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オープンソースERPパッケージに対する派生開発手法の提案

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Academic year: 2021

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派生開発カンファレンス2018

オープンソース ERP パッケージに対する派生開発手法の提案

-開発プロジェクトの事例をもとに-

岸麻美 生井雅志 土山真由美

住所 〒221-0031 神奈川県横浜市神奈川区新浦島町 1 丁目 1 番 25 号テクノウエイブ 100 ビル 7F E-mail: asamim@aicom.co.jp 概要 当社は、システム企画から保守までのサービスを提供している。近年の顧客の要求を実現するための開発 では、要求やスコープが曖昧で、短納期の開発も多い。そこで、品質管理と納期、コストを満たすために、オープ ンソースのERP パッケージを用いたシステム導入を実施している。本報告は、オープンソースの ERP パッケージ を利用した派生開発において、開発や管理手法を工夫することで、技術的なリスクを回避し、短納期で一定の品質 を担保した開発を実現した事例を紹介するものである。

Proposal of derived development method for open source ERP

-Case of development project-

Asami Kishi,Masashi ikui,Mayumi Tsuchiyama

†HAMAGOMU AICOM INC.

Yokohama City 1 - 25 Shin-urashima - cho Kanagawa - ku Techno Wave 100 Building 7 F

E-mail: asamim@aicom.co.jp

Abstract We provide services from system planning to maintenance. Derived development to realize customer's additional

request often has vague requirements and scope. In addition, there are many developments with short delivery times, it is also necessary to comply with delivery deadline compliance and quality collateral. In this research, in the derivative development using open source ERP, we introduce the case where the development was realized by maintaining the quality by effectively using the requirement definition method and the open source project management tool and development agreement is there.

Keyword open source、ERP、iDempiere

1. はじめに 1.1. 本 事 例 の概 要

本 事 例 は 、 オ ー プ ン ソ ー ス ソ フ ト ウ ェ ア(以下、 OSS と記す)の ERP パッケージである iDempiere の 派 生 開 発 を XDDP と対比することで、派生開発 の ポ イ ン ト を 提 案 す る も の で あ る 。変 化 の 大 き な 市 場 環 境 の 中 で 、 各 企 業 が シ ス テ ム 構 築 に OSS の ERP パッケージを採用する一助となることを 期 待 し て い る 。 OSS は、OSS のコミュニティによって機能開 発 さ れ て い る 。本 事 例 で は 、こ れ を 標 準 機 能 と 称 す る 。OSS の派生開発は、標準機能を最大限利用 す る こ と が 品 質 や 納 期 を 担 保 す る こ と に つ な が る 。し か し な が ら 、ソ ー ス が 公 開 さ れ て い る た め に 、標 準 機 能 に も 様 々 な 変 更 を 加 え こ と も 可 能 で あ る 。 ま た 、 変 更 を 加 え る と OSS のコミュニテ ィ が 担 保 し て い る 品 質 を 阻 害 す る 可 能 性 も あ る 。 こ の 問 題 に 対 し 、iDempiere の教育、開発規約の 整 備 、OSS を研究する組織との連携によって、課 題 解 決 し た 当 社 の プ ロ ジ ェ ク ト 事 例 を 紹 介 す る 。 1.2. 当 社 の事 業 と取 り組 み 当 社 は 、1970 年に設立 された横浜ゴム株式会 社 ( 以 下 、 横 浜 ゴ ム と 記 す ) の 100%子会社であ る 。シ ス テ ム 企 画 か ら 保 守 運 用 ま で の 役 務 を 提 供 し て い る 。 顧 客 は 横 浜 ゴ ム 、 横 浜 ゴ ム 関 連 会 社 、 一 般 企 業 と 多 岐 に わ た る 。 横 浜 ゴ ム 向 け の シ ス テ ム 開 発 で は 、ス ク ラ ッ チ

