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大学生の基礎学力を考える Ⅱ-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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大学生の基礎学力を考える Ⅱ

岡 内 弘 子

はじめに  筆者は、先に、大学生の基礎学力を考えるために、日本全国47都道府県名を知っているかどうか の調査をし、報告した(香川大学教育学部研究報告Ⅰ-146号)。この度は、小学校・中学校の国語 科教員の免許を取得する必要のある国語国文学教室所属の学生・同様の免許取得を希望する他専攻 の学生を対象として、基礎的と思われる学力・知識を調査した。香川大学教育学部では、学校教育 教員養成課程の学生は、教員免許を取得できる単位がそろわなければ卒業できない規則となってい る。  いずれ教員として、児童・生徒を教えることになる学生が、過去に学んだ内容をどの程度覚えて いるか、理解しているのかを知りたいと思い調査する。大学での講義を進めるにあたっても、参考 になると考えた。 1 調査用問題  調査に用いたのは、『奥の細道』平泉の部分である。昨年度、高校3年生を対象として、この文 章を使って下記の質問をする機会があった。長い文章ではなく、適度な分量でもあり、また格別に 「古語」と思われる単語も使われていない。こうしたことから、基礎的な学力を見るにふさわしい のではないかと考えた。結果を詳しく報告することは避けるが、成績は全くかんばしくなかった。 そのことに驚き、同様なことを大学生に対しても調査しておくことを考えた。  問題の文章は、香川大学の所在地である香川県で広く使用されている中学3年生の教科書(東京 書籍)にカラー写真・地図・解説と共に掲載されている。また、中学生に副読本として持たせてい る『国語便覧』(浜島書店)にも同様に、地名の入ったカラー写真・地図・解説と共に掲載されている。 大学でも、この便覧を2年生の必修講義「日本古典文学史」の参考図書として使っている。  おそらく広く知られているであろうと推測される『奥の細道』の中でも、有名な箇所である。大 学では、2年生前期の必修講義「日本古典文学史」がある。「俳諧」について話はするが、古典文学 史は、前期15回で終了という時間割りの関係で、この箇所を詳しく口語訳するほどの扱いはできて いない。  問題は、以下の通りである。 香川大学教育学部

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①三代の栄耀一睡のうちにして、大門の跡は一里こなたにあり。秀衡が跡 は田野になりて、金鶏山のみ形を残す。まづ高館にのぼれば、北上川南部 より流るる大河なり。衣川は和泉が城をめぐりて、高館の下にて大河に落 ち入る。泰衡らが旧跡は衣が関を隔てて南部口をさし固め、夷をふせぐと 見えたり。さても義臣すぐつてこの城にこもり、功名一時の叢となる。 ②「国破れて山河あり、城春にして草青みたり。」 と笠うち敷きて、時のうつるまで涙を落としはべり③ぬ。 ④○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 問一   本文の漢字に、すべてふりがなをつけて下さい(現代仮名遣い)。 問二   この作品の題名と作者、成立の時代を答えて下さい。 問三   傍線部①を口語訳して下さい。 問四   傍線部②の、もととなった「詩」の名称、作者を答えて下さい。 問五   傍線部③、「ぬ」を文法的に説明して下さい。 問六   傍線部④のところに入る言葉は、何でしょうか。答えて下さい。 2 調査対象者 (1)1・2年生 23名     国語国文学教室に所属する2年生 11名     国語国文学教室以外の者(1年生2名を含む) 12名 (2)3年生 9名 国語国文学教室に所属する者のみ (3)4年生 16名 国語国文学教室に所属する者のみ  *以下、「国語国文学教室に所属する者」を「国語専攻」と称す。 3 調査時期  1・2年生は、4月最初の講義の折に調査した。1年生は入学間もない時期であり、2年生も国 語国文学教室に所属したばかりであり、共に、大学での国語関連の専門の講義等を受けていない。  3年生は、昨年度末2年次最後の講義の折の調査である。国文学・漢文学に関しては、日本古典

