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レーザ協会誌 vol. 43 No. 1(2017) 1

特集

ガラスのレーザ加工

1. はじめに

ガラスは安価でありながら,透明性,堅牢性, 耐薬品性,ナノスケールの平坦度を持つ優れた材 料である.われわれの研究室では十年以上前より ガラスのレーザ加工に取り組んできた.フェムト 秒レーザの照射と化学エッチングを併用すること でマイクロチャンネルの作製や構造物・回転体の 作製を行った[1].銀イオンを含む光感光性ガラス で行われた手法がホウケイ酸ガラスやシリカガラ スにも適用可能なことを示すとともに,従来用い られてきたフッ酸に代えて KOH をエッチングに 用いることで長さ cm スケールのマイクロチャン ネル作製が可能になった.KOH エッチングは他の 研究室でも用いられるポピュラーな技術となり, 2009 年の論文は,現在までに 95 件の引用がある [2].しかし,この方法を用いる場合,チャンネル 径はどうしても数十マイクロメートル以上になっ てしまう.たまたま,研究室の卒業生である旭硝 子 生産技術センターの渡邉 満さんからガラスに ナノスケールの直径の貫通穴を作製できればおも しろいというお誘いを受けて始まったのがここで 述べるナノ加工プロジェクトである.カバーガラ ス程度の厚さ(~100μm)のガラス基板に直径の 100nm 程度の貫通穴を多数開けることで,ウイル ス除去のためのフィルターへの応用が期待される. また,最近,穴あき絶縁基板(TGV : Through Glass Vias)という言葉を耳にするようになった [3].IC を 3 次元的にパッケージする場合,絶縁性 のインターポーザーまたはパッケージ材料として ナノメートル径の穴あきガラス基板が必要になる. このような将来の応用の可能性に着目してナノ加 工に取り組んだ.ここでは,研究の現状を報告す る.

2. 金ナノ粒子とレーザの相互作用

図1 に基板上におかれた金ナノ粒子とレーザの 相互作用を示す[4].金ナノ粒子に代表される貴金 属ナノ粒子は可視領域の波長の光と相互作用して 局在表面プラズモンを形成することが知られる. プラズモンは光によって自由電子のコヒーレント な集団振動が強制される状態に相当する(図 1 (a)).ちょうど何人もの子供の乗ったブランコを 後ろから押してやって大きく振動させる,すなわ ち,電子の場合,光が後ろから押す大人が役割を 果し,光の振動と共振させる.ブランコの振動と 押す周期がうまく一致しないと大きな振動を得る ことができない.よって,プラズモン振動の周波 数と入射光の周波数が一致したとき巨大振動とな る.パルス光励起の場合,プラズモン状態はフェ ムト秒の時間スケールで減衰すると言われている. 減衰には 2 つの経路があり,1 つは光の放射減衰 である.入射光と同一の波長の光を放射するため 通常の意味での散乱に相当する.しかし,プラズ モンにはもともと入射光を粒子の物理的断面積以 上の領域から集めてくる性質があり,このため粒 子近傍での散乱強度は著しく大きくなり,近接場 散乱断面積は非常に大きくなる.プラズモン増強 とはこのような粒子の近傍(近接場)での散乱断 面積が粒子の物理的断面積より著しく大きいこと

