―2016 年度算数入試問題解説(第 1 回)―
解答の形式は、すべての問題が□にあてはまる数字や記号を答える穴埋め式です。 ちょっとした計算ミスや、単位の見間違いは致命的ですので、落ちついてあわてずに問題を解くことが 大切です。 一見難しそうな面積や体積を求める問題も、基本的な知識さえ身につけていれば確実に解けますし、 文章問題もその文章の意味がきちんと理解できれば、それほど苦もなく正解にたどりつけます。 では各問題を見ていきましょう。 〔1〕 いずれも基本的は計算問題です。正確に解けるようにしましょう。 (あ)(い)は計算の基本で、正答率も高いですから落とさないようにしましょう。 (う)(え)は小数の計算ですが、特に割り算は小数点の打ち間違いが目立ちますので気を付けまし ょう。分数や小数の計算方法、計算の順序を確認しましょう。 (く)~(し)は単位換算と計算です。重さ、時間、長さ、容量などの単位換算ができるようにして おきましょう。 〔2〕 いずれも中レベルの1~2行程度の問題です。 一度は目にしたことのある問題でしょう。書き出したり、文章の内容を正確に読み取ったりす ることが出来るようにして、正しい答えを導き出せるようにしてください。文章をよく読み、 単位や質問の内容に気をつけましょう。数え上げの問題は、実際に書き出して当てはまるもの を探してみましょう。 〔3〕 約束記号の問題です。 問題文を読み、約束の内容をしっかり把握することが大事です。それができれば(な)、(に)は特 に問題はないでしょう。(ぬ)と(ね)も余りのことを考えることで、答えは見えてきます。 〔4〕 文章は長いですが、内容は基本的なものです。(2)は値段の特徴に気を付けて考えると、答えの 出し方が少し楽になります。あわてずに値段や個数を確認しながら計算していきましょう。 〔5〕 図形の問題です。 (り)を解くのに必要なのが(よ)と(ら)ですので、一つ一つ間違えないように計算していきましょ う。三角形が直角二等辺三角形であることがわかると、(ら)はすぐに求まります。 毎年のように出題されている問題がたくさんあります。割合を利用する問題、数え上げの問題、距離・ 時間・速さの問題などです。小学校で学ぶ基本を理解し解けるかが問われますので、基本に忠実に練習 していきましょう。公式をただ暗記してもなかなか正解にたどり着けないこともあります。公式ばかり に頼らず、順番に書き出してみたり、実際に数えてみたりしながら答を出す練習もしてください。また、 計算を正確に解く練習をたくさんしてください。正答率の高い問題、特に計算問題ではケアレスミスを しないように日ごろから練習をしましょう。基本問題の答えを正確に出すことはとても大事なことです。 図形の問題では、実際に自分で図を書いてみたり、何が起こっているのかよく考えてみたりすることが 必要です。―2016 年度国語入試問題解説(第 1 回)―
◆語句について 実生活でよく使われる漢字を出題します。漢字練習で何度も書いて覚えるという方法もあります。そ して、ゆっくりと丁寧に書くことも必要です。実際に使うことで身につくということもあります。様々 な方法で漢字を習得しましょう。 また、カタカナ部分だけで答えていませんか。同じ読みでも漢字は違うということはたくさんありま す。短い文章ですが、文脈を読み取って答える必要もあります。 ◆物語的文章について 物語では何よりもまず登場人物の把握が重要となります。今回、3人の登場人物に関する問を設けま した(問二、問三、問四)。その中でも問二と四は傍線部がなく、全体の記述から正解を導き出さなけれ ばなりません。しかも選択肢の読解も求められます。とは言うものの、本文の記述もそれほど多くなく、 それぞれの登場人物像はつかみやすいと思われます。そして、選択肢は分割して適切な部分を確認して ゆくと正答が得られます。また、問三には傍線部が引いてありますが、その前後も視野に入れて正答を 導き出さなければなりません。いずれにせよ、登場人物が繰り広げる物語の展開を踏まえて読み進めて ゆくのが基本です。 その物語の展開ですが、時間通りに進んでいるわけではありません。傍線部②と③のある部分は回想 の場面です。1年間、林業に携わって振り返ったとき、始めたばかりの「哀しさ」と1年後の「哀しさ」 には同じことばですが違いが見られます。この場面は時間軸が交錯していて読み取りづらいですが、こ こでも主人公の気持ちになりきって整理しながら読むと正答が得られます。 物語の展開や登場人物の状況を把握することは読書を豊かにする最重要事項です。 ◆説明的文章について 現在、新しい教育の形が話題となっています。本校でも熱心に取り組んでいます。本問題文はアメリ カの大学で学んだ筆者がこれまでの日本の教育を批判的に見ています。そこで、これまでの読解問題を 課すと同時に、「いきなり『正解』に飛びつこうとする態度」で足りない力を問いながら(問二)、その 「考える力」を見ました(問五と問六)。 本文にこうあります。「いきなり正解に飛びつくのではなく、正解を導く過程や、失敗したときの対処 法こそが大切なのです」。また、「自分の頭で『問う』『考える』『表現する』力です。頭から正解を覚え 込もうとする態度は、問いかける問題の種類を最初から制限し、考える作業を放棄しているという点で 大変に怠惰です」。この記述からも筆者は教育に「考える力」を求めています(問二)。 問五について。まず「ア」は、国語科で扱う四字熟語の起源を知って理解しようとしています。こと ばを鵜呑みにしているわけではありませんが、「なるほど」と納得して筆者の言う「考える作業」をして いるわけではありません。「イ」は、社会科で扱う歴史についてです。そもそも歴史に「~たら」や「~れば」があると、歴史 ではなく空想となり、社会というより国語の領域になってしまいます。 続いて「ウ」ですが、これが正解です。初めに実行したことを応用して仮説を立てましたが、それが 違うところで「なぜだろう」と考えています。「なぜ正解でなくなったのか、推論の過程を理解すること こそが重要」と本文で述べています。 最後に「エ」ですが、これこそ「考える作業」をせず、公式を覚えることで満足しているものです。 ここでも本文の読解のみならず選択肢の読解も試されています。 問六について。ペーパーテストで完結せず、ここで述べられていることが実生活に反映されているこ とを理解し、視点の広さや関心の高さを確認する問を設定しました。安保関連法案が多くの反対があっ たにもかかわらず成立したり、東京オリンピックエンブレムや新国立競技場の白紙撤回がありました。 遅配が指摘されていたマイナンバーに関する出来事もありました。想定外の解答もあり、時事に対する 受験生の関心の高さに今後の成長を確信しました。人間は考え続ける存在です。正解のない世の中を渡 ってゆける力を6年間で育ててゆきたいです。