<更新日:2008/6/30 > <中東事務所:石田 聖> Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。
エチオピア:中小国際石油企業の「草刈り場」となったエチオピア
■ 東アフリカ・フロンティアエリアの一つであったエチオピアへの国際石油企業(IOC)の 参入が相次いでいる。 ■ 同国は政情不安定地域と見られており、たしかに 2007 年 4 月のオガデン盆地北部にお ける中国人物理探鉱従事者の殺害事件は、業界に大きな衝撃を与えた。しかし、「テロと の戦い」を標榜する米国を中心とする欧米諸国はエチオピアに対する援助を急増させてい る。こうしたことを背景に、政治・経済情勢は安定化に向かっており、IOC の参入を後押 ししている。 ■ 東アフリカで数少ないガス田の一つであるカラブ・ガス田は、タンザニアのソンゴソンゴ・ ガス田、モザンビークのパンデ・ガス田をしのぐ埋蔵量規模である。現在、Petronas が 開発に着手している。 ■ 既に同国の堆積盆地分布地域はすべて IOC が何らかの契約を取り交わしている。しかし ながら、今後ファームアウト等も予想され、引き続き注目していくこととしたい。 1.相次ぐ参入 エチオピアへの国際石油企業(IOC)の参入が相次いでいる。 図 1に、鉱区権益の概況を示す。また、図 2には、同国の堆積盆地の輪郭を示す。これらの 図を見ると、堆積盆地の分布するほとんどの有望地域について、鉱業権あるいはスタディ契約 が締結されているのが分かる。 - 1 --0 50 100 150 200 km 36 12 40 8 44 12 8 48 4 40 4 36 32 44
紅 海
青ナイル川 白ナイル川 アバヤ湖 O-14 OPEN O-19 PEXCO O-16 Petronas O-18 PEXCO O-17 Petronas O-01 OPEN O-15 Petronas O-13 SouthWest O-12 Petronas O-11 Petronas O-10 OPEN O-09 SouthWest O-08 Lundin O-07 Lundin O-06 Lundin O-05 OPEN O-04 Petronas O-03 Petronas O-02 Lundin O-21 PEXCO O-20 Petronas G Petronas アダールエーリ油田 アダールエーリ油田 SouthWest White Nile Joint Study AreaAfar Exploration オガデン盆地輪郭 ハラル ゴバ
ソマリア
ケニア
トルカナ湖 アルバミンチエリトリア
アスマラ ゴンダル ジーマウガンダ
ジブチジブチ
青ナイル川アデン湾
バブアルマンデブ海峡イエメン
オモ川 シェベリ川 シュ川 アワッ シェベリ川 タナ湖 ソバト川インド洋
カラブ・ガス田 カラブ・ガス田エチオピア
スーダン
オガデン(ソマリ)堆積盆地
オガデン(ソマリ)堆積盆地
30 S 20 20 10 10 N 0 10 E 20 30 40 50 0 km 1000 Lundin アディスアベバ A-03 OPEN A-03 OPEN A-08OPEN A-07OPEN
A-05
OPEN A-04OPEN
A-09 OPEN A-06 OPEN A-01 交渉中 A-02 交渉中
アベイ堆積盆地
アベイ堆積盆地
Northwest Area StudyAgreement with Epsilon
スタディ契約交渉中
図1 エチオピアの鉱区図(2008年6月現在)
出所:各種資料より筆者作成Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 こうした状況は、先回の報告(石油・天然ガスレビュー 2006 年 5 月号 「最後?の処女地: 東アフリカの石油・天然ガス」とは大きく異なっている。前報告時と現在の鉱区状況の比較図 を図 3に示す。前報告では、Petronas のガンベラ盆地 G 鉱区への参入を述べたにとどまったが、 ① エチオピアは参入条件が良いこと、② 治安・経済状況が好転していること、③ 東部のオガ デン盆地には未開発ガス田があること、④ 西部にはスーダンの産油地域と同様な堆積盆地が期 待されること、などから石油探鉱・開発に対する IOC の見方が、ここ数年で様変わりしている。 2005 年 10 月、マレーシア Pexco は、オガデン盆地の第 18 鉱区(12,285km2)、第 19 鉱区 (6,600km2)および第 21 鉱区(6,200km2)について PS 契約を締結した。2008 年 6 月現在、 空中重力・磁力探査を終了し、総合地質評価作業中である。 2005 年 12 月、South West Energy は、オガデン盆地北部の第 9 鉱区(10,200km2)、第 13 鉱区(10,200km2)を PS 契約で取得した。2007 年 8 月、同社はオガデン盆地の第 9 鉱区の - 3 -
