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契約関係と権利実現過程 利用統計を見る

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(1)

契約関係と権利実現過程

著者

三野 陽治

著者別名

Youji Mino

雑誌名

東洋法学

35

1

ページ

1-26

発行年

1991-08

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003521/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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契約関係と権利実現過程

一 二 三 四 五 目  次 序  論 不動産賃貸借契約と賃借権 所有権留保契約の法律関係 抵当権実現とその過程 仮登記担保、譲渡担保の法律関係 序  論 契約関係が当事者間に存在するときに、契約に基づく権利を一方が他方に対して行使することができる。債権契約 の場合には、契約により生ずる債権を債権者が債務者に主張する。これは、債権者が債務の内容である履行行為を債 東 洋 法 学 一

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    契約関係と権利実現過程      二 務者に請求することである。また、物権契約の場合には、これより生ずる物権を契約当事者以外の第三者に主張する ことができる。抵当権設定契約により生ずる抵当権を、抵当権の目的である不動産の第三取得者に主張するような場 合である。債権を相対権とし、物権を絶対権とみることができる。        ハヱ   相対権は特定の入相互の関係の中に存在し、そしてその人を一つの法律関係に結びつける。       ハおマ  絶対権は、原則として他のすべての人に対して成立すると構成される。絶対権の主体には、他人に対する請求権は 認められない。むしろ、彼には他のすべての人に対して、他人を排除して保護された利益を追及し、実現する権限が   ハ   属する。絶対権は特定の法律関係に具体化しない法的可能と、当為の潜在的状態をなす。法律関係と請求権は、他人       ハぐ  が絶対権を侵害、危険にしたときのみ生ずるとする見方がある。  債権を相対権、物権を絶対権と称するのが常である。これを理解するために、十分に明確な区分ではないが、二つ の問題を区分すべきである。一つはいわゆる現実の権利の相手方であり、他はいわゆる潜在的権利の相手方に関する。 前者は、それに対して現実の状態において権利が直接に積極的関与者として対立するものである。後者は、侵害にょ ってはじめて権利の相手方となるものである。制限物権の現実の相手方は、負担を負う物のそのときの所有者である。       ぢレ 債権は債務者である個人である。物権の潜在的相手方はすべての人であり、債権の潜在的相手方は債務者のみである。 債権関係は債権者と債務者の個人に相対的に制限されるということから、債権の潜在的相手方も債務者という個人自 身であり、第三者ではありえないという原則が生ずる。買われ、使用貸借され、用益賃借されたが、未だ自己に引き 渡されていない物を第三者が過失ある行為により殿損または損壊したときも、自己は彼に対してドイツ民法八≡二条

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       へゑ 一項により損害賠償を請求しえないとされる。  絶対権と相対権に関しての問題として、絶対権は私的規範創造力の可能な基礎であるが、しかし相対権はそうでは   アレ ないとする見方がある。権利は、法規により権利者に与えられる個人的利益の実現のための法的地位である。国家は 法に関する権利主体の意思を尊重し、一定の場合にf法的なものとしてーiそれを実現する。このため、国家は法 に関する権利主体の意思に法的効力を与える。義務者に対しては、権利は主体の法的力として示される。義務者は、       ハ   権利主体の意思に自己を向けなければならない。権利主体が権利を行使するときは私法的法設定命令が生ずる。それ        ハシ  は、権利者は債務となる行為または不作為を請求しうるからである。  いかなる権利が一般に規範的性格をもつ法的命令を創造しうるかを示し、そこで私的法形成の領域をよりくわしく 限界づけることは重要である。法規範の性格は、それが一般性と他律の特徴を示すときのみ、権利に基づく行為命令 に適する。潜在的一般性のもとでは、まずすべての人に向けられ、したがって最初は不確実の人的範囲のための法的 命令を認める絶対権が問題となる。相対権は、通常は私的規範の基礎ではない。なぜなら、それはそのときの個人的 な人的範囲のみを拘束するからである。たとえば、契約上の請求権を定立するものは、個々のそれに知られる法的人        ハ  間範囲に対して自己の要求を向ける。相対権に基づく規制は、その母権の相対性を分有する。もちろん、相対権に基 づく第三者のための一般的規制の創設が、思考上必然的に排除されるものではない。相対権が基づく法律関係が譲渡 されうるや否や、相対権の行使規制はそれゆえに、私的規範は常に創設の際に概観しえない人的範囲を包含する。法 律関係が譲渡しうるのみならず、当事者の交代に置かれるときは、私的行使規範の潜在的一般性にさらに最後のもの

