名古屋市における既往地震の被害と震動特性に関する研究

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(1)

愛知工業大学研究報告 第19号B 昭和59年

235

名古屋市における既往地震の被害と震動特性に関する研究

正 木 和 明

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S wave veJocity, density and attenuation factorQ of the ground in N agoya City weτE measured by S wave veJocity Joggings and seismic expJosions. UtiJizing these data seismic transfar functions at400mesh points in N agoya City were calcuJated

Peak acceJerations at400m巴shpoints on the three destructive earthquakes, Nobi (1891,) Tonankai (1944)and Mikawa (1945)Earthquake, were estimated using these seismic transfar

functions, and reJated to e呂rthquakedamages

Damages to wooden houses in these earthquakes were caused by strong motions of th巴

ground, as a whoJe, however some damages were conjectured due to Jiquefaction of sandy ground l.はじめに 名古屋市は過去, 1891年濃尾地震, 1944年東南海地震, 1945年 三 河 地 震 の 各 地 震 に お い て 大 き な 被 害 を 受 け た 地 域であり,また将来発生が予想されている東街地震にお いても被害が危倶されている地域でもある。このような 観点から名古屋地盤の有する震動特性に関しては強い関 心が持たれ,多くの研究がなされてきた。上記の3つの 地 震 に お け る 被 害 の 実 態 に つ い て は 飯 田lト引が詳細な報 告をしているが, これによればそれぞれの地震における 被 害 分 布 に は 特 徴 的 な 地 域 差 が み ら れ る 。 被 害 分 布 に 地 域 差 が み ら れ る こ と に 関 し て は 主 と し て 表 層 地 盤 の 構 造 との関連でこれまで追究されている。表白宮村5河)は東南 海 地 震 に お け る 被 害 率 と 表 土 層 厚 と の 関 係 を , ま た 横 尾周桑原e堀内市)は濃尾・東南海地震における被害率と 表 層 地 盤 の 平 均N{I直との関係を, また飯田川主濃尾,東南 海地震における被害率と沖積層厚との関係をそれぞれ追 究しているが, これらの研究で明らかになったことは表 土層厚あるいは沖積層厚が厚いほど,またN値が小さい 地盤ほど地震における被害率は大きいことである。 その後,名古屋地盤のS波速度が明らかにされるにつ れて9)-15) 地 盤 の 地 震 時 に お け る 動 的 挙 動 の 追 究 が 為 さ れるようになった。多賀@安東。宮崎i円土,十勝沖地震に おける八戸港強震記録(1968,EW)を入射波として与え た場合の加速度増幅率分布をS波多重反射法により求め ている。また,正木。坪井@飯田町は調和波に対するS波 最 大 増 幅 度 をS波多重反射法により求め,被害率との関 連 を 追 究 し て い る 。 し か し , こ れ ら の 研 究 は , 地 震 波 増 幅率で震動特性を評価したことにとどまっており,加速 度絶対値を求めるに至っていない。被害率と震動特性と の関係を定量的に取扱うためには,またそれぞれの地震 における震動特性を比較するためには,単に増幅率の議 論を行うだけでなく,地震動の絶対値,仔JIえは最大加速 度値等を求めることが必要である。このためには,それ ぞれの地震において地震基盤から表層地盤に入射する地 震波特性を知ることが必要であり,また地震慕盤もS波 速 度 で 約3km/sの聞に設定することが必要である。 本研究はこのような観点にたち 山 濃尾@東南海。三河の各地震における入射波速度 応答スヘクトノレを断層モデノしに基づく理論的解析 から推定し, (2) 岩盤を地震基盤に設定した場合の地震波伝達特性 をS波多重反射法により求め, (3) 地表面における速度応答スベクトノレ,加速度応答 スベクトノレ,最大加速度を算定し, (4) 上述の3つの地震における最大加速度と被害率と の関係を追究するものである。 2.浅 部 地 盤 モ デ ル の 作 成 2.1 S波速度検層の実施 S波伝達関数を求めるに際し必要な定数は,地盤各層 の層J手H (m), S波速度Vs(m/s),密度 p(g/cm')お

(2)