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開 発 を メ イ ン に 取 り 組 ん で き た が 、2000 年度 よ り ERP パッケージである SAP、近年は Microsoft Dynamics など商用パッケージも利用している。 ま た 、2012 年度より、OSS の ERP パッケージで あ る ADempiere を利用したシステム導入を開始 し た 。さ ら に 、2016 年度より、様々な OSS を利 用 で き る よ う にOSS の研究チームを設立した。 1.3. OSS を取 り巻 く状 況 近 年 の ビ ジ ネ ス 環 境 の 変 化 に 対 し 、企 業 の ニ ー ズ を 満 た す 上 で も OSS が 注 目 さ れ て い る[1] JISA も業務アプリ領域、共通アプリ領域、ミド ル ウ ェ ア 領 域 の 様 々 な 分 野 に OSS の利用が進ん で い る と 報 告 し て い る[2] 利 用 が 進 ん だ 背 景 と し て 、ス ク ラ ッ チ 開 発 で は 実 現 で き な い シ ス テ ム 構 築 の ス ピ ー ド と 、商 用 パ ッ ケ ー ジ で は 実 現 で き な い 派 生 開 発 の 自 由 度 が 考 え ら れ る 。な お 、商 用 パ ッ ケ ー ジ で も 派 生 開 発 に 自 由 度 が 許 諾 さ れ て い る 場 合 も あ る が 、製 品 に 準 じ た 言 語 を 習 得 す る 必 要 が あ り 、シ ス テ ム 導 入 外 の 費 用 と 時 間 が 発 生 す る な ど の 課 題 が あ る 。 な お 、本 事 例 に お け る 派 生 開 発 は 表 1 のように 定 義 す る 。 表 1 本事例の派生開発の定義[3] 種 類 定 義 本 事 例 で の 定 義 新 規 開 発 要 求 仕 様 に 書 か れ て い る こ と を 実 現 す る こ と OSS コ ミ ュ ニ テ ィ 側 か ら 提 供 さ れ る 新 機 能 本 事 例 で は 、標 準 機 能 と し て 記 述 、パ ラ メ ー タ 変 更 に よ る コ ー デ ィ ン グ な し の 設 定 変 更 が 可 能 派 生 開 発 機 能 追 加 OSS コ ミ ュ ニ テ ィ が 開 発 し た 機 能 と は 独 立 し た 追 加 開 発 機 能 と す る 変 更 表 示 や 処 理 内 容 、 デ ー タ の 変 更 、追 加 、 削 除 別 シ ス テ ム で 実 現 し て い る 機 能 の 移 植 追 加 機 能 を 受 け 入 れ る 変 更 OSS コ ミ ュ ニ テ ィ が 開 発 し た 機 能 に 変 更 を 伴 う 追 加 開 発 と す る 1.4. iDempiere とは iDempiere は、購買管理、在庫管理、販売管理、 生 産 管 理 、会 計 管 理 の 機 能 を 有 し 、多 言 語 、多 通 貨 に 対 応 し て い る OSS の ERP パッケージである。 ア メ リ カ の ComPiere 社が提供している OSS の ERP である Compiere をベースとし、ADempiere、 iDempiere として発展してきた。OS は Linux で、 デ ー タ ベ ー ス は Oracle と PostgreSQL に対応し て い る 。当 社 は 費 用 面 を 考 慮 し 、す べ て の 構 成 を OSS で構築する提案をしている。開発言語は Java で、Web 系とクライアント系の 2 種類のユ ー ザ イ ン タ ー フ ェ ー ス ( 以 下 、UI と記す)が構 築 さ れ て い る 。 メ ニ ュ ー 体 系 や 画 面 項 目 の 変 更 、 権 限 設 定 等 は パ ラ メ ー タ 設 定 の 変 更 で 対 応 す る こ と が で き る 。 2. 開 発 事 例 概 要 2.1. プロジェクトの目 的 本 事 例 で は 、横 浜 ゴ ム の 働 き 方 改 革 の 一 環 で あ る 個 人 業 務 の 可 視 化 プ ロ ジ ェ ク ト を 事 例 と し て 取 り 上 げ る 。 横 浜 ゴ ム で は 2030 年でも通用する 働 き 方 の 検 討 を 行 っ て い る 。1 つの施策として、 売 上 に 直 結 す る 成 果 だ け で な く 、他 者 や 他 部 門 へ の 業 務 支 援 に 対 し て 個 人 の 成 果 や 貢 献 を 可 視 化 す る 仕 組 み を 構 築 す る こ と と し た 。成 果 を 可 視 化 す る こ と で 、無 駄 な 作 業 の 排 除 や 社 員 の モ チ ベ ー シ ョ ン 向 上 に つ な が る 施 策 を と る こ と を 目 的 と し て い た 。 2.2. プロジェクトの課 題 個 人 業 務 の 可 視 化 プ ロ ジ ェ ク ト は 、既 存 シ ス テ ム の 置 き 換 え で は な い 。さ ら に 一 部 の 部 門 で 試 行 し 、利 用 に 即 し た 形 で シ ス テ ム を 発 展 さ せ て い く と い う 試 験 的 な 要 素 を 持 っ て い た 。 し た が っ て 、 要 件 は 整 理 さ れ て い な い が 、動 く 仕 組 み を 素 早 く 提 供 す る 必 要 が あ っ た 。ま た 、個 人 業 務 を 可 視 化 す る こ と に 付 加 価 値 が あ る わ け で は な く 、得 ら れ る 情 報 の 活 用 に 付 加 価 値 を 持 つ こ と か ら 、安 価 に シ ス テ ム 構 築 す る こ と も 前 提 と し て い た 。 さ ら に 、シ ス テ ム 利 用 に あ た っ て 、個 人 及 び 組 織 の 負 荷 が 上 が る こ と 事 は 望 ま し く な い 。し た が っ て 、 簡 単 な 操 作 性 も 求 め ら れ て い た 。 2.3. 開 発 方 法 の選 定 プ ロ ジ ェ ク ト を 実 現 す る に あ た り 、以 下 の 開 発

