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労働者代表の選出をめぐる問題(7) : 選任方法・基準の公平性・客観性・公開性

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(1)

労働者代表の選出をめぐる問題 (7)

―一 選任方法 ・基準の公平性 ・客観性 ・公開性

大 和 国 敢

I は じめに 工 現 行法における労働者代表制度 ① 労 働委員会における労働者代表 ② 最 低賃金審議会における労働者代表 ③ 労 働政策審議会における労働者代表 ④ ILOに おける労働者代表 ⑤ 労 働保険制度における労働者代表 ⑥ 労 働災害防止規程設定における労働者代表 ② 地 方労働行政における労働者代表 田 ILOに おける労働者代表の選任 をめ ぐる問題 (1)情 報開示請求 と開示文書 (2)異 議 申立書 (3)理 由説明書 律)意 見書 (5)答 申書 (6)小 括 Ⅳ 労 f9」委員会における労働者代表 0 選 任制度の問題点 (1)委 員の資格 (2)選 任基準 0 地 労委における選任基準 (以上第336号 ) 口 「 中央労働委員会労働者委員任命処分取消訴訟部局内検討資料 (1998年度)」 をめ ぐる問題 (1)情 報 開示請求 と不 開示決定 (2)異 議 申立書 (3)理 由説明書 (4)意 見書 (5)補 足意見書 (6)追 加意見書 (7)答 申書 (以上第337号 )

(2)

28 彦 根論叢 第 346号 lul 第25期労働者委員選任資料 について (1)情 報 開示請求 と開示文書 (2)開 示文書の分析 l■l 第26期労働者委員選任資料 について (1)情 報開示請求 と開示文書 (2)異 議 申立書 (3)理 由説明書 (4)意 見書 (5)ILO「 結社の 自由委員会」報告 (6)答 申書 (以 上第338号) 内 小 括 :労働組合の推薦行為の意義 ―― 選任制度の公開原則 (1)問 題 の核心 は何 か (2)開 示請求 と口頭説明調書の不開示決定 (3)意 見書 (厚生労働省)の 開示 V 地 方労働行政 における労働者代表 (1)地 域産業労働懇談会 における労働者代表 (2)情 報 開示請求 と開示決定 (3)異 議 申立書 (4)理 由説明書 (5)意 見書 (6)答 申書 (7)小 括 (以 上第339号) Ⅵ 労 働政策審議会 における労働者代表 (1)労 働政策審議会 における労働者代表の意義 (2)情 報 開示請求 と開示文書 (3)開 示文書 の分析 (4)異 議 申立書 (5)理 由説明書 (6)意 見書 (7)答 申書 (8)小 括 (以 上第340・341号) Ⅶ 労 働保険制度 における労働者代表 (1)労 働保険制度 における労働者代表選出のあ り方 (2)情 報 開示請求 と開示文書 (3)開 示文書の分析 Mll 労働基準審議会 における労働者代表 │う 労 働基準審議会 における労働者代表選出のあ り方 0 中 央労働基準審議会 における労働者代表

(3)

労働者代表の選出 をめ ぐる問題 (7) 29 (1)情 報 開示請求 と開示文書 (2)開 示文書の分析 0 地 方労働基準審議会 における労働者代表 (1)情 報開示請求 と不 開示決定 (2)異 議 申立書 (3)理 由説明書 (4)意 見書 (5)答 申書 (6)小 括 :「参考資料」 の意味す る もの 区 最 低賃金審議会 における労働者代表 (1)情 報開示請求 と開示文書 (2)開 示文書 の分析 (3)異 議 申立書 (4)理 由説明書 (5)意 見書 (6)答 申書 (7)小 括 (以上第343号 ) (以上本 号)

Ⅷ 労 働基準審議会 における労働者代表

( 5 ) 答 申書

情報公 開審査会 は,2003年 4月 7日 ,答 申を行 った。答 申書の中で,「第 2

異議 申立人の主張の要 旨」お よび 「

第 3 諮 問庁の説明の要 旨」 は省略す るが,

異議 申立人の主張 については,異 議 申立書の内容 を要約的に繰 り返すにとどま

り,意 見書で開陳 した論点 には何 らふれていないことは,答 申書の結論部分 に

おいて も,か かる論点 を取 り上げていないこととともに,情 報公開審査会の審

議 ・判断のあ り方 として批判 されなければな らないであろう。

第 1審 査会の結論 「地方労働基準審議会委員の任命手続 (労働基準法第98条,労 働基準監督機関令第 9条 タ 第15条)の 運用基準 (委員の資格 ,選 任基準 ,任 命手続等)及 び実情 を記録 した文書 (家内 労働部会 に係 る もの を除 く。)」及 び 「同文書 (家内労働部会 に係 る ものに限 る。)」につ き, 不存在 を理由に不開示 とした本件決定 について,以 下の文書 (以下 「本件対象文書Jと いう。)

(4)

30 彦 根論叢 第 346号 を特定 し,そ のうち⑥及び②の文書中,諮 問庁が不開示 とすべ きであると判断 した不開示部 分は,不 開示 とすることが妥当である。 ① 労 働基準監督機関令及び家内労働審議会令の一部を改正する政令の施行について (基 発第255号 昭 和48年4月 27日) ② 地 方家内労働審議会または地方労働基準審議会家内労働部会の委員の改選に係る任命 について (基発第392号 昭 和47年6月 27日) ③ 労 働基準関係法令の沖縄県の区域における適用に関する措置等について (基発第311 号 昭 和47年5月 15日 沖 縄労働基準局長あて 労 働省労働基準局長名) ④ 家 内労働法の施行について (労働省発基第115号 昭 和45年10月1日 ) ⑤ 家 内労働法の一部施行について (基発第490号 昭 和45年7月 3日 ) ⑥ 地 方労f9J基準審議会に関する報告 (平成13年度報告分)の うち第 2表 (地方労働基準 審議会の委員の状況) ② 地 方労働基準審議会家内労働部会委員任命報告 (平成13年度報告分) 第 4調 査審議の経過 当審査会は,本 件諮問事件について,以 下のとお り,調 査審議を行った。 ① 平 成15年1月 8日 諮 間の受理 ② 同 日 諮 問庁から理由説明書を収受 ③ 同 年 2月 12日 異 議 申立人から意見書を収受 ④ 同 月13日 本 件対象文書の見分及び審議 ⑤ 同 月27日 諮 問庁の職員 (厚生労働省労働基準局監督課長ほか)か らの口頭説明の聴 取 ⑥ 同 年 4月 3日 審 議 第 5審 査会の判断の理由 1本 件対象文書について (1)本 件対象文書の性格について 本件対象文書は,地 方労働基準審議会委員(家内労働部会を含む。)の任命手続の運用基準 (委員の資格,選 任基準,任 命手続等)及 び実情を記録 した文書である。 地方労働基準審議会委員及び同審議会家内労働部会委員については,労 働基準法98条並び に労働基準監督機関令 9条 及び15条2項 に基づ き,い ずれも都道府県労働局長が任命するこ ととされている。

