成 膜 大 学 理 工 学 研 究 報 告 J,Fac,Sci,Tech.,Sei/keiUniv. Vol.49No.2(2012)pp.63-68
協 調 学 習 に お ける ア ウ ェア ネス を反 映 した対 話 支 援 イ ンタ フ ェー ス
林 佑 樹*1,小 尻 智 子*2,渡 邉 豊 英*3
Communication Support Interface Based on Awareness in Collaborative Learning
Yuki HAYASHI *', Tomoko KOJIRI * 2, Toyohide WATANABE * 3
ABSTRACT : To realize successful collaborative learning in distributed environments, smooth communication is important since participants acquire some knowledge through their interaction. However, it is difficult for participants to communicate with others because of the limited ways of communication compared to face-to-face environments. In order to facilitate the opportunity to communication through networks, the concept of awareness plays an important role. This paper proposes a collaborative learning support system in which participants can be aware of their learning situations effectively. The interface corresponds to each participant's view. In order to enhance the communication among participants, our system facilitates three types of awareness in collaborative learning: (i) awareness of participants, (ii) awareness of utterances, and (iii) awareness of contribution of discussion. This paper introduces these concepts and shows how to implement the three types of awareness in our interface.
Keywords : CSCL, awareness, communication support, round-table interface
(Received September 21, 2012) 1.は じ め に 協 調 学 習 は グ ル ー プ 学 習 の 一 種 で あ り,参 加 者 が 同 一 の 課 題 に つ い て 議 論 す る こ と で 個 人 の 知 識 獲 得 を 目指 す 学 習 形 態 で あ る(1)。 こ の よ う な 協 調 学 習 を 情 報 通 信 技 術 に よ り 支 援 す る こ と を 目 指 し た 研 究 領 域 はCSCL (ComputerSupportedCollaborativeLea血ng)と 呼 ば れ, ネ ッ トワ ー ク の 普 及 に よ り分 散 環 境 に い な が ら仲 間 と 共 に 学 習 す る た め の 仕 組 み が 研 究 さ れ て い る(2)。 CSCLは,複 数 人 に よ る 作 業 の 効 率 化 や 生 産 性 の 向 上 を 目 指 し た 共 同 作 業 支 援 に 関 す る 研 究 領 域 で あ るCSCW (ComputerSupportedCooperativeW6rk)を 技 術 的 な 背 景 と す る 。 