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資源循環型経済社会に貢献する閉鎖性水域複合浄化システム

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(1)

閉鎖性水

社会インフラストラクチャーにおける新たな事業展開山一水環境分野Ⅶ 〉〔)l_85No_P

経済社会に貢献する

複合浄化システム

ComplexPurificationSystemsforClosedWatersinResourceCirculatoryEconomicSocie吋

仲平四郎 吉川慶彦 ざ伽/・∂〟∂〟∂ぬ/r∂ 都築浩一 〟∂/山/指〟Z〟〟/ yoざわ肋仕口yロざわ/た∂〝∂ 汚濁物分離浄化システム 表層循環水流システム 再利用処理システム 処‡聖水 ′ ̄丁、、植物プランクトン

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欒紛慧滋滋浮袋榊W恕淡萎鍔耕さ封殺汚毒や妻鍛造露、識号、

・ぎょ●ヤペ∫ 底泥回収システム

閉領性水域複合浄化システム アオコなど,閉毒員水域に発生する汚濁物を、汚濁状況に応じたシステムを組み合わせて効率よく回収し∴資源として再利用化を図る。

湖沼や池などの閉鎖性水域では,富栄養化の進行,

水の滞留および汚泥のたい積などにより,アオコや淡

水赤潮など植物プランクトンの大量発生が世界各所

で普遍的に見られるようになり,景観や生態系の変化,

悪臭,有毒物質などによる水質の悪化が深刻な社会

問題となってきている。これらを抜本的に解決するため

には,富栄養化の原因となるリン・窒素などの栄養塩

やたい積汚泥を削減する必要があるが,水域の広域

性や発生汚泥の処理の面で経済的負担が大きい。

日立製作所は,汚濁状況や経済的状況に合わせ,

しかも浄化経過に応じて設備を増設できることを視野

はじめに

湖沼は,水資源や生態系維持の場として貴重である。し かし,多くの水域で人間の活動に起因したリンや窒素など栄

養塩が過大に流入し,その結果,アオコや淡水赤潮などの植

物プランクトンの大量発生と,それに伴う水質悪化,景観悪

に入れて,表層の局所的汚濁水域を選択的に浄化で

きる「水流発生システム+,太陽エネルギーと微生物の

浄化力を利用した「ひも状化学繊維式生物処理シス

テム+,リン栄養塩を高速処理する「小型超電導磁気

分離リン除去システム+などを開発し,きわめて即効的

な効果を得た。今後は回収汚泥を資源として再利用

する循環化を図り,かつ維持管理を含め,閉鎖水域

浄化事業全体としてコストパフォーマンスのよいシステ

ムの構築を目指し,そのための基盤技術の開発と複

合システムの実用化を各所で展開している。

化,悪臭などの問題が各地で発生している。琵琶湖や霞ケ浦

などの大湖沼では活発な浄化活動が展開されているものの, ため池など約30万個の小規模水域のほとんどでは,対策が 未着手の状態となっている。一方,海外でも湖沼の汚濁は深

刻で,淡水資源の欠乏や生態系の変化など,地球規模で環

境に影響を及ぼす(特に,人口増に対する水不足,水不足 に起因する食糧不足など)のではないかと考えられている‖・2)。 229 l】九拝題2DO3.2171

(2)

lウ

〉ol.85No.2 水域の浄化にあたっては,対象が広範なだけに,浄化経

過を監視しながら維持管理を含めた事業全体の低コスト化は

もちろんのこと,湖沼水や発生汚泥の再利用を考慮した循環

型システムの構築が重要である。 日立製作所は,汚濁といっても表層や底層,しかも局所的

で全体が均一でないことが多いことに着目した浄化手法,太

陽エネルギーや微生物の浄化力などを利用して省エネルギー

化を図ったシステム,リン栄養塩を高速除去するシステムなど

を開発し,各所で実証試験を実施した。その結果,きわめて

即効的な効果を得た。

ここでは,日立製作所が開発したこれらの技術・システムと,

現在各所で展開している+二壌・植生浄化など他の子法とも組

み合わせた代表的な技術について述べる(〕

腰浄化シミュレーション予測技術による

最適化

閉鎖水域の浄化では,貯水量と汚濁状況に応じて,どの

くらいの規模の浄化システムを導入すれば,どのくらいの浄

化が期待できるかを予測することが重要である。日立製作所

は,生物シミュレーションモデノい)を用い,約9万mニュの水域の年

間汚濁(クロロフィルd)推移を計算した。シミュレーションによる

予測の妥当性と浄化予測結果を図1に示す。

このシミュレーションでは,夏場のピークレベルなどを含め, 全期間で実測値とほほ合致することから,約80%の浄化・除 去性能をめどとして,容量や配置位置をパラメータに,装置

