をもち、このような眺望利 益の享受を一つの重要な目的としてその場所に建物が建設された場 合のように、当該建物の所有者ないし占有者によるその建物からの 眺望利益の享受が社会観念上からも独自の利益として承認せられる べき重要性を有するものと認められる場合には、法的見地からも保 護されるべき利益である」と明確に判示した。しかし、眺望の利益 が、建物自体に対して有する排他的・独占的支配権と同じ利益では なく、たまたま事実上享受しうる利益でかつ周辺の状況の変化によ って自ずから変容制約を受けざるをえないものであり、他の競合利 益との調和においてのみ容認できるものであることから、侵害行為 が一般に是認しうる程度を超える場合に限って、侵害行為の排除又 は被害回復が認められるとした。その判断要素として、侵害行為の 性質・態様、行為の必要性・相当性、行為者の意図・目的、加害を 回避しうる他の方法の有無等と、他方において、被害利益の価値な いしは重要性、被害の程度・範囲、被害者の予測可能性を列挙し、 両者を厳密に比較考量すべきものとしている。結局、東京高裁は、

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これらの判断要素を比較考量した結果、眺望利益の不当侵害とは言 えないとして、原告の差止請求を否定している。また、この判決を さらに発展させた、横浜地裁横須賀支判昭和54年2月26日「横須賀 野比海岸事件」下民集30巻1~4号57頁、判時917号23頁、判タ377号 61頁は、眺望利益が、①一般の社会通念から景観の眺望によって美 的満足を得ることのできる眺望価値のある景観が存在すること(眺 望の客観的有価値性)、②当該場所の場所的価値が景観の眺望に多 く依存していること(眺望依存性)、③眺望の保持が周辺土地の利 用と調和すること(周辺調和性)、④眺望享受主体が正当権限を有 すること(眺望正当性)の各要件をみたせば、法的保護に値すると 判断した。その上で、裁判所は、当該眺望が特に優れていること、 当該建物が居住用建物であり、眺望をその生活に取り入れたもので あること、日常生活上眺望を享受する目的で建物を建築したこと、 眺望の保持が周辺の土地利用と調和することを認定し、当該侵害行 為が受忍限度を超えた程度の場合には権利濫用として回復請求、損 害賠償が認められると判断している(ただし、建物収去は認めず、 慰謝料としての損害賠償合計200万円のみを容認)。  以後、ほとんどの判例は、一般個人の眺望の利益に関する、先の 東京高決昭和51年11月11日又は横浜地裁横須賀支判昭和54年2月26 日の、「眺望利益の法的保護性判断基準」を採用し、眺望利益を法 的保護に値するとしたうえで、当該眺望利益と侵害行為との比較考 量を行い、一般社会通念から受忍できる程度の侵害行為かどうかを 判断し、差止請求又は損害賠償請求の肯否を決定している(ただ し、営業利益に関わる判例とは異なり、建設禁止の仮処分等の差止 め請求はほとんど認められていない)。つまり、眺望を妨げられた 個人が眺望を妨げる建築物等を建築した者を訴えた事件について、 判例は、全体として、眺望の利益を、経済的価値のみならず、社会 的・文化的価値をも内包するものであり、特に、一定の要件を充た し、建物所有・占有から派生した独自の私的生活利益と評価できる 場合には、これを法的に保護されるべき利益と認めたうえで、具体

