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Seminario Print Exhibition

2016

歴史と文化のあふれるまちで

天正遣欧使節たちの想いを 今に伝える…

第15回

南島原市

セミナリヨ現代版画展

図録

(2)

ご あ い さ つ 審 査 委 員 長 講 評 第 1 部 門 入 賞 作 品 第 2 部 門 入 賞 作 品 第 3 部 門 入 賞 作 品 第 4 部 門 入 賞 作 品 審 査 委 員 紹 介 ・・・・・・・・・・・ 3 ・・・・・・・・・・4∼5 ・・・・・・・・・ 6∼11 ・・・・・・・・・12∼17 ・・・・・・・・・18∼27 ・・・・・・・・・・・28 ・・・・・・・・・29∼35 C O N T E N T S

渡 辺 千 尋

東京で生まれる。長崎市西坂にて育つ。 長崎県立長崎東高等学校卒業。 桑沢デザイン研究所卒業。 「渡辺千尋掌画集」(レクラム舎)を発行。 銅版画を始める。ビュランに出会う。東京版画研究所に通う。 「第47回日本版画協会展」に初出品、 東京都美術館:《奇妙な来客》《懺悔の夢景》。 日本版画協会奨励賞受賞。 「第48回日本版画協会展」 東京都美術館:《極私譚−風の棲処》 「第49回日本版画協会展」 東京都美術館:《象の風景「Kダム地区」》 「象の風景 渡辺千尋銅版画集(用美社)」発行 ノンフィクション「ざくろの空 頓珍漢人形伝」で、第1回蓮如賞を 受賞する。日本ペンクラブ会員になる。 長崎県有家町より銅版画「セビリアの聖母」の復刻依頼を受ける。 26聖人が連行された、大阪∼長崎間800キロの路を、28日間かけて自ら の足で受難の追体験をする。 長年「聖画」として長崎カトリックセンターで大切に封印されていた原画 拝謁と版画復刻についての異例の許可を得る。 ビュラン技法を用いて銅版画「セビリアの聖母」を復刻。 復刻した銅版画「セビリアの聖母」をローマ法王ヨハネパウロ2世と セビリア大聖堂に献上。 有家版銅版画「セビリアの聖母」について執筆した「殉教の刻印」が 第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。 有家町(06年から南島原市)主催「セミナリヨ版画展」審査員。 以降07年まで毎年と09年に審査員を務める。 食道癌のため逝去。享年64歳。 第10回セミナリヨ版画展より「渡辺千尋賞」を設ける。 「渡辺千尋−復刻の聖母−」展(東京都練馬区立美術館) 「渡辺千尋展 象の風景、ふたたび。Chihiro Watanabe 1944-2009」展(不忍画廊) 「渡辺千尋の仕事」展(長崎県美術館) 「渡辺千尋展銅版画の世界」(ギャラリーEM) 「渡辺千尋回顧展」(タイピントギャラリー) 「渡辺千尋 銅版画遺作展」(ギャルリー宮脇) 「ビュランに捧ぐ・・・ 渡辺千尋と門坂流」展(不忍画廊) 町田市立国際版画美術館企画展「森羅万象を刻む」に出品 ●パブリックコレクション チェコ国立美術館、長崎県美術館、練馬区立美術館、町田市立国際版画美術館、 平塚市美術館、茨城県立美術館、福岡市立美術館、長崎純心大学博物館 1944年: 1963年: 1965年: 1977年: 1978年: 1979年: 1980年: 1981年: 1988年: 1994年: 1995年: 1996年: 1998年: 2001年: 2002年: 2009年: 2011年: 2013年: 2014年: 2015年: 2016年: 主 催:

南島原市セミナリヨ版画祭実行委員会

事 務 局:南島原市教育委員会 生涯学習課 〒859-2412 長崎県南島原市南有馬町乙1023番地 TEL.050-3381-5082 長崎県教育委員会・南島原市・南島原市教育委員会 南島原市議会・南島原市文化協会・島原雲仙農業協同組合・ 南島原市商工会・南島原ひまわり観光協会・南島原市PTA連合会・ 南島原市青少年育成市民会議(順不同) 一般社団法人日本版画協会・長崎県・朝日新聞社・毎日新聞長崎支局・ 読売新聞西部本社・西日本新聞社・長崎新聞社・島原新聞社・ KTNテ レ ビ 長 崎・NIB長 崎 国 際 テ レ ビ・NCC長 崎 文 化 放 送・ NBC長崎放送・NHK長崎放送局・エフエム長崎・ケーブルテレビジョン島原・ ひまわりてれび(順不同) ◆共 催: ◆協 賛: ◆後 援:

「セビリアの聖母」(復刻版)

1597年、有家セミナリヨで制作された日本最古の銅版画。 明治2年マニラで発見され、ローマ法王により日本の宝とし て大浦天主堂に下賜された。その銅版画を400年の時を経て 復刻した1998年12月、ローマ法王ヨハネパウロ2世へ献上。 復刻版制作/故 渡辺 千尋氏 撮影:林 渓泉

セビリアの聖母の復刻と

銅版画家・渡辺千尋

わ た な べ ひろ

(3)

 南島原市は、天正遣欧少年使節が学んだセミナリ

ヨやコレジヨが置かれた土地であり、長崎県指定文

化財である銅版画「セビリアの聖母」は、有家セミ

ナリヨ(長崎県南島原市)で日本人の手によって最初

に制作された銅版画といわれています。

 このように日本における銅版画技術発祥の地で

ある本市の歴史遺産や先人の国際性と向学心をまち

の誇りとして、 歴史と文化のあふれるまちづくり

を目指し、『南島原市セミナリヨ現代版画展』を

開催しています。

 今回は、これまでで最多となる10,880点もの

素晴らしい作品の応募をいただきました。本図録に

は、各部門の入賞作品および審査委員講評を掲載し

ています。会期中にお越しになられなかった方は、

四百年以上前に様々な西洋文化が華開いた本市の歴

史的雰囲気を少しでも感じていただきながら、ご覧

いただければ幸いに存じます。

 また、本市には、原城跡をはじめとする歴史的、

また文化的遺産が数多く現存しており、日野江城跡

と原城跡は、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」

の構成資産として、世界遺産登録を目指しています。

 同時に、南島原市が誇るこれらの歴史的文化遺産

を大切に守りながら、継続性を持った文化芸術の振

興と創造性豊かなまちづくりを積極的に推進してお

ります。併せて、本展覧会が、市民の皆様をはじめ、

多くの方々にとって魅力的な版画公募展となり、更

に発展できるよう努力を重ねてまいる次第です。関

係者の皆様におかれましては、今後ともご支援とご

協力を賜りますようお願い申し上げます。

 結びに、展覧会を開催するにあたり、ご応募いた

だきました出品者の方々、審査委員の皆様、ご協賛・

ご後援いただきました皆様、その他関係各位に心よ

りお礼申し上げます。

あり え

南島原市セミナリヨ版画祭実行委員会 委員長

南島原市長 

松 本 政 博

         (まつもと まさひろ) 原 城 跡 日 野 江 城 跡

ご あ い さ つ

鮎帰りの滝(有家町)

(4)