図 2 エチオピアの堆積盆地の分布
出所 : エネルギー鉱山省よりの入手資料図 3 鉱区権益ディールの変遷
上図は 2006 年 5 月時点、 下図は 2008 年 6 月時点。 出所 : 各種資料より筆者作成 -0 50 100 150 200 km 36 12 40 8 44 12 8 48 4 40 4 36 32 44 紅 海 青ナイル川 白ナイ ル川 アバヤ湖 O-14 OPEN O-19 OPEN O-16 OPEN O-18 OPEN O-17 OPEN O-01 OPEN O-15 OPEN O-13 OPEN O-12 OPEN O-11 OPEN O-10 OPEN O-09 OPEN O-08 OPEN O-07 OPEN O-06 OPEN O-05 OPEN O-04 OPEN O-03 OPEN O-02 OPEN O-21 OPEN O-20 OPEN G Petronas アダールエーリ油田 アダールエーリ油田 -0 50 100 150 200 km 36 12 40 8 44 12 8 48 4 40 4 36 32 44 紅 海 青ナイル川 白ナイル川 アバヤ湖 O-14 OPEN O-19 PEXCO O-16 Petronas O-18 PEXCO O-17 Petronas O-01 OPEN O-15 Petronas O-13 SouthWest O-12 Petronas O-11 Petronas O-10 OPEN O-09 SouthWest O-08 Lundin O-07 Lundin O-06 Lundin O-05 OPEN O-04 Petronas O-03 Petronas O-02 Lundin O-21 PEXCO O-20 Petronas G Petronas アダールエーリ油田 アダールエーリ油田 SouthWest White Nile Joint Study AreaAfar Exploration ハラル ゴバ ソマリア ケニア トルカナ湖 アルバミンチ エリトリア アスマラ ゴンダル ジーマ ウガンダ ジブチ ジブチ 青ナイル川 アデン湾 バブアルマンデブ海峡 イエメン オモ川 シェベリ川 シュ川 アワッ シェベリ川 タナ湖 ソバト 川 インド洋 カラブ・ガス田 カラブ・ガス田 エチオピア スーダン オガデン(ソマリ)堆積盆地 オガデン(ソマリ)堆積盆地 30 S 20 20 10 10 N 0 10 E 20 30 40 50 0 km 1000 Lundin アディスアベバ A-03 OPEN A-03 OPEN A-08 OPEN A-07 OPEN A-05
OPEN A-04OPEN
A-09 OPEN A-06 OPEN A-01 交渉中 A-02 交渉中 アベイ堆積盆地 アベイ堆積盆地
Northwest Area Study Agreement with Epsilon
PSC鉱区 スタディ鉱区 ハラル アディスアベバ ゴバ ソマリア ケニア トルカナ湖 アルバミンチ エリトリア アスマラ ゴンダル ジーマ ウガンダ ジブチ ジブチ 青ナイル川 アデン湾 バブアルマンデブ海峡 イエメン オモ川 シェベリ川 シュ川 アワッ シェベリ川 タナ湖 ソバト 川 インド洋 カラブ・ガス田 カラブ・ガス田 エチオピア スーダン オガデン(ソマリ)堆積盆地 オガデン(ソマリ)堆積盆地 30 S 20 20 10 10 N 0 10 E 20 30 40 50 0 km 1000 - 4 -
Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 北隣の第 9A 鉱区につき PS 契約を結んだ。さらに 2007 年 11 月、ジンマ地域の Jimma Block (60,000km2)のスタディ契約を結んだ。 2006 年 3 月、 米 国 Afar Exploration が ア フ ァ ー ル 州 の Afar Block を 取 得 し た。 面 積 は 21,187km2である。同地域は、紅海の拡大によりアラビア半島の南西端部が切り離された残存 地と言われ、海抜高度は海面下、気温は 50℃を超える劣悪地で、地表の大部分は玄武岩で覆わ れている。2008 年 6 月現在、同社は空中重力・磁力探査を終え、ソルト盆地の存在を確認し ている。