(5)

労働者代表の選 出 をめ ぐる問題 (7) 31 (2)本 件不 開示部分 について 本件対象文書 について,当 初,処 分庁 は,保 有 していない として不 開示 とす る本件決定 を 行 った。 その後,諮 問庁 は,本 件諮問 に際 し,本 件対象文書 として,上 記第 l① か ら② までの文書 を特定 し,① か ら⑤ までの文書 を全部開示す ることとし,⑥ 及び② の文書中法 5条 1号 及び 2号 イに該当す る部分 を不開示 とする としているところである。 以下⑥及 び②の文書の不開示部分 につ き,不 開示情報の類型別 に検討することとす る。 2不 開示情報該当性 について (1)任 命 された地方労働基準審議会委員 (同審議会家内労働部会委員 を含 む。)の 生年月 日,自 宅住所及 び自宅電話番号 について 諮問庁 の説明 による と,委 員任命後,都 道府県労働局が地方労働基準審議会委員及び同審 議会家内労働部会委員名簿 によつて公表 される委員 に関す る情報 は,公 益委員,労 働者委員 及び使用者委員の区分,氏 名及 び現職のみであることが認め られる。 したが って,当 該情報以外 の委員の生年月 日,自 宅住所及び自宅電話番号 は,個 人に関す る情報であ り,法 5条 1号 に該当 し,か つ,同 号 ただ し書 イか らハ までのいずれにも該当 し ない ことか ら,不 開示が妥当である。 (2)労 働者委員の推薦労働者団体の名称 について 諮問庁 の説明 による と,推 薦労働者団体の名称 については,こ れ を公 にす ることによ り, 当該団体 と使用者 ,他 の労働者団体等 との関係 において,不 当な圧力 を受 けるなど不利益 を 被 るおそれがあ り,憲 法28条によ り保障 された当該団体 の活動 の 自由その他 の正当な利益 を 害す るおそれがあ るので,法 5条 2号 イに該 当す る とす る。 そこで検討す る と,労 働者団体がだれ を労働者委員候補者 として推薦するかは,正 に当該 団体内部 において 自主的 に決定すべ き問題 であ り,そ れが公 にされることによつて,当 該回 体の性格,活 動方針及び活動内容等が明 らか とな り,当 該団体 と使用者,他 の労働者団体等 との関係 において,種 々の干渉 を受けるなどの不利益 を被 る可能性があ り,今 後,労 働者委 員の推薦 を含 め当該 団体 の 自由な活動 を阻害す るおそれがある と認 め られる。 したが って,推 薦労働者団体 の名称 については,法 5条 2号 イに該当 し,不 開示が妥当で ある。 3異 議 申立人のその他 の主張 について (1)果 議 申立人は,下 部機関 (都道府県労働局)が 保有する文書 について,厚 生労働省が

(6)

彦根論叢 第 346号 「移送 ・回送」等 を行 って開示すべ きである旨主張 しているところ,こ の主張 は,諮 問庁 に 対象文書 を取 り寄せ て開示す る義務がある旨主張するが,諮 問庁 は,上 記第 3の 1の とお り, 不存在 を理 由に不 開示 とした原処分 に関 し,本 件対象文書 として上記第 l① か ら⑦ までの行 政文書 を保有 し,こ れ を全部又 は一部 を開示す るとする ものであることか ら,こ の点 につ き 論 じるまで もない。 (2)本 件補正 について 異議 申立人は,本 件 開示請求 に際 し,当 初,請 求する行政文書の名称 に 「地方労働基準審 議会委員」 と記載 していた ところ,処 分庁 によ り 「地方労働基準審議会委員 (家内労働部会 に係 る もの を除 く。)」と 「地方労働基準審議会委員 (家内労働部会 に係 るものに限る。)Jと に分離 し,別 個 の二つの開示請求 とす る補正が求め られたことは違法である旨主張する。 諮問庁の説明 による と,本 件補正 は,郵 送 された本件開示請求書 を受理後,処 分庁の担当 職員が開示 を求め る具体的な行政文書の内容 につ き異議 申立人 と電話 により計 6回 にわた り や り取 りを行 い,「地方労働基準審議会委員」 との記載 には,同 審議会の委員のほかに同審 議会 に設置 されている複数の部会の うち,家 内労働部会の委員 について も含 まれている趣 旨 であることが半J明 したため,異 議 申立人の了解の下で行 われた としている。 当初 の開示請求書 に記載 された 「地方労働基準審議会委員Jと い う文言か ら,処 分庁 とし ては,同 審議会委員のみ を対象 とした開示請求 として処理す ることも考 えられた ところ,異 議 申立 人の真意 を十分汲み取 った上で,同 審議会家内労働部会委員 も含 まれるもの とした も の と認め られる。処分庁が,本 件補正 を求めるに際 し,「地方労働基準審議会委員 (家内労 働部会委員 を含 む。)Jと 記載す る よう指示す る方法 も考 えられな くもない。 しか し,本 件補正 につ き当時異議 申立人は何 ら異論 を挟 むこともなかったことか ら,こ れ に応 じている もの と解 される。 いずれに して も,本 件補正 については当審査会の判断 を左右す るものではない。 4本 件一部開示 の妥当性 以上 の ことか ら,開 示請求 に対 して不存在 を理由に不 開示 とした決定 につ き,諮 問庁が本 件対象文書 を特定 し,法 5条 1号 及 び 2号 イに該当す ることを理由に一部不開示 とすべ きで あ る と判断 した部分は,同 条 1号 及び 2号 イに該当 し,不 開示が妥当であると認めた。 第 6容 申に関与 した委員 吉村徳則,高 木佳子,戸 松秀典

(7)

