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僕が、標準予防策をしない理由

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Academic year: 2021

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全文

(1)

病院は、院内感染の温床です

抵抗力が低下した患者

術後・好中球減少

密閉空間

感染症患者が菌を持ち込む

古い

建築物:

丹下健三

世間と

は違う

巨大ビル:

県庁の星

(2)

院内感染対策

感染対策チーム(ICT)・第一血液内科部長

大西宏明

病院基礎セミナー 2013.6.10

(3)

最初に自分の手を見てください

どんなふうに見えますか?

(4)

本当は、ばい菌がいっぱい

スタンプ培養 写真提供:香川大学医学部感染対策室 細菌そのものは、 小さいため肉眼 では見えないが、 培地上で増殖を させて、コロニー を作らせると判る。 (でも、手掌では、 コロニーにはなら ない→存在する けど生育は困難) 皮膚の常在菌

(5)

(6)

およそ1kgと推定されている。

(腸内細菌叢)

(7)

およそ1kgと推定されている。

ということは、

高松赤十字病院の場合:患者入院450人+

外来患者1000人+職員850人=2300人=

2300kg=

2.3t(一日あたり)の細菌がいる

(8)

病院内の構成員

患者 患者 経営陣 ICT 診療担当者 職員 患者

狭い空間

職員も菌を持ち込む

抵抗力が低下した患者

術後・好中球減少・免疫抑制

患者

赤十字

患者

感染症患者が菌を持ち込む

(入院・外来)

(9)

院内感染防止の目的

患者 職員 職員 患者 患者 患者 経営陣 ICT 診療担当者

誰が?

目的は?

院内の水平感染の予防 抵抗力の弱い患者の保護

赤十字

三つがごちゃ混ぜに

なって啓発されている

職員自身の身を守る

(10)

患者 職員 職員 患者 患者 患者

ICTからの指摘

院内の水平感染の予防 抵抗力の弱い患者の保護 職員自身の身を守る 「手を洗ってください」 「穿刺の際には手袋をして」 「サンダル履きは禁止」 「サージカルマスク着用」 「リキャップ禁止」

目的は?

1つ、あるいは、複数

(11)

各構成員の役割

経営陣 ICT 診療担当者 手指衛生による接触感染予防 マスク着用による飛沫感染予防 標準予防策 院内環境の充実(届出書類の簡略化) 耐性菌情報の把握と介入、啓発活動 病院の構造、物品の購入、ベッドコントロール

赤十字

(12)

今日のセミナーの目的

経営陣 ICT 診療担当者 手指衛生による接触感染予防 マスク着用による飛沫感染予防 標準予防策 院内環境の充実(届出書類の簡略化) 耐性菌情報の把握と介入、啓発活動 病院の構造、物品の購入、ベッドコントロール

赤十字

患者 職員 患者 職員 患者 患者

(13)

今日の内容

本院の院内感染対策

標準予防策(スタンダードプリコーション)

(14)

院内感染対策チーム(ICT)

医療安全委員会

院内感染対策委員会

(毎月第4金曜日)

薬剤部報告 検査部報告 ICT報告 針刺し事故報告 その他

当院の院内感染対策

院内ラウンド アウトブレイク監視 抗菌薬適正使用チェック 院内感染対策講習会 監視対象細菌:MRSA、多剤耐性緑膿菌、ESBL産生大腸菌など 丸岡師長(PHS=5329) 感染対策専従看護師

(15)

ICTの活動

知らないところで守られている

新人看護師への教育風景

(16)

抗菌薬を選択する際に

ローカルエリアの情報が重要

各種のガイドライン

(17)

高松赤十字病院の入院患者において、過去

1年間に血液培養で検出された細菌のうち、

最も頻度が高かったものは何か?