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方 法 を 選 択 肢 と し た 。 ① 新 規 ス ク ラ ッ チ 開 発 ② 商 用 の ERP パ ッ ケ ー ジ の 利 用 ③ OSS の ERP パ ッ ケ ー ジ を 利 用 し た 派 生 開 発 ④ 既 存 シ ス テ ム を 流 用 し た 派 生 開 発 4 つ の 方 法 を 、費 用 、品 質 、要 求 の 実 現 性 の 観 点 で 比 較 検 討 し た 。個 人 業 務 の 可 視 化 の た め 、業 務 の や り 取 り を 受 発 注 と し て 、販 売 管 理 や 購 買 管 理 の 機 能 を も つ シ ス テ ム を 利 用 す る 方 針 と し た 。さ ら に 操 作 性 の 改 善 の た め に 、派 生 開 発 が で き る こ と を 評 価 し 、③ OSS の ERP パ ッ ケ ー ジ を 利 用 し た 派 生 開 発 、 す な わ ち iDempiere を 利 用 し た 派 生 開 発 を 採 用 し た 。 2.4. 開 発 のアプローチ iDempiere を利用したシステム導入方法は、以 下 の 手 法 を と る 。 ① 標 準 機 能 の 利 用 判 断 ② 業 務 の 実 現 方 法 の 検 討 ③ 派 生 開 発 の 設 計 ④ 派 生 開 発 の 開 発 ⑤ 派 生 開 発 の テ ス ト は じ め に 、業 務 フ ロ ー を 用 い て 、標 準 機 能 を 利 用 で き る 業 務 と 、標 準 機 能 を 利 用 で き な い 業 務 に 仕 分 け る 。次 に 、標 準 機 能 を 利 用 で き な い 業 務 の 実 現 方 法 に つ い て 、 業 務 を ERP パッケージに合 わ せ る の か 、業 務 に 合 う 機 能 を 派 生 開 発 す る の か を 検 討 す る 。そ し て 、派 生 開 発 の 対 象 と な っ た 業 務 の 要 件 を 元 に 、派 生 開 発 の 設 計 、開 発 、テ ス ト を 行 う 。な お 、標 準 機 能 は パ ラ メ ー タ 設 定 に よ る コ ー デ ィ ン グ な し の 機 能 利 用 変 更 が で き る 。ま た 、 派 生 開 発 の 設 計 で は 、機 能 追 加 を 行 う の か 、機 能 に 変 更 を 加 え る の か の 判 断 も 発 生 す る 。 3. 課 題 3.1. 標 準 機 能 の利 用 判 断 2.4 の開発アプローチで示した①標準機能の利 用 判 断 、③ 派 生 開 発 の 設 計 を 行 う に は 、ERP パッ ケ ー ジ の も つ 標 準 機 能 を 詳 細 に 理 解 す る 必 要 が あ る 。 商 用 の ERP パッケージの場合、研修、開 発 者 向 け の 技 術 情 報 の 提 供 、セ ミ ナ ー 等 の 教 育 環 境 が 整 っ て い る 。ま た 、PostgreSQL など普及が 進 ん で い る OSS の場合、研修やセミナー等、教 育 機 関 が 整 っ て い る 。さ ら に 、知 識 量 を 確 認 す る 指 標 と な る 資 格 制 度 も あ る 。し か し な が ら 、普 及 が 充 分 で は な いiDempiere は、開発コミュニティ や 自 主 的 な 勉 強 方 法 は あ る が 、教 育 機 関 は 充 分 で は な く 、資 格 制 度 は な い 。し た が っ て 、iDempiere の 機 能 詳 細 、つ ま り は 標 準 機 能 の 知 識 を 習 得 す る こ と が 難 し い 。 3.2. 派 生 開 発 の設 計 派 生 開 発 の 設 計 に お い て 、機 能 追 加 を 行 う の か 、 機 能 に 変 更 を 加 え る の か は 、OSS のコミュニティ が 担 保 し て い る 品 質 を 享 受 す る 上 で 重 要 な 判 断 と な る 。設 計 方 法 に よ っ て は 、OSS のコミュニテ ィ が 提 供 す る 追 加 機 能 や 不 具 合 対 応 を 享 受 で き な い 。 商 用 の ERP パッケージには、標準機能と派生 開 発 の 区 別 、ひ い て は 派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 区 別 が 明 確 に な る よ う に 、 開 発 者 の 利 用 者 ID に よ る 権 限 制 御 が さ れ て い る 製 品 も あ る 。開 発 者 が 変 更 で き る 範 囲 が 明 確 で あ れ ば 、派 生 開 発 の 自 由 度 は 制 限 さ れ る が 、 一 定 の 品 質 を 担 保 で き る 。 し か し 、iDempiere では、製品の内部的な仕様や 構 造 を 正 し く 理 解 し な け れ ば 、適 切 な 派 生 開 発 の 設 計 が 行 え な い 。 4. 施 策 4.1. iDempiere 教 育 iDempiere では、一般的な研修や教育機関が充 実 し て い な い 。し た が っ て 、標 準 機 能 の 利 用 判 断 や 派 生 開 発 の 設 計 の 知 識 の 習 得 は 利 用 者 に 委 ね ら れ る 。 当 社 で は 、2012 年 に 横 浜 ゴ ム グ ル ー プ で iDempiere の前進である ADempiere のシステム 導 入 を 行 っ た 経 験 を も と に 、独 自 の 教 育 テ キ ス ト を 作 成 し た 。 さ ら に 、2016 年 か ら 、 iDempiere の シ ス テ ム 導 入 を 担 う に あ た り 、教 育 テ キ ス ト を 改 定 し た 。ま た 、iDempiere の開発コミュニティ の 情 報 で 有 用 性 が 確 認 で き た 情 報 を 社 内 で 共 有 す る 仕 組 み を 構 築 し て お り 、プ ロ ジ ェ ク ト 参 加 者 に 対 し て 、こ れ ら を 活 用 し た 社 内 教 育 を 行 っ て い る 。 4.2. 開 発 規 約 当 社 で は 、ス ク ラ ッ チ 開 発 の 開 発 規 約 と 同 様 に 、 OSS の ERP パッケージについても、開発者のス キ ル に よ っ て 品 質 や 開 発 内 容 に ば ら つ き が 出 な い よ う に 、開 発 規 約 を 設 け て い る 。さ ら に 、2016 年 度 に 、 研 究 チ ー ム に よ り OSS で提供されてい る 標 準 機 能 に 影 響 を 与 え な い 設 計 基 準 を ま と め