明 い。そこでまずS波速度検層を実施しこれらの定数を原 位置において測定することとした。本研究における測定 点および他機関における測定点を図lに示す。総計39地 点における測定結果を得ることができた。 2.2 推定式の作成 測定点数39は解析対象とする約380の1kmメッシユ の10%弱にすぎず残るメッシュにおける定数については 何等かの手段により推定してやる必要がある。また測定 地点においても調査深度以深については同様に推定して やる必要がある。推定するに際し既知の地盤に関する情 報として,地質図18) ボ リング柱状図川等が考えられ る。これらの図には,各深度におけるN値,地層年代, 土質区分が通常記載されている。従ってこれらの士質的 指標とS波速度,密度, Q値とが何等かの関係を持っと すればこの関係を求め既知の土質的指標から3つの定数 を推定することができる。 図2,図 3に S波速度と N値,深度との関係を示す。

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波速度Vs(m/s), N値N,深度日 (m)に対し, Vs <x Na, Vs <x H β (1) なる関係があること,この関係は地層年代,土質区分毎 に得られることがわかる。定性的分類である地層年代, 土質区分を数量化し,数量化理論叫を用いて(1)式を求め Vs=98.0No.170Ho.14(l.OOC沖)1 (1.00C粘)、 (2)

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を推定した。 (3) を得た。密度ρ(g/cm3)についても同様の式 ρ = 1 . 70No.027H ~O.018 (1.00 ( 沖 〕 、 (1.OO(粘) ! 1.04(洪)! !1.0l(シ〕 1 1.03(三 )} E

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1.06(砂〕 112(レ) 図3 F を得た。 Vs,ρはN, H, E, F各項の積として得られ る。(2),(3)式によって推定されたVs,pと実測されたVs, pとの相関係数はそれぞれ 0.87,0.67であった。Q値につ いては測定値が少なく上述の式に対応する経験式は得ら‘ れていない。 S波速度 VsCm/s) とQ値との関係を図4 50

40

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深部地盤モデルの作成 3.1 爆破実験による深部地盤探査 弥富町鍋田およひ田原町波瀬を爆破点とする爆破実験 を実施し,濃尾平野園伊勢湾周辺域の深部地盤構造を探 査した。観測線は鍋悶爆破点から岐阜に至るA測線,田 原に至るB測線,湯の山に至るC測線を設定し,それぞ れの測線における深度5km程度までのP波 速 度 構 造 を決定した。各測線において得られたP波速度構造を図 5,図6に示す。 p波速度が約2.0km/s,3.Okm/s, 5.0

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記号2(同SPT),記号 3(同T21),記号 4 (同 103) 70 60 50 ιo 30 20 30 ~O 図6

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爆破実験から求められた深部地盤の地震波速度 表1 P波速度 (k皿/s) S波速度 (km/s) 首都圏第 l層(鮮新統) 第2層(中新統) 1.8-2.2 0.4-0.8 2.9-3目2 1.2-1.3 (岩槻で、は1.6km/sも存在〕 4.7-5.0 2.5-2.6

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2.0 盤) 第3層(岩 0.5-0.9 1.3ないし1.6 2.6 1.9-2.5 3.0 5.0 E層(鮮新統) D層(中新統) C層 ( 岩 盤 ) 名古屋 55 50 45 40 35 20 25 30 OISTANCE. km 15 10 の観測を実施し,その周期特性から地盤構造を推定する ことにした。 微動およびいくつかの地震動のスベクトノレを図7(1)に 示す。ただし,震源特性を除去するために岩盤上の愛知 工大におけるスベクトノレと名古屋大学,弥富中学におけ 第1回鍋田爆破解析結果 A測線における速度構造(上), B,C, D各層を伝 播する波の理論走時と観測初動走時(中),ブーゲ ー異常との対応(下〕 〆 J ノ ノ t

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350 360 450 300 1. 95 D 洪 積 層 P 鮮 新 統 680 500 800 500 680 940 800 850 2.10 M 中 新 統 1600 330 1600 250 1600 700 1600 300 2.30 B 岩 盤 2800 2800 2800 2800 2.60 表2

(5)

239 名古屋市における既往地震の被害と震動特性に関する研究

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弥 富 中 学(YTM), 名 古 屋 大 学(NUV),愛知工大(AI T)における微動,地震動観測結果

(1)微動(実線〉および地震動(破線〕のスベクトノレ比, (2)S波伝達関数, (3)表 面 波 分 散 曲 線 図7

(6)