 天正年間の遣欧少年使節団のことはよく知られてい ることだが、その当時の南島原のセミナリヨやコレジ ヨの活動はあまり知られていない。多くは厳しい禁教 令のもとで事実が見えにくくされてきたためである。  アレッサンドロ・ヴァリニャーノもまた長い間、歴 史の陰に埋もれてしまっていた人である。実はこのヴ ァリニャーノ神父は少年使節団を計画し実行させた人 物である。自身はインドまでしか同道できなかったが、 キリスト教の教義とともにヨーロッパの文化をこの国 へもたらそうとした熱い思いで、使節団が帰国する 1590年、共に印刷機を携えて再び来日している。  いまや多くの人が知る「セビリヤの聖母」や「聖家族」 を刷った印刷機をである。それから400余年経た有家 の地にセミナリヨ現代版画展が第15回を迎えて開催さ れるのです。  さて、 今回も審査委員長として、ここに審査の大 まかな経緯と、合わせて主な受賞作品についての講評 をすることにします。  まず、全体では一万点を超える応募があったことに びっくりしました。第 1 部門(小学生の部)と第2部門 (中学生の部)の講評は、美術教育の経験豊かな佐藤、 生駒両先生にお任せしていますが、一言だけ、経済優 先や効率化を急ぐ風潮の中にあって、まだまだ教員の 情熱や創意工夫と努力が、こうした結果を作り上げて いるのでしょうと頭の下がる思いがしました。またこ の版画展がいよいよ好意的に認知されてきた表れでも あろうと、これは素直にうれしく感じました。  第3部門(一般の部)の全国公募は今回で5回目。応 募数は昨年より若干の減少でしたが、作品の質は非常 に高く、しかも新しい表現に挑む積極性ある作品が多 くみられ、この国の版画に対する優れた感性と技倆を 十分に感じさせられる作品が多かったことを非常に心 強く感じました。  まず前々日までに第一次審査を通った第1、第2部 門で選ばれた789点を7人の審査員全員で受賞候補作 品を選ぶところから始めました。その結果52人52点の 受賞作品が選ばれました。  続いて第3部門の審査です。広いコレジヨホールの 床に並べられた全応募作品186点の作品の間を、十分 な時間をとって各委員に見ていただいた後、一人30票 の票を配り歩くようにして投票しました。一点だけ応 募規定にそぐわないものがありましたが、協議の結果、 その作品を除いて67人70点の入選をまず決めました。 中には判断しにくい特殊な技法のものもあり、委員の 間で協議や意見交換をしたり、あるいは感想や意見を 述べ合うこともしばしばでした。しかし常に真摯な眼 で作品と向き合い公正な判断をしてきたことは申すま でもありません。作品評価はもちろん相対的なもので すが、技法技術の優れたもの、伝統的な作法をしっか り受け継ごうとしているもの、新しい表現に積極的な ものさまざまですが、この現代版画展にふさわしいも のを全体のバランスも考慮に入れながらの審査でした。  以後、票の近似した作品は同等のものとして再投票 したりしながら、協議と審査を繰り返して受賞候補作 品27点を選び出す頃は、午後も4時を回る頃でした。  この候補作品を選定する経緯の中で、おのずと票の 集まるものとそれほどにはならないものとが分かれて いくのは当然です。上位受賞作品をおおよそ決めて、 最終的な判断は翌朝に回すことで、審査1日目は終了。  二日目の朝、新鮮な眼でもう一度最上位の作品群を 見直し、協議の結果挙手を持って大賞、準大賞以下を 決めました。  当初、審査に加わっていただく予定でした特別審査 委員の野田哲也先生が、諸事情により欠席されたのは 非常に残念でした。  次に、主な受賞作品について紙数の許す限り講評す ることにします。  松田 修さん「gibier #1」(第3部門 セミナリヨ大賞) は、一見して西洋の古典絵画によくある狩猟収穫図を 思わせます。画題の gibier はフランス語で猟の獲物の 肉の意。緊密な構図、精緻で緊張感あふれる描写−写 真を構成して手書きを加えた、が抜きんでて審査員の 眼を惹きつけました。画像をトーンによって分版、刷 り合わせたリトグラフのマチエール(絵肌、表情)が とても美しい。鳩の置物が平和の象徴かとも見紛いま すが、命あった獲物と命なき置物の対比いわゆるメ メント・モリ(死を思え)を底流としたアイロニカルな 作品です。  漢 嘯さん「ナージャと竜王」(第3部門 準大賞(渡辺 千尋賞))は、中国に伝わる民話に取材した木口木版画 6枚を物語の進行に合わせて貼り合わせた作品。民話 に潜む濃密な民族性と歴史を超えた普遍性を、木口(椿 の木の切り口にビュランという鋭利な刃で彫った)の 緻密さを利用してユーモアを交えながらも誠実に表現 した木版画。版に向かう態度も評価の対象になりまし た。作者は中国からの留学生のようです。  小野 修平「彼岸秘行の夜」(第3部門 長崎県知事賞) は、題名が示すように、満月の夜の無音な中に夢見る ような不思議な情景が奥行き感を持って静かに描かれ ています。銅版に描かれる無数な彼岸花と柵の中の横 転する馬も、走り去ろうとする裸の足も。奇妙な情景 の底から孤独に満ちた寓意が滲み出てくるようです。 独得な色彩感のある銅版画。  本岡 千尋「夜の公園 2016 a」(第3部門 長崎県教育 委員会賞)は、アクアチントで作った粗面をメゾチン トのように磨きだして明部を作った大型の銅版画。深 夜の無人の公園。街灯のわずかな灯りに照らし出され た木々やベンチ。それらが昼の喧騒を吸ったかのよう に静かに息づいてきます。誰もが心の内に秘めている どこか懐かしくて少し怖い思いを誘い出させられるよ うな静謐感のある作品です。  そ の 他、気 に な っ た 作 品 に は、浦 江 妙 子 さ ん の 「Kioku」(第3部門 入選)シリーズや瓶子 愛理さんの 「ひげ」(第3部門 入選)、李 元淑さんの「懐かしい海」 (第3部門 朝日新聞社賞)、板紙凹凸版の佐藤 麻依子 さんの「回廊ノ巣∼海底∼」(第3部門 ケーブルテレビ ジョン島原賞)と村山 紀美さんの「追思」(第3部門 南 島原市議会議長賞)、今井 恵さんの「滞欧録̶アイス ランド」(第3部門 ひまわりてれび賞)などがありまし た。  選に漏れた作品の中には、展示スペースの都合上や むなく選外になってしまったものや、たまたま同じよ うな作品が選ばれてしまったために不利になったもの も当然ありました。そうした作品にはもっともっと個 性的であって欲しいと思いました。   ぎ りょう

審 査 委 員 長

中 林 忠 良

   (なかばやし ただよし)

審 査 講 評

(5)