労働者代表の選出をめぐる問題 ( 7 ) 3 3 (6)小 括 :「参考資料」 の意味 す る もの この答 申か ら77日 を経 て, 6月 23日,厚 生労働省 は,異 議 申立 に関す る決定 を行 うとともに,「行 政文書 開示決定変 更」 の処分 を行 った。 その内容 は,理 由説明書や答 申書 の結論 に添 うものであ った。一連 の情報公 開手続 きにおける 問題 点 は,意 見書 で述べ て きた ところであ るので,こ こで は,「参考資料」 の 内容 について検討 す る。実 は,こ の 「参考資料」 の性格 については,意 見書 で 問題 点 を指摘 した ものの ,答 申書 は何 ら言及せ ず ,厚 生労働 省 も,「行 政文書 開示 決定変 更」 の手続 きに よって,開 示手続 きを進 め ようと してい る。かか る 経過 の 中で は,こ の 「参考資料」 の性 格 は,不 明の ままであ るが,「開示文書」 と して予 走 され た ものであ る こ とは明 らかで あ る。 「参考資料」 の問題 点 の こ れ以上 の追求 はひ とまず措 き,こ こで は,「参考資料」 の内容 の検討 を行 う。 「参考資料」 と して添付 された文書 は,以 下 の とお りであ る。 ① 労 働基準監督機関令及び家内労働審議会合の一部を改正する政令の施行について (48. 4.27 基発第255号) ② 地 方家内労働審議会または地方労働基準審議会家内労働部会の委員の改選に係る任命 について (基発第392号 昭 和47年6月27日,各 都道府県労働基準局長宛) ③ 労 働基準関係法令の沖縄県の区域における適用に関する措置等について (基発第311 号 昭 和47年5月15日,沖 縄労働基準局長宛) ④ 家 内労働法の施行について (基発第115号 昭 和45年10月1日) ⑤ 家 内労働法の一部施行について (基発第490号 昭 和45年7月 3日 ,各 都道府県労働 基準局長宛) ⑥ 監 407 地方労働基準審議会に関する報告 第 2表 地 方労働基準審議会の委員の状 況 (平成13年4月 1日現在,一 部平成12年4月 1日現在) ② 家 501 地方労働基準審議会家内労働部会委員任命報告 (平成13年任命分)

まず,資 料 く1〉 は,文 書⑤の一部 (抜粋)で ある。この文書は,地 方家内

労働審議会委員や地方労働基準審議会家内労働部会委員の任命手続 きであるが,

その手順 を詳細に規定するとともに,委 員の任命は,「りん伺」によって,本

(8)

彦根論叢 第 3 4 6 号

資料(1〉

地方家内労働審議会又は地方労働基準審議会家内労働部会

の委員の任命について (抜粋)

地方家内労働審議会又 は地方労働基準審議会家内労働部会については,本 年 9月 中に 発足 させ ることを目途 として次 によ り委員の任命手続 を進めること。 (1)委 員の人選 について イ 家 内労働者 を代表す る委員及び委託者 を代表す る委員 について l―l 推 薦期 間満了後直 ちに候補者 を選定す ること。 的 候 補者の人選 については,必 要に応 じ,婦 人少年室並 びに都道府県労働主管部 (局)(労 政課,内 職補導事業主管課等)及 び中小企業対策主管部 (局)の 協力 を求めること。 口 公 益 を代表す る委員 について (イ)公 益委員 については,審 議会 における公益委員の役割 はきわめて重要であるこ とにかんがみ,適 任者 を得 られるよう人選 は慎重 に行 なうこと。 なお,家 内労働者の大部分が婦人である事情 にかんがみ,適 任者が得 られる場 合 には,婦 人の任命 を考慮すること。 (口)文 部教官の委員への併任 について b 文 部省 としては,管 理職 (学長,学 部長,研 究所長等)の 文部教官 について は,審 議会委員等への併任 を原則 として認めない とい う方針であるので,こ れ を委員 に任命 しようとする場合 には当該併任 申請 に本人が委員 として きわめて 適任 であ り,か つ,余 人 をもってかえがたい理由,委 員 としての業務が本人の 本務 に支障 を生 じないのみ な らず,む しろ有益 であること等の特殊事情 を附記 す ること。 (2)本 省へ の りん伺 について イ 前 言訳1)イ及 び口により選定 した委員候補者 については, 8月 25日 までに本省 に り ん伺す ること。 なお,特 別の事情 によって委員候補者の選定が遅れる場合には,そ の見 とお しを あ らか じめ報告すること。 口 家 内労働者 を代表す る委員又 は委託者 を代表する委員の候補者については,別 紙 2の 様式 1に よ り,そ れぞれの委員定数 に相当す る人数 を りん伺すること。なお委 員候補者選定の経緯,理 由等で本省の参考 となるような事情があるときは記載する こと。 ハ 公 益 を代表す る委員の候補者 については,別 紙 2の 様式 2に より委員定数に相当 す る人数 を りん伺す ること。 (3)委 員の発令 について 委員 の発令 は,本 省 の承認後行 なうこと。 (4)特 別委員の選任 について イ 特 別委員 は,地 方家内労働審議会 にあっては,婦 人少年室長,当 該都道府県 を所 管す る通商産業局商工部長並 びに都道府県労働主管部 (局)長 及び中小企業対策主

(9)

労働者代表の選 出 をめ ぐる問題 ( 7 ) 3 5 管部 ( 局) 長 に就任 を依頼す る もの とす ること。 また, 地 方労働基準審議会家内労働部会 にあっては, 婦 人少年室長, 内 職補導事業主 管課長 ( 内職公共職業補導所長) 及 び中小企業問題主管課長 に就任 を依頼す る もの とす ること。 (註 :略 字 は正字 に直 してある。)

