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トランスポート層のフロー解析によるWWWサーバのサービス品質計測手法

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『マルチメディア通信と分散処理ワークショップ」 平成14年10月

トランスポート層のフロー解析による

vVWWサーバのサービス品質計測手法

斉 藤 裕 樹

東 京 電 機 大 学 工 学 部 情 報 メ デ ィ ア 学 科

hsai

[email protected]

概要 vVorld ¥Vide vVeb (vV¥VW)技術は急速に社会に普及し社会生活に重要なサービスが次々実 用化されている.しかし, トラフイツクの増加でネットワークやサーバが混雑し, W¥VWペー ジが表示されるのに時間がかかる,サーバが応答しないなどのサービス品質上の問題が顕在化 している.本論文では,利用者の視点でのVv¥V¥Vシステムの利便性を確保するためのサービス 品質について論じ, トランスポート層でのフロー解析に基づくサービス品質計測手法を提案す る.提案手法は, HTTPの通信フローから得られる経過時間に関する指標と TCPの動作状況 をサーバ上で計測することで,利用者の感じる応答時間とサーバシステムを構成するリソース の能力を計測するものである.本手法は,実際に動作している W¥V¥Vサーバシステムに対して 適用が可能である.

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Tokyo Denki U

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Abstract

The World vVide Web (¥VWVV) can be considered as a vital service in the Internet. The quality of a WvV¥V service0氏enplays an important role in its success or demise

and the quality management for the ¥VVVW systemsisessential.This paper presents a framework for quality measurement in W¥V羽Tservers through transport layer analysis. Our framework

based on a model of TCP that quantifies the perceived response time in the clients and the server's resources performance. The quality indices are measured in the server side: time elaps in the HTTP communication flow and observation the TCP behaivor. Our method is able to apply the ¥VW¥V servers in operated.

1

はじめに

¥VorldもiVide,ぬb(W¥V¥V)技術は急速に社会に 普及し,エレクトロニック・コマース,企業の業務 システムや電子政府など,社会生活に重要なサービ スが次々と実用化されている.しかし一方で、は, ト ラフイツクの増加でネットワークやサーバが混雑し, vVWWページが表示されるのに時間がかかる,サー バが応答しないなどのサービス品質上の問題が顕在 化している. vV¥V¥Vサーバの管理者は利用者の利便性を確保す るためにサーバシステムの品質を管理する必要があ る.¥V¥V¥Vサーバのサービス品質管理では,利用者 から見たサーバの品質を知り,サーバシステムを構

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-27-成するリソースの能力を評価する必要がある. ¥VW¥Vサーバの性能に関する研究開発は,サーバ のチューニングやベンチマークといったサーバ単体 の性能を高める技術

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から,サービス品質の保 証や管理技術

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に移りつつある.そのためには, サービス品質を正確に評価する技術が必要で、ある. しかしながら,従来行われてきたサーバのアクセ ス記録の解析,ネットワーク利用率の監視,ベンチ マークといった方法では利用者の感じるサービス品 知る必要がある.性能とは,求められるサービス品 質に対してシステムがどの程度の能力を有し,どの 程度の負荷がかかるのかを示す指標である.システ ムはネットワーク,サーノすホスト,クライアントホ スト等のリソースから構成され,性能はリソースの 能力と負荷との関係から決定される.このため,利 用者からの要求に対してこれらのリソースの能力が 十分であるか評価する必要がある. 質が考慮されていないためサービス品質計測に不十

2

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2

従来のサービス品質計測技術

分である.利用者の感じるサービス品質を正確L計 ・ 測するには,従来行われているサーバアプリケーショ ンやネットワーク単体の'性能ではなく,ネットワー クやクライアントホストを含めたシステム全体を対 象とした計測方式が求められている. 本論文では,サーバホストのトランスポート層の 指標を計測することで,利用者からみたサービス品 質の計測と,サーバシステムを構成するリソースの 能力を評価する技術について検討する.

2

W W W

システムのサービス品

質管理

2

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1

W W W

システムのサービス品質

一般にネットワークシステムのサービス品質を良 好に保つには, トラフイツクとリソースの正常性が 重要である.すなわち,トラフイックに対してリソー スが少な過ぎたり,多過ぎたりしないということで ある.リソースが不足すればサービス品質が低下し, リソースが過剰であればコスト増につながる.この ように,サービス品質に対してトラフイツクとリソー スは密接に関係している. サービス品質はネットワークシステムの設計基本 であり,サービス品質を客観的に表す指標が必要で ある.、N¥V¥Vシステムにおいては,クライアント から情報を送信後サーバから応答情報を求めるよう な対話型アプリケーションであるため,応答時間を 評価することが重要である.具体的には,応答時間 とはクライアントがリクエストメッセージを送信後 サーバからレスポンスメッセージを受信するまでの 時間である. 次に, W¥VWサーバシステムのリソースの性能を サービス品質の計測に関していくつかの技術が開 発されてきた.以下に,従来のサービス品質計測技 術とその問題点を示す. 分散品質モニタリングいくつかの企業は地理的に 分散した測定ホストを設置し,モニタリング を行うことでサービス品質計測を行っている. モニタリングホストの位置が実際の利用者の 位置とは異なる場合,計測値は不正確なもの となる.また,実際の利用者の利用パターン にあわせてモニタリング方式を設計する必要 があるため,すべてのサーピスや利用パター ンに適用するのは困難である. クライアントサイドスクリプティング、