また、同社は 2008 年中に試掘を開始する予定である。 Lundin は、2006 年 11 月、オガデン盆地の第 2 鉱区(12,285km2)と第 6 鉱区(12,285km2) を取得した、さらに 2007 年 7 月に、ジブチ国境近くの Adigala(27,200km2)とオガデン盆地 の取得鉱区に隣接する第 7 鉱区(12,100km2)と第 8 鉱区(12,100km2)を取得した。これら の鉱区については、2007 年末より 2008 年初にかけて、空中磁力探査を実施した。地震探鉱は 2008 年末より開始予定である。同社がオガデン盆地に所有する 4 鉱区のうち、第 7 鉱区およ び第 8 鉱区に 3 坑が 1970 年代に Tenneco によって掘削されており、うち 2 坑では油・ガス徴 をみている。 2008 年年初、米国 Trans-Global Petroleum は、北部アファール・チグライ州に位置する Afar PSC 鉱区を取得した。面積は 70,000km2である。2 年以内に試掘を実施する予定である。 2008 年 1 月には、スーダンで順調なプロジェクト展開を行っている White Nile がトルカナ 地域の鉱区(29,465km2)につき PS 契約を締結した。これに先立ち同社は周辺地域を含む約 70,000km2に対して、スタディ契約に基づく基礎的なスタディを約 2 年間にわたり実施してき た。同社は新規リフト堆積物の下にスーダンの産油地帯と同様な中生代リフト堆積物が伏在し ている(図 4)との結論に至り、鉱区を PS 契約で取得した。 2008 年 6 月 16 日には、カナダの中堅石油企業 Epsilon Energy 社が、エチオピア北西部の スタディ契約に調印した。本契約の対象面積は 154,871km2で、今後 1 年間のスタディを行っ た後、対象地域の鉱区取得の優先交渉権を得る予定である。同社は米国およびカナダで生産を 行っているほか、イエメンにも探鉱鉱区を有している。 一方、2008 年 6 月現在、インドの Gail が、第 10 鉱区と第 14 鉱区の取得を目指して交渉中 - 5 -
Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。
図 4 中央アフリカ中生代リフト堆積盆地の分布
出所 : 各種資料をもとに筆者作成 である。 この交渉が成立すれば、オガデン盆地の全 21 鉱区のうち西側の 2 鉱区を除いて、すべて鉱 業権者が確定する。 さらに、地元企業である K&S は英国 Westminster Oil とともに同国西部のガンベラ盆地の北 部とベニシャングル・グムズ州において探鉱鉱区を取得に動いているといわれる。 一方、今まで十分に評価されてこなかった、アジスアベバに隣接する「アベイ盆地」は、 2008 年所 9 鉱区に分割された。うち 2 鉱区については 2008 年 2 月現在、付与のための交渉 中である。 2.地質概況 エチオピアの地質は、先カンブリア界の変成岩類、花崗岩類、超塩基性岩類などを基盤として、 それらを不整合に覆い、局部的に分布する古生界、やや広範囲に分布する中生界、さらに、こ れらを不整合に厚い火山岩からなる第三系、堆積岩と火山岩からなる第四系が覆っている。 - 6 - ガボン マラボ ヤウンデ Miandoum BoloboKome : Chari Project
Heglig Unity Abu Ghabra Adar Yeli MUGLAD BAGARA SALAMAT DOSEO BONGOR TERMIT TEN
ERE GREIN KAFRA
BORNU N’DGEL EDGE BENOUE JONGLEI MOGALA LOELLI PIBOR MELUT WHITE NILE オグボモソ アビジャン カノ エリ トリア アスマラ ナイジェリア カメルーン 中央アフリカ ウガンダ カンパラ ケニア アガデス ジンデル ニジェール チャド リーブルビル スーダン エチオピア アディスアベバ ンジャメナ ムンドゥー サントメ ドゥアラ ハルツーム オムデュルマン ポート スーダン バンギ ジュバ コンゴ 共和国 白ナイル ナイル川 キサンガニ 東 ア フ リ カ 大 地 溝 帯
サ ハ ラ 砂 漠
