(31)
尾
崎
繁
(鳥取大学農学部)
Studies On Tuhp Bulb
Actual Survey
S.OZAKI,
(Facu■yI.は
じ め に 収穫後のテ ユー リツプ球根 (以下単に ″球根″と ヤヽ う)の
貯蔵は,花
芽分化期 または出荷期 までの期間 と, それ以後の種球の貯蔵期間 とに分けて考えられ,花
芽分 化期には22∼23°Cの 温度下で速やかな乾燥が必要であ り(1),種球の貯蔵には全期間を通 じて20°C,60%の
温 湿度(2)が適 当 とされている。 ところが,山
陰地方では糧 球の貯蔵期間が梅雨あけのきわめて高温,高
湿な時期 と 重なるため,そ
の貯蔵条件をいかにしてと ゝのえるかが 球根栽培農家の重要な課題 となつている。 温湿度が 自由に調節できる専用貯蔵庫の建設はこの問 題を解決す る近みちであるが,本
地方では地域的にまと まつた生産量がないため,今
のところ個々の農家で檬 ざ まな貯蔵方法がとられている。 しか し,1960年 の球根輸 出実績(3)ゃゎが国における球根栽培 の有利性(4)などを考 え合わす と,今
後の生産量はます ます伸びるもの と予想 されるので,山
陰地方でも球根の品質確 保 のために早急に専用貯蔵庫の建設が考 えられなければならない。 鳥取大学農学部砂丘研究実験所でも専 用貯蔵庫の建設計画があり,この研究は その設計資料を集めるためにはじめ られ た ものであるが,筆
者 らは同時に,現
在 本地方の農家で行なわれている貯蔵方法 にも目を向けて,つ
ぎの 2点 を中心に研 究をすすめることに した。 ① 球根 (主に種球)の
貯蔵条件に適 した貯蔵庫の経 済的な構造決定。 ② 貯蔵庫内お よび周辺での作業 (乾燥 ,選別 ,調 製, 出荷など)を
能率化するための構造決定。 第 1報 は本地方の球根栽培農家で現在行なわれている 貯蔵法の実態を明 らかにす るとともに,貯
蔵庫建設上の 問題点をつかむため,1960∼ 61年 に実施 した調 査 の 結 果である。調査にあた りご協 力を願つた調査農家の方が たをはじめ,調
査用紙の配布,回
収の便宜をはかつてい ただいた各調査地の農協係員諸氏に深 く感謝 したい。I.調
査方法 と調査農家の概要 は)調
査方法 と主な調査 内容 調査にはア ンクー ト調査 ときき取 り調査の2方法を用 いた。ア ンケー ト調査を行なつたのは 1960年 9月 下 旬 で,山
陰地方におけるテ ユー ジツプ栽培地の農協係員に山陰地方 に適 したチュー リップ球根貯蔵庫 の研究
(1)
農 家 に お け る 球 根 貯 蔵 の 実 態
・ 富 チH l事
志 ・ 荻 原眸 (京都府久美浜高校
) (,鳥
取大学農学部)StOrage for the Farm in San‐ in Disttict(Part l)
On Tulip Bulb Storage on the Farm
J.TOMIKAWA and H.OGIHARA
of Agriculture,TottOri University)
( 32 ) 尾 崎
繁・富 チI十 惇 志・荻 原 調査用紙の配布 と回収を依頼 した。該 当農家の多い地区 では
,農
家の選定にあたつて栽培規模が偏 らないょうに範慮した。調査地は第
1図に示す
10地区で
,調
査用紙あ
回収率は74.5%,94戸
分 となつた。 調査用紙は:B4判とう字刷 り2枚 か らな り,主
な 調 査項 目をあげると,①
家族 と経営の概況,②
球根栽培の 概況,①
球根の貯蔵方法,①
貯蔵方法 の導入経路,⑤
現 在の貯蔵方法の問題点,⑥