省の 「

承認」 によることを明記 している。委員の任命が,各 都道府県労働基準

局長の裁量 にはない こと,任 命 される委員 (候補者)の 報告制度が存在 してい

ること,そ れを通 じて,本 省 による委員の資格や基準のコン トロールが行われ

ていた ことを物語 っている。 さらに,「承認」制度が設 け られているとい うこ

とは,そ の 「

承認」のための客観的な基準が存在す ると推測 されるべ きである。

そ うでなければ,担 当者の主観的な判断によって,個 々に判断 されていたこと

になる。 この点,労 働者代表の選任方法 ・基準の客観性 ・公 開性の原貝Jから問

題が残 されている。

文書⑤ (1970年

)に よる 「りん伺」の制度は,文 書② (1972年

)で は,「選

定 した候補者の本省への りん伺は必要 としないこととし,任 命後は報告例規家

501(委 員任命報告)に より報告すること。

」 とされ,都 道府県 レベルでの委員

任命状況の報告制度 となった。この文書② による,労 働省労働基準局長から各

都道府県労働基準局長に対する指示によって作成 された委員名簿が文書⑥であ

る。以上の文書 は,地 方家内労働審議会委員や地方労働基準審議会家内労働部

会委員の任命手続 きに関す るものであるが,地 方労働基準審議会委員 について

は,文 書② によって,全 都道府県のレベルの地方労働基準審議会委員の名簿が

確認 されている。すなわち,地 方労働基準審議会委員についても,本 省への報

告義務が存在することになるが,そ れを明文化 した文書は,見 当たらない。こ

れは,「参考文書」 として開示 されなかっただけで,文 書②や文書⑤ に対応す

る地方労働基準審議会委員の任命手順を指示 した文書が存在することを示唆 し

ているものである。

当初,厚 生労働省側は,地 方労働基準審議会委員は,各 都道府県労働基準局

(10)

3 6 彦 根論叢 第 346号

レベルでの問題であ り,本 省 としては,何 も把握 していない とい う主張だった

ものが,こ の ような名簿の存在,そ の名簿報告義務 を明文化 した通達 を 「

参考

資料」 とい う形で 「

開示」せ ざるをえな くなったのであるが,地 域産業労働懇

談会問題 では,各 都道府県労働局 レベルでの委員任命問題 について,何 の記録

も保有 していない とい う主張が繰 り返 されたが,そ の信憑性 を自ら減殺 して し

まった と言 ってよいであろう。

この ように,地 方労働基準審議会委員の選出過程 をめ く

る一連の資料か らは,

労働者代表の選任方法 ・基準 の公平性 ・客観性 ・公 開性の原則が踏み に じられ

ている実情が浮かび上がって くるのである。

IX 最 低賃金審議会 における労働者代表

(1)情 報開示請求 と開示文書

最低賃金審議会委員の任命手続 (最低賃金法第29条 ・最低賃金審議会令第

3条 )に 関す る運用基準 (従来の運用実例 を含め,推 薦者の うちか らの選任基

準 ・理由等)・ 運用方法が明 らかになる文書」の開示請求の結果,以 下の文書

1 )

の開示決定がなされた。

① 中央最低賃金審議会委員候補者の推薦手続について

② 中央最低賃金審議会公益代表委員の委嘱について

③ 中 央最低賃金審議会委員の任命について (伺い)

④ 中央最低賃金審議会委員の任命について

この うち,「委員侯補者等の年齢及び履歴並 びに任命 されなかった委員候補

者の氏名,肩 書等」,「委員候補者の推薦労働組合名,所 在地及び代表者職氏名」,

法人等の印影の一部」お よび 「

委員候補者の署名及び印影」 は,不 開示 とさ

1 ) 最低賃金審議会委員の選出をめ ぐる問題点については,本 稿 Ⅱ②およびWIll(一) 註 1 5 ) ( 賃金委員会委員選任 における中央労働委員会の同意要件案) 参 照。また, 「地方最低賃 金審議会の第 3 期 委員の任命について」 ( 基発第5 4 5 号, 1 9 6 1 年6 月 1 5 日) が , 「労働者代 表委員の割 り振 りについては, 地 労委の構成, 管 内における組織人員比率等の諸事情 を十 分勘案すべ きは勿論である」 としていたことも留意 されるべ きである。

(11)

労働者代表の選出をめぐる問題 ( 7 ) 3 7 れ た。 その理 由は,他 の問題 での不 開示理 由 と共通す る ものであ った。その不 当性 につ いて は,果 議 申立書 や意見書 で指摘 したが,既 に詳述 した ところで も あ るので,こ こで は不 開示理 由の引用 を省 くこ とにす る。 ( 2 ) 開 示文書 の分析 開示 され た文 書 の うち,資 料 〈2〉 を引用 す る。内 申事 由書 には,「人選事 情 。そ の他 特 記 すべ き事 項」 欄 が あ る。 開示 され た文書 で は,こ の欄 には,

特になし」の記載があるだけであるが,開 示 されていない文書では, どのよ

うな記述がなされ, どのように運用されているかは不明である。このことは,

委員の選任基準 ・方法が,場 合によっては,検 討の対象 となりうることを示 し

ていると言えよう。

資料 く2)内 申事 由警 内 申 事 由 中央最低賃金審議会委員の任期満了に伴い、別添名簿の とお り 内申す る。 そ の 他 特 記 す べ き 事 項 人     選     事     情 特 に な し

不開示情報に関する方針は前記のとお りであるが, 結 果 として, 「中央最低

賃金審議会委員推薦者名簿」では, 使 用者委員は, 推 薦団体 ・氏名 ・現職の記

(12)

38 彦 根論叢 第 346号

載事項が公表 されているが,労 働者委員 として推薦 された者のうち,四 名が,

推薦団体 ・氏名 ・現職の記載事項 を墨塗 りされ,六 名が推薦団体名 を墨塗 りさ

れている。前者 は,任 命 されなかった ものであ り,後 者の任命 された者 も,推

薦団体名 は,伏 せ られている。推薦労働組合 による六名の推薦書では,二 名が

所属労働組合及び地位」 を,二 名が 「

所属職場及び地位」 を墨塗 りされてい

る。 この ように,不 開示情報の扱いは,客 観的で公正的であるとはいえず,選

任基準 ・方法 をめ く

って,紛 議の当事者 とな りうる立場の者の情報 を個人情報

の不開示基準 に当て嵌めているに過 ぎないであろう。

(3)異 議 申立書

前述の開示決定 について,「行政文書ではない ものの開示決定が含 まれてお

り,そ の分の手数料の返還 を求める。」お よび 「不 開示 とされた部分の文書 を

開示す る との決定 を求める。」 とい う内容の異議 申立 を行 ったが,本 件処分が

違法である とする理由は,以 下の とお りである。

(71 開示対象 とはならない文書が,開 示文書 とされてお り,違 法な処分である。

それは,法 令や官報の複写であるが,文 書①では,最 低賃金法 (抄)・ 最低

賃金審議会令 (抄)・ 中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等

に関する法律 (抄)。 中央省庁等改革関係法施行法 (抄)・ 労働組合法 (抄)