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的利害状況に応じて柔軟に対応できる相関的受忍限度論を採用して いる。  また他方で、後に詳述するが、眺望を妨げられた買主が、建築主 を訴えるのではなく、売買契約の売主を、錯誤無効、詐欺取消、瑕 疵担保責任、告知・説明義務違反などで訴えた事例も多く存在する9 これらの判例の中では、そもそも眺望利益を私法上の法的保護の対 象とならないとした判例もある。すなわち、東京地判平成2年6月26 日「千葉御宿分譲リゾートマンション事件」判タ743号190頁は、 「日照及び眺望は、本質的には周囲の状況の変化によって変化する ことを余儀なくされるもの」であり、「これを独占的、排他的に支 配し、享受し得る利益として法的保護の対象とすることは不可能な もの」としている。また、たとえ眺望が経済的価値を有するものと して捉えた場合でも、「通常、周辺における客観的事情の変化によ っておのずから変容ないし制約を被らざるをえないものであること を前提とした価値として評価され」、「このような変化を排除し得 る権能をもっていることを前提とした価値として評価され、代金 額に反映されるとは考えられない」とする。先にあげた2つの判例 が、眺望を阻害された者が、直接阻害建築物の所有者・建築主に対 し、権利濫用・不法行為責任を追及した事件であるのに対して、本 判例は、建築物の買主が、売主に対して、売買契約の無効・取消・ 解除、損害賠償を求めた事件であり、一律に論じることはできない が、眺望の利益の性質について、示唆を与えるものである。  眺望の利益は、当該建物と観望との間に障害物がない偶然の事実 に基づく反射的利益であり、周囲の状況の変化(近隣土地の自由な 取引や、その使用・利用状況の変更)によって変化することを余儀 なくされるものであって、必ずしも永続的なものではない。また、 特定の場所からの眺望は、少なからず他の者の眺望・景観を奪うこ とによって成り立つという側面を有しており、そもそも相互に制約 的なものである10。つまり、眺望・景観の利益は、元来、一個人が 排他的に独占できるものではなく、単に、先に住んでいたからとい

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うだけで偶々享受しえた事実上の独占的利益にすぎない。特に、都 市部では、この点が顕著であり、いずれは近隣に建物が建っても仕 方がないとの前提が存在するといってもよいであろう(この点、 地方の景観の良いリゾート地とは状況が若干異なるであろう)。 また、眺望・景観は、日常生活に最低限必要な日照・通風とは異な り、眺望・景観それ自体は、その阻害が直接生活に与える影響が小 さく(通常、健康・生活妨害には該当しない)、必ずしも日常生活 に必須のものではないため、その法的保護の必要性も、日照・通風 に比して低いと考えられる。したがって、眺望利益を法的保護に値 すると肯定した判決も、現実には、侵害行為が眺望利益を有する者 の受忍限度を超える場合に限られるとして、被侵害利益の重大性と 加害行為の態様との間の相関的利益衡量によって保護の可否を計る 判断を重視し、しかも、一般個人の眺望利益については、建物建設 禁止の仮処分や建物収去請求を認めず、その多くが損害賠償として の少額の慰謝料を認めるにすぎないのであろう11。やはり、眺望利 益を個別的な利益と捉えるにしても、これを独占的・排他的に支配 し、享受し得る利益として法的保護の対象とすることは、やはり困 難であろうが、特別な具体的状況(特段の事情)が存在する場合に は、一定程度保護することも許されるであろう。問題は、特別な具 体的状況とは、どのような状況であるか、また、眺望阻害建築物を 建築した者に対する責任追及と売買契約の売主又は仲介者に対する 場合とで異なるのか、さらに、いかなる手段で保護されるべきかが 問題となるであろう(ただし、単なる美しい観望を享受できるとの 利益を超えて、旅館や料理店舗のように、新たな営業上の利益を生 み出している場合には、営業上の利益の侵害として別途考慮が必要 である)。  景観利益については、いわゆる国立マンション訴訟最高裁判決に おいて、法律上保護に値するものとされている12。この事件は、マ ンション建設地の近隣の居住者が、高さ制限を超えるマンションの 建設・分譲は、地域住民が建築物の高さ制限によって維持してきた