敗血症:感染症によるSIRS 菌血症:細菌による血液感染症

(18)

血液から検出された菌:菌血症の原因菌

香川大学( 2009213~2010212 ) 1 CNS(G+) 58(38%) 2 大腸菌(G-) 20(13%) 3 MSSA(G+) 20(13%) 合計 154

敗血症:感染症によるSIRS 菌血症:細菌による血液感染症 高松赤十字病院(2010年26件) 1 CNS(G+) 7(30.4%) 2 大腸菌(G-) 5(21.7%) 3 MRSA(G+) 2(8.7%) クレブシエラ(G-) 2(8.7%) 合計 26 注:高松赤十字の件数は患者数、香川大学はのべ検出数 CNS:コアグラーゼ陰性ブドウ球菌=表皮ブドウ球菌 coagulase-negative staphylococci

(19)

血液培養セットおよび自動血液培養装置

東4階血液培養セット

検査部では、24時間365日検体を受理。

自動血液培養装置に入れられた検体は、最短11時間で陽性になります。

(20)

血液培養における注意

採取は動脈血である必要はありません。

突然、発熱し菌血症が疑われる際

には速や

かに血液培養検体を採取してください。

採取は2箇所が原則です。可能なら、ルート

からの採血も。(3月33.3→4月51.9%)

血液は、無菌であるため診断的価値が高い。

血液培養件数が多い病院ほど、感染制御が

なされていると考えられています。

※ 好中球減少、中心静脈カテーテル留置患者 等

(21)

採血のタイミング

0分 30分 60分 90分

採血

血流中菌量 体温 検査部 松田さん提供

(22)

採血のタイミング

0分 30分 60分 90分

採血

血流中菌量 体温 発熱がピークを迎えたとき には、既に細菌は排除され ているためこの期間での血 培の検出感度は低くなる。 血流中に細菌が侵入する と好中球・マクロファージな どが働き各種サイトカイン が放出される。その後、脳 に伝達され、血管収縮・代 謝亢進・筋肉収縮によって 発熱が起こる。 熱の上がり始めが Point! 検査部 松田さん提供

(23)

血液培養のタイミング

「発熱時、血液培養2箇所」という指示が出た場合。

発熱は、37.5℃なの?38℃なの?という議論にな

りますが、敗血症(菌血症)が予想される患者(好

中球減少、中心静脈カテーテル留置患者、手術

後で体内にドレナージチューブがいっぱい挿入さ

れている患者)の場合は、体温が上がりかけたら、

血液培養をためらう必要はない。

(注)IDSAガイドラインでは、発熱とは、1回の測定において38.3℃以上の口腔温、 または38.0℃以上が1時間以上持続、と定義されている。

(24)

血液から検出された菌:菌血症の原因菌

高松赤十字病院(2010年26件) 1 CNS(G+) 7(30.4%) 2 大腸菌(G-) 5(21.7%) 3 MRSA(G+) 2(8.7%) クレブシエラ(G-) 2(8.7%) 合計 26 CRBSI:カテーテル関連血流感染症 ←腸内細菌からの感染症と考えられている。 ←カテーテル関連血流感染症 (CRBSI)と考えられる。 デバイス関連感染症:CRBSI、CAUTI、VAP 膀胱カテーテル関連尿路感染症、呼吸器関連肺炎 ←従来は、コンタミと考えられていた。 現在は、カテーテル関連血流感染症 (CRBSI)と考えられている。 デバイス:コンピューターのシステムの中で、特定の機能を果たす周辺装置

(25)

感染経路と要因

①挿入部の汚染

②接続部の汚染

③薬液の汚染

*汚染された手指

*挿入時の不潔操作

*挿入部位の不潔管理

*汚染された手指

*ポート・ラインの不潔操作

*汚染された手指

*汚染された環境

皮膚の常在菌

④フィブリン

*汚染された

手指など

感染

(26)

三方活栓を利用するとき

アルコール綿を有効利用してください

たった1人のスタッフが 不適切な操作をしてし まうと、細菌が侵入して 定着してしまいます。

(27)

三方活栓を利用するとき

アルコール綿を有効利用してください

医療の先進性は指導 者の技量が関与して、 医療の質は標準職員 の日々の処置で決まる たった1人のスタッフが 不適切な操作をしてし まうと、細菌が侵入して 定着してしまいます。