貯蔵方法の改善計画などであ る。 なお,1960∼61年には前記アンケー ト調査地区および その周辺栽培地を訪ねて実地調査をす るとともに,農
家 の意見もきき取つた。 12)調査地区 と調査農家 調査地区別 の調査農家戸数は第 1図 に示す とお りで, 京都府爾栄地区の12戸を除 くといずれも秒畑地域に位置 している。 このため爾栄地区では,全
戸が水 田で球根栽 培を行なつているのに対 し,他
の地区はいずれも砂畑栽 培が主体である。球根栽培が本格的に始められたのは, 爾栄地区の 1農 家が1932年であつたのを除きすべて第二 次大戦後であ/p。 なかでも,鳥
取県の農家は他に換金作 物があつたせいか とくに新 しく,ほ
とん どが1957年以降 の栽培 となつている。 第1表 調 査 農 家 の 経 営 概 況 (1960年9チ1)3a未
満 5 ∼ 5a 5 ∼10a 10a 以 上 93.3 95,0 82 5 86.0 49 7 38.3 41.5 33.8 77.8 51.6429
72.2 42,9 68.8 77.8 80,0 41,2 43.8 64.7 75.0 2 6 4 合計・平均 │a719は
2 鶴1歩
6 郷1腑
1鰤
(注)1.栽
培地別農家数の残 り2戸は,砂
畑 と水田の両方に栽培 している農家。2.1戸
あた りの労働力は主に農業に従事す る者を 1人,補
助者を 0.5人 として換算 したもの。3.球
根栽培主体農家 とは,年
間の農業現金収入の うち球根による現金収入が第 1位 または 2位 を占 めているもの。4.栽
培面積の動 きは調査I寺をさかのぼる5年間の数字をもとrcした。 20 32 12 8 4.1 5.572
11.0 2.5 2.9 2.3 2.5 第 1表 は調査農家94戸の経営概況を球根栽培の規摸別 に示 したものである。栽培規模 (1960年の作付予定面積 に よる)は
平均5.5aでぁるが,最
高 と最低には 1∼25 aの 開きがあり,約
70%の農家は5a未満 とな つ て い る。 この表からも分 るように,一
般に球根の栽培経験が 古い農家ほど栽培面積が大 き く,水
田面積は反対に小さ くなつている。 これは栽培歴の古い農家が球根栽培の右 利性を認めてしだいに面積の拡大をはかつている結果 と 考 えられ る。また,水
田面積が逆に小 さいことは,稲
作 作業が球根栽培の制約条件となつていることを裏づけて いるも労働力の保有状態も 1つ の制約条件で,労
働力1 人あた りの耕地面積が小さい農家ほ ど球根栽培面積が大 き くなる傾向にある。 専業農家の割合は栽培規模の小 さい階層と大きい階層 に高 くなつているが,同
じ専業でも内容は異なる。すな わち,栽
培焼実 10a以上の専業農家には,球
根による現 金収入が農業総現金収入 の第 1位 または 2位 を占めるも のが約96もあるのに対 し,10a未
満 の農家には稲作を主 体に養蚕,果
樹,畜
産な どが組合わさらた もあが多い。 球根の栽培,管
理の中心者 は76%が
経'き主であるが, 残 りの農家では 35才 未満の経営主でない人が これ に あ たつている。栽培規漢の小さい農家には,主
婦が栽培の 中心になつているところもわずかなが らみ られた。 Ⅲ・ 調 寮 の 結 果 と 考 察 但)球
根の貯蔵場所´ 約70%の農家は球根の乾燥 と暗蔵々口じ場所で行なつ ているので
,以
下にのべ る貯蔵場所は多 くの場合両方の 機能をもつている。 球根専用の貯蔵庫がある農家は 94戸 中6戸で,このう山陰地方に適 したテ ユー) ち 5戸 が栽培規模 10a以 上の浜詰
,網