参 加 者 間 の 協 調 的 な 活 動 を 対 象 と し て い る 点 は 同 じ で あ る が,CSCWが グ ル ー一一プ 全 体 の 生 産 性 を 高 め る こ と を 目 指 す 一 方 で,CSCLで は 学 習 過 程 に お け る 参 加 者 の 相 互 作 用 の 質 や 学 習 目 的 に 至 る プ ロ セ ス を 支 援 す る こ *1:情 報 科 学 科 助 教(hayashi@st ,seikei,acjp) *2・ 関 西 大 学 シ ス テ ム 理 工 学 部 准 教 授 *3:名 古 屋 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 教 授 と に 主 眼 を 置 く(3)。す な わ ち,グ ル ー一一プ に 与 え ら れ た 学 習 課 題 の 達 成 そ の も の よ り も,そ の 議 論 過 程 が 重 要 で あ り,円 滑 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 達 成 で き る 学 習 環 境 が 重 要 で あ る。 一 方,ネ ッ トワー ク を介 した 環 境 で は,実 空 間 の 対 面 的 な コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの よ うに 同一 空 間 を他 者 と共 有 し て い る とい う実 感 を 持 ちに く く,他 者 と協 力 しな が ら学 習 に 取 組 む こ とが難 しい。 この 問題 を解 決す る手 段 の 一 つ に,協 調 的 活 動 の た め の ア ウ ェ アネ ス支 援 が あ る。ア ウ ェ ア ネ ス と は,作 業 場 に誰 が い て, どの よ うな活 動 が あ り,誰 と誰 が 話 して い る か とい っ た状 況 盾 報 へ の気 づ き で あ り,複 数 の ユ ー ザ に よ る 共 通 の タ ス ク の 遂 行 や,円 滑 な 対 話 の 実 現 に 重 要 な要 素 で あ る ④。 協 調 学 習 中 の 議 論 を 効 率 的 に 行 う た め の ア ウ ェ ア ネ ス と し て, Gol(㎞an⑤ が 提 案 し た,問 題 を 解 決 す る た め の グ ル ー一一プ 中 の 各 参 加 者 の 役 割 に 関 す るSocialAwareness,問 題 を 解 決 す る た め に 必 要 な 知 識 や 道 具 と い っ た,問 題 に 関 す る TaskAwareness,自 身 の 知 識 と 問 題 を 解 決 す る た め に 必 要 な 知 識 と の 関 係 に 関 す るConceptAwarenessや,Gutwin⑥ が 提 案 し た,他 者 の 動 作 や 状 態 に 関 す るW6rkspace Awarenessが あ る 。 ま た,Ogataら は,議 論 の き っ か け と
な る知 識 や 個別 学 習 空 間 に お け る他 の 参 加 者 の 行 動 に 関 す るKnowledgeAwarenessを 提 案 して い る⑦。 対話を通 し て共に学び あ う協調学習 では,円 滑な コミュニケー シ ョンを達 成で きる必要が あ り,そ のためにはア ウェアネ スを支援す るイ ンタフェース技術が必要 とな る。一 方 で,上 述 の よ うに様 々 な ア ウェ ア ネ ス 情 報 が あ るた め,そ れ らす べ て を 網 羅 し た 支援 は難 しい 。 ま た,限 られ た 仮想 空 間 に 過 度 にア ウ ェア ネ ス 情 報 を表 現 し過 ぎ る と,認 知 的 負 荷 に よ る効 率 的 な 活 動 を妨 げ る要 因 に な る こ とが 指 摘 され て お り(8), 個 々 の 参加 者 に 応 じた 適 切 な ア ウェ ア ネ ス 情 報 に 参 加 者 自身 が 気 づ け る こ とが 重 要 で あ る。 