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産業連関表の概要--その四国経済への適用---香川大学学術情報リポジトリ

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産業連関表 の概要 −その四国経済への適用−

今 川

正 Ⅰ.ほしがき。ⅠⅠ包括的な数値衷。ⅠⅠⅠ.投入係数表。ⅠVl.外生部門とし て扱うもの。Ⅴ.投入係数−・定の仮定について。ⅤⅠ連関表を利用しての 予測。ⅤⅠⅠ種々の産業連関モデル。ⅤⅠⅠⅠい むすび。 Ⅰ わが国経済の成長率が極めて高く,世界各国によって注目されて−いることは 周知の通りである。ところがわか国経済の一・部である四国地域の経済ほその発 展からとり残されている。四国地域の生産活動が関東,関西,中部などの先進 地域の水準とくらべて低いだけではない。その成長率もいちじるしく小さい。 極めて重要な指標である鉱工業生産の成長率についてみると,関東,関西など

の地域のものは20%強の復利率であるのに,四国地域のものほその半分にも足

らない。これが四国の住民に.とって切実な問題であることほいうまでもない。ま た国民経済全体の観点から考えるとしても,地域間にこのように過度の不均衡 のあることは放置してよい事柄では決してない。このような切実な問題はどの ようにして解決すれはよいか。経済学はこの問題に対してどのような分析用具 を提供できるか。 このような問題が与えられて地域の研究をはじめるとき,どのような研究方 法をとるともっとも効果があがるかについて考える。産業の地域的配置につい て研究しなければならないことにすぐに気がつく。また国民所得分析にあたる 県民所得分析,地域所得の分析がある。また,原材料の購入先や生産物の販売先 を示す商品流通の研究,地域間の生産費較差の研究,経済基盤の研究,地域乗数 の研究,など多くの研究方法をならべて比較し換討する。そしてどれを用いて分

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香川大学経済学部 研究年報1 J961 柵 3∂ −− 析したらよいかについて戸迷う。それぞれの長所短所を調べる。そのどれも経 済の−∴部の局面に注目しているに.過ぎないことに気づき不満に感じる。その地 域の全体,あるいほその地域と他の地域との相互関係について包括的に研究し なけれはならないことに考えつく。このことほ.最近各方面において議論されて いる四国地域の総合開発計画という問題に.とり組むとき一層痛切に感じられ る。 こうして一・般的相互依存の仕組みを明らかに.する方法が重要になってくる。 その方法に.も多くの限界があるであろう。それは住民の実際生活の蛮要な面, 地域の生活における重要な点を見落しているかもしれない。けれどもその欠点 をすべて教えあげたとしても,なおそれはいろいろの部分的研究を結びつける ために不可欠であろう。このような一般的相互依存の関係を明らかに.する方法 の中では地域相互間の産業連鵬分析がもっともすぐれている。1)それほ四国と いう一一つの地域内における産業連関の関係だけでなく,他の地域との問におけ るそれも明らかにすることを試みるものである。 研究方法としてみるとき,地域相互間の関係を示す産業連関分析に非難の余 地がないのではない。問題に・よってはそれを適用できないものもある。またそ れよりももっと有用なものがはかに.あることもある。それで一\般的相互依存関 1)産業連関表による地域分析の手法としてすぐれたものにつぎのものがある。

W・W.Leontief,“InterregionalTheory,”StudidSin the SIY■uciure qf the Amey・ Economy,ed.by W”W・Leontief and others,1953lレオンチェフ編著,経済企画庁 調査統計課仮訳,『産業連関の地域理論』,1955年。 H..B.Chenery,りRegionalAnalysis,”TheStru:iureandGrou)thofthelialiran Ec・ OnO77Wed.by MutualSecuIityAgency,1953,MSA特別使節L刃編,チ.ェネy−著, 通産省官房調査統計部仮訳,『地域分析イタリー経済の構造と成長』,1955年。 W.Isard,りInterregionalandRegionalInpuトOutputAnalysis,AModelo董Space− Economy,”皮gむよg紺βノ’βco〝0研∠c・ゞ〃勒オ5烏抽√5f∠cS,VoI.33,No.4,Nov・1951.アイサ ード著,資源調査会社会経済小委員会地域経済班仮訳,『地域相互間および地域的投入産 出分析』,1955年。 W。Isardand.LH。Cumberland,“InterregionalandRegionalInput−Output Tech− niques..▲’肋′如dゞ0ノ月♂g去彿扉血扉脚√S小A死地㌢’od〝C′∠0〝ね月曜よ〃〝αJSc云β〝Cβ,1960.アイ サ→ド,カンパ−ランド共著,今川正仮訳,『一地域産業連関分析』,1961年。 なお以下に述べる点ほ主としてこの巌後の論文にもとづいている。

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産米連関表の概要 ー且9−− 係を明らかにする方法でもっと別のものが必要になってくる。それほ最近発達 してきている産業錯合体の研究方法2)である。別の方法で相当将来性のあるも のとして−ほ地域間線型討画法(活動分析法)B)がある。 ここでほ産業連関表に.よる四国地域の経済分析について述べる。産業連関分 析に.おいてほ非常に多くの関係を取扱うので,行列(マトリックス)代数を用 いなけれほならない。またそこに表われてくる連立方程式を解くためにほ電子 計算機を使用しなければならない。しかしその基礎になっている考え方を理解 することは比較的やさしい。ここでは産業連関表の概要についてのべる。その うちもっとも発達しているものは国民経済に関するものである。これについ てほ昭和26年,昭和30年に関するものが通産省,企画庁などによって作成さ れている。4)また・一・部の地域についてほ,その地域の産業連関表の作成や利用 がかなり進んでいる。その先駆的な作美である関経過作成の「近畿地域の産業 連関表」5)をほじめとして,北海道地方,6)束北地方,中国地方,九州地方,で作 業がなされている。また県単位のものとしては.愛知県,7)岡山県8)などのものが 2)IndustrialComplex Analyisis小たとえばつぎの文献を参順のこと。 W,Isard,E.W.SchooleI小and T.Vietorisz,hdustrialComphガAna[ysisaudRe− gg〃〝αJβ♂2∫♂J噌桝β扉,1959・ WIsard andE.W。Schoole!,‖IndustrialComplexAnalysis,”MuhodsofRegional A柁αJ.γ5去S.1960.アイサ−ド,スクーラー共著,今川正仮訳誹産業錯合体と地域分析』, 1961年。 3)たとえばつぎを参照のこと。 W.Isa工d,〃InterregionalLinearProgramming”,MeihodsofRegionalAna[γSilS,1960. 4)通商産業省大臣官房調査統計部,『日本経済の産業連関分析』,1957年。通商産業大臣 官房調査統計取『昭和30年産業連関倭の解明』,1960年。なお30年衷の作成に当っての, 第二次産業の詳細についてはつぎの食料がある。 通商産業大臣官房調査統計部,「昭和30年産業連関表作成費利」,第三次中間報告1960. 5)市村責一濫修,関西経済連合会鼠『日本経済と地域経済』,1958年。

6)HokkaidoInterjndustry ReseaIChProject,CouncilforIndustIy Planning‖Re ̄ g∠∂〝αJ助β7■よ乃dαSf㌢二γ7α∂ゐ0ノ〃2ββcク〝ク鱒γげ助烏ゐα∠dク,1959.

