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神明園概要 施設概略 平成 11 年 東京西部に位置する羽村市に市内 3 番目の特養として開設した従来型 全入居者数 120 名 地上 5 階建 居住階は2 3 4 階の3フロア 介護専従職員数 常勤 29 名非常勤 11 名 職員全体数 80 名 介護度の平均 約 3.9 平成 29 年 8 月

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Academic year: 2021

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(1)

尊厳ある生活環境を創る

不適切ケアに気付ける仕組みづくり

特別養護老人ホーム 神明園

土岐佐千子

駒木敬子 飯島和枝 高橋明美 木野直樹 2017.9.18 全国老人福祉施設研究会議 高知会議

(2)

神明園概要

【施設概略】 ・平成11年、東京西部に位置する羽村市に市内3番目の特養として開設した従来型 ・全入居者数 120名。 地上5階建 居住階は2・3・4階の3フロア ・介護専従職員数 常勤29名 非常勤11名 ・職員全体数 80名 ・介護度の平均 約3.9 平成29年8月1日現在 【理念】 ・地域社会に開かれた園づくり ・『楽しみ』『くらし』~そして『よろこび』 【基本方針】 ・自立心と責任感に基づいた、全員参加による生活支援

(3)

・座学の研修では全職員の参加が難しく周知が不完全 ・自分たちの施設の取り組みを把握できていない職員が 常に一定数存在する

研究背景

開園からこれまで、身体拘束委員会において尊厳ある 生活の実現や高齢者虐待の発生予防を啓蒙していた

しかし

身体拘束や高齢者虐待につながるおそれが

懸念される事例の発生が不可避

さて

どうする?

(4)

課題の整理

•身体拘束委員会を人権擁護委員会に改名し、日常に 潜む不適切ケアの改善を啓蒙する機能を強化する 専門職としての倫理 人権擁護等に対する職員の意識を高める必要性 •学習による理解を実践で確認してゆける、恒常的に不 適切ケアの発生を抑制できるシステムを創る 新入職員や中途採用職員への指導強化 慣れによる感覚の麻痺の是正 現状 神明園のなかで不適 切ケアの発生はどのような 傾向があるのか?を把握し なおすことから整理しよう

おやっ?とハット

(5)

目的と目標

<目的> 報告された不適切ケアの発生要因を考察し 改善策を共有することで不適切ケアの発生抑止を図る <目標> 不適切ケアについて具体例を用いて問題点と改善の意識を 共有し啓蒙することで、不適切ケアの発生を未然に防ぎ 信頼されるサービスの提供を恒常的に行えるようになる

(6)

具体的な取り組み①

“おやっ?とハット”とは?

『おやっ?この対応は本当に合っているのかな?』 『入居者、第3者に不快感を与えるものではなかったのかな?』 と、率直に感じたことを報告し

その場での対応や後のフォローを確認できるツール

報告を提出してもらう上でのポイント ◆疑問に思うことから“気づき”を促す ◆提出を義務づけることで、“気づき”の意識づけを形成する ・未提出にさせない ・気づくことがなければ「何も気付かなかった」と記載して報告 ・特に指導職の意識強化のため各個人の提出状況が一覧できる掲示を行う

(7)

具体的な取り組み②

①“おやっ?とハット”の趣旨説明、実施に際して提出の呼びかけ ②提出された報告をクラスター化 カテゴリーを生成 ③カテゴリー別の不適切ケア発生傾向・要因を分析 類似事例の再発防止策を全職員へ発信 (早急な個別指導を要する事例は提出を受けた時点で対応) 報告を提出する者の範囲:全職員を対象(事務職も含む) 報告を受けた期間:平成29年1月1日~8月31日 初期(1~2月は指導職のみの提出による試用期間) 3~5月に全員対象で実施 6~7月に休止し8月に効果測定のための再実施

実施の手順

(8)

分析・検討 個人の問題? 状況的な問題? 注意の啓蒙方法 再発防止策 集 計 カテゴリー毎の報告数集計 ヒアリングによる状況の補完 発生状況のクラスター化とカテゴリーの生成 類似した発生要素・状況のものを集める カテゴリー名を検討しながら カテゴリーの飽和まで分類 データのスクリーニング ヒヤリハットなどとの混同といった非該当報告の除外

具体的な取り組み③

(9)
(10)

おやっ?とハット用紙 実際の記入

自分の不適切ケアを 自分で書いた事例 報告者の常勤職員 が、自分より経験の浅 い年上の非常勤職員の 行動を報告した事例 その場では強く指導 することができなかっ たので、報告を受けた 委員会が、後日にフォ ローの指導をおこなっ ている状況が、報告さ れている

