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概要 1 漁業の多角化検討会の実施 (1) 漁業の多角化についての考え方海の環境の変化によって これまで獲れなかった魚が獲れるようになったり 従来獲れていた魚が獲れなくなったりする状況がある また 漁獲しても市場に出荷されずに処分されてしまう魚や かつては地域の地魚として食用されていた魚が流通 販売

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概要

1 漁業の多角化検討会の実施 (1)漁業の多角化についての考え方 海の環境の変化によって、これまで獲れなかった魚が獲れるようになったり、従来獲れていた魚が獲れなくなった りする状況がある。また、漁獲しても市場に出荷されずに処分されてしまう魚や、かつては地域の地魚として食用さ れていた魚が流通・販売形態の変化で消費されなくなった例もある。さらに、都市における消費傾向の変化によって、 地域特有の多様で魅力的な水産資源が利用されていないことも指摘されている。 漁業の多角化とは新たな漁法の導入や漁具の改良やかつてあった漁具・漁法の復活、さらに広義に解釈すると、漁 獲物の加工・流通・販売を工夫することで、十分に利用されていない水産物を活用すること、また、それらの取組み と観光業などの集客交流との組み合わせにより、地域及び水産業の振興を図ることを指す。 本章漁業の多角化では、昨年作成した漁業の多角化を進めるための指針(構成案)についてさらに事例を掘り下げ、 漁業の多角化のすすめ方をわかりやすく整理した指針の作成を目的としている。 (2)漁業の多角化検討会委員の選定 検討会の委員として、漁獲の方法についての専門家及び水産物活用のための消費や加工・流通等について の専門家を選定した。 浅川 勝 氏 (野母崎三和漁業協同組合 代表理事 組合長) 荒川 敏久 氏 (長崎県水産部 政策監) 稲田 博史 氏 (東京海洋大学海洋科学部 海洋生物資源学科 准教授) 川本 大吾 氏 (時事通信社編集局水産部 次長) 山根 博信 氏 (有限会社鮮魚の達人 代表取締役) 婁 小波 氏 (東京海洋大学海洋科学部 海洋政策文化学科 教授) (3)漁業の多角化検討会の実施 主な活動 検討内容 第 1 回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 8 月 1 日) ・昨年度成果の確認と本年度検討内容について ・追加調査の内容について 第2回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 10 月 3 日) ・漁業の多角化の事例調査について ・漁業の多角化の取組み指針について 第3回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 12 月 12 日) ・漁業の多角化取組み指針について ・今後の補足調査について 第4回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 2 月 13 日) ・漁業の多角化の取組指針について 2 現場ヒアリング調査 以下の現場にてヒアリング調査を実施し、付加価値の増大、所得の向上、就業機会の増大などを図る手法・ 条件などについて整理した。 地区 内容 長崎県対馬 ・たこつぼ漁法導入(上対馬町琴、上対馬町南漁協) ・あじさば漕ぎ釣り導入(上対馬町比田勝、上対馬町漁協) ・バイガイエビカニかご漁法導入(上対馬町比田勝、上対馬町漁協) ・ひらめ曳縄漁法導入(厳原松浅藻、厳原町漁協浅藻出張所) 長崎県五島 ・ヌタウナギかご漁業導入(長崎県上五島若松地域) ・イシダイ延縄漁業導入(長崎県五島大浜地域) ・ミズイカ定置網漁業導入(長崎県五島久賀島) ・アラ縄漁業導入(長崎県五島三井楽地域) 福井県水産課 (普及指導員) ・福井県における支援体制について ・福井県における支援事業の内容、事例について