総量で日量が水域全体量の約去の規模のものを導入すれ

ば,一応の浄化目標を達成できることがわかった。このように, 汚濁水域の状況に応じて最小規模の装置で最大効果を得

るためには,容量や分散配置など各種ケースについての検

討が必要となる。したがって,コストパフォーマンスを視野に入

れた浄化計画では,この種のシミュレーション検討が不可欠

である。 (+\叫ま)世粥三「†トロロト

鮎川

らふ轡㌔Y

山川派

注1: -(浄化なし計算) -(浄化あり計算) γ懸〝(実測値) 7月1E】9月29日12月28日 3月27日 6月25日 時期 排水路 (全長:4,000m) 排水路 排水機場 流域 排水機場 注2:略語説明 P(Pump) 図1約9万m3の閉領水域の浄化予測結果 処理量1,000m3/dの生物処理装置5台を分散配置することにより,最大の浄化 効果をねらった。

72l日立詳論2003・2

表層の循環水流化による浄化システム

閉鎖水域では,植物プランクトンの汚濁でも,クロロフィルα

濃度がリットル当たり数千から数 ̄ガマイクログラムの膜状の浮 遊状態から,均一混合した数十マイクログラムの濃度までば

らつきが人きい。上記の解析で用いる浄化システムでは,リッ

トル当たり数百マイクログラムレベルの,均一混合の汚濁状

況を対象としている。しかし一般には,リットル当たり数千から

数万マイクログラムレベルで局所的に汚濁し,かつ表層だけ

に浮遊している場合が多い。そのため,浄化の第1ステップと

しては,表層に循環水流を作り,リットル当たり数百マイクログ ラムレベルの濃度に浄化するとともに,その水域全体を均・-▲ 混合化する。これにより,浄化システムの安定性能が得られ

るとともに,経済的運用が可能となる。

アオコで覆われた局所的な高濃度状態の他に浮上型の水 流機を導入し,表層に循環水流を発生させてアオコを浄化し

た例を図2(b)に示す・1〉。また,水流機によってクロロフィルα

の濃度が急激に減少した例を図3に示す。 ニが; (a)浄化前 (b)浄化後 図2水流機によつて浮遊アオコを浄化した例 厚さ数ミリの浮遊アオコが除去され,釣り人が訪れるようになった。 0 0 0 0 0 0 5 0 5 3 3 2 (+\翌) 嘩址盲⇒十トロロト 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 0 5 2 1 1 → 水流機運転開始 6二00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18二00 時刻 図3水流機導入によるクロロフィル〃濃度の変化 1,000トLg/Lのクロロフィル〟濃度が約8時間で数百マイクログラムレベルに低下し, 翌日以降も低いレベルを維持した。

(3)

資源循環型経済社会に貢献する閉鎖性水域複合浄化システム 〉Dl.85卜+〔).2

Fll

図4浄水場の辞退池に水流機を導入した例 一つのラ戸過油に4台∴計28台の水流機の導入により。毎年発生していたアオコ によるう戸過閉そくなどの障害を一気になくした。 このように,表層を循環水流化する「水流発生システム+に

より,表層の高濃度汚濁を各所で除去することができた。景観

阻害や悪臭にはこのシステムで十分対応できるものと考える。

小型の浮.卜型水流機の導入によって浄水場の音戸過池での

アオコの人量発生をなくした例を図4にホす。

汚濁物分離浄化システム

クロロフィルα濃度がリットル当たり数百マイクログラム程度の 浄化では,数マイクロメートルから数十マイクロメートルの大き さの植物プランクトンを汚濁粒子として湖沼水から分離処理 する必要がある。この場合,比表面積の大きい接触材を用い,

湖沼水中の微生物をできるだけ多く付着生息させて,上記の

汚濁物を捕そく,分解する「生物処理システム+が有効である。

これは,浄化エネルギーに微生物の浄化力を利用し,汚泥

の一部が炭酸ガスと水に分解されて汚泥量が少なくなること

から,経済的なシステムとして一般に広く採用されている。

さらに,通水やばっ気の動力源に太陽エネルギーを用いる と,いっそうの省エネルギー化を図ることができる。接触材に ひも状化学繊維を用い,通水ポンプとばっ気ブロアの動力源 にソーラパネル発電を利用した「ひも状化学繊維式生物処理