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都市景観上の利益を侵害するとして、民法709条に基づき建築行為 等の差止め等を求めた訴訟であったが、都市景観上の利益が、民法 709条の法律上保護される利益にあたるかどうかが争点となった。 最高裁は、「都市の景観は、良好な環境として、人々の歴史的な文 化的環境を形作り、豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価 値を有するものというべき」であり、「良好な景観に近接する地域 内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、良好な景観が 有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものと いうべきであり、これらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する 権利(以下「景観利益」という。)は、法律上保護に値するものと 解するのが相当である。」とした(ただし、景観利益を超える景観 権という権利性は否定)。しかし、「景観利益の侵害となるかどう かについては、被侵害利益の性質と内容、当該景観の所在地の地域 環境、侵害行為の態様、程度、侵害の経過等を総合的に考察して判 断すべきである」とし、景観利益に対する違法な侵害に該当するた めには、「少なくとも、その侵害行為が刑罰法規や行政法規の規制 に違反するものであったり、公序良俗違反や権利の濫用に該当する ものであるなど、侵害行為の態様や程度において社会的に容認され た行為としての相当性を欠くことが求められる」と判示した。すな わち、景観上の利益を、民法709条における法律上保護されるべき 利益と初めて位置づけたものの、結論としては、不法行為の成立を 否定した。  景観利益は、それを構成する空間の利用者の誰かが景観維持のた めのルールを守らなければ直ちに破壊される可能性が高く、空間の 利用者全員が相互にその景観を維持・尊重し合う関係に立たない限 り、景観利益は継続的に享受することができない特質を有し、景観 は、地域の地権者や関係者の互換的利害関係と相互制約性の中で 形成・維持されているものである13。それ故に、特定の個人が排他 的に支配するものではなく、必然的に公共的性格を有するものとな る。しかし、その形成・維持に関与した上で、この利益を個人とし

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て享受するのであるから、私的利益の側面は否定できない。すなわ ち、景観は、公益としての側面と私益としての側面を併せ持ってい るのである14。公益性と私益性を併せ持った景観の利益を、眺望の 利益と同列に論じるべきかについては、最高裁判決が私的利益の側 面を容認した以上、肯定的に解するべきと考えるが、景観の利益に は、眺望とは異なる特徴的な性質も存在するのであり、眺望の利益 に関して論じた後、別途考察する。

2 瑕疵担保責任における眺望・景観の利益に対する評価

 民法570条は、売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、売主は 担保責任を負わなければならないと規定し、買主は、その瑕疵のた めに契約の目的を達成することができないときは、契約を解除して 損害賠償を請求するか、または損害賠償のみを請求できる(民法 566条)。570条の瑕疵担保責任が認められるためには、「隠れた 瑕疵」の存在が必要であり、「隠れた」とは、取引上要求される一 般的な注意では発見できないことであり15、買主が目的物に瑕疵が あることを知らず、かつ知らないことに過失がないこととされて いる16。また、「瑕疵」とは、売買の目的物に欠陥がある場合であ り、欠陥と認めるべきかどうかは、一般には、通常有すべき品質・ 性能を標準として判断すべきであるとされている17。この目的物の 欠陥について、判例及び学説は、物理的欠陥のみならず、それ以外 の欠陥についても、民法570条の物の瑕疵として売主の瑕疵担保責 任を認めている。すなわち、法律上の瑕疵(法律上の制限)、心 理的瑕疵(不動産内での自殺・殺人事件など)に加えて、環境瑕疵 (売買契約後間もなく周辺に建物が建設された事件18、暴力団事務 所が近隣に存在した事件19等)も570条の瑕疵として認めているも のがある。  民法570条の瑕疵概念については、従来から、主観説と客観説の 対立が存在し20、客観説からすると、瑕疵とは、その物が持つ本来