特集

ガラスのレーザ加工

プラズモン加熱によるガラスのナノ加工

徳島大学大学院 理工学域

光システム工学コース/光応用工学科

橋本修一

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(a) (b) (c) (d) 図 1 基板におかれた金ナノ粒子の光励起緩和過程の概略(上段)および電子エネルギーと状態密度(下段). (a) 局在表面プラズモン状態,(b) ホットエレクトロンの生成,(c) 電子-電子衝突,および電子-格子衝 突による粒子の加熱,(d) 基板及び媒体への熱移動と粒子の冷却. を指す.プラズモン増強は,表面増強ラマン散乱 や金属増強蛍光の原因となり一分子レベルの検出 も可能であることから,超高感度分析への応用が 期待される.一方,プラズモンの非放射減衰によ り,バンド内の電子の励起が起こり高い運動エネ ルギーを持つホットエレクトロンとホットホール を形成する(図1(b)).ホットエレクトロンは電 子-電子衝突により熱平衡化しここで電子温度 (Te)が定義される.フェムト秒パルスで例えば 1mJ のエネルギーを投入すると電子温度は数千度 にもなる.熱平衡化した電子は今度は原子と衝突 し(電子-格子衝突)粒子温度(TL)を上昇させ るが,この場合,電子温度が下がり格子温度が上 昇することによって電子温度と格子温度が平衡状 態に至る(図1(c)).すなわち,プラズモンの励 起は粒子加熱に至るわけだが,レーザ光によるプ ラズモン励起すなわちレーザ加熱という理解は必 ずしも適切でない.第一に,放射減衰を考慮しな いことになる.第二に,ホットエレクトロンの反 応を無視することになるからである.ホットエレ クトロンおよびホットホールの反応は最近金ナノ 構造と半導体ナノ構造のハイブリット系で実証さ れつつある.粒子(格子)温度は電子温度との熱 平衡化の過程で上昇するが,その後,時間ととも に減少に転ずる.これは粒子の周囲媒体への熱伝 導(格子-格子衝突)が起こるためである(図 1 (d)).熱伝導は均一媒体中では一次元熱伝導方程 式の解で表すことができる.水,ガラス等の媒体 中に分散している球形ナノ粒子の場合がこれに相 当する.これにより周囲媒体は温められ,媒体温 度(Tm)が上昇する.図1 の下段は上段に示すそ れぞれのステップでの電子のエネルギーと状態密 度を示す.光励起により瞬間的に非Fermi 分布に なり(図 1(a)→(b)),電子-電子衝突,電子 -格子衝突により一時的に温度の高いFermi 分布 を経てもとの Fermi 分布にもどる.図 1(b)→(d) の過程は fs,ps,ns の非常に速い過程である.図 2 に二温度モデルと粒子から媒体への熱伝導を組 み合わせてシミュレーションした場合の Te,TL, および Tm,の時間変化を示した[5].図2 から図1 で起こる現象のおおよその時間スケールがわか る.なお、図 1 のように媒体と基板が存在する場

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特集

ガラスのレーザ加工 図 2 金ナノ粒子のフェムト秒レーザ励起による温度 の時間変化.Te : 電子温度,TL : 格子温度, Tm : 媒体温度. 図3 水分散直径 100nm 金ナノ粒子の CW レーザ励 起による定常温度分布(2 次元).媒体中,粒 子表面に近いほど温度が高く,200 nm 離れる と加熱の影響がほとんどない. 0 20 40 60 80 100 2000 4000 6000 8000 Tm TL Te Temperature / K Time /ps 298 合は熱伝導率の違いにより、温度分布は不均一に なる[6]. これに対し,定常光励起の場合は光照射ととも に μs の時間スケールで定常温度に到達すると予 想される.ここでも基本的にはパルス励起と同じ 現象が起こるわけだが,励起後直ちに,図1(c) のような状態になると考えられる.これが,プラ ズモン加熱またはレーザ加熱である.定常光励起 では粒子と同時に周囲媒体も常に加熱される状態 になる.しかも,熱伝導は3 次元的におこり,媒 体温度は粒子に近いほど高く離れるにしたがって 減衰する温度勾配を持つ.すなわち,加熱は粒子 近傍でのみ起こる.図3 に水に分散した球形金ナ ノ粒子にレーザ照射した場合の2 次元温度分布を 示す[6].われわれは,金ナノ粒子のレーザ励起に よる基板加熱に着目した.以下に,基板加熱によ る加工の試みを述べる.

3.

