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[巻頭言]地方環境研究所の見直し問題

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Academic year: 2021

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(1)1 4 9. ■巻. 頭. 言■. 地方環境研究所の見直し問題 東京都環境科学研究所長. 全環研の会議などで最近,必ず話題にのぼるこ とに,地方における試験研究機関の見直し問題が ある。国の試験研究機関の多くはすでに独立行政 法人化しているが,地方の場合は独立行政法人化 というよりも,試験研究機関全体のあり方を見直 し,組織の統廃合等も含め,業務効率の改善や業 務内容の転換等を図ろうというのが大きな流れで ある。見直し内容は各自治体により異なるが,環 境研究所だけに着目すれば,設立の目的や経緯等 が類似しているためか,共通の課題が多いようで ある。 地方環境研究所の多くは,産業公害が深刻で あった1960年代に,環境施策の推進に必要な科学 的知見を得るために設立されており,当初の業務 内容は,主として環境汚染の調査・解析,工場排 ガス・排水の測定・分析などであった。環境問題 の対象分野は,その後,都市・生活型公害や有害 化学物質問題等に拡大する一方,新たに,自然環 境の保全・回復,廃棄物の処理・リサイクル,地 球環境問題なども加わるようになった。また,こ の間,測定・分析等を行う民間の試験研究機関も 増え,計量法の改正などにより,データの信頼性 も担保されるようになってきた。 こうした環境問題の変化や拡大に対し,各研究 所でも,調査研究内容を見直すなど,対応に努め てきたが,地方財政の悪化もあり,人や予算等の 面で制約を受け,十分とは言えないのが実情であ る。また,地方環境研究所は,衛生系の試験研究 機関と異なり,法に基づく検査施設でないため, 民間の試験研究機関への測定・分析業務の委託化 という問題も抱えている。 多くの研究所から,現在,行財政改革の一環と して,業務の見直しを行っているとの話を聞く が,その内容は,組織のあり方を別にすれば,「施 策に結びつく研究の推進」 「新たな人材の確保」 「外部資金の導入」「委託化による業務の縮小」な ど,各研究所に共通するものが多い。当研究所で も,現在,同様な内容の見直しを行っており,主 要な取組事項を参考として次に示す。 ①外部評価を含めた研究評価制度導入. Vol. 30. No. 3(2005). 長谷川. 猛. ②局の各部との研究調整会議(予算要求前)の実 施 ③人事交流の積極的推進 (都の制度改革により 任期付き研究員も採用可能) ④局の各部からの執行委任研究,環境省等から の受託研究の積極的受入れ ⑤民間・大学等との共同研究の推進,競争的研 究資金への応募と受入れ体制の整備。 ⑥測定・分析業務は精度管理,未規制項目対 応,緊急時対応等に限定,他 見直し問題のうち,地味ではあるがもっとも重 要なのは,「新たな人材の確保」ではないかと考 えている。すなわち,今後,調査研究に当たって は,地域の抱える環境問題の中から,環境施策の 推進に役立つ課題を適切に選定することが,これ まで以上に求められることになる。また,その実 施に当たっては,環境問題の多様化・複雑化と, 人や予算等の制約から,民間や大学などとの連携 ・協働が欠かせないものとなってくる。このよう な状況の中,調査研究を円滑に進めるためには, 埼玉県の須藤総長が,以前,この巻頭言で述べて おられた“広い視点と高い視点に立ったリーダー となる研究者の養成”が急務と言える。言い換え れば,地方環境研究所も,外部との連携,資金の 導入を含め,研究計画全体をマネジメントできる 研究者が必要となってきている。 地方環境研究所は,行政組織の一員として,環 境施策の推進に必要な科学的知見の提供という役 割を持っている。このため,適切な人材が確保さ れれば,地域の環境研究の中核を担い,環境施策 をリードする調査研究も可能であり,このような 目標を持ち,見直しを行うことも必要ではないか と考えている。 いずれにしても,地方環境研究所の見直し問題 は,各研究所に共通する課題を多く含むので,全 環研という場で,情報交換や意見交換を進め,地 方環境研究所が環境施策の推進に欠かせない存在 となるよう努力していきたい。. ─1.

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