(11)

排除対象となった報告を提出した職員には個別に ◆“おやっ?とハット”の趣旨を再確認 ◆記載方法の指導 ・どういう報告を求めているのか? ・提出された報告の何が違ったのか? ・具体例を用いて説明

結果①

※分析の該当期間における総報告数は169件 そこから ヒヤリハットとの混同 作業手順のミス など “おやっ?とハット”に該当しない報告は除外

分析に用いた報告数

(3~5月 及び8月)

n=136

(12)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 3月 4月 5月 8月

月別の提出数

n=136

結果②

(13)

結果③

カテゴリーリスト(下段は該当例) A: 苦痛につながる対応 •就寝時気温が下がってきてもタオルケットだけだった ・頻回にトイレにくる方にもう来なくていいと声かけしていた B: 気付けない故の放置 •排泄介助直後に衣類が汚れているのに気付かず更衣をしなかった C: 行動を抑制する対応 •スペースが狭い場所に案内してしまい第三者から見れば動けないようにしていると見られる可能性があった D: プライバシーへの配慮不足 •排泄介助時トイレのカーテンがきちんと閉まっていない ・第三者に聞こえる場所で申し送りをしていた E: 気付いていても対応出来ていない •繰り返しナースコールがあるがすぐに対応できなかった。あとどれくらいで行くなどの声掛けがなかった F: 不完全な介助 •食後に口の周りの汚れの拭き取りが不完全なままだった G: マナー違反 •食後の下膳する音が大きく響いており、食事中の方もいるため物音の注意が必要 H: 傲慢な対応 •強い口調でちょっと待っていてくださいと返答した I: 入居者本意でない •入浴に行くのを拒否している方に対し、時間が無いから早くと強引に案内しようとしていた

(14)

結果③

カテゴリーごとの報告集計

15 5 6 24 13 18 12 19 4 6 2 2 1 2 4 0 2 1 0 5 10 15 20 25 30 I: 入居者本意でない H: 傲慢な対応 G: マナー違反 F: 不完全な介助 E: 気付いていても対応できていない D: プライバシーへの配慮不足 C: 行動を抑制する対応 B: 気付けないゆえの放置 A: 苦痛につながる対応 3~5月 8月 n=136

(15)

実際 職員はどう感じていたのか?

• おやっ?とハットを通じて、高齢者虐待や権利擁護への意識が高まった • 職員間でも、「これって“おやっ?とハット”かな?」と自分の対応を振り返 り、他者と確認し合うようになった • 常勤・非常勤関係なく取り組める内容であった • 職員の入れ替えがあるため、研修を受けていない職員でもすぐに取り組め、虐 待について意識できるものであった • 指導する側として現場の状況が把握しやすくなり、ピンポイントでの指導がし やすくなった • 普段隠れている状況が他者にもわかりやすくなった • 他者を見る意識が変わった。今までは言えずにいた内容を「それって“お やっ?とハット”じゃないの?」と他者に注意をしやすくなった。「それ違う のでは?」とは言いにくいが冗談っぽくでも言いやすくなった。

8月の報告数減少をうけて職員アンケートを実施

(16)

考察

おやっ?とハットから得られた効果

•発生しやすい状況や理由がカテゴリーとして把握できたこ

とで、指導する際のポイントを明確にすることができた

その主なポイントとは

•気づきを促す指導の強化

•職員の個人特性の把握

•介助行為の意味の理解

あらためてこれらの啓蒙・ 指導の 重要性を認識 職員同士では不適切ケア を感じていても直接注意 しづらい状況を、委員会 を通じ客観的事実として 指摘し、改善指導へつな げることができる 職員同士がお互いを意識しあうこ とで生まれる職場内の自浄作用

(17)

今後の課題と展望

半期に1回程度の割合で2ヶ月ほどの期間の報告を集める

・マンネリ化しない程度のスパンで実施する

・報告方法及び集計の簡素化

(提出負担・及び傾向と対策検討の軽減)

・今回生成したカテゴリーを基本に、記入している本人がその場で

問題を直感的に感じとれるようにする

自浄作用の強化を図る

(18)

参考文献

• 山田昇他/老人福祉施設等における「不適切な介護」の事例の発

生要因と改善方法について/佐野短気大学研究紀要第23号

(2012)

• 松本望/高齢者介護施設における虐待予防に焦点を当てた研究方

法と課題;調査研究のレビューおよび調査項目の分類を手がか

りに/社会福祉学論第13号(2014)

• 林真二/養介護施設職員の虐待予防研修の受講と虐待及び予防意

識との関連/日本赤十字広島看護大学紀要第15号(2015) 他

(19)

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