金ナノ粒子を用いるガラスのレーザ

加工

3.1 パルスレーザ照射 金ナノ粒子(直径47 nm)で表面修飾したホウ ケイ酸ガラス基板に対して,金ナノ粒子の表面プ ラズモンバンドを励起する波長532 nm のナノ秒 レーザを照射し,ナノスケールの基板表面加工を 試みた[7,8].基板表面変化を走査型電子顕微鏡 (SEM)および原子間力顕微鏡(AFM)を用いて 観察した.単一パルスレーザ照射によって,金ナ ノ粒子のアブレーションによる微細化が観測され た.微細化のしきいレーザエネルギー(160-170 mJ/cm2)以上では,ガラス表面に直径約20nm で 深さ10nm 未満のナノ孔が生成することが分かっ た.レーザフルエンスを変化させて単発照射を行 うと,まず,金粒子の融解(融点 : 1064℃)に伴 う形状変化が見られた.すなわち,化学合成で作 製した金ナノ粒子は立方8 面体や 20 面体結晶構造 に基づいた角ばった形状だが,低エネルギーの レーザ照射によって真球形状になる.更にフルエ ンスを上げていくと,先に述べたように金の微細 化と同時にナノ孔形成が起こった.図4(a)にナ ノ孔のSEM 写真,図 4(b)に AFM 像を示す. また,単一パルス照射の代わりに多重照射を行う と,ナノ孔の大きさがショット数に応じて大きく なる現象が見られた.ナノ孔の大きさにはばらつ きがあるが,50-100nm の溝形状が明確に観測さ れた.更に興味深いことは,多重照射したガラス 基板をフッ酸に浸漬すると,レーザ照射部分のみ がエッチングされて目視で凹形状が観察できるよ うになった.このことは金ナノ粒子修飾ガラス基 板にマスクを用いて多重レーザ照射を行うことに

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(a) (b) 図 4 金ナノ粒子修飾ガラス基板へのレーザ照射に よるナノ孔形成の様子.(a)左上枠内 : 金ナ ノ粒子修飾ガラス基板の SEM 写真,写真左 側:単一パルス照射後の基板表面粒子の様 子 , 右 側 : 単一 パ ル ス 照射 に よ る ナ ノ 孔 の SEM 写真(スケールバー : 100nm),(b)単一 パルス照射によるナノ孔の AFM 画像. (a) (b) 図5 ナノスフェア・リソグラフィーにより作製した金ナ ノ構造(左)と波長 800 nm フェムト秒レーザ照 射後のナノ孔パターン形成(右). より,マイクロメートルスケールの溝形状にエッ チングすることが可能なことを示す. ナノ秒パルス照射によるガラス基板上のナノ孔 にはいくつかの特徴が見られた.第一に,ナノ孔 の形成場所は特定しにくい.すなわち,金ナノ粒 子の存在した場所に生成するとは考えにくく,不 特定の場所にできる.また,生成するナノ孔の数 にはレーザフルエンス依存性が見られた.加工し きい値付近では金粒子の数よりも明らかに少なく, フルエンスの上昇と供に増加し,最終的には初め の金ナノ粒子の数の 2.5-3 倍で飽和した.この特 異な挙動は後述するフェムト秒パルス照射では見 られない.ナノ孔形成は金ナノ粒子の微細化と密 接に関連していると思われる.すなわち,レーザ フルエンスの増大とともに分裂する金ナノ粒子の 数が増え,それと同時にナノ孔の数も増加するか らである.フェムト秒パルスとナノ秒パルスでは エネルギー付与の仕方が本質的の異なる.ナノ秒 パルス励起ではパルス時間幅が長いため,粒子温 度はナノ秒時間スケールで徐々に上昇し,最終的 に金の沸点に到達する.これと同時に媒体への熱 移動が起こる.よって,沸点を超えることで粒子 の蒸発がおこり,これが粒子のアブレーションの 原因となる.ナノ秒パルス励起ではこのような光 熱過程が支配的と見て間違いない.これに対して, フェムト秒パルス励起では,まず電子系の励起と 高速の電子-電子緩和による電子温度の上昇が格 子(粒子)温度と非平衡に起こり,後に電子温度 と粒子温度(格子温度)が平衡化する(図2).ア ブレーションは時間的に粒子温度が上昇する前に 起こると考えられる.フェムト秒パルスをガラス 表面の金粒子に照射した場合,ナノ秒パルス励起 と全く異なった様相を呈した.図 5 はナノスフェ ア・リソグラフィー(nanosphere lithography) に よ っ て 作 製 し た 金 ナ ノ 構 造 に 対 し て , 波 長 800nm のフェムト秒パルスを単発照射した場合 のガラス表面でのパターン形成の様子を示す.こ の場合,金ナノ構造が消失し,そこにナノ構造形 状を反映した深さ<10nm のナノクレーターパ ターンが形成された.すなわち,金ナノ構造の消 失とクレーターの形成は1:1 の関係となった.な お金ナノ粒子を用いた場合も同様に粒子のあった 場所にナノホールが形成され,ナノ秒パルス励起 と異なることが示された.ガラス基板に対して フェムト秒レーザ照射した場合も,はたしてプラ ズモン増強(近接場増強)アブレーション機構で 加工が起こるか,という点は興味深い.われわれ はホウケイ酸ガラスに対して,金ナノ粒子やナノ 構造を作製しフェムト秒レーザ照射することによ り,1 桁以上低いアブレーションしきい値を得た が,必ずしも増強効果のためと考える必要は無い と考える.すなわち,透明材料に比べて著しく吸 収断面積の高い金ナノ粒子がアブレーションされ, これに伴ってナノクレーターが形成すると考えた.