    東洋法学       

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契約関係と権利実現過程 四 が加わる。       パれ   それは規範的性格が加わる。通常は、法律的に基礎づけられた債権関係の個別化である。法律における法律関係の       ハのレ 類型化は、指定されうる人の間の現実化の場合にのみ、具体的法律関係になりうる。  契約により、またはその他の方法により法律行為的に成立する法律関係は、事情により個々の譲渡しうる権利を生 じうる。そこで、それに基づく行使規制の効力は、人的に制限された法律関係の個々的な名宛人の範囲を越えうる。       ハおレ したがって、この規制の潜在的一般性が与えられる。  個々の法律関係の類型的基礎としての契約は、契約当事者の唯一の地位と個々の利益を把握し、法的に拘束して規 制するために利用される。これは、契約締結の際に予見しうる度々の譲渡に対立する。なぜなら、この場合には契約 当事者の個々の需要に適する契約上の権利と義務は、主体の変更なしに別の利益をもつ他方の個人に向けられるから である。法律関係は通常、それが有価証券等の形に具体化され流通されるときに、最終的に一般的となる。そこで、 それは計画された承継により多くの発生当時未だ知られざる名宛人が順々に要求される方法で一般的である。たとえ、       ハ レ それが相互に、同時に数人の名宛人に作用しなくてもそうである。  また、潜在的他律性の問題も、その他の点より相対権を排除する。法律関係に基づく権利は多くの場合、内容的に 確定しているから、その主体はそれを行使するか否かのみを決定することができる。この場合、私的規範のための内 容的形成範囲を欠いている。権利主体は、法的に決定的に規定した法的効果において、それを使用しうる。しかし、 何ら独立の自己形成的法的効果は生じない。したがって、相対権は行使規制をも認めない。私的法設定は、相対権自

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身が︵最初からすでに計画された承継による例外的な一般性以外に︶一方的に広範囲に変更しうるときのみ問題とな       ハど る。絶対権は私的形成に適する。相対権は当然に排除されるのではないが、しかし非類型的にであるとされる。契約 関係より、相対権的性質を有する権利と絶対権的性質を有する権利が生ずる。不動産賃貸借契約、所有権留保契約、 抵当権設定契約、その他の担保権設定契約から生ずる権利の実現過程について考察する。 ユ4 i3 12 il iO  9  8  7  6  5  4  3  2  1 望簿①Hω鼻舞ぴ囲艮窪毎お汐鼠ωN三ざ。貰・ 。>島︶るc 。抑ω、o 。G 。冒 99段ω魯名魯謡◆鋤◆9ω・o 。ω● 蒙象巽ω畠箋聾るー働■9ω専o 。し 。︷ 瞭9禽ω9類昏る9餌b‘ω“o軽■ 05欝く弱○魯欝負即瓢窪吋§αQぎ計ω嘗お巴︸9の驚Φ。げ酔る餌亀﹂⑩①ρψω○一h O霧鼠くじ uO簿ヨ2勲鋤b﹃︶ωω宝■ 頷ゑ奉&窪8導・施軍一く讐Φ襯。算ω①冒醤αQ﹂⑩c 。Sψω鴇響 男禽島鋸&漆8浮9鉾鋤99ψωG 。9 男象黛霊盈婆8浮○︷るφ○‘ω◎器9 閃Φ識睡蒙&逐8導9勲鋤99ψω9り 男Φ置貯磐傷昏8導9鉾鋤■9¢G 。①刈。 男①凌一霊&漆8浮9勲鎖,9ψω竃● 男象島暴&漆8浮9鋤●p,○こωω零■ 男勲黛還&漆8葬○施鋤り餌bこω。ω鴇■ 東 洋 法 学 五

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︵15︶ 契約関係と権利実現過程 哨①巳ぎ砦α漆8ぴげo戸勲勲○‘ωb窃謡’ 山 ノ\ 二 不動産賃貸借契約と賃借権  物権と物権的請求権がその効力と強さにおいて、債権と債権的請求権に対して特権を与えられる法的構造の原則性 は、すべての範囲において、債権が純粋に人の間の拘束にある限りである。それが、債権者が物の占有の譲渡を請求 しうる多くの場合において、それにより強められるや否や、それは半物権的性質を取得し、しかもその効力において、 現実の相手方に対しても潜在的相手方に対してもである。すなわち、この物権的関係はそれに高められた地位保障を 与え、それを債権と物権の中間段階にする。       ハユ   これはまず第一に、生活の主たる取引、売買契約に妥当する。これは動産の場合のみに現実の相手方に対して妥当 するが、売主が所有権留保のもとに、Aに売却し引き渡した物をさらにBに売却し、これはドイッ民法九三一条によ り、Aに対する引渡請求権の譲渡により生じうるのであるが、そしてAは常に引渡請求しうる使用借主または受寄者 にすぎないとBを信ぜしめたときでも、Aは、Bが同九八五条の引渡請求権を主張したときは、同九八六条二項にょ り売買契約の占有すべき権利を対抗させて、その引渡しを拒絶することができる。むしろ、彼は占有のみならず、生 成しつつある代金の完済による停止条件付の所有権をもBに主張しうる。Bが重大な過失なく売主の表示を信用した       ハ   ときでも善意を保護されない。Aは支払いの終了を以て所有権を取得し、Bはそれを失う。留保買主が取得した所有