野地区の農家であ る。いずれ も1955年前後に建てられた木造平屋建の貯蔵 庫で,lal積は10∼33m2.となつている。第2図はその一 例で,壁
のないバラツク建貯蔵庫である。トタン葺 きの ものでは屋根に近い部分の球根に親喰い現象がお こると いわれる。 このほかの大部分の農家は,第
2表 に示すよ うに母屋,な
や,蚕
室などの一隅を貯蔵場所にあててい る。 調査農家の 41.3%を 占め,もつ とも高率を示 した母屋 利用農家には土間を使 う農家が多いが,な
かには第 3図 に示す ように縁側 とか座敷に球根を広げているものもあ る。栽培規模 5∼10aの階層の母屋利用率が とくに高い 第 2表 球 根 の 貯 蔵 場 所 と 貯 ツプ球根貯蔵庫の研究(1)
第2図 松林 中の本造 (1961年8月, 蔵 方 法 (1960年9月)(33)
トタ ン葺 き専 用貯蔵 庫 京都府浜言き地区) 貯 蔵 方 法 球根の仕分け 栽培 \ 規模別1桐
(% 専 用 貯蔵庫1%耳
│ 蚕 室 箱を憤 重ね る (留 1弔場
;
用 用士死畝
∽
販 と の さ j 根 き % に る れ % 棚 入 %) 3a 3 5 10a 27 8 20 0 33 3143
11.1 14,3 27 8 23 8 27.8 48.6 27 8 14.3 33,3 14.3 5.6 14 3 70.6 71 4 100 0 89 5 5.6 23 8 合 計 (農家戸数) 1こ彦
, │ (注)1.菩
1合は記入のない農家を除いた栽培規模別総戸数に対するもの。2.貯
蔵場所 と貯蔵方法の欄には「そのほかJの
ものが 3戸 ずつある。 17 7 22.8 5.3 11 1 6.3 45 0 9.7 11.1 25 0 を早期に発見できるという利点をあげている。蚕室利用 農家は養蚕の盛んな鳥取県中部以西に多 く,球
根栽培規 模が 3a未 満の階層では33.3%の高率を示 している。栽 培規模 3∼5a層
の農家になや利用が多 くて 母屋利用が 少ないのは, 5∼10a層 の農家にみられた と同じく耕地 規模 と農用建物 との関係にもとづ くものであろ う① この ほか縁の下やすF下においている農家 も 3戸 あつたが, こ れらの球根には直射 日光や雨をうけてカビがはえたり変 質 したものがみ うけられた。 京都府には第 4図 に示す ような共同貯蔵庫 も2, 3建
てられているが,温
湿度の調節が自由にできる構造でな いため,貯
蔵庫 としての機能をまだ十分に発揮 していな いようだ。 以上にのべた球根貯蔵場所の適否を論ずるには,貯
蔵 期間中の気象環境や作業能率を測定す ることが まず必要 であるが,母
屋を利用 している農家については,居
住空 満 5a Oa 上 未 ” ”. 以 のは,この階層の耕地規模がもつ とも小さ く,そ
れだけ 母屋以外に利用できる農用建物が貧弱(5)なため と思われ る。 また座致を利用している農家では,病
害のでた球根 第 3図 縁 側 に 広 げ ら れ た 球 根 (1961年8月,鳥
取県湖山地区)†
6; │そ
ち
i争 l iユゥ
; │ヱ
:6, l i:も , 1卑
?彦!暦 1隅
(34)
第4図 共 同 の 球 根 乾 燥 貯 蔵 庫 (1961年 8月,京
都 有木津地区) 問 と農 用空 間 の分離 とい う住宅改 菩の立場か らも貯威場 所の再検討を行 な う必要が あ る。 修)貯
蔵 場所 と球根栽培 ほ場 とのlIP離 栽培 ほ場か ら貝ヤ蔵場所 までの臣離が遠 い ことは,運
搬 労力を大 き くす るだけでな く運搬 中に球根が傷つ く原因 にもな る。専 用貯蔵lllを栽培 ほ場 の中に もつ2,3の農家 を除 くと,母