コンゴ 盆地 青ナイル コンゴ川 ベヌエ川 ニジェール川 BIDA YOLA DOBA KOSTI BLUE NILE KHARTOUM ATBARA 紅海 大西洋 30 S 20 20 10 10 N 0 10 E 20 30 40 50 0 km 1000 凡 例 中央アフリカリフト系堆積盆地 ローマ字表記は堆積盆名 石油発見井・油田位置 油田名は赤字 石油・ガス発見井位置 首都 主要都市 0 500km 20E 20E 20N 20N 0 0Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 エチオピアにおける先カンブリア界の構成岩類は、各種片麻岩類、珪岩、角閃岩、各種結晶 片岩類などの変成岩類、かんらん岩、輝岩などの超塩基性岩類、造山期貫入の花崗岩類などで ある。これらは、さらに先カンブリア代末期または古生代初期といわれている花崗岩類に貫入 されている。オルドビス系または石炭系~ペルム系は、北部のチグレ(Tigre)州地域および青 ナイル川流域の一部に局部的に露出し、主として氷河堆積物からなり、砂岩、頁岩を伴う。 アフリカ東部では、三畳紀末(約 2 億年前)に大規模な海侵が始まり、海はソマリア、ケニ ア北東部、エチオピアの大部分を覆い、アラビア南西部まで広がった。この海侵は、ジュラ紀 末まで続いた。中生界は、主にチグレ州、青ナイル川流域および南東部の広範な地域に分布し、 古生界以下の削剥された平坦面を不整合に覆う。基底礫岩、砂岩、石灰岩、マール、頁岩、石 膏層などからなり、水平または極めて緩い傾斜を示し、三畳紀から白亜紀にわたる浅海性堆積 岩層である。 白亜紀の初めに、エチオピア西部・中央部は再び陸化したが、東部のオガデン地域とケニア 北東部では蒸発岩と砂岩が厚く堆積し、その後のソマリア北西部への海侵により、厚い白亜系 の堆積があった。 エチオピア中央部の高原地帯には、始新統~中新統のトラップ玄武岩統(Trap basalt series) が広く分布している。これは、アルカリ玄武岩質溶岩、凝灰角礫岩層、凝灰岩層の厚い繰り返 しとその中に挟在される薄い正規砕屑岩層からなり、台地玄武岩層(plateau basalt)と呼ばれ ることもある。トラップ統は、下位層の削剥平坦面を不整合に覆い、水平または極めて緩い傾 斜を呈している。全層厚は 3,000m 以上に達する地域がある。この噴出期に、前述のとおり、 アフリカ大陸とアラビア半島の大陸地殻の分離が始まった。 オガデン堆積盆地では、地温勾配が高いことから、胚胎する炭化水素は、石油よりガスの可 能性が高い。一般的な石油/ガスの存在境界である地温 150℃は、同盆地では、深度 3,000 ~ 3,500m である。 鮮新世~洪積世には、大地溝帯の形成に引き続いて、地溝帯の内部縁辺部およびその他の局 部地区(タナ(Tana)湖周辺、青ナイル渓谷地域、ハラルギエ(Harrarghie)州東部)では、 玄武岩、安山岩、粗面岩、各種アルカリ火山岩の噴出が継続し、その一部は現在に至るまで活 - 7 -
Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 動している。また、これらの火山活動と同時期に地溝帯内部には湖成層が堆積している。 リフト・バレーは、中新世末期から鮮新世にかけて形成され、エチオピアにおいては、その 東部分岐がエチオピア高原の中央部を北東-南西方向および北-南方向に走り、エチオピア南 西部のレーク地域(ケニア国境の Rudolf 湖から北東方の Zwai 湖に至る湖沼地帯)およびアファ ル低地(Massawa-Awash-Djibouti を結ぶ三角地帯)などの低地帯をつくっている。 筆者は後述のとおり 2008 年 2 月にエチオピア・エネルギー鉱山省を訪問した。同省によれば、 図 2 に示した堆積盆地の存在が確認できていない地域でも、南部の「Joint Study Area」のよう に、スタディ契約による地震探鉱が開始されようとしていた。石油・天然ガスの存在が有望な 堆積盆地の分布が確認されている地域以外でも基礎的な探鉱作業が開始されており、まさに「草 刈り場」の様相を呈している。 3.安定化した政治・経済状況 17 年に及ぶ内戦や旱魃により経済は極度に疲弊したが、1991 年 11 月に民間セクター重視、 政府の管理機能の縮小や統制撤廃などを重点とする新経済政策が策定された。以降、経済は安 定化し、実質経済成長率は年平均約 6%を達成し、インフレ率は 5%以下に抑えられた。1998 年に入り、旱魃による農業生産の落ち込みや、主要輸出品目であるコーヒー価格の低迷などに より、GDP 成長率がマイナスを記録し、加えてエリトリアとの国境紛争による難民・避難民が 大量発生し、エチオピア経済に打撃を加えた。 しかし、その後のエチオピアは経済が順 調である。2007 年の経済成長率は約 11%、 ここ 5 年間はほぼ 10%成長が続いている(図 5)。降雨に恵まれてコーヒー、花卉栽培、さ とうきび、トウモロコシなど農業生産が順調 なためである。花卉栽培については、エチオ ピアの生産地域であるアビシニア高原の海抜 高度が高いので、大輪の花が栽培でき、市場 での評価が高くなっており、日本にもドバイ -3 0 3 6 9 12 15 2004 2000 2005 2003 2002 2001 5.4% 7.9% 0.0% 8.7% 12.3% -3.0%