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       パ レ 権への期待権は物権であるとされる。  同一のことが占有により強められるその他の債権、特に使用賃貸借と用益賃貸借に妥当する。  この場合にも、動産の場合、所有者の権利承継人に対して、承継人が所有者の欺岡により、賃借人が常に物の返還 を請求しうる受寄者または受任者とのみ信ずるときでも、ドイツ民法九八六条二項の占有主張保護が生ずる。承継人 は、使用賃貸人または用益賃貸人として契約関係に入ることなしに、使用賃貸借または用益賃貸借をその終了まで受       ゑレ 忍しなければならない。  不動産の場合のみに関係することがある。この場合は、使用賃借人または用益賃借人が非常に強化される。彼は、 土地所有者に対して動産の場合のように、使用賃借または用益賃借の継続の問は返還を拒否しうるのみならず、所有 者は,例外的に使用賃貸借または使用賃貸借について何も知るべきでなかったときでさえ、所有権取得とともに、法        ハぢレ 律にょり使用賃貸人または用益賃貸人の役割において、使用賃貸または用益賃貸関係に入る︵ザ刊剰鵬触五︶。  我が民法においても、動産賃借権の第三者に対する効力については特別の規定はしていないが、賃借人が引渡しを       ハ レ 受けた後は、第三者に対抗し得るものとされる。また、不動産ノ賃貸借ハ之ヲ登記シタルトキハ爾後其不動産二付キ 物権ヲ取得シタル者二対シテモ其効力ヲ生ス︵駄○︶と規定する。これは、従前の所有者との聞の賃貸借関係は、その        ハァレ まま新所有者を賃貸人の地位に入れて当然に承継され、従前の所有者は賃貸借関係から離脱する意味とされている。  そこで、不動産賃貸借の登記後、その不動産の売買があったときは、賃貸人たる地位が旧所有者から新所有者に移 転し、従来旧所有者と賃借人との間にあった賃貸借関係が爾後新所有者と賃貸人との間に存続し、賃借人は賃借権を     東 洋 法 学      七

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    契約関係と権利実現過程      八        以て新所有者に対抗し得ることになる。  この場合、新所有者による敷金の承継に関する判例がある。﹁敷金は、賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不 履行があるときは、その弁済として当然これに充当される性質のものであるから、建物賃貸借契約において該建物の 所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に 対する未払賃料債務があれば、その弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残        パ   額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである﹂とする。そして不動産賃貸借に対        ハリレ 抗力が付与されるのは、賃貸人の地位の安定が社会的に要請されるからであるとされる。  債権の占有強化は、それは潜在的相手方に対して絶対的権利保護を享受することを意味する。ドイツ民法八六一条、 一〇〇七条の特別の占有保護のためのみならず、同八二三条の不法行為保護にもあてはまる。しかしこの場合、この 規定により占有そのものが保護されるのでなく、その背後にある債権が保護される。  単なる占有保護は権利が基礎となっているか否か、いかなる権利が基礎となっているか否かに関係なく、同八六一 条、一〇〇七条と八六七条︵引取請求権︶と二六八条︵償却の権利︶の特別の占有保護手段に制限される。これと並 んで、占有そのものの侵害による損害賠償請求権は諭理的に目的論的に不可能である。八二一二条一項からの請求権は、 占有すべき権利に関するということは、占有者がそのときの占有すべき権利に基づきうけた損害により補償すべき額 が決められるということから結論づけられる。用益賃借人は使用賃借人より、使用賃借人は使用貸借人より、使用貸 借人は受寄者より損害を受けるであろう。占有はすべての債権を、物に関係する第三者による侵害に対し、それが保

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護を受ける範囲で、絶対的ならしめる。占有により、債権は見ることができるようになる。第三者に認識しうるよう になる。それは、占有は物利用の通常の現象形態であるからである。したがって、すべての者がそれを注意すべきで  ハなレ あるとされる。  我が民法に関しても、債権の第三者の侵害の問題と、賃借権に基づく妨害排除請求権の問題がある。  不動産賃借権に基づく妨害排除請求権を認めた判例がある。讐民法六〇五条は、不動産の賃貸借は之を登記したと きは、爾後その不動産につき物権を取得した者に対してもその効力を生ずる旨を規定し、建物保護に関する法律では、 建物の所有を目的とする土地の賃借権により、土地の賃借人がその土地の上に登記した建物を有するときは、土地の 賃貸借の登記がなくても賃借権をもって第三者に対抗できる旨を規定しており、さらに、罹災都市借地借家臨時処理 法一〇条によると、罹災建物が滅失した当時から引き続きその建物の敷地またはその換地に借地権を有する者は、そ の借地権の登記及びその土地にある建物の登記がなくても、その借地権をもって昭和︸二年七月一日から五箇年以内 に、その土地について権利を取得した第三者に対抗できる旨を規定しているのであって、これらの規定により、土地 の賃借権をもってその土地につき権利を取得した第三者に対抗できる場合には、その賃借権はいわゆる物権的効力を 有し、その土地につき物権を取得した第三者に対抗できるのみならず、その土地につき賃借権を取得した者にも対抗 できるのである。したがって、第三者に対抗できる賃借権を有する者は、爾後その土地につき賃借権を取得し、これ により地上に建物を建てて土地を使用する第三者に対し、直接にその建物の収去、土地の明渡を請求することができ      ハぞ       ハど るわけである﹂とする。このような判例は、もっぱら賃借権の排他性から解決すべきものとする理論を明らかにした     東 洋法 学       九

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契約関係と権利実現過程 一〇 とする。  そして、すべての土地の賃借権が目的物の占有を伴うようになった場合には、その目的物と緊密な事実上の関係を 生じ、第三者からもこれを認識することができるようになるのだから、これを根拠としてーー排他性を認められなく        ハ レ ともf違法な侵害を排斥する力だけはこれを取得すると解することが、不動産利用権を保護する理想に適するとす る見方がある。 14 13 12 11 10 9  8  7  6  5  4  3  2  1 ○蕊鼠くωo霧雛①が禦鑑霧H奪αQ汐ご器欝おの難oぽ幻Φo馨る︾錬江Φ①9ω■ω09 05鼠く¢ 08疑欝①ぴ騨鉾○‘ω甲も oO刈■ ○霧欝くじ oOΦげ導Φ朗勲鉾○;ω,G oO8 0霧欝くω○のび窮R︾鶴.鉾○、︸ω■G oO刈■ ○霧蜀<ω○Φゲ醤巽︸斜鉾○‘ω,G oOo o■ 来栖三郎 契約法、三三八頁。 幾代 通 賃貸借の効力、新版注釈民法⑯、︸八八頁。 来栖三郎 前掲、三三八頁。 最判 昭和四四年七月一七日、民集二三巻八号、一六一〇頁。 来栖三郎 前掲、三三九頁。 ○仁ω貫くじ 08﹃欝Φび鋭餌◆○こψo oOo oひ 最判 昭和二八年三月一八日、民集七巻一二号、一五一五頁。 我妻栄 新訂債権総論、八三頁。 我妻栄 前掲、八五頁。

