東京ブロック開催報告書(2018年11月24日開催)
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(2) 在 宅 医 療 のこれからと2030年 我が国は世界に類を見ない規模とスピードで超高齢社会を迎えた。長寿化は地球規模 で生じており、特に東アジアでは、我が国同様に人口高齢化が加速され、われわれが経験 した以上の速さで超高齢社会を迎えることになる。東アジア諸国でも日本の介護保険制度 や地域包括ケアシステムへの関心が高まっており、すでにそれぞれの国の状況に応じた 同様の取り組みに着手している国も少なくない。日本は超高齢社会の先進国として介護保 険のみならず在宅医療の分野への広がりを見せ、新しい社会構造の中で、しっかりと在宅 医療の基礎固めをした。日本の在宅医療は1980年以後の高齢者施策と同時に明確にそ の姿を見せ始めた。高齢者問題は1970年代以降日本社会の大きな課題であった。 1969 年厚生白書では寝たきり老人の言葉が登場し、 1972年には有吉佐和子の恍惚の人が出 日本在宅ケアアライアンス. 版され、痴呆性老人が身近な話題として取り上げられた。日本政府は政策性を欠いた対応. 議長. に終始し、日本社会に大きなゆがみをもたらしていた。必然として高齢者の長期入院の増. 新田 國夫. 大をもたらすことになる。日本社会の家族構造の変化の始まりでもあるが、家族が障害高 齢者を支え切れない現実がある中で、医療費抑制政策が行われるが、根本解決にはなりえ なかった。この当時主流となるのは日本型福祉社会論である。日本では同居率が高いこと を踏まえ同居家族を含み資産として家族による支えが政策論になるのが1979年の厚生 白書である。 1980年代以降も社会的入院が継続する。 1986年の調査では65歳以上の 寝たきり6か月以上は22万人であったが、先端医療が入り込んでいたがゆえに、さらなる 寝たきりの増加をもたらし、さらなる問題を抱える事になる。 昨年、今年とベトナム、ミャンマーを訪問した。それぞれの国に日本の1980年代、ある いはそれ以前の状況を見た。国民皆保険が機能しない中、地域医療が多大な課題であっ た。高齢社会では慢性期の患者や、長期にわたって医療や生活支援を必要とする人が増 加することとなるが、アジアの国の一部は地域医療体制が出来ない中で先端、救急医療 を進めようとしている。日本においての1980年社会が形を変えて存在していた。その結 果、ニーズが大きくなっていくのは治療ではなく、看護や介護、生活支援、医療で言えば在 宅医療が必要不可分となる事を日本は証明した。 在宅医療は、病院機能が地域に拡大されてきたものと認識されがちだが、そこで提供さ れる医療は異質である。病院医療の延長線上にはない新しい概念が求められている。病 院医療の延長線上ではなく専門医ではない診療所医療の延長にあると考える。超高齢社 会においては、疾病構造や概念の変化に対応するために、急性期病院では早期に治療を 行い、早期に自宅に戻すことを目指し、退院後の地域での生活を支えるための在宅医療、 介護の体制強化が必要となっている、しかしながら現在、病院を必要としない在宅医療の 患者も含まれているからである。病院完結型から地域完結型医療へのパラダイムシフト は、地域包括ケアシステムの中心的課題でもある。病院完結では解決できない課題の回 答を地域社会が求められている。 1980年の議論に戻ると、 1980年代障害高齢者が支え られなくなっていることで社会的入院を抑えることが出来なかった。介護保険の議論はそ の延長線上にあるが、現在さらに家族形態は崩壊し、老老、単身世帯へと移る中で、介護 保険のみの制度では望まれる在宅ケアの実現ができない。理論を後戻りさせることなく、 負の議論もプラス展開となる議論を進める必要がある。 02.