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4-2 4 漁業の多角化を進めるための指針 以下、漁業の多角化を進めるための指針を作成した 1 漁業の多角化を進める背景 (1)漁業の多角化とは? (2)漁業の多角化を進めるにあたって 1)地先の水産資源の活用 2)他地域からの漁具・漁法の導入や改良 3)魚の消費ニーズをつくりだす 4)マイナー魚に注目 2 漁業の多角化の取組事例 (1) 漁具・漁法を導入する例 1)新たに地先に出現した魚を漁獲するための漁具・漁法の導入 2)地域で活用しきれていない水産資源を活用するための漁具・漁法の導入 3)組み合わせ漁業の導入 4)地域における伝統漁法の活用 (2) 漁獲した資源を活用する例 1)鮮度保持による高付加価値化 2)水揚げ・魚箱の工夫による魚価の安定化 3)加工・商品開発による高付加価値化 4)販売方法の多様化 (3) 漁村の魅力発信と交流の促進 3 漁業の多角化のすすめ方 (1)漁業の多角化のプロセス (2)情報収集と発案(はじめのきっかけづくり) Ⅰまずは情報収集から Ⅱ発案 (3)評価と意思決定(可能性の検討・各種調整の方法) Ⅰ市場性について考える Ⅱ事業コストを考える Ⅲ資金調達を考える Ⅳ地域のルールを考える Ⅴ制度上の手続きを確認する (4)実行と改善(さまざまな展開と定着の方法) Ⅰ取組の実行体制をつくる Ⅱ成果と課題の確認と改善策の検討 Ⅲ定着に向けた更なるアクション 4 漁業の多角化による漁村の地域振興に向けて 3 漁業の多角化の進め方の整理 現地調査等による情報収集及び検討会での議論を通じて、漁業の多角化のすすめ方について整理した。 (情報収集と発案、評価・意思決定、実行・改善のプロセス、検討事項、支援体制について)

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漁業の多角化検討会の実施

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漁業の多角化についての考え方

海の環境の変化によって、これまで獲れなかった魚が獲れるようになったり、従来獲れていた魚 が獲れなくなったりする状況がある。また、漁獲しても市場に出荷されずに処分されてしまう魚や、 かつては地域の地魚として食用されていた魚が流通・販売形態の変化で消費されなくなった例もあ る。さらに、都市における消費傾向の変化によって、地域特有の多様で魅力的な水産資源が利用さ れていないことも指摘されている。 漁業の多角化とは新たな漁法の導入や漁具の改良やかつてあった漁具・漁法の復活、さらに広義 に解釈すると、漁獲物の加工・流通・販売を工夫することで、十分に利用されていない水産物を活 用すること、また、それらの取組みと観光業などの集客交流との組み合わせにより、地域及び水産 業の振興を図ることを指す。 本章漁業の多角化では、漁業の多角化といえる取組事例の把握及び、これから漁業の多角化を進 めようとする方々に対しての指針を作成することを目的としている。 ◆漁業の多角化の取組み

◎ 漁村地域の魅力を発信し、集客交流を図る

~漁村地域の活性化のために~

◎ 漁獲した資源を活用する

~漁業収入の向上のために~

◎ 漁具・漁法を導入する

~漁獲の効率化のために~ (1)新たに地域に出現する魚を漁獲するため の漁具・漁法の導入 (2)地域で活用しきれていない水産資源を活 用するための漁具・漁法の導入 (3)組み合わせ漁業の導入 (4)地域における伝統漁法の活用 (1)鮮度保持による高付加価値化 (2)水揚げ・魚箱の工夫による魚価の安定化 (3)加工・商品開発による高付加価値化 (4)販売ルートの多様化

漁業の多角化(

狭義)

漁業の多角化(

義)