7)山崎研冶,水野正一・,岡崎不二男,「愛媛県産業連関表について」,打調査と蟄料』,16号,

1959年3月。

8)市村真一灘修,岡りれl県人阪鉾漬事務机著パ■岡山県経済の将来‖産業連関分研の応用』ゥ

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香川大学経済学部 研究年報1 J96ヱ ーー40−−

完成されている。四国地域においても昨35年8月,四国地域産業連関協議会が

発足し,香川大学,四国通商産業局,農林省四県の統計調査事務所,四国地方

建設局,四国四県,国鉄四国支社,四国電力の共同のもとに連関表作成の作業

が進行中である。ここで特に注目するのほこの産業連関分析の四国地域経済へ

の適用についてである。 ⅠⅠ ここで四国地域の産業連関表について説明しよう。簡単なものから順次複雑 な問題に入ってゆこう。そのためはじめに四国地域とその他の地域との間には 取引関係がなく,その地域は孤立して自給自足しているものと考えよう。この地 域について普通の型のセンサスが行なわれるとしよう。9)四国地域には多くの 産業がある。その産業部門のそれぞれに.ついて生産額を調べる。またその産業 が朋入した原材料,動力,労働など主要な項目についての記録を集める。 (i) 各産業からの購入,それへの販売 問題によってはこのような型のセンサスよりもっと包招的な資料が欲しいこ とがある。各産業に.ついて,それが他のすべての産業からどのように購入して いるかについて知りたいと思うかもしれない。あるいは各産業の生産物がすべ ての産業にどのように販売されているかを知りたいと思うかもしれない。もし このような包括的なセンサスを行うときに.は,資料を系統的に・整理しようと思 うであろう。いまそれを行ったとして,その結果えられた統封数値をつぎの表 1の形にまとめるとしよう〔そこでは四国の数多くの産業が15に・まとめてあ る。そして産業の名称を上の瑞に・水平にならべる。また左の端に垂直に同じ順 にならべる。 ここでほ家計も山つの産業のように取扱/つている。それは15列目 と15行目に.ならべてある。この部門は他の産業から生産物を買う。そして他の 産業へ労働その他の用役を売る。 各産業が他の産業から購入したものについて包括的なセンサスが行なわれた 9)たとえば,通産省,『⊥共統計表』,を参!損のこと。

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産米連関表の概要 ・−4ユーー としよう。その数値を表1の縦列のマスに記入してゆく。たとえばこのセンサ スによると農林漁業が投入したものほ,それ自身の生産物32,773(単位百万円 .以下同じ),鉱業部門の生産物13,食品加工業部門の生産物4,99Jなどであると する。このときにほ.この数字を,表の最初の縦列に順に言己入してゆく。つぎの 表1はそのようにしてつくってある。そしてその縦列の−・番下のところにはそ の合計を記入する。その数字147,182は農林漁業が,それ白身および家討を含む すべての産業から購入したものの合計である。表1の縦列をすべてこのように して完成する。なお15番目の縦列,家討のところの購入というのは消費支出を あらわす。 これに対して,各産業の販売,すなわちそれ自身への販売(保有のためとそ れ白身でつかうためのもの)および他のすべての産業への販売について包托的 なセンサスが行なわれるとしよう。それを表1の横行のところへ順に記入す る。たとえばこのセンサスからつぎのような数値がえられたとしよう。農林漁 業が,それ白身で使隠するために,その生産物を32,773だけ保有する。そして 鉱業部門に.は81販売し,食品加工業部門に・は56,206販売する等々。これらの数 字を,表1横行のマスに記入する。そのようにして表1が作成される。この表 の・一番右のマスには合計値を示す。その最初のところに・ある数字157,182は農 林漁業の販売したものの合計値を示す。 表1のすぺての横行がこのようにして完成されると,われわれは四国地域に ついて,包括的な資料を系統的にまとめたことになる。そこにはその産業の全 生産高,およびそれのすべての産業への配分に関する資料がまとめてある。 各産業がすべての産業から購入したものの記録に・もとづいてつくった表と, すべての産業への販売にもとづいてつくった表とは,もしその資料が完全に.精 確であれば同じものになるはづである。同じ表がえられるのは販売が観点を変 えれば同時に.購入であることから当然である 。たとえば農林漁業の生産物の 56,206の食品加工業部門への販売(これは第1行,第8列に記入されている)は 食品加工業部門による應休漁業の生産物56,206の購入である。このように表1 は購入と販売をあらわしている。このためそれは産業間の取引表とよばれるこ とがある。

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香川大学経済学部 研究年報 ー 42一 ィJ q︶ ハP 7A 菜 産 の 域 地 国 四 l 表 兼 窯 漁染工物プ 農 鉱 食 筋 ノミ 1 4 1 3 1 6  ̄− 、−

‡十 _・∴三二∴ご_、、

加織 品績 化 学 窯 業 鉄 非 鉄 機 械 力 碗 索 道 輸 不 動 産 そ の 他 家 計 合 計

7’11’5’278’

ヨ;…!壬……f;…J……!;……喜 3……

2,;笥 壬…;Jl霊=莞Il,……喜l;;……喜一l芸…

ー _ _ 10)この表1および衷3ほ.全国表の投入係数を用いで筆者が試算したものである。各部門 に含まれている産業ほつぎの通りである。 ≫農林漁≪米,麦,その他の作物,農産加工仁養蚕,畜産(と殺を含む),育林,素材 生唾,薪炭製造,漁業,水産加工。≫鉱業≪鉄鉱石,非鉄金属鉱物,非金属鉱物,石炭, 亜炭,石油,天然ガス。≫金品加エ≪精殿,製さ粉,味噌,借地,その他の調味料,砂糖, 澱粉,水あめ,ぶどう糖,酒頬(清涼飲料を含む)煙草,植物油,牛乳,乳製品,ぴん ・かん語,パン,栄子,めん頬,その他の食料品厄≫紡禎織物≪製糸,綿紡槍,毛助絞, 麻幼紡,人絹糸,スフ,スフ紡椋,合成繊維紡績,絹,人絹織物,綿,スフ織物,合成 繊維織物,毛織物,麻織物,衣服身廻品,繊維雑品,染色整理。≫パルプ≪製材,合板, 家具,木,竹,藤,杷柳枝製品,パルプ,敵,紙製品。 ≫化学・≪石油製品,ソーダ工業薬品,その他の基礎化学菜品,化学肥料,無機薬品, 合成樹脂,染料,塗朋(印刷インキを含む),農業√ 有機薬品,その他の化学中間製品, 医薬,石けん,化粧品。≫窯業≪セメント,その他の建設用窯業土石製品,陶磁器,ガ ラス製品,その他の窯業土石製品。≫鉄非鉄≪銑鉄,フェロアロイ,鋼,鋳鍛銅品,熱 間圧延鋼材,鋼ノ首,冷蘭仕上及び鍍金鋼材,非鉄金属地金。≫機械≪伸銅品,竜髄ケ−・ プル,アルミ圧延,その他の非鉄金属一次製品 鉄構物,建設用金属製品,その他の金

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・一 夏β−−一 産兼連関表の概要 (単位百万円) 連 関 表 1955年10) 運輸ー不動産

鉄非鉄機械巨富カー商業

その他J家 計l合 計  ̄ 、 ̄  ̄ _ 2,116 227 7,818 1,050 4,648 3,607 260 124 9,250 157,182 4,294 99,615 63,500 45,977 32,820 4,687 21,339 25,929 10,863 35,146 22,280 129,676 33,211 296,296 673,534

1芸】。8:

