現代産業国家の2つの型
−−「内部成長型」と「外部寄生型」−−
山 本 筒 一 ⅠはじめにⅠⅠ生産の集積の2つの型ⅠⅠⅠ独占の2類型 ⅠV 2系列の金融資本と金融寡感㈲ Ⅰ 国展的生産資本の再生産構造ほ,資本主義礼金の経済構造の核心をなし,個別 資本はこの仝機構の独立化した−・断片を構成する。われわれの研究の目的ほ, マルクス再生産論の現代資本主義分析への具体化の媒介環をうるために,帝国 主義段階における国民的生産資本の運動を個別生産資本(産業経営体)の運動 との関連において考察し,産業構造の帝国主義的形態に段階=類型規定を与え ることである。 まず,帝国主義の産業構造の段階的特質ほ,現物形態と資本形態との2盈の 観点から考察することができる。第1に,資本主義一・般に固有な生産手段(生 産的消費)の消費資料(個人的消費)にたいする優先的発展が著しく進展する ことである。かかる国民的生産資本の現物形態に.おける不均等発展ほ,農業と 工業との不均衡としていちほやく現われるのであるが,機械制(工場制)大工 業のより高度な発展は,「軽工業」と「重化学工業」との不均等を生みだす。こ の現物形態における「産業の二重構造」は,社会的生産力の飛嘩的発展にもか かわらず階級構成(人間と人間の関係)において「大衆の貧困」が著しく進み, 資本主義の敵対的本性がいよいよ深まったことの物化現象(物と物との関係)に.香川大学経済学部 研究年報13 J974 −β4 − 他ならない1)。 欝2の特質は,国民的生産資本を構成する個別産業資本が,その集積過程に.内 在する結合と支配の矛盾する2奥機2)を媒介として不均等に発展することであ
る。個別経営体における生産諸力のより高度な発展ほ,競争と信用とを媒介と
して「生産の集硫による独占の発生き)」および「支配関係,またはそれと関連
する強制の関係4)」を不可避的に発生せしめる。かくして資本主義的独占体 ほ,内部的支配=経営管理を確立するとともにイ言用と支配とのそれぞれ蒐大な社会機構である銀行と国家と融合ないし癒着することに.より外部的支配=体制
支配を確立して金融資本と金融寡頭制に成長転化する。すなわち,個別資本に よる社会的総資本の結合と支配の歴史的過程は,会社形態→独占形態→金融形 態の順序で段階的に.現われ,究極的に「ただ1人の資本家なり,ただ1人の資 本家会社なりの手に,社会的資本全体が合一・されさ)」る紅到る。まず会社形態 による集中ほ.,それぞれの業種ごとの生産技術的制約に.よって大規模経営が必 らずしも労働生産性上昇をもたらさなくなるために限界に.達し,ついで現われ る独占形態による集中は使用価値的制約により一産業とそれと密接な関連に立 つ産業部門に限定され,これらの制約から解放された金融形態においてほじめ て個別資本に.よる社会的総資本の「結合と支配」は,全機構的なものとして確 立される。このように資本世界は,その運動の過程で必然的に金融寡頭制の支 配を生みだすのであるが,他面それと内的関連をもって広汎に.中小資本を温存 し,これを支配する。この頂点部分の金融資本と底辺部分を担う中小資本との 不均等発展,すなわら資本形態における「産業のこ違構造」が帝国主義の産業 1)レー・エソ『ロシア紅おける資本主義の発展.』全集第3巻第1章参照。ここでレ・−エ ソは,産業構造を基礎とする国内市場にかんする理論的命題としてつぎの5命題をあ げている。すなわち,(1)社会的分業,(2)農業人口の減少紅よるユ業人口の増加, (3)小生産者の零落(生産手段からの直接的生産者の分離),(4)生産物実現,(5) 国民的消費と国民所得,がこれである。(1),(2)は,単純商品生産の命題であり, (3),(4),(5)は,資本主義生産の命題である。 2)大塚久雄『株式会社発生史論』,著作集第1巻,第3牽発1飾;『講義草稿 企業集 中論』著作集第10巻参照。 3)レ−エソ『資本主義の最高の段階としての帝国主義』,全集邦訳第22巻,230ぺ−ジ 4)レ−エソ,上梅香,238ぺ一一汐 5)マルクス『資本論』(向坂訳,岩波文庫版),第4分冊,119ぺ−ジ。現代産業国家の2つの型 −β∂− 構造の第2の特質をなす。 さて−,帝国主義の基礎範疇をなす金融資本は,各資本主義国において異なっ た歴史的・具体的機構をもつのみでなく,各国資本主義の再生産構造との連繋 にもさまざまな類型的特質が認められる。われわれは,資本の類型構成の観点か ら資本循環に‥おける生産と流通という矛盾する2契機を媒介にして基準=「生
産優位勢」と対極=イ流通優位型」との2系列の金融資本循環を析出し,展開
=この2つの型の対立とその発展,を明らかにするい。この類型的二重構造ほ, 十国民経済内部にも認められるが,さらに国際比較の視角から「内部成長型」 と「外部寄生塑」という現代産業国家の2類型の設定に・導くア)。 本稿は,イギリス帝国主義の産業構造分析の基礎視角を設定するために資本 義的再生産の−・般法則が,帝国主義段階においてどのような形態で具体化され るかの一応の見取図を引き,帝国主義の基本構造=対抗・展望を示すことを課 題とする。 ⅠⅠ (1)エ場制度のより高度な発展 機械制(工場制)大工業ほ,資本主義の最高の工業経営形態であるが,その本質的な標識をなす機械体系編成の技術水準の上昇につれて,たえザ自己発展
をとげてゆく。すなわち,国民経済における工場数の急速な増加とならんで, 中小工場から大工場へ,さらに巨大工場へと工場規模の拡大が進行してゆく。 かくして「資本主義の最後の言葉8)」である工場−・般は,社会的生産力発展の基動として資本主義的生産様式発展・変革の基本線をなす。そこでまずわれわ
6)松田智雄「ドイツ資本主義構造論に寄せて」,川島・松田編町国民経済の諸類型」, 498−503ぺ・−ジ参照。 7)この類型化紅ついては,大塚久雄教授の重商主義期の産業構造の2類型一内部成長 型と中継貿易型一−の研究に示唆を受けている。大塚久雄「経済史からみた貿易国家の 2つの型」,著作集第6巻参照。なお,現在危機にある日本産業構造の変革の2つの方 向の中,産構審ほ「内部成長型」,産計忽は「外部寄生型」への志向をもつといえよ う。 8) レーニン,前掲書,全集邦訳第3巻,473ぺ−ジ。J974 香川大学経済学部 研究年報13 − β6− れほ「技術の奇蹟が行われる資本主義的工場9).」のより高度な形態を主として 技術的視点から素描しておこう。 19世紀後半から20世紀初めにかけての「第2期」産業革命は,エ場の技術的
側面,すなわち機械装置をより高度に編成替えした。まず基本原料をなす鉄に
おいて銑鉄から鋼への「製鋼革命」が進行し,品質1用途の広さにまさる鋼が 大愚かつ廉価に供給されるように.なった10)。ついで動力機において兼気機関か ら電気モーターへの編成替えがおこなわれ,複雑な配力機構を最小限度まで減 少せしめた。「個別分散的な汽九」から「線を以って那飴統合されて−る電力」 へ」の動力の集中統一・ほ急速に進み,「一切の生産領域を席捲するに至る11)。」基本技術をなすエ作機械においても多用化,精密化および自動化による近代的編成