この よ うな 背 景 に 対 し,著 者 らは 遠 隔 分 散 環 境 にお け る協 調 学 習 時 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を支 援 す る こ とを 目 指 した 協 調 学 習 支援 シ ス テ ム を構 築 して きた(9・10ユ1)。本 稿 で は,こ れ ま で構 築 して き た シス テ ム の概 要 を 示 し,「他 者 との 共 存 感 」,「自己 の 存在 感 」 を 個 々 の 参 加 者 が 実 感 しな が ら学 習 に 取 り組 め る こ と を狙 い と した,「他 者 へ の 気 づ き」,「発 言 へ の 気 づ き」,そ して 「貢 献 へ の気 づ き」 をイ ン タ フ ェー ス に 表 出 す るた め の機 能 を紹 介 す る。 な お 本稿 は 第 一 著 者 の 学位 論 文 を概 説 した もの で あ る こ と を断 っ て お く。 加 して い る とい う 「自己 の存 在 感 」 を参 加 者 が 実感 で き る こ とが必 要 で あ り,こ れ らの感 覚 を 実感 で き る ア ウェ アネ ス情 報 が 円 滑 な対 話 達成 の鍵 とな る。 協 調 学 習 で は,参 加 者 は学 習 状 況 に応 じて変 化 す る 関 心 の あ る他 者 の表 情 や 動 作 を観 察 す る こ とで,そ の空 間 に集 う仲 間 を身 近 に感 じ,共 に学 習 して い る と実感 で き る。 ま た,発 言 のや り取 りの な か で も理 解 に役 立つ 発 言 に 注 目す る こ とで,互 い の知 識 や 知 見 を深 め合 う こ とが で き,仲 間 と共 に 学 習 して い る とい う実 感 を得 る。一 方, 他 者 が い る とい う安 心感 か ら協 調 学 習 へ の参 加 意 識 が低 下 し,他 者 や 議 論 内容 を踏 ま え た発 言 へ の意 識 が低 下 し て しま う恐 れ が あ る。 こ こ で は,仲 間 と共 に学 習 して い る とい う実 感 を持 ち な が ら,参 加 意 識 を 高 め る た め の仕 組 み が 求 め られ る。 以上 を ま とめ る と,協 調 学 習 に集 う仲 間 の存 在 を意 識 で き る 学習 空 間 の な か で,参 加 者 の 注 目意 識 に応 じた他 者 の表 情 や 動 作,発 言 に対 す る情 報 取得 を達 成 し,協 調 学 習 へ の参 加 意 識 を 高 め な が ら議 論 で き る こ とが必 要 で あ る。 表1に,本 研 究 に お け る 「空 間 の 共有 」,「場 の 共 有 」 を 実現 す る た め の達 成 目標 を示 す 。 表1研 究 課 題 2.対 話 支 援 イ ン タ フ ェ ー ス の 概 要
ll
達 成 目標 2.1「 空 間 の 共 有 」 と 「場 の 共 有 」 の 実 現 本研 究 で は 数 名 程 度 で 構 成 され る参 加 者 を 対 象 と して お り,教 師 役 な ど の役 割 を担 う参 加 者 は想 定 しな い。 学 習時にお ける参加者 のコ ミュ ニ ケ ー シ ョン を 活性 化 させ る こ とで,学 習課 題 に 関 す る知 識 の 強化 や 理 解 の 深 化 とい っ た 協 調 学 習 の 学 習 効 果 に 繋 が る機 会 を 増 や す こ とを 狙 い とす る。 協 調 学 習 に お け る効 果 的 な 学 習 過 程 を 実 現 す るた め の 学 習 環 境 へ の 要 求 と して,Watanabeが 提 唱 した 「空 間 の 共 有 」 と,「場 の 共 有 」の概 念 が あ る(12)。空 間 の 共 有 は, 物 理 的 に 離 れ た 場 所 に い る参 加者 が 一 つ の 空 間 に い る こ とを 実 感 で き る よ うな仮 想 学 習 空 間 を実 現 す る とい う概 念 で あ り,従 来 の 対 面 感(face-to-face)の 下 に 探 求 され て きた 概 念 で あ る。 場 の 共 有 は,個 々 の 参 加 者 が 同一 空 間 で 活 動 して い る仲 間 と共 存 して い る こ とを 実 感 しつ つ, 自身 の 存在 を 他 者 に 知 ら しめ る環 境 を実 現 す る概 念 で あ る。