・国家公務員法 (抄)。 中央省庁等改革関係法施行法 (抄)・ 官報の7枚 であ

る。文書③では,官 報 。最低賃金法 (抄)。 最低賃金審議会令 (抄)・ 厚生労

働省設置法 (抄)の 4枚 である。文書④では,最 低賃金法 ・最低賃金審議会令

の12枚である。全体で,23枚 にのぼっているが,法 令や官報は,厚 生労働省が

作成 した行政文書 とはいえない。

いずれ も,決 済文書の一部 をなす体裁 をとっているが,実 際の決済の形式が

どの ような ものであれ,開 示請求の対象 となるべ き重要な情報が不開示 となる

一方で,こ れらの行政文書 とは分類で きないものを情報公開手続 きによって,

したが つて,開 示手数料 を徴 してまで,開 示文書 とすることは違法な処分であ

る。

(13)

労働者代表の選出をめぐる問題 ( 7 ) 3 9 ( イ) 開 示 されてい ない文書 ・情報が あ り,違 法 な処分 であ る。

文書③④は,各 委員候補者についての,内 諾書,労働組合の推薦書 ・使用者

団体の推薦書が含 まれている。

しか し,こ れ以外 に,推 薦 されたにも拘 わらず,任 命 されなかった委員候補

者 は,文 書③ に含 まれている 「中央最低賃金審議会委員推薦者名簿」 によれば,

使用者代表委員 ・労働者代表委員のいずれに推薦 されたかは不明な ものの,四

名いる。 この四名の氏名や推薦団体名が,上 記 「

名簿」 において,不 開示 とさ

れていること自体,不 開示の基準の誤 った解釈 によるもので不当である。

それ以上 に問題 なのは,こ の四名 について も,推 薦書や内諾書が存在するは

ずであ り,そ れが開示 されていないことである。結局,今 回開示 された文書は,

推薦 された候補者か ら委員 として任命 されるものを選考 した後の文書であ り,

選考結果がでる以前の行政文書 (少な くとも,任 命 されなかった人の推薦書や

内諾書が含 まれる選考資料)が ,別 に存在するはずである。そこには,開 示請

求書 において請求 した 「

推薦者の うちか らの選任基準 ・理由」 を記録 した文書

も含 まれているはずである。 これは,開 示 されるべ き行政文書の秘匿であ り,

情報公 開法の解釈 を誤 つた違法 な処分である。

開示 された文書 においては,内 諾書の署名は,不 開示 として,全 面的に墨塗

りされているが,必 要最小限の方法 を越 えた,過 乗Jな措置である。

また,推 薦労働組合の名称が不開示 とされている。これは,同 じ推薦行為 を

行 った使用者団体 については,推 薦者名簿 において も,個 々の推薦書 において

も,開 示 されていることか らして も,合 理性がない。

( 4 ) 理 由説 明書 本件 異議 申立 につ い て, 厚 生労働省 が, 情 報公 開審査 会 に諮 問す るにあたっ て提 出 した理 由説 明書 は,以 下 の とお りであ る。 1 本 件対象行政文書 について 本件 開示請求 は, 「最低賃金審議会 の委員 の任命手続 ( 最低賃金法第2 9 条 ・最低賃金審議

(14)

40 彦 根論叢 第 346号 会令 第 3条 )に 関す る運用基準 (従来の運用実例 を含め,推 薦者の うちか らの選任基準 ・理 由等)・ 運用方法が明 らか になる文書」 の開示 を求める ものであ り,開 示決定 における該当 す る行政文書 として,次 の文書 を開示請求対象行政文書 と特定 した ものである。 ① 中 央最低賃金審議会委員候補者の推薦手続 について ② 中 央最低賃金審議会公益代表委員 の委嘱 について ③ 中 央最低賃金審議会委員の任命 について (伺い) ④ 中 央最低賃金審議会委員の任命 について 2 果 議 申立人の主張及 び諮問庁の考 え方 について 異議 申立人 (以下 「申立人」 とい う。)は ,異 議 申立てに係 る処分 (以下 「原処分」 とい う。)に は開示対象 とな らない文書であるにもかかわ らず,開 示 されている文書があ り,ま た,開 示請求対象 となる行政文書であるにもかかわ らず,開 示 されていない文書があるか ら, 原処分 は違法である旨主張 しているので検討す る。 (1)開 示請求 とならない文書 を開示 している との主張 について 申立人は,上 記① ,③ 及 び④ の文書 において,最 低賃金法,労 働組合法及 び厚生労働省設 置法等 の法令 の抜粋 あ るいは官報の複写が含 まれているが,こ れ らは 「行政文書」 には当た らない 旨主張 している。 これ ら文書 はそれぞれ決裁文書であるが,決 裁文書 には当該決裁条件 について,法 令上の 根拠等 を説明す る参考資料 として法条文等 を添付 す ることは通常行 われている ものであ り, 本件 開示対象 とされた決裁文書 に も実際,法 条文の写 し等が添付 されていたことか ら,一 つ の行政文書 として公 開 した ものであ り,申 立人の主張 には理由がない ものである。 (2)任 命 されなかった委員候補者名 を不 開示 としたことについて 任命 され なか った委員候補者名 は,特 定の個 人を識別す ることので きる情報であ り,法 令 の規定 によ り又 は慣行 として公 にされ,又 は公 にす ることを予定 されている情報であるとは 認め られない ことか ら,法 第 5条 第 1号 に規定 された不 開示情報 に該当するとして不開示 と した ものであ り,不 開示基準の誤 った解釈 による もので不当であるとの申立人の主張は理由 が ない ものである。 (3)内 諾書の署名 を不 開示 としたことについて 内諾書の署名 は,委 員候補者の 自署であ り,単 に本人が手書 きで 自己の氏名 を記 した とい うに とどまらず,そ の固有の形状が個人識別情報 として意味 を持 ってお り,同 時に当該署名 を公 に した場合, トラベ ラーズ ・チェ ック,ク レジ ッ ト・カー ド等の不正使用,あ るいは国 際取引文書 において悪用 され るな どによ り当該個人の権利利益 を害す るおそれがあることか ら,法 第 5条 第 1号 に規定する不 開示情報 に該当す るとして不開示 とした ものである。 なお,当 該署名 を行 った各委員の氏名 は既 に公 にされているが,同 人の 自署が明 らかにな

(15)