替えがなされ,機械工作におけるいわゆる3S化(単純化,規格化,専門化) により大鼻生産の技術的基礎をつくりだした。さらに工場の大規模化にともな いクレー・ン,捲上げ機,コンベアなどの輸送機械が急速に発展する12),等々。 以上のような巨大な自動機械組織が現代巨大工場を特徴づけるようになった。 今,世紀の交に巨姿を歴史の前景に現わした大規模工場を例示しておこ.う。 1つは,ライン・ウェストファー・レン製鉄業における典型的「混合企業」と目 されるグqIテホフヌンク製鉄所(Gutehoffnungshtitte)である13)。同製鉄所ほ, 1810年に創業し,その後パドル法およびコ−・クス高炉を採用して産業革命を完 了していたが,1882年にトー・マス転炉製鋼法を導入して:大愚生産体制を確立し 9)ヒルプア−ディング『金融資本論』,岡崎次郎訳,岩波文庫(上),95ぺ−・ジ。ヒルフ ァーダイソグは,金融資本分析への追として工場でほなく,苗場とくに貨幣と信用を 出発点として選択した点に,その理論体系の特質がある。−・般紅金融資本研究史にお いてヒルファ一−ディソグは壬等幣資本循環視点(G1G′基準)より,ペイン(丁けS… Bain)は商品資本循環視点(W′‥W′基準)より,そしてノミラン,スウイ−・ジ−(P. BIan&P.Sweezy)ほ,労働過枠分析を欠くとほいえ生産費木循環視点(P…P基 準)より分析をおこなった。 10)「製鋼革命」の意義についてほ.,高橋哲雄『イギリス鉄鋼独占の研究』,1967年6− 7ぺ一汐参周。 11)J」田盛太郎『日本資本主義分析胱1934年163ぺ一−ジ。 12)静田均『現代工業経済論.』,19624F8ぺ−・汐。 13)大野英二『ドイツ資本主義給』1965年,第1部第3茸参照。大野英二教授は,ドイ ツ資本主義の経済循環の巾から独占資本の3類型(領主制的,問屋制的および技術者 的)を析出している。本稿では主として近代的独占資本のみを対象とする。現代産業国家の2つの型 −β7−・ た。このような近代的製鋼法,特に卜⊥マス転炉製鋼法を技術的基礎として, 銑鉄=製鋼=圧延工程を一層する結合経営を主軸に,採炭・採鉱あるいほ機械 製作紅いたる継起的諸工程を縦断する「混合企業」として巨姿を整える。1903 年の同製鉄所の生産高を示せば,鉄鉱石39万9干トン,石炭(1902年)15万6 千トン,銑鉄42ガトン,粗鋼47万8千トン,圧延製品32万7千トン,鋳物製品 機械和工5万3千トンとなっている。製鉄所の就業者数も1882/83年の7,702人 から1908/09年には22,274人へと急増している。 例示の第2は,シェフイ−・ルド重工菓の主要企業の1つでイギリスの代表的 コンバインであるグイツカ−ズ株式会社(Vickers,Ltd)である。同社ほ1770 年代に設立された伝統のあるつば製鋼企業であるが,1860年はじめにのちのリ バー・ドン工場(シェフイールド)の中核部分を建設し,すでに.600∼700人の従 業員を使用していた。1871−2年には独自の改良法に.よる平炉をはじめてシェ フイー・ルド紅導入して大長生産体制を確立した。そして80年代半ばに鉄鋼業が 構造的不況に陥るや前方統合を開始し,兵器生産部門へ進出した。その顕著な現
われが97年タイン河畔バロクの造船企業NavalConstruction and Armaments
および慮リスにエ場をもつ機関銃・潜水艦メー・カー,マクレム・ノルデンフェルトの合併であり,これによってブィッカーズは巨大な兵券トラストとなった14)。 その他1903年当時,エ具,自動車,兵器およびその関連部門などの内外諸企業 に投資していた。かくして第1次前夜にブィッカーズは,594万ポンドの資本 金をもつ国際的兵器企業に成長した。
第3K,アメリカ自動薄工業におけるフォーIド杜(Ford Motor Company)の 全体像をみよう。Hけフォード(HenIy Fo工d)ほ,実用的大衆薄丁型串の生産 のためにミレガン州デトロイト近郊ノ\イランド・パ−ク紅ライン生産システム に特別設計およびレイアクトしたエ場を建設し,1910年末に操業開始した15)。 さらに.1913年に部品工場を建設し,互換性部品の通産体制を整えるとともに, その年の末に移動組立方式という,いわゆるベルトコンベア方式の生産を採用 14)高橋哲雄「グィッカ−ズ・コンツェルンの史的分析」,『甲南経済学論集』第5巻第 1号(第57号)参照。 15)橋本輝蓼「アメリカ自動車工業の発展と別g T山ee独占体別の成立」,『研究年報 経済学』1972年,Vol..3L隻,No,1
香川大学経済学部 研究年報13 ブタ74 −ββ− し,巨大な有機的工場結合体を構成した。さらにフオ・−ド祉ほ,自動車固有の 領域をこえ,原料部門として森林業,鉄鉱山兼,石炭業,製鉄業,ガス業,ゴ ム実に進出し,派生部門として発電業,セメント業・石炭化学業をも兼営し た。同社の1916年の経営実績を示せほ,生産台数534,108台,売上高206,867,327 ドル,従業員32,702人となって−いる16)。 さて,工場形態の発展がまだ低い段階において−ほ,生産工程の諸段階,とく に原料生産と完成品生産の各段階にかんして継起的生産工程の分化傾向がみら れ、兼営ないし統合企業の解体が進行した。とこ.ろがいわゆる患化学工業が高 度に.発展しほじめると,エ場形態の高度化による大患生産体制の確立にともな って−従来の分化=専業化とは反対に,統合=一・貰化への傾向が支配的となる。 つまり産業部門・その工稗間にさまざまな異種工場が形成され,この尤大な異 種工場群が分業にもとづく協業により巨大な有機的工場結合体を形成し統一自勺 な所有,経営あるいは支配のもとに.統轄されるようになる。「最高の発展段階に 達した資本主義のきわめて重要な特質ほ,いわゆるコンビネー・ジョン,すなわ ち,さまざまな部門が−・偶の企業に結合することである17)。」このような「混合 企業」は「単純企業」にたいして生産技術上優位に立ち競争戦において二支配的 地位を占める。さらに,「混合企業」内部でもそれを構成する諸工場の技術的連 関と相互依存の型エとくに■地域的近接性による連続大患生産の度合一によって 生産費引下げ効果に差異が生ずる18)。19世紀末から20世紀初めにかけて発展し た工場は,生産手段と労働力との昂的,質的結合形態によってつぎの諸類型に わけることができよう。すなわち,高労働生産性をもつ大規模工場(工場類型 Ⅰ),低労働生産性をもつ大規模工場(工場類型ⅠⅠ),高労働生産性をもつ小規模 工場(工場類型ⅠⅠⅠ)および低労働生産性をもつ小規模工場(工場類型ⅠⅤ)がこれ である。そして生産および工場労働者ほ,ますます大規模工場へ集積する傾向 16)塩見治人「フか−ド経営の全体像」『■経済論艶』第109巻第2号参照。 17)レ−ニン,前掲讃,全集邦訳第22巻,227ぺ−汐。 18)なお結合経営について「エ場レベルでの結合」と「企業・資本グル−プ・レベルで の結㌧合」を切離して論ずることは誤解を招く。けだし両者は,同一物の2つの側面だ からである。イギリス型独占を特徴づける「製鋼=圧延=鋼材消費部門の結合」も工 場レベルでの結合であるが,「空間的近接牲の確保」と「連続・大塩生産」の利益が低 かったに.とどまる。