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文学史・日本近代文学史・日本古典文学講読・日本近代文学講義・中国文学史・中国文学講読を履 修している。  4年生は、昨年度末3年次最後の講義の折の調査である。上記3年生の受講科目に加えて、日本 古典文学演習(必修ではないので履修していない者もいる)・日本近代文学演習・中国古典文学演習・ 国語科内容学演習を履修している。 4 調査結果と分析 Ⅰ 問一の分析「漢字の訓よみ」    主な箇所の訓みの結果を下に記した。網かけをしてあるのは、誤答である。 1・2年生 国語専攻 栄耀 秀衡 田野 金鶏山 高館 北上川 衣川 城 えいこう しゅうこう のや こんどりさん たかやかた ほくじょうがわ ころもがわ しろ えいやく ひで でんや たかたち きたかみがわ いかわ しろ えいやく としひで でんの きんうやま こうかん ほくじょうがわ ころもがわ しろ えいが ひでひら でんや きんけいざん こうかん きたかみがわ きぬがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ きぬがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん こうかん きたかみがわ ころもがわ じょう えいやく ひでひら でんや きんけいざん きたかみがわ きぬがわ しろ えいよう ひでひら でんや こんどりさん こうかん ほくじょうがわ ころもがわ しろ えいが ひでひら でんや きんけいざん たかしろ きたかみがわ ころもがわ しろ えいが ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいよう ひでひら たの きんけいざん たかたて きたかみがわ ころもがわ しろ 国語専攻以外 えいやく ひでひら でんや きんけいざん こうかん ほくじょうがわ ころもがわ しろ えいこう ひでひら たかだち きたかみがわ ころもがわ えいよう しゅうかん たの きんけいざん こうかん きたかみがわ ころもがわ しろ えいき ひでひら でんの きんけいざん こうかん きたかみがわ いせん しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかやしろ きたかみがわ ころもがわ じょう えいごう のや きんこうざん こうかん ほくじょうがわ ころもかわ しろ えいよ しゅうえい たや きんけいざん たかだて ほくじょうがわ ころもがわ しろ えいこう ひでひら たの こうかん きたかみがわ ころもがわ しろ えいこう えいこう ひでただ でんの きんかくさん たかだい きたかみがわ ころもがわ しろ えいこう しゅうこう でんや きんけいざん こうかん ほくじょうせん ころもがわ しろ えいよう ひでとも たの きん こうかん ほくじょうせん いかわ しろ 3年生(国語専攻) えいよう しゅうえい でんや きんけいざん たかやど きたかみがわ ころもがわ じょう えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ きぬがわ じょう えいが ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたがみがわ ころもがわ しろ えいき ひでより でんや きけいざん ほくじょうがわ ころもがわ じょう えいよう ひでひら でんや きんかくさん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいき ひでひら でんや きんけいざん こうかん きたかみがわ きぬがわ じょう えいよく ひでひら たの きんけいざん こうだて きたかみがわ ころもがわ しろ えいよう しゅうこう たの きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいが ひでひら でんや こんこうさん たかだい きたかみがわ ころもがわ しろ

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4年生(国語専攻) えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいやく しゅうこう たや きんけいざん こうかん きたかみがわ ころもがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだて きたかみがわ ころもがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいよう ひでただ でんや きんけいざん たかだい もがみがわ ころもがわ しろ えいが ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいこう ひでより でんの きんけいざん たかだて きたかみがわ ころもがわ しろ えいよう ひでひら たの きんけいざん たかだち きたかみがわ きぬがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ きぬがわ じょう えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ きぬがわ しろ えいやく ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ しろ えいよ しゅうこう でんの きんうざん たかだい きたのかみ ころもがわ じょう えいよう ひでのり でんや きんけいざん こうかん ほくじょうがわ ころもがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ しろ えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう えいよう ひでひら でんや きんけいざん たかだち きたかみがわ ころもがわ じょう 1・2年生 国語専攻 衣が関 南部口 夷 義臣 一時 叢 草青みたり ころもがせき なんぶこう え ぎしん いちじ わざ そうあみたり ころもがせき なんぶこう よしおみ いちじ くさあおみたり ころもがせき なんぶこう えみし よしとし いちじ わざわい くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いちじ ごう そうせいみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いっとき やぶ くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち じょう ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり きぬがせき なんぶこう い よしおみ いちじ なりわい くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い よしおみ いっとき くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い よしとみ いちじ かすみ くさあおみたり ころもがせき なんぶこう えみ よしのり いちじ なりわい くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いっとい いしずえ くさあおみたり 国語専攻以外 いがせき なんぶこう い よしおみ いっとき ごう そうせいみたり ころもがせき なんぶこう ぎょう そうせいみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いちじ わざ そうおうみたり ころもがせき なんぶこう い よしひで いっとき ならわし くさあおみたり ころもがせき なんぶこう え よしおみ いっとき ごう くさあおみたり ころもがせき なんぶこう し ぎしん いちじ ごう そうあおみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いっとき くさあおみたり ころもがせき なんぶこう ぎしん いちじ ごう くさあおみたり くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い よしのぶ いちじ わざ くさあおみたり ころもがせき なんぶこう えみし よしおみ いちじ ごう くさあおみたり いがせき なんぶぐち へい よしまさ いちじ わざ くさあおみたり 3年生 ころもがせき なんぶぐち えう よりとも いちじ わざ くさあおみたり ころもがせき なんぶこう えぞ ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり

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ころもがせき なんぶぐち え よしつね いちじ おきて くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち じょう よしひで いちじ くさむら くさあおみたり きぬがせき なんぶこう い よしおみ いちじ くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いっとき わざ くさあおみたり ころもがせき なんぶこう えい よしおみ いちじ ごう くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いちじ わざ くさあおみたり 4年生 ころもがせき なんぶぐち えぞ ぎしん いっとき くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いちじ むらくさ くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち てき ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いちじ わざ くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち えぞ つねよし いちじ くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いちじ わざ くさあおみたり きぬがせき なんぶぐち えぞ よしおみ いちじ くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いちじ ごう くさあおみたり きぬがせき なんべぐち い よしおみ いっとき むらか くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち えぞ ぎしん いっとき わざ くさあおみたり ころもがせき なんぶぐち い ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いっとき ごう くさあおみたり ころもがせき なんべぐち い よしおみ いちじ わざ くさあおみたり ころもがせき なんぶこう い ぎしん いちじ くさむら ころもがせき なんぶぐち えい ぎしん いちじ くさむら くさあおみたり (1)単純に漢字が訓めるか否か(なお、漢字の訓みは、中学3年生用の教科書に従う)。   ①栄耀 2年生国語専攻 正答 4名(11名の内)  36.4%  1・2年生国語専攻以外 正答 3名(12名の内)  25.0%  3年生 正答 4名(9名の内)  44.4%  4年生 正答 11名(16名の内)  68.8%  ※以下、正答者数を先に記し、( )の中に総数を記す。   ②田野 2年生国語専攻 8名(11名)       72.7%  1・2年生国語専攻以外 3名(12名)       25.0%  3年生 7名(9名)       77.8%  4年生 12名(16名)       75.0%     ・ごく普通の音訓みであるが、意外に正答率が低い。   ③城   単独では「しろ」と訓むが、他の言葉の下につき固有名詞となるときは、「じょう」 が普通。江戸じょう・二条じょう・青葉じょう・玉藻じょう(高松城の別名)等。  2年生国語専攻 2名(11名)       18.2%  1・2年生国語専攻以外 1名(12名)        8.3%  3年生 6名(9名)       66.7%  4年生 7名(16名)       43.8%     ・正答率が低いのは、助詞「が」を介するので、「じょう」と訓めなかったためか。   ④南部口 駅の北口「きたぐち」、入口「いりぐち」、粟田口「あわたぐち」等と訓むのが、普通。  2年生国語専攻 2名(11名)       18.2%  1・2年生国語専攻以外 4名(12名)       33.3%