労働者代表の選出 をめ ぐる問題 (7) 41 る とまで予想 している とは言 えず,一 般 にこの ような内諾書 に記載 した自署 を公表す る慣行 はない もの と考 えている。 (4)推 薦使用者団体及 び推薦労働組合の印影 を不 開示 としたことについて 推薦使用者団体及 び推薦労働組合 (以下 「法人等」 とい う。)の 印影 は,各 法人等の事務 局 における管理規定等 で特定 の事務等 に限定 して用 い られ,そ の使用 目的,範 囲,使 用方法 等が厳格 に定め られい るむやみ に公 にされない印影であって,記 載事項 の内容が真正 な もの であることを示す認証的機能 を有す る性質 を有する ものであ り,こ れにふ さわ しい形状であ る と認め られる ものであることか ら,こ れ らの印影 を公 に した場合 に,印 を偽造 されるおそ れがあ り,当 該団体の権利の得喪や各種証明等 に関する各種書類の作成等 に悪用 されるなど, 当該法人の権利 ,競 争上の地位その他正当な利益 を害す るおそれがあることか ら,法 第 5条 第 2号 イ及 び第 4号 に規定す る不 開示情報 に該 当す る もの として不 開示 とした ものである。 (5)推 薦労働組合 の名称 を不 開示 とした ことについて 申立人 は,委 員の推薦 を行 った使用者団体 の名称 は開示 されていることをもって推薦労働 組合 の名称 を不 開示 とした ことに合理性 はない旨主張 しているが,そ もそ も労働者団体が ど の ような人物 を労働者側委員候補者 として推薦す るかは,正 に当該団体内部 において自主的 に決定すべ き問題であ り,こ れを公 に した場合,当 該団体の性格,活 動内容が明 らか とな り, 当該団体が使用者か らの干渉 を受 ける可能性 があ り,さ らに他の労働者団体等 との関係 にお いて,当 該団体 の評価 に影響 を及ぼすおそれがある等不利益 を被 るおそれがあ り,今 後の労 働 者委員の推薦 を含め当該労働組合の 自由な活動 を阻害す るおそれがあるか ら,法 第 5条 第 2号 イに該当す るもの として不開示 とした ものであ り,こ の ようなおそれがない使用者団体 と同列 に論ず ることはで きない もの と考 える。 (6)任 命 されなかった委員候補者の推薦書等が不存在であることについて 申立人は,任 命 された委員候補者の推薦書等 は開示 されているが,任 命 されなか った委員 候補者の推薦書等が開示 されていない ことを もって,本 件 開示対象文書が任命選考後の文書 である とし,任 命選考前の文書の存在 と当該文書 には任命 されなかった委員候補者 に係 る推 薦書等 ,任 命基準,理 由を記録 した文書 も含 まれているはずである旨主張 している。 一方,本 件開示請求に当たっては, 1に おいて述べたとお り,平 成12年の中央最低賃金審 議会 (委員任免)綴 りとしてフ ァイル化 されていた行政文書のすべ て を対象 としていたが, 異議 申立てが なされた時点で改めて文書の探索 を行 った ところ,任 命 されなかった 4名 の委 員候補者の推薦書並 びに任命 されなか った委員候補者の内諮書及 び履歴書 (以下 「推薦書等」 とい う。)の 存在が認め られた ところである。 (7)新 たに開示対象行政文書 として認め られた推薦書等 について 新 たに開示対象行政文書 として認め られた推薦書等 に記載 された情報の開示 ・不 開示該当

(16)

42 彦 根論叢 第 346号 性 は次 の とお りである。 任命 されなかった委員候補者の推薦書 に記載 されているものの うち,推 薦労働組合名,所 在地及 び代表者職氏名 については (5)の 理由により,推 薦労働組合の印影 については (4) の理由によ り,任 命 されなかった委員候補者の氏名,肩 書 き等 については (2)の 理由によ り,不 開示 とすべ き情報であるが,当 該不 開示 とすべ き情報以外 については,開 示すべ きで ある と考 える。 また,任 命 されなかった委員候補者の内諾書 について,任 命 されなかった委員候補者の氏 名,肩 書 き等 については (2)の 理由によ り,不 開示 とすべ き情報であるが,当 該不開示 と すべ き情報以外 については,開 示すべ きであると考 える。 さらに,任 命 されなかった委員候補者の履歴書 については,(2)の 理由により,す べて の情報が不開示 とすべ き情報であるため,全 面不開示 とすべ きであると考える。 したが って,存 在が認め られた推薦書等の うち,任 命 されなかった委員候補者の推薦書及 び任命 されなかった委員候補者の内諾書 については,不 開示情報 を除き開示すべ きと考 える。 3 結 論 以上,諮 問庁 としては,上 記 2(7)に おいて開示すべ きであると考 えるところを除 き, 不 開示 を維持することが妥当である と考 える。 ( 5 ) 意 見 書

異議 申立人 として,情 報公開審査会 に提 出 した意見書では,労 働者委員を推

薦 した労働組合名の不開示 に関する部分 は,前 述 した意見書の内容 を踏襲 して

お り重複するので,省 略 し,そ の他の部分 を引用する。

171 理由説明書 において,厚 生労働省の考え方が記 された部分のうち,(1)

か ら (4)に 関する理由説明書の考え方については,異 議 申立書においてすで

に論 じている ところであ るので,改 めて述べ ることはせず,本 意見書では,

「(5)推 薦労働組合の名称 を不開示 としたことについて」および 「(6)任 命

されなかった委員候補者の推薦書等が不存在であることについて」 に関連 して,

意見 を提出す る。

(イ

)「 (5)推 薦労働組合の名称 を不開示 としたことについて」

最低賃金審議会 における労働者委員 (および使用者委員)候 補者の推薦は法

律 によ り定め られている制度であるか ら,こ の推薦制度 は,公 的な制度である

(17)

労働者代表の選出をめぐる問題 ( 7 ) 4 3 こ とは明 らかであ る。それ故 ,そ の運用 は,行 政側 の 自由な裁量 に委 ね られ る こ とがで きる もので はな く, したが って,こ の制度 に関す る情報 は,広 く公 開 分