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三 所有権留保契約の法律関係  物権の法律行為的取得の場合は、物権法上の公示原則により、通常は合意と不動産法の場合は登記、動産の場合は 占有移転の二つの行為が行なわれる。この行為が時問的に離れるときは中問の段階が成立し、その継続の間は、取得       ハこ 者の地位は期待的性質を有しうる。取得を権利の前段階とし、それは内容的にも債権的、物権的、またはその他の権        パ   利の特徴を示すか否か、特に物権法的に特徴づけられる原理が物権的期待にも妥当するか否か研究されるべきである。  動産の譲与に必要な、譲渡人と取得者の間の合意は  解除条件的または停止条件的にー条件付きでも行なわれ うる。したがって、動産は  売買契約から負担した1売買代金の完全な支払いという停止条件のもとに譲渡され うる。この前提要件のもとで、ドイツ民法一五八条一項により、譲渡の効力は条件の成就すなわち売買代金の全部の 支払いを以てはじめて生ずる。そこで売主は、ドイツ民法四三三条一項から生ずる義務を、それが契約により相当に 修正されるときのみ履行する。売買契約はたしかに無条件で締結される。しかし、それによって売主は1占有移転 以外にー停止条件的譲渡にのみ義務づけられる。譲渡が効力を生ずる条件は、買主のそれ以外の履行義務の実現を も含みうる。        レ  それにより、所有権留保はこの債権の実現に拡張される。Vは、Vとの取引債務からのKの全支払義務が履行され       ハもレ るならば、物についての所有権がKに移転することを、Kと合意する。このような交互計算留保は有効であるとされ る。     東 洋 法 学       一一

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    契約関係と権利実現過程      一二  所有権留保は、所有権移転に関する合意の枠内で合意されなければならない。所有権留保は明確に表示されうる。 売主が買主に物を引き渡すときに所有権留保を表示するときは、買主による物の受取りの中にこの申込みの承諾も存 在し、そこで所有権留保は有効に合意される。  この物の引渡し後に  たとえば支払いのときに  売主から表示される所有権留保は、一方的な表示行為として 効力を欠く。しかし、当事者は事後に、所有権留保を合意することはできるであろう。この合意により、まず所有権       ハぢ  が売主に復帰し、さらに売買代金の支払いという停止条件のもとで買主に移転する。  現実に最も重要な、したがって文献において度々探求される物権的期待は、ドイツ民法四五五条、一六〇条にょる 所有権留保買主のそれである。それは、同九二九条の規定により譲渡しうるし、同九三九条の適用にも近づく。期待 者はー留保貿主であろうと承継入であろうと、どちらでもかまわないが  占有すべき絶対権を有し、売主または 所有者に占有を媒介しない。この期待は物権として示されるが、それにも拘わらず、期待の成立がさらに基礎となる 債権関係に依存している。したがって、特に同四五五条の前提要件のもとで、売主から解除により消滅されうるかぎ        ハゑ りで不完全である。留保買主の期待は、同四五五条により停止条件による所有権移転により、したがって同九二九条、        ヘマレ 一八八条の形式に基づく。通常は、それにより買主が直接占有を取得する同九二九条による譲渡が問題である。問題       ハ レ は、代金の完済まで所有者である売主が間接占有を保有するか否かであるとされる。  売買代金の全部の支払い以前は、留保売主が物の所有者である。条件の成就を以て1売買代金の全部の支払い、 ー所有権は当然に留保買主に移転し、補充的法律行為を必要としない。留保売主の売買目的物に関する中間時の処

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分に対しては、留保買主はドイツ民法一六一条一項により保護される。このような処分行為は、例外的にドイツ民法 一六︸条三項により、善意者の保護が留保買主に対してこの処分行為の効力を要求しないかぎり、留保買主の所有権        ハ レ 取得を侵害することはできないであろう。  ドイツ民法一六一条一項により、留保買主はすでに所有者によりもはや奪いえない、条件成就のときに所有権を取 得する法的地位を有している。このような事情により、留保買主のこの法的地位を、条件成就のときの所有権取得に 向けられた物権的期待権としてみることを正当とされる。留保売主が物の所有者でないかぎり、留保買主による期待       ハお 権の善意取得にドイツ民法九三二条等が適用される。  物権的期待権は、所有権の譲渡に基準となるドイツ民法九二九条以下の規定に従って譲渡される。期待権の取得者 は、留保買主の物権的地位に入る。これは、期待権の取得は、売買代金が支払われるや否や、当然に物の所有者にな        パなレ ることを意味する。  物権的期待権と所有権との等置は、特に譲渡の規準となる規定に関しても、通説に反して、善意取得に関するドイ ツ民法九三二条以下の規定の適用をも結論づけなければならない。  譲渡人の期待権への取得者の善意は、所有権譲渡の場合の譲渡人の所有権への取得者の善意と同様に、ドイツ民法       ま 九三二条以下の規定により保護すべきである。  期待から物権的占有権は生じない。むしろ、留保買主は売買契約からのみ、留保売主に対して占有する権利を有す る。これは、期待権者には占有する所有者または第三者に対して、同九八五条にょる引渡請求権も生じないことを意