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VvW

ベー ジにサービス品質を計測するようなスクリプト を追加する方法である

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この方式では,タ イムアウトやコネクション確立に失敗した場 合のサービス品質が計測できない.また,計 測対象がHTMLのようなスクリプトの記述が 可能なコンテンツに限られる.さらに,スク リプト実行機能のないブラウザでは計測が不 可能である. サーバアプリケーションのアクセス記録の解析 アクセス記録から,アクセス数,転送データ 量やリクエストの処理時間を統計的に計算す る方法である.しかし,アクセス記録から得 られる内容はサーバ自体の性能であり,クライ アントの性能やネットワーク回線に関する性 能ではないため,実際にユーザが感じる性能 とは隔たりがある.また,記録がアプリケー ション固有の形式であり,アプリケーションご とに解析プログラムが個別に必要となる.

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-28-ベンチマークこれまでSPECweb[7],¥VebStone[8], ttcpなどのいくつかのベンチマークツールが 開発されてきた. これらは定量的な性能計測が行える反面,実 際の利用者の振る舞いや運用形態に適したベ ンチマーク条件を設定することが悶難である. ネットワーク上のパケットトレースネットワークを 流れるパケットをアナライザで解析する方法 である

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しかし,高速なデータリンクです べてのパケットを観測し分析するには高い性 能のアナライザが必要となり非現実的である. ネットワーク利用率や遅延時間の測定 SNl¥:IP[15] を用いたネットワーク機器の遠隔監視として広 三用いられている方法である.しかし, ¥VW¥V サーバのサービス品質は,単一のリンク利用率 や遅延だけではなく,不ツトワーク層の特性, 端末聞のスループット,サーバホストやクライ アントホストの性能などに大きく左右される. また, vV¥VvVシステムで用いられている TCP の性能は,利用率や遅延に関わらずネットワー ク層やアプリケーション層の特性によって悪化 することが知られている

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利用者へのヒアリング実際に利用者へシステムの 使用感をたずねる方法である.応答時間の利 用者の利用感への影響を調査した研究 [11]

があるが,正確な応答時間を求めるには不十 分である. 以上から,利用者の感じるサービス品質を正確に 計測するには,従来行われているサーバアプリケー ションやネットワーク単体の性能ではなく,ネット ワークやクライアントホストを含めたシステム全体 を対象とした計測方式が必要であると考えられる.

3

トランスポート層のフロー解析

によるサービス品質評価手法

3

.

1

サービス品質モデル

WもTV¥Vサーバのサービス品質計測において重要 なことは,まず,クライアントでの応答時間を測り, 次に,システムを構成するリソースのどの部分がボ Clienl Server SYN SelUp Connecuon

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ACK Perceived sending

L GET Response , Requesl Time b w i n s { L DATA ACK Requesl FIN ACK

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FIN Connection ACK 図 1:.HTTPの通信フロー トルネックになっているのかを特定することである. 本節では,システムをサーバホスト,ネットワーク, クライアントホストの3つのリソースに分け,それ ぞれのリソースの能力が不足したときに,どのよう なサービス品質低下が起こるのかを示し,サーピス 品質低下の原因となる現象をモデル化する. まず,通常のHTTPでの通信フローを図lに示す. ここでの通信手順を以下に示す. 1.クライアントはサーバに対して TCPコネク ションを確立する.これは以下に示す

3

ウェ イ・ハンドシェイクの手順を用いて行われる. (a)クライアントからサーバに対してSYNセ グメントが送信される (b)サーバからクライアントへの返答として SYN+ACKセグメントが送信される (c)クライアントからサーバに対して ACK セグメントが送信される 2.確立されたTCPコネクションに対して,クラ イアントからサーバに HTTPリクエストが送 られる. 3.サーバでリクエストが処理される. 4.サーバからクライアントにコンテンツデータ が送られる. クライアントでの応答時間とは 図1中の

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Client Perceived TimeJで示された経過時間である. 次節で各1)ソースの能力不足を要因としたサービ ス品質悪化のモデルを示す. n u u O L

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Clienl Server Clienl Server SYN Drop SYN by Server SYN+ACK Lislen Queue ACK Overf1ow GET

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Lislen Q Clienl Perceived DATAI Response SYN+ACK Processing ACK{~in:O)