屋 を 中心 とした宅地 内で貯蔵を行 な う農家 が多いため, このμH離はかな りの長 さにな る。調査 の結 果では第5図に示す とお り05∼lkmの
農家 が253%
0某Oi1 0i3 0i5 1lo li5 2競 (km) 部背
0.3051.01.52.0
上 ‖E 蔵佳 第 5図 球根貯蔵場所 と栽培ほ場 との距離 あり,lkm以
上の農家は33.3%にも達する①網野地区 では 13戸 中 11戸 がlkm以
上離れているし,浜
詰,中
北条地区にもこのような農家が多い。 しかも,運
搬方法はほとん ど入力にょ る も の で,動
尾 崎 繁・富 チI十 惇 志・荻 原眸 力 (テ イラー)不1用の農家はわずか6戸み られ るだけで あ る。 普通 の土地に くらべ て多 くの運搬 労力が かか る上 に農道 の不備 な砂 地(6)では
,貯
蔵場所 の位 置選 定 に十分 芳点 を払 う必要が あ る。 俗)貯
FETt設備 と貯蔵方法 貯蔵方法 の概 要 は第2表に示す とお りで,もつ とも多 いのは第6,7図
の ような約15 cm tti隔の多段式 の棚 を つ くつ て,球
根 の入 つた木摘 または蚕箔 をのせ る方法で 第 6図 lBJを設けた貯蔵庫内部 (1961年8月 京都府木津地区,第
4図 の貯蔵庫) 第 7図 蚕箔を伊つた球根貯蔵庫内部 (1961年7月,鳥
取県湖山地区) ある。 この方法は貯蔵場所が少な くてすむ上に通風も比 較的 よいので,栽
培規模の大きな農家に多 く用いられて い る。養蚕を行な う農家では,春
蚕上族後か ら秋蚕掃立 てまで,あいた棚をそのまま利用しているも の も あ つ アと。 球根を入れる木箱は縦 100 Cm,杖 50 cm,深 さ 10 Cm 程度のものが多 く,武
には1∼1 5cm間隔に板をすか し 打ちした り金網をは りつけた りしている。月ヽ規模栽培農 家には木箱を第 8図 のように直接積重ねる例が多 く,箱
一P (7戸不明)山陰l也方に適 したテ ユー )ノ フ'球根貯蔵庫の研究
(1)
(35)
第3表 現在 の貯蔵 方法 の導入経 路 (1960年 9月)導 入 経 路
脚台
(力) 他の農家がやつているのをみて 農業改良普及員や指導員に聞いて 講習会や研究会での説切を聞いて 書籍や雑誌を参考にして 自 分 の 考 え だ け で 43,1 36 4 20.5 5.7 第8図 なや の1:F下に積竜ねた箱詰め球根 (1961年 7月,鳥
取県官益地区) も魚箱や果物れで間に合 わせ ている。 大 きさや用途に よつ て球根 の仕分 けを してか ら貯蔵す る農家 も15%程度 み うけ られ るが, これは品種や球根 の 大小に よる貯蔵条件(2)(7)の違 いを考慮 した も の で は な く,単
に取lTxい上の便利を考 えた ものであ る。網野地区 には大球や販売球老棚 の上段 に置 くとい う農 家が3戸あ つ た。 は)現
在 の貯蔵方法 の導入 経 路 これ らの貯蔵方法 の多 くは,第
3表に示す ように農 家 独 自の経験 に よるものや近 くの農 家の方法を見習つ て と り入 れた ものであ る。 この ことはいいかえ ると,科
学拘 39.8 (注)数
字は回答 のあつた農 家88戸 に対す る割合。 な根拠 に もとづ いて球根貯蔵 を行 なつ てい る農家が少な い ことを示す もの といえ る。球根栽培 地では附近 の栽培 農 家が集 まつ て討智会や 研究会 を開 い り,先
進栽培 地を 見学 にい く農 家 も多いが (約87%),
これ といつた貯蔵 方法 の決め手がな く,大