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た 開 発 規 約 が 構 築 さ れ た 。開 発 規 約 は 、本 来 、命 名 規 約 や コ ー デ ィ ン グ 規 約 と い っ た 開 発 の 可 用 性 や 保 守 性 を 用 意 に す る も の で あ る 。 し か し 、 iDempiere の開発規約では、プログラム構造に関 す る ガ イ ド ラ イ ン も 整 備 し て い る 。 図 1 設 計 開 発 の 概 念 2012 年 当 時 、 iDempiere の 前 進 で あ る ADempiere のシ ステ ム 導入を 開始 した直 後は 、 図 1 に示すような OSS の恩恵を享受できない設 計 が 多 数 あ っ た 。結 果 と し て 、OSS コミュニティ が 提 示 し た 不 具 合 対 応 に お い て も 、個 々 に プ ロ グ ラ ム を 変 更 し 適 応 す る な ど 追 加 コ ス ト が 発 生 し た 。開 発 規 約 は 、こ の 経 験 を 活 か し 、派 生 開 発 の 設 計 を 支 援 す る 施 策 と し て 構 築 し た 。 4.3. 開 発 体 制 標 準 機 能 の 利 用 判 断 、派 生 開 発 の 設 計 の 多 く は 、 4.1 や 4.2 に示すような施策で補完できると考え て い た 。し か し 、教 育 テ キ ス ト 、情 報 共 有 の 仕 組 み 、開 発 規 約 は 過 去 の 経 験 を も と に し た 施 策 で あ り 、す べ て の 標 準 機 能 の 利 用 判 断 、派 生 開 発 の 設 計 の 知 識 を 補 完 で き る わ け で は な い 。そ こ で プ ロ ジ ェ ク ト 体 制 に 、図 2 に示すような研究チームの サ ポ ー ト を 組 み 込 ん だ 。研 究 チ ー ム は プ ロ ジ ェ ク ト 専 任 で の 配 置 で は な く 、知 識 や 判 断 の 補 完 を 目 的 と し た 。ま た 、一 部 機 能 に つ い て は 、研 究 チ ー ム を レ ビ ュ ア と し て 、標 準 機 能 の 利 用 方 法 や 派 生 開 発 設 計 の 妥 当 性 を 客 観 的 に 評 価 す る こ と と し た 。 図 2 体 制 イ メ ー ジ 5. 試 行 5.1. iDempiere 教 育 プ ロ ジ ェ ク ト 参 画 者 の う ち 、開 発 者 以 外 は 全 員 iDempiere のシステム導入は初めてであった。参 画 者 の 経 験 と iDempiere の教育に要した日数を、 表 2 に示す。 表2 プロジェクト担当者の経験と教育 役 割 経 験 教 育 日 数 他 ERP 他 OSS JAVA

PM 有 有 有 1 PL 無 無 有 4 設 計 者 1 有 有 有 2 設 計 者 2 有 有 有 1 iDempiere の機能や概念は教育テキストで理解 で き た 。し か し 、実 際 の 業 務 と 機 能 の 利 用 判 断 は テ キ ス ト 教 育 だ け で は 不 十 分 で あ っ た 。 一 例 と し て 、プ ロ ジ ェ ク ト で は 、個 人 間 の 業 務 支 援 を 受 発 注 と 捉 え 、販 売 管 理 、購 買 管 理 機 能 を 利 用 す る 方 針 と し た 。し か し 、業 務 支 援 者 が 作 業 を 受 注 、被 支 援 者 が 作 業 を 発 注 す る 場 合 、作 業 支 援 の 業 務 可 視 化 に 、2 回以上の操作が必要となる。 実 際 に は 口 頭 で 業 務 支 援 の 契 約 は 成 立 し て お り 、 受 発 注 は1 回の操作で完了したいという要望があ っ た 。教 育 テ キ ス ト の 知 識 だ け で は 、こ の 問 題 を 解 決 す る こ と が で き な か っ た 。ま た 、社 内 の 情 報 共 有 の 仕 組 み に 必 要 な 情 報 が 不 足 し て お り 、結 果 と し て OSS のコミュニティを個別に調査するこ と も あ っ た 。 5.2. 開 発 規 約 開 発 規 約 は プ ロ ジ ェ ク ト 参 加 メ ン バ に 周 知 し た 。し か し 、過 去 に シ ス テ ム 導 入 経 験 の 実 績 が な い 機 能 の 開 発 で は 、派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 判 断 が で き な か っ た 。 例 え ば 、今 回 の 開 発 で は 、月 間 集 計 し た 個 人 の 売 買 情 報 を フ ァ イ ル で 添 付 し て 関 係 者 に メ ー ル