240 正 木 和 明 るスベクトノレの比で示してある。名古屋大学においては 2.5秒,弥富中学においては5-6秒のスベクトノレピーク がみられる。このスベクトノレピークを説明するために表 2に示す地盤モデノレを考えた。このモテ)レを用いて求め たS波伝達関数を図7(2)に,表面波分散曲線を図7(3)に 示す。弥富中学における5-6秒のピーク周期,名古屋 大学における2.5秒のピーク周期はS波の多重反射,ある いはラフl波の分散によって説明される。表 2に示した弥 富中学の地盤モテPノレは近傍で得られた爆破実験によるモ デノレとほぼ一致しており, このことは微動・地震動の周 I r J 10 km 図 B ブーゲー異常から求めた基盤 深度 (Iidaand Aoki, 1958) W E 9 SECTlON ..',・' .. ・0 Or~ B C D E F G H I J K L M N O P Q

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2 図9 深部地盤モデルの東西断面。沖・洪積層 (A・D), 鮮新統(P),中新統(M),岩盤

(B)

期特性から地盤構造を推定できることを説明すると同時 に,今回得られた名古屋大学における地盤モテソレの有用 性を示している。 3.3 深部地盤構造モデノレ Iida and Aoki21)は重力のブーゲー異常を用いて図8 に示すような基盤深度を推定している。図8に示された 基盤は前節までの考察から明らかにされた岩盤に対応し ているが,その深度に若干の差がみられる。そこで.3.

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3司2節で得られた深部地盤各層の深度を用いて図8の 深度を修正し,名古屋地盤の深部構造モデノレを作成した。 その東西断面の1例を図9に示す。

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(7)

241 名古屋市における既往地震の被害と震動特性に関する研究

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0.2 0.3 PERIOD, sec 名古屋市中心部(1 15メッシュ)における入射波加 速度応答スベクトル 0.5 0.1 500 100 10 0.0 50 一 ロ 閉 句 。 4 的

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60km 東海地震断層モデル 図13 SEC 東南海地震における地震基盤への入射波速度応答 スペクトル(SVo),S波伝達関数(G), 地 表 に お ける速度応答スペクトノレ(SV)および加速度応答 スペク卜ル(SA) 2.0 1.5 1.0 0.5 )O~ 図15 (5) (6) α向。=124fsAo叩 T 山 =I2J:5山 T)dT を求める。

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は周期(秒〉であり,Clm削axλん7山 αm削axはそれそ守 j れ1地震基盤'地表面における最大加速度(gaJ)である。 4.既往の地震における地表面最大加速度の推定 4. 1 翠 Jllo小林の方法 翠川・小林間t土本震の際生ずる断層面を小分割し,この 小分割が破壊される際に発生する地震波パノレスのそれぞ れの小分割からの総和として本震の入射波速度応答スベ クトノレSVoを計算する手法を提案した。このSVoに表 層地盤のもつ地震波伝達特性Gを乗ずることにより地表 における速度応答スベクトノレSVを得る。速度応答スベ クトノレSVo,SVから加速度応答スベクトノレSAo,SAを 求め

(8)

242 4.2 断層モデノレと基盤入射波加速度応答スベクトノし・最 大加速度 図 10~ 図 13 に濃尾, 東南海,三河,企1定東

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毎の各地主要 における断層モデノレと基銭入射波最大加速度を示「。同 中の×印は破壊出発点をサ矢印は破壊の方向を示してい る。濃尾,東南海地震については2つの断層面を仮定し ている。凶14に名古屋市(Il5メッシュ〉における入射波 加速度応答スベク│ノレを示九 (5)式に基づいてこのスベ クトノしを積分することにより最大加速度が得られる。 4.3 メッシュ別最大加速度分布 名市医líI担~を 1 辺市 J1 kmの 標 準 メ ッ シ ュ に 分 割 し 各メッシュにおける地表面でのノ

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図18 三河士山震最大加速度(gall

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正 木 和 明 た。解析のI伊Ijを図15に示す。4.2節で求めた入射iI2.速度 応符スヘクトノレSVo(ω)に2.3および3.3節で作成した 地盤モデノレから計算されたS波伝達関数G(ω)を乗じ地 表市における速度応答スヘクトノレSV(ω),振動数を乗 じて加速度応答スベクトノレ SA(ω)を求め, (6)式から最 大加速度 a'maxを算定した。 図16から図19に濃尾,東南弱,三河,想定東海の各地 震における推定最大加速度分布を示す。図16に示された 濃尾地震における最大加速度には1000galを越えるもの も あ る が こ れ は 地 盤 を 弾 性 体 と し て 取 吸 っ た た め で あ る。このように大きな加速度においては地盤の地震波応 答は非線塑を示「ことか知られており実際の最大加速度 図17 東南海地震最大加速度(gal) 寸l ﹁ ﹂