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漁業の多角化検討会委員の選定

検討会の委員として、漁獲の方法についての専門家及び水産物活用のための消費や流通・加工調理 についての専門家を選定した。 委員候補 経歴など 浅川 勝 氏 (野母崎三和漁業協同組 合 代表理事 組合長) 漁業の多角化の先進地長崎県における漁業者の立場、漁協の立場から、多角 化の取組実施についての具体的な意見・指導をいただく。 荒川 敏久 氏 (長崎県水産部 政策監) 漁業の多角化の先進地長崎県における水産業を支援・振興する立場としての 意見をいただく。 稲田 博史 氏 (東京海洋大学海洋科学 部 海 洋 生 物 資 源 学 科 准教授) 水産庁漁業新技術開発委員会委員、水産庁漁業後継者育成事業検討会委員、 日本水産学会総務幹事(1999-2000)、同庶務幹事(1998-1999)、同漁業懇話会 委員・幹事 漁具漁法に関する専門化、全国の漁業の現場の経験とネットワークから、新 たな漁具漁法導入に関する助言をいただく。 川本 大吾 氏 (時事通信社編集局水産 部 次長) 91 年時事通信社入社。水産部に配属後、市場取引を取材。入荷・相場情報、 市況などをインターネット情報、「時事水産情報」で配信。一方、農水省(水 産庁)、東京都(市場当局)、水産関係団体などを担当し、水産関連ニュース を取材・配信。2006 年には『水産週報』(現・水産社発行)の編集長。著書 に『にっぽん魚事情』(98 年、時事通信社)(共著)、『ルポ ザ・築地―魚 食文化の大ピンチを救え!-』(2010 年時事通信社) 山根 博信 氏 ( 有 限 会 社 鮮 魚 の 達 人 代表取締役) 水産業界で仲卸業に携わって 29 年、全国の市場を廻り続けて 15 年。水産業 界の将来に不安を感じ、新しい事業「鮮魚の達人」を立ち上げて 4 年が経つ。 日本各地の漁港で捨てられたり安く買い叩かれたりする魚の需要を掘り起 こし、他地域に供給する仲人として活躍する立場から、意見をいただく。 婁 小波 氏 (東京海洋大学海洋科学 部 海 洋 政 策 文 化 学 科 教授) 京都大学農学研究科農林経済学専攻博士後期課程修了。 徳島県沿岸漁業等振興審議会会長、石川県水産基本計画委員会座長、漁業経 済学会理事、地域漁業学会関東支部会会長などを歴任、現在農林水産省水産 政策審議会特別委員などを務める。学識経験者としての立場から、意見をい ただく。

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漁業の多角化検討会の実施

漁業の多角化検討会における委員の活動実績を以下に整理する。 主な活動 実施内容 第 1 回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 8 月 1 日) ・昨年度成果の確認と本年度検討内容について ・追加調査の内容について 第2回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 10 月 3 日) ・漁業の多角化の事例調査について ・漁業の多角化の取組み指針について 第3回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 12 月 12 日) ・漁業の多角化取組み指針について ・今後の補足調査について 第4回漁業の多角化検討会 (平成 23 年 2 月 13 日) ・漁業の多角化の取組指針について

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現地ヒアリング調査

以下地域にて現地ヒアリング調査を実施した。他、電話等にて各所の取組みを調査した。 地区 内容 長崎県対馬 ・たこつぼ漁法導入(上対馬町琴、上対馬町南漁協) ・あじさば漕ぎ釣り導入(上対馬町比田勝、上対馬町漁協) ・バイガイエビカニかご漁法導入(上対馬町比田勝、上対馬町漁協) ・ひらめ曳縄漁法導入(厳原松浅藻、厳原町漁協浅藻出張所) 長崎県五島 ・ヌタウナギかご漁業導入(長崎県上五島若松地域) ・イシダイ延縄漁業導入(長崎県五島大浜地域) ・ミズイカ定置網漁業導入(長崎県五島久賀島) ・アラ縄漁業導入(長崎県五島三井楽地域) 福井県水産課 (普及指導員) ・福井県における支援体制について ・福井県における支援事業の内容、事例について