    東洋法学       一三

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    契約関係と権利実現過程      一照   パのレ 味する。  期待権は、ドイツ民法八二三条一項の意味のその他の権利である。期待権の侵害の場合には、ドイツ民法一〇〇四 条の侵害者に対する請求権が生ずる。期待権者が物の占有者であるかぎり、当然にドイツ民法八五八条以下、一〇〇          ハれレ 七条が期待権者に生ずる。  物自体の侵害の場合には、損害の補償に向けられた損害賠償は、所有者としての留保売主に帰属する。しかし、物 について留保買主に帰属する期待権は、ドイツ民法一二八七条の類推適用により、損害賠償請求権の上に継続する。        ハお  請求権の取立てには、ドイツ民法二一八一条以下の規定が類推適用される。

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15 14 13 12 王1 図一鋤器竃巳一霞︸鋤“鋤90二ψ①09 医一きω竃巳ぽ磨鋤胴騨○■︾ω●①0伊 内一黛ω竃巳一Φ磨鋳9■○二ψ①ω㎝轡 囚一餌霧寂巳一2働﹂■Pψ①窃P 図一器ω汝巳一Φお野鉾○‘ψ①窃9 四 抵当権実現とその過程  すべての制限物権の場合には、一定の人の介入を必要としないで、法律関係が直接物に関係している。それは物の        ハユ  所有者の交代に関係なく、甘篤ぎお欝。 。a℃鼠である。土地の取得者はぎ8廿おに、すべてこの上の負担の抵当権 と土地債務を物権的負担として、すなわち執行に服する負担の土地として引き受ける。しかし、それにより担保され そのためその者は全財産を以て責任を負わなければならない人的債務関係の中には入らない。特別の債務引受契約に        ハ   よってのみ、債務者として入る。  債権者と債務者の間で、債務者所有の土地につき抵当権設定契約がなされ、これについて登記がなされ、その後に この抵当権付きの土地を取得した者がある場合には、弁済期が到来し債務者の弁済のないときは、抵当権者はこの土 地を取得した者、第三取得者に対し抵当権の効力を主張することになる。そして、抵当権者が抵当権実行を土地所有 者に主張するためには、抵当権設定の登記を必要とする。     東 洋 法 学      一五

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    契約関係と権利実現過程       一六  このような場合について、民法に関する判例がある。﹁案スルニ抵当権設定ノ当事者間ニアリテハ対抗ノ問題ヲ生 セサルカ故二従ヒテ未登記二属スル抵当権ト難豪モ其ノ実行ヲ為スヲ妨ケストノ事ハ己二当院ノ判例トスルトコロナ リ然ルニ対抗ノ問題ヲ生スル場合二在リテハ固ヨリ其ノ要件ヲ具備スルニ非サレハ抵当権ヲ実行スルニ由無キハ論ヲ 侯タスト錐モ本件抵当権二付キテハ其ノ設定ト移転ト一々其ノ登記ヲ経タルコトハ原審ノ確定シタル事実ナルニ於テ 抗告人力其ノ譲受ケタル抵当権二基キ本件競売ノ申立ヲ為シタルハ固ヨリ其処ナリ但シ此ノ申立当時該抵当権二依リ 担保セラルル債権ノ譲渡二付キテハ未タ其ノ通知ヲ債務者︵本件抵当物所有者︶二対シ為シアラサリシコトハ是亦原 審ノ確定シタル事実ナルモ凡ソ抵当権ノ設定移転其ノモノニシテ対抗要件ヲ具備スル以上其ノ基本タル債権ノ譲渡ニ        ハヨ  付対抗要件ヲ欠敏セルコトハ抵当権実行ノ上二何等必然ノ支障ヲ及ホスコト無キ﹂とする。  また、抵当権設定登記が無効であっても、競売手続は無効ではないとする判例がある。﹁抵当権の登記は、その権 利を第三者に対抗する要件であるにすぎないから、登記されない抵当権があっても、当事者聞においては権利実行の 要件を備える限り、競売法の規定するところに従い、抵当権の実行にょる競売手続を有効に行ない得るものである。 本件につき原審は、その認定した事実に基づき、本件抵当権の設定が有効であって、抵当権者において弁済期に債権 の弁済を受けなかったため、抵当権の実行による競売の申立てをしたのであるから、仮りに本件抵当権設定登記が無 効であったとしても、これによって直ちに本件競売手続を無効なものということはできないと判示しているのであっ       ヘヰ  て、その判断には所論のような違法はない﹂とする。抵当不動産の第三取得者、すなわち抵当権の設定されている不 動産の譲受人の地位はかなり特異性を帯びる。抵当権が単に存在しているだけなら、所有権を取得し、かつこれを用