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的有用性として通常有すべき品質・性能を欠いていることであり、 主観説からすると、売買契約において特に予定された品質・性能を 欠いていることとなる。客観説は、物が有する客観的性質、すなわ ち、通常有すべき品質・性能を重視するが、主観説では、当事者で 特に予定された品質・性能、すなわち当事者の合意を重視する。前 者は、目的物の品質・性能を客観的にあるべき品質・性能と比較して 劣っている場合に瑕疵が存在すると判断するのに対して、後者は、 目的物の品質・性能を、約定の品質・性能と比較して劣っている場合 に瑕疵が存在すると判断する21。ただし、主観説、客観説ともに、 瑕疵の存在は契約締結時又は引渡し時に存在していなければならな いとすれば、眺望・景観を阻害する建物が売買契約締結引渡後に建 設された場合には、両説とも瑕疵を否定するかもしれないが、少な くとも、眺望の阻害可能性が売買契約締結時又は引渡し時に存在し たというのであろう。  ドイツでは、旧ドイツ民法459条1項が、買主の瑕疵担保責任を、 「物の売主は、買主に対し、危険が買主に移転した当時に、目的物 がその価値又は通常の使用若しくは契約上予定していた使用に対す る適性を消滅又は減少させる欠陥(Fehler)を有しないことについ て責任を負う。価値又は適性が顕著に減少しない場合にはこれを考 慮しない。」とし、2項が「売主は、また目的物が危険移転の当時 保証されていた性質を有することについて責任を負う」と規定して いた。この瑕疵概念について、当初判例は、瑕疵概念を客観的に捉 えていたようである22。しかし、ライヒ裁判所は、1920年6月8日判 決(鯨肉事件判決)において、瑕疵概念を主観的に捉えるようにな り23、更には、ライヒ裁判所1939年10月5日判決(眺望事件)24によ って、瑕疵概念の主観的把握は明確な定式化を与えられたとされて いる25。この判決は、後に詳述するが、眺望に関する事件であり、 買主は、宅地売買の契約締結に際して、山腹の眺望が望めること、 隣地に建築は不可能であり、眺望が妨害されないことを信じて宅地 を購入したが、売主自らが隣地に建築物を建てたために、買主の眺

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望が阻害された事案である。ライヒ裁判所は、隣地の建築可能性 は、売買目的物の宅地の瑕疵であると判示した。また、学説も、本 判決以降、ドイツでは主観説が多数説であるとされていた26。しか し、物の自然的・物質的性状以外にも、外的環境や、外的環境と目 的物の間に存する関係(事実的・経済的・自然的・法的関係など) も目的物の性質自体を構成するものなのか、または、目的物の性質 そのものではないが、これらを目的物の性質自体に含めて評価され るべきものと考えるのか、はたまたそうではなくて、目的物の性質 自体としては、評価できないが、別途考慮の対象とすべきであるの か。もちろん、買主の、当該不動産の使用目的(店舗目的か居住目 的かなど)や、個別の事情(子供の教育のために特定の学校区にあ る建物に移転する、高齢者が特定医療機関に近い場所に引っ越すな ど)によって、買主が、周囲の環境の中でもどの環境要素を重視す るかは異なり、これらは、あくまで契約締結の動機にすぎないが、 これらの動機をいかなる手段でどの程度考慮するのか、近時、契約 のさまざまな動機について、95条の要素の錯誤に限らず、570条の 瑕疵担保責任、契約締結上の過失、不法行為なども含め、総合的に 考察する研究も出現しており、これらも参考にしながら、眺望・景 観を妨げられた買主が、売主又は仲介者に対して各種の責任を追及 した判例を素材に、以下検討していく。  なお、本論文は、平成24年度札幌大学留学研修制度による研究成 果の一部である。 1 リクルート住宅総研2009年住宅購入検討者調査(首都圏在住者を対象)におけ る「住宅選びの重視条件」によると、1~10位が、物件価格(82%)、交通利便性 (68%)、日あたり(68%)、部屋数・間取り(52%)、広さ・面積(50%)、キッチン等の 住宅設備(45%)、地域の治安(45%)、建物の耐久性・堅牢性(43%)、近隣の商業 施設・医療施設(33%)、建物の維持管理状態(32%)である。なお、近隣の緑地・自 然環境が12位(28%)、近隣の街並み・景観は16位(25%)、眺望は20位(22