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4-6 たこつぼ漁業導入事例調査結果(長崎県上対馬南 琴地域) ■技術、漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 ◆新たな漁業導入の発案 ・普及指導センターによりたこつぼ漁業導入の検討(地域で多い 漁業種類であるアナゴ漁業の低迷を受けて検討)。 ・他漁法での混獲があった。 ・当初導入を検討した地域では、他漁業との競合により導入を断 念(アマダイ延縄、底立縄など)。 ・漁協を通じて導入を検討する漁業者を募る。 ◆導入の可否を決断する背景 ・漁獲量の減少や魚価の低下、燃料費の高騰により新たな魚種、 漁法の導入の必要(それまではイカ釣りを主に操業)。 ・補助金の導入(ながさき型新水産業創出事業活用)があること で、経費の節減につながること。 ・燃料代が少なくて済む漁法であったこと。 ・従来と同じように一人操業が可能なこと。 ◆技術、漁具の導入 ・水産業普及指導所により、先進的に操業している五島地域を紹 介、現場にて操業をみせてもらい、漁具、漁法を学ぶ。 ・実際に操業して、漁具のつくりかた、設置の方法等試行。 ・つぼおよび巻き上げ機を導入。 ・一経営体あたりタコつぼ 2000 個の導入(五島では 3000 であ ったが、導入の自己負担、操業の人手に制約あり)。 ◆既存の漁業との調整 ・長崎県対馬市琴地区にけるたこつぼ導入にあたっては、延縄漁 業者(アマダイなど)、底立縄、イカ釣り(アンカー使用)との 話し合い。 ・地域の漁業者との間では、たこつぼを認知してもらっている。 ・地域外の漁業者には伝わりきらずに、浮を外されるなどがある。 ・操業時期は3~8 月(当初 3 年間は 4~9 月、早い時期で価格が 高いことから変更)。 ・他漁業と競合しない操業時間の設定(午後2 時以降)。 ◆流通・販売の方法 ・従来と同様に漁協水揚 げ、県漁連により販売。 ※資源量の把握 ・資源調査はしていない。 ・操業を重ねながら、資源の状況 を把握していく。 【ポイント】 ・外部人材の活用。 ・日頃の水揚げ状況の情報収集。 ・制度上の手続き確認。 【ポイント】 ・資金調達が可能。 ・操業コストが低い、労力が現行の漁 業と大差なし。 【ポイント】 ・他地域からの情報収集 ・操業試験により市場性、コスト等把 握 【ポイント】 ・地域のルール検討。 ・制度上の手続きを確認。

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4-7 アジサバ漕ぎ釣り導入調査結果(長崎県上対馬 比田勝地域) ■技術、漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 ◆新たな漁業導入の発案 ・漁業者自ら情報収集。 ・これまで使用していた漁具の改良にてアジサバ漁獲。 ◆導入の可否を決断する背景 ・漁獲量の減少(他漁法の影響、魚価の低下、燃料費の高 騰により新たな魚種、漁法の導入の必要)。 ・従来と同じように一人操業が可能なこと。 ・従来の漁具の改良で対応可能。 ◆技術、漁具の導入 ・水産業普及指導所により、先進的に操業している地域を 紹介、漁業士会にて講習会開催、現場にて操業をみせて もらい、漁具、漁法を学ぶ。 ・実際に操業して、漁具のつくりかた、設置の方法等試行。 ・一鉢数千円での漁具製作が可能。 ・巻き上げ機は従来の装置を利用可能。 ◆既存の漁業との調整 ・協議会の設置はなし。 ・他漁業種類との調整は暗 黙の了解にて(地域の漁 業者同士では互いの情報 交換により了解)。 ◆流通・販売の方法 ・クビ折り、血抜きにより鮮度保持。 ・漁箱にマットを敷くなど氷に触れ、傷がつかない工夫。 ・混サイズせずに出荷するように漁業者間でルール化。 ・漁業者自ら築地への売り込みを実施(高級鮮魚部での取扱い)。 ・福岡ドームでのイベントへ出店。 ・チェーンストア、バイヤーとの商談を実施。 ・個店舗との取引も実施、ネットでの販売を実施。 ※アジサバ漕ぎ釣り導入前にもタチウオ 釣導入の経験あり ・知りあいの漁業者のつてで、広島で操業 している漁業者により、地域の 20 隻に 指導、その後試験操業を実施。 ・協議会を立ち上げ、島内外の漁業者によ り組織。 ・タチウオブランド化の取組として出荷の 基準をつくる。 ※その他 ・資源管理の意識から、釣漁業へのプライドがうかがえる。 ・季節に応じ、様々な漁法を利用してサワラ、ブリ、ヨコワ、 キンメ、メバル、メダイ、タチウオ、アワビなど多彩。 ・漁業の引き出しを多く持つことで、季節に応じて資源を適 切に利用するという意識。 ・地域の環境を活用してバードウォッチ ングやツシマヤマネコの観察、など海 から山に至る観光プログラム作りにも 取り組む(I ターン漁師による活動がは じまりつつある)。 【ポイント】 ・漁業者の情報収集 ・コストの検討(これまでの漁具改良で実施可能) 【ポイント】 ・操業コストが低い、労力が現行の 漁業と大差なし。 【ポイント】 ・他地域からの情報収集。 ・試験操業により検討。