現代産業国家の2つの型 − β9− をもつ。 さらに機械制大工業のより高度な発展段階の樽徽としては,「エ場制工業の個 々の中心地への生産の集積.」の著しい発展と「エ場中心地の種々の型」の問題 が重要である19)。工場ほその自然的ならびに社会的立地条件の有利な特定地域 に集積する。しかもその特定地域内の諸工場の経済的連関と相互依存の型は, その規模とあいまってさまざまな型のエ業地帯を生みだす。そして社会的生産 力の不均等発展ほ,国民経済内部でエ業地帯問の不均等発展をともない,新しい 生産力を担った辺境ないし隣接地域と古い生産力の重圧下にある中心地域の間 にたえず盛衰,交替関係が認められる20)。かくして一国民経済ほ,さまざまな工 業地帯によって構成され,いわば「\全社会を1つの工場に転化する21)。」しかし 社会的分業と工場内分業には「多くの類似と関連とがあるに.もかかわらず,両 者は程度のみでほなく本質をも異にする22)。」そして機械制大工業がより高度に 発展すればする程,社会的分業の無政府性と工場内分業の専制との矛盾は,ま すます激化する。 (2)生産の集構 われわれほ,これまで技術的・生産力的観点から工業経営規模の拡大をみて きたが,ついで価値的・価値増殖的観点をも加えて,技術的側面と価値的側面 との統一・としてユ業経営形態の展開をみよう。技術的規模の、拡大とそれと内的 に関連する価値的規模の増大は,経営規模拡大による生産の集積を生みだす。 この生産の集積ほ,資本蓄積・集積(経営の集積)の資本の集中(企業の集中) の2つの方法によって形成される23)。まず資本蓄積は,いわば個別資本自体の 19)レーニン『ロシアにおける資本主義の発達』,全集邦訳第3巻,545ぺ−ジ。 20)社会構成の段階移行における「辺境の理論」についてほ,大塚久雄『西洋経済史講 座』著作集第4巻,169−176ぺ一一汐参照。 21)マルクス『資本論』,岩波文庫版,第3分冊,81ぺ一汐。 22)上掲二乱 78ぺ−・汐。 23)生産の集積において集積と集中との間に帝離がみられ,相互に補充・代位する。た とえば産業資本の蓄楕ないし集積の薄弱なドイツ紅おいて株式会社形態による資本集 中がイギリスよりも急速に進行し,この株式会社の発行業務を媒介とするあたらしい 型の銀行一特殊ドイツ的銀行塑−の生誕を招来した(大野英二,前掲香,169ぺ」−ジ)。 なお独占形態の集中についても集積型(フォーード型)と集中型(ブイツ九−ズ型)の 2つの類型を生みだすことは,後述のとおりである。
香川大学経済学部 研究年報13 ヱ9 7イ ー 9ク ー 自己増殖過程であって,利潤追求という蓄積衝動によってもたらされるのであ
るが,それほ呂的拡大だけでなく,質的拡大をもともなうのである。すなわち,
資本蓄積ほ「剰余価値の資本への再転化24).」に他ならないが,この「追加資本 ほ,殊に新たな発明や発見の,一・般に産業上の諸改良の,媒介物25)」となり, 他面「元の資本もいつかは.全身的更新の時期に達するのであって,そ・の時に.は, 前の皮をはぐと共に,ヨリ多品の機械装置や原料を動かすのに.ヨリ小屋・の労働 で足りるような改良された技術的態容をもって再生する26)。」「かくして,−・方 では,蓄積の進行中に形成される追加資本は,その大きさに比してますます少 ない労働者を索引する。他方では,周期的紅新たな組成において再生産される元の資本ほ,従来使用していた労働者のますます多くを反瀞する27)。」このよう
に工業経営ほ㌧資本蓄積によって.経常規模を量的に拡大するにとどまらず,資本 の有機的構成の高度化をともなう。したがってその過程ほ,旧工程と新工程, 旧工場と新工場,旧企業と新企業の間に生産力格差が発生し,たえざる不均衡 を生みだす。 つぎに,生産の集積の第2形態,資本集中について考察しよう。それほ「す・ でに.形成された諸資本の集競であり,それらの個別的独立の廃棄であり,資本 家による資本家の収奪であり,多数の小資本の小数の大資本への転化28)」であ る。諸個別資本は社会的総資本の内部においで一面において相互依存の関係紅 立つと同時に,他面において販路の問題を契機として相互に.激しく対立しつつ 競争する。こうした多数の個別的資本の相互的反揆にたいして,それらの部分 の相互的吸引が反作用し,本来的集中が展開される。金融過程における信用制 度も実現過程における競争とともに贋本集中過程における「最も有力な2つの 枝村29)」として作用する。独占の前提となる企業集中ほ,つぎの点で蓄競と区 別される。第1にり 蓄積=集積ほ「円形から螺旋形に移行する再生産による資 本の漸増」であり,特殊産業部門の増大を,したがって社会的総資本の増大(拡 24)マルクス『資本論.』(向坂訳,岩波文庫版)第4分冊,32ぺ一汐。 25)上掲乱 第4分冊,121ぺ・−汐。 26)上掲富,第4分冊,121・ぺ−ジ。 27)上掲書,第4分冊,121ぺ−汐。 28)上掲召,寛4分冊,117ぺ−ジ。 29)上掲雷,第4分冊,118ぺ−・ジ。現代産業国家の2つの型 − 9J− 大再生産)を意味するのに対し,集中は合併によるにせよ,株式会社の成立に. よるに.せよ,個別資本を「大資本」に,「溶接された資本塊」とするが,「集中運 動の相対的な広さと強さとは,…集中の進展ほ,決して社会的資本の大きさの 積極的増加には依存しない。30)」欝2に.,集積のばあいには個別諸資本の数は減 少しないばかりか,たとえ.ば資本家家族内紅‥おける財産分割などによって増加 をみるのであるが,集中のばあいにほ個別資本の数ほそれと反対に.絶対的に減 少する。ここに個別資本が企業集中を媒介にして独占資本に.転化する可能性が 与え.られる。 このように贋本の集積と集中とは区別されるが,現実に.は両者は絡み合って 同時に進行する。一度集中によってト・夜で」資本塊がつくられると,集中は鉄 道のご とき小資本でほ不可能な新産業部門を生成・発展せしめ,「蓄積の効果を 高め且つ促進する31).」と同時に・,資本の技術的組成における変革一男働生産力 増大−をもたらす。かくて集中ほそれ自体としては社会的総資本を増大せしめ ないが,「社会的蓄積の新たな強力な槙杵32)」となり,より高次の段階で社会的 総資本増大の前提となる。 要するに生産の集積ほ.,資本の蓄積・集積,それにもとづく集中,集中と集 積との有機的発展という形で発生し,「大経営における生産規模の拡大ならびに 労働の生産性の増加の著しい進展33).」を概念内容とする。このように金融資本 の蓄積形態である生産の集積は,資本の蓄積過程を基盤とする点では資本一般 と直接的継承関係に・あるが,他方資本集中を強力に押し進める点では,前期的 資本の集中形態を再現する。かくして生産の集積ほ,資本蓄積と資本集中とを 場棄した最高の資本集積形態である。 このように生産の集積は,労働生産力発展という質的規定と生産規模拡大と
いう還的規定をもっているが,この両者の度合ほさまざまである。「生産の集積