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%)である。 詳しくは、www.jresearch.net/house/jresearch/choujumyou/pdf/195-239_ data02.pdfを参照されたい。 2 不動産に関わる自殺や殺人事件が、民法570条の「隠れた瑕疵」に該当するか については、大阪高判昭和37年6月21日判時309号15頁、大阪地判平成11年2月 18日判タ1003号218頁は、これを否定し、横浜地判平成元年9月7日判タ729号 174頁、東京地判平成7年5月31日判時1556号107頁、判タ910号170頁、浦和地裁 川越支部判平成9年8月19日判タ960号189頁、大阪高判平成18年12月19日判時 1971号130頁、判タ1246号203頁は、これを肯定している。詳しくは、拙稿・野 口大作「自殺・殺人事件と瑕疵担保責任」札幌法学23巻1号135頁を参照された い。 3 福岡高判平成23年3月8日判時2126号70頁。笠井修「判批」私法判例リマークス 45(2012<下>)29頁では、心理的瑕疵は、物をめぐる環境(物の外的な状況 が物の利用や交換に影響を及ぼす状態)の瑕疵とは区別されるべきとされてお り、平野裕之『民法総合5 契約法』(2007年、信山社)352頁以下でも、心理 的瑕疵と環境瑕疵とは区別されている。 4 大阪弁護士会環境権研究会・環境権85頁、淡路剛久「眺望・景観の法的保護に 関する覚書―横須賀野比海岸眺望権判決を契機として―」ジュリスト692号119 頁、片山直也「判批」別冊ジュリスト206号168頁73事件「京都岡崎有楽荘事 件」解説。なお、眺望利益と景観利益が重複する場合も見受けられる。例え ば、京都地決昭和48年9月19日「京都岡崎有楽荘事件」判時720号81頁、判タ 299号190頁、東京高判平成13年6月7日「鎌倉まちなみ事件」判時1758号46頁な どである。 5 営業上の眺望利益に関して、被害者の建物建築者等に対する建築差止・損害 賠償請求を肯定した判例には、前橋地判昭和36年9月14日「猿ヶ京温泉旅館事 件」下民集12巻9号2268頁(権利濫用論)、東京高判昭和38年9月11日「同控訴 事件」判タ154号60頁(権利濫用論)、京都地決昭和48年9月19日「京都岡崎有 楽荘事件」判時720号81頁、判タ299号190頁、仙台地決昭和59年5月29日「松島 料理飲食店事件」判タ527号158頁(営業利益・景観利益の侵害論)などがあ り、建築禁止の仮処分等を認めている。他方、これを否定した判例には、和 歌山地裁田辺支判昭和43年7月20日「白浜温泉事件」判時559号72頁(受忍限度 論)、津地判昭和44年9月18日「鳥羽湾事件」判時601号81頁(受忍限度論)、 名古屋高判昭和45年1月22日「同控訴事件」判時601号85頁(行政訴訟も可能 との理由)、仙台高判平成5年11月22日「松島土産販売店食堂事件」判タ858号 259頁(被保全権利性自体を否定)などがある。なお、宣伝広告看板等の展望 侵害として、東京地判昭和38年12月14日「朝日電光広告遮蔽事件」判時363号 18頁、東京地判昭和57年4月28日「ブリティッシュエアウェイ看板広告事件」 判時1059号104頁が存在するが、いずれも原告の請求は棄却されている。 6 一般個人住宅の眺望利益に関して、被害者が売主を訴えた場合を除いて、被害 者の建物建築者等に対する建築差止・損害賠償請求を否定した判例は、京都地 判昭和45年4月27日「京都平安閣事件」判時602号81頁(受忍限度論、ただし、