システム+の構成を図5に示す。財団法人琵琶湖・淀川水質

保全機構との実証実験で,ソーラ稼動の高い昼間の12時間 の運転だけでもクロロフィルαの除去率が約80%の浄化性能

を確保でき,その電力の÷程度をソーラ運転で賄うことがで

きた。また,年1回程度の汚泥回収の保守で維持管理がで きた。

栄養塩除去の効率向.卜をねらいとして,「ひも状化学繊維

式生物処理システム+を陸上に設置し,土壌・植生浄化と水流

機を組み合わせた複合システムによる「ため池浄化+の実証

試験を,農林水産省および農業工学研究所と共同で推進し

ている。

一一方,リンや窒素などの栄養塩除去は植物プランクトンの

大量発生に対する抜本的対策にはなるが,汚濁粒子の人き さがマイクロメータオーダーかそれ以下であることから,生物 処理では除去率が低い。そのため,特にリンについては,・一 般に,凝集剤を榊いて汚濁粒子を粗大化して除去するシス テムとしている。これには,凝集沈殿法を用いるのが一般的 である。 1]立製作所は,凝集剤に磁性粉を追加し,強力な磁気力 によって高速処理を可能とした,全体としては凝集沈殿法よ

りも経済的な「/ト型超電導磁気分離リン除去システム+を開発

U立評論2003.2173 i耶、、賢W、′ ∼′†でく㌻・誇ご∧:こ薄

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ーl 送風機 空気 図5太陽エネルギーを利用した「ひも状化学繊維武生物処理システム+の構成 通水ポンプやばっ気送風機の動力源にソーラパネル発電を利用し,昼間の12時間運転だけでも高効率の浄化性能が得られた。 接触材

(4)

lウ

〉0】一β5No.2 原 水 磁性粉 凝集剤 中和剤 ポンプ 1T.∵.・: 浄化水 分離部 導ル 電イ 超] 高分子凝集剤 一一 ポンプ [

u ●●●● .ヽ… 洗浄剤 泥 、叶汚 図6小型超電導磁気分離リン除去システムのフロー 超電導磁気力の利用により,小型装置でのリン除去の高速処理を可能にした。 した。このシステムフローを図6に示す。水域の全量または流 入量を浄化対象としていることから,装置の規模は,卜1量数 千から1万m3を想定している。現在,財団法人エンジニアリン グ振興協会の委託研究として,小規模装置を用い,下流側 で植生浄化と組み合わせて実証試験を進めている。この実 証試験でのリン除去性能では,安定して平均90%以上の高

効率を得ている。

おわりに

ここでは,資源循環型経済社会に向けた閉鎖性水域複合 i争化システムについて述べた。 仲平四郎

閉鎖水城の汚濁は大半が植物プランクトンによる有機性の

ものであり,地形や気候など地域ごとにその濃度や形態は多

岐にわたる。したがって,ここで述べたようなシステム装置を単

に導入するだけではなく,風向きや滞留域,季節変動を含め

た微生物の生態などに応じた,最小規模で最大効果を発揮 できるようなシステムの複合化や,その水城固有の配置・運転 計画を立てる必要がある。 ここで述べた浄化技術レベルに達するまでには,浄化に携

わる学識者や各方面の研究機開から多大のご意見・ご指

導・ご協力を得た。各種実証試験については財団法人琵琶

湖・淀川水質保全機構,農林水産省,農業工学研究所およ

び財帥去人エンジニアリング振興協会の関係各位に,共同

実験者の立場で多Il射こわたってご指導を賜った。

ここに深く謝意を表するとともに,今後,さらに優れた水環境 浄化手法の提案に向けて,いっそう努力していく考えである。

一参考文献-1)S.E.Jorgensen:第9回世界湖才子ヰ会議基調講演(2001.11) 2)滋賀県琵琶湖研究所:世界の湖,人文書院(1993.1) 3)松舶:霞ケ浦富栄養化モデル,国立環境研究所幸Ii告54ぢ・(1984) 4)水流機を用いた表層水循環によるアオコの抑制,第9炉‖牡界湖沼会 議講演論文集,pp.252∼255(2001.11) 5)太陽エネルギーを用いたひも状接触材による水質浄化実験,第9回世 界潤子円会議講演論文集,Pp.497∼500(2001.11)

執筆者紹介

1971年‖ ̄在製作所入社,電力・滝橋グループ ̄社会システム 事業部土浦製ふ1本部公共システム部所属 礫′か、、 現在,水環境浄化エンジニアリング,浄化システムの開発,

製古才一設計に従事

済E ̄mail‥shirou-nakadaira帥s・hitachi・川・j-)

吉川慶彦 1975年口立製作所人社,滝力・電機グループ社会システム 事業部公火施設システム部所属 硯畝 ポンプ,フアン,ブロワ水幽浄化などの弔菜推進に 従事 ターボ樺械協会会員 E一皿ail:)70Shihik(トyOShikawa桓1pis.hitachi.c(1.Jp 都築浩一

癒…三、済

1978叫It二仁製作所入社,中央研究所先端デ′りス研究セン ター所属 現在,ハードディスク装置や通信用デバイスの研究開発に 従事 工学博士 口本樅械学会会員 E-111ail:ktsuztlki桓crl.bit ̄aChi,CO.jp

74】日立評論2003・2

参照

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