7 451 一 二、  ̄ − 一 _ 831 属製品,原動機ポイラ−,産業機械,ミシン,カメラ,時計,その他の−・般機械,機械 汎用部品,民生用電気機器,電球,その他の経電機器,電子応用装置関連機器,その他 の電気機器,自動車,三輪番,自動二職車,船舶,その他の輸送機械,機械修理,建設 補修,印刷出版,石炭製品,ゴム製品,皮革製品,はきもの,玩具,楽器,撃記具,そ の他の製造業,都市ガス。≫・電力≪事業用電力,自家発電。 ≫商業≪歯糞。≫遊愉≪運輸(倉雌を含む),通信放送。≫不動産≪不動産,金融, 保険,飲食店,娯楽,対個人サ−ビス業,対事濃所サ−ビス菜,医療保険,教育研究機 関,家計外消費,事務用品,梱包,鉄屑,非鉄金属鳳 その他の風上下水道。≫その 他≪住宅,非住宅,公共事業,その他の建設,分類不明。 以上ほ列と部門と行部門における内容が同じであるが,家計濫ついてはつぎのような ちがいがあるから注:に丈しなければならない。 ≫家計(行)・≪家封消出,非営利団体,政府消乱 在畔増,民間固定資本形成。政府固 定資本形成,輸出,特需,競争輸入,移出,移入,(家計のところの数値がマイナスに なっているのほ,この移入が多いものである。) ≫家詔(列)≪非㌫∠糾輸入,l制妾税および税外負軌 補助金,勤男所得,その他の付加 仙他,資本減耗引当。調整項目。

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香川大学経済学部 研究年報1 ー・∫イ ーー エ96」

(ii) 資 本 形 成

最初に述べたように/四国地域の経済ほ発展している。この場合にも上述の数 値表をつくることができる。すなわち各産業についてすべての産業から鱒購入 およびすべての産業への販売に関する数値を集めることができる。しかしなが ら四国地域の経済が発展しているとき,あるいはその開発の問題を研究するた めに.は,経済の資本量すなわち工場,設備,社会的施設など生産能力の増強に. 使われた資源に/ついて知ることが望ましい。そのためには各マスの中にある数 値を(購入者の観点からみて)経常勘定のもの,すなわち今年の生産物の生産 するためのものと,資本勘定のものすなわち資本形成のためのものに分けて示 すのがよい。 こうして資本勘定での取引だけを集めて,それを表1と同じ形に整理するこ とができる。もしこうすることができれば,それを資本形成表とよぶ。そうす ると,もとの表は売手からみても買手からみても今年の経常取引だけを表わす ものとなる。そのためこれを投入産出表とよぶ。こうして作った新しい表,資本 形成表にも15の行と列がある。見出しにおける各産業の配列は上の表1と同じ ようになっている。横行に.そってみると,各産業のそれぞれの産業へ.の今年の 生慮物の販売が記入してある。しかしそれは購入者が今年の生産に.つかったも のではなく,資本形成すなわち資本量の取りかえのためのもの,およぴその増 加に関するものを示している。しかしながら資本取引に関する資料を集めてこ のような表をつくることは難かしい。11)多くの場合こうすることは断念せざる をえない。 けれども四国地域の経済の成長やその開発について考えるために.ほ経常取引 と資本取引とを区別せずに,販売と購入の資料に.もとづく取引表をつくること ほさけなければならない。もしこれをさけないときには経常取引の表と(いま 説明した)資本形成の表の対応する一対の数字の合計を,それぞれのマスに記 11)産業封画会議,『日本経済の資本構造一』,1958年。 HokkaidoInterindustryResearchProject,CouncilforIndustryPlanning.Cap− italFormation Table ofHokkaido,Regio7WlhllerindusiryTable of the Econo鱒γOf.

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産業連関表の概要 ー45− 入した表をえるであろう。このような取引表は経常取引すなわち購入しただけ でなく今年の生産に.つかったものに.ついての統封数値表,投入産出表より意義 は劣るであろう。またそのような表を用いて予側してもその精度ほ非常に患い

であろう。その点を解決するため払われわれほつぎののようにする。すなわち

表1と同じ形のものを資本形成についてもう山つつくることはしない。けれど も経常取引に関する表1に一つの列とを追加する。そしてその列を総資本形成 (あるいほ総投資)とよぶ。この列の数字は各産業の生産高で経済の資本量を 形成するためにつかわれたものを示す(すなわち,もし資本形成表が出来たと すれば,その各行の合討値を示す)。また行も一一・つ追加する。この行紅ば資本 減耗引当という見出しをつける。この行に.は各産業に.おける資本財部門からの 投入額,あるいは資本財の・−・年間の減耗額を示す。この行の各マスに.ある数値 は取り替えのために要求される資本財の大きさを表わす。そして総資本形成の 列の合計から,これ野合計を差引くと四国地域における純資本形成,すなわち 資本量に・対する正味の追加がえられる。 (iii) 在 膵 変 動 また産米連関表をつかってその地域の景気変動を研究するためには資本形成 から在膵変動を分離するのがよい。そして産業連関表に、・一∴つの横行と−・つの縦 列を設ける。その列には在障変動(増加分)という見出しをつける。その要素 は各部門の生産高のうちその年の在膵に追加されたものを示す。その行に.は在 庫変動(減少分う という見出しをつける。その要素ほそれに対応する部門紅お いてつかわれた在膵品の数量を示す。あるいほこの行と列とを一つの列にまと めて在庫純増という見出しのものを設ける。 ここで出あった問題,すなわち部門をくわしくする程度を決める要因は沢山 ある。その中でも重要なものほ資料の収集処理に要する費用,つかえる資金, 現在ある資料の種類,四国地域の特性,研究目的,研究者の好みなどである。表1 においてほ.15の産業分類が使われている。もし追加的費用がかからないのであ れば,もっと大規模な,もっとくわしい産巣分類を用いることが望ましいことほ 明らかである。しかしセンサスおよびその整理のための費用は産弟分類の個数 とともに増加する。であるから,くわしくすることからえられる利益と,費用

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−46−− 香川大学経済学部 研究年報1 J96ヱ の増加とのバランヌをとるようにしなければならない。12) (iv) 政 府 間じようにして政府活動を分離して一つの部門とすることははとんど不可避 であろう。そして15より部門数を増すことが許されないのであれば,他の二つ の部門を一つに・統合するか部門の要素を配列しなおして部門の数を・一一つ減らす ことが必要になる。部門数が多くなってもよいときには,政府の部門を更軋分 けて中央政府,地方自治体などのそれぞれを別個の部門として扱うことが望ま しい。政府の列に・は政府のすべての部門からの購入(政府への投入)が記録し てある。政府の行に・は政府用役のすべての部門に対する投入,あるいは政府用 役のすべての部門に・たいする配分(販売)が記録してある。それほ別の角度か らみるとこれらの部門の政府に.たいする租税支払額を表わす。(これらの支払は 間接的に与えられる用役に対するためのものであるに.すぎないことが多い)。 (Ⅴ) 分 類 不 明 すでに・のペたように,行(すなわち販売)および列(すなわち購入)の双方 から資料を集めることを試みる。統計観察値常ほ誤差があるので,この両面か らえられた資料でお互に他をチェックできる。不幸なことに販売の情報も購入 の情報も欲しい程度の精度で入手することはできない。事実多くのマスについ て販売購入のどちらについても標準の出所から情報を.そられないことがある。 たとえば昭和30年の全国産業連関表の作成に.当っては利用された統計資料の主 要な出所は生産動態統計や工業統計表であるが,それには生産物の他の産業へ の販売についての情報ほ.はとんどのっていない。また使用した原料についての 情報も十分なものではない。このため工学要覧,同業者の組合,および雑誌のよ うな補助的,第2次的情報に頼らなければならない。利用できる情報を収集し チェックし,また資力のゆるす限り新しい資料を集めた後でも,産業の生産物 12)ある研究目的にとって産業分類がくわしすぎるときには,産業分類を統合して集計の 度合の高いものをもとめることができる。これと反対濫ある与えられた産業分類にもと づく産米連関表の資料からはじめて,もっとくわしく分類した産業連関表をつくる こと はできない。