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で 通 知 し た い と い う 要 求 が あ っ た 。iDempiere の 標 準 機 能 で は 、パ ラ メ ー タ 設 定 に す る こ と で 、メ ー ル を 通 知 す る 機 能 が 存 在 し て い た が 、フ ァ イ ル を 添 付 す る 機 能 が 存 在 し な か っ た 。そ こ で 、添 付 フ ァ イ ル 付 き の メ ー ル 通 知 が で き る 機 能 を 派 生 開 発 す る こ と と し た 。本 来 、設 計 開 発 に は 3 パタ ー ン が あ っ た 。 ① 派 生 開 発(変更)として、標準機能をすべて直 接 改 修 す る 。 ② 派 生 開 発(変更)として、標準機能を生かし、 メ ー ル 通 知 処 理 を 変 更 開 発 す る 。 ③ 派 生 開 発(機能追加)として、メール通知処理 を 個 別 に 追 加 開 発 す る 。 ① は 開 発 規 約 違 反 と な り 、OSS コミュニティの 対 応 を 享 受 で き な い 可 能 性 が あ る 。② 、③ の 場 合 、 派 生 開 発 に よ る 標 準 機 能 へ の 影 響 は 限 定 的 に な る 。プ ロ ジ ェ ク ト で は 、③ を 採 用 し た 。プ ロ ジ ェ ク ト の 振 り 返 り に お い て 、機 能 の 汎 用 性 か ら OSS コ ミ ュ ニ テ ィ に 知 見 と し て 提 示 す べ き で あ っ た 。 5.3. 開 発 体 制 研 究 チ ー ム の 支 援 に よ り 、情 報 が う ま く 共 有 で き た 例 と し て 、マ ス タ の 利 用 方 法 の 判 断 が あ げ ら れ る 。 プ ロ ジ ェ ク ト で は 、個 人 間 の 様 々 な 業 務 を 取 引 と し て 実 現 す る た め 、取 引 先 マ ス タ や 品 目 マ ス タ の 利 用 を 検 討 し て い た 。プ ロ ジ ェ ク ト の 設 計 者 は 、 標 準 の 品 目 マ ス タ で 業 務 を 管 理 す る 方 針 と し 、不 要 な 項 目 は 削 除 し 、不 足 項 目 を 派 生 開 発 の 変 更 で 対 応 す る 案 を 考 え た 。 し か し 、 マ ス タ の 中 で も 、 品 目 マ ス タ は 必 ず 利 用 す る マ ス タ で あ り 、派 生 開 発 に よ る 変 更 は 様 々 な プ ロ グ ラ ム へ の 影 響 が 想 定 さ れ た 。そ こ で 、研 究 チ ー ム と 利 用 方 法 に つ い て 協 議 を 重 ね た 。結 果 、当 初 想 定 し て い た 設 計 で は 、予 定 し な い 組 織 設 定 な ど が 必 要 に な る こ と か ら 、設 計 方 法 を 変 更 す る こ と と し た 。設 計 者 が 気 に な る 事 項 に つ い て 、チ ャ ッ ト や メ ー ル な ど も 含 め 、プ ロ ジ ェ ク ト 期 間 中 、研 究 チ ー ム と 確 認 を 行 っ て い た 。 6. 結 果 6.1. iDempiere 教 育 iDempiere 教育、情報共有の仕組みにより、品 質 管 理 へ の 一 定 の 貢 献 は で き た 。た だ し 、定 量 的 に 予 測 で き る コ ス ト 削 減 効 果 と し て は 教 育 コ ス ト の 方 が 高 い と い う 結 果 で あ っ た 。 単 体 テ ス ト 工 程 の 障 害 発 生 率 に つ い て 、過 去 の OSS 開発から算出した平均値は 10.5%であった。 一 方 、 本 事 例 で は 9.0%でありバグ発生数が抑え ら れ た 。障 害 発 生 率 の 低 下 に よ り 抑 え ら れ た 障 害 件 数 は 3 件と想定される。障害 1 件あたりの対応 工 数 は プ ロ ジ ェ ク ト 平 均 で6 時間であったことか ら 、 単 体 テ ス ト の 工 数 を 2.25 人日削減すること が で き た 。結 合 テ ス ト や シ ス テ ム テ ス ト で の 障 害 発 生 に よ る 手 戻 り 工 数 の 削 減 を 考 え れ ば こ の 倍 の 効 果 は 想 定 さ れ る 。定 量 的 に 予 測 さ れ る 削 減 工 数 以 外 に も 副 次 的 効 果 と し て 、設 計 や 開 発 の 生 産 性 が 高 く な っ た こ と は 考 え ら れ る 。 し か し 、以 降 の プ ロ ジ ェ ク ト で は メ ン バ 全 員 が iDempiere の未経験者で、教育工数がプロジェク ト メ ン バ の 人 数 に 比 例 し て 増 加 す る こ と は 極 め て 少 な い と 考 え ら れ る 。し た が っ て 、今 後 の プ ロ ジ ェ ク ト で も 数 値 を 取 得 し 、継 続 的 な 効 果 を 測 定 し て い く 。 ま た 、技 術 情 報 を 共 有 す る 仕 組 み に つ い て も 同 様 で あ り 、経 験 プ ロ ジ ェ ク ト が 増 え る こ と で 、知 識 や 知 見 を 増 や す こ と が で き る 。同 様 の 効 果 測 定 を 今 後 も 続 け て い く 。 6.2. 開 発 規 約 開 発 規 約 に つ い て は 、派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 選 定 の す べ て を 記 録 で き な い こ と か ら 、定 量 的 な 結 果 判 定 が 難 し い 。品 質 面 で の 効 果 が あ っ た と い う 設 計 者 、開 発 者 の 意 見 は あ っ た 。し か し な が ら 、本 事 例 で 着 目 す る 派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 判 断 に お い て は 、開 発 規 約 の 情 報 不 足 が 確 認 で き た 。 仮 に 、5.3 で示した品目マスタの変更判断など が 開 発 規 約 と し て 記 載 さ れ て い た と す る 。プ ロ ジ ェ ク ト の 全 17 機能の開発に品目マスタの影響が あ っ た と 考 え た 場 合 、各 機 能 で 品 目 マ ス タ に 関 す る テ ス ト 項 目 が 1 件ずつ削減されると仮定する。 1 機能あたりの平均テスト時間が 8.2 時間、平均 テ ス ト 件 数 14 件より、1 件あたりのテスト時間 が 0.6 時間となり、17 機能で約 10 時間、つまり 1.25 人日のコスト削減ができる。したがって、総 合 的 に は コ ス ト 、 納 期 へ 貢 献 で き る 。 た だ し 、開 発 規 約 と 照 ら し 合 わ せ な が ら 設 計 す る こ と は 設 計 者 の 負 担 と な る 。今 後 、商 用 パ ッ ケ ー ジ の よ う に 、派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 判 断 が 明 確 に で き る よ う な 開 発 フ レ ー ム ワ ー ク の 検 討 が 必 要 で あ る 。