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図19 東海地区長大加速度(gal)

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最大加速度の補正 翠)I[・小林山は本研究と同手法によって関東地震にお ける最大加速度を算定する一方,実際の最大加速度を墓 石転倒等から推定し両者の関係を求めている。図21にそ の結果を示す。加速度が200gal程度までは両者は等しい が,加速度が大きくなるにつれて実際の最大加速度は計 243 名古屋市における既往地震の被害と震動特性に関する研究 は弾性計算によって得られた値より小さい。

5

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既往の地震における住家被害率と最大加速度との 関係 算による値に比べ小さくなる。そこで図中の実線を補正 曲線として4節で算定した最大加速度を補正することと した。 5.3 最大加速度と住家被害率 補正された地表面水平最大加速度と住家被害率との関 係を図22に示す。三河地震における最大加速度は160gal ~300gal であり被害率も 10% 以下である。これに対し, 濃尾地震における最大加速度は400gal~ 600galと大き く被害率も最大80%に達している。一方,東南海地震に おける最大加速度は220gal~ 330galであるが被害率は 30%に達しているメッシュもある。最大加速度が大きく なるに従い被害率が増大することは良く知られている。 このような観点から図

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2

をながめると三河地震における 大部分の,東南海地震における一部の,また濃尾地震に おける全ての被害率を結ぶ包絡線はこのような傾向を示 している。即ち, これらの被害率は地震動そのものに原 因する被害を示していると言えよう。これに対し,東南 海地震における10%を越す被害率はこのような傾向とは やや異なっており,また220gal~ 330galとし、う最大加速 度に対しては被害率が大きすぎる。即ち,これらの被害 率は地震動以外の原因による被害を示唆していると言え よう。三河地震における一部の被害率もこのような被害 による可能性もありそうである。

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液状化による被害の可能性 図22において包絡線よりずれている被害率は東南海地 震における港区一帯のメッシュの被害率である。東南海 地震において港区一帯に液状化現象がみられたことはし、 くつかの報告1)2聞で明らかであるが,被害との関係を明ら かにするために東南海地震当時港区に住んで・いた人に対 しアンケート調査を実施した。アンケートは地変(噴砂, 噴水等)と被害程度(全壊,半壊,大破,小破,無被害) に関する項目からなっている。図23は噴砂・噴水のみら れた地域(液状化が発生したと推定される)とみられな い地域に分けて被害程度の頻度,割合を示したものであ る。前者の地域では明らかに被害が大きい。このことか ら港区一帯における被害の多くは液状化に原因するもの と考えられる。即ち,図

2

2

の包絡線からずれる大きな被 害率は液状化による被害と推定される。 5. 1 メッシュ別住家被害率 飯田ト4)は濃尾,東南海,三河の各地震における区別, 連区別,町別の住家被害率を詳細に報告している。飯田 が求めた被害率を1kmメッシュの被害率に直したも のを図20に示す。メッシュ別の被害率に直すに当っては 元の区別,連区別,町別の被害率をメッシュに含まれる 面積に応じて比例配分している。 ~

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図21

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図23 東南海地震における港区一帯の住家被害頻度(N) と被害百分率(%)。全壊(A),半壊(B),大破(C), 小破(D),無被害(E) 6, まとめ 本研究は既往の地震における最大加速度を断層モデノレ に基づく推定基盤入射波と表層地盤の地震波伝達関数か ら求め,住家被害率との関係を追究したものである。 表層地盤の地震波伝達関数を求めるためには地盤各層 の S 波速度,密度, Q 値が必要である。深度数 10m~ 数 100 mの浅部地盤のこれらの定数については,まずPS検層 を実施してこれら定数と土質的指標との関係式を求め, 次に既存の土質的指標に関する資料(ボーりング柱状図 等〉から上述の関係式を用いて推定した。深度数100m 数kmの深部地盤に関しては,爆破実験,微動。地震 動観測から岩盤および第三紀層のS波速度構造を推定し た。 既住の地震における基盤入射波速度応答スベクトノレを 地震断層モデノレに基ついて推定し,地震波伝達関数を乗 じて地表における速度・加速度応答スベクトノレを求め, そのスベクトノレ強度から最大加速度を算定した。 濃尾・東南海・三河の各地震における住家被害率とと 述の最大加速度との関係を調べた結果次の結論を得た。 (1) 住家被害率は最大加速度とともに増加することが 認められ,従来知られている被害率と最大加速度との関 係を確認した。 (2) しかし東南海・三河地震における一部の被害率 は最大加速度が小さいにもかかわらず数10%に達する大 きな値となっており,地震動以外に原因する被害である