(11)

産業連関表の概要 −47− が配分されないままに.残るものが大量にあるであろう。これは他の産業にたい する販売として割当てることのできなかった生産高である。そのとき,この配 分されない生産高は分類不明という仮説の部門に売られたものと考える。こう してその産米の生産高は・一一応全部説明できるようにする。そしてその列に・ほ分 類不明という見出しをつける。その項目はそれぞれの産業の生産高で配分され ていないものを表わす。同じように,ある与えられた産業について統計上の証 拠,技術的理由によるうらづけ甲ある購入額を加えたとき,その合計額(説明 されている購入額の合言「)が総生産額に甚だしく足らないかもしれない。購 入額の合計(賃金俸給,利子,配当,地代および利潤を含む。それらは種々の 家計用役の購入額を表わす。)ほ総生産額に等しいのであるから説明されている 購入合計と総生産との差ほこの仮説部門からの購入と考えなければならない。 これも分類不明とよはれる。このように.して一つの行を追加する。その各項目 はそれぞれの産業について,説明されなかった購入額を表わす。産業連関表の 作業が進むにつれて,分類不明の行および列に割当てられた額を減らすこ.とを 試みなければならない。

(vi)輸 出 入

われわれほこれまで説明の便宜上,四国地域のわが国のその他の地域(およ び外国)との取引関係に.ついてほ何も述べなかった。けれどもこの取引関係ほ 実際にほ非常に緊密である。そのためここでこの関係に.注目しよう。ただし, しばらくの間は四国以外の地域は,外国だけであってわが国のその他地域との 取引関係はないものとしよ・う。あるいは,わが国のその他の地域と外国とを一・ 緒にして,ここでほその他地域とよんでおこう。そしてそれとの取引をあらわ すために.四国地域の連関表紅もう一・つの列(輸出の見出し)と行(輸入の見出 し)を追加する。(この輸出には移出を含めておく,輸入に/ついても同じ。)そ の列ほ四国地域の各産業の外国への輸出額を示している。このように.しておく と生産物がその地域内の産業だけでなく,地域外へも販売されることがわか る。またその行に.ほ四国地域の各産業について,外国からの輸入額を示す。こ のようにすると投入物が四国地域内の産業以外にイ也の地域からも入ることがわ かる。

(12)

香川大学経済学部 研究年報1 −4β−− ヱ961 輸出入を処理するもっと別の方法がある。それほ上で述べた輸入の行を二つ に分けて,競争輸入と非競争輸入とに.区別するものである。非競争輸入は生ゴ ムのようにそれに.対応するものが地域内で生産されないものの輸入である。こ れはそれを最初に消費する産業における投入として示す。けれどもこれの消費 している産業の産出高に追加することほしない。これに対して東南アジアから の米の輸入などは競争輸入として−扱うが,地域内のそれに対応する産業に.おけ る投入と記録すると同時に,それだけ地域内のそれに対応する産業の産出高が 増加すると考える。地域内の産業の生産高の(仮想の)この増加は,すべての 産業に対して配分される。このちがいがあるために.この競争輸入だけを列部門 に移し控除する方法もある。 またここに表われたその他地域ほ・一つに.まとめなければならないのでもな い。四国地域が日本におけるその他の地域に対する依存度が大きいだけでな く,海外に.対する依存度が大きいときには移出入と輸出入とを区別するのがよ いであろう。 (vii) 移 出 入 輸出と輸入を取り扱うもっと進んだ方法がある。それは輸出と輸入のそれぞ れを分解する方法である。まず最初にそれを輸出入と移出入に.分解する。つづ いて後者を更にくわしく分解する。それをするためにいま四国地域の産業連関 表と同じ性格の連関表が,わが国のその地域についてもあるとしよう。そして (1)四国地域の任意の産業の移出は,その他地域に.おいてそれを受取る産業ごと に分解する。また(2)四国地域の任意の産業の移入は,その他地域に.おいて,それ を送り出している産業どとに分解する。いまこのような分解が四国地域の移出 および移入について行なわれたとしよう。そのときにほ,その他地域の各産業 についても,その移出の四国地域の受取る産業ビとの分解、および移入の四国 地域における送り出している産業ごとの分解ができているであろう。 さて,ニつの地域のそれぞれに.ついて産業連関表が作られているとする。そ のうえ,それぞれの地域の移入と移出について完全な資料がととのっていると する。これにもとづいて各地域の各産業の移出をつぎのよのに分解する。す なわち四国地域の任意の産業からその他地域への輸出を,他地域の産業ごとに

(13)

産業連関表の概要 −49− 分ける。またこの資料に.よって四国地域の任意の産業の,その他地域からの移 入を,四国の産業どとに分解したものをもとめる。こうして表2のような地域 相互間の産業連関表をつくる。 表2に.は4っの大部屋がある。それを実線で仕切っておいた。左上の隅の大 部屋は表1の形の四国地域の産業連関表である。右下の大部屋はその他地域の 産業連関表である。さて任意の行たとえば第1′行に注目しよう。左側の大部屋 において−この最初の行ほ,四国地域の農林漁業の四国地域のあらゆる産業に対 表2 四国地域とその他地域との地域相互間の産業連関表1955年

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香川大学経済学部 研究年報 1 −βク ー J961 する販売を示す。右側の大部屋に.おいてほ,この最初の行ほ四国地域の農林漁 業の,その他地域のあらゆる産業に.対する販売を示す。いうまでもないことで あるが,右側の大部屋における資料を合計すると,四国地域の農林漁業の,そ の他地域への移出額がえられる。同じようにノして他のどの行も,それに.対応す る地域の,それに対応する産業の,双方の地域のすべての産業に対する販売高 を表わしている。このように.行に注目すると表2ほ地域内および地域外への販 売を完全に表わしている。 つづいて表2の列に注目しよう。そのため第1列について考えよう。上側の 大部屋でほこの列ほ四国地域の農林漁業への投入のうち四国地域のすべての産 業からのものを示す。この第1列は下の大部屋でほ四国地域の農林漁業への, 他地域のすべての産業からの投入を示す。下の大部屋における第1列の資料を 合計すると,四国地域の農林漁業のその他地域からの移入合計がえられる。同 じように他のどの列も,その地域のその産業に/ついて,双方の地域のあらゆる 産菜からの購入を示す。このように列に注目すると,表2ほ地域内および地域 外からの購入を完全に∴表わしている。 このような資料が,四国地域およびその他の地域にンついて入手できれば,分 析に.とって非常に大きな価値がある。しかしこのような資料を収集することは 極めて困難である。また他面からいって,どのような問題を研究するにもこの 資料を集めなければならないというのではない。これらの資料の収集整理には 巨額の費用がかかるので,移出入の取引が大きい地域,あるいほそれが重要な 地域でのみそれを収集すればよい。移出入の取引力革比較的小さい地域について は,このような収集を省略して最初に.述べた表で十分であろう。13ノ 地域の産業連関表(移輸出と移輸入はそれぞれ一一一・つの行山・つの列に集計され ているもの。)においてさえ手に負えなかった資料の問題は,表2のような地域 相互間の産業連関表において−はもっとひどくなる。表1において要求される資 料のはかに衰2のためにほ.,(1)移出の列の各項目を,その他地域のそれを受入れ ている産業どとに分割すること,および(2J輸入の行の各項目を,その他地域の 13)岡山県の産業連関表においては中間の型態がとられている。すなわち表2の上半分の 形のもの,岡山→岡山,岡山→近敬,岡山→他地域のものが作られている。注8の文献 60−63ぺ−汐を参照のこと。