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 3年生 5名(9名)       55.6%  4年生 11名(16名)       68.8% (2)人名に関する知識を必要とする訓み。   ①秀衡 2年生国語専攻 8名(11名)       72.7%  1・2年生国語専攻以外 5名(12名)       41.7%  3年生 6名(9名)       66.7%  4年生 11名(16名)       68.8%   ②泰衡 (人名に関する知識に関わるのみであるので、前掲の一覧表には載せていない。)  2年生国語専攻 9名(11名)       81.8%  1・2年生国語専攻以外 5名(12名)       41.7%  3年生 6名(9名)       66.7%  4年生 9名(16名)       56.3%     ・1年生2年生国語専攻以外の者の、正答率が低い。     ・4年生の「泰衡」の正答率が低いことが気になる。2年生国語専攻の正答率が一番高く、 学年が進んだからといって知識が深まるわけでもないのか。 (3)地理に関する知識と関わる訓み。   ①北上川 2年生国語専攻 8名(11名)       72.7%  1・2年生国語専攻以外 6名(12名)       50.0%  3年生 8名(9名)       88.9%  4年生 13名(16名)       81.3%     ・今年度4月になってのちに、3年生に対する講義の折に「きたかみがわ」と訓むと説明 した上で、その場所を質問した。誰も、東北地方ということも、知らなかった。訓めて いても、存在する場所とは結びついていないことが知られた。「きたかみ山地」という 言葉も知らないと答えた。石川啄木に「やはらかにやなぎあをめるきたかみの岸辺目に 見ゆ…」という短歌があることも紹介したが、「啄木」を聞いたこともない名前と答えら れ、驚きと共にそうした様々な事柄を教えてこなかったことを反省させられた。     ・本稿冒頭に述べた、47都道府県の県名・場所に関する調査では、岩手県の誤答率は、東 北地方としては低かった(27年度入学生では7.4%、28年度入学生では5.1%)。しかし、 きたかみ川とは結びつかない。 (4)言葉を知っていて、漢字と関連させられるかに関わる訓み。   ①夷 2年生国語専攻 0名(11名)        0%  1・2年生国語専攻以外 0名(12名)        0%  3年生 1名(9名)       11.1%  4年生 4名(16名)       25.0%     ・「えぞ」という言葉を知らないようであり、正答率が格段に低い。1・2年生にのみ「え みし」と訓んだ者がある。日本史で学んだ、「蘇我蝦夷」との連想か。

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(5)文脈の読解力を必要とする訓み。   ①義臣  「義臣すぐつて(選び出して)この城にこもり」の意味が理解できていれば、人名と して訓むことは考えられないであろう。  2年生国語専攻 5名(11名)       45.5%  1・2年生国語専攻以外 4名(12名)       33.3%  3年生 4名(9名)       44.4%  4年生 12名(16名)       75.0%     ・4年生になると、誤答が少なくなっている。文脈を理解していることになろうか。     ・この作品を「平家物語」と答えた(誤答であるが)3年生にのみ、「義臣」をよりとも・よ しつねと訓んだ者が1名ずついる。この表記は、どのように見ても、よりとも・よしつ ねとはまず訓めないと考える。適当に文章を読めば良いと考えているのか。両者共に、 「ひでひら」は訓めていない。   ②叢   「草青みたり」に続く文脈が理解できているか。  2年生国語専攻 2名(11名)       18.2%  1・2年生国語専攻以外 0名(12名)        0%  3年生 3名(9名)       33.3%  4年生 8名(16名)       50.0%     ・予想よりもはるかに低い正答率である。漢字が全く訓めなかったか。   ③草青みたり  2年生国語専攻 9名(11名)       81.8%  1・2年生国語専攻以外 8名(12名)       72.7%  3年生 9名(9名)       100%  4年生 16名(16名)       100%     ・3年生4年生になると、「そうあみたり」「そうせいみたり」の類の、「みたり」に続かな い、全く意味の通らない訓みは見られない。文脈の理解力が増していると考えられる か。 Ⅱ 問二の分析「作品名・作者名・成立の時代」 2年生(国語専攻) 番号 題名 作者 成立の時代 1 2 鎌倉 3 室町 4 藤原道長 栄耀物語 平安 5 6 平家物語 琵琶法師 鎌倉 7 徒然草 兼好法師 鎌倉 8 鎌倉 9 鎌倉 10 平家物語 平安 11 平安

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1・2年生(国語専攻以外) 12 13 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 14 和泉物語 室町 15 平家物語 16 平安 17 平家物語 兼好法師 室町 18 19 陸奥話記 20 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 21 栄華物語 平安 22 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 23 大鏡 鎌倉 3年生 番号 題名 作者 成立の時代 1 平家物語 平安末期 2 奥の細道 松尾芭蕉 室町 3 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 4 春望 杜甫 5 平家物語 鎌倉 6 7 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 8 9 方丈記 4年生 番号 題名 作者 成立の時代 1 奥の細道 松尾芭蕉 2 3 4 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 5 6 平家物語 琵琶法師 鎌倉 7 鎌倉 8 奥の細道 松尾芭蕉 鎌倉 9 奥の細道 松尾芭蕉 室町 10 方丈記 鴨長明 鎌倉 11 徒然草 兼好法師 12 平家物語 琵琶法師 鎌倉 13 14 栄華物語 作者不詳 13世紀 15 奥の細道 松尾芭蕉 江戸 16 奥の細道 松尾芭蕉 江戸