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      ハ レ 益するのに何らの制限を受けない。しかし、債務者が弁済を怠り抵当権が実行されると、その立場は根底から覆えさ  ハ レ れることになる。       ハァ   瀞除は、抵当不動産の第三取得者の地位を保護し、抵当不動産の取引を円滑にしようとする制度であるとされる。 抵当権者と第三取得者との関係について、判例は﹁抵当不動産二付所有権ヲ取得シタル第三者ハ該不動産ノ代価時価 又ハ抵当債権額其ノ他諸般の事情ヲ参酌シテ定メタル金額ヲ抵当権者二提供シ抵当権ノ瀞除ヲ求メ得ベキモノニシテ、 抵当権者ガ右提供ヲ承諾シ又ハ第三者ヨリ民法第三百八十三条所定の書面ノ送達ヲ受ケタルニ拘ラズ其ノ後一箇月内 二増価競売ヲ請求セザル為第三者ノ提供ヲ承諾シタルモノト看徹サレタルトキハ、抵当権ヲ瀞除セントスル第三者ハ 遅滞ナク提供金額ヲ梯渡シ又ハ之ヲ供託スルコトヲ要スルモノトス。而シテ右ノ場合二於テ第三取得者ガ提供金額ノ 払渡若ハ供託ヲ遅滞シタルトキハ瀞除ノ申出ガ其ノ効力ヲ失フニ止マリ抵当権者ヨリハ敢テ第三取得者二対シ右ノ払        ハァゾ 渡若ハ供託ヲ強要シ得ザルベキモ︵大正四年第五五五号同年十一月二日当院第一民事部決定参照︶、其ノ払渡若ハ供 託ヲ為スコト自体ハ第三取得者ノ債務ヲ以テ目シ得ベキガ故二、若シ第三取得者ガ瀞除ヲ受クベキ抵当権者二対シ金 銭債権ヲ有シ他二抵当権者存在セザルニ於テハ第三取得者ヲシテ其ノ有スル金銭債権ヲ以テ提供金額ト相殺スルコト ヲ得セシムルモ、瀞除ヲ受クル抵当債権者ヲ害スルコトナク又民法ガ提供金額ヲ払渡シ又ハ供託スベキモノト倣シタ        ハ   ル精神二反セザルノミナラズ、却テ衡平二合シ許容サルベキモノト解スルヲ相当トス﹂とする。       ハ ロ  他人の債務のために、自分の財産の上に抵当権を設定する者を物上保証人といい、この場合には、設定者は債務を 負担しないが、自己の所有の不動産の上に抵当権を負担することになる。そして、債務者の債務の弁済がなされない     東 洋 法 学       一七

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    契約関係と権利実現過程      一八 ときには、物上保証人に対して抵当権の実行がなされることになる。物上保証人に対する抵当権の実行に関する判例 がある。すなわち、判例は﹁抵当権実行のためにする競売法による競売は、被担保債権に基づく強力な権利実行手段 であるから、時効中断の事由として差押と同等の効力を有すると解すべきことは、判例︵大審院大正九年㈲第︸〇九 号同年六月二九日判決・民録二六輯九四九頁、同昭和一三年@第二一九号同年六月二七日決定・民集一七巻一四号一 三二四頁︶の趣旨とするところである。そして、差押による時効中断の効果は、原則として中断行為の当事者および その承継人に対してのみ及ぶものであることは、民法一四八条の定めるところであるが、他人の債務のために自己所 有の不動産につき抵当権を設定した物上保証人に対する競売の申立ては、被担保債権の満足のための強力な権利実行 行為であり、時効中断の効果を生ずべき事由としては、債務者本人に対する差押と対比して、彼此差等を設けるべき 実質上の理由はない。民法一五五条は、右のような場合について、岡法一四八条の前記の原則を修正し、時効中断の 効果が当該中断行為の当事者およびその承継人以外で時効の利益を受ける者にも及ぶべきことを定めるとともに、こ れにより右のような時効の利益を受ける者が中断行為により不測の不利益を蒙ることのないよう、その者に対する通 知を要することとし、もって債権者と債務者との間の利益の調和を図った趣旨の規定であると解することができる。  したがって、債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競売の申立てがされ、競売裁判所が その競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者 に送達した場合には、債務者は、民法一五五条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受けると解するの が相当である。同条所定の差押等を受ける者の範囲を所論の如く限定しなければならない理由はなく︵所論引用の当

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裁判所昭和三九年㈲第五二三号、第五二四号同四二年一〇月二七日第二小法廷判決・民集二一巻八号一二一〇頁および昭和四一年 ㈲第七七号同四三年九月二六日第一小法廷判決・民集二二巻九号二〇〇二頁各判例は、同条にいわゆる﹁時効ノ利益ヲ受クル﹂者 の範囲について判示したものではない︶、また、競売裁判所による前記の競売開始決定の送達は債務者に対する同条所定       パど の通知として十分であり、右通知が所論の如く債権者から発せられねばならないと解すべき理由も見出し難い﹂とす る。       パも  抵当権の侵害によって不法行為が成立することになる。そして、抵当権の実行以前においても、損害額の算定は必 ずしも不可能ではなく、その可能なときは、一般原則に従って、不法行為が行なわれた後は損害賠償の請求をなしう ゑマ ると解されている。抵当権の侵害について判例は門案スルニ抵当権ノ本質的作用ハ抵当権者ヲシテ其ノ客体ノ交換価 値ヲ一般債権者二優先シテ取得セシムルニ在ルヲ以テ若シ其ノ本質的作用力他人ノ行為二因リ不法二阻害セラレ為二 交換価値ヲ減少スルニ至リタルトキハ抵当権者ハ損害ヲ被リタルモノト謂ヒ得サルニ非スシテ之力損害ハ敢テ客体ノ 競売ヲ侯テノミ確定スルモノト概言スヘキニ非ス即チ其ノ競売前二在リテモ少クモ普通ノ経過ノ下二競売アルヘカリ シ時期以後二於テ交換価値ノ減少ヲ来タシ当時ノ経済状勢ヨリシテハ到底従前ノ交換価値ヲ回復スル見込ナキモノト        ハど 思惟セラルル場合ニハ其ノ減少タル抵当権者ノ被リタル損害ナリト称スルコトヲ妨ケサルモノトス﹂とする。