(28)

抗菌薬を選択する際に

ローカルエリアの情報が重要

各種のガイドライン

(29)

「彼を知り己を知らずんば百戦危うからず」

「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして

人の兵を屈するは善の善なるものなり」

竹簡孫子 抗菌薬の知識も大事だけれど、 感染対策の知識もとても重要だよ

孫子の兵法

(30)

感染様式の復習

空気感染

飛沫感染

接触感染

空気中を病原体が浮遊しており、それを吸入 飛沫核または感染病原体を含む塵が空気中に浮遊し てそれを吸入することによって伝播する。 飛沫核は水分が蒸発した直径5μ以下の粒子であり非 常に軽く、空中に浮遊し広範囲に飛散する。 咳とともに排出された病原体を含む飛沫を吸入 微生物を含んだ5μ以上の飛沫がくしゃみ、咳や会話な どによって飛んだ飛沫を吸入することで伝播する。 飛沫が飛ぶ範囲は1~2m以内。水分を含んだ直径5μ 以上の粒子であり大きく重みがあるので空中を浮遊し ない。 病原体を触った手を介して体内にはいる 病原体を触った手を介して、あるいは患者に使用した 物品や環境表面を介して感染する。

(31)

標準予防策(スタンダードプリコーション)?

中心静脈カテーテルを挿入する時には、マキ

シマル・プリコーションをしなさいとマニュアル

には書かれているけれど・・・

なんとなく、マスクはしているけれど・・・

処置の途中で局所麻酔薬の入った注射器を

リキャップしている。罪悪感・・・

上記の疑問に答えるために・・・

(32)

標準予防策とは

手指衛生

防護用具の着用(手袋・マスク・ガウン・靴)

患者配置

汚染機材の管理

環境整備

鋭利な器具の取り扱い(リキャップ禁止)

リネン管理

標準予防策とは、院内感染(下図)を制御するために通常業務を行うための知識と実践のこと 患者 職員 患者 職員 患者 患者

(33)

感染症のある患者さんには

標準予防策

標準予防策+感染経路別予防策

飛沫 予防策 空気 予防策 接触 予防策 インフルエンザ、マイコプラスマ肺炎 風疹 結核、麻疹、水痘 MRSA、VRE、MDRP、 ノロウイルス胃腸炎、流行性角結膜炎 個室または集団隔離 入室時に外科用マスク 個室または集団隔離 入室時に手袋、処置はガウン 陰圧個室 入室時にN95マスク

(34)

標準予防策

手指衛生

患者だけでなく自分を守る

防護用具の着用(手袋・マスク・ガウン・靴)

患者配置

汚染機材の管理

環境整備

鋭利な器具の取り扱い(リキャップ禁止)

リネン管理

(35)

手指衛生の基本

手指消毒剤

手洗い

腕時計は禁

指輪もなるべく外して

番外:聴診器も不潔

(36)
(37)

某有名大学病院のICUにて

(38)

本当は、ばい菌がいっぱい

スタンプ培養 写真提供:香川大学医学部感染対策室 細菌そのものは、 小さいため肉眼 では見えないが、 培地上で増殖を させて、コロニー を作らせると判る。 (でも、手掌では、 コロニーにはなら ない→存在する けど生育は困難)

(39)

摩擦式消毒用アルコールは強力

エンベロープを持たないウイルス:

ノロウイルス

芽胞のある菌:

クロストリジウム・枯草菌

でも、下記には無効

(40)
(41)

標準予防策

手指衛生

防護用具の着用(手袋・マスク・靴)

患者配置

患者だけでなく自分を守る

汚染機材の管理

環境整備

鋭利な器具の取り扱い(リキャップ禁止)

リネン管理

(42)

個人防護具

(PPE:Personal Protective Equipment)

手袋

ガウン

マスク

これらは、各病棟で、医療従事者が

すぐに使えるように置いてください。

(43)

クイズ:100人に聞きました。

なぜ、手袋をしないのですか?