されなければならない。

(ウ

)「 (6)任 命 されなかった委員候補者の推薦書等が不存在であることに

ついて」

理 由説明書 によれば,「平成12年の中央最低賃金審議会 (委員任免)綴 りと

してファイル化 されていた行政文書のすべてを対象 としていたが,異 議 申立て

が なされた時点で改めて文書の探索 を行 った ところ」,任 命 されなかった委員

候補者の推薦書等が見つかった とされている。では,こ れ ら推薦書等は, どの

ような文書 ファイルに収録 されていたのか明 らかでない。厚生労働省の設置 し

ている行政文書 ファイルー覧 に登載 されている文書であれば,当 然,検 索可能

であるが,適 当な 「フリーワー ド」 を利用 して も,「中央最低賃金審議会 (委

員任免)」名のファイル しか一覧表示 させ ることが出来なかった。

この ような事情か らすれば,こ れ ら推薦書等以外 にも関連する行政文書があ

るのでは とい う疑義 を禁 じ得 ない。 とくに,選 任基準 に関する資料等,選 考過

程 を記録 した文書が存在す るのではないか と推測す ることは,合 理的な根拠が

あろう。けだ し,定 数 を超 えて候補者が推薦 されている場合, どのような基準

に基づ き,委 員 を選出するのかは,ま さしく,行 政の公平性 を担保するもので

あるだけに,そ れな りの資料 をもとに検討が加 えられているはずである。委員

の選考過程 におけるその ような資料 は,開 示請求の対象 となる行政文書 として

開示 されなければならないであろう。

(6)答 申書

情報公 開審査会 は,2003年 4月 7日 ,答 申を行 った。「

第 2異 議 申立人の主

張の要 旨」 お よび 「第 3諮 問庁 の説明の要旨」 は省略す るが,情 報公 開審査

会での本件 の調査審議 は,前 述の条件 (Ⅷ (三))と 歩調 を合 わせて行 われて

お り,同 様 の限界 と弱点 を有す る もので,批 判 されるべ き点 も共通 している

2)以 下の内容 は省略 したが,意 見書お よび本稿Ⅷ (三)(4)参 照。

(18)

44 彦 根論叢 第 346号 ( Ⅷ ( 三) ( 5 ) 参 照 ) 。 第 1審 査会の結論 中央最低賃金審議会委員の任命手続 (最低賃金法第29条,最 低賃金審議会令第 3条 )に 関 する運用基準 (従来の運用実例 を含め,推 薦者のうちからの選任基準 ・理由等)・ 運用方法 が明らかになる文書につき,一 部開示等 とした本件決定について,以 下の文書 (以下 「本件 対象文書」 という。)の うち③か ら⑤ までの文書中,諮 問庁が不開示 とすべ きであると判断 した不開示部分は,不 開示 とすることが妥当である。 ① 中 央最低賃金審議会委員候補者の推薦手続について ② 中 央最低賃金審議会公益代表委員の委嘱について ③ 中 央最低賃金審議会委員の任命 について (伺い) ④ 中 央最低賃金審議会委員の任命 について ⑤ 任 命 されなかった委員候補者にかかるもの (推薦書,内 諾書及び履歴書) 第 4調 査審議の経過 当審査会は,本 件諮問事件について,以 下のとお り,調 査審議 を行った。 ① 平 成15年1月 15日 諮 問の受理 ② 同 日 諮 問庁から理由説明書を収受 ③ 同 年 2月 12日 異 議申立人か ら意見書 を収受 ④ 同 月13日 本 件対象文書の見分及び審議 ⑤ 同 月27日 諮 問庁の職員 (厚生労働省労働基準局賃金時間課主任中央賃金指導官ほか) からの回頭説明の聴取 ⑥ 同 年 4月 3日 審 議 第 5審 査会の判断の理由 1本 件対象文書について (1)本 件対象文書の性格について 本件対象文書は,平 成12年に,処 分庁が,同 13年の中央最低賃金審議会委員を任命するに 当た り作成 された一連の文書である。 (2)本 件不開示部分について 本件対象文書について,当 初,処 分庁は,上 記第 l① から④ までの文書を特定 し,① 及び ②の文書については全部開示 し,③ 及び④の文書につては,法 5条 1号 , 2号 イ及び4号 に 該当する部分 を不開示 としている。 その後,諮 問庁は,本 件諮問に際 し,本 件対象文書 として,上 記第 l① から④ までの文書 のほか,① の文書を特定 し,当 該文書中法 5条 1号 , 2号 イ及び4号 に該当する部分を不開

(19)

労働者代表の選 出 をめ ぐる問題 (7) 45 示 としている。 そ こで,以 下③ か ら⑤ までの文書の不 開示部分 につ き,不 開示情報の類型別 に検討する。 2 不 開示情報該当性 について (1)推 薦労働者団体の名称,住 所,電 話番号及び印影 について 推薦労働者団体 の名称 ,住 所及 び電話番号 については,当 該団体 を識別で きる情報であ り, これ らを公 にす ることによって,当 該団体の性格,活 動方針及び活動内容等が明 らか とな り, 当該団体 と使用者,他 の労働者団体等 との関係 において,種 々の干渉 を受 けるなどの不利益 を被 る可能性があ り,今 後,労 働者委員の推薦 を含め当該団体の 自由な活動 を阻害す るおそ れがある と認め られる。 また,推 薦労働者団体 の印影 については,こ れ を公 にすることにより,当 該団体の名称等 を開示す ることにつながることとなる。 したが って,こ れ らの情報 については,法 5条 2号 イに該当 し,不 開示が妥当である。 (2)内 諾書 における個 人の 自署及 び印影 について 個 人の 自署及 び印影 は,法 5条 1号 本文の個 人識別情報 に当た り,当 該 自署及 び印影が同 号 ただ し書 イに該当す るか どうかは,当 該 自署及 び印影の性質 ・形状 や使用 されている状況 な どか ら個別 に判断す る必要がある。 本件 においては,公 益委員候補者 6名 ,労 働者委員候補者10名及 び使用者委員候補者 6名 の内諾書 において,各 個人の氏名が手書 きで記載 され,併 せて個人の氏 を刻 した印鑑が押捺 されている。 任命 された各 々 6名 の公益委員,労 働者委員及 び使用者委員の氏名 は,既 に公表 されてい る ところ,各 委員の 自署 は,単 に本人が手書 きで 自己の氏名 を記 した とい うことにとどまら ず,そ の固有 の形状がイ国人識別情報 として意味 を持 っている と言 うべ きであ り,ま た,個 人 の印影は,単 に氏又 は氏名 を示すのみではな く,そ の固有の形状が個人識別情報 として意味 を持 っている と言 うべ きである。 したが って,自 署及び印影の開示が当該個人の権利利益 を 害す るおそれが ないか どうか を慎重 に勘案 して,当 該 自署及び印影が法 5条 1号 ただ し書 イ に該当す るか どうか を判断す る必要がある。本件の場合,上 記の とお り,各 委員の氏名 ない し氏以外 の個人情報 は,そ の氏名が既 に公表 されているとはいえ,同 人の自署及び印影が明 らか になる とまで認容,想 定 している もの とは言 えず,さ らに,一 般 にこの種の内諾書 に押 捺 された 自署及 び印影の公表慣行 があ る とは認め られない。 したが って,本 件 自署及び印影は法 5条 1号 ただ し書 イに該当 しない と認め られることか