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4-8 エビカニ、バイガイカゴ漁法導入事例調査結果(長崎県上対馬 比田勝地域) ◆新たな漁業導入の発案 ・普及指導センターにより導入もちかけ。 ・かつてバイガイは漁獲していたこと、底曳漁業がないことから、 エビカニなどの漁場としての可能性があったことから漁場の 確認を一義として実施。 ◆導入の可否を決断する背景 ・アナゴ漁業者5隻による導入試験。 ・従来の漁場での操業が可能であることから実施。 ・補助金の導入により実施。 ・漁獲量が少なく、導入は断念。 ・地元寿司屋等での利用はしたものの、業として続けることは難 しい状況。 ※その他 ・漁法として定着させるためには、収益性の確保が必要。 ・資源量が前提になることから、今後の資源状況の変化によっては再開する可能性もある。 ・アナゴカゴ漁業を実施。 ・かつて導入した際には、曳き縄、延縄との漁場の競合がないよう調整。 ・夜間操業により他漁業との棲み分け。 ・全島の組織であるアナゴカゴ連絡協議会にて操業を調整。 ・地域の他漁業種の漁業者とは情報交換により操業の状況を共有。 ・漁業者自ら加工場を整備し、アナゴ加工を実施 ・漁連を通じた出荷に加えて、関西方面のスーパーや料理屋との取引実施。 【ポイント】 ・普及センターとの連携により実施。 ・試験操業にて資源の状況を把握。 【ポイント】 ・漁場の調整が可能。 ・操業コスト、労力上可能(主漁業ア ナゴかごの操業途中に作業可能)。 ・資金調達が可能。 【ポイント】 ・漁獲量が不足。 ・収益性を確保できない。