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産業連関表の概要 一 朗− それを送り出している産業どとに分割することが必要である。多くの場合,地 域間の流れをこのように分鰍するための資料は.はとんどない。あるいは極めて 不完全である。汽車優による商品群の他地域への輸送に.ついてほ.,国鉄の輸送 統計がある。これほある地域からの出荷に関するものである。けれども特定の 商品を,特定地域で受入れたときにも,その地域内でそれを使っている産業ご とに.分解することは.していない。14)(3)海上の船舶による運送についてほ,運輸 省の港湾統計に,海上出入貨物について品種,輸移出および輸移入の数鼠,価 格,仕向地ないし仕出鶴が記載されている。しかしその品目ほ連関表で要求す るはくわしくは.ない。15)また最近重要性が増加しているトラック輸送について の資料も不可欠であろう。しかしこれに.ついての資料ほ非常に乏しい。これら の資料の欠陥のために.地域経済の研究に「使えるような地域間の産業連関表はま だはとんど作られていないといえよう。1¢)これまでに.地域分析においてつかわ れた産業連関表ほ多くは地域間のものではなかった。そこでは移輸出ほ一つの 列に集討されており,移輸入はたた一つの行に集計されている表1のタイプの ものであった。 ⅠⅠⅠ うえでは統計数値表としての連関表について■述べた。それはつぎの点で役に 立つ。(1)地域経済およびその種々の産業の相互関係に・関する大最の情報を,か なり簡潔に.,しかも内在的に首尾−、買した方法で記録している。(2)資料収集機関 および経験的研光機関に統計⊥の訓練を施す。17)(3)それは資料に.おける欠陥を 14)国有鉄道統計報告一覧滋参照のこと。 15)その個数は数十であるが,連関表で要求している個数は数百である。 16)【純酉地域の産米閑適衷はその例外である。注5)の文献を参照のこと。 17)それは資料の収集機関が共通の定義,概念,術語を用いることを不可避紅する。これ は二遷につくって余分の費用をかけたり,重複した努力をついやすことを避け,そうし でその結果できる統計値の比較可能性や有用姓を増すであろう。

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香川大学経済学部 研究年報1 −尻2− ヱ96ヱ 蒙3 四 国 地 域 連 関

農鉱食紡パ 化窯鉄機電 商運不そ

業工物プ 学業鉄械力 業輸産地

9 8 9 7 3 へJ 9 1 1 2 5 7 3 4 9 2 1 0 6 1 4 6 7 3 1 5 3 2 1 2 加織 品楕 9.4 7 2 8 4 9 1 1 ごU 3 0 ウ血 ︵u 2 2 1 a ▲亀 3 00 1 1 4 2 4 3 1 1 1 9 ル 非 動の 4 8 1 7 4 8 2 2 1.1 6 6 4 6 q佑 7 1 1 3 1 2 1 249.5 2。1 8小5 65..7 43.5 16.7 24い3 50い4 82 8 5 6 2 3 8 1 6 0 0 ﹁〇 7 1 2 1 2 9 5 0 0 1 4 7 9 9 2 2 7 1 7 4 2 2 2 ﹁J O 8 6 a 2 ワト 7 1 1 2 1 4 1 8 2 9 6 9 ︵︾ り加 7 5 3 4541131.2 明らかにし,それをみたすことを助ける。18)また(4)地域経済を記述しその主要 産巣の大きさや他との比較を便に.する。しかし産業連関表にはもっと有益な用 途がある。それほ主要な産業部門の生産高の大きさを予測するために利用する ことができる。(三つ目の利用すなわち,生産の最適のパタ−ソの決定濫.つい てほ地域間線型計画法(活動分析法)と関連がある。) 18)それほ統計資料が欠けているとき紅、その数値を推測する方法を示す。たとえば農家 ほ十分な記帳をしていないので,虚業についでセンサスを行っても,虚業から他のある 産業への販売高をもとめることができないかもしれない。しかしながらこの産業が農業 から購入したものの記録を調べることによってその販売高を知ることができるかもしな れい。また各産業について,投入額合計と産出額合計とほ等しくなければならないとい う関係がある。(賃金,利子,配当地代などは家引用役の投入に対する支払として扱って いる。)したがってその産業の全産出額およぴその産業の農産物以外のすべての購入額に ついての記録をもっておるとき紅は,その産業に対する農産物の販売高を推定すること ができる。あるいは,もし農菜の全産出額および考慮中の一つを除くすべての産業に.よ る農産物の購入額の記録があれば,それを推定することができる。

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−∂β− 産業連関表の概要 表 の 投 入 係 数 表 (単伯円) 不動産トその他

業㌫M

鉄非鉄l機 械1電 力 林 農鉱金筋パ 4 5 〇.L 2 漁∵芙工物プ 学業鉄械力 業輸産地 7 7 2 0 8 ︵は,⊥ 0 8 ︻a 1 6 3 8 9 1 2 9 2 0 0 5 L 1 5 1 7 102.9 2.3 0..7 6 6 0 1 7 0 7 1 4 5 2 3 7 4 8 9 3 2 0 0 2 9 8 7 6 動の 非

化窯鉄機竃 商運不そ

8 0 9 3 6 7 2 0 1 7 3 9 7 3 2 3 0 4 9 5 0 1 7 6 4 4 6 8 つ︶ 4 4 2 1 0 6 2 1 1 1一 _ 連関表は記述するだけでなく,それを予測に利用することができる。そのた めに.は仮定をもち込まなけれほならない。そのもっとも基本的なものは投入係 数の不変の仮定である。ここではその投入係数について考えよう。その例とし

て前に述べた表1の第4(縦)列をとりあげよう。その列に・は昭和30年に・おい

て各部門の紡績織物業への投入高が列挙してある。その列の一番下のところに は昭和30年の紡績織物業の投入額合言†,したがって産出額合計が記録されてい る。この合計でもってその上方に記入されている投入額を割ると,紡績織物業