参 加 者 間 の相 互 作 用 が もた らす 意 識 の変 化 に応 じて, 学 習 環 境 に い る他者 や 対 話 の や りと りを 直 接 的 に 観 察 で き る こ と を 必 要 と し,face-to-faceを 超 え た 連 帯 感 (hand-in-hand)の 実 現 が 求 め られ る。 こ こで は,他 者 と 共 存 して い る とい う 「他 者 との 共 存感 」,自身 が 学 習 に 参 空 間 の 共 有 仲 間 の 存在 を 意識 で き る 学 習 空 間 場 の 共 有 他 者 との共 存 感 注 目意識 に応 じた他 者 ・ 発 言 の 情 報 取 得 自己 の存 在 感 参加 意識 の 向 上 2.2円 卓 場 イ ン タ フ ェー ス 全 て の参 加 者 が等 しい 立場 で参 加 す る協 調 学 習 で は, 仲 間 の存 在 を意 識 で き,学 習 状 況 を どの位 置 か らで も等 し く観 察 で き る よ うな学 習 空 間 の構 成 が求 め られ る。 本 研 究 で は,座 順 に よ る優 劣 が な く対 等 な 関係 で対 話 で き る 「円卓 」 の概 念 に着 目 し,参 加 者 が 同一 空 間 を 共有 し な が ら対 話 で き る学 習 環 境 と して 「円卓 場 イ ン タ フ ェ ー ス 」 を提 案 す る。 図1に,現 行 バ ー ジ ョン の 円卓 場 イ ン タ フ ェ ー ス を示 す 。 円卓 場 ウィ ン ドウで は,仮 想 空 間 を一 人 称 視 点 で 見 た とき の個 々 の参 加 者 独 自の視 野 が表 示 され て お り,円 卓 の周 囲 に は他 者 のWebカ メ ラ 映像 が 均 等 に配 置 され る。 参 加 者 は,発 言 の対 象 者 情 報 を発 言 対 象 選 択 コン ボ ボ ッ ク ス か ら 「全 体 」,ま た は 「特 定 の他 者 一 を選 択 し,発 言 入 力エ リア か ら直接 発 言 で き る。 発 言 は 円卓 場 ウ ィン ド成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告 Vol,49No.2(2012.12) ウの発 言 履 歴 一 覧 エ リア に 表 示 され る。 ノー ト ・ウ ィ ン ドウで は,学 習 内 容 の 理 解 に 役 立 つ発 言 を発 言 履 歴 一 覧 エ リア か ら選 択 す る こ とで,そ の 発 言 内 容 が ノー ト ・ウ ィ ン ドウの 参 照 発 言 編集 エ リア に 複 写 され,獲 得 知 識 と して 自由 に 編集 す る こ とが で き る。 貢 献発 言 可 視 化 ウ ィ ン ドウに つ い て は,5章 で詳 細 を説 明す る。 本 イ ン タ フ ェー ス で は,参 加者 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を円 滑 に す るた め の ア ウ ェア ネ ス 情 報 を 表 出 す る機 能 と して,(i)注 目意 識 に基 づ く視 線 ・視 野 の反 映 機 能,(ii) 発 言 に お け る注 目意 識 の 反 映機 能,(iii)貢 献 動 作 情 報 の 反 映機 能 の3つ の機 能 が組 み込 まれ てい る。(i)と(ii) の機 能 で は,注 目意 識 に 応 じた 学 習 活 動 情 報 と して 注 目 す る他 者,発 言 情 報 を 円卓 場 イ ンタ フ ェー ス に強 調 して 表 示 す る こ とで,場 の 共 有 に お け る他 者 との 共 存 感 を 高 め るた め の 支 援 を 実 現 す る。(iii)の機 能 で は,他 者 の 知 識 理解 に 貢 献 して い る こ と を示 す 参加 者 の 動 作 に 基 づ く 情 報 をイ ンタ フェ ー ス に 表 示 す る こ とで,場 の 共 有 に お け る 自己 の 存 在 感 を高 め る こ と を狙 う。 