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4-9 ■ヒラメの釣漁業導入事例調査(長崎県対馬 浅藻地域) ■技術、漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 ◆新たな漁業導入の発案 ・普及指導センターにより発案。 ・ヒラメをねらった漁業はこれまでなかったが、定置に入ること があったことから発案。 ◆導入の可否を決断する背景 ・漁獲量の減少(他漁法の影響、魚価の低下、燃料費の高騰によ り新たな魚種、漁法の導入の必要)。 ・従来と同じように一人操業が可能なこと。 ・従来の漁具の改良で対応可能。 ・許可が不要。 ・漁閑期での操業が可能である。 ◆技術、漁具の導入 ・水産業普及指導所により、先進的に操業している地域(島原) を紹介、漁業士会にて講習会開催、現場にて操業をみせてもら い、漁具、漁法を学ぶ。 ・実際に操業して、漁具のつくりかた、設置の方法等試行(当初 は曳縄と一本釣の両方を実施、曳縄は技術的に難しく一本釣が 定着)。 ・現在数箇所の漁場、狭い海域であり多くの漁業者の導入はまだ 見込めない。 ◆流通・販売の方法 ・活魚出荷を実施。 ・流通経費の削減が課題。 ◆導入前 ・イカ釣り、イサキ、マダイ 曳縄、サワラ、ブリ、ヒラ ス一本釣りなど実施。 ・ヒラメの漁期である春先に 漁閑期。 ※その他 ・ヒラメの種苗放流を実施していることから、今後の漁獲に期待。 ・漁場の開発が重要。 ・回遊魚とちがい、地先資源であることから、資源管理は慎重に行なう必要がある。 【ポイント】 ・外部人材の活用 ・日頃の水揚げ状況の情報収集 【ポイント】 ・操業コストが低い、労力が現行の漁 業と大差なし、漁閑期での操業可能。 ・調整が可能(許可不要)。 【ポイント】 ・他地域からの情報収集。 ・操業試験により市場性、コスト等把 握。 【ポイント】 ・市場性を検討(活魚出荷による付加 価値向上検討)。

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4-10 ■漁具漁法の導入のポイント ヌタウナギカゴ漁業導入(長崎県上五島 若松地域) ■技術、漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 。 ◆新たな漁業導入の発案 ・知り合いの水産物流通業者からの情報により発案。 ・福岡魚市による支援により実施。 ◆導入の可否を決断する背景 ・漁獲量の減少(魚価の低下、燃料費の高騰により新たな魚種、 漁法の導入の必要)。 ・流通先が確保されていること(福岡魚市の協力)。 ・資源を把握していたこと(EEZ ライン設定前は韓国船が操業 していたことから)。 ◆技術、漁具の導入 ・水産業普及指導所により、先進的に操業している地域(壱岐) での視察研修、漁具、漁法を学ぶ。 ・福岡魚市にて、流通の実態調査を実施(日本産ヌタウナギの需 要、取引金額を把握)。 ◆既存の漁業との調整 ・漁協理事会にて漁業者自ら事業説明、漁協組合 長会の同意を得る。 ・県知事許可取得(H12 年 4~5 月より研修、検討、 9 月末には許可取得(9~12 月分の許可))。 ・タコツボとの調整により、タコツボの入ってい ない漁場での操業をルール化。 ・7 月中旬から休業(畜養の生存率が低下すること から)。 ◆流通・販売の方法 ・漁獲したヌタウナギはコンテナカゴに 収容し、水深3m程度のところに畜養、 量がたまった段階で業者へ依頼し出 荷。 ・補助金を活用して冷水機を導入。 ・小型のサイズは放流し資源管理につと める(以前は選別していなかった)。 ※組織 ・五島ヌタウナギ会を組織。 ・当初6 名で導入を検討し、現 在は3 名が操業。 ※その他 ・ウツボ、アナゴ、クロアナゴの混獲がある。 ・ウツボは料理屋と連携してウツボ料理を開発した。 ・クロアナゴは周辺の加工業者がてんぷらの原料として使用。 【ポイント】 ・外部人材の活用(水産物流通業者、 福岡魚市の協力)。 【ポイント】 ・市場性の確認(販路の確保)。 ・資源の把握。 【ポイント】 ・他地域からの情報収集。 ・市場性の確認(販路、価格)。 【ポイント】 ・制度上の手続き確認(許可取得)。 ・地域のルール検討(タコツボとの調整)。 【ポイント】 ・鮮度保持、出荷防府の検討。 ・資金調達が可能(補助金導入)。 ・資源管理の実施。