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レーザ協会誌 vol. 43 No. 1(2017) 5

特集

ガラスのレーザ加工 図 6 実験のアウトライン(左)とガラス基板上のナノ ホールの SEM 画像(右) : (a-d)ガラス基板 上の直径 100nm 金ナノ球形粒子へのレーザ 照射(レーザピークパワー密度 5.0mWµm−2 によるガラス内部への包埋,(a)レーザ照射 前;(b)10s 照射;(c)30s 照射;(d)30min 照射; (e, f)金ナノ三角形粒子へのレーザ照射 : (e)3.3mWµm−2, 180s 照射;(f)1.7mWµm−2 , 180s 照射. 図 7 シリカガラスに形成されたナノホールの断面透 過型電子顕微鏡(TEM)画像.100 nm 金ナノ 粒子(白丸)がガラス表面から内部に侵入後 その先端にいる様子. 3.2 連続波(CW)レーザ照射 パルスレーザを用いた従来法でのナノスケール の深い穴あけは困難なため,新たな技術開発を目 ざす実験に取り組んだ[9].われわれの実験概要を 図 6(左)に示す.まず,金ナノ粒子を用いるこ とで加工域をナノメートルスケールに限定する. そして,パルスレーザではなく連続光レーザを用 いる.これは尖頭出力の大きなパルスレーザでは 上記のように金ナノ粒子を破壊してしまった経験 に基づく.また,金ナノ粒子の温度を500 K 程度 に保ちつつ,持続的に加熱する必要があり(後述) そのためには連続光レーザが都合がよい.さらに, 金ナノ粒子をエッチング剤であるアルカリ溶液に つけた状態でレーザ照射をおこなうことによって ガラスの穴あけ加工を施す.図 6(右)に実験結 果の SEM 画像を示す.結果は期待した以上のも のであった.図6(a)はガラス基板上の球形金ナ ノ粒子,図6(b)は 10 秒照射後,図 6(c)は 30 秒照射後の様子を示す.10 秒後ですでに粒子はガ ラス内に埋め込まれ,30 秒後には粒子が内部まで 埋没していることが見て取れる.更に30 分後には 図6(d)粒子が見えなくなっているが,これは粒 子が消えてなくなったわけではない.事実,暗視 野顕微鏡画像からは粒子は確かに存在していた. また,図6(c)では,球形金ナノ粒子の代わりに 三角形粒子を用いたところ,その形のナノホール が作製された.この場合,粒子は奥に存在するた めSEM 画像には見えない.図 6(d)では,レー ザピーク強度を図6(c)の半分の大きさにしたと ころ,三角形粒子は基板に埋め込まれなかった. 従って,図6(c)と図 6(d)の比較から,ナノホー ル形成にはレーザ強度のしきい値が存在すること がわかる. ナノホールの深さを測定するためにはガラスを 切断して断面形状を見てやる必要があるが,ナノ ホールを探し出して縦に切断するのには苦労した. 図7 に一例を示す.われわれの現在の技術では, 深さ1μm まではナノホール作製が可能であるが, 今後,厚さ100μm のカバーガラスを貫通させたい と考えている.そのためには,エッチングの進行 とともに照射位置を徐々に下げていく必要がある. また,光圧を用いて粒子を操作すれば,より自由