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  「奥の細道」と解答した者  2年生国語専攻 0名(11名)        0%  1・2年生国語専攻以外 3名(12名)       25.0%     ・この3名は、松尾芭蕉・江戸時代と解答している。3名の内2名は1年生である。  3年生   3名(9名)       33.3%     ・3名共に松尾芭蕉と答えているが、このうち1名が室町時代とする。  4年生   6名(16名)       37.5%     ・6名が松尾芭蕉と解答するが、このうち3名は成立の時代がわからない者1名、鎌倉時 代1名、室町時代1名である。 Ⅲ 問三の分析「口語訳『こなた』」  1・2年生  正答である「こちら」 0名         先・離れたところ・かなた  3年生         「こちら」 1名         先・かなた・離れて・向こう  4年生         「こちら」 2名         先・離れて・向こう・遙か遠く     ・「こなた」の意味の理解がされていないことがよくわかる。 Ⅳ 問四の分析「もととなった『詩』の名称・作者」 名称 作者 人数 1・2年生 春眠 杜甫  1名 万葉集 山上憶良 1 李白 1 山東春秋 1 歌 1 春望 杜甫 1 春 中国人 1 国春 1 3年生 春睡暁を覚えず 1 春望 杜甫 2 杜甫 1 春 杜甫 1 春望 孟浩然 1 4年生 春秋 李白 1 白去居 1

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春望 杜甫  4名 春望 杜歩 1 春望 杜補 1 春暁 杜甫 1 春望 朴甫 1 2年生(国語専攻) 正誤 1 ラ変活用 はべる の 過去形 × 2 過去の助動詞  終止形 × 3 助動詞の終止形 × 4 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 5 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 6 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 7 打ち消しの助動詞「ず」の連体形 × 8 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 9 過去「ぬ」修止形 × 10 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 11 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 1・2年生(国語専攻以外) 12 上二段動詞「ぬ」の完了形 × 13 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 14 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 15 完了「に」の終止形 × 16 過去の助動詞「ぬ」の終止形 × 17 助動詞「ぬ」の終止形 × 18 完了 × 19 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 20 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 21 未然形の過去 × 22 完了の助動詞「ぬ」終止形 ○ 23 過去の助動詞「ぬ」の終止形 ×  1・2年生 1名(23名)        4.3%  3年生 2名(9名)       22.2%  4年生 4名(16名)       25.0%     (上記の解答例の人数の合計が、各学年の受講者数より少ないのは、無解答の者を表記し ていないためである。)     ・4年生になると正答者の割合が増えている。 Ⅴ 問五の分析「『ぬ』を文法的に説明する。」   ・3年生と4年生は全員正答であった。

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 2年生(国語専攻) 6名(11名)       54.5%  1・2年生(国語専攻以外) 5名(12名)       41.7%     ・1年生2年生グループと3年生4年生グループとの間で、もっとも差の出た問題である。 1・2年生の正答率は、約50%である。 Ⅵ 問六の分析「最後におかれた『俳諧』がわかるか。」    あえて、設問には「俳諧」と書いていない。解答例と解答者数のみを示す。     ・有名な俳諧であるので、もう少し、正答率が高いことを期待していた。大学での文学史 の講義から時間の経っていない3年生が、一番多く俳諧が入るということを推測できた ようである。多くの者が、無解答である。上記の通り、正答率は低い。調査対象者全体 を通じて、正答した者は2名のみであった。芭蕉の有名な句を、つなぎ合わせている。 おわりに ① 漢字の訓みを除いても、全学年を通じて、「問二」以降をすべて正答したものは、誰もいない。 中学3年生で学んだ可能性が高い(教科書が違う可能性もあるのでこう言う)ことを思えば、寂 しい結果である。 ② 全くわからないわけではなく、これまでに学んだことを正確に理解し記憶しておくことが苦手 であるらしい結果がよく現れている。「知識偏重」と批難されがちであるが、物ごとを理解する ためには、必要な基礎知識・正確な理解を導くための記憶、という能力が求められる。 ③ 地名と実際の地理とを結びつけて理解することも大切だと考える。先の調査(香川大学教育学 部研究報告Ⅰ-146号)で明らかになったように、学生たちは「県名」(日本地理)に弱い。さらに、 山や川の名前にも余り興味がないようである。今の大学生は、小学生の折に、日本全体の地理を 学習していない世代に当たる。したがって、四国から遠く離れた東北のことは、ほとんど知らな いと言っても過言ではない。さまざまなことを結びつけて理解することが苦手と見られる。 ④ 作品名『奥の細道』を、『平家物語』とした者が多かった。戦いに関わると判断した、読解力を 買うべきであろうか。そして、その作者を「琵琶法師」とする。『平家物語』の作者は不明であ ることを、文学史の講義で話している。松尾葦江「いま欲しい平家物語論とは」(リポート笠間 No.62)に「琵琶法師の役割を教科書や評論では過大に述べる傾向があるが」と記されていた。ま さに、その結果であるかと思われる。それとも、「琵琶法師」とは「兼好法師」と同じように、個 人の名前だと思っているのであろうか。 1・2年生 しかももとのみずにあらず  1名 3年生 夏草や兵どもが夢の跡 1 平泉兵どもが夢の跡 1 静けさや兵どもが夢の跡 1 4年生 夏草や兵どもが夢の跡 1 曾良 1