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4-11 ■イシダイ延縄漁業導入事例調査結果(長崎県五島 大浜地域) ■技術・漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 ◆新たな漁業導入の発案 ・定置網にイシダイが入ることはわかっていた。 ・積極的にとっていなかったが、普及指導センターの働きかけ により操業開始。 ◆導入の可否を決断する背景 ・漁獲量の減少(魚価の低下、燃料費の高騰により新たな魚種、 漁法の導入の必要)。 ・対象魚種をふやすことで、季節に応じた漁獲を可能にする必 要、意識。 ・従来からの漁具・漁法の改良で操業可能。 ・餌となるガンガゼの確保が鍵、地域ではガンガゼの駆除を従 来から実施、その活用としても実施。 ◆技術、漁具の導入 ・漁業士会での視察を実施(平戸)。 ・ガンガゼの付け方の研究。 ・離島交付金にて導入。 ・従来あったアラ縄とアカムツ縄の中間の強度の漁具が必要だ った。 ◆流通・販売の方法 ・通常は漁協出荷。 ・量が確保できた際には活魚を長崎で水揚げ。 【ポイント】 ・普及センターとの連携により実施。 ・試験操業にて資源の状況を把握。 【ポイント】 ・操業コストが低い、労力が現行の漁 業と大差なし。 ・調整が可能(許可不要)。 【ポイント】 ・他地域からの情報収集、技術習得。 ・操業試験により市場性、コスト等把 握。 ・資金調達が可能(補助金導入)。 【ポイント】 ・市場性を検討(活魚出荷による付加 価値向上検討)。

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4-12 ■漁具漁法の導入のポイント アラ縄漁業導入(長崎県五島 三井楽地域) ■技術・漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 ◆新たな漁業導入の発案 ・浅い海域での漁獲の水揚げが頭打ち。 ・従来より深い場での操業を実施していた漁業者を中心に、漁場 の開拓を計画。 ◆導入の可否を決断する背景 ・漁獲量の減少(魚価の低下、燃料費の高騰により新たな魚種、 漁法の導入の必要)。 ・対象魚種をふやすことで、季節に応じた漁獲を可能にする必要、 意識。 ・従来からの漁具・漁法の改良で操業可能。 ・従来どおりの一人操業が可能。 ◆技術、漁具の導入 ・ながさき型新水産業創出事業にて実施。 ・クエ、マハタの漁場の開拓によりポイントを確認。 ・集落での事業として漁場開拓を実施したが、深い場(遠方)で 操業する漁業者は少ない(技術、経験が必要)。 ◆流通・販売の方法 ・漁協に出荷調整用水槽を整備(離島交付金にて) ・漁獲の多いときには、長崎で水揚げ ※その他 ・クエの放流を実施し、資源維持に努めている。 【ポイント】 ・日頃の水揚げ状況の情報収集。 【ポイント】 ・操業コストが低い(漁具の導入費用 が安い)、労力が現行の漁業と大差な し、漁閑期での操業可能。 【ポイント】 ・資金調達が可能(補助金の導入)。 ・資源の確認。 【ポイント】 ・市場性を検討(活魚出荷による付加 価値向上検討)。 ・水揚げ地の検討。