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○霧貫くじ oO魯欝g禦獣鴬ご琶伽醇O霧ぴ葺αQΦ象魯①菊Φo算鱒︾鳳欝一霧ρψも 。○曽 ○器$<じ oo簿窮①雄勲騨ρ一ψω8、 東 洋 法 学 一九

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13王211109876543

契約関係と権利実現過程 大判 昭和六年τ一月、民集一〇巻二︷号、一二〇七頁。 最判 昭和二五年︷○月二四日、民集四巻一〇号、四八○頁。 我妻栄 新訂担保物権法、三七〇頁。 我妻栄 前掲、三七〇頁。 我妻栄 前掲、二二八頁。 大判 昭和一四年一二月二一日、民集一八巻、二三号、一五九六頁。 我妻栄 前掲、三七四頁。 最判 昭和五〇年二月二一日、民集二九巻一〇号、一五三九頁。 我妻栄 前掲、三八六頁。 我妻栄 前掲、三八六頁。 大判 昭和一一年四月一三日、民集一五巻八号、六三一頁。 二〇    五 仮登記担保、譲渡担保の法律関係  仮登記担保権の性質とその実行については従来の判例がある。その性質については﹁債権者が、金銭債権の満足を 確保するために、債務者との間にその所有する不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約または売買 予約により、債務の不履行があったときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかるこ とができる旨を約し、かつ停止条件付所有権移転または所有権移転請求権保全の仮登記をするという法手段がとられ

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る場合においては、かかる契約︵以下仮登記担保契約という︶を締結する趣旨は、債権者が目的不動産の所有権を取 得すること自体にあるのではなく、当該不動産の有する金銭的価値に着目し、その価値の実現によって自己の債権の 排他的満足を得ることにあり、目的不動産の所有権の取得は、かかる金銭的価値の実現の手段にすぎないと考えられ る。したがって、このような仮登記担保契約に基づく法律関係︵以下仮登記担保関係という︶の性質および内容につ いては、右契約締結の趣旨に照らして当事者の意思を合理的に解釈し、かつ関連法律制度全般との調和を考慮しなが らこれを決定しなければならない。  この見地に立って考えると、仮登記担保関係における権利︵以下仮登記担保権という︶の内容は、当事者が別段の 意思を表示し、かつそれが諸般の事情に照らして合理的と認められる特別の場合を除いては、仮登記担保契約のとる 形式のいかんを問わず、債務者に履行遅滞があった場合に権利者が予約完結の意思を表示し、または停止条件が成就 したときは、権利者において目的不動産を処分する権能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された 価額で確定的に自己の所有に帰せしめること︵特段の事情のないかぎり、この方法が原則的な形態であると解され る﹀、または相当の価格で第三者に売却等をすることによって、これを換価処分し、その評価額または売却代金等       ハよ  ︵以下換価金という︶から自己の債権の弁済を得ることにあると解するのが相当である﹂とする。仮登記担保権の実 行について、同判例は﹁仮登記担保権者は、債務者が債務を履行しなかったときは、これにより取得した目的不動産 の処分権の行使による換価手続きの一環として、債務者に対して仮登記の本登記手続きおよび右不動産の引渡しを求 め、さらに第三者がこれを占有している場合には、その者が不法占有者であるときは直ちに、また賃借人であるとき

    東洋法学      

一二

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    契約関係と権利実現過程       ≡一 でも、その賃借権が仮登記担保権者において本登記を経由すればこれに対抗することができなくなるものであるかぎ り、本登記を条件として、その第三者に対し右不動産の明渡しを求めることができると解すべきであるしとする。ま た、仮登記担保権者の清算金の支払義務に関して、同判例は﹁仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分にょり差額 を生じたときはこれを清算すべきものであるが、仮登記担保権者がかような清算金の支払義務を負うのは、債務者ま たは仮登記後に目的不動産の所有権を取得してその登記を経由した第三者に対してのみであって、仮登記後に目的不 動産を差し押えた債権者や、これにつき抵当権の設定を受けた第三者等は、仮登記担保権者と直接の清算上の権利義 務の関係に立つものではない。仮登記担保権者による権利の実行には、実質上担保権の実行として、あたかも抵当権 に基づく不動産の競売に類似する点があるとしても、その故を以て、これらの権利者が、競売手続における競売代金 の配当のように、一定の優先順位に従って自己の債権の満足に充てられる金額につき、自己に給付せらるべき清算金 として、仮登記担保権者に直接その支払いを請求しうるものとすることはできない﹂とする。さらに、仮登記担保権 者と後順位担保権者、差押債権者との関係については﹁不動産につき金銭債権担保の目的で締結されるいわゆる仮登 記担保契約は、債務者に債務不履行があった場合に、債権者において昌的不動産を換価処分し、その換価金から被担 保債権の弁済に充てる権能を債権者に与える契約であるから、債権者が右換価金から弁済に充てることができるのは、 右の被担保債権についてだけであって、それ以外の債権の弁済に充てる権能を債権者が当然に有するわけのものでは ない。それ故、債権者は、仮登記担保権に基づいて不動産を換価処分した場合、その換価金額が被担保債権額を超え るときは、その差額を債務者に返還すべきものであり、このようにして返還されるべきいわゆる清算金は、当該不動