以 降 の 章 で 各機 能 の概 要 を説 明 す る。 白 献#.ロoI視 化 ウ で ノ1ウ 図1円 卓 場 イ ン タ フ ェ ー ス 3.注 目 意 識 に 基 づ く視 線 ・視 野 の 反 映 機 能 対 面 環 境 の 協 調 学 習 で は,参 加 者 は 関 心 の あ る他 者 を 注 目対 象 と して 注 視 す る こ とで,相 手 の 表 情 や 動 作 とい っ た 情 報 を集 中的 に 獲 得 で き る。 ま た,注 目の 度 合 い に 応 じて,注 目対 象 が 視 野 を 占め る割 合 が 変 化 す る。 す な わ ち,注 目の 度 合 い が 高 くな い 場 合,注 目対 象 の 周 囲 に 存 在 す る情 報 も同 時 に認 識 で き る。 一 方,注 目対 象 に 意 識 が集 中 して い る場 合,周 囲 の 情 報 は 全 く無 視 され る。 この よ うな 人 間 の 視 覚 的 な 特 徴 をイ ン タ フ ェー ス に反 映 す る こ とで,参 加者 の 主 体 的 な 情 報 収 集 を促 進 し,そ の 場 に集 う仲 間 と共 に学 習 して い る とい う実感 を 与 え る こ とが で き る と考 え られ る。 参 加 者 の リアル タ イ ム な注 目動 作 を 実現 す る た め に, シ ステ ム で は他 者 に対 す る注 目意 識 を 「他 者 へ の 気 づ き一 と して イ ン タ フ ェー一一ス に表 現 す る機 能 を持 つ(9)。参 加 者 が 注視 した い他 者 で あ る 注 目対 象 は,学 習 時 に な され た 発 言 や,ノ ー一一トの 記 述/閲 覧 とい っ た参 加 者 の行 為 か ら判 断 で き る と考 え られ る。 そ こ で本 機 能 で は,注 目対 象 を 推 定す る た め に,協 調 学 習 空 間 に存 在 す る参 加 者 とそ の ノ ー トに対 す る行 為 対 象 に応 じた 注 目変 化 対 象 を 定 め, 行 為 が 生 じる ご とに,そ の注 目変 化 対 象 の 注 目度 の値 が 大 き くな る よ うに全 参 加 者 の 注 目度 を算 出す る。 注 目対 象 は注 目度 が最 も高 い他 者 と して特 定 され る。 イ ン タ フ ェ ー ス で は,参 加 者 の注 目対 象 とそ の 注 目度 の値 に応 じ て,円 卓 の 中心 と参 加 者 との距 離 を変 え た位 置 か ら注 目 対 象 を視 線 方 向 と した とき の視 野 が表 示 され る。同時 に, 他 者 を表 す カ メ ラ映 像 を そ の 注 目対 象 に 向 け る こ とで, 他 者 の 注 目対 象 に も気 づ くこ とが で き る。 図2に 注 目対 象 とそ の 注 目度 に応 じた 円卓 場 ウ ィン ド ウの視 野 の移 動 例 を示 す 。6人 の参 加 者OV自 身,他 者A ∼E)が 参 加 して お り,Xの 視野が表示 されてい る。図2(a) は,Xの 注 目対 象 がBの 状 況 で あ る。 この 時 点 で は 円卓 場 ウィ ン ドウに表 示 され て い る他 者A,B,Cの 注 目対 象 はY で は な い た め,そ れ ぞれ の カ メ ラ 映像 は各 々 の 注 目対 象 を 向 い て い る。 図2(b)は,XがBに 発 言 した こ とで,Bの 注 目度 の値 が上 昇 した状 況 で あ る。 注 目度 の値 が 上 が っ た こ とで,β が 視 野 を 占 め る 割 合 が大 き くな っ て い る こ とが わ か る。 ま た,こ の発 言 に よ りBの 注 目対 象 がXに 変 化 した た め,Bの カ メ ラ映 像 がXを 向 くよ うに変 化 して い る。 一 方,Xの 注 目対 象 がCに 変 化 した場 合,図2(c)の よ うにCを 中 心 と した視 線 方 向 に変 化 す る。 この よ うに し て,推 定 され た 注 目対 象 及 び,そ の 注 目度 に応 じて参 加 者 の視 野 が変 化 す る。 