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4-13 ミズイカ定置網漁業導入事例調査結果(長崎県五島 久賀島) ■技術、漁具の導入にあわせて、調整、流通販売の検討を実施 ◆新たな漁業導入の発案 【漁業者による発案】 ・漁業者が、地域の漁業者との情報交換、市場での水揚げ状況か ら資源の状態を知り、新たな漁獲の可能性を考える 【普及指導所、市町村担当等による発案】 ・漁協や水産業普及指導所などの機関による発案 ◆新たな漁業導入の発案 ・漁業者と五島市での協議。 ◆導入の可否を決断する背景 ・補助金の導入により、負担なしで導入可能であったこと。 ・燃料費が低いこと。 ・夫婦2 人程度での操業が可能なこと。 ◆技術、漁具の導入 ・離島交付金を活用して導入。 ・既製品の導入のため、サイズが漁場に適合していない箇所もあ る(補助金の額の関係上)。 ※共同で使用するため、網の清掃、入れ替えの作業が発生。 ◆組織づくり、既存の漁業との調整 ・6 名の漁業者により組織化。 ・1 月ごとの交代で操業。 ・漁場は数箇所、島内に3 ケ統ある大型、小型定置 との調整により位置を調整 ◆流通・販売の方法 ・出荷調整生簀を整備(各漁業 者にて)。 ・本格的な出荷はこれから。 ※その他 ・五島地域にてもう1 ケ統導入したミズイカ定置網については、水揚げが低迷し、操業中止 ・既存の定置網との関係上、適切な漁場での設置がかなわなかったことが要因 【ポイント】 ・外部人材の活用。 ・制度上の手続き確認。 【ポイント】 ・資金調達が可能(補助金導入)。 ・操業コストが低い、労力が現行 の漁業と大差なし。 【ポイント】 ・操業試験により市場性、コスト 等把握。 【ポイント】 ・地域のルール検討。 ・制度上の手続きを確認。 【ポイント】 ・市場性を検討(出荷方法の検討)。

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4-14

漁業の多角化のすすめ方の整理

現地調査等による情報収集及び検討会での議論を通じて、漁業の多角化のすすめ方について、以下 のようにポイントを整理した。 プロセス 検討事項 内容 支援体制 ◆情報収 集と発 案 Ⅰ.情報収集 ●海域の環境や資源の状況を知る 普及指導員等からの情報提供 ●水産物の相場を知る 市場等での情報収集 消費者からの情報収集 ●研修会等で各地の取組を知る、先進地 で学ぶ 普及指導員、行政機関等の紹介、 他地域との情報交換 Ⅱ.発案 - 普及指導員等との相談 研究機関と共同で技術開発 外部人材との検討 ◆評価・ 意思決 定 Ⅰ.市場性を考 える ●売りたい魚の市場での評価を確認す る、売りたい価格での販売可能性を考 える 流通の専門家、加工・飲食業者等 との相談 ●流通の工夫による価格向上や安定化を 考える 流通の専門家、漁協、行政機関等 との相談 ●一次加工・調理による付加価値向上や 低・未利用漁の活用を考える 流通の専門家、漁協、行政機関等 との相談 ●地域での交流事業の可能性を考える コンサルタント、行政機関等との 相談 Ⅱ.事業コスト を考える ●新たな漁具漁法導入の操業コスト(設 備投資、餌代、燃料費、労力等)を検 討する 研究機関等との相談 ●加工・流通・販売のコスト(設備投資、 維持費、労力等)を考える コンサルタント、行政機関等との 相談 ●交流のコスト(設備投資、維持費、労 力等)を考える コンサルタント、行政機関等との 相談 Ⅲ.資金調達を 考える ●金融機関からの融資を得る ●公的な助成金を活用する 漁協、普及指導員等との相談 Ⅳ.地域のルー ルを考える ●資源量の把握・適切な漁獲量の検討 漁協、研究機関との相談 ●新漁法・漁具での操業ルールの検討 漁協、行政機関等との相談 ●加工品の衛生管理基準の検討 漁協、加工業者、行政機関等との相談 ●鮮度保持など取扱いルール検討 漁協、加工業者、行政機関等との相談 ●地域の経済波及の仕組みの検討 行政機関等との相談 Ⅴ 制 度 上 の 手 続 を 確 認 する ●操業に係る制度を確認する 漁協、行政機関等との相談 ●市場流通との関係を考える 漁協、行政機関等との相談 ●衛生管理の制度上の問題を解決 漁協、行政機関等との相談 ◆実行・ 改善 Ⅰ 取組の実行体制をつくる - Ⅱ 定着に向けた更なるアクション(情報発信、PR) - Ⅲ 成果と課題の確認と改善策の検討、 -

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4-15

漁業の多角化を進めるための指針

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