の生産額1円当りに使用された各種の投入額がもとまる。この投入額を表8の

第4列に.記入しておいた。(ただし表8においてはこれをさらに・1,000倍したも

のを示しておいた。したがってそれは,紡鍛織物業の生産額1,000円当りに必要

な投入額を示している。)これと同じようにして,表1の他のすべての列につ

いて,一・番下にある合計額でもってその列に記入されている投入項目を割る0

そうするとそれぞれの産業について,その生産額1円(あるいは1,000円)当

りに必要な各種の投入額がもとまる。このように・して衷3ができる0そこには

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香川大学経済学部 研究年報1 J96ヱ ー54− 昭和30年の四国のすべての産業について,その生産額1,000円当りに必要とさ れた各種の投入額が記録されている。これをわれわれは四国地域の産業連関表 の投入係数表とよぶ。 ここでこの投入額が,生産額の大きさに.かかわりなく,生産額1,000円当り について必要であると仮定する。これが投入係数一定の仮定である。これにつ いてほ,この仮定があては.まるような情況,あてほまらないような情況がある ことはいうまでもない。例としでアノ㌣ミ塊の生産をとりあげてみよう0アルミ 塊の生産が上昇すると,それにつれてアルミナ・と電力の投入ほ同じ歩調で増加 する。すなわちアルミ塊1,000円当りに使用されるアルミナと動力の昼ほたい して変化しないと仮定しても,それはかなり現実的である。ところがこれに対 称的なものに蘭塊の生産がある。鋼塊の生産額が変化するにつれてその投入構 造ほ変化する。たとえば鋼塊1,000円当りの鉄と銑鉄の鼠は変化することが期 待される。その変化は屑鉄,銑鉄,鋼塊の価格の変化とも関連がある。このよ うな場合には投入係数一定の仮定に.ほ問題がある。その妥当性についてほ後で 検討しよう。 さてつぎに地域相互間の状態をあらわすもの,すなわち表2の形で表わされ ているものに.ついて考えよう。それに.ついても上と同じように考える。すなわ ち衰2のどの列も,その地域におけるその産業について,四国地域およぴその 他地域の双方の各産業からの投入高を示している。そしてたとえば四国地域の 農林漁業の全生産額(あるいは仝投入額)でもって,その表の対応する列に・な らんでいるそれぞれの数字を割る。そうすると,その生産額1円当りについて 必要な投入額が,産業どと,および地域ごとに.もとまる。すべての地域のすべ ての産業についてこのような計算をする。そしてその結果えられる数値を表2 と同じような配列に記録する。そうすると生産額1円(あるいは1,000円)当 りに直接必要とされる投入額の表がもとまる。これを地域間の産業連関表の投 入係数表(あるいほ地域間の投入係数表)とよぼう。このように.して出来る表 の表2に.対する関係は,表3の表1に対する関係と同じである。 ここで四国地域その他地域のすぺての産業からの直接投入高が,生産水準 にかかわらず・山・定のままであると仮定する。これが地域間の投入係数一・定の仮 定である。たとえば仮りに昭和30年に四国地域の紡績会社が生産高1,000円当

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崖光連関表の概要 −55− りについて,四国地域で生産された磯城15円およびその他地域で生産された機 械3.7円を使っているとする。このときわれわれほ.,生産高1,000円当りに使わ れる機械の地域間の供給のパターンが,四国地域内の電力,化学製品などの投 入のパター・ンと同じように一・定であると仮定しているのである。もう一−・つの例 を述べよ・う。仮りに.昭和30年に四国地域の題業が平均して,その生産額1,000 円当りについて,四国地域の食品加エ6.0円,その他地域の食品加工を3.9円, 四国地域の木材紙パルプ150円,その他地域の木材紙パルプを40.7円,四国地 域の化学製品40.0円,その他地域の化学製品12…7円などを投入しているなら, われわれはこの地域どとの購入のパター・ンも一−・定であると仮定している。(も ちろんわれわれほその前に.,四国地域の農業ほその生産額1,000円当りについ て,任意の項目,・たとえば織物の投入勧が,どの地域のものであるかは問わず, 一定であると仮定している。) 後でわれわれほ投入係数一定の仮定の妥当性について考える。もしわれわれ がそれを受け入れるなら,それを用小て種々の予測をすることができる。たと えば地域間の人口移動,四国地域からその他地域への移動の衝撃をたずねるこ とができる。(それについては後で述べる。) ⅠⅤ ある部門に.おける財貨用役の投入高(必要高)は,経済外的要因(たとえば戦 争など)によってかなりのところまで説明できるものもある。そのときには, それを産業連関表を利用して説明を試みない方が賢明である。それでつぎの二 つを区別するのがよい。(1)外生部門および(2)内生部門。この後者の数値ほ一風 の投入係数を用いて説明しても,それを相当信頼することができるものであ る。それでわれわれは投入係数をもとめるに当って,はじめにこの外生部門に 関係のある行と列とを取り除いいておく。 何を外生部門と考えるか。それほ当面している問題,研究している地域,そ の発展段階,その他地域との関係,新しい資料の収集処理に要する費用,その 他の要因によってきまる。政府の部門は活動はほとんど例外なく外生部門と考 えられる。これは一・部に.はその活動の水準をコントロ−ルする要凶の多くが政

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香川大学経済学部 研究年報 1 J96ヱ − 56 − 治的社会的であるという事実を反映している。これはまた,われわれが郵便, 消防,警察,ごみの収集などの政府の活動を説明するにあたって,適当な資料 や研究を持ら合わせていないという事実を反映している。そしてその大きさは 一組の係数を用いて近似値をもとめることを試みても,信頼できる数値をもと めることはできない。 海外への輸出もまた多くの場合外生部門として取り扱われる。特に.もし輸出 がその地域の経済にとつでそれはど重要でなければそのように.取扱うのがよ す。また特に輸出が他の地域との経済的関係でなく,政治的要因に.よって説明 いる方がよく説明できるときに.はそうである。けれども自給自足の度合が低 く,外国貿易に対する依存が大きい地域では,上述のような研究をしたり輸出 を輸出先の地域の経済に結びつけるある種の地域間の放構をつくることの必要 性ほ多ぐなってくる。すくなくともその輸出(および輸入)の一・部を内生部門 に含めなければならない。 在庫変動(追加分)も外生部門として取扱われることが多い。生産者や卸小 売商によって保有されている商品在庫の大きさは,定数係数によって簡単に・説 明でき・るものではない。この大きさは技術的にきまるものではない。それは企 業者の予想その他の社会的経済的ならびに心理学的要因によって−相当のところ まで説明できる。 家計は外生部門として取扱われることが多い。こうする理由ほ何か。産業連関 表を用いての分析に.おいては定数係数が用いられるが,その底紅は.生産高と投 入高との間に技術的関係があると考えられている。け■れども家計の生産高(す なわち家封の所得を生む労働その他のサ−ビスの提供)の水準と,投入として の家討の消政文出との関係はこのような係数で説明できないからである。 最後に.産業連関表を用いる普通の(すなわち静学的)タイプの分析に.おいて は資本形成の部門が外生部門として扱われている。これは一つの便法にすぎな い。そこにはつぎの二つを説明することが断念されている。(1)事業,政府,そ の他によって投資の決定がなされる過程、および(2)資本形成の水準とそれに対 応して必要とされる投入高の水準。したがって取引表(衰1のような)に記録さ れている販売高や購入高から資本勘定に.おいて取引されるものを分け,資本形 成という見出しの一つの外生部門の列に,その生産物を生産している産業ごと

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産業連関表の概要 − 57− に分けて記録することが不可欠になってくる。そうすると,経済が成長し生産 設備の蓄積を可能にするために経済に対して今年要 ̄求する星が明らかになるだ けではない。また取引表に.は今年の生産に膚接関係のある販売購入を残してお く。そうするとそれから意味のある係数を計算することが出来る。これらの係 数は今年の生産に膚按関係のない,しかもきわめて変動し易い資本取引に.よっ てゆがめることはないであろう。 このようにして典型的な産業連関表に.は一組の外生部門が含まれる。この部 門の活動水準および必要(投入)高はそのモデルに.よって説明されるものでは ない。それは経済外の要因,あるいほ地域間の定数投入係数が用いられるとき 反映されている技術および市場関係とは別の要因で説明されるものである。こ の便法をとることに.よって,われわれの仮定する常数係数をそれを用いること が適当でないところへ,むり強いすることをさけることができる。それと同時 に,そうするためには外生部門に.おける数値について確実な推計をしなければ ならない。それは前もって定められていなければならない。しかも予測される 結果ほ最終審要の推定値の精度を超えることはできない。このために,最終需 要のいろいろの推定値についていろいろの予測が試みられることがある。 Ⅴ しかしながらこのような予測は,投入係数一定の仮定の妥当性に.もとづいて いる。つぎに,これに.関する問題に月を転じよう。そのはじめに.伝統的な経済 分析が,生産高1単位当りの投入高の変化をひきおこす要因の研究に/むけられ ていることを思いおこしておこう。そうして生産高が変わるとき生産高1円当 りの投入高を変える要因について考えておこう。その一つは大規模生産の経済 である。これはほとんどの産業において成立するであろう。また同じような設 備が一カ所にあつまるために,あるいは似ていない設備でもそれが一カ所に集 まりコンビナートを形成するために.,外部経済が生じ,それによって生産額1 円当り紅必要な投入額が減ることもある。これらの経済ほ,投入係数が技術的 関係を反映して定数であるという仮定を否定する傾きがある。他の重要な要因 は仙格である。現実の経済に.おいては個々の価格が変化している。そしてこの