 天正年間の遣欧少年使節団のことはよく知られてい ることだが、その当時の南島原のセミナリヨやコレジ ヨの活動はあまり知られていない。多くは厳しい禁教 令のもとで事実が見えにくくされてきたためである。  アレッサンドロ・ヴァリニャーノもまた長い間、歴 史の陰に埋もれてしまっていた人である。実はこのヴ ァリニャーノ神父は少年使節団を計画し実行させた人 物である。自身はインドまでしか同道できなかったが、 キリスト教の教義とともにヨーロッパの文化をこの国 へもたらそうとした熱い思いで、使節団が帰国する 1590年、共に印刷機を携えて再び来日している。  いまや多くの人が知る「セビリヤの聖母」や「聖家族」 を刷った印刷機をである。それから400余年経た有家 の地にセミナリヨ現代版画展が第15回を迎えて開催さ れるのです。  さて、 今回も審査委員長として、ここに審査の大 まかな経緯と、合わせて主な受賞作品についての講評 をすることにします。  まず、全体では一万点を超える応募があったことに びっくりしました。第 1 部門(小学生の部)と第2部門 (中学生の部)の講評は、美術教育の経験豊かな佐藤、 生駒両先生にお任せしていますが、一言だけ、経済優 先や効率化を急ぐ風潮の中にあって、まだまだ教員の 情熱や創意工夫と努力が、こうした結果を作り上げて いるのでしょうと頭の下がる思いがしました。またこ の版画展がいよいよ好意的に認知されてきた表れでも あろうと、これは素直にうれしく感じました。  第3部門(一般の部)の全国公募は今回で5回目。応 募数は昨年より若干の減少でしたが、作品の質は非常 に高く、しかも新しい表現に挑む積極性ある作品が多 くみられ、この国の版画に対する優れた感性と技倆を 十分に感じさせられる作品が多かったことを非常に心 強く感じました。  まず前々日までに第一次審査を通った第1、第2部 門で選ばれた789点を7人の審査員全員で受賞候補作 品を選ぶところから始めました。その結果52人52点の 受賞作品が選ばれました。  続いて第3部門の審査です。広いコレジヨホールの 床に並べられた全応募作品186点の作品の間を、十分 な時間をとって各委員に見ていただいた後、一人30票 の票を配り歩くようにして投票しました。一点だけ応 募規定にそぐわないものがありましたが、協議の結果、 その作品を除いて67人70点の入選をまず決めました。 中には判断しにくい特殊な技法のものもあり、委員の 間で協議や意見交換をしたり、あるいは感想や意見を 述べ合うこともしばしばでした。しかし常に真摯な眼 で作品と向き合い公正な判断をしてきたことは申すま でもありません。作品評価はもちろん相対的なもので すが、技法技術の優れたもの、伝統的な作法をしっか り受け継ごうとしているもの、新しい表現に積極的な ものさまざまですが、この現代版画展にふさわしいも のを全体のバランスも考慮に入れながらの審査でした。  以後、票の近似した作品は同等のものとして再投票 したりしながら、協議と審査を繰り返して受賞候補作 品27点を選び出す頃は、午後も4時を回る頃でした。  この候補作品を選定する経緯の中で、おのずと票の 集まるものとそれほどにはならないものとが分かれて いくのは当然です。上位受賞作品をおおよそ決めて、 最終的な判断は翌朝に回すことで、審査1日目は終了。  二日目の朝、新鮮な眼でもう一度最上位の作品群を 見直し、協議の結果挙手を持って大賞、準大賞以下を 決めました。  当初、審査に加わっていただく予定でした特別審査 委員の野田哲也先生が、諸事情により欠席されたのは 非常に残念でした。  次に、主な受賞作品について紙数の許す限り講評す ることにします。  松田 修さん「gibier #1」(第3部門 セミナリヨ大賞) は、一見して西洋の古典絵画によくある狩猟収穫図を 思わせます。画題の gibier はフランス語で猟の獲物の 肉の意。緊密な構図、精緻で緊張感あふれる描写−写 真を構成して手書きを加えた、が抜きんでて審査員の 眼を惹きつけました。画像をトーンによって分版、刷 り合わせたリトグラフのマチエール(絵肌、表情)が とても美しい。鳩の置物が平和の象徴かとも見紛いま すが、命あった獲物と命なき置物の対比いわゆるメ メント・モリ(死を思え)を底流としたアイロニカルな 作品です。  漢 嘯さん「ナージャと竜王」(第3部門 準大賞(渡辺 千尋賞))は、中国に伝わる民話に取材した木口木版画 6枚を物語の進行に合わせて貼り合わせた作品。民話 に潜む濃密な民族性と歴史を超えた普遍性を、木口(椿 の木の切り口にビュランという鋭利な刃で彫った)の 緻密さを利用してユーモアを交えながらも誠実に表現 した木版画。版に向かう態度も評価の対象になりまし た。作者は中国からの留学生のようです。  小野 修平「彼岸秘行の夜」(第3部門 長崎県知事賞) は、題名が示すように、満月の夜の無音な中に夢見る ような不思議な情景が奥行き感を持って静かに描かれ ています。銅版に描かれる無数な彼岸花と柵の中の横 転する馬も、走り去ろうとする裸の足も。奇妙な情景 の底から孤独に満ちた寓意が滲み出てくるようです。 独得な色彩感のある銅版画。  本岡 千尋「夜の公園 2016 a」(第3部門 長崎県教育 委員会賞)は、アクアチントで作った粗面をメゾチン トのように磨きだして明部を作った大型の銅版画。深 夜の無人の公園。街灯のわずかな灯りに照らし出され た木々やベンチ。それらが昼の喧騒を吸ったかのよう に静かに息づいてきます。誰もが心の内に秘めている どこか懐かしくて少し怖い思いを誘い出させられるよ うな静謐感のある作品です。  そ の 他、気 に な っ た 作 品 に は、浦 江 妙 子 さ ん の 「Kioku」(第3部門 入選)シリーズや瓶子 愛理さんの 「ひげ」(第3部門 入選)、李 元淑さんの「懐かしい海」 (第3部門 朝日新聞社賞)、板紙凹凸版の佐藤 麻依子 さんの「回廊ノ巣∼海底∼」(第3部門 ケーブルテレビ ジョン島原賞)と村山 紀美さんの「追思」(第3部門 南 島原市議会議長賞)、今井 恵さんの「滞欧録̶アイス ランド」(第3部門 ひまわりてれび賞)などがありまし た。  選に漏れた作品の中には、展示スペースの都合上や むなく選外になってしまったものや、たまたま同じよ うな作品が選ばれてしまったために不利になったもの も当然ありました。そうした作品にはもっともっと個 性的であって欲しいと思いました。   《 Kioku 2015-09-10 どこにいくのか? 》 木版、コログラフ/100×70㎝ 浦江 妙子(千葉県千葉市) 《 ひげ 》 リトグラフ/90×70㎝ 瓶子 愛理(神奈川県相模原市) せい ち み まが ぐう い にじ せいひつ

中林 忠良

(なかばやし ただよし)

      

1937年:東京都生まれ。 1963年:東京芸術大学美術学部油画専攻 卒業 1965年:同校大学院美術研究科版画専攻 修了 1975年:文部省在外研究員としてパリ国立美術学校、     ハンブルグ造形芸術大学にて研修( 76) 1978年:東京芸術大学美術学部 助教授( 89 教授) 1983年:中華民国国際版画ビエンナーレにて国際大賞     ( 84 東ドイツ国際版画トリエンナーレにてインタ     ーグラフィック賞、86 クラコウ国際版画ビエンナ     ーレにて優秀賞、ソウル国際版画ビエンナーレに     て国際大賞、 87ヴァルナ国際版画ビエンナーレに     て銀賞他) 2003年:紫綬褒章を受章 2014年:瑞宝中綬章を受章 現 在:東京芸術大学名誉教授、 大阪芸術大学、京都造形芸術大学客員教授 日本版画協会理事、日本美術家連盟常任理事

(6)

《 たのしいかき取り 》 木版 田野島 将一 (福岡県 宮若市立宮田東小学校 4年)

セミナリヨ大賞

準大賞

(渡辺千尋賞)

た の しま まさかず 《 迫力のある鳥居 》ドライポイント 後濱 信太朗 (福岡県 福岡市立南当仁小学校 6年) うしろはま しん た ろう

1

小学生の部

(入賞作品 26点) ※掲載順不同

(7)

