橋梁長寿命化修繕計画
公 表 版
平成 26 年6月
1 長寿命化修繕計画策定の背景と目的
【 背景 】 長野県伊那市が管理する橋梁は平成 25 年 10 月現在 793 橋(959 径間)あります。 (径間とは橋脚などで支えられている上部工の一跨ぎを意味します。) 今回はその中から、重要な道路網にかかる橋梁または経年劣化の比較的大きい橋梁 171 橋を選定して長寿命化修繕計画策定を行います。以下、統計的な数値は計画対象橋梁 171 橋にて示します。 今後、架け替えに係る費用をできるだけ抑え、橋梁を補修して長寿命化して、できるだ け経費を縮減する必要があります。これは従来の対処療法的維持管理手法を転換し、橋梁 の寿命を延ばすための予防保全的維持管理手法を採用することを意味します。 架設後 50 年以上経過する橋梁の占める率の現在と今後の推移を図1に示します。 図1 架設 50 年以上の橋梁の推移(橋梁数) 過去に建設された橋梁数の年次推移を次の図2に示します。 図2 過去に建設された橋梁数の年次推移 1974 2013 19 31【 目的 】 このような背景から、道路交通の安全性を確実に確保しながら、計画的に橋梁の補修を 行い、そのコストを縮減することに加え、毎年の補修予算を平準化する必要もあります。 以上の内容を伊那市橋梁長寿命化修繕計画として策定します。
2 長寿命化修繕計画の対象橋梁
対象橋梁の内訳を以下に示します。 橋梁 径間 備考 全管理橋梁 793 959 ボックス等を除外 656 799 H25 年度策定橋梁 171 262 対象橋梁の(171橋)の選定方法 ① 橋長 10m以上で、1・2 級路線、緊急輸送路、中央道と西部1号線の跨道橋 から損傷度等を点数評価し点数の高い橋 ② 上記路線以外で、橋長 10m以上で損傷度等を点数評価し点数の高い橋 ③ 『①』の路線で、5m以上 10m未満で損傷度等を点数評価し点数の高い橋 ④ 上記路線以外で、5m以上 10m未満で損傷度等を点数評価し点数の高い橋 管理橋梁 171 橋(262 径間)の構造材料種別の構成を次の図3に示します。なお、RC は 鉄筋コンクリート、PC はプレストレスト・コンクリート(鋼材で締め付けてコンクリートを 補強したもの)、鋼は鉄橋を意味します。 図3 橋(上部工)の部分の構造材料種別の構成 116 径間 (44.3%) 93 径間 (35.5%) 53 径間 (18.7%)3 維持管理に関する基本的方針
定期点検の実施と日常の維持管理の徹底 日常的な維持管理としては、月1回のパトロールと、年1回の巡回、そして定期的に簡易 点検を繰り返し、異常の早期発見に努めるとともに、以下のような小規模な維持作業を随 時実施します。 ◎ 簡易な維持作業 ・ 路面の舗装補修 ・ 排水桝、沓座付近の土砂撤去等 ◎ 月1回のパトロールの重点監視箇所 ・ 路面のクラック・穴、伸縮部の段差 ・ 高欄(ガードレール)の鉛直方向のたわみ ・ 外力(交通事故)等による変形 ◎ 年1回の巡回の重点監視箇所 ・ 排水桝の詰まり ・ 支承付近の土砂 ・ 伸縮装置の詰まり ◎ 定期的に行う簡易点検 ・ 「あなたにもできる橋の点検」NPO 法人橋梁メンテナンス技術研究所編 の手法に 従い、前回点検の写真をプリントアウトして比較しながら点検を継続することに より、橋梁の損傷状況を把握し、安全の確保に努めます。 ・ 定期点検の橋梁数は、今回の計画で補修順位が高いにもかかわらず、予算の関係で 補修工事未実施な橋梁や、重要度の高い橋梁等を中心に、5 年に一度簡易点検しま す。 これらの点検により、経年劣化の進行や急激な劣化進行が認められた場合、緊急時を除い てはデータベースのデータ修正をその都度行い、次回の計画立案に備える。しかし緊急時 については専門家の意見を聞き、適宜対応する4 対象橋梁の長寿命化計画に関する基本方針と結果