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香川大学経済学部 研究年報 1 J96リ ー・5∂− ような価格の変化が投入物の間の代用をひきおこす。銅塊の生産においては銑 鉄と屑鉄ほ.こうして代用されることが多い。 さらに定数係数を使用することに.とって都合の悪い要因ほ.,利用できる資料 の制約に関係がある。統計数値は経常勘定における購入と資本勘定に.おける 購入とを区別できるように.は作られていないことがある。このため取引塞から 引算された投入係数ほ資本取引が経常取引と混っていて分けられないためにゆ がむかもしれない。そのうえに.種々の生産物をびとまとめ軋して取扱うため紅 起る困難がある。これは取引表が生産物のベイスではなく,設備あるいほ産業 をベイスとして作られることから起る。たとえば生産物を何種頬も生産してい る企業に.おいて,全生産高の申紅おいて個々の商品の生産届の占める割合が変 るとしよう。このときにはたとい個々の商品の生産について投入係数が本当紅 −・定であっても,上のようにして求めた投入のバク−ンは変化するであろう。 この問題ほ取引表あるいほ投入産出表をつくるに当って,産業のペイスでそれ をつくらず工程あるいほ生産物の品目のベイスでつくることによって解決でき る。しかしながら,経済濫おいて生産される商品の種類は非常に・多い。それでど のような産業連関表をつく.っても,それまで識別することができるようなもの をつくることほ出来ない。 そのうえ将来の予測に連関表を利用するときに.ほ,技術の進歩が定数投入係 数の妥当性を制限する。投入係数は基準の年の技術構造を反映しているにすぎ ない。けれども技術の進歩のために必要とされる投入額がかなり系統的紅変化 して−いるときに.は(電力の生産紅必要な石炭についてはそ・うである)係数ほ将 来の生産を反映するように.適当に.変えてつかうことができる。しかし技術の進 歩(新製品の導入を含む)を予想することができないときにはこの困難は克服 できない。 産業連関の技術ほ.その機構の中に.予測できない技術変化(および新製品)を くみ込むことほできない。われわれほこれを承認しなければならない。しかし 考えてみると,現在ある社会科学の技術でこれをとりいれることができるもの はない。現在のような動態的な社会においてはどのような予測も必ず不完全で ある。それと同時をこ不完全であるけれども予測はしなければならない。直槻と 予感と一緒に.して予測するときに.は,産業連関表を利用しての予測が直観と予

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産業連関表の概要 −59 一− 感だけに.もとづいたものより患い結果を生むことほない。さらにつぎのように 述べることができる。すなわち詳細な,系統的な,首尾一一個した産業連関表の機 構をつくるときにほ,技術変化の重要な可能性を見落すことがすくなくなる。あ りうる技術変化についての・一層完全な,そして一層つり合いのとれた評価をす ることができるように.なるであろう。そのような変化の評価は,産業連関表に おいてほ.係数を変えることによって,そして新しい産業の行と列を追加するこ とによってとり入れることができる。 これに・関連して表1の取引表からえ.られる表3の係数(あるいは表2の配列 の表からえられる係数)が,基準の年に.関するものにすぎないことを心に.とめて おかなければならない。それらは他のものを見るための基準として用いること が出来る。そして技術の変化などに.ついての新しい情報が手札入るときにほ基 準の年の取引からえられた古い係数の代りに.新しい情報にもとづいた新しい係 数を用いるという形でこの情報をとり入れることができる。たとえば技術上の 情報によって−,農林漁業の生産高1,000円当りについて−,農薬などの化学工業の 生産物に対する支出が予測の年に10パーセント増えるようになったとすれば, われわれは表8の第6行第1列の係数52.7のかわりに58.0の数係を用いるであ ろう。(それと同時に.列の係数の合計ほ1,000とならなけれほならないのである から,第1列の中の他の数を適当に変えなけれほならない。)理想としてほ基準 の年からえられた係数を用い、ることは最小限度にとどめるのがよい。調査した り,技師,立地論,市場論の専門家,樽走の産業の専門家,その他の社会科学 者から,予測の年のそれぞれの部門の特徴の描写すると思われる投入構造,お よび支出のバク−ンについての情報を最大限集める。けれども実際問題として はそのような情報を収集することほ困難であり,それには費用がかかる。基準 年の妥当性ほ限られており欠陥があるにもかかわらずそれにかなりの程壁まで たよらなけれぼならない。 また大規模生産の経済があることを考慮することもできる。そのような態度 ほ慮業連関によつて限られた範囲で予測に用いることを妨げるものでは.ない。 将来は産業がも、つと効率的に操業されると仮定しよう。設備の大きさや種々の 投入の使周高がはぼ最善のところで商品が生産されるよ・うになると仮定しよ う。このときには最善の生産規模と生産方法に・よる投入高に対応する係数を用

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香川大学経済学部 研究年報 1 −60 − J96ヱ いることは.,たとい大規模生産の経済がすべてのエ場において完全に実現され なくて−も許されるであろう。あるいは,もっと現実的な考え方としては,基準 の年と同じ程度の不効率(および経済的非合理)の状腰が予測の年に.もあると 考えてみてもよい。基準の年の係数を,予想される技術変化およびある程度の 大規模生産の効果のために,特に将来の多くの不確実さに照して調節して使う ことは不合理でないであろう。異種の工場が集中するため,類似の工場が集中 するために起る経済について二者えるに.あたってもこれに似た考慮を払うことが できる。そのうえ今年の生産高の水準紅対しては「平均的」係数を用い,そし て生産高の拡張(または収縮)分にたいしてほ別の係数「限界係数」を用いる 方がよいかもしれない。 また個々の価格の変動を考慮に.入れることもできる。時としてはこの変化は 賃金の上昇にともなう石炭価格の上昇,あるいは新しい製鉄所の建設による鋼 鉄価格の上昇から予想できる。われわれはこのような変化のために起る投入物 の間,および取引経路の問の代用をできるだけ推測する。そしてそれに・応じて 係数を変えることができる。他面,価格が変化するにもかかわらず,文化的,制 度的要因(習慣,癖,慣性を含む)のために.,供給経路,生産技循,および消費 のパター・ンが固定的であることがしばしばある。こういう点も見落してはなら ない。また巨額の輸送費を要する商品,たとえばレンガ,セメント,ガラスに・ ついては,一一地域のある産業にたいする供給経路のパダーンほ,その地域の需 要が少し変化しても,たいして変化しないであろう。そのうえ生産物の特性の ちがいが・一地域の生産物を他のそれとほっきり区別することがある。いうまで もなく地域間の産業連関システムは,相対価格が安定しておればおるはどうま く適用できる。このため価格を予め指定しなけれぼならない状況に・おいては適 用し易い。新しい開発計画紅おいてはそうであろう。価格を少なくともある商 品について前提して地域間の利益を決めなければならないところでは,地域間 の産業連関表を用いて予測することは有益であろう。例として発電に適した地 域が開発され,新しくアルミ塊が移出できる場合について考えよう。この地域 でアルミを生産することを決定する前に,その事業の利益について計算しなけ ればならない。その計算がしっかりしたものであれば,それには動力費,輸送 費,いろいろの原羽料の引渡価格,食物その他労働者の食料を構成するものの