《 海の魚大しゅうごう 》 ステンシル版画 久保田 條太郎 (長崎県 長崎市立古賀小学校 2年)

長崎県知事賞

く ぼ た じょうた ろう 《 ワタシノカタチ 》 木版 大知 紗樺 (長崎県 壱岐市立鯨伏小学校 5年)

南島原市長賞

おお ち すず か 《 中里くんち 》 紙版 手島 小雪 (長崎県 佐世保市立中里小学校 3年)

南島原市議会議長賞

て しま こ ゆき 《 私と一緒に歩いたくつ 》 ほり進み版 米 颯来 (熊本県 長洲町立六栄小学校 4年)

長崎県教育委員会賞

よねざき そ ら 《 もうすぐ,赤ちゃんが,生まれるよ!! 》 紙版 蒲川 正磨 (長崎県 南島原市立小林小学校 2年)

南島原市教育委員会賞

かもがわ せい ま

第1部門

(小学生の部)

(8)

《 かわいいにわとりみつけた 》 木版 前田 三厳 (熊本県 玉名市立八嘉小学校 3年)

JA島原雲仙組合長賞

まえ だ みつよし 《 つかまえるぞ 》 スチレン版画 宮 洸太 (長崎県 南島原市立飯野小学校 3年)

南島原市商工会賞

みやざき こうだい 《 ざりがに 》 紙版 松野 陽一郎 (長崎県 長崎市立神浦小学校 1年)

南島原市文化協会賞

まつ の よういちろう 《 全九州珠算大会 》 木版 吉田 健真 (長崎県 島原市立第一小学校 6年)

南島原ひまわり観光協会賞

よし だ かつ ま 《 おいしそうな果物 》 木版 森川 史也 (長崎県 雲仙市立八斗木小学校 5年)

南島原市PTA連合会賞

もりかわ ふみ や

(9)

《 大きなかまきりをつかまえたよ 》 スチレン版画 山上 颯大 (長崎県 長崎市立小ヶ倉小学校 1年)

毎日新聞長崎支局賞

やまがみ そう た 《 魚をさばくお父さん 》 木版 松本 幸奈 (熊本県 天草市立栖本小学校 5年)

朝日新聞社賞

まつもと ゆき な 《 山ですごいかぶと虫をみつけたよ 》 スチレン版画 滝川 雄翔 (長崎県 長崎市立小ヶ倉小学校 1年)

読売新聞西部本社賞

たきがわ ゆう と 《 人々に愛される樋井川 》 ドライポイント 田中 里実 (福岡県 福岡市立南当仁小学校 6年)

西日本新聞社賞

た なか さと み 《 長崎の世界いさん 》 木版 松本 るな (長崎県 南島原市立小林小学校 4年)

長崎新聞社賞

まつもと

第1部門

(小学生の部)

(10)

《 どうどうとそびえたつ浄満寺の門 》 ドライポイント 平松 海人 (福岡県 福岡市立南当仁小学校 6年)

KTNテレビ長崎賞

ひらまつ かい と 《 まいおちる花 》 紙版 野口 優剛 (長崎県 長崎市立南小学校 1年)

NBC長崎放送賞

の ぐち ゆう ご 《 二人の息を合わせて 》 木版 有吉 幸次郎 (福岡県 宮若市立若宮西小学校 6年)

島原新聞社賞

ありよし こう じ ろう 《 梨の収穫 》 木版 坂口 友望 (熊本県 宇土市立宇土東小学校 6年)

NIB長崎国際テレビ賞

さかぐち ゆ み

(11)

《 朝の森 》 木版 池畑 昂洋 (鹿児島県 出水市立米ノ津小学校 6年)

NCC長崎文化放送賞

いけはた こうよう 《 リズムに乗って 》 紙版 中里 菜奈美 (長崎県 佐世保市立俵浦小学校 3年)

NHK長崎放送局賞

なかざと な な み 《 じいちゃんがそだてた天草大王 》 紙版 山形 直哉 (熊本県 天草市立栖本小学校 1年)

ケーブルテレビジョン島原賞

やまがた なお や 《 かさこじぞう 》 紙版 今道 妃佳琉 (長崎県 長崎市立虹が丘小学校 2年)

エフエム長崎賞

いまみち ひ か る 《 さかながおよぐ 》 紙版 中瀬 徠杏 (長崎県 平戸市立度島小学校 1年)

ひまわりてれび賞

なか せ らいあん

第1部門

(小学生の部)

(12)

《 ペンギンとライオンの決闘を見る動物たち 》 アクリル板 早田 美咲 (長崎県 島原市立三会中学校 2年)

セミナリヨ大賞

準大賞

(渡辺千尋賞)

はや た み さき 《 佇む船 》ドライポイント 有田 涼乃 (長崎県 西海市立大崎中学校 3年) すず た あり の

2

中学生の部

(入賞作品 26点) ※掲載順不同

(13)

《 学校の裏門 》 凹版 野田 萌音 (長崎県 長崎市立長崎中学校 3年)

長崎県教育委員会賞

の だ も ね 《 サマーキャンプイン恩納村 》 木版 伊良皆 朝斗 (沖縄県 那覇市立上山中学校 1年)

南島原市議会議長賞

い ら みな あさ と 《 哀愁 》 木版彫り進み版画 野々下 鈴允 (宮崎県 日南市立飫肥中学校 3年)

長崎県知事賞

の の した れ いん 《 光と闇のラプンツェル物語の結末は… 》アクリル板 前納 春奈 (長崎県 島原市立三会中学校 3年)

南島原市長賞

まえのう はる な

第2部門

(中学生の部)

(14)

《 校舎裏の風景 》 一版多色木版画 真 奏汰 (長崎県 諫早市立小野中学校 2年)

南島原市教育委員会賞

ま さき そう た 《 音楽 》 一版多色木版画 木下 結花 (長崎県 諫早市立小野中学校 2年)

南島原市文化協会賞

きのした ゆ か 《 空き缶による構成 》 一版多色木版画 酒寄 柊佑 (長崎県 東彼杵町立千綿中学校 1年)

南島原ひまわり観光協会賞

さかより しゅう 《 エビ祭り 》 木版 大塚 未来 (長崎県 大村市立郡中学校 1年)

JA島原雲仙組合長賞

おおつか み らい 《 学校とそてつ 》 凹版 末永 紗菜 (長崎県 長崎市立長崎中学校 2年)

南島原市商工会賞

すえなが さ な

(15)

《 精肉店の人々 》 木版 上間 寛大 (沖縄県 那覇市立上山中学校 1年)

毎日新聞長崎支局賞

うえ ま かん た 《 三線づくり 》 木版 砂川 祐輝 (沖縄県 那覇市立上山中学校 1年)

南島原市PTA連合会賞

すながわ ゆう き 《 おいしい料理ができるまで 》 木版 仲程 美鈴 (沖縄県 那覇市立上山中学校 1年)

朝日新聞社賞

なかほど み すず 《 空き缶による構成 》 一版多色木版画 川口 拓也 (長崎県 東彼杵町立千綿中学校 1年)

読売新聞西部本社賞

かわぐち たく や 《 支配者 》 アクリル版 中村 萌詠 (長崎県 島原市立三会中学校 3年)

西日本新聞社賞

なかむら も え

第2部門

(中学生の部)

(16)

《 いつも隣に… 》 凹版 小林 あい (長崎県 長崎市立長崎中学校 1年)

