尊厳ある生活環境を創る
不適切ケアに気付ける仕組みづくり
特別養護老人ホーム 神明園
土岐佐千子
駒木敬子 飯島和枝 高橋明美 木野直樹 2017.9.18 全国老人福祉施設研究会議 高知会議神明園概要
【施設概略】 ・平成11年、東京西部に位置する羽村市に市内3番目の特養として開設した従来型 ・全入居者数 120名。 地上5階建 居住階は2・3・4階の3フロア ・介護専従職員数 常勤29名 非常勤11名 ・職員全体数 80名 ・介護度の平均 約3.9 平成29年8月1日現在 【理念】 ・地域社会に開かれた園づくり ・『楽しみ』『くらし』~そして『よろこび』 【基本方針】 ・自立心と責任感に基づいた、全員参加による生活支援・座学の研修では全職員の参加が難しく周知が不完全 ・自分たちの施設の取り組みを把握できていない職員が 常に一定数存在する
研究背景
開園からこれまで、身体拘束委員会において尊厳ある 生活の実現や高齢者虐待の発生予防を啓蒙していたしかし
身体拘束や高齢者虐待につながるおそれが
懸念される事例の発生が不可避
さて
どうする?
課題の整理
•身体拘束委員会を人権擁護委員会に改名し、日常に 潜む不適切ケアの改善を啓蒙する機能を強化する 専門職としての倫理 人権擁護等に対する職員の意識を高める必要性 •学習による理解を実践で確認してゆける、恒常的に不 適切ケアの発生を抑制できるシステムを創る 新入職員や中途採用職員への指導強化 慣れによる感覚の麻痺の是正 現状 神明園のなかで不適 切ケアの発生はどのような 傾向があるのか?を把握し なおすことから整理しようおやっ?とハット
目的と目標
<目的> 報告された不適切ケアの発生要因を考察し 改善策を共有することで不適切ケアの発生抑止を図る <目標> 不適切ケアについて具体例を用いて問題点と改善の意識を 共有し啓蒙することで、不適切ケアの発生を未然に防ぎ 信頼されるサービスの提供を恒常的に行えるようになる具体的な取り組み①
“おやっ?とハット”とは?
『おやっ?この対応は本当に合っているのかな?』 『入居者、第3者に不快感を与えるものではなかったのかな?』 と、率直に感じたことを報告しその場での対応や後のフォローを確認できるツール
報告を提出してもらう上でのポイント ◆疑問に思うことから“気づき”を促す ◆提出を義務づけることで、“気づき”の意識づけを形成する ・未提出にさせない ・気づくことがなければ「何も気付かなかった」と記載して報告 ・特に指導職の意識強化のため各個人の提出状況が一覧できる掲示を行う具体的な取り組み②
①“おやっ?とハット”の趣旨説明、実施に際して提出の呼びかけ ②提出された報告をクラスター化 カテゴリーを生成 ③カテゴリー別の不適切ケア発生傾向・要因を分析 類似事例の再発防止策を全職員へ発信 (早急な個別指導を要する事例は提出を受けた時点で対応) 報告を提出する者の範囲:全職員を対象(事務職も含む) 報告を受けた期間:平成29年1月1日~8月31日 初期(1~2月は指導職のみの提出による試用期間) 3~5月に全員対象で実施 6~7月に休止し8月に効果測定のための再実施実施の手順
分析・検討 個人の問題? 状況的な問題? 注意の啓蒙方法 再発防止策 集 計 カテゴリー毎の報告数集計 ヒアリングによる状況の補完 発生状況のクラスター化とカテゴリーの生成 類似した発生要素・状況のものを集める カテゴリー名を検討しながら カテゴリーの飽和まで分類 データのスクリーニング ヒヤリハットなどとの混同といった非該当報告の除外
具体的な取り組み③
おやっ?とハット用紙 実際の記入
自分の不適切ケアを 自分で書いた事例 報告者の常勤職員 が、自分より経験の浅 い年上の非常勤職員の 行動を報告した事例 その場では強く指導 することができなかっ たので、報告を受けた 委員会が、後日にフォ ローの指導をおこなっ ている状況が、報告さ れている排除対象となった報告を提出した職員には個別に ◆“おやっ?とハット”の趣旨を再確認 ◆記載方法の指導 ・どういう報告を求めているのか? ・提出された報告の何が違ったのか? ・具体例を用いて説明
結果①
※分析の該当期間における総報告数は169件 そこから ヒヤリハットとの混同 作業手順のミス など “おやっ?とハット”に該当しない報告は除外分析に用いた報告数
(3~5月 及び8月)n=136
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 3月 4月 5月 8月