(1) はじめに 各橋梁の管理情報と現況調査に基づき、①重要度 ②損傷度 ③緊急度を点数化して、そ の総和を総合評価点とし、基本的にはこの点数の高い(つまり重要度・損傷度・緊急度が 総合的に高い)橋梁順に補修対象とします。その上で、各橋梁の修繕費・架け替え費など を算定し、コスト縮減効果の判断を行い、効果のあるものについての一覧表を作成します。 なお、長寿命化計画の全体像を図4に示します。 図4 長寿命化計画の全体像(2) コスト縮減効果の判断方法 長寿命化修繕計画策定とは、架け替えるよりも修繕したほうが投資効果の高い橋梁を判 定して、修繕計画を策定することを言います。 しかし、コスト縮減効果を精度よく推定することは、必要なデータが極めて少ないため に非常に困難であります。そこで当面は、次善策によらざるを得ないように思います。 その概要を以下に述べます。 「長寿命化と架け替えの健全度と費用の比較概念図 」を図5に示します。この図では、 横軸に経過年、縦軸の左側に健全度の尺度、右側に費用 (投資額)の尺度が採ってあり、健 全度の推移は線グラフで、費用は棒グラフで示してあります。また、長寿命化計画で修繕 する場合は朱色で、修繕しないで健全度がなくなる時に架け替える場合は青色で区別して あります。なお、健全度0とは 強度が0ということではなく、使用に耐える限界で、図で は 耐用限界 と表現してあります。 橋梁を長寿命化計画で修繕する場合と、修繕しないで健全度がなくなる時に架け替える 場合とでの投資の差、つまり、修繕する場合のコスト縮減効果については、単に修繕費と 架け替え費の金額差だけでは判断できません。図5で分かりますように、修繕費のほうが 架け替え費に比べて少ないに決まっています。長寿命化計画で修繕する場合の修繕費の投 資効果の及ぶ年(修繕によって延びた余寿命年)と架け替える場合の建設費の投資効果の及 ぶ年(架け替え後の寿命年)とは違い、後者のほうが長いです。したがって、投資効果は金 額とその投資の有効期間とを合わせて考えて評価しなければなりません。 一般に、橋梁が建設されて使命が終わる間に掛かる総費用(建設費・維持費・修繕費など の総和)をライフサイクルコストと言います。図5において、修繕する場合のライフサイク ルコストは、当初建設年から修繕までの経過年に余寿命を加えた年数間の建設費・維持費・ 修繕費などの総和であります。架け替える場合は、当初建設から架け替える前までの建設 費・維持費などの総和が、当初建設橋梁のライフサイクルコストであり、架け替え後の建 設費・維持費などの総和が、もう一つの架け替えた橋梁のライフサイクルコストでありま す。 このライフサイクルコストの年平均値でコスト縮減効果について比較すると、両者の年平 均の投資効果という共通な物差しで、全体的な投資効果の差が評価できることになります。 具体的には、修繕する場合はそのライフサイクルコストを当初建設から修繕までの経過年 に余寿命を加えた年で割り、架け替える場合は2ライフサイクルコストの和を当初建設か ら架け替える前までの年数に架け替え後の寿命を加えた年数で割って比較します。前者の ほうが安い場合、コスト縮減効果ありと判定します。
図5 長寿命化と架け替えとの健全度と費用の比較概念図 (3) 結果 ①壊れたら架け替えることを前提としてほとんど補修を行わない場合と、②補修を行い、 長寿命化を図った場合では、橋梁の寿命とコスト縮減効果に違いが出ます。 そこで、国土交通省が唱えている「橋梁寿命 100 年を」を想定し、その費用対効果を年 単位で換算し、コスト縮減効果があるかどうかを 1 橋づつ検証しました。その結果 伊那市 では、6 橋を除き 長寿命化を図ったほうが、コスト縮減効果が上がることが分かりました。 その縮減効果は 0.4%から 35.9%で、平均 21.04%となり、長寿命化計画の有効性が確認さ れました。 長寿命化計画で修繕したほうがコスト縮減効果が高い橋梁すべてを修繕するとした場合 の総費用は 1,781,592 千円、100 年間対象橋梁を予防保全の繰り返しで維持していく費用が、 2,324,107 千円。修繕しないで架け替えるとした場は 14,545,896 千円でした。したがって、 総額 10,440,197 千円のコスト縮減となります。 また、予算の制約があり、実際に修繕の対象となるのは、重要度・損傷度・緊急度が総 合的に高い橋梁から、順次修繕可能な橋梁について長寿命化計画が策定されますから、実 際には一度にこれだけのコスト縮減が行われるわけではありません。 健全度: 線グラフ 費用: 棒グラフ 健 全 度 費 用 建設費 建設費 修繕費 維持費など 建 設 年 架 替 年 修 繕 年 100% 経過年 0% 耐用限界 維持費など 総費用 総費用 年平均投資 余 寿 命 年
5 計画策定担当部署および意見聴取した学識経験者等の専門知識を有する者
○計画策定担当部署
伊那市 建設部 建設課 維持係 TEL 0265-78-4111(内線 2534)
○意見聴取した学識経験者等の専門知識を有する者