(3) 第 9回東京都在宅医療推進フォーラムを終えて 本年度の在宅医療推進フォーラムを開催することができました。参加していただいた 専門職の皆さん、東京都医師会の皆さん、講師を務めていただいた先生方、裏方で働い. 第9回 東京都在宅医療推進フォーラムプログラム. 在宅医療の深化を求めて. たスタッフの皆さん、心から感謝しています。ありがとうございました。今回で3回目とな るワールドカフェ形式を取り入れたフォーラムでしたが、皆さんはいかが感じられたで. 来賓挨拶. 東京都福祉保健局医療政策部 医療改革推進担当部長. 基調提言. 新田 國夫 氏 東京都在宅療養支援診療所連絡会 会長. シンポジウム. 在宅医療の推進は、少しずつですが、環境整備がされるようになってきました。行政や. 演者①. 医師会の理解が進み、診療報酬上も診療所間の連携、在宅療養支援病院との連携、在宅. 『ACPとは?』 西田 伸一 氏. 副会長. 鈴木 央. 東京都福祉保健局医療政策部 医療改革推進担当部長. 東京都医師会 理事. 医療後方病院との連携も報酬が付くようになりました。 東京都在宅療養支援診療所連絡会. PROGRAM. 田中 敦子 氏. 第一部. しょうか。多くのテーブルで専門職の垣根を超えたフラットな関係性の中で話し合いが進 んでいたように思いました。. ∼地域包括ケアのための絆を紡ぐ∼. 田中 敦子氏. 『こんなACPは嫌だ!』 鈴木 央 氏. 演者②. それでも、質の高い24時間365日体制の在宅医療が東京都のどこでも受けられるよ. 東京都在宅療養支援診療所連絡会 副会長. うになっているのかと問えば、まだまだだと考えています。地域リーダーが行政や医師会 総括・質疑応答. と協力して積極的に在宅医療推進を進めている地域もあれば、まだそれほど進んでいな い地域もあるはずです。そして、どの地域でもまだまだ課題は山積している状態だと思 われます。 今回のフォーラムで経験していただいた課題解決を考える話し合い、このようなやり. オリエンテーション. 方が在宅医療推進にとって重要な手法であると私たちは考えているのです。医師、歯科 医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、介護支援専 門員、介護福祉士、生活相談員、管理栄養士、福祉用具専門相談員、などの様々な専門. ワールドカフェ① ワールドカフェ. 田中 千賀子 氏 東京都訪問看護ステーション協会 副会長. 第二部. ワールドカフェ②. 【事例検討】Mさんについて考えてみる Mさんのケースをガイドラインに. 東京都医師会 理事. 西田 伸一氏. 当てはめてみる. 職と行政が立場を超えて協力してある課題を解決すること、それは、患者さんや利用者. ワールドカフェ③. さんの在宅での生活を支えるために様々な課題を解決するのと同じことです。もちろん. 発表. 各専門職には対人支援のため、治療のための様々なスキルがあるのですが、地域課題. 総括. ACP、具体的な地域活動をどう進めるか?. の解決には誰も正解を持っているわけではないのです。このため今回の話し合いの中で 生まれた様々なアイデアを決して埋もれさせずに、それぞれの地域の中で、同じようにフ ラットな専門職間の話し合いの中でそのアイデアを昇華させて、地域課題を解決するた. 閉会挨拶 閉会式. 新田 國夫 氏 東京都在宅療養支援診療所連絡会 会長. めに役立てていただきたいのです。. 東京都訪問看護ステーション協会 副会長. 田中 千賀子氏. 医療介護連携の推進、24時間365日在宅医療を行うための連携体制の在り方、ICT 等の情報共有体制の在り方、地域住民の啓発、地域住民を巻き込んだ地域包括ケア体制 づくり、さらに障がいや子育て支援を内包した地域共生社会への試みなど、地域には. 第9回 東京都在宅医療推進フォーラム 参加者数 160名. DATA. 様々な課題があり、それぞれの地域の事情によりその解決策も取り掛かる順番も異なり ます。中には時間がかかるものもあるかもしれません。行政が関わるもの中には、十分な. 職種別. 施設別. 話し合いの中で、時には予算化が必要なものもあるかもしれません。 しかし、私は信じているのです。今後訪れる真の高齢社会は、たくさんの虚弱な高齢者 たち(これはおそらく現在の私たち自身です)、若い働き手の不足、高額な社会保障費、産 業の衰退などのネガティブな面だけではなく、このような話し合いを深めていく過程で、 お互いがフラットな立場で支えあい、弱点や失敗をののしるのではなく長所や成功につ いてたたえあう、やさしさにあふれた社会となっていることを…。. 03. ■ 医師 ■ 歯科医師 ■ 保健師、看護師 ■ 薬剤師 ■ ケアマネ ■ MSW ■他. 27名 6名 49名 10名 26名 15名 27名. ■ 病院 ■ 診療所 ■ 歯科医院 ■ 訪問看護ステーション ■ 薬局 ■ 介護事業所 ■ 行政 ■他. 44名 31名 8名 22名 10名 27名 11名 7名. 04.