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工事態様が主な争点)、神戸地決昭和48年10月8日「神戸東灘住吉東町マンシ ョン事件」判タ301号249頁(眺望については否定したが、主な争点である日照 については、受忍限度を超えるとして肯定)、仙台地決昭和49年3月28日「仙 台青葉山事件」判時778号90頁、東京地決昭和51年3月2日「熱海分譲マンショ ン事件1」判時834号81頁(法的保護利益性自体を否定)、東京高決昭和51年 11月11日「同控訴事件」判時840号60頁、判タ377号61頁(一定要件のもと法的 保護利益としながら、受忍限度論によって否定)、名古屋高決昭和61年4月1日 「知多半島内海別荘事件」判時1202号58頁(眺望利益の権利性を否定)、千葉 地判昭和62年2月7日「千葉勝浦リゾートマンション事件」判時1243号90頁(日 照遮蔽による被害を肯定したが、眺望については、原告の生活上重要な利益で あることの疎明が不十分、被害は受忍限度内と認定)、京都地判平成5年3月16 日「京都嵯峨朝日町マンション事件」判タ827号250頁(工事による被害は受忍 限度を超えるが、日照・眺望阻害等は受忍限度内と判断)、岐阜地決平成7年 2月21日「岐阜各務原配水池事件」判時1546号81頁(被害は、受忍限度内とし て否定)、長野地裁上田支判平成7年7月6日「長野学者村別荘事件」判時1569 号98頁(眺望利益も社会通念上も独自の生活利益と認められる場合には、法的 保護利益であるとしながらも、侵害は社会相当性を逸脱するものではないとし て、損害賠償を否定)、大阪高判平成10年11月6日「四条畷マンション控訴事 件」判時1723号57頁(眺望利益の法的保護性を認めつつ、両建物の立地環境・ 位置・構造・眺望状況・使用目的、害意性等を勘案して受忍限度を超えているか を判断すべしとしたうえで、本件は、売主が眺望を権利として保証・容認し、 近隣所有者と眺望目的の地役権を設定した場合でもなく、法的利益とするのは 困難として損害賠償を否定)、大阪地判平成11年4月26日「大阪池田五月山事 件」判タ1049号278頁(眺望が社会観念上からも独自の利益として承認される べき重要性を有する場合のみ法的保護に値するとし、両建物の立地環境・位置 ・構造・眺望変化の程度・使用目的、害意の有無を考慮して受忍限度を超えて いるかを判断すべきとし、眺望がある程度残存する等の理由で損害賠償を否 定)、東京地判平成20年1月31日「熱海分譲マンション事件2」判タ1276号241 頁(眺望利益は、法的見地からも保護されるべき利益としながらも、両建物の 立地環境・位置・構造、侵害行為の性質・態様・必要性・相当性・意図・目的・回避可 能性、眺望利益の価値・重要性、被害の程度・範囲・予測可能性を総合勘案し、 受忍限度を超えているかを判断すべきとし、周辺はすでに多くの高層マンショ ンやホテルが存在し、眺望全てが失われたのではないこと、眺望が失われる予 見可能性もあったとして、損害賠償を否定)などがある。また、肯定した判例 には、神戸地裁伊丹支判昭和45年2月5日「阪急武庫山事件」判タ243号172頁、 横浜地裁横須賀支判昭和54年2月26日「横須賀野比海岸事件」下民集30巻1~4 号57頁、判時917号23頁、判タ377号61頁(一定の要件のもと法的保護利益性を 肯定、損害賠償のみ認容)、千葉地判昭和56年7月17日「千葉病院看護婦寮事 件」判時1020号99頁(主な争点は、日照妨害だが、眺望も含め日照阻害等が受 忍限度を超えるとして築造禁止を肯定)、名古屋地判昭和58年8月29日「大京 観光分譲マンション事件」判時1101号91頁(日照・採光・眺望阻害は、受忍限度