長崎新聞社賞

こばやし 《 額縁のなかの鳥 》 ステンシル 蓑 鈴花 (宮崎県 宮崎市立東大宮中学校 3年)

島原新聞社賞

みのさき すず か 《 豆腐作りのおばあちゃん 》 木版 喜屋武 真奈 (沖縄県 那覇市立上山中学校 1年)

NIB長崎国際テレビ賞

き ゃ ん ま な 《 学校うら 》 凹版 長村 柊花 (長崎県 長崎市立長崎中学校 2年)

KTNテレビ長崎賞

おさむら しゅうか 《 月明かり 》 一版多色木版画 橋本 美幸 (長崎県 諫早市立小野中学校 2年)

NCC長崎文化放送賞

はしもと み ゆき

(17)

《 点描による奥行きのある構成 》 釘打ち木版画 谷田 茜里 (長崎県 東彼杵町立千綿中学校 3年)

NHK長崎放送局賞

たに だ あか り 《 海の中 》 凸版 中ノ瀬 悠太 (長崎県 長崎市立岩屋中学校 3年)

NBC長崎放送賞

なか の せ ゆう た 《 迷い 》 木版 黒 美紗 (鹿児島県 阿久根市立阿久根中学校 2年)

エフエム長崎賞

くろさき み さ 《 魚 》 木版彫り進み版画 野 欧介 (宮崎県 日南市立飫肥中学校 3年)

ケーブルテレビジョン島原賞

の ざき おうすけ 《 異空間》 アクリル板 鬼丸 みゆう (長崎県 島原市立三会中学校 3年)

ひまわりてれび賞

おにまる

第2部門

(中学生の部)

(18)

セミナリヨ大賞

《 gibier #1 》リトグラフ/44.5×70㎝ 松田  修(千葉県船橋市) まつ だ おさむ

3

一般の部

(入賞作品 27点) ※掲載順不同

(19)

準大賞(渡辺千尋賞)

《 ナージャと竜王 》木口木版/76.5×56.5㎝ 漢 嘯(大阪府堺市) かん しょう

長崎県知事賞

《 彼岸秘行の夜 》銅版/60.6×90㎝ 小野 修平(茨城県つくば市)お の しゅうへい

第3部門

(一般の部)

(20)

長崎県教育委員会賞

《 夜の公園 2016 a 》 銅版/60×90㎝ 本岡 千尋(京都府京都市) もとおか ちひろ

南島原市教育委員会賞

《 鏡像 ,1-a,2016 》 シルクスクリーン/71×90.2㎝ 髙  賀朗(沖縄県那覇市) たかさき よしろう

南島原市文化協会賞

《 海と共生する町 》 リトグラフ/52×72㎝ 彦坂  陞(神奈川県鎌倉市) ひこさか のぼる

(21)

南島原市長賞

《 檸檬の下を流れる時間 》メゾチント/59.5×22.5㎝ 多胡  宏(群馬県前橋市)た ご れ もん ひろし

南島原市議会議長賞

《 追思 》板紙凹凸版/108×76.5㎝ 村山 紀美(宮城県仙台市) むらやま つい し み のり

JA 島原雲仙組合長賞

《 NAMIDA massive blue 》 リトグラフィー/90×63㎝ 長谷川 友紀(東京都豊島区)は せ がわ ゆ き

(22)

南島原市商工会賞

《 庭 》銅版/76×66㎝ サイトウ ノリコ(神奈川県横須賀市)

南島原市PTA連合会賞

《 作品 2 》木版、紙版、コラグラフ/60×40㎝ 竹原 仁子(兵庫県西宮市) たけはら まさ こ

南島原ひまわり観光協会賞

《 冷静と情熱の迫間 》 ウォーターレスリトグラフ/76×92.5㎝ 池内 通子(長野県上田市) いけうち みちこ はざ ま

(23)

読売新聞西部本社賞

《 BLEACHING 05 》シルクスクリーン/90×65㎝ 中村 花絵(神奈川県相模原市) なかむら はな え

毎日新聞長崎支局賞

《 光の中をすりぬけて 》シルクスクリーン/60×60㎝ 門馬 英美(千葉県市川市) もん ま ひで み

朝日新聞社賞

《 懐かしい海 》木版/70×91.5㎝ 李  元淑(東京都多摩市)い うぉんすく

第3部門

(一般の部)

(24)

西日本新聞社賞

《 ポリフオーニ MMXV-5 》デジタル出力/59.4×42㎝ 河地 知木(福岡県福岡市) かわ ち とも き

長崎新聞社賞

《 花と銀行 》リトグラフ/30×30㎝ 見崎 彰広(千葉県船橋市)み さき あきひろ

島原新聞社賞

《 Share happy cakes! 》銅版/73×100㎝ 浅野 綾花(大阪府大阪市)

(25)

KTNテレビ長崎賞

《 触れ合うほどに近づいて Ⅶ 》木版/90×60㎝ 浜口 加奈子(東京都世田谷区) はまぐち か な こ

NIB長崎国際テレビ賞

《 ナタマメ−1 》木版/89×60㎝ 伊藤 ミサ子(長崎県南島原市)い とう こ

NCC長崎文化放送賞

《 目覚める山 》木版/60.5×91.5㎝ 鶴賀 啓太郎(神奈川県中井町) つる が けい た ろう

第3部門

(一般の部)

(26)

NHK長崎放送局賞

《 Eden's Adam 》リトグラフ/100×70㎝ 呉  窮(東京都狛江市)う ちょん

NBC長崎放送賞

《 Bon voyage Ⅱ 》木版/70×70㎝ 川村 紗耶佳(東京都町田市) かわむら さ や か

エフエム長崎賞

《 風が動くから 君が来るから 》木版/60×45㎝ 野田 みな子(長崎県南島原市)の だ こ

(27)

ケーブルテレビジョン島原賞

《 回廊ノ巣 ∼海底∼ 》 板紙凹凸版/76×100㎝ 佐藤 麻依子(宮城県仙台市)さ とう まい こ

ひまわりてれび賞

《 滞欧録−アイスランド 》 スクリーンプリント/72.7×100㎝ 今井  恵(奈良県生駒市) いま い けい

南島原市青少年育成市民会議賞

《 Sea mountain XX 》 リトグラフ/70×93㎝ 丸尾 紘美(大阪府羽曳野市) まる お ひろみ

第3部門

(一般の部)

(28)

長崎県 長崎市立横尾小学校6年生 代表/大塚 一紀、馬場 務 *審査委員特別賞は計4点で受賞 *グループプロフィール  被爆地長崎市にある本校では、 1年生のときから発達段階に応じ た平和教育に取り組んでいます。  私たち6年生は、その集大成と して版画「火のトンネル」をみん なで力を合わせて制作しました。  この作品は卒業制作でもありま す。長崎の被爆のことを表現を通 じて下級生に伝え、共に平和な世 界を創っていきたいと思います。

審査委員特別賞

《 火のトンネル(山王神社) 》 木版/200×200㎝ 《 火のトンネル(山王神社) 》 木版/200×200㎝ 《 火のトンネル(浦上天主堂B) 》 木版/200×200㎝ 横尾小6年1組B(14人) 《 火のトンネル(浦上天主堂A) 》 木版/200×200㎝ 横尾小6年1組A(14人) 《 あれから 24 年∼大自然の恵みの中で∼ 》 木版/ 126×175 ㎝ I have a dream. 大野木場小学校6年生(21人) 長崎県 南島原市立大野木場小学校 代表/中村 浩子