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6.3. 開 発 体 制 本 事 例 で も っ と も 効 果 が あ っ た 施 策 は 研 究 チ ー ム の サ ポ ー ト で あ っ た 。数 値 に 現 れ な い が 、細 か な 確 認 も 含 め 、 知 識 が 集 約 さ れ て い る こ と で 、 設 計 者 、開 発 者 の プ ロ ジ ェ ク ト 推 進 の 安 心 感 を 構 築 で き た 。 結 果 と し て 、障 害 発 生 率 の 抑 止 や 顧 客 ニ ー ズ へ の 応 答 、 さ ら に 納 期 へ の 貢 献 が で き た 。 し か し 、開 発 体 制 に 研 究 チ ー ム を 補 完 す る こ と は 常 時 対 応 で き る 施 策 で は な い 。研 究 チ ー ム の 目 的 は 、iDempiere も含む OSS 全般の調査研究で あ る 。本 事 例 で は 、研 究 チ ー ム の サ ポ ー ト 実 績 は 会 議 で 10 時間であった。チャットやメールによ る サ ポ ー ト も あ っ た が 、こ れ に つ い て は 埋 没 し て い る 。 本 事 例 で は 成 功 要 因 で は あ る が 、6.1、6.2 で示 し た 予 防 効 果 と 比 較 す る と 、開 発 規 模 に よ っ て 費 用 対 効 果 は 充 分 で は な い 可 能 性 が 示 唆 さ れ る 。 7. 考 察 7.1. 結 果 のまとめ 本 事 例 で は 、OSS の ERP パッケージの派生開 発 に お い て 、3 つの施策を試行した。 ① iDempiere 教育 ② 開 発 規 約 ③ 開 発 体 制 結 果 と し て 、顧 客 の 望 む 品 質・納 期・コ ス ト を 満 た す 開 発 が で き た 。 iDempiere 教育では、ERP パッケージ全体の知 識 向 上 に よ り 、 派 生 開 発 を 減 ら す 提 案 を 行 っ た 。 ま た 、プ ロ ジ ェ ク ト メ ン バ 全 員 の 知 識 が 向 上 す る こ と で 派 生 開 発 の 品 質 レ ベ ル を 向 上 さ せ た 。開 発 規 約 で は 、派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 判 断 を 行 い 、OSS コミュニティの恩恵を受ける開発を一部 実 現 で き た 。開 発 体 制 で は 、開 発 規 約 で 補 助 で き な い 派 生 開 発 の 機 能 追 加 と 変 更 の 判 断 を 補 助 し 、 プ ロ ジ ェ ク ト 全 体 の 品 質・納 期・コ ス ト に 貢 献 し た 。い ず れ の 工 夫 も 品 質 、納 期 、費 用 に 貢 献 し た と い え る 。 し か し 、iDempiere の教育、情報共有の仕組み、 開 発 規 約 に お い て 、 経 験 の な い OSS の機能をど の よ う に 取 り 込 ん で い く か 、開 発 体 制 に つ い て は 、 支 援 で き る 規 模 を ど の よ う に 判 断 す る か が 課 題 で あ る 。 7.2. XDDP との対 比 本 事 例 で は 、プ ロ ジ ェ ク ト 当 初 か ら XDDP と照 ら し 合 わ せ た 推 進 を し て い な い 。プ ロ ジ ェ ク ト 完 了 後 、7.1 の課題を解決する手段としてプロジェ ク ト の 工 夫 と XDDP との対比を行った[4]。本 事 例 の 開 発 プ ロ セ ス を XDDP における派生開発の変 更 パ タ ー ン のPFD と比較した結果を図 3 に示す。 図 3 PFD の比 較[5] 本 事 例 の 開 発 プ ロ セ ス は 概 ね XDDP の PFD と 一 致 し て い た 。 施 策 ① の iDempiere の教育によって教育テキ ス ト や 情 報 共 有 サ イ ト を 作 成 し た こ と に よ り 、変 更 前 の ソ ー ス か ら 得 ら れ る 情 報 の 精 度 を 向 上 さ せ る こ と に 効 果 が あ っ た 。ま た 、施 策 ② の 開 発 規 約 を プ ロ グ ラ ム の 構 造 レ ベ ル で 整 備 し た こ と で 、 変 更 仕 様 の 検 討 や 、変 更 設 計 書 を 作 成 す る と き に ERP パ ッ ケ ー ジの 持 つ 品質 を 担 保す る 変 更方 法 の 検 討 が し や す く な っ た 。 し か し な が ら 、XDDP の主要成果物に着目する と 、一 部 本 事 例 で 補 完 で き な い 成 果 物 が 存 在 す る 。 変 更 設 計 書 は 本 事 例 で 作 成 し た 設 計 書 も 差 分 の み の 記 載 し て お り 、記 載 内 容 も XDDP で提唱さ れ て い る 項 目 を 網 羅 し て い る 。ま た 、変 更 要 求 仕 様 書 に 当 た る ド キ ュ メ ン ト は 、2.4 で示した機能 利 用 判 断 に お い て 、標 準 機 能 を そ の ま ま 活 用 す る 部 分 、派 生 開 発 で 対 応 す る 部 分 を 明 確 に す る 過 程 で ア ウ ト プ ッ ト す る 成 果 物 に 類 似 し て い た 。 USDM の表記方法には則っていないものの、変更 要 求 と そ の 理 由 、変 更 仕 様 が 機 能 ご と に 整 理 し て い る 。 補 完 で き な い 成 果 物 は ト レ ー サ ビ リ テ ィ・マ ト リ ッ ク ス(以 下 、 TM と 記 す)で あ る 。 iDempiere は ERP パッケージであると同時に、開発のフレ ー ム ワ ー ク の 側 面 も 持 っ て お り 、表 3 に示したよ う に 、開 発 で 実 装 種 類 は 定 義 さ れ て い る 。し た が