部分 の農 家が現在 の貯蔵方法 に 対 してつ ぎにのべ るよ うな問題点 をかか えてい る。 貯蔵関係 の技術 白体 に未解決の問題が 多い ことに もこ れ らの原 因を求め る ことがで きる。 耐 農 家 の側か らみた貯蔵 上の問題点 球根貯蔵上 の問題点 につ いてはすでにい くつかの点を 指摘 したが, ここでは農 家 の側か らみた意見を とりまと めて第4表に示 した。 いずれ も農 家 の主観 に よつ て判断 され る問題が 多いため,同
一意 見で も同質 とみなす こと はできないが, ここではそ こまで立 ち入つ て考 えない こ とに した。 第4表の中で もつ とも多い項 目は貯蔵場所 の構造 に関 連 した問題で,内
わけは温度 お ょび換気調節がで きない 第 4表 球 根 貯 蔵 上 因 つ て い る点 と貯 蔵 方 法 の 改 善 計 画 (1960年9月)球
貯 蔵 上 困 つ て い る 点 改 芋 計 画 菩計画がない農家の理由3a米
満 3 ∼ 5a 5 ∼10a 10a以上 36.4 28 6 50.0 64,7 23 883
5,9 35,3 50.0 83 3 61.1 11.8 8,8 27.8 58 3 37 5 100.0 50,0 16.7 43 7 16.7 25,0 18.8 33.3 鼠 害 (%) 36 4 23.8 16.7118
病 害 (%) i縁ユ
1写彦
1費蕩耳
1移
F
27 3 9.5 一 お 一 っ 均144.2
1駐 21a21α
61囲
│い
Ю Ю12■ 81222
(注) 1.
2 3 貯蔵上困つている点は栽培規模別 回答延べ数に対す る割合。 改善計画はこの項について国答のあつた農家に対す る割合。「専用貯蔵庫Jと
は改善計画があ る農家の うち専用貯蔵庫の計画があるもの。 改善計画がない農家の理由は,計
画のない理由をあげた回答延べ数に対す る割合。(36)
尾 崎繁・宮 ナ
II惇
志・荻 原 ことと鼠害が多いことである。温度,換
気の問題は回答 延べ数の44.%を
占めてもつ とも高率を示 し,栽
培規模 の大きな階層ほど割合が高 くなつている。 これ らの階層 では貯蔵問題に関心が強い ことにもよるが,貯
蔵量が多 いためその障害が目立つ ことや,専
用貯蔵庫があるとい つても温湿度調節の面では不完全なものであることなど が高率を示 した理由として考えられる。 しかし,貯
蔵中 の高温,高
湿が問題だ としても,77%の
農家は貯蔵場所 の温湿度を測つたことがないという状態である。10a以 上の栽培農家になるとさすがに梨∇きで,約
うるの農家が温 湿度を実浪1してい る。 鼠害の問題は逆に栽培規模 の小 さい農家ほど多い。 こ れはまとまつた量がないため貯蔵中の球根管理にあまり 配慮がなされていない ことに よるものと思われ る。球根 保護の立場からだけでな く環境衛生上からも鼠退治は必 要なわけだが,現
状では専用貯蔵庫を設けて鼠の出入 り を防 ぐのが良策である。荒木地区の農家には,球
lRの入 つた木箱を積重ねるとき,下
3摘 ほどを重箱積みにして その間にt7ノ葉をはさみ,鼠
が沓 るのを防いでいるT7/1も あつた。 以上の 2点 を除 くと貯蔵場所の構造,す
なわち高温, 高湿の間接的影響 と考えられ る病害および裂皮の発生が ある。病害の発生は栽培 中の管理や収穫直後の処置など と関連 した問題 となる。病害予防のため収穫後に球根の 消毒を行な う農家は約30%あつたが,貯
蔵 中に病害球を 早 く発見し取除きが容易にできる貯蔵庫内部の構造 も検 討の必要がある。 裂皮 した球根は商品価値が非常に落ちるため販売用球 根ではとくに問題 となる。裂 支防止のためには,ほ