南島原市長賞

 こんにちは (^^) 私たちは大野木場小学校の6年生です。キング 牧師の「I have a dream.」を学級目標に掲げ、恵まれた環境の中 で充実した学校生活を送っています。ですが、私たちの大野木場 小学校には激動の時期がありました。私たちにとって忘れてはな らない大切なことです。1991年9月15日、雲仙普賢岳の噴火活動 により、校舎が焼失しました。校庭のいちょうの木も被害にあい ました。それでも、私たちの先輩方は避難生活にも負けず、仮設 校舎で勉強をし、力強く生きてこられました。いちょうの木もた くましく成長し、今も元気いっぱいです。だからこそ私たちは、 大野木場小のシンボルである旧校舎といちょうの木を描こうと思 いました。今、私たちを見守ってくれている雲仙普賢岳とともに。 今の私たちがどれだけ幸せであるか、感謝の気持ちを込めて、み んなで一生懸命仕上げました。地域行事の相撲大会で団体戦優勝 という思い出を添えて。すべてに感謝します。 *グループプロフィール

4

グループ

作品の部

(入賞作品 2団体)

(29)

審査を振り返って        第15回南島原市セミナリヨ現代版画展の応募総数は、 10,880点と全4部門に過去最多の作品が寄せられました。   第1部門(小学生の部)・第2部門(中学生の部)  両部門とも、人物や風景など、さまざまで子どもの素朴 な感動と元気で力強い楽しい作品ばかりでした。そのよう な作品から、版画としての工夫に取り組んでいる様子がと てもわかりました。版の種類にしても新しい技法の版もあ りました。学校教材としてメーカーからの提供でしょうか、 驚くほどに刺激を受けるものでした。 第3部門(一般の部)  リトグラフに銅版画、シルクスクリーンと技術的にも複 雑で新しく工夫された作品が上位の入賞となっているよう です。特に、今回は木口木版が数点あり、見張るものがあ りました。  漢 嘯さん「ナージャと竜王」(第3部門 準大賞(渡辺千 尋賞))の制作者は、中国の方でしょう。テーマからしても 中国の何かの民話のようで、引き込まれるものがありまし た。技術も驚くほどの精細さで、渡辺千尋賞にふさわしい 作品で、銅版画のような彫りにビュランを握る手を感じさ せられ、独自の世界がありました。  木口木版の技法は、18世紀のイギリスからで、西欧で栄 えました。日本では、合田清(1862∼1938)によってもたら された技法で、今では多くの作家の方がいます。中国では どうだったのだろうとふと思ったところでした。  川村 紗耶佳さん「Bon voyage Ⅱ」(第3部門 NBC長崎 放送賞)は、過去2回の受賞者です。前回も記しておきま したが、今回の作品を見たとき、私が長崎・諫早の有明海 の干潟をいつも目にしている風景と重なりました。有明海 は、灰色の世界の中に光明が遍満し、不思議な気に満ちた 何かの印象がわきます。遥か遠い古も感じさせるものです。 そんな思いで作品を拝見しました。  李 元 淑 さん「懐かしい海」(第 3 部 門 朝日新聞社賞)は、 木版の作品で何か日本の素朴的なものとは少し違いがある のを感じました。抽象的に心象を表現したものでしょう。 作者の個性的な審美観がよく表現されているようです。  佐藤 けいこさん「そして森へ」(第3部門 入選)の板目 木版は、スケッチ風で写生を基本にした木版画にスピード 感がある作品で、作者の探ろうとする独自の色もあり、私 の好きな作品でした。  今回も、地元南島原市からの出品者、野田 みな子さん「風 が動くから 君が来るから」(第3部門 エフエム長崎賞)、 伊藤 ミサ子さん「ナタマメ−1」(第3部門 NIB長崎 国際テレビ賞)には、作者独自の世界が見られました。  また、林田 芳美さん「秋雨」(第3部門 入選)の作品など、 地元女性のパワーとみなぎる意欲が感じられました。  地元の男性の方々の作品は、選外となりましたが、大き い作品に挑戦し、色の重ねがもう少し加わると作品に説得 力が見えてきます。次回に期待をしています。 第4部門(グループ作品の部)  今回も長崎市立横尾小学校6年生の2m×2mの木版画 作品に長崎の被爆と平和学習を版画を通して、平和の世界 を創っていく姿勢が見られました。 いにしえ

審 査 委 員 紹 介

審 査 副 委 員 長

小   侃

(こざき かん) 木版画家 1942年:熊本市生まれ。島原、加津佐、長崎市で育つ。 1966年:太平洋美術学校彫刻科卒業。 1988年:「長崎の山頭火」シリーズを発表。     以降全国各地で開催。 現 在:山頭火と平和をテーマとして全国各地で個展を数多     く開催。画集出版15冊、版画、彫刻、ブロンズ記念     碑、ガラス絵、水墨等を制作し幅広い創作活動を行     っている。 【個展400回(海外7回)】 《 そして森へ 》 板目木版/55×40㎝ 佐藤 けいこ(東京都文京区) 《 秋雨 》 木版/50×35㎝ 林田 芳美(長崎県南島原市)

(30)