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っ て 、変 更 仕 様 と 機 能 種 別 を 整 理 す れ ば 、フ レ ー ム ワ ー ク の 概 念 に 合 わ せ て プ ロ グ ラ ム の 構 成 や 変 更 方 法 の 大 枠 は 固 ま る 。 表 3 iDempiere の主 な機 能 種 別 機 能 種 別 概 要 標 準 画 面 デ ー タ ベ ー ス の 1 テーブルと対に な る 編 集 画 面 を 生 成 す る 機 能 主 に パ ッ ケ ー ジ の 設 定 で 生 成 が 可 能 。項 目 の 配 置 、レ イ ア ウ ト は 制 限 さ れ る パ ネ ル ・ フ ォ ー ム デ ー タ ベ ー ス の 複 数 の テ ー ブ ル を 集 約 し て 1 画面に表示する、独自の レ イ ア ウ ト で 一 覧 を 表 示 す る な ど 、 テ ー ブ ル と レ イ ア ウ ト を 自 由 に 設 計 し て プ ロ グ ラ ミ ン グ で き る 機 能 プ ロ セ ス オ ン ラ イ ン で バ ッ チ 処 理 を 実 装 す る 機 能 イ ン ポ ー ト データベースの 1 つのテーブルと 対 に な っ て 、CSV ファイルなどの 外 部 フ ァ イ ル を イ ン ポ ー ト し て 一 括 で デ ー タ を 登 録 す る 機 能 機 能 種 別 ご と に ク ラ ス 構 成 を 図 式 化 す る こ と で 、変 更 対 象 の ク ラ ス を 類 推 で き る 。さ ら に 変 更 仕 様 と 照 ら し 合 わ せ る こ と で 、具 体 的 に ど の 機 能 種 別 に 変 更 を 加 え る べ き な の か を 判 断 で き る 。し か し 、変 更 に よ る 影 響 度 を 判 断 す る こ と は で き な い 。 本 事 例 で は 、TM に変わるものとして、②開 発 規 約 ③ 開 発 体 制 を 施 策 し た 。結 果 と し て 効 果 は 獲 ら れ た も の の 、6.3 で述べたように、開発体制 に つ い て は 機 能 強 化 チ ー ム の 負 荷 や 、組 織 と し て 対 応 で き な い ケ ー ス な ど 課 題 も 残 る 。 こ の 課 題 に 対 応 す る 1 つの案として、XDDP の TM の概念を取り入れるのは効果的と推察される。 TM の横軸に、iDempiere の派生開発で検討しな け れ ば い け な い 要 素 を 配 置 す る こ と で 、変 更 仕 様 の 内 容 に よ っ て 、あ る 程 度 交 点 に な る 組 み 合 わ せ が パ タ ー ン 化 さ れ る も の と 推 測 さ れ る 。TM の有 用 性 を 検 討 す る た め に 、本 事 例 で 紹 介 し た プ ロ ジ ェ ク ト の 一 部 の 機 能 に つ い て TM を整理し、その 有 用 性 に つ い て 机 上 検 証 し た 。 結 果 、TM の横軸にパラメータ設定の変更、ロ ジ ッ ク の 変 更 の 切 り 口 で 変 更 要 素 を 配 置 す る こ と で 、変 更 仕 様 の 種 類 に よ っ て 、パ ラ メ ー タ 設 定 だ け で 対 応 で き る も の と 、ロ ジ ッ ク の 変 更 が 必 要 な も の が 整 理 さ れ た 。TM を作成することで、今 ま で 暗 黙 値 と し て 認 識 さ れ て い た iDempiere の 開 発 ノ ウ ハ ウ が 視 覚 的 に わ か る 状 態 で 整 理 で き た 。TM を作成することは、変更仕様に対する変 更 箇 所 の 特 定 だ け で は な く 、iDempiere のノウハ ウ の 整 理 に も 有 効 で あ っ た 。