(11)

名古屋市における既往地震の被害と震動特性に関する研究 245 ことが推察された。 (3) 上述の被害率は港区一帯における値であることか ら,東南海地震当時に港区に住んでいた人に対して地 変・被害に関するアンケート調査をした結果,港区一帯 で噴砂・噴水がみられたこと,そのような地点で被害が 著しいことが判明し,上述の被害率は地盤の液状化に原 因することが明らかとなった。 参考文献 1 )飯田汲事,名古屋市における既往の地震とその災 害,名古屋市防災会議, 1 -78, 1974 2 )飯田汲事,昭和19年12月7日東南海地震の震害と震 度分布,愛知県防災会議, 1 -120, 1977 3 )飯田汲事,昭和20年1月13日三河地震の震害と震度 分布,愛知県防災会議, 1 -96, 1978. 4)飯田汲事,昭和24年10月初日濃尾地震の震害と震度 分布,愛知県防災会議, 1 -304, 1979. 5 )表俊一郎,宮村摂三;横浜市並びに名古屋市の震害 分布と地盤との関係,建築雑誌, 773号, 17-23, 1951. 6) Omote, S. and Miyamura, S. ; Relations between

the Earthquake Damage and Structure of Ground in N agoya City, Bull.Earthq. Res. Inst., Vo.l29, 183-196, 1950 7 )横尾義貫,桑原徹,堀内孝英;名古屋付近の地盤と 震害に関する研究(その

1

)および(その

2

),建築 学会論文報告集号外, 166-167, 1965 8 )横尾義貫,桑原徹,堀内孝英,名古屋付近の地盤と 震害に関する研究(その3),建築学会東海支部研, 57-61, 1965. 9 )飯田汲事;名古屋市内地盤各層中のS波速度測定調 査報告(第1報),名古屋市防災会議, ト58,1974. 10)飯田汲事,正木和明;向上(第2報), 1 -37, 1975 11)飯田汲事,正木和明;向上(第3報), 1 -86, 1976. 12)飯田汲事,正木和風楓重彦,向上(第4報), 1-35, 1977. 13)飯田汲事,正木和明,楓重彦,坪井利弘 p向上(第 5報), 1 -50, 1978 14)飯田汲事,正木和明,谷口仁士,坪井利弘,宮永良 一;名古屋地盤の地震波増幅度および地震危険度, 名古屋市防災会議, 1 -143, 1979. 15)飯田汲事,正木和明,谷口仁士,坪井利弘,名古屋 地盤の概要,名古屋市防災会議, 1 -106, 1980. 16)多賀直恒,安東直,宮崎正,地盤・構造物の地震動 による加害性の推定,建築学会論文報告集,第272号, 63-72, 1978. 17)正木和明,坪井利弘,飯田汲事;名古屋地盤メッシ ュ別S波増幅度分布,地震,第2輯,第34巻, 135 -144, 1981. 18)桑原徹;濃尾傾動盆地の発生と地下水の第四系,地 盤沈下の実態とその方策に関する調査研究報告,愛 知県環境部, 109-182, 1975. 19)建築学会東海支部編,名古屋地盤図, コロナ社,東 京, 1969. 20)林知己夫;数量化理論とその応用(V),統計数理研 イ報,第8巻, 149-15,1 1961.

21)Iida, K. and Aoki, H. ; Gravity anomalies and the corresponding subt巴rranean mass distribution,

with special reference to the Nobi plain and its vicinity, Japan, J. Earth Sci., Nagoya Univ., Vol. 6, N o. 2, 113-142, 1958.

2

2

)

翠川三郎,小林啓美,地震断層を考慮した地震動ス ベクトノレの推定,建築学会論文報告集,第282号, 71 -79, 1979.

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参照

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