病気によっては、膣ちつ性交以外 の親密な接触や濃厚な接触でも 感染することがあります。 「セックス」と聞くと膣ちつ性交を イメージするかもしれません が、性感染症は、フェラチオや クンニリングスといったオーラ ルセックス(口腔くう性交)や、ア ナルセックス(肛こう門性交)でも 感染することがあります。 1回のセックスでも感染するこ とがあります。病気によって、 感染力が異なりますが、誰でも 感染する可能性があります。 コンドームだけで、性感染症 のすべてを予防することはでき ませんが、感染の危険性をかな り低下させることができます。 これは、病原体を含んだ精液、 膣ちつ分泌液が、粘膜にふれること を防ぎ、病原体が侵入すること
検査を行っています。検査方法 は、血液検査や尿検査です。た だし、確定診断ではないので、 感染の疑いがある場合は、さら に一般の医療機関で検査するこ とが必要です。 性感染症は、セックスで感染 します。このため、自分だけが 治療しても、パートナーが感染し ていれば、再感染が起こります。
なぜパートナーも一緒に
治療しなければいけないの
ですか?
自覚症状のない人からも
感染することはありますか?
性器クラミジア感染症
1.
日本でも世界でも最も多い性感染症です。自覚症状がほとんどないので、 感染に気付かないことがよくあります。しかし、進行すると、不妊症や母子感 染など様々な病気の原因になるので、きちんと治療する必要があります。症 状
女 性
普通は、無症状です。症状があっても、おりものが少し増えるとか、 軽い生理痛のような痛み、不正性器出血などですが、黄色い濃いお りものが出ることもあります。(進行すると→卵管炎、腹膜炎、子 宮外妊娠、不妊症)男 性
症状は軽く、尿道がむずがゆくなったり、排尿の時に軽い痛みが ある程度です。尿道分泌物による下着の汚れで気付くこともあります。 放置すれば精巣上体炎、男性不妊症を起こします。妊 婦
感染すると流産・早産の原因になることがあります。 母親が感染していると、出産時に新生児に感染し、結膜炎(生後 5〜12日ごろ、目やに、結膜充血で発症)や肺炎(生後1〜3か 月ごろ)を発症させることがあります。新生児
その他
オーラルセックスでは、咽いん頭炎になることもあります。性器にク ラミジアが感染している人の10〜20%で口腔くう内にも菌が認められ るとの報告があります。 病 原 体 クラミジア・トラコマチス 潜 伏 期 1〜4週間 検 査 尿や分泌液、おりもの、咽いん頭擦過物、咽いん頭うがい液を培養検査や遺伝 子学的検査にて診断する。血液クラミジア抗体を調べる検査は、過去 に感染し、治ゆした人も陽性となることがある。 抗菌薬が有効。決められた期間きちんと服薬しないと菌が残ることが細菌性の性感染症で、クラミジアと同時に感染することがあります。男 性にはすぐにはっきりした症状が出ますが、女性は、症状に気付きにくく、 進行して初めて分かることがよくあります。
淋
りん菌感染症
2.
症 状
女 性
男性よりも症状に気付きにくい。症状がある場合は、緑黄色の濃 いおりものや、尿道から膿うみが出ます。 (進行すると→子宮内膜炎、卵管炎、腹膜炎、子宮外妊娠、不妊症)男 性
尿道のかゆみや熱っぽさから始まり、粘液や黄色の膿うみが出ます。 排尿時の痛みがひどくなり、ペニス全体が腫はれ上がるほどの激しい 症状が出ることもあります。 (進行すると→尿道狭きょう窄さく(尿道が狭くなる)、精巣上体炎、不妊症) 母親が感染していると、出産の時に新生児に感染し、淋りん菌性結膜 炎を起こし、失明することもあります。予防として、抗菌薬などを 用います。新生児
その他
喉のどや直腸にも感染しますが、症状はほとんど出ません。まれに血 液から全身に広がり、関節炎や心内膜炎を起こします。喉のどに症状が なくても、感染源になることがあります。性器に淋菌が感染している人 の10%〜30%で口腔くう内にも菌が認められるとの報告があります。 病 原 体 淋りん菌 潜 伏 期 2〜7日 検 査 尿や分泌液、おりもの、咽 いん 頭擦過物、咽いん頭うがい液を採って、培養検 査をする。尿や分泌物で淋りん菌 DNAを検査する方法も感度がよい。 治 療 抗菌薬が有効だが、耐性の淋りん菌も増加している。自己中断は耐性菌の 発生をまねくため、必ず医師の指示に従い、セックスパートナーと一 緒に完全に治す。 感染経路 感染力は非常に強く、菌は、喉のど、直腸、尿にも出るので、口、肛こう門、 尿を使った性行為も危険。喉のどでは症状がないまま感染源となりうる。 膿うみや分泌物の付いた手で、目をこすると、結膜炎になることもある。 免 疫 免疫はできず何度でも感染する。梅毒
3.
梅毒は、慢性の感染症で、何年もかかって進行していきます。昔の病気 と思われがちですが、近年患者数が増加しています。セックスの時に粘膜 や皮膚の小さな傷から感染します。症 状
病気の時期によって症状が違います。時に、無症状のこともあります。 ●第1期(感染後3週から3か月まで) 感染した場所(性器、肛こう門、口など)にできもの、潰かい瘍ようができます(初期 硬結、硬性下かん)。第1期の症状は放置していても約1か月で消失します。 ●第2期(3か月から3年まで) 全身にブツブツや発疹しんができます。発疹しんは半年以内に消失します。 ●第3期(それ以降) 一見体調のよい時期が数年間続きますが、皮膚や内蔵で、病気は静かに進 んでいます。 ●第4期 神経症状や心血管症状が現れることがあります。妊 婦
梅毒は、胎盤を通して胎児に感染します。母子手帳と一緒に配ら れる妊婦健康診査受診票(1回目)の中には、無料の梅毒検査が含 まれていて、妊娠初期までに検査することになっています。(母子 感染では流産、死産、先天梅毒の原因となることがあります。) 病 原 体 梅毒トレポネーマ 潜 伏 期 約3週間 検 査 梅毒トレポネーマの検出または血液検査で診断する。染してから4週間以降) (血液検査は感 治 療 抗菌薬が有効だが、第3期以降では菌を死滅させることはできても、 臓器等に生じた障害を元に戻すことはできない。早期の治療が大切。 セックスパートナーも完全に治すこと。一度感染すると、ウイルスが体の中に潜伏して何度も再発します。