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ばっくとぅざぱすと その一 : 史料を「発見」するということ

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Academic year: 2021

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ばっくとぅざぱすと その一

史料を「発見」するということ

私が日頃研究している日本古代史の分野では、紙に書かれた文書や文献の数はもともと限られてお り、新出の史料が発見される可能性はそう大きくはない。しかしその一方、今日では、全国各地で古代 遺跡の発掘が進み、それにともなって、木簡(もっかん)や漆紙(うるしがみ)文書といった、土の中から 掘り出された文字史料が急増しつつある。 なかでも漆紙文書は、土の中から千年以上昔の古代文書が出土する例として、近年、とみに注目さ れているものである。律令時代の地方の役所には、漆を塗料として使用する工房が付属することが多 かった。漆の乾燥や硬化を避けるため、容器には紙のふたをしたが、その際、役所で廃棄された戸籍 や租税・土地台帳、兵士の名簿などの公文書が反故としてつかわれる。ふた紙は漆液の表面に密着さ せるため、紙には漆がしみこみ、遺跡が土に埋もれても、漆でコーティングされた円形の文書が残ると いうわけである。 漆紙文書の存在が学界で知られるようになったのは、1978年に宮城県の多賀城遺跡で第1号が発 見されてからで、その後、全国で出土例が相次いでいる。以前に「革製品」として整理されていた遺物 を倉庫から出し、赤外線カメラで見ると、文書であったという話も聞く。考古学の先生には怒られるだろ うが、恐らく、漆紙文書の存在が「発見」されるまでは、全く省みられずに捨てられてしまったものもあっ たのではないだろうか。 コロンブスの卵ではないが、学問上の発見とは、新しい物の見方を発見するということでもある。ある 情報を史料として発見し、それを我々の知的活動に生かすのは、他ならぬ我々自身なのであり、これ は古代史に限らない。新築なった経済学部附属史料館を前に、ここでどのような史料との出会いと「発 見」があるか、今からとても楽しみにしている。 (社会システム学科 大隅 清陽)

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