場で の対策 とともに貯蔵庫内での温湿度を適度に保つなどの 管理方法の工夫が必要になる。 掘取 り直後の乾燥が困難だ とす る農家は,水
田で球根 栽培をする輛栄地区に多かつた。収穫期 と梅雨期が重な る山陰地方では,この問題は各地 とも大同小 果 で あ ろ ぅ。今後は機械設備に よつて短期間に大量の乾燥ができ る方法を考 えるのが よい。 また,小
規模栽培農家では貯 蔵場所 (貯蔵の広さではない)を
確保す ること自体に悩 みをもつている。蚕室を利用す る農家には養蚕 とかち合 うために困るというのもあつた。 い)貯
蔵方法の改善計画 いままでの調査結果からも分 るように,現
在一般に行 なわれている貯蔵方法は球根の貯蔵条件を満 していない ばか りか,取
扱いの上からも不便な点が多いので,早
急 な改善が望 まれる。 ところが,貯
蔵方法の改善計画をも つ農家は全体の56.3%(回
答のあつた87戸に 対 す る害1 合)に
あたる49戸で,残
りの農家は何 ら計画がないか現 状維持 ということになつ ている。 改善計画のない農家の理由 としては今 のままで支障が ない とするものが約半数を占め,こ れ らの農家のほとん どは前にあげた貯蔵上の問題点 も指摘 していない。栽培 規模10a以上の階層に計十画のない農家が比較的多 い の は,不
完全ではあるがすでに専用貯蔵庫をもつた農家が あるためである。また,球
根の貯蔵量が少なぃことや改 善資金がえられないことも計画のたてられない理由 とな つている。 改善計画の内容については詳 しく調べ ることができな かつたが,専
用貯蔵庫の建設計画があ る農家は,改
善計 画のある農家49戸の うち10戸で,全
体の115%と
なつて いる。 Ⅳ.球
根貯蔵庫建設上考慮すべき点 以上の調査結果を総括す るとき,種
球貯蔵の重要性が 強調 されているわ りに,農
家の種球貯蔵に対する配慮は 十分でないことが分 る。 この原因は,種
球の良否によつ て翌年の球根生産量が どの程度に左右されるかを農家自 ら確認する機会が少ないことにもよろうが,もつ とも大 きな原因は貯蔵条件の整つた専用貯蔵庫を建てるほどの 栽培規模に達 していないことであろう。 この点は球根栽 培の適正規模 とも関連 した問題で,手
作業の多い球根栽 培の特殊性やそのほかの制約条件(3)を考 えると,早
急な 栽培規模の拡大は望めないので,近
い将来に個々の農家 で専用貯蔵庫を建てることはむずか しいと思われ る。 し たがつて,さ しあたつての目標 としては,や
は り,集
団 栽培を基盤 とした共同専用貯蔵庫の建設が考えられるベ きであろう。 また,球
根貯蔵上の多 くの問題は貯蔵庫を完備するこ とによつて解決できるが,病
害 とか裂皮な どのように生 育中あるいは収穫直後 の管理 と関連 した問 題 も あ るの で,貯
蔵F4 の効 果を十分に発揮 させ るためには植付から 収穫,貯
蔵 までの一貫 した種球生産技術が確立 され る必 要がある。 なお,収
穫後の乾燥,調
製,選
別,出
荷な どの作業は 貯蔵庫 とほぼ向一場所 で行なわれるので,貯
蔵庫の建設 計画にはこれらの諸作業 も同時にに行なえる空間や配置 をも考慮すべ きである。また,水
田で栽培 された球根は 砂畑の球根 と異なつた調製をするので,これ らの点 も加 味 してお く。そのほか,球
根栽培ほ場 とともに,貯
蔵庫 を山間高冷地に移す ことも検討 してみ る必要がある。山陰地方に適 したテ コー リツプ球根貯蔵庫の研究
(I)
( 37 ) は,①