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を超えるとして損害賠償を肯定)、大阪地判平成4年12月21日「木曽駒高原リ ゾートマンション事件」判時1453号146頁(建物が、格別の価値を持つ眺望利 益の享受を重要目的として建設され、社会観念上も独自の利益として承認でき る重要性を有する場合には、法的保護利益として承認できるとしたうえで、リ ゾートマンションの建設が受忍限度を超えると肯定)、大阪地判平成10年4月 16日「四条畷マンション事件」判時1718号76頁(特定の場所として眺望が特別 の価値を持ち、眺望利益の享受を目的としてその場所に建物が建てられた場合 で、眺望利益の享受が社会通念上からも独自の利益として重要性を有すると認 められる時には法的保護の対象となるとし、本件は受忍限度を超えるものと認 定し、精神的慰謝料を肯定)、横浜地裁小田原支判平成21年4月6日「神奈川真 鶴町別荘事件」判時2044号111頁(極めて高い眺望価値が全く失われること、 眺望の一部又は全部を害さないよう建築する余地があったこと、事前説明・交 渉を一切回避してきたことを重視し、社会的容認行為としての相当性を著しく 欠く行為として建築差止めの仮処分を容認)などがある。 7 中島晃「歴史的景観訴訟」淡路剛久=寺西俊一編『公害環境理論の新たな展 開』(1997年)301頁、淡路剛久「景観の形成と国立・大学通り訴訟判決」ジュ リスト1240号68頁、前掲・片山「判批」168頁。 8 東京高判平成12年12月22日判タ1084号169頁では、環境や景観も、住民の多数 が長い間これを維持し、価値が高いものとして共通認識の確立したものは、十 分に尊重されるべきものであるとしながら、国や地方公共団体が、個々の住民 の利益ではなく、地域社会全体の利益として、その内容を明確にし、これを維 持する根拠となる法令を定め、その行政を通じて維持されるべきであるとして いた。また、東京高判平成13年6月7日「鎌倉まちなみ事件」判時1758号46頁で は、景観を享受する利益は、公共的利益というべきものとして、個別・具体的 な利益とはいえないとしていた。しかし、国立景観訴訟の第1審である、東京 地判平成14年12月18日判時1829号36頁は、不法行為責任に基づく建物一部撤去 を肯定した。しかし、東京高判平成16年10月27日判時1877号40頁は、良好な景 観の形成は、行政が主体となり組織的に整備されるべきであるとして、原告の 主張を排斥し、最判平成18年3月30日民集60巻3号948頁、判時1931号3頁、判タ 1209号87頁も、結果として不法行為責任を認めず、原告の上告を棄却したが、 最高裁が、景観利益も法律上保護されるべき利益に該当すると判示した意義は 大きい。 9 売主の責任を否定した判例として、東京地判昭和49年1月25日「東京田園調布 分譲マンション事件」判タ307号246頁(契約準備段階における調査・告知・説明 義務違反を主張)、東京地判昭和58年12月27日「千葉市川分譲マンション事 件」判時1124号191頁(保証義務・説明義務違反を主張)、札幌地判昭和63年 6月28日「札幌澄川分譲マンション事件」判時1294号110頁(保証特約違反、契 約準備段階における信義則上の義務・説明義務違反を主張)、東京地判平成 2年6月26日「千葉御宿リゾートマンション事件」判タ743号190頁(錯誤、詐 欺、瑕疵担保責任、不法行為責任を主張)、東京地決平成2年9月11日「伊豆 急リゾートマンション事件」判タ753号171頁(眺望保持義務違反、不法行為責

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任を主張)、東京地判平成5年11月29日「長野湯田中温泉リゾートマンション 事件」判時1498号98頁(保証特約違反、詐欺、錯誤、契約準備段階における信 義則上の告知義務違反を主張)、大阪地判平成11年12月13日「大阪友淵町ベル パークシティ分譲マンション事件」判時1719号101頁(信義則上の説明義務違 反を主張)がある。また、売主の責任を肯定した判例として、東京高判平成5 年12月9日「兵庫芦屋分譲マンション事件」判タ888号212頁(不法行為責任を 主張)、仙台地決平成7年8月24日「宮城多賀城分譲マンション事件」判タ893 号78頁(信義則上の義務違反を主張)、横浜地判平成8年2月16日「千葉草津 温泉リゾートマンション事件」判時1608号135頁(信義則上の義務違反、不法 行為責任を主張)、大阪高判平成11年9月17日「京都二条城分譲マンション事 件」判タ1051号286頁(完成前のマンションの売買契約において、契約締結時 にすでに存在していた隣接ビルの屋上クーリングタワーによって眺望が妨げら れた事件について、売主の説明義務違反を主張)、東京高判平成11年9月8日 「クリオ横浜壱番館事件」判時1710号110頁(告知義務違反の債務不履行責任 を主張)、東京地判平成18年12月8日「隅田川花火大会観望事件」判時1963号 83頁(信義則上の義務違反として不法行為責任を主張)などがある。なお、他 に、眺望は特に取り上げられていないが、東京高判昭和53年12月11日「東京町 田市開発計画事件」判時921号94頁(仲介業者の開発計画の説明義務違反を肯 定)、大阪地判昭和61年12月12日「大阪阿倍野分譲マンション事件」判タ668 号178頁(温室園芸目的で購入したマンションの日照阻害を民法570条の瑕疵と して肯定)などがある。 10 鎌野邦樹「眺望・景観利益の保護と調整―花火観望侵害・損害賠償請求事件 (東京地判平成18・12・8)を契機として」NBL853号16頁。 11 尾島茂樹「判批」ジュリスト206号170頁「環境法判例百選[第2版]」74事件「横 須賀野比海岸事件」解説。 12 最判平成18年3月30日(建築物撤去等請求事件、民集60巻3号948頁、判時1931 号3頁、判タ1209号87頁)。また、東京地判平成19年10月23日「東京町田景観 事件」判タ1285号176頁も同様。 13 東京地判平成13年12月4日判時1971号3頁、国立景観訴訟の第1審である、東京 地判平成14年12月18日判時1829号36頁。 14 吉田克己『現代市民社会と民法学』(日本評論社、1999年)246頁、吉村良一 「景観保護と不法行為法」立命館法学310号476頁、同「判批」法時79巻1号 (通巻978号)143頁。吉村「判批」144頁によれば、吉村教授は、すでに地域 住民等によって景観が形成・維持されている場合には、土地所有者が、土地に どのような建物を建設するかは、法令の制限ない限り自由であるとの「建築自 由の原則」(民法206条)は、貫かれるべきではなく、法律・条例のほか、地域 で認知運用されているルール(地域の協定、慣習、住民が作ってきた不文律の 約束事など)も開発業者など新規参入者にも認識しうるものである場合には、 制限されるべきものであり、地域のルールに違反して建物を建設した場合に は、違法性が肯定されうると考えておられる。吉田克己「判批」別冊ジュリス ト196号「民法判例百選Ⅱ債権[第6版]」156頁は、国立景観訴訟において、最高