(20)

46 彦 根論叢 第 346号 ら,不 開示が妥当である。 また,任 命 されなかった労働者委員候補者 4名 の 自署及び印影 について も同様である。 (3)任 命 されなかった候補者の氏名,現 職,年 齢,生 年月 日,勤 務先住所 ・電話番号及び 自宅住所 。電話番号 について 任命 され なか った候補者 は,労 働者委員候補者 4名 であるが,そ の氏名等の情報 は,個 人 に関す る情報であ り,当 該候補者 を識別で きる情報であることか ら,法 5条 1号 に該当 し, かつ,同 号 ただ し書 イか らハ までのいずれに も該当 しないため,不 開示が妥当である。 (4)委 員の,年 齢,生 年月 日,自 宅住所及び自宅電話番号並 びに個人の履歴書 (略歴書) について 諮問庁の説明 による と,委 員任命後,中 央最低賃金審議会委員名簿 によって公表 される委 員 に関す る情報 は,公 益委員,労 働者委員及び使用者委員の区分,氏 名及び現職のみである こ とが認め られる。 したが って,当 該情報以外の委員の年齢,生 年月 日,自 宅住所及び自宅電話番号並 びに個 人の履歴書 (略歴書)は ,個 人 に関す る情報であ り,法 5条 1号 に該当 し,か つ,同 号 ただ し書 イか らハ までのいずれにも該当 しない ことか ら,不 開示が妥当である。 (5)推 薦使用者団体 の印影 について 一般 に法人の印影 を公 にした場合 に,当 該法人の正当な利益 を害するおそれがあるか どう かは,当 該印影の性質 ・形状や使用 されている状況 などか ら個別 に判断する必要がある。 そ こで検討する と,本 件推薦書 に押印 された使用者団体の印影 については,当 該団体の事 務局 における管理規走等 で特定 の事務等 に限定 して用 い られる ものであ り,そ の使用 目的, 範囲,使 用方法等が厳格 に定め られてお り,む やみ に公 にされていない印影であること,ま た,記 載事項の内容が真正 な ものであることを示す認証的機能 を有する性質の ものであ り, これにふ さわ しい形状であると認め られること等か ら,こ れ らの印影が公 にされた場合 には, 当該 団体 の権利 の得喪や各種証明等 に関す る書類 の作成等 に悪用 されるな ど,当 該団体の正 当な利益 を害す るおそれがある と認 め られる。 したが って,当 該情報 は,法 5条 2号 イに該 当 し,不 開示が妥当である。 3 そ の他 の行政文書の存否 について (1)本 件対象文書 について,異 議 申立人は,本 件開示文書以外の文書 として,候 補者か ら 任命す る委員 を選考す る基準や理 由を記録 した文書が存在す ることは明 白な事実である旨主 張す る。

(21)

労働者代表の選出をめ ぐる問題 (7) 47 (2)諮 問庁の説明によれば,被 推薦者から候補者を選考するに当たっては,人 事事項 とし て諮問庁の最高幹部により,被 推薦者名簿及び履歴書を基に方針が決定され,そ の後,事 務 手続 を進めたもので,そ の性格か らして,そ の過程 を何 らかの行政文書 として作成 ・保管す るものではないとしている。 (3)上 記の諮問庁の説明は不 自然ではなく,他 に本件開示文書以外の文書が存在すると推 測 させる事情 も認められない。 4 異 議申立人のその他の主張について 異議 申立人は開示 された上記第 l① ,③ 及び④の文書中には最低賃金法及び最低賃金審議 会令等の条文の全文あるいは抜粋の複写が含 まれているところ,こ れらの文書の行政文書該 当性について疑義がある旨主張する。上記第 l① の文書は前記のとお り特定の労働者団体及 び使用者団体への推薦手続であって,そ の文書中に法令の根拠条文の抜粋が含 まれていたも のであ り,ま た,上 記第 l③及び④の文書は任命に関する決裁文書であって,同 様にその文 書中に法令の根拠条文の全文が含 まれていたものであ り,現 に,本 件対象文書のフアイルに とじられていたものである。 したがって,こ れらの法令の抜粋等は上記第 l① ,③ 及び④の各文書の一部である行政文 書 に該当するもの と認められる。 5 本 件不開示決定の妥当性 以上のことから,上 記第 l③及び④の文書について,法 5条 1号 , 2号 イ及び4号 に該当 するとしてその一部 を不開示 とした決定につ き,諮 問庁が上記第 l③ から⑤ までの文書につ いて,同 条 1号, 2号 イ及び4号 に該当するとして不開示 とすべ きであるとした部分につい ては,い ずれも同条 1号及び2号 イに該当 し,不 開示が妥当と認めた。 第 6 答 申に関与 した委員 吉村徳則,高 木佳子,戸 松秀典 ( 7 ) 小 括

この答 申書 を踏 まえ,厚 生労働省側 は, 5月 29日付 けで,異 議 申立 に係 る決

定 を行 うとともに,「行政文書 開示決定変更通知」 を行 った。情報公 開手続 き

の視点か らは,不 開示決定 を覆 し,新 たな行政文書が開示 されたという点では,

特記 される面 もあろ うが,労 働者代表の選任方法 ・基準の公平性 ・客観性 。公

開性 とい う視点か らは,問 題点が多 く残 された。当事者か らは,「中央 (最低

(22)

48 彦 根論叢 第 346号 賃 金審議 会 ) の 委員 だけで な く, 地 方審議会 の委員 について も各地方労働基準 局 は, 労 働省 の指導 を うけて, 県 労連 な どの金労追加盟組織 が推薦 した候補 者

をすべて排除している。

」という

指摘がなされているポ│このような疑間に正

面か ら応 えるべ き資料の公 開こそ求め られる。

3)「 中央最低賃金審議会労働者委員の不公正 な任命 に抗議する」 (全労連情報第260号,1997 年 5 月1 5 日)

参照

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