Time A(、J( Time 'Response

Dala Processing Processing for Request FIN ACK FIN ACK 図 2:サーバホストがボトルネックになっている場 図 3:クライアントホストがボトルネックになって 合の通信フロー いる場合の通信フロー 場合 3.1.1 サーバホストがボトルネックになっている 3.1.2 クライアントホストがボトルネックになって いる場合 クライアントからのリクエスト数がサーバの処理 能力を越えると,サーバホストの負荷が高まり,段 階的に図2に示すような次の現象が発生する. ・サーバアプリケーションでのリクエストの処 理に要する時間が増大する. ・コネクション確立要求に対する待ち行列があ ふれ,コネクションの確立が拒否される.具 {本的には,クライアントからサーバにコネク ションを確立するために送られるSYNセグメ ントに対して,サーバが

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セグメントが返 される. ・コネクション確立要求に対する待ち行列があ ふれ,サーバホストの負荷が非常に高い場合, クライアントからサーバに送られたSYNセグ メントが無視される. クライアントの負荷が高まり,サーバからのデー タの受信に対してクライアントホストの処理能力が 不足すると,受信バッファが満杯になり

TCP

のフ ロー制御が行なわれる.具体的には,図3に示すよ うに,クライアントはサーバに対し受信ウインドウ サイズが0と報告する.これは,クライアントがこ れ以上データを受け取れないことを示し,サーバか らのデータの送信が一時停止される. 3.1.3 ネットワークカダボトルネックになっている 場合 ネットワークの帯域が不足し,混雑などでパケッ トの喪失が起きると,

TCP

の再送動作やふく接回避 が行われる.具体的には,図4に示すように,喪失 したセグメントの再送が行われ,さらに送信元の送 信ウインドウサイズが減らされデータ送信速度が減 じられる.

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(5)

Clienl Server SYN Drop byNetwork

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SYN+ACK---.J Re-transmisslon ACK CJient Perceived Response~ ~ GET Time DATA Drop byNetwok DATA Re-transmission もCK FIN ACK FIN ACK 図4:ネットワークがボトルネックになっている場 合の通信フロー

3

.

2

サービス品質評価指標

3.1節で示したように,サービス品質の悪化要因は

TCP

の動作を計測することにより可能であると考え られる.本研究では,

TCP

での性能指標を計測する ことによりサービス品質を評価することを検討する.

HTTP

の通信フローを基にした

TCP

における性 能指標を図5に示す.これにより計測されるサービ ス品質の評価指標を示す. ・トランザクション時間(勾 お) クライアントからコネクション確立要求であ るSYNセグメントの送信から,コネクション 終了のFINセグメントの送信までに要した時 間である.これは,クライアントでの応答時 間に最も近い値である. ・コネクション確立時間

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九) コネクションを確立するために要した時間で ある.ネットワークの能力およびサーバの能 力を示す指標である. ・リクエストデータ転送時間(巧

-T3)

サーバがクライアントからリクエストデータ を受信のに要した時間である.ネットワーク の能力を示す指標である. Client Server SYN 4

TO SYN+ACK ACK +ーTI

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GET Estimated Perceived Response Response DATA Time Time ACK FIN 1 4園 田T5 ACK FlN ACK 図5:サービス品質評価指標 -リクエスト処理時間(九

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サーバアプリケーションがクライアントから のリクエストを処理するのに要した時間.ネッ トワークの能力を示す指標である. ・レスポンスデータ転送時間(む

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5) サーバカfクライアントに交すしてコンテンツを 送信するのに要した時間である.ネットワー クの能力を示す指標である. ・コネクション受付率 クライアントからのコネクション確立要求数 に対するサーバのコネクション受け付け数の 割合である.コネクション受付率が低下した 場合,サーバホストがボトルネックになって いる. ・送信パッフ7使用率 サーバがクライアントにデータを送信するた めのバッフアサイズに対する,バッファ中に存 在するデータのサイズである.バッファに送信 待ちのデータが滞留する場合,ネットワークが ボトルネックになっている.逆に常にバッファ が空の場合,サーバアプリケーションがボト ルネックになっている. ・受信バッファ使用率 サーバがクライアントからのデータを受信す るためのバッフアサイズに対する,バッファ中 に存在するデータのサイズである.バッファに アプリケーションでの処理待ちのデータが滞

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-31-留する場合,サーバアプリケーションがボト ルネックになっている.逆に常にバッファが空 の場合,ネットワークがボトルネックになって いる.

4

サービス品質評価システムの

開発

これまで述べてきたようなサービス品質評価原理 に基づく計測システムを開発中である. Apache HTTPサーバを拡張したシステムコール レベルでの測定部分, OS内のトランスポート層で の測定部分および,これらからの測定データを収集 し解析する独立したアプリケーションの

3

つのシス テムに分割して開発している.

5

おわりに

本論文ではI ¥VWVvシステムの利便性を確保する ためのサービス品質について論じ,利用者からみた サービス品質を確保するためにトランスポート層の 指標を用いたサービス品質評価手法を提案した.提 案手法は, HTTPの通信フローから得られる経過時 間に関する指標と TCPの動作状況を計測すること で,利用者の感じる応答時間とサーバシステムを構 成するリソースの能力を計測するものである. 今後は,サービス品質評価システムの実装を行い, 実際に動作している ¥V¥VvVサーバに適用し有効性 を確認する.

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参照

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