図 5 エチオピアの GDP 成長率の変遷
出所 : 世銀統計等より筆者作成 - 8 -Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 * 1 産業別エチオピア経済事情調査(在エチオピア日本国大使館) http://www.et.emb-japan.go.jp/Eco_Research_J.pdf 経由で輸出されている。 また、輸出額の第 1 位を占めるコーヒー豆の輸出先として、日本はドイツに次ぎ第 2 位である。 しかし、第 1 位のドイツは、輸入した多くの部分を再輸出しているので、実質的に日本はエチ オピアの最大の輸出先となっている。 「テロとの戦い」を標榜する米国は、「アルカイダの巣窟」ともなっているとみられるソマリ アの安定化と「イスラム法廷」による政権打倒をエチオピアの「協力」で実施しようとしている。 こうした背景で、米国はエチオピアに対する援助を急拡大させている。欧米諸国もこれに追随 している。かつて、エチオピアへの ODA 援助額で 1、2 位だった日本は、援助額自体はほぼ横 ばいで推移しているが、米国をはじめとした欧米諸国が援助額を急増させていることから、現 在 16 位と極端に地位が低下してきている。 首都アジスアベバには、AU(アフリカ連合)、ECA(Economic Commission for Africa)をは じめとする国際・地域機関の本部が置かれており、多くの大使館や援助機関が所在している。 外交官(国連職員含む)の人口比率では、世界で 3 番目に高い(ジュネーブ、ウィーンに次ぐ) 都市である。さらに、GTZ(Deutsche Gesellschaft fur Technische Zusammenarbeit)は 300 人、 アメリカ大使館は 450 人の職員増員を計画している等、各国が競い合うように体制強化を進め ている* 1。 このような背景での政治・経済状況の安定化、さらにエチオピア政府も、探鉱現場での安全 確保を最重要課題として位置付けており、状況は好転していると言える。 4.カラブ・ガス田 2007 年 7 月 Petronas はカラブ・ガス田の開発権を取得した。 エチオピアでは、現在のところ石油・天然ガスの生産はまだないが、オガデン盆地における 3 カ所のガス鉱床の発見で、その埋蔵量は 2.7 Tcf と評価されている。 カラブ(Calub)ガス田は、Tenneco によって 1972 年に発見された。発見後、旧ソ連によっ て評価井の掘削、米トライトン(Triton)により評価作業がなされ、埋蔵量はガス 2.4 Tcf、コ - 9 -
Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 ンデンセート 350 万バレルと評価されている。 貯留岩は、上部三畳系~下部ジュラ系の Adigrat 層とオルドビス系の Calub 砂岩である。根 源岩としては、ペルム系~ 三畳系のカルー系内の Bokh 頁岩が考えられている。 その他、2 つの既発見ガス田としては、Shilabo および Hilda があり、後者については、エチ オピア・エネルギー鉱山省によれば、1.2 Tcf のガス可採埋蔵量があるとされる。 筆者は、2008 年 2 月にエチオピア・アジスアベバを訪問し、エチオオピア・エネルギー鉱 山省幹部および IOC 探鉱担当者と面談した。 面談した Peter Purcell (Manager Ethiopia PEXCO Exploration (East Africa) N.V.)氏によれば、 以下のとおりである。 カラブガス田に関しては 2.7 Tcf、その他の 2 つのガス田の埋蔵量を足すと 4 Tcf なる数字を エチオピア政府は公式見解としている。しかしながら、同ガス田は Tenneco が発見し、その後 評価した。Tenneco 時代には同氏も評価に関わっていた。その後、Hunt が再評価を行い、1.4 ~ 1.6 Tcf と結論付けた。 社会主義政権となり、旧ソ連の会社(Soviet Petroleum Exploration Expedition:SPEE)が再々 評価を行ったが、その当時の評価数値をエチオピア政府は公式見解としている。