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産につき仮登記担保権者に劣後する後順位担保権者や差押債権者があるときは、これらの権利者において、右不動産 の有する金銭的価値のうち、仮登記担保権者によって先取された残余価値部分が実現したものとして、その優先順位 に従って各自の債務の満足に充てるべき対象をなすものである︵もっとも、これらの権利が現実に自己の債権の満足 に充てるためには、右の清算金がなお特定性を失わない間にこれを差し押える等しかるべき手続きをとらなければな らないことは、もちろんである︶。仮登記担保権者が債務者に返還すべき清算金が右のような性質のものであるとす れば、右担保権者は、当該債務者に対して被担保債権以外に別の金銭債権を有する場合でも、前述のように清算金か ら右債権の弁済を得ることができないのはもちろん、その債権を以て自己の負担する清算金支払債務と対等額におい て相殺し、清算金から直接右債権の弁済に充てると同様の効果を生ぜしめることも許されないと解するのが相当であ パヱ る﹂とする。  このような判例は、金銭債権の満足を確保するために締結された仮登記担保契約の趣旨はまさに担保権の設定にあ        パゑ      ハゑ るのであって、所有権取得自体を目的とするものではないとされる。仮登記担保契約は、担保権設定を目的とすると される。そして、仮登記担保権の実行については、仮登記担保権者は清算義務を負うが、債務者または第三取得者に       ハゑ 限り、清算金請求権を有するとする。  このような判例があるが、仮登記担保をめぐる法律関係は、多くの最高裁判例の集積後、仮登記担保契約に関する       ハるレ 法律によって規律されることとなった。同法においても、金銭債権の担保のために、所有権の移転等を目的としてな される仮登記上の権利は担保権として構成され、その効力として、優先弁済請求権︵症鱗︶と並んで、所有権取得的

    東洋法学      

二三

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    契約関係と権利実現過程       二四       ハマ  効力︵︷一蘇︶が認められる。そして、この所有権取得的効力こそが仮登記担保権に固有のものであり、仮登記担保権        ハ レ の実行と呼ぶことができるとされる。       ハ    譲渡担保の場合においては、譲渡担保権実行の要件として債務不履行が譲渡担保権実行の実質上唯一の原因である とされる。債務不履行があれば、債権者は、まず最少限度、担保物に対する処分権を取得し、これを換価しても、も       る  はや何らの責任も生じないことになる。そして、債権者が単に目的物の処分権を取得するにとどまる場合︵処分権取       グ  得型︶と、債権者に目的物の所有権が確定的に帰属する場合︵当然帰属︶とが存する。       ハ レ  右の処分権取得型の場合には、債権者が目的物を換価したうえで精算することがすでに予定されていたといえるが、 当然帰属型の場合は、目的物の所有権は債権者に当然に帰属するが、それを評価して被担保債権額を越える場合には、       パお  債務者に余りを返還することも考えられることになる。判例は﹁貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡 担保形式の契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、弁済をしないときは右 不動産を債務の弁済の代わりに確定的に自己の所有に帰せしめるとの合意のもとに、自己のため所有権移転登記を経 由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、目的不動産を換価処分し、またはこれを適 正に評価することによって具体化する右物件の価額から、自己の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに 相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのである。そして、この担保目的実現の手段として、債務 者に対し右不動産の引渡しないし明渡しを求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払いと引換えにその履 行をなすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、債権者の右請求は債務者への清算金の支払いと引

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      ハドレ 換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である﹂とする。  譲渡担保の対外的効力の問題として、債務者が譲渡担保に入れた目的物についてさらに処分行為︵譲渡、譲渡担保 の設定、質入等︶を行なった場合の債務者の地位につき、債権者は、対抗要件を具備するかぎり、債務者から二重処 分を受けた第三者に対抗することができるのである。もっとも、目的物が動産である場合には、債権者が対抗要件を        パゑ 具備する場合にも、第三者の善意取得が成立するとされている。 王3 12 王1 io  9  8  7  6  5  4  3  2  王 最判昭和四九年一〇月二三日、民集二八巻七号、一四七三頁。 最判昭和五〇年九月九日、民集二九巻八号、一二五四頁。 米倉明 米倉明 米倉明 竹下守夫 竹下守夫 竹下守夫 四宮和夫 四宮和夫 四宮和夫 四宮和夫 四宮和夫 東 洋 譲渡担保、一九八頁。 前掲、一九八頁。 前掲、二〇八頁。 担保権と民事執行法・倒産手続、二二二頁。 前掲、三五九頁。 前掲、三五九頁。 譲渡担保、総合判例研究叢書民法㈲、一四〇頁。 前掲、一四九頁。 前掲、一五〇頁。 前掲、一五〇頁。 前掲、一五〇頁。 法 学 二五

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契約関係と権利実現過程 最判 昭和四六年三月二五日、 四宮和夫 前掲、一九二頁。 民集二五巻二号、二〇八頁。 二六

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