藤村真教授の日本農薬学会業績賞(研究)の受賞を祝
して
著者名(日)
坂野 真平, 一石 昭彦
雑誌名
工業技術 : 東洋大学工業技術研究所報告
号
33
ページ
6
発行年
2011
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00002074/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止
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**祝 賀**
藤村真教授の日本農薬学会業績賞(研究)の受賞を祝して
生命科学部生命科学科
坂野真平
一石昭彦
生命科学部生命科学科の藤村 真教授は、2010年5月
28日∼30日、北海道札幌市で開催された日本農薬学会
第35回大会において、業績賞(研究)を受賞されました。
この受賞は、藤村先生の研究が学術的に高く評価され、
農薬科学分野の発展に大いに貢献した功績に対して授け
られたものです。このことは、当大学、当学部にとって大
変名誉なことであり、先生に心からお慶び申し上げます。
先生は、群馬県板倉町に生命科学部生命科学科が開設
された1997年4月に住友化学工業株式会社から本学に赴
任されて、生命科学科において環境応答研究室(旧作物
保護研究室)をご担当されています。生命科学部教授と
して教鞭をとられる傍ら、2007年から3年間生命科学科
の学科主任を、2006年から植物機能研究センターの植物
病害遺伝子診断チームリーダーを務め、学部教育および
運営、研究にご貢献されております。この間、医真菌や
植物病原菌の病原性や分化に関与するシグナル伝達経路
の研究をモデル糸状菌であるアカパンカビを用いて行
い、さらには、その応用分野として、植物病原菌の検
出・定量を可能にする遺伝子診断の開発と研究に従事さ
れ、多数の学術論文を発表するなどと研究成果を挙げら
れています。ご多忙であったのにも関わらず、研究への
熱意そして、献身的な研究への姿勢・努力により今回の
受賞に至っております。
今回の受賞対象となった研究は、先生の取り組まれてき
た「ストレス応答シグナル伝達経路に作用する殺菌剤に関
する研究」が高く評価されたことによります。アカパンカ
ビを研究材料に用いた研究では、ストレス応答シグナル伝
達経路が、二成分性情報伝達系(OS−1−HPT・1−RRG−1)
とMAPキナーゼ経路(OS−4−OS−5−OS−2)から構成さ
れ、この経路が、ジカルボキシイミド剤およびフェニル
ピロール剤の殺菌剤や浸透圧ストレス、酸化ストレス等
に応答することを明らかにされています。このシグナル
伝達経路の構成因子の内HPT−1、 OS−4およびOS−5を同
定するとともに、ストレスを感知するセンサーの役割を
担っているヒスチジンキナーゼos・1遺伝子の変異様式と
殺菌剤感受性との関係も詳細に解明されています。さら
には、シグナル伝達経路の下流遺伝子の探索および遺伝
子発現解析などの研究により、アカパンカビにおけるス
トレス応答シグナル伝達経路が多様な役割を担うことを
明らかにされました。この先駆的な研究により、現在で
は、多くの糸状菌においてストレス応答シグナル経路が
重要な経路であることが報告されています。アカパンカ
ビの研究で得た情報を基に、植物病原菌のジカルボキシ
イミド剤の圃場耐性機構の研究に展開され、灰色かび病
菌のos−1様遺伝子BcOS1内に耐性変異が存在すること
を、世界に先駆けて明らかにされました。さらには、そ
の耐性変異を検出するための遺伝子診断法を蛍光プロー
ブを用いて構築し、簡便かつ迅速に検出できる植物病原
菌の新たな診断法をいち早く農業分野に導入されまし
た。さらに、この手法を用いて、圃場の殺菌剤耐性菌の
分布を明らかにし、その診断情報を圃場に適した殺菌剤
の選抜に応用できることを示されました。
このように、アカパンカビを用いたストレス応答シグ
ナル伝達経路の基礎研究と植物病原菌診断の応用研究を
融合した画期的な研究成果は、農薬科学分野はもちろん
のこと、糸状菌分子生物学分野や植物病理学分野にも貢
献するものです。現在も、先生は生命科学部での教育と
研究指導にご尽力され、また、農薬科学はもちろんのこ
と、植物病理学、糸状菌分子生物学分野において、ご活
躍されております。今後の先生の益々のご健勝とご活躍
をお祈り申し上げます。
東洋大学工業技術研究所報告
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