注 目対象 の推 定 に 関す る評 価 実験 で は,被 験 者 の 実 際 の行 為 対象 と本 手 法 で推 定 され た 注 目対 象 が約7割 の精 度 で一 致 してお り,個 々 の被 験 者 の 注 目対 象 を あ る程 度 推 定 し,表 示 で き て い た とい う結 果 が得 られ た。 ま た, 円卓 場 ウィ ン ドウ と,全 て の参 加 者 を観 察 で き る視 線 を 固 定 した ウィ ン ドウを比 較 した評 価 実験 で は,視 線 ・視 野 が動 的 に変 化 す る方 が意 見 を 交 わ しや す く,同 一 空 間 内 で他 者 と共存 しな が ら学 習 して い る とい う意 識 が 高 ま る こ とが示 され た。 こ の よ うに,学 習 空 間 を一 様 に表 示 す る の で は な く,参 加 者 が注 目す る他 者 に 関す る情 報 を 強 調 して表 現 す る こ とで,共 に学 習 して い る とい う実感 を参 加 者 は得 る こ とが で き る。
回
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図2注 目 対象 の変 化 に応 じた視 線 ・視 野 4.発 言 に お け る注 目意 識 の 反 映 機 能 協 調 学 習 で は,他 者 と発 言 を 交 わ し,理 解 に役 立 つ 重 要 な発 言 に 注 目す る こ とで,互 い の 知 識 や 知 見 を 深 め 合 うこ とが で き る。CSCL分 野 で は,参 加 者 の コ ミュニ ケ ー シ ョン手 段 と して テ キ ス ト ・チ ャ ッ トを利 用 す る場 合 が 多 い(13)。参 加 者 は 自身 の 考 え を ま と めて か ら発 言 で き る た め,集 中 して 対 話 で き る。 ま た,音 声 を利 用 した 対 話 と比 べ て 対 話 時 の発 言 履 歴 を閲 覧 で き る。 一 方,同 期 的 な 協 調 学 習 で テ キ ス ト ・チ ャ ッ トを 用 い た 場 合,誰 が, 誰 に,何 を話 して い るか を 即 時 に 判 断 で きな い 状 況 が 発 生 し,対 話 内 容 の 把 握 や 理解 の 妨 げ に 繋 が る こ とが 知 ら れ て い る(14)。ま た,理 解 に 役 立 つ 重 要 な 発 言 は 個 々 の 参 加 者 に 応 じて 異 な る と考 え られ るが,発 言 が テ キ ス トで 画 一 的 に 表 示 され るた め,発 言 内 容 が 重 要 で あ るか ど う か を 理 解 した 上 で 判 断 しな けれ ば な らな い 。 この 問題 を解 決 す るた め に,シ ス テ ム は 学 習 時 の 発 言 の や り取 りを 直 感 的 に 表 現 し,個 々 の 参加 者 に応 じた 注 目発 言 を 特 定 ・強 調 表 示 す る こ とで 「発 言 へ の 気 づ き 」 を表 出 す る機 能 を備 えて い る(lo)。同機 能 で は,誰 が,誰 に 発 言 して い るか を直感 的 に 表 現 す るた め に,参 加 者 が 選 択 した発 言 の 対 象 者 情 報 に 応 じて,発 言 者 か ら対 象 者 に 向 けて発 言 テ キ ス トを移 動 させ る。 ま た,参 加 者 が 学 習 内 容 の 理 解 を深 め るた め に 注 目 した 発 言 を 調 査 した 結 果 よ り,知 識 理 解 に役 立 つ可 能 性 の あ る重 要 な発 言 を 注 目発 言 と して特 定す る手 法 を提 案 し,形 態 素解 析 エ ン ジ ン に よ り抽 出 され た キー ワー ドに対 す る参 加 者 の理 解 度 と,手 掛 か り語 に基 づ く発 言 意 図 か ら注 目発 言 が検 出 さ れ る。 検 出 され た注 目発 言 は,通 常 の発 言 と区別 して表 現 す る こ とで,重 要 な 発 言 へ の 気 づ き を参 加 者 に与 え る。 図3,図4に 参 加 者X自 身 の 円卓 場 ウィ ン ドウに お け る 発 言 テ キ ス トの表 示 例 を示 す 。図3は,DがAを 発 言 の対 象 者 と して 発 言 した状 況 で あ る。 