手袋をすると手技に 自身がないから 患者さんが 手袋をしてると不快 になるのでは プリセプター(指導 医)が手袋を していないから

(44)

でも、手袋を使い捨てるのはもったいない?

コスト

意識

(45)

そういう時には、これを思い出してください

LZD300mg=17,779円 手袋1箱(100枚入)=278~294円 ザイボックス(注)1袋と 手袋64箱(640枚)が 同じ購入費

(46)
(47)

感染様式の復習

空気感染

飛沫感染

接触感染

空気中を病原体が浮遊しており、それを吸入 咳とともに排出された病原体を含む飛沫を吸入 病原体を触った手を介して体内にはいる

(48)
(49)

インフルエンザウイルス 80~100nm

インフルエンザは飛沫感染します

インフルエンザは飛沫感染します

飛沫 ~5μm 赤血球 7~8μm 大腸菌 1~2μm 結核菌 2~4μm

手洗いと咳エチケット(マスク)が重要です

(50)

写真

外科用マスク

N95マスク

写真 病原体の「外部から内部」 の移動を防ぐ。 医療従事者がつける 病原体の「内部から外部」 の移動を防ぐ。 飛沫の移動を防ぐ。 患者も着用

(51)

インフルエンザウイルス 80~100nm

外科用マスクとN95マスクの性能差

外科用マスクとN95マスクの性能差

飛沫 ~5μm N95マスクの穴 100nm 結核菌 2~4x0.3~0.6μm 外科用マスクの穴 3μm ブドウ球菌 3μm

(52)

外科用マスク

バクテリア(細菌)濾過効率:BFE(%)≧95

細菌の捕集性能。培養したブドウ状球菌

3μmをマスクに流し、マスク無しとの比較で

BFEを求める。数値が高いほど、マスクの性

能は良い事になる。

(53)

N95マスク

0.1~0.3μm(100~300nm)の微粒子を

95%以上除去できる

空気感染予防策

医療従事者用

結核診療の全医療従事者

麻疹・水痘では、抗体を持たない医療従事者

装着練習が必要(フィットテスト)

(54)

標準予防策

手指衛生

防護用具の着用(手袋・マスク・靴)

患者配置

自分を守る

汚染機材の管理

環境整備

鋭利な器具の取り扱い(リキャップ禁止)

リネン管理

(55)

リキ

ャッ

針刺し事故はリキャップの際に起こりやすい

特に、1年目の医師・看護師

手袋をしていると、針刺し時の血液の混入量

が減る

足に針刺しをしないために、ツッカケ(サンダ

ル)は禁止(CROCSもダメ)

リキャップをしてはいけない?

(56)

まず行うこと(流水で洗浄、

直属の上司

に報告)

担当医師

に連絡

汚染源(患者さん)の検査

汚染源別の対応

針刺し・粘膜汚染時(マニュアル参照)

HBVの場合: HBBIGあるいはHBワクチン HCVの場合: 予防方法なし HIVの場合: 抗HIV薬内服

(57)

高松赤十字病院における感染症の傾向

コアグラーゼ陰性ブドウ球菌菌血症が多い

肺炎の原因菌はMRSAが多い

多剤耐性緑膿菌はブレイクしていない

耐性菌(マルトフィリア菌・耐性大腸菌)が少ない

MRSAの多くは持ち込みである

MRSA感染率は低い(感染制御は良好)

針刺しマニュアル:リニューアル中

(58)

さて、もう一度手を見てください

こんな風に見えたら

今日の講習会は合格です

表皮ブドウ球菌 ノロウイルス MRSA アスペル ギルス

(59)

ここも見てください

(床頭台・ドアノブ・キーボード)

表皮ブドウ球菌 ノロウイルス MRSA MRSA

(60)

「彼を知り己を知らずんば百戦危うからず」

「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして

人の兵を屈するは善の善なるものなり」

竹簡孫子 抗菌薬の知識も大事だけれど、 感染対策の知識もとても重要だよ

孫子の兵法

参照

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