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産業連関表の概要 −6ヱー・ 価格などが含まれるであろう。こうして価格出用の封算の背景が描写され,そ してその開発計画をほじめるという決定がなされるなら,地域相互間の産業連 関表ほ雇用,人口数,住宅および社会施設の必要巌,動力の生産高,地方産業 の生産水準,そして可能な移出産業,地域所得,その地域への商品の流出流入 などについて予測するのに威力を発挿する。地域間の連関表の作成に・おいては 与えられた地域の各部門に.ついて一・連の関連のある投入係数を推定することが 必要である。ところがこの地域に.は基準になる資料がない。それでこのような 推定ほ,工学的な推定,比較できる地域における経験,資料,市場論,産業立 地論,その他の源に.おける情報や研究に.もとづいてきめなければならない。こ うして地域間の産業連関表を伸縮的軋用いるときに.ば,その利用の可能領域は 非常に・大きくなるであろう。 地域間の産業連関表の利用に.ついてほ限界がある。そうではあるがそれを予 測のため∼こ使用することは近似値をもとめるための手続きとして許されるであ ろう。もし地域間の産米連関表の構造の変化を予見することができ,そしてそ のために.係数を変えることができれば,その結果えられる予測はそれだけよく なる。同じように,予測すべき年が基準の年に近かければ近かいだけ,すなわ ち測るべき変数が,大きさや構成に.おいてほもとより,時間に・おいて,近けれ ば近いだけ,予測の精度は高くなるであろう。 最後に.定数投入係数の仮定にもとづいた予測にたいしてほ・一般的につぎのよ なう批判がされる。そのような予測ほ企兼,消費者,政府のなす選択や決定の 役割をはとんど認めていない。消費者と企巣者の心理,政治情勢,その他の重 要な変数に.対する強調が足らない。地域経済について機械的に.考え.る傾きが大 きい。資源の制約,時間の遅れ,収縮と拡張の速さをおさえたり制約するとこ ろの摩擦や障害物は一般に無視されている。あるいは十分強調されていない。 特に孤立した地域経済でなく開放型の地域間の産発達関表に.ついて考えると きにほ,定数係数の仮定を用いることに対する異論ほ増加する。(けれども一方 で分析能力が増加することを考慮に入れなければならない。)地域間の投入係数 一定の背後にほ任意の商品の数個の地域に.おける価格比が安定していると期痔 されているが,その理由は何か。いいかえると一・産巣のある投入物についてそ の供給の地域ごとのパタ岬ンが変らないと考えられる理由は何か。地域間の価

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− 62− 香川大学経済学部 研究年報1 J961 格の較差は各地域の必要が変るにつれて変化するであろう。また生産能力の限 界,地域の鉱物埋蔵地,種々の限界生産費あるいは労働供給が限られているこ と,企兼が一一カ所に集中あるいほ地方に分散することによる経済などのため に・,投入物の地域的パター・ンほ変化するであろう。 これらの地域間の産業連瀾表の利用に.ついての限界を列挙し,また資料が不 十分なための制限などについて考.えてゆくと,この表を予測に.用いてほたして 効果があるのかどうかを疑問に思うかもしれない。しかしながらこの産業連関 表を伸縮的に・用い,またそれを他の分析方法でもって補うなら,それが威力を 発揮することは明らかである。 ⅤⅠ ここで産業連関表の利用方法について,もう少し具体的に説明しておこう。 いま四国地域の人口が20年後には2倍に増加すると予想されているとしよう。 そして経済学老などの20年後の消費のパター・ンについての考えを聞く。そして 家計の消費支出の品目ごと(あるいほ.それを産業どとにまとめたもの)の推定 値がえられたとしよう。推定値のうち最初のものは農林漁業の生産物の消費に ついでである。それは基準の年の40%増の50,000(嘩位百万円)である。その推 定侶の第二のものは鉱業の生産物の家計購入についでである。それは基準の年 の75%増の10,000である。(これほいうまでもなく仮説の数値である。なお表1 においてほ移入を家計のところに・マイナ.ス項目として含んでいるため家計のマ スがマイナースなとっている○)第三の推定値は食品加工業の生産物に対する消封 支出についでであり,それほ昭和30年の70%増150,000である。等々。叔後に. 「その他」の部門の生産物の家計購入の推定値は餌,000である。これらの推定 値が与えられたときそれに対応する(あるいはそれによって要求される)すべ ての産業の生産高および産業相互の取引高のパダーンはどのようにして予測す るか。 最初に・20年後に家討が消許すると予想される農林漁業の生産物50,000(百万 円)について考えよう。表3の第1列を下に.みてゆく。農林漁業の生産物を1,

000円だけ生産するのにあらゆる産業部門からいくらの投入をしなければなら

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産業連関表の概要 一6∂− ないかを見ることができる。したがって,われわれがこの縦列の数字紅50をか けてゆくと,50,000の農林漁米生産物を生産するために必要とされるすべての 産業からの投入額がわかる。つぎに20年後に.家計が購入すると予想される鉱業 の10,000について考える。表8の2列を下にみてゆくとそこには鉱業で1,000 円の生産物を生産するために必要とされるすべての産業からの投入高が示され ている。この縦列に10を掛けると,鉱業で10,000だけ生産するために直接必要 とされるすべての産業からの投入高をもとめることができる。同じように表3 の3列に上から順に.150を掛けると,20年後に家計が購入すると予想される食 品加工業の生産物150,000を生産するに.必要とされる投入高がえられる。等 々。最後に15列に20を拭けると,家討が20年後に消費すると予想される「その 他」の部門の生産物20,000を生産するに必要とされる各産業からの投入額がも とまる。(あとで百万円単位に.なおす) もしいまこれらの投入高をタイプごとに合計すると,第一ラウンドに・おいて 必要な投入高がもとまる。たと.え.ば仮り石こ50,000の農林漁業の生産物を生産す るに必要な運輸投入高に,鉱業の10,00〇を生産するに必要な運輸投入高,食品 加工業のⅠ50,000を生産するに必要な運輸投入高等々,そして最後紅「その他」 の産巣部門の生産物20,000を生産するに必要な運輸投入高を加えると,第一ラ ウンドで必要とされる運輸投入高がもとまる。同じようにしてわれわれは農林 漁業,鉱業,食品加工業をほじめ,機械,電力,商業,運輸,不動産その他あ らゆる部門が第一一・ラウンドで必要とされるものをもとめることができる。これ ら第一・ラウンドに.おいて必要とされるものは,家討が20年後に消費すると予想 される最終需要の各品目を生産するために直接に必要とされる投入高である。 しかしながら,第一・ラクンドにおいて必要な投入物も生産されなけれぼなら ない。そのためにもまたすべてのものを投入しなければならない。たとえば罪 一ラウンドに必要とされる運輸(最終需要項目を生産するに必要な運輸用役の 総計)ほ19,000であるかもしれない。この19,000の運輸を提供するために・ほ, 播々の投入物−もっとくわしく述べると表8の12列日に.,上から19,000を掛 けることに.よってえられる投入高一を必要とする。同じよう紅塵林漁業の生 産における第一・ラウンドにおいて必要とされるものを提供するためにほ,・一風 の投入を必要とするのであろう。そして鉱業,食品加工業,電力,運輸,等々

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