しかし、同社 は、集ガス構造をだいぶ大きく評価した。その後に評価井が 2 坑掘削され、構造の大きさは元 の大きさに戻ったが、最大時の評価埋蔵量を現在も政府見解としている。したがって、カラブ・ ガス田の原始埋蔵量は 1.4 ~ 1.6 Tcf が妥当な線であるとのことであった。 同ガス田の埋蔵量は現時点では限定的なものではあるが、エチオピア政府は、第 2 のガス田 であるヒララ・ガス田との間の 80km、さらにオガデン地域最大の都市ディレダワへの 700km のパイプライの敷設を考えている。ロシア Lukoil がガス田開発等に参入するとの見方もある* 2 。 4.今後の探鉱・開発はどうなるか? 同国の一般的な PS 契約の探鉱期間は、4 + 2 年である。したがって、2010 年頃までには初 期の探鉱成果が明らかになるものと思われる。今後ファームアウト等も予想されることから、 引き続き注目していくこととしたい。 * 2 http://www.ena.gov.et/EnglishNews/2008/Feb/14Feb08/50302.htm - 10 -
Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 カラブ・ガス田については、周囲にガス田が発見され、追加埋蔵量が確保されることとなれば、 前述のとおりディレダワへの 700km のパイプライの敷設、さらにジブチへの延長等も想定され るが、現状ではその実現は困難であると考えられる。エチオピアのように、ガス資源はあるが 石油資源がない、パイプラインを敷設するには遠距離で経済性が悪い、国内の輸送用燃料の確 保に苦慮しているといった国には、GTL 技術の活用も考えられよう。また、CNG 技術が発達し てきているので、カラブ・ガス田から CNG ローリーで人口稠密地へ運び、ガソリンを燃料にし ている自動車を CNG 化するといったアイデアも考えられる。 5.残されたチャンスは?-東アフリカへの期待感― このように中堅 IOC の参入は、同国の治安の回復をうかがわせるものである。また、東アフ リカは依然として探鉱密度が極めて低いだけで、基礎的な石油・天然ガスポテンシャルは十分 に有していることが推定される。したがって、これまで見てきたように、中小規模 IOC の参入 は歓迎されるべきものであると考えられる。 以上見てきたエチオピアをはじめとして、インドの東アフリカ(「インド洋広域経済圏」と言っ てもよいだろう)への進出が著しい。もともと、ガンジーが独立運動を始めたのは、南アであっ たように、「印僑」にあっては「華僑」における東南アジアと同一の意識がある。今世紀半ばま でには、インドの人口は中国を凌駕するとの観測が現実味を帯びてきたが、インド洋広域経済 圏のエネルギーの需給動向については、稿を改めて報告することとしたい。 参考文献(順不同) Afroil 2008/1/15、2008/1/22、2008/6/17 石油・天然ガスレビュー「最後?の処女地:東アフリカの石油・天然ガス」 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=200605_001a%2epdf&id=666 日本国外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/kuni/06_databook/pdfs/05-03.pdf 石油鉱業連盟:東アフリカ石油資源開発基礎調査団報告、1973 年、126p. - 11 -
Global Disclaimer (免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 諏訪兼位、矢入憲二:世界の地質-アフリカ、岩波講座地球科学、第 9 巻、61 - 98. Matchette-Downes, Cameron, Now is the time for East Africa, http://www.jebcoseis.com/africa_east_coast.htm 金属鉱業事業団:資源開発環境調査、エチオピア連邦民主共和国 高橋清:東南アフリカ事情(3)エチオピアの現状と鉱物資源、地質ニュース 375 号、44 - 61. この記事は pdf ファイルで提供しております。図面は拡大印 刷しても解像度がおちませんので、必要図面は拡大プリント アウトしてお使いください。 2007 年 4 月より、JOGMEC 中東事務所の管轄エリアに東ア フリカが加わりました。 - 12 -