審査を振り返って        「南島原市セミナリヨ現代版画展」は、今回で15回とい う記念の回を迎え、素晴らしい実績を重ねてこられました。 審査にあたらせていただいている中で、回を重ねる度に着 実にレベルアップしてきたことを、ひしひしと感じており ます。  今回の応募作品も、もちろん力作揃いであり大変見応え がありました。  第3部門のセミナリヨ大賞、準大賞(渡辺千尋賞)、長 崎県知事賞の3賞は、仕事がとても丁寧で作品に説得力が ありました。文句なしで、3賞に値する出来であったと思 います。  さて、その他の出品作品の中で、私が特に目を引いた作 品について 述べさせて頂きたいと思います。  まず、髙 賀朗さんの「鏡像,1−a,2016」(第3部門 南島原市教育委員会賞)は、落ち着いた色調の中に風景が シンメトリーに配置されており、何か作家本人の深い精神 世界を垣間見るような気がしました。ぱっと見、通り過ぎ てしまいそうでしたが、何度も見ているうちに、深く印象 に残ってくる佳作です。  長谷川 友紀さんの「NAMIDA massive blue」(第3部 門 JA島原雲仙組合長賞)は、カラフルな色彩の円形と白 や薄いグレーの円形が絡み合った面白さ。小気味よく色彩 の響きあいが美しい。なみだを想起させるような、なみだ に対するご本人の考察を色彩と同時に想起させるような、 とても深い佳作です。  本岡 千尋さんの「夜の公園 2016 a」(第3部門 長崎県 教育委員会賞)は、版画の技術面もさることながら、夜の 公園のもつ闇の深さ、美しさや静けさ等、見る側に訴えか けてくる深い黒の美しい作品。ご本人の持つ絵画性の可能 性を感じさせます。  川 村 紗 耶 佳 さ ん の「Bon voyage Ⅱ」(第3部門 NB C長崎放送賞)は、おおらかな表現が美しく、細かい技法 とは違った表現の良さや、木版の持つ表現の豊かさがよく 出ています。  池内 通子さんの「冷静と情熱の迫間」(第3部門 南島 原ひまわり観光協会賞)は、何ということはないモチーフ を絵画的に、印象的に表現しています。白と黒の小気味よ い美しさと明快な表現が視覚を刺激する佳作です。   植 野 智 子 さ ん の「 蜃 気 楼」(第3部門 入選)は、ユ ーモラスな形態感とおおら かな調子が、とても美しい 作品でした。あまり細かい 所にとらわれず、絵画的な 豊かさがあって良いでしょ う。  鶴賀 啓太郎さんの「目覚 める山」(第3部門 NCC 長崎文化放送賞)は、点 描 的表現による美しさと深さ。 円の構成が、見えるようで 見えない、見えないようで 見える、面白みのある作品 でした。  サイトウ ノリコさんの「庭」(第3部門 南島原市商工 会賞)は、犬(?)、鳥や蝶々の形がユーモラスでリズミカル。 とても楽しい作品。  門馬 英美さんの「光の中をすりぬけて」(第3部門 毎 日新聞長崎支局賞)は、奇を衒うことなく、とてもナチュ ラルで、絵画的表現が美しい作品でした。  最後に、河地 知木さんの「ポリフオーニ MMXV−5」(第 3部門 西日本新聞社賞)は、白黒の表現による明快な美し さ、画面の構成力を感じさせました。  さて、残念ながら今回入選とならなかった作品の中にも、 きらりと光るものが本当に沢山ありました。  皆さまの次なる展開を大いに期待しておりますと共に、 また次回の挑戦を楽しみにお待ちしております。 審査を振り返って        第15回セミナリヨ現代版画展に応募された小・中学生の 作品審査について講評をしてみたいと思います。 第1部門(小学生の部)  長崎県の最南端の南島原市から誕生したこの版画展は、 第15回展を迎えて、益々県内外の小学校に浸透し、魅力を 増してきました。なぜなら、全国的にも児童数の減少に歯 止めがかからない現状になりながら、この版画展は、応募 する学校も、作品も増え続けているからです。  今回の応募点数、第1部門(小学生の部)は、9,063点と なり、前回よりも1,198点も増加していますが、このことは、 審査員としても驚きと共に喜びでもあります。  審査の経過については、まず、応募点数9,063点から、 一次審査で2,069点に絞りました。その中から、さらに厳 選して653点を選び出し、第二次審査の最終選考において 入賞26点、特選627点、入選1,416点を決定しました。  作品の展示については、壁面の都合により、入賞と特選 の作品だけで、入選作品は展示されませんが、それでも今 回の入選率は、22.8%と狭き門でした。  審査に当たって感じたことは、まず、版画の学習が楽し くて展開されている様子の作品が前回より増加していたこ とです。このことは、指導者の熱意と工夫によるものであり、 子どもの発達段階に即応した題材や技法の工夫、そして、 材料用具の扱いと工夫がなされるようになったからだと考 えています。また、従来の白と黒の作品から色彩を伴った 作品が近年増加していますが、時代の変化に伴った作品の 多様化は、版画学習の楽しさにも直結するものであり、こ れからの作品群が大いに楽しみです。  しかしながら、応募作品の中には、何となく版画を経験 しただけの作品が見受けられましたが、今後は、指導者の 熱意と工夫によって、作品の質が向上することを期待して います。  第1部門のセミナリヨ大賞と準大賞(渡辺千尋賞)の作品 について述べてみましょう。  田野島 将一さんの「たのしいかき取り」(第1部門 セミ ナリヨ大賞)は、彫刻刀が扱いやすくて4年生でも可能な カラー合板による作品ではないかと思われます。彫刻刀で 彫り、白と黒で表現された画面構成がすばらしく、柿木に 登って実を取る様子もほほえましくて、それが大型の版に 見事に表現されています。  後濱 信太朗さんの「迫力のある鳥居」(第1部門 準大賞 (渡辺千尋賞))は、ドライポイントの技法による作品ですが、 神社の描写も、ニードルによる彫りも、ふき取りによる刷り の効果も、実にていねいで見事です。特に、奥行きのある構 成は、主題に迫る表現に繋がっていてすばらしいです。 第2部門(中学生の部)  前回に比べて、応募点数が473点増加し、応募校も、県 内が10校増えて、今回は初めて1,500点を超えるという嬉 しい結果となりました。これは、中学校の美術教科の厳し い時数の状況の中であっても、創意工夫して応募していた だいたおかげであり、担当教師に敬意を表します。  審査の結果については、応募点数1,618点を、まず一次 審査で363点に絞り込みました。その中から厳選していき、 第二次審査の最終選考において入賞26点、特選110点、入 選227点を決定しました。今回の入選率は22.4%という狭 さであり、壁面の都合により、入選作品を展示できないの が残念です。  審査をして感じたことは、まず、ニードルで彫り細やか に表現した作品に秀作が目立ったことです。ドライポイン トの他に、アクリル板、凹版など材料の選択や技法への工 夫が見られました。それから、沖縄県から応募された見事 な木版画の作品が数多く入賞していますが、これらは、木 版画のよさを訴えており、このセミナリヨ版画展に刺激を 与えてくれています。その刺激を受けて努力して作品を生 み出す中学生が増えてほしいと思います。それを支えるの は、時間を編み出し、情熱を持って指導にあたる美術教師 の存在が欠かせません。今後も、この版画展に触発され、 中学生らしい根気力と感性の溢れた作品が応募されること を期待しています。  第2部門のセミナリヨ大賞と準大賞(渡辺千尋賞)の作 品について述べてみましょう。        (次頁に続く)  早田 美咲さんの「ペンギンとライオンの決闘を見る動 物たち」(第2部門 セミナリヨ大賞)は、アクリル板をニー ドルで彫り、後はドライポイントの技法の要領で仕上げて います。この作品のすばらしさは、原画の構成のよさと緻 密さと根気力にあります。この原画を生み出した感性と制 作態度には驚きました。  有田 涼乃さんの「佇む船」(第2部門 準大賞(渡辺千尋 賞))は、従来のドライポイントの技法を駆使して重厚な作 品に仕上げています。身近な生活環境の中から見つけた船 を画題とした原画の描写力や版づくりの根気力も見事です が、ふき取り方の工夫をした刷りの効果が、この作品のよ さの決め手となりました。 第4部門(グループ作品の部)  共同作品の部門の応募数は、小学校4校より10点、中学 校2校より3点の合計13点でした。今回応募した小学校は、 すべて県内からですが、中学校は、県内から1校と鹿児島 県からの1校です。前回より6点減少していますが、大作 が多く充実した作品が集まりました。  作品には、平和や学校の歴史を取り上げたり、遊びをモ チーフにしたりと様々ですが、雲仙岳噴火災害をモチーフ にした作品や平和教育と密着した作品に出会うと、子ども たちの郷土愛の精神をうかがい知ることができて嬉しくな ります。また、共同制作者にはグループ名をつけたりして、 楽しく学習している様子も知ることができました。  その中から、最優秀作品は、南島原市立大野木場小学校 6年生の作品「あれから24年∼大自然の恵みの中で∼」に 決まり、見事に南島原市長賞に輝きました。  この作品は、雲仙岳噴火災害を乗り越えた環境の中で、 たくましく生きている姿を1枚の木版画に表現しています が、画面の構成もすばらしく、21名の真剣な制作態度が伝 わってきました。  また、審査委員特別賞として長崎市立横尾小学校6年生 の作品に決まりましたが、それは6年生55名が4グループ に分かれ「火のトンネル」をテーマに4点の木版画の共同 制作にして取り組み、平和教育の資料としました。そのこ とが認められ6年生全員に賞を与えることになりました。 てら