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⑤ 国語を専攻するか、または国語の免許を取得しようとする学生である。中学生の頃から、おそ らくは、「国語」という教科に興味を抱いていたであろう。しかし、学んだであろう内容は、あ まり覚えてはいない。本年度は珍しく、国語専攻の2~4年生に、香川県下で有名な進学校出身 者が各1名ずついる。しかし、彼らの解答内容は、決して褒められたものではない。中学生で あった頃には、かなり上位の成績であったと推測されるが、その知識等は今に続いていない。 ⑥ 「『奥の細道』-松尾芭蕉」という繋がりまでわかっても、その成立時代が「江戸時代」と解答で きない学生が、3・4年生になっても存在する。芭蕉が江戸時代の人であることは、義務教育を 終えた者であれば、当然知っている知識であると思っていたので、信じがたい結果であった。 「芭蕉」は、日本古典文学における「スター」の1人ではないのか。それとも、「成立の時代」とい う設問の意味が理解できなかったのであろうか。「成立の時代」を作品に描かれた事件の起こっ た時代と考えたのであろうか。   2017年1月30日の読売新聞の「読解力が危ない」という特集記事に、埼玉県戸田市・国立情報 学研究所教授新井紀子氏らによる、小中学校生の読解力をはかる調査が行われたことが紹介され ている。そこでは「4人に1人は問題文を正確に読めていない」「問題で何を聞かれているのか 分からないという声が出ている」とある。これと同じ状況が、大学生にもあるのかと懸念される。   筆者の2年前の経験である。「初等国語」(小学校教員の免許を取るための必修)の講義の折に、 「平仮名の成立」について説明し、『土佐日記』を紹介した折りに、「何時頃成立した作品ですか」 と表記し質問した。75名の受講者(2~4年生)の内、国語専攻の学生も含め、15名ほどが「夕方 ころ」「夜」と解答した。同じ内容をこれまで何度も取り上げてきたが、こうした答えは全くな かったために、驚いた。筆者自身、「紀貫之-土佐日記」、そして「何時頃の成立」と言えば、時 代を答えるのが当たり前のように思っていた。「いつ頃」と訓めずに「なんじ頃」と理解したと推 測される学生が出た最初であった。『土佐日記』の冒頭「戌の時に門出す。そのよしいささかにも のにかきつく」の部分に由来した解答であるとわかるが、質問の意図が理解できていず、「戌の 時に門出す。」から「そのよし…かきつく」への繋がりがわかっていない学生の出現であった。 ⑦ 「学生は、知っているはず」という思い込みは避けて講義すべきであると痛感された。上記⑤ の結果とも関わって、どのような講義をすれば、興味を抱いてもらえるか4 4 4 4 4模索するところであ る。3・4年生になると、源氏物語の講読等で何度もふれた文法や何度か耳にしたであろう「春 望-杜甫」の正答率が上昇していることを考えると、繰り返しの効果の大切さが思われる。また、 知っておいて欲しい基礎知識は増えていないが、文章を読み、文脈を理解して考える問題は、 3・4年生の正答率がいささかでも高くなっている。今後は、学生に自ら幅広い興味を抱かせる べく、繰り返し努力したい。

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