発 言 時 点 のXの 注 目対 象 はAで あ り,Aの 注 目対 象 はXで あ っ た 。 発 言 がDの 位 置 か らAの 座 標 ま で移 動 す るた め,Xの 円卓 場 ウィ ン ドウ で左 側 か ら右 側 に発 言 テ キ ス トが移 動 す る。発 言 の 結 果, 視 野 に表 示 され て い るA,Bの 注 目対 象 が そ れ ぞ れD,Aと 変 化 した た め,Aの カ メ ラ映 像 がDを,Bの カ メ ラ映 像 が Aを 向 く よ うに変 化 した こ とが わ か る。 図4は,CがXに 発 言 した 状 況 で あ る。 この 発 言 はXの 注 目発 言 と して特 定 され た た め,フ ェ ー ドア ウ ト時 間 が長 く,フ ォ ン ト ・ サ イ ズ が他 の発 言 よ りも 大 き くな り,発 言 テ キ ス トの 文 字 色 が赤 く強調 して表 示 され る。 注 目発 言 の検 出精 度 に 関す る評 価 実 験 で は,被 験 者 の 注 目発 言 の6割 強 を正 し く検 出 で き た こ とを確 認 した。 ま た,発 言 テ キ ス トの遷 移 か ら対 話 の流 れ や 重 要 な発 言 へ の気 づ き を直 感 的 に表 現 し,他 者 の表 情 や 動 作 情 報 の 取 得 に弊 害 とな らな い表 示 が で き た こ とが示 され た。 視 線 ・視 野 が 注 目対 象 に応 じて変 化 す る機 能 に加 え,参 加 者 同士 の"言 葉 の キ ャ ッチ ボ ール"を そ の言 葉 が示 す 通 り学 習 空 間 内 に 実現 した本 機 能 に よ り,他 者 との共 存 感 を一 層 高 め られ るイ ン タ フ ェ ー ス に近 づ い た と言 え る。ン
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畢
発訓
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図3発 言 テ キ ス トの移 動例成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告 Vol,49No.2(2012.12) 図4注 目発 言 の 表 示 例 5.貢 献 動 作 情 報 の 反 映 機 能 協 調 学 習 の 目的 は 学 習 課題 に 関 す る知 識 の 獲 得 で あ り, 議 論 は 知 識 を 獲 得 す るた め の 手 段 で あ る。 参 加 者 は単 に メ ンバ の 一 員 と して そ の 場 に 存在 し,周 りの 様 子 を観 察 す るだ け で は 議 論 が 進 ま な い 。 他 者 に 知 識 を 与 え る立 場 で もあ る とい うこ とを 意 識 し,学 習 課 題 に 対 して 積 極 的 に 発 言 す る こ とが 求 め られ る。 こ こで は,仲 間 と共 に 学 習 して い る とい う実 感 に 加 えて,参 加 意 識 そ の もの を 高 め る,す な わ ち,自 己 の 存在 感 を意 識 しな が ら学 習 に 取 り組 め る こ とが 望 ま れ る。 協 調 学 習 で は,自 身 の 発 言 に 対 す る頷 きや 各 自の 発 言 内 容 が 他 者 に 参 照 され る とい っ た 状 況 に 気 づ く こ とで,参 加 者 の 一員 と して 学 習 に参 加 して い る とい う実感 が 得 られ る。 自身 の発 言 が 他 者 の 知 識 理解 に 注 目 ・評価 され た とい う事 実 が 仲 間 の 一 員 と し て の 自覚 を促 し,よ り多 くの 学 習 内 容 や 他 者 に役 立 つ 発 言 へ の 動機 付 けに 繋 が る こ とが 期 待 で き る。 参加 者 の 有 益 な発 言 へ の 動 機 付 け を高 め る こ と を狙 い と して,本 シ ス テ ム は議 論 時 の 「貢 献 へ の 気 づ き 一 を イ ン タ フェ ー ス に 反 映 す る機 能 を 持 つ(ll)。