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裁は、景観に近接する地域内の居住者に対して景観利益の帰属を認めたが、本 件が景観共同形成型の事案であることを意識して判断した第1審とは異なり、 国立の景観が地権者らの規制・努力によって形成された特徴を十分に把握し切 れていないとしている。 15 例えば、内田貴『民法Ⅱ 債権各論〔第2版〕』(東大出版会、2007年)132 頁、近江幸治『民法講義Ⅴ 契約法〔第3版〕』(成文堂、2006年)144頁。 16 大判大正13年6月23日民集3巻339頁。 17 我妻榮『債権各論中巻一(民法講義ⅴ2)』(岩波書店、1957年)288頁。 18 例えば、専用庭での園芸を目的とするマンションの売買で隣接地の建物建築に よる日照の阻害が瑕疵にあたるとした事例(大阪地判昭和61年12月12日「大阪 阿倍野分譲マンション事件」判タ668号178頁)がある。 19 近隣に暴力団事務所があることを瑕疵とした事例(東京地判平成7年5月31日 判時1556号107頁)、暴力団が居住する中古マンションに瑕疵を肯定した事例 (東京地判平成9年7月7日判時1605号71頁)、隣家に暴力団関係者が居住し脅 迫的な言辞による設計変更を余儀なくされたことが瑕疵にあたるとされた事例 (東京高裁平成20年5月29日判時2033号15頁)などがある。詳しくは、拙稿・ 野口大作「暴力団事務所等の存在と瑕疵担保責任」植木哲編『髙森八四郎先生 古稀記念論文集・法律行為論の諸相と展開』242頁を参照されたい。 20 柚木馨・高木多喜男編『新版注釈民法(14)』(有斐閣、1993年)355頁。 21 田中宏治「売買契約目的物である土地の土壌にふっ素が含まれている場合の瑕 疵担保責任」ジュリスト1420号(平成22年度重判)96頁。田高寛貴「判例評 釈」登記情報586条51頁は、両者の区別について、前者においても、客観的に あるべき品質・性能については取引慣行や信義則を基準として判断せざるを得 ないし、後者においても、契約解釈で判断するといっても品質・性能を不完全・ 不明瞭にしか定めていない場合には、客観的に通常備えるべき品質・性能を合 意したと考えるしかないのであるから、両者に大差はないとする。 22 RGZ 67,86; 97,351. 23 RGZ 99,147. 24 RGZ 161,330. 25 磯村哲『錯誤論考─歴史と論理─』(有斐閣、1997年)82頁。

26 Karl Larenz:Lehrbuch des Schuldrechts,2.Bd.,Besonderer Teil,12.Aufl.,§41Ⅰa, Staudinger/Honsell,13 zu §459,Erman/Weitnauer,3 zu §459.

参照

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