は,労働の生産性が不変のまゝ,生産規模を拡大してゆく形においても進展し うるとしても,…機械制大工業の段階においては,生産の集積は労働の生産力を 30)上掲書,第4分冊,119ぺ一汐。 31)上掲苔,第4分冊,120−121ぺ一汐。 32)上掲昏,第4分冊,121ぺ−ジ。 33)大野英ニ,前掲書,153ぺ・−ジ。香川大学経済学部 研究年報13 ヱ974 ー 92− 増加せしめつつ生産規模を拡大してゆく形において進展し,資本の技術的構成 ひいてほ有機的構成を高度化せしめないでほおかない3d)。」 つぎに.「■生産点における労働者」の集積について−述べておこう。機械制大工 業ほ,家父長制的および小ブルジョア的関係を破壊し,賃金労働者を大鼻につ くりだすとともにその労働をますます社会化してゆく。他方生産の集積ほ,大企 業への労働者の集積を押し進めるとともに,上述のエ場類型に応じてさまざま な労働力の存在形態を生みだす。すなわち,大企業・中小企業間に賃金(およ び労働時間)格差が生ずるとともに,それぞれの内部においても労働生産性に 応じて賃金(および労働時間変動率)に差異が生ずる。かかる労働力の存在形 態の差異は,さまざまな組織と闘争形態とをつくりだし,又逆に後者が前者に 反作j卦する35)。 このような労働の存在形態の差異ほ,労働運動の分裂・腐敗を生みだし,日 和見主義・社会排外主義への逸脱を培養する。しかしこれほ−・時現象であって, 長期的にほ労働者数の還的増大と質的窮乏化ほ,訓練・結集・組織という主体 34)上掲苔,155ぺ→ジ。なおヒルプア−ディングほ,資本の有機構成的高度化の金融 資本段階の特質としてつぎの命題を主張する。すなわち「技術的変化は,同時にま た,不変資本の諸構成部分の内部における1つの変化をも伴う。固定資本部分ほ流動 資本部分よりも急速虹増大する」(ヒルプア−ディング,岡崎次郎訳『金融資本論』,岩 波文庫(中)10ぺ一汐)。しかし,マクレ− ,ジルバ−ストン(G.,Maxcy & Aい SilbeIStOn)ほ自動車工業研究において,「第1ほ,工場が,きわめて低い生産水準で 稼働していないかぎり,短期的にみた場合の自動車メー・カーの固定費ほ,その総原価 に対してそれはど火きい割合を占めるものでほない−確かに20%以下−ということで
ある。1虜2に.,長期的にふた場合,自動申の生産コストは,生産規模が増大する
につれて急速に低下するということである」(GMaxcy&A.,Silberston,TheMotor Indu訂はy,1959,p218)と述べている。この命題(私はこれをマクシ−,ジルバ− ストンの第1金題とよぶ)は,大嵐生産が労働生産力向上による固定不変資本増大に たいして反対に作用する要因であることを示しており,ヒルプア−ディソグの上記の 命題は,問屋制的ないし商業者惰嘲占資本紅は妥当しても,技術者的独占資本には.妥 当しないことを恵∵昧する。 35)この点について熊沢誠教授による2つの組合史(AEUとUAW)研究は,極めて示 唆にとむ。「独占賢本の論理が貴徹する産業分野で造型される労働組合」の2つの型− 「製品市場内在的=取引的」組合主義(UAW型)と「製品市場外在的=蚕食的」組 合主義(AEU型)一ほ,われわれの規定する2つの独占資本類型一技術者的独占資本 と商業者的独占資本−と相関的な組合形態といえよう(熊沢誠『産業史における労働 組合榛能』1970年およぴ『寡占体制と労働組合』1970年参照)。現代産巣国家の2つの型 −.93 −
的条件とあいまっで,すでに腐敗している「私経済的関係と私的所有者的関
係網)」を除去するという歴史的役割を遂行するのである。
(3)企業形態の展開 生産の集積による「生産規模の巨大な拡張37)」につれて個別資本による出資, 経営は,困難ないし不可能となり,諸個別資本が結合されて種々の会社形態を 生み出す。企業の基本的要素を出資職能と企業職能とに.わかち,その結合の仕 方をみれば,合名会社(出資者すべて−が額限責任の機能資本家である場合),合 資会社(企業職能をもつ小数の醸限責任出資者と無機能な有限責任出資者から 成る場合),および株式会社(形式上すべての出資者が企業職能から離れ,持分 資本家として凝合する場合)にわけることができる。会社企業ほ,その内に・は らむ結合と支配との矛盾を媒介として,必然的にそのもっとも高度な形態とし ての株式会社に発展する88)。株式会社の特徴ほ,まずその資本金,つまり出資された資本金額が等額の株
式に.分割され,それが証券の形をとっていることである。同時に,すべての出
資者の無限責任が消失し,その出資額を限度とする有限責任という責任形態を とったため,上の出資形態とあいまって資本結合を容易にし,かつその範囲が 拡大される。他面その経営は,形式的には会社の決議機関である株主総会,執 行機関である取締役会および監査機関である監査役会という会社機関を通じて属主的におこなわれる。しかし実質的紅は出資者(社員)が小勝機能集団と多
数無機能集団とに分離し,大株主である前者が会社機関を支配して独裁的に経
営機能を行なう。かくして株式会社は,会社企業に内在する結合と支配という 矛盾をより高い個別性の中に拐棄した最高の会社形態である瑚。 かかる会社形態による「集積と支配」は,諸産業のそれぞれの生産過程の技 術的制約によって個別的限界に達する。すなわち,一億限度を超える規模の拡 36)レ−ニソ,前掲沓,350ぺ一一首。 37)マルクス,前掲番,第10分冊,1飢ぺ一汐。 38)資本集中形態の展開についてほ,大塚久雄『株式会社発生史論』著作集第1巻前編 参照。 39)この点の詳細についてほ,大塚久雄r講義草稿企業集中論』著作集第10巻,346− 359ぺノー汐参照。香川大学経済学部 研究年報13 ユタ74 ・一 夕4− 大が,もほや労働生産性上昇,したがって個別資本の競争戦優位をもたらさな
いのである。前述のように生産の集積ほ,労働生産力発展という質的規定と生
産規模拡大という量的規定をもっているが,この両者の度合ほさまざまである。
今,生産規模と労働生産性の観点から4つの企業類型を析出しうる40)。すなわ ち,(1)生産規模は大であり,労働生産性向上の高い企業(企業類型Ⅰ),(2) 生産規模ほ大であるが,労働生産性向上の低い企業(企業類型ⅠⅠ),(3)生産規 模は小さくても,労働生産性向上の高い企業(企業類型ⅠⅠⅠ),および(4)生産 規模は小さく,しかも労働生産性向上も低い企業(企業類型ⅠⅤ),がこれであ る。今,生産の集積についてみるならば,企業類型ⅠおよぴⅠⅠの2類型を検出 しうるのであり,企業類型ⅠⅠⅠおよびⅠⅤほ,中小企業の2類型を示すこ.とに.な る。とれらの企業類型は,それぞれ不均等に発展しながら,相互連関と対抗を 示し,又相互紅転化しあう。 さらに.「一生産の集積は,その発展の−・定の段階では,おのずからいわばぴっ たりと独占紅接近してくる41)。」しかし,独占への撲近は,2つの道を通してお こなわれる。まず生産の集積の質的規定,つまり大経営に.おける労働の集積を上まわる生産手段の集積は,労働生産力増大=資本の有機的構成高度化を条件と
し,「商品の低廉」あるいはコスト節減を結果とし,両者ほ.それぞれ技術的優越
および競争戦優位に・よって「独占への傾向」を生みだす42)。つぎに生産の集韻 の盈的規定,つまり生産規模拡大牲大経常における生産手段および労働(歩拝)の集積を条件とし,大経営における生産額増大を結果とする。前者は必要
最小資本患の引上げによる「凝争の困難」および参入障壁をつくりだし,後者
は「相互の協定」を容易にすることに・より,両者ほともに「■独占への傾向.」を
