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WW∗ → ℓνℓν終状態を用いたヒッグスボソン結合定数の測定

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名 吉原 圭亮

本論文は、LHC アトラス実験 Run-I で収集された全データ(2011 年√s=7TeV, 4.5fb-1および 2012 年√s=8TeV, 20.3fb-1)においてH→WW*→lνlνチャンネルを 用いたヒッグスボソン結合定数測定に関する研究である。 本論文は 9 章からなる。 第 1 章では、本論文の導入としてその研究対象である素粒子の標準理論とヒ ッグス機構について述べられている。 第 2 章では LHC 加速器およびアトラス検出器について簡単にまとめられてい る。 第 3 章では解析に用いたイベントおよびオブジェクトのリコンストラクショ ン法がまとめられている。 第 4 章では解析オブジェクトの中で特に論文提出者が大きな貢献をなしたレ プトン解析についてまとめられている。本研究ではH→WW*→lνlνという終状 態に二つのレプトンがあるチャンネルを用いているため、レプトン解析の最適 化、系統誤差の軽減は極めて重要である。特に低い横方向エネルギー電子の識 別能力の改善は発見されたヒッグスボソンの質量 (125GeV) 領域では特に重要 となる。 第 5 章では本研究の主題であるH→WW*→lνlν解析の概要が述べられている。 このチャンネルは、2012 年のヒッグスボソンの発見において重要な役割を果た しただけでなく、発見後の最重要課題であるヒッグスボソンの属性に関する詳 細研究において本質的な役割を果たしている。 第 6 章ではH→WW*→lνlν解析における最も重要な背景事象の一つである W+ jets 事象の見積もりについて述べられている。この背景事象の見積もりにモン テカルロシミュレーションを使うことはその不定性の大きさから困難が伴う。 本研究では、コントロール領域のデータを用いて背景事象を見積もるというア プローチが取られている。論文提出者はこの手法の精度を改善し、関連する系 統誤差を大幅に低減することに成功した。

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2 第 7 章では別な背景事象である二つのボソン起源の背景事象の見積もりにつ いて述べられている。この背景事象は同符号コントロール領域のデータを用い て見積もられている。論文提出者はこの見積もりに信号領域とコントロール領 域間の新しい相関モデルを導入し、精度改善に貢献した。 第 8、9章では、本研究の結果および結論がまとめられている。論文提出者に よる事象選択効率、背景事象の見積もり精度向上などにより、H→WW*→lνlνチ ャンネルの信号の有意性はおよそ 6σにまで到達した。観測された信号強度は二 つのヒッグス生成チャンネル(グルーオン融合 ggF、ベクトルボソン融合 VBF)と もに、誤差の範囲で標準理論において期待される値と一致した。この二つのチ ャンネルにおける信号強度からヒッグスボソンのフェルミオン、ウィークボソ ンそれぞれに対する結合定数が見積もられ、ともに誤差の範囲で標準理論にお いて期待される値と一致することが示された。 本研究は、LHC アトラスコラボレーション内での共同研究であり Phys.Rev.D に投稿予定である。その中で論文提出者は解析感度向上において主導的な役割 を果たしており、その寄与は十分であると判断する。 したがって、博士(理学)の学位を授与できるものと認める。

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