現 時 点 で は デ ー タ が 少 な い た め 、変 更 内 容 とTM のパターンの傾向や、 見 積 や 変 更 仕 様 書 の 記 載 内 容 と の 連 動 に つ い て は さ ら な る デ ー タ の 蓄 積 と 分 析 が 必 要 で あ る 。 以 上 の こ と か ら 、 今 後 、OSS の ERP パッケー ジ で あ る iDempiere でも XDDP を利用すること で プ ロ ジ ェ ク ト の 品 質 納 期 コ ス ト に 貢 献 で き る と 考 え ら れ る 。 8. ま と め 本 事 例 は 、当 社 の OSS の ERP パッケージであ る iDempiere に対する派生開発の取り組みとし て 、 教 育 、 情 報 共 有 の 仕 組 み 、 開 発 規 約 の 整 備 、 体 制 強 化 に よ る 短 納 期 で 品 質 を 確 保 し た 開 発 の 事 例 を 紹 介 し た 。ま た 、XDDP とこれらの施策の 関 係 を 整 理 す る こ と で 、そ の 効 果 ポ イ ン ト と 更 な る 改 善 の 可 能 性 に つ い て 考 察 し 、TM の概念を取 り 入 れ る こ と で 更 な る 改 善 が 見 込 ま れ る と 結 論 付 け た 。 近 年 、OSS を利用した開発は増えており、今後 も そ の 潮 流 は 続 く も の と 思 わ れ る 。OSS を利用す る デ メ リ ッ ト を 抑 え 、ど の よ う に メ リ ッ ト を 享 受 す る か 、こ の 鍵 は 派 生 開 発 の プ ロ セ ス を 整 理 す る こ と に あ る と 考 え て い る 。 本 事 例 は 1 事例であり、現段階では普遍的な利 用 に 貢 献 で き る 情 報 で は な い 。し か し 、XDDP を 用 い て 、OSS の ERP パッケージ導入の実績を積 み 上 げ 、 派 生 開 発 の ポ イ ン ト を 明 確 に し て い く 。 さ ら に 、変 化 の 大 き な 市 場 環 境 の 中 で 、各 企 業 が シ ス テ ム 構 築 にOSS の ERP パッケージを採用す る 一 助 と な る よ う 今 後 も 情 報 発 信 し て い く 。 文 献 [1] 論 説 委 員 奥 平 和 行 , も の づ く り を 変 え た「 オ ー プ ン 」 , 日 経 新 聞 電 子 版 , 2018/02/01 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26372310R 30C18A1TCR000/,2018/03/31 [2] 一 般 社 団 法 人 情 報 サ ー ビ ス 産 業 協 会 , デ ジ タ ル ビ ジ ネ ス へ の 挑 戦 情 報 サ ー ビ ス 産 業 白 書 2017,株 式 会 社 イ ン プ レ ス ,2017 [3] 清 水 吉 男 ,派 生 開 発 XDDP-な ぜ 特 化 し た プ ロ セ ス が 必 要 な の か ? , https://www.ipa.go.jp/files/000049830.pdf, 派 生 開 発 推 進 協 議 会 (AFFORDD) ,2015 [4] 清 水 吉 男 ,「 派 生 開 発 」を 成 功 さ せ る プ ロ セ ス 改 善 の 技 術 と 極 意 ,株 式 会 社 技 術 評 論 社 ,2007 [5] オ ー プ ン ソ ー ス ERP シ ス テ ム iDempiere(ア イ デ ン ピ エ レ ) Lab https://www.compiere-distribution-lab.net/idempiere -lab/,2018/03/31

参照

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