促進する48)。 40)この企業類型紅は・,「我々の産業制度のたましい」産業経営者又ほ企業者の額型が対 応する(マルクス,前掲書,第10分冊,89ぺ−・ジ)。「新産業国家」の「企業の頭悩と もいうぺき中枢」テクノストラクチュアの分析に・ついて−は,ガルブレイス,石川・鈴 木・宮崎共訳『新しい産業国家』1968年参照。 41)レーニン,前掲書,全集邦訳第22巻,226ぺ−汐。 42)上掲審,226−7・ぺ−ジ。 43)上梅香,226−7ぺ一−ジ。現代産米国家の2つの型 ー夕5− ⅠⅠⅠ (1)エ実の巨大な発展 以上においてわれわれは資本−・般から金融資本への段階移行の要石をなす生 産の集殻を素材的・値価的両側面から考案した。つぎに生産の琴砥が産業部門
において「組織と支配」の2契機を媒介に.していかに独占を成立せしめるかを
検討しよう44)。 エ場の鼻的・質的増大ほ,エ業の巨大な発展を意味し,鼠的に.ほ工業の生産 規模拡大を,質的には労働生産力増大と資本の有機的構成高度化をもたらす。 機械制大工兼は,農業からのエ業の完全な分離および農業とエ業との発展の不 均衡をつくりだすとともに.,商業資本および貸付資本を自己の経済循環に従属 せしめる。このようにエ業の発展は,農業,商業および金融との関係に変化を もたらすとともに,.工業内部にも構造変化をひきおこす4与)。既述のよう紅個別 44).ユ・)Vゲソ・クチンスキ−(Jiirgen Kuczynski)は.,資本主義的独占分析の視角とし て,(1)独占がいかなる商品種類を支配するか,経済の基幹生産物を支配するか香か, (2)独占がその支配領域の内部でいかなる諸要因を規制するか,販路や価格や生産の いずれを規制するのか,そのすべてを規制するのか,(3)独占がいかなる形態をとる か,カルテルかトラストかコンツェルンか,の3つをあげ,(1)をもっとも重視し, ついで(2)そして最後に(3)をとりあげるべきことを主張している(Vgl小.TtiIgenKuczynski,Studien zur Geschiehte des deutschenImperialiミmuS,Bd.Ⅰ‖
Zweite AufIage,1952.SS.22∼3.大野英二『ドイツ金融資本成立史論』1956年, 63ぺ−ジ参照)。これほ,われわれの分析視角と一致して−いる。 45)周知のとおり産業構造発展の法則には,クヲ−クの法則(国民経済を第1,2およ び3次の3つの産業部門に分割し,−・般に経済進歩につれて所得の配分またほ就業者 の配分が,第1次産米より第2次産業へ,さらに第3次産業へと比患を推移していく 傾向法則)およびホフマンの法則(製造工業を資本朗部門と消費財部門とに分割し, 資本財純生産額(付加価値額)に対する消費財純生産額(付加価値額)の比率(ホフ マン係数とよばれる)が工巣化の過程で−・般的に.低下する法則)がある(C.タラ・− ク,大川・小原・高橋・山田訳『経済進歩の諸条件』上・下,1955年およびW.、G.. ホフマン,長州・富山訳『近代産業発展段階論』1967年参照)。しかし経済進歩,ない し経済発展−「先進性」,「後進性」−の国際比較および段階比較において単に生産話 力の部門間バランスのみでは不十分であって,各部門とくに第1次産染の生産関係が 問われなければならず,さら紅「経済構造紅規定されながらもそれと同一・でない権力 構造」が問題である。この史的構造の国際比較紅おける視角一生産力構造,生産関係 構造および権力構造一紅ついてほ,田中共暗『ロシア経済思想史の研究』1967年,386 ぺ・−ジ参牌)。
香川大学経済学部 研究年報13 J974 −96− 資本紅おける労働生産力のより高皮の発展ほ不変資本を可変資本部分に比して より急速に発展せしめるが,これを社会的総資本の再生産過程にひきなおして みる場合,社会的生産力の発展は社会的富のうち生産手段からなる部分を,消 費資料からなる部分に・比し,とくに・拡大することを意味する。さらに生産手段 の中でも「生産手段のための生産手段」部分が「消費資料のための生産手段」 部分よりも急速に発展する隻6)。こ・の資本−・般についての理論的命題ほ・,歴史過 程として国民経済の産業構造の高度化となって現われる。資本主義の産業構 造の仕組みは,それに照応する消費の拡大のない生産の拡大,すなわち生産の 拡大にたいする無制限の志向と大衆の窮乏と消費制限との矛眉を内蔵してい
る。しかも資本主義の「使命ほ.,社会の生産力の発展にあるが,その社会的構
造ほ,住民大衆に.よるこれらの技術的成果の利用を排除している4丁)」という構 造的矛盾をもつ。したがって産業構造の矛盾は,生産に・おける階級構成を通し てすべての階級の公然たる政治行動において集中的に表現されるのである。 社会的生産力の発展ほ,このよう把社会的構造とたえず矛盾するはかりでな く,それ自体不均等に発展する。今,生産力視点から産業部門をいくつか紅類 型化してみよう。すなわち,(1)生産規模が大であり,しかも労働生産性向上 の高い産業(産業類型Ⅰ),(2)生産規模ほ大であるが,労働生産性向⊥の低い 産業(産業類型ⅠⅠ),(3)生産規模ほ小さくても,労働生産性向上の高い産米 (産業類型ⅠⅠⅠ),およぴ(4)生産規模は小さく,しかも労働生産性向上の低い 産業(産業類型ⅠⅤ),がこれである48)。産業類型ⅠおよびⅠⅠは,大産業における 発展産業と斜陽産業を,産業類型ⅠⅠⅠおよびⅠⅤは,中小産業における新興産業 と衰退産業を示す。 46)レ−ニソ『いわゆる市場問題に.ついで』,全集邦訳第1巻,83ぺ」一汐。 47)レ−エソ『ロンアにおける資本主義の発展』全集邦訳第3巻,33ぺ−ジ。 48)クラ−クの産業分類が需要側の要因を基準に・してなされたの紅対し,こ・こ・でほ生産 規模および技術進歩率の格差を基準にして産業分類をおこなった。もし産業別相対価 格運動を前提とするとき,産業類型Ⅰに・おいて相対コスト低下にもかかわらず絶対価 格を不変紅保つならば,当然産業類型ⅡおよびⅣの相対コスト上昇部門に.おける絶対 価格上昇を意味する。このことほ一般物価水準ほ好不況をとおして絶えず上昇すると いう現代の構造インフレ・−ジョン問題の理解に役立つであろう。なお,この点につい ては稲毛満著『■産業構造論』1971年,14−21ぺ一汐参照。現代産業国家の2つの型 ー.97− さてわれわれほ,これまで「生産の集積→独占」の過程を主として長期的観 点から生産力水準との関連で考察したが,つぎにこの過程に.おける恐慌の果す 役割について検討しよう。「資本主義的生産ほ,跳躍と発作の形で発展する。あ るときほ工業の『めざましい』繁栄があり,あるときは崩壊,恐慌,失業があ るd9)。」恐慌ほ「集積と独占への傾向を大々的に強め50)」,独占形成史において転 換点の役割を演ずる51)。好況期の大壷需要ほ大愚生産およぴそのための設備拡 張により生産の集積を進めるが,恐慌期に・ほ「価格の下落と需要減退52)」のた め競争が激化し,零細企菜の淘汰とともに大企業間の合併が進行する。 恐慌ほ−・般的であるが,産業部門ごと紅不均等に.作用し,恐慌に儲かされて いる産業部門の資本ほ,他産業にうつることを余儀なくされる53)。産業部門間 の資源の再配分ほ.,恐慌を媒介として∴おこなわれる。このように恐慌ほ,価値 形態において生産の集積を進めるのみならず現物形態においても産業構造を転 換せしめる重要な契機となる。 (2)産業組織論 主要産業部門における生産の集積の進展は,巨大な生産力発展をもたらし, 資本一・般に・固葡な生産と消費との矛盾をますます深化させ,過剰生産を恒常化 し,苗場問題をめぐる対立を−・層激化させる。けだし,最大限利潤ほ資本主義 企業の規定的目標であるが,生産の集積は「独占的過利潤の核心部分創出の可 能性51)」を生みだすが,流通過程における市場支配(独占)を媒介としてはじ めて現実化されるからである。 49)レ−エソ「工業の1『流行』部門」,全集邦訳第19巻,293ぺ一汐。 50)レ−エソ『資本主義の最高の段階としての帝国主義』,全集邦訳第22巻,240ぺ−ジ 51)レ−エソは生産力の発展段階軋応じて恐慌の果す役割,したがって恐慌の形態紅差 異のあることを1873年恐慌と1900年恐慌との差異に・よって指摘している(上拇乱 240−1ぺ・一汐)。 52)上掲書,240ぺ一汐0 53)もとより恐慌におそわれた資本家たちほ・,外国柿場を求め,輸出助成のための補助 金や奨励金をもとめるが,長期的に不況産業の衰退をくいとめえない(レ−エソ『ロ シアに.おける資本主義の発展』全集邦訳第3巻,44ぺ一汐)。 54)高酪軌軌前掲乱 3ぺ一汐0
−9∂− 香川大学経済学部 研究年報13 ヱ974 しかし大企発といえども「活路のない矛盾55)」の中におかれるのであり,そ の市場に.おける組織化・管理化・討画化ほ,他の部門での「計画性のますます は.なはだしい欠如56)」に.導く。「いくつかの工業部門で形成されつつある独占
は,総体としての全資本主義的生産に固有の混沌状態をつよめ激化させてい
る。57)」しかし大独占資本は,自己の経営内分業を計画的におこなうとともに, 産業内分業に.おいても既存企業は一社しか存在しないか,あるいは数社存在す るとしても「寡占的相互依存性関)」に・よってあたかも一徹の をつくりだし,「企業行動」するのであり,それによって完全独占にできるだけ 近い「産業成果」をあげようとする。今,産米組織論59)に.よって「■独占者の団 体がもちいる,『組織』のためめ,今日の,最新の,文明的な闘争方法の・−澄表 を一瞥伽)」しておこう。まず,各産業において企業が組織化され結合されている仕方を市場構造とよぶ。その主要な要素にほ,集中,製品差別化および参入
障壁があり,これらの諸要素ほすべて相互に関連しあっている。 欝2に,企業行動とは企業がその製品を実現するために市場に適応し,ある いは市場を調節する場合にとる行動の型である。その主要なものほ.,価格政策, 販売促進政策および排他的戦略と相互適応である町。寡占的市場において企業 は支配・強制の原理で行動しており,たとえ−・時的に協定することがあっても, 55)レ・−エソ『資本主義の最高の段階としての帝国主義』,全集邦訳餓22巻,319ぺ一首。 56)上掲書,239ぺ−・汐。 57)上掲書,239ぺ一汐。 58)越後和典編『産業組織論』1973年,12ぺ一汐。 59)産業組織論に.ついては,J‖S Bain,IndustrialOrganization,1959,2nded・, 1968宮沢健一・監訳『産業組織論』上・下,1970年および越後和典編,前掲古(各章未 に詳細な文献目録がある),参照。 60)レ・−エソ,前掲沓,236ぺ一汐。 61)典型的寡占産業である1930年代のイギリス自動頚企業の企業行動は,「長期のモデル ニ価格競争に結びついた短期価格の安定」(G,Maxcy&A,Silberston,Op.C汀, p.136)という形態をとった。私はこれを大量生産の経済学に.おけるマクレ−=ジル バ−ストソの第2命題とよぶ。かかる競争形態は,一・面において販売を刺戟するが, 他面において潜在的規模の経済性を犠牲にし消費者紅高価格を押つける。この点につ いてはF“M‖ Fisher,Z.Griuiches,C。Kaysen,‘The Costs of Automobile ModelChanges Since1949,,Journalof PoiiticalEconomy,October,1962参 照。現代産業国家の2つの型 −9クー 闘争は絶えずおこなわれている。 第3に,産業成果とほ.企業が−一・定の市場構造の下に−・定の企業行動によって− うる最終成果の総体であり,「市場構造と行動のパター・ンは,それらが系統的に 市場成果にかかわっている限りに.おいて−のみ意味があり,構造と行動は,究極的 には両省が導く成果のバク、−ンで討測してのみ評価がなされ得る。」その主要な
内容ほ,(1)ある産業の規模の技術的最適規模からの帝離(長期的問題),(2)
ある産業の現実生産の潜在的生産能力からの帝離,つまり操業度(短期的問 題)62),および(3)ある産業の利潤率の正常(平均)利潤率からの帝離,つまり 超過利潤,がこれである。このように生産の集積によって一市場構造において潜在的であった超過利潤は,企業行動を媒介とすることに.より,産業成果として
現実化される。もっとも潜在的超過利潤が,恐慌に.よる操業度低下に.よてたえ ず実現が阻害されるこ.とに.注目せねばならない。 さて−,このように生産の集積から生じ,競争制限によって実現される超過利潤 ほ,構造的・長期的に発生する点で,「資本一般」の超過利潤とはその本質を異 にしており,より高次な(又はより具体的な)超過利潤範疇である。こ.の独占 的剰余価値ないし独占利潤は,その源泉を主として技術進歩に.よる生産費切下 げに.よるか,あるいほ主としで市場支配による独占価格設定によるかのいずれ かにあおいでいる。われわれは,前者を「技術者的」超過利潤,後者を「商業 者的」超過利潤とよぶ。 このように独占資本とは,生産の集積を基礎とし,市場支配を媒介として独 占的超過利潤を独得する巨大資本と規定できよう。かくして生産の集積ほ独占 (体)に転化するのであるが,さきに検出した生産の集積の2つの型に対応し 62)GマクレーおよびA‖ジルバーストンは,つぎのように述べている。ト・・・業界全体 の生産能力の増大よりも稼働率の短期的変動のはうが,コストおよび利益により塾大 な影轡を及ぼすように思われる」。「安全操業時紅おいて(あるいは標準生産量の水準 に.おいてさえ),固定費は総原価において一大きな割合は占めないが,それでも,自動番 工業の利益は,生産畠の変動にきわめて敏感である」(G.Maxcy&A。Silberston, op“cit.,pp‖171−4)。この長期的超過利潤と短期的利潤の「異常な変動」は,技術者 的独占資本の自己矛眉を示すもので,私はこれをマクレ−=ジルバ−ストンの第3命 題とよぶ。香川大学経済学部 研究年報13 J974 −ヱ0クー・ て.■,個々の独占体の市場間題の対応形態にも2つの型を区別しうる叫。第1類 型の独占資本は生産過程における規模の経済性紅もとづく技術的優位を損杵と して,流通過程におけるさまざまな販売政策一価格・製品・経路・促進一−に・よ っで市場の確保・拡張および支配をおこなう。これほいわば,「技術の優位」に もとづく自然的な市場支配である。これに対して第2類型の独占資本ほ,たと え大規模であっても,他企業を駆逐するにたるだけの技術的俊位をもたない。 そこでかかる独占資本は,流通過程内部で商業・金融機構およびそれを補強す る国家機構を通じて/商略,欺瞞および掠奪によって市場の拡大・支配をほかろ