集団栽培を基盤 とした共同専用貯蔵庫 とす る,②
V.摘
要 貯蔵技術は植付からの一連の技術 として考える,t・4貯蔵 山陰地方におけるチ ユー ジツプ球根貯蔵 の実態をつか庫内には乾燥
,調
製,選
別,出
荷な どの作業を行なう空 むため,1960∼ 61年 に球根栽培農家 94戸 の調査をイ子な 間を確保す る,①
自然環境を生か した山問地の貯蔵庫を つた。調査結果 と今後の貯蔵庫建設上考慮すべき諸点を 検討す る,な
どがあげられ る。 要約す るとつぎの とお りである。 参 考 資 料 (1)球根専用の貯蔵庫がある農家は 6戸 のみで,これ とて自由に温湿度の調節ができない。他のほ とんどの農(1)豊
田:チユー リツプ球根の収穫 と貯蔵,農
耕 と園 家は母屋 とかなや,蚕
宝などの一隅に球根を貯蔵 してい芸
,V。
1.7,No.盈 54∼55,1952. る。なかでも母屋を利用する農家は調査農家の41.3%を② 吉野
,渡
辺:チユー ジツプ球根の貯蔵に関する研 占めてもつ とも多い。究
,島
根農科大学研究報告,No.6,61∼
67,1958. 鬱)球
根貯蔵場所 と球根栽培ほ場 との距離は0.5∼1 (3)農
林管輸出検査所:昭和36年度業務報告,62∼65kmが
25.3%,lkm以
上が33.3%を 占めている。1962.
俗)貯
蔵方法は多段式のlllSをつ くつて球根の入つた木い 萩屋:花井球根栽培, 農業及園 芸
, V01.37,
箱または蚕箔を入れ るものが大部分であるが,栽
培規棋No.4,741∼
744,1962 の小さい農家では木箱を直接積み重ねているものもかな耐 農林省統計調査部:昭和35年度農家経 済 調 査 報 りある。
告,1961. 141 現在の貯蔵方法の多 くは農家が独 自で考えた もの
(0
尾崎,中
嶋 :砂丘畑地帯における運搬作業の能率 や附近の農家の方法を見習つて導入 したものである。化に関す る研究 (第1報
),第
10回総合農学研究発表会 い)現
在の貯蔵方法を改善す る計画がある農家は87戸要 旨,1960. 中49戸で,うち10戸は専用貯蔵庫の計画をもつている。
● 倉岡
,吉
野:チユー リツプの分球に関 す る研 究 脩)農
家が とりあげた貯蔵上の問題点には貯蔵場所の(第
3報),島
根農科大学研究報告, No.4, 24∼26, 構造に関連 したものが多い。数の多いものか らあげると1956.
温度,換
気の調節,鼠
害,病
害,貯
蔵場所の確保,裂
皮(31
日野田:砂丘地における作 目組織,秒
丘研究, の順になる。Vol.7,No.1,23∼
38,19607)専
用貯蔵庫の建設にあたつて考慮すべ き点 としてSulmmary
The ObicctiVes Of this study are:
(1) To deter■ ne the design, construction, and Operation of storage facilities aimed at
increasi■g efficiency in tulip bulb stOrage,
(2) To determine a labOr saving plan of tulip bulb storage.
This paper is the result Of investigatiOn on the actual conditions of tulip bulb stOrage on the Farna in the San.in 正)istrict in 1960_61. As a result, the authors suggested a fe都 / points