(4) WORLD CAFE. ∼ACPから地域連携活動を考える∼. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. 01. 02. 03. 05. 在宅医療連携. 04. 05. 06. 06.
(5) WORLD CAFE. ∼ACPから地域連携活動を考える∼. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. 07. 08. 09. 07. 在宅医療連携. 10. 11. 12. 08.
(6) WORLD CAFE. ∼ACPから地域連携活動を考える∼. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. 13. 14. 15. 09. 在宅医療連携. 16. 17. 18. 10.
(7) WORLD CAFE. 在宅医療連携. ∼ACPから地域連携活動を考える∼. GROUP. GROUP. GROUP. GROUP. 19. 20. 22. 23. GROUP. 21. 11. 12.
(8) WORLD CAFE. 開催報告. まず開催に先立ち、ご来賓を代表し東京都福祉保健局 医療政. ここではモデル症例Mさんの事例を踏まえて「ACPどうして. 策部 医療改革推進担当部長 田中敦子様よりご挨拶をいただ. る?」の掛け声とともに、参加者が23のテーブルに別れグルー. ◎簡易なACPはいらない。手間のかかるACP(別々に各々の事業所が本音を聞き、それを共有すること)でないと、本人の本音はきちんと. きました。続いて、東京都在宅療養支援診療所連絡会 会長 新. プワークが始まりました。自己紹介もそこそこに各自がACPに. 聞き出せないだろう。. 田國夫氏の基調提言を受け、第一部では東京都医師会 理事. ついて意見を述べ、そのまま発言者が用意されたシートにキー. ◎ガイドラインでは繰り返し本人家族と話し合うとあるが、そこまで時間をとって対応できるのだろうか?. 西田伸一氏よりそもそもACPとは何かについて講義いただき. ワードを書き込んでいくワールドカフェスタイルで3つのセッ. ました。また東京都在宅療養支援診療所連絡会 副会長 鈴木. ションをこなしていきます。3時間に及ぶ長丁場でも議論の尽. 央氏には「こんなACPは嫌だ!」としてACPをより身近に考え. きる様子はなく、改めてACPの難しさを知ることになります。. てみるきっかけを投げかけていただきました。. その後行われたグループ別でのディスカッションポイントの発. これを受けて、第二部では「在宅医療連携 ∼ACPから地域医. 表の場においても、その活発な意見交換の様子を伺い知るこ. 療連携を考える∼」として東京都訪問看護ステーション協会. とができました。. 副会長 田中千賀子氏をファシリテーターにワールドカフェを 開催しました。. ◎ACPは、果たしていつのタイミングで、一体誰が声をかけるのか?60歳でACP書けと言われても実際は困る。 ◎ACPを決めていただくとしても、その場の価値でしかないかも。 ◎なかなかいい医者に会えないのに。 ◎結局一人一人で解決していくしか無い。 ◎そもそもガイドラインをこういった場所で読む機会が初めての人が多い中で、職種人によって温度差があることがわかった。 ◎ACPはプロセス。プロセスをどう管理するかは、ガイドライン次第であり、まずはガイドラインを熟知すべき。 ◎ガイドラインは患者本人に向けて書いているともいえる。患者本人もチームの一人として参加してもらうことが大事。 ◎患者本人に「自分の意志を表明していいんだよ」というのをセットで周知していかないと、 ACPにおける患者との距離は. (11月30日、厚生労働省はACPの愛称を「人生会議」とすると発表しました。 ). 遠いままになってしまうだろう。 ◎そもそも死生観人生観の話であり、医療だけでは解決しにくい→医療の外にもチームが必要。 ◎死に方ではなく生き方の問題。 ◎世代間のジェネレーションギャップあり。. ワールドカフェを終えて[課題と解決案]. ◎医療業界における「死を敗北と考える価値観」の存在が難しくさせている。 ◎在宅医療をあまり知らない医師が、適当にACPとして動かそうとすると、逆にかき回されてしまう。. QUESTION. 問1. ●この人の望みは何だとおもいますか? ●どのようにして、 この人の本当の思いを引き出していったらいいと考えますか。 ●どのような手順でそれを実行しますか?. ◎退院支援カンファレンス;病院の医師に出席して欲しい。本来は患者の悩み等があるはずだが、主治医が出てこないと伝わってこない。 ◎事例を積み上げていくことが大事 ◎事例を積み上げていって、顔の見える関係(特に医師と)がとても大事。. ◎本人と家族の思いがとても大事でそれを共有すること。 ◎今後どの様に病状が変化していくか、具体的情報を提供していくことが大事。 ◎死に至りそうであれば、子供も含めて家族全員を呼ぶべき(子供への死に対する学習となる側面あり)。 ◎グリーフケアをしっかりするべき、一方で病院はグリーフケアをほとんどしていない。. QUESTION. 問3. ● あなたの働く地域で、 このような患者支援の体制を作るために、どのような活動が必要でしょうか? ● その活動を実践するために、 どのように動く必要があるでしょう。 ●グループの中のお一人の地域で、具体的な行動計画を立ててください。. ◎本音を聴き出せるのは、訪問看護師かヘルパーといった生活面も支える存在だろう。 ◎本人の思いを一番聞き出せるのは訪問看護師ではないか。そしてそれを医師がどこまで聞き出せるかだろう。. ◎ACPのブランディングが大事。マスコミの活用。. ◎患者の本音として、医師と訪問看護師の聴いていることが違っているケースがあることを初めて知った。. ◎「終活」が流行っていて関心も高いが、それらとコラボしてはどうか?. ◎医師がしっかりとリーダーシップをとって欲しい。. ◎ACPについて、区民も知らない。救急病院もしらない。役所による啓蒙活動が必要. ◎医師が主導することが大事。ただし、医師が大見得切って「あなたはどうしたいのか?」と迫ってしまうと、. ◎マイナンバーの普及していないが、認知症は良い意味で認知されている。ACPも老人クラブやサロン等で拡げていったりしてはどうか?. 患者本人も言いたいことも言えなくなろうだろう。. ◎テレビ広告をしてはどうか?何度も刷り込みとして継続的に実施してはどうか?. ◎このケースでは入院段階で病院がしっかりと患者の本音を確かめるべきであり、このケースの様な遅いタイミングで在宅チームだけで. ◎60歳、70歳といった節目での検査時にACPを実施してはどうか?. 対応しようとしてもすべきことは限られてしまう。. ◎小さな時から(学校にて)ACPに関する教育を進めてほしい。. ◎自分が安全な場所にいて告知するのではなく、患者の場所できちんと伝える覚悟があれば、大抵のことは伝えられるだろう。. ◎ICT自体が各自治体でバラバラとなっていて、ACPで活用しようにも活用できない状況をどうにかして欲しい。. ◎きっちりと述べられない人もいるし、どういった方々(どの事業所がどの様な形で)が関わっているかわからないケースも多い。. ◎地域全体というと正直言ってよく分からない。 ◎SNSで普通に情報共有してうまくいっているところがある。 ◎飲みニュケーションが大事なりそうだ。. QUESTION. 問2. ● 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」をこのメースにあてはめてみましょう。 ●どのような点が難しいと思いますか? どのような点ならできると思いますか? ●どのようなひとが協力する必要があるのでしょうか?. ◎ACPという言葉がわかりにくくて浸透しにくい。プロセスだから余計に浸透しない。 ◎ACPが普及していたらMさんに対する対応は変化したか?→もう少しスムーズに対応できただろう。 ◎メタボは定着したのに、ACPは名前が難しい、定着していない。. ◎情報共有がとても大事。行政が如何にこの旗振り役を務めているか、如何に行政に取り組んでもらえる様にできるかが大切。 ◎共有ノートとか、その場で書いて共有する仕組みの方が確実なのでなかろうか。 ◎病院との連携は大きな課題。事例研究会を病院と地域包括ケアメンバーで行ってはどうか? ◎グリーフケアを多事業所間で実施することで地域力が上がっていくのでは? ◎診療報酬の加算でしっかりとつけるべき。 ◎在宅医療に倫理委員会がない→相談できる先がない。基幹病院の倫理委員会を活用できないだろうか? 現時点で法的な根拠が無いのでそういった相談先が欲しい。. ◎ACPに対する自治体の取り組みに差がある。 ◎ACPはしんどい、決めきれない。わかりにくいし、決めるのに時間がかかってしまう。. 13. 14.
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