うとする。いわば,「流通の優位」にもとづく逆行的な市場支配である。
さて,われわれは資本主義の独占段階における生産過程の分析により,4つ の企業類型と4つの産業類型を析出したが,今この両者の統一・物,つまり産業類型によって規定されたところの企業類型を,資本類型と規定しよう64)。個別資
本牲,特殊産業類型を媒介として社会的総資本を構成するのであり,したがっ
て社会的総資本はきわめて多様な構造的特質を示す。 われわれほ,上述の企某省職能の差異にもとづく2類型の近代的独占資本に ついて,前者を「技術者的65)」独占資本,後者を「商業者的66〉」独占資本と規 定する。中小資本も又,「技術者的」中小資本と「商業者的」中小資本に・類型化 しうるが,−・般に「形式的に.認められた自由競争の−・般的なわく即りの申で相互 間で過度の競争を強いられるとともに,独占資本に対してさまざまな方法で「支 配関係,またはそれと関連する強制の関係68)」の下払おかれ,利潤を収奪化さ れる。ここに資本の階層化に対応して利潤鼻・利潤率の階層化が生ずる。 63)森下二次也「ワ」−ルド・マ−ケティングについて」『大阪市大経済学雑誌』第56巻第 4・5号参照。 64)資本類型に.ついては松田智雄『ドイツ資本主義の基礎胡究』1967年および大野英二 『ドイツ資本主義論』1965年に示唆をうけている。 65)ここに.「技術者灼」とほ単なるエ菜技術のみでなく組織革新をも含んでいる。シュ ンぺ−タ−の技術革新概念およびマ−ジャル(A.Maf・Sllalユ)の生産要素概念参照。 66)「商業者」という用語に.ついては,大泉行雌『新商業論皿961年,104−111ぺ・−ジ, 175−6べ−汐,280−2ぺ一−ジおよび大泉行雄「ひとつの商業理論」『香川大学経済論 叢j第32巻第3・4・5号(昭和34年12月)参周。 67)レ−・エソ,前掲苗,236ぺ−・汐。 68)上掲苫,238ぺ一汐。現代産業国家の2つの型 −JβJ−・ (3)独占形態論
このような産業組織の劇定皮の進展を基礎とし,株式会社相互間の資本結合
により支配を希求するいっそう高度な独占企業が展開される。独占企業は,諸
会社資本問の結合と支配の仕方に応じてカルテル,レンジグー・卜およびトラス
トにわけることができる。資本集中における会社形態と独占形態の差異ほ,市
場におけるそれらの地位Jすなわち価格支配力の有無にある。まず,カルテルに
おいてほ諸個別資本の結合関係ほ弱く,したがって市場支配力も弱くかつ不安
定である。この矛盾ほ,カルテルの自治のための中央機関の設立に導き,カル
テル加盟企業の利害の統合・調盤がおこなわれる。これがシソ汐グートである0
カルテルにせよシう/ジケー・トにせよ.加盟企業の独立性ほなお維持されている
が,企業間の不均等発展は巨大企業の他の加盟企業にたいする支配を強イける○
かくして巨大な支配的企業は,完全な合併あるいぼ持株支配によって,他の
諸企業を結合し,支配するにいたる。さらにトラストが拡大されていく過程で,
結合機能,つまり支配機能から遊離して純粋持株会社が形成され,結合・支配
力が凝集される。こうしてトラストは持株会社を頂点としてピラミッド型に築
きあげられた強固な株式会社の連繋体である69)。
しかし,独占形態による「組織と支配」の領域は,−・応当該産業部門および
そ・れに密接な関連にたつ産業部門に限定され,使用価値的制約による特殊的限
界に達し未完成に終る。ここに独占化した産業が,あらゆる使用価値を観念的
に包含する一腰的商品,つまり貨幣を独占化した銀行と融合することにより,
その結合・支配圏を社会的規模へとさらに拡大するに至る70)。かくして独占の
「支配」は金融過程の媒介を経た金融資本なる形態において生産過程における 個別的限界および実現過程における特殊的限界をともに打破しその支配を全社 会機構的に確立する。 69)独占形態のより詳細な分析については,静田均,前掲番,128−144ぺ一−・汐および大 塚久雄『講義草稿 企業集中論』著作集第10巻,359−366ぺ−汐参風0 70)生川栄治『’イギリス金融資本の成立』J956年,4−5ぺ・−汐0J974 香川大学経済学部 研究年報13 −JO2一 ⅠⅤ (1)金融資本 われわは,これまで「■生産の集積→独占」の過程を分析してきたが,つぎに 「独占→銀行と産業の融合ないし癒着」をみなければ,「近代的独占体の実際の 力と意義71)」を充分かつ完全に評価することはできない。けだし前者の過程は, 金融資本成立の可能性を示すものにすぎず,後者の過程によってほじめて現実 化されるからである72)。 さて,前述のような産業に・おける企業形態の高度化ほ,銀行と産業との関係 (企業金融形態)の変化をともなう。個人企業に・たいして商業信用による支払 の仲介者というひかえ日な役割を演じていた銀行は,産業株式会社の普及につ れて白から株式銀行として集積をおこない大銀行に成長する。この段階で産業 株式会社は,産業資本として循環の他に擬制資本としての循環をもち二塵体と して現われる。すなわち株式は,ひとたび創造されれば,その額面額とは別に・ 予想配当率を平均利子率で還元した擬制的価格,すなわち株式相場をもち,資 本市場で特有の流通形態をもつ73)。この局面において無機能な一・般株主は,利 回りの利子化に.よって単に・平均利子率を要求する利子付資本家に・接近するとと もに,株式会社企業の出資関係,あるいは所有関係が全体として著しく金融現 ●●●●●●●● ●●●● 象の様相をおびる(産業の金融化現象7盛))。他面,銀行ほ流通信用の銀行信用へ の代置による支払いの仲介と関連して遊休貨幣資本を機能貨幣資本,したがっ 71)レーニン,前掲杏,241ぺ、−ジ。 72)生川栄治,前掲雷,37ぺ−汐0 73)大塚久雄,前掲苔,352−3ぺ一汐。ヒルプア−ダイング,前掲=雷,上,第2篇策7 章参照。ここで株価形成に.2類型のあることに注目しなければならない。一般に商業 者的独占資本の資本化においては,過大資本化(水増し)傾向が,技術者的独占資本 の資本化においてほ過小資本化傾向が生ずる。過大資本の理論については生川栄治, 前掲畜,第2章,過小資本の理論(成長株理論)についてほ川合一・郎『株式価格形成 の理論』参照。 74)大塚久雄,前掲書,353−4ぺ−ジ。
現代産業国家の2つの型 −ヱ♂β・− て生産資本に転化するという資本信用をおこなう75)。とくに株式会社成立とと もに資本市場における発行・流通における生産(資本)イ言用によって産業との 癒着を深める。「銀行によって支配され産業資本によって充用される資本76).」が 量的に増大してゆくとともに「∴・銀行の供与する資本信用のうち固定襲本に 転化される部分が大きくなる77)」という質的変化をともない銀行の企業にたい ●●●●●●●● する関心は恒常的となる(銀行の産業化現象)。 このように銀行と産業の接近ないし融合は展開されるが,資本主義的独占体 の成立紅よってその癒着ほ最高の形態紅達する。けだし独占部門において銀行 と産業との緊密な結びつきがもっとも明白にあらわれるからである。銀行取引 ●●●●● 関係,当座勘定その他の金融業務,株式所有等による資本的結合に対応して重