参 加 意 識 が 高 ま る状 況 と して,参 加 者 自身 の 発 言 が 他 者 の ノー トに参 照 され る動 作(発 言 参 照 動 作)に 着 目 し,リ ア ル タ イ ム に 進 行 す る議 論 で 発 生 す る発 言 参 照 動 作 を 「即 時 的 な 貢 献 へ の 気 づ き」 と して 表 現 す る こ とで ,そ の場の話題を意 識 した 発 言 へ の 動機 付 けを 参 加者 に 与 え る。 また,参 照 され た 発 言 を議 論 に お け る貢 献発 言 と し,各 話 題 につ い て,誰 が,ど れ ほ ど有 益 な発 言 を して きた か を 「包 括 的 な 貢 献 へ の 気 づ き 」 と して 可 視 化 す る こ とで,議 論 全 体 を意 識 した 発 言 を 動 機 付 け る。 即 時 的 な 貢 献 へ の 気 づ き を反 映 す るた め に,他 者 の 発 言 参 照 動 作 を トリガ と して被 参 照 者 か ら参 照 者 の 位 置 ま で 光 球 オ ブ ジ ェ ク トを移 動 させ る。 図5に 発 言 参 照 動 作 の 円 卓 場 ウ ィ ン ドウ表 示 を 示 す 。Xの 発 言 をAが 参 照 した 状 況 で あ る。Xの 位 置 か ら参 照 者Aの 位 置 まで 光 球 が 移 動 して い る。 この よ うに発 言 に 対 す る他 者 の 反 応 を 瞬 時 に 把 握 で き る こ とで,自 身 の発 言 に 対 す る客 観 的 な 評 価 が 得 られ,自 身 が グル ー プ に参 加 して い る とい う実感 を得 る こ とが で き る。 包 括 的 な貢 献 へ の気 づ き は,参 照 され た発 言 を貢 献 発 言 可視 化 ウィ ン ドウに表 示 す る こ とで反 映 され る。 参 照 され た発 言 が参 照者 の知 識 理 解 に どの程 度 役 に 立 っ た か とい う貢 献 の度 合 い を表 現 す る た め に,発 言 を参 照 した 他 者,及 び そ の編 集 内容 に含 まれ る語(キ ー ワー ド)が 多 くな る ほ ど貢 献 発 言 を表 す ノー ドが 大 き くな る よ うに 半径 が計 算 され る。 各 話 題 は 関連 す る ノ ー ドを エ ッジ で 結 ぶ こ とで表 現 され る。 図6に 貢 献発 言 可視 化 ウ ィン ド ウの表 示 例 を示 す 。 貢 献 発 言 の ノ ー ドの色 は参 加 者 ご と に決 ま っ て お り,ノ ー ド数 を 見 る こ とで各 参 加 者 の貢 献 発 言 の総 数 を把 握 で き る。 ノ ー ド上 に は,編 集 テ キ ス ト に含 まれ る語 が表 示 され る。 す で に 可視 化 ウ ィン ドウに 存 在 す る発 言 を他 の参 加 者 が編 集 した場 合 は,新 た に抽 出 され た語 が ノ ー ド上 の語 に加 え て表 示 され る。 ま た, 複 数 の参 加 者 が 同 じ語 を用 い て 同 じ発 言 を編 集 した場 合, そ の語 が太 字 で 強調 され,異 な る ノ ー ドに 同 じ語 が含 ま れ る場 合 は ノー ド間 がエ ッジ で結 ばれ る。 評 価 実験 で は,円 卓 場 ウィ ン ドウを通 して 自身 の発 言 参 照動 作 に気 づ くこ とで,参 照 時 点 の話 題 に 関す る発 言 意 識 の 向上 に役 立つ こ とが示 され た。 ま た,貢 献 発 言 の 可 視 化 ウィ ン ドウか ら議 論 全 体 を通 した参 加 者 の貢 献 に 気 づ くこ とで,参 加 者 や これ ま で に な され た話 題 を考 慮 した発 言 を誘 発 で き た こ とを確 認 した。 この よ うに,協 調 学 習 時 の即 時 的 ・包 括 的 な貢 献 へ の気 づ き を表 現 す る こ とで,参 加 者 の参 加 意 識 を 高 め る仕 組 み を 実現 した。 光球 オブ ジエ ク トの移 動 AがXの 発言を参照 図5参 照 動 作 に応 じた 光 球 の 移 動 例
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