03 日本の国立大学の授業料は、昭和50年には36,000 円、平成21年には535,800円で、過去30年余りで約15 倍にもなっている。その間の物価指数の2倍と比べても 上昇率は異常に高い。他方わが国の高等教育におけ る家計負担の割合は51.4%と、OECD諸国の中でもき わめて大きい。しかし、国民の平均年収の水準は年々 低下しており、家庭の収入格差が大学への進学格差 につながる状況が顕著となりつつある。教育の家計負 担の重さが、日本の少子化の原因の1つと指摘するむ きもある。日本の大学の授業料は、国際的にも高すぎる といって過言ではないであろう。 こうしたことから、本学も加盟している国立大学協会 (国大協)は、このたび「家計や経済の状況によって能 力や意欲がある学生の進学機会を奪うことのない教 育安心社会を目指す」という立場から、国からの補助 金である運営費交付金の拡充を大前提に授業料・入 学料標準額を減額するとともに、国による減免措置を 拡大するよう要請することとなった。 国立大学の授業料は、教育の機会均等を確保する という観点から、授業料標準額の上限(20%)の範囲 内で、学部・分野別の差を設けることなく金額を設定し ているが、その考え方に関しては、授業料の性格、私 立大学との比較などさまざまな論議があるので、少し 触れておきたい。 まず授業料とは何か。大学が提供する教育サービス に対する対価であると定義することは誰も異議ないよ うに思われるかもしれないが、では、教職員人件費や 施設設備など教育に要するすべての費用の対価であ るかとなると、そうはいかない。そこで問題となってくる のはいわゆる「受益者負担」をめぐる理解である。私学 などは、「大学経営に必要な経費をまかなう主要な財 源」という受益者負担主義の理解にたっていると思わ れるが、国立大学の場合は教育の公共的性格と機会 均等の理念を重視しており、従来から受益者負担論を 否定し、国大協はかつて大学授業料を「営造物使用 料」と規定したこともあった。このように、国立大学と私 立大学では授業料の位置づけが基本的に異なってお り、その結果が両者の授業料水準の違いや大学収入 に占める授業料および国からの補助金の割合の違い となっている。 しかしながら、周知のように、日本の大学は、学部レ ベルでは学生数の7割が私学という諸外国には存在し ない私学依存の実態がある。そのために、国立大学だ けがもっぱら教育の公共的性格と機会均等を確保し ているというわけにはいかない。そこで望まれるのは、 高等教育に対する公的財政支出の水準を大幅に高め ることである。国内総生産(GDP)に対する公財政支 出(高等教育費)の割合は、OECD各国平均1%に対 して日本は0.5%にすぎない。できるだけ早期にOECD 並に公的財政支出の水準を上げよという日本の全大 学関係者の共通した要望に、ぜひ積極的なご理解を お願いしたい。
学長からのメッセージ 「大学の授業料について」
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