●●●● 役兼任による人的結合が発展する78)。と.のような資本主義的独占体を基盤とす
る銀行と産業との融合ないし癒着が金融資本〔一・般〕である。金融資本ほ,技術 的改良や独占形成による産業的独占利潤を資本還元しで手中にするばかりでな ●●●●● く,会社の創立,有価証券の発行,国債等からの資本発行による創業者利得お ●●●● よび資本流通における投機利得など金融的に.も巨額の,しかもますます増大す る利潤を引き出す79)。 つぎに,資本主義的独占体の類型化を基礎として銀行と産業との融合ないし 墟着の形態したがって金融資本の類型化を試みよ.う。われわれほ,さきに・「故 術者的」独占資本と「商業者的」独占資本との2類型を析出したが,これは企 業金融過程において「■より自己資本的」と「より他人資本的」として現われる80)。 75)ヒルフア−デイング,前掲番,上,135ぺ一汐。なおヒルプア−デイングの『金融資 本論.』の理論構成とその現実的基盤との関連についてほ,大野英二,前掲省,432− 449ぺ−ジ参照。 76)ヒルプア−デイング,前掲苔,申,97ぺ一一汐。 77)上掲苔,151ぺ−ジ。 78)大野英ニ『■ドイツ金融資本成立史論』1950年,53−55ぺ−ジ。 79)レ−エソ,前掲蓄,268ぺ一汐。 80)生川栄治,前掲苫,47ぺ−ジ。「かくして産業資本末期まで紅資本構成における2つ の発展コーース(より自己資本的とより他人資本的)は,すで紅この独占的集中の基礎 工程において,一・方でほ.産業的要因による小数企業の集中として,他方では投機的金 融的要因による各数企業の集中として,いずれも外面化した姿をとって現われてきた のである」(上掲書,47ぺ・一汐)。香川大学経済学部 研究年報13 J974 一丁〃・J− この社内留保・減価償却その他積立金による内部金融方式と当座貸越。新証券 発行による外部金融方式という資本調達の2形態は,類型的にも段階的にもあ ●●●●● らわれる。この資本調達の形態ほ,経営的独立,つまり経営陣の株主集団から ●●●●● の独.立,および金融的独立,つまり企業の金融機関からの独立の度合を規定す る81)。ここから「技術者的」独占資本を中核とする金融資本は,金融機関から 相対的に独立した「産業(技術と原料)優位型」金融資本を形成するのに対し, 「商業者的」独占資本を中心とする金融資本は,金融機関への依存度が強く「瀧 通(商業と信用)優位型」金融資本を形成する82)。もっとも†■銀行の産業にた いする支配」にしても「自己金融の勝利」にしても相対的なものにすぎず3), この金融資本の2類型間の対立・抗争ほ,それらの利益共同体である金融寡頭 制の内部でおこなわれるにすぎない。 (2)金融寡頭制 個別資本の最高の発展形態をなす金融資本ほ,商品生産,私的所有,競争が一・ 般的環境をなす社会的総資本の内部では,不可避的に金融寡頭制に転化する。こ の金融寡頭制は「現代ブルジョア社会の,例外なしにすべての経済機関と政治 機関のうえに,従属関係のこまかな網の目をほりめぐらしている84)」のであり, 社会的総資本にたいする支配を完成する。 このように金融寡頭制は,ひとたび成立すると社会生活のあらゆる側面に浸 透し,支配し,全社会に対して独占者に買物を鍬する。さらに金融寡頭制ほ, 社会のうえに.立つ政治機構にも絶対的不可避性をもって疹透し,密着し,これ を支配するにいたる。かくして「銀行と産業との『人的結合』ほ,こ・れらの銀行, 81)Pノミラン,Pスウイ−ジ・−,前掲書,21−2ぺ−汐。 82)堀江英一傲授ほ,コンツェルン(企業集団)を金融コンツェルン(たんなる資本結 合としての企業集団)と座業コソツェルソ(生産結合を基底とした洛本結合としての 企業集団)とに類型イヒしている。この点については城江英一イ産業コンツェルンー巨 大企業の生産構造(3)一」『−経済論叢』第110巻誘5号(1972年11月)象臥その他「巨 大企業の生産構造(1)一序説」同誌第106巻第6号(1970年12月),「結合企業の重層性 一巨大企業の生産構造(2)−」同誌第108巻第1号(1971年7月)も示唆紅とむ0 83)大野英二『ドイツ資本主義論』1965年,202ぺ−ジ0 朗)レ−ニン,前掲書,346ぺ・−・ジ0
現代産業国家の2つの塾 −ヱ05− 会社と政府との『人的結合』によって補足され8;)」金権政治の支配が確立する。 ト……帝国主義一銀行資本の時代,巨大な資本主義的独占体の時代,独占資本 主義が国家独占資本主義へ成長転化する時代−は,君主制の国々でも,もっと も自由な共和制の国々でも,プロレタリア−l、にたいする弾圧の強化と関連し て『国家機構』の異常な強化,国家機構の官僚的および軍事的機関の前代未聞 の拡大をしめしている86)。」資本∵・般の支配において「∴‥・経済的諸関係の無言 の強制ほ,労働者に対する資本家の支配を碇詔87).」し,国家ほ「プル汐司ア階 級全体の共同事務を処理する88).」ために例外的にのみ経済外的,政治的強力を 用いるにすぎなかった。これに.対し金融寡頑制の支配は,金融資本のいわほ個 別的かつ私的な蓄積と循環を維持するために,国家権力を必要とし且つ利用す る89)。ここに金融資本の経済的支配は,政治的支配に転化し「支配の正当性90)」 をえるとともに,国家樅カは恒常的かつ機構附に再生産過梓を介入し,支配の
物質的基礎をえて「それ自体が1つの経済的な力91)」となる。こ.のような独占
の国家代位現象と国家の独占補充現象とが同時進行し,国家独占資本主義への転化の可能牲が生ずる92)。かくして,今や独占資本の私的利益が,国家の政策
さらにほ計画の名目の下に公然と追求される。国家独占ほ,生産の集積の1つ の本質的要素となり金融資本の支配を補強しながら新しい社会への「転化過程 85)上掲苔,254ぺ一汐。 86)レー・エソ『国家と革命』全集邦訳第25巻,442∬443ぺ−ジ。 87)マルクス,前掲書,第4分冊,308ぺ−・汐。 88)マルクス『共産党宣言』,全集邦訳第4巻,477ぺ一汐。 89)マルクス『暦本論』(岩波文庫版)第4分冊,308ぺ−ジ。 90)マックス・クェ−バ−,相良晃志郎訳『支配の社会学』,ク‡.−バ−『政治・社会論 袋一博界の大恩恩23−』1965年所収,参照。 91)マルクス,前掲蕾,第4分冊,330−1ぺ一汐。宇野弘蔵教授は,つぎのごとく述べ ている。「かくして重商主義の時代には政治的カが直接経済的なカに.転化したのに.対し て,帝国主義は経済的カをして直接政治的力に転化せしめる社会的基礎を有している ものといってよいのである」(宇野弘蔵『経済政貴論』土954年,164−5ぺ・−ジ)。 92)「【:】本とロンアでは,軍事力の独占や,広大な領土の独占,あるいは異民族,中国 その他を略隠する特別の便宜の独占が,現代の最新の金融資本の独占を,一・部はおぎ ない,劇部服代位している」(レ・−ニン『■帝国主義と社会主義の分裂』全集邦訳第23巻, 123ぺ−ジ)。香川大学経済学部 研究年報13 −JO6− j97■≠ を温室的に・促進して過渡期間を短縮する93)。」要するに金融寡頭制国家は,資本 −・般の国家と絶対主義国家とをより高次の次元で損発した最後の国家形態に他