0.2μm

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図 8 レーザ走査によるナノホールの形状制御を示 す暗視野光学顕微鏡像.(左上)ガラス基板上 の金ナノ粒子(左下 図参照).(右上) 縦方 向に埋め込んだのち,レーザを横に走査して 動かした後(右下図参照).スケールバー : 2 µm. なナノホール形状をつくることができる.その例 を図8 に示した.図 8(上)は暗視野顕微鏡画像 である.左はレーザ照射前,右はレーザ照射によ り金ナノ粒子をガラス内に埋め込んだ後,さらに レーザを横に動かすことによって粒子を動かした 跡を示す.図8(下)はこの様子を図式化した.3 次元ピエゾステージを用いれば,もっと自由かつ 精密な粒子操作が可能と考える. ここでガラスのエッチングメカニズムについて 考察する.ガラスは加熱によって構造変化を起こ す.シリカは通常 O-Si-O 結合の六員環構造が 安定である[10].これが加熱によって四員環や三 員環構造となって不安定化するとエッチングされ やすくなる.これまでの研究によって,パルスレー ザ照射においてレーザエネルギーの吸収によって ガラスが加熱されるとフッ酸等のエッチング剤で エッチングされやすくなることが報告されている [2].従って,われわれの観測結果はガラスの熱改 質により説明可能である.われわれの行ったその 場エッチングが非常に有効であるのは,アルカリ エッチング剤を高温で働かせると,水のイオン積 が大きくなるため [OH-] が大きくなることによ る.われわれは金ナノ粒子が500K 程度になるレー ザ強度で実験した.これ以上になると水が沸騰し て蒸気バブルが生成し,これによって金ナノ粒子 の温度が著しく上昇して蒸発が起こるのを避ける ためである[11].500 K における水のイオン積は室 温の約 1000 倍になることが知られている.しか し,エッチングメカニズムは完全に理解されたわ けではない.たとえば,パルスレーザ照射では, ガラスの温度は融点を超える程度に高温になるた め構造変化は著しいと予想されるが,500K でどの 程度ガラスの構造変化が進行するかはまだわかっ ていない.ラマン散乱分光法等を用いて引き続き 解明する必要がある.

4. まとめ

貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモンは光を近 傍に濃縮して効率よく利用するための可能性を 持っている.本稿で示したプラズモンを利用した ガラスのレーザ加工はまだ幼稚な段階であり,更 なる研究努力を要する.当面,厚さ 100μm のカ バーガラスに直径 100nm の貫通穴を開けること をめざしている.次世代レーザ加工に求められる 要素として,高エネルギー効率,装置の小型化, 低消費電力化,低コスト化などが挙げられる.プ ラズモンの利用はこのような方向に合致したもの と考えている.

謝辞

橋本研究室において 10 年以上わたりガラスの レーザ加工の研究を推進していただいた松尾繁樹 准教授(現 芝浦工業大学 教授)のご指導に学生 共々感謝申し上げます.公益法人 池谷科学技術振 興財団より本研究テーマに関する平成 29 年度研 究助成(0291052-A)をいただきました.記して 感謝申し上げます.

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ガラスのレーザ加工

参考文献

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[2] S. Kiyama, S. Matsuo, S. Hashimoto and Y. Morihira: Examination of Etching Agent and Etching Mechanism on Femtosecond Laser Microfabrication of Channels inside Vitreous Silica Substrates, J. Phys. Chem. C, 113, (2009) 11560–11566.

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[8] S. Hashimoto, T. Uwada, M. Hagiri, and R. Shiraishi: Mechanistic Aspect of Surface Modification on Glass Substrates Assisted by Single Shot Pulsed Laser-induced Fragmentation of Gold Nanoparticles. J. Phys. Chem. C, 115 (2011) 4986–4993.

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Family Member of Active Centers in Radio, Photo, and Chemical Responses J. Appl. Phys. 94, (2003) 6243–6262.

[11] K. Setoura, Y. Okada and S. Hashimoto: CW-Laser-Induced Morphological Changes of a Single Gold Nanoparticle on Glass: Observation of Surface Evaporation, Phys. Chem. Chem. Phys., 16, (2014) 26938–26945.

図 8  レーザ走査によるナノホールの形状制御を示 す暗視野光学顕微鏡像.(左上)ガラス基板上 の金ナノ粒子(左下  図参照).(右上)  縦方 向に埋め込んだのち,レーザを横に走査して 動かした後(右下図参照).スケールバー  :  2  µm

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