審 査 委 員

熊 谷 有 展

(くまがえ ありのぶ) 日展会員、白日会会員、崇城大学芸術学部教授 1966年:島原市生まれ 1990年:武蔵野美術大学卒業・卒業制作研究室賞 1991年:白日会展白日賞 1992年:武蔵野美術大学大学院修了 1994年:白日会展内閣総理大臣賞 1995年:日展特選(同 03年) 1996年:文化庁現代美術選抜展(同 04年) 1998年:個展(三越本店) 2004年:白日会展U賞 2006年:日展審査員(同 09年, 13年) 2008年:日展会員賞 2012年:熊谷有展個展∼家族の肖像∼(熊本市現代美術館) 2015年:白日会展伊藤清永賞     他、個展、グループ展等多数。 《 蜃気楼 》 リトグラフ,モノタイプ 102×76㎝ 植野 智子(埼玉県さいたま市)

(31)

審査を振り返って        第15回セミナリヨ現代版画展に応募された小・中学生の 作品審査について講評をしてみたいと思います。 第1部門(小学生の部)  長崎県の最南端の南島原市から誕生したこの版画展は、 第15回展を迎えて、益々県内外の小学校に浸透し、魅力を 増してきました。なぜなら、全国的にも児童数の減少に歯 止めがかからない現状になりながら、この版画展は、応募 する学校も、作品も増え続けているからです。  今回の応募点数、第1部門(小学生の部)は、9,063点と なり、前回よりも1,198点も増加していますが、このことは、 審査員としても驚きと共に喜びでもあります。  審査の経過については、まず、応募点数9,063点から、 一次審査で2,069点に絞りました。その中から、さらに厳 選して653点を選び出し、第二次審査の最終選考において 入賞26点、特選627点、入選1,416点を決定しました。  作品の展示については、壁面の都合により、入賞と特選 の作品だけで、入選作品は展示されませんが、それでも今 回の入選率は、22.8%と狭き門でした。  審査に当たって感じたことは、まず、版画の学習が楽し くて展開されている様子の作品が前回より増加していたこ とです。このことは、指導者の熱意と工夫によるものであり、 子どもの発達段階に即応した題材や技法の工夫、そして、 材料用具の扱いと工夫がなされるようになったからだと考 えています。また、従来の白と黒の作品から色彩を伴った 作品が近年増加していますが、時代の変化に伴った作品の 多様化は、版画学習の楽しさにも直結するものであり、こ れからの作品群が大いに楽しみです。  しかしながら、応募作品の中には、何となく版画を経験 しただけの作品が見受けられましたが、今後は、指導者の 熱意と工夫によって、作品の質が向上することを期待して います。  第1部門のセミナリヨ大賞と準大賞(渡辺千尋賞)の作品 について述べてみましょう。  田野島 将一さんの「たのしいかき取り」(第1部門 セミ ナリヨ大賞)は、彫刻刀が扱いやすくて4年生でも可能な カラー合板による作品ではないかと思われます。彫刻刀で 彫り、白と黒で表現された画面構成がすばらしく、柿木に 登って実を取る様子もほほえましくて、それが大型の版に 見事に表現されています。  後濱 信太朗さんの「迫力のある鳥居」(第1部門 準大賞 (渡辺千尋賞))は、ドライポイントの技法による作品ですが、 神社の描写も、ニードルによる彫りも、ふき取りによる刷り の効果も、実にていねいで見事です。特に、奥行きのある構 成は、主題に迫る表現に繋がっていてすばらしいです。 第2部門(中学生の部)  前回に比べて、応募点数が473点増加し、応募校も、県 内が10校増えて、今回は初めて1,500点を超えるという嬉 しい結果となりました。これは、中学校の美術教科の厳し い時数の状況の中であっても、創意工夫して応募していた だいたおかげであり、担当教師に敬意を表します。  審査の結果については、応募点数1,618点を、まず一次 審査で363点に絞り込みました。その中から厳選していき、 第二次審査の最終選考において入賞26点、特選110点、入 選227点を決定しました。今回の入選率は22.4%という狭 さであり、壁面の都合により、入選作品を展示できないの が残念です。  審査をして感じたことは、まず、ニードルで彫り細やか に表現した作品に秀作が目立ったことです。ドライポイン トの他に、アクリル板、凹版など材料の選択や技法への工 夫が見られました。それから、沖縄県から応募された見事 な木版画の作品が数多く入賞していますが、これらは、木 版画のよさを訴えており、このセミナリヨ版画展に刺激を 与えてくれています。その刺激を受けて努力して作品を生 み出す中学生が増えてほしいと思います。それを支えるの は、時間を編み出し、情熱を持って指導にあたる美術教師 の存在が欠かせません。今後も、この版画展に触発され、 中学生らしい根気力と感性の溢れた作品が応募されること を期待しています。  第2部門のセミナリヨ大賞と準大賞(渡辺千尋賞)の作 品について述べてみましょう。        (次頁に続く)  早田 美咲さんの「ペンギンとライオンの決闘を見る動 物たち」(第2部門 セミナリヨ大賞)は、アクリル板をニー ドルで彫り、後はドライポイントの技法の要領で仕上げて います。この作品のすばらしさは、原画の構成のよさと緻 密さと根気力にあります。この原画を生み出した感性と制 作態度には驚きました。  有田 涼乃さんの「佇む船」(第2部門 準大賞(渡辺千尋 賞))は、従来のドライポイントの技法を駆使して重厚な作 品に仕上げています。身近な生活環境の中から見つけた船 を画題とした原画の描写力や版づくりの根気力も見事です が、ふき取り方の工夫をした刷りの効果が、この作品のよ さの決め手となりました。 第4部門(グループ作品の部)  共同作品の部門の応募数は、小学校4校より10点、中学 校2校より3点の合計13点でした。今回応募した小学校は、 すべて県内からですが、中学校は、県内から1校と鹿児島 県からの1校です。前回より6点減少していますが、大作 が多く充実した作品が集まりました。  作品には、平和や学校の歴史を取り上げたり、遊びをモ チーフにしたりと様々ですが、雲仙岳噴火災害をモチーフ にした作品や平和教育と密着した作品に出会うと、子ども たちの郷土愛の精神をうかがい知ることができて嬉しくな ります。また、共同制作者にはグループ名をつけたりして、 楽しく学習している様子も知ることができました。  その中から、最優秀作品は、南島原市立大野木場小学校 6年生の作品「あれから24年∼大自然の恵みの中で∼」に 決まり、見事に南島原市長賞に輝きました。  この作品は、雲仙岳噴火災害を乗り越えた環境の中で、 たくましく生きている姿を1枚の木版画に表現しています が、画面の構成もすばらしく、21名の真剣な制作態度が伝 わってきました。  また、審査委員特別賞として長崎市立横尾小学校6年生 の作品に決まりましたが、それは6年生55名が4グループ に分かれ「火のトンネル」をテーマに4点の木版画の共同 制作にして取り組み、平和教育の資料としました。そのこ とが認められ6年生全員に賞を与えることになりました。

審 査 委 員 紹 介

審 査 委 員

佐 藤 利 宗

(さとう としむね) 洋画家 1937年:島原市生まれ。 元有明町立大三東小学校校長、長崎県美術協会副会長、島原 半島美術振興会会長、白日会会員、長崎県立大学シーボルト 校にて「子どもの絵について」講話(2010∼) 《画歴》 長崎県展知事賞(3回)、長崎県展西望平和賞、 全国県展選抜展文部大臣賞(2回)、 西日本洋画新人秀作展銀賞、 白日会展入選、日展入選(2010年・2013年)、個展 8 回

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参照

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