第5群
1助
産婦学生の分娩介助技術の習得状況
―分娩介助場面の技術 と思考過程 ―
千葉 県医療技術大学校 助産学科 ○土 岐初 恵 ・片 山春 代 ・大 沢豊 子 ・宮 本 智 は じめ に 新 カ リキ ュ ラ ム改 訂 に あた って助 産 婦 教 育 にお い て 分娩 介 助 例 数が10例 で 妥 当か ど うか が 議 論 とな った 。 出生 率 低 下 の 時代 に あ って 、 実 習 数 を 確保 す る こ との困 難 性 と、教 育 的 視 点 に立 って妥 当 な 数 か 、が 論 点 で あ る。そ こ で 我 々 は、助 産 婦 学 生 が ダ イ ナ ミ ックに変 化 す る分 娩 経過 を主 体 的 に 診断 を しつつ必 要 な 分 娩 介 助 技 術を 習 得 で きて い るか ど うかを 明 らか に した い。 Ⅰ研 究 目的 助産 婦 学 生 の 、分 娩 介 助 実 習 の最 終段 階 に お け る、 分 娩 介 助技 術 の 到 達 度 と思 考 過程 を 明 らか にす る。 Ⅱ 研 究方 法 〈対 象>16人 の助 産 婦 学 生 が分 娩 介 助 実 習 の 最終 段 階(8・9・10例 目)に 分 娩 介助 実 習 を行 な った30例(3例 と も観 察 した学 生 は4人 、2例 の 観察 が で きた学 生6人 、 1例 のみ6人)。 原 則 と して 自然 分 娩 。 手 指 消毒 開 始 か ら分 娩終 了 まで 、 継続 して 観 察 可 能 な もの 。 〈方 法 〉 分 娩 介 助 技 術 を観 察 法 で 思 考過 程 を 質 問紙 調 査 。 観 察 者:助 産 学 科教 員4名 。 観 察 に あ た って は チ ェ ッ ク リス トを 基 に し て 視 点 を は っき りさせ 、観 察 者 の 基 準 の 一 致 を は か るた めに ビデ オ テ ー プ に と った分 娩 介助 場 面 の 観 察 を 繰 り返 し行 な った。 〈期 間 〉 平 成4年11月 ∼12月 く調 査 内容> 1.技 術:分 娩 介 助 の 主要 な7場 面(1.準 備 、2.会 陰保 護 、3.胎 盤娩出 、4.直 後 の 観 察 、5.心 理 的援 助 、6.児 の処 置 、7.呼 吸 法 の 指 導)を18の 小 場 面 、53の 観 察 項 目に 分 類 した。 2.思 考 過 程:18の 小 場 面に お け る学 生 の 思 考 過 程 を 、情 報 の選 択 と思考 して い る 内容に 分 け、以 下 の視 点 で 調査 した。 情 報 の選 択:A産 婦 の身 体 的情 報 、B心 理 社 会 的 情 報 、C分 娩 進 行に 関 す る情 報 、 D産 道に 関 す る情 報 、E附 属物に 関 す る 情 報 、F胎 児 情報 、G分 娩 環 境 の7っ の カ テ ゴ リーの情 報 を選 択 して い るか 。 思 考 して い る内 容:① 技 術 の 確 実 さや手 際 よ さ(以 下 、確 実 さ)② 分 娩 経過 と時 間 の 確 認(以 下 、 経 過)③ 産 婦 へ の 配 慮 (以下 、配 慮)④ 周 囲 の助 産 婦 な どへ の 指示 ・連 絡(以 下 、指 示)⑤ 今 後 に起 こ る問題 の予 測(以 下 、予 測) 〈採 点 基 準 〉 技 術:チ ェ ッ ク項 目1つ を1 点 と し53点満 点 、 情 報:1カ テ ゴ リーの情 報 を1点 、A∼Gで7点 。18小 場 面 で 、7 ×18=126点 満 点 思 考:1項 目1点 。18 小 場 面71項 目71点 満 点 。 Ⅲ 結 果 1.分 娩 介 助 技 術(表1)の30例 の 平 均 得 点 は 、41.2点(得 点 率77.7%)で あ る。 最 高 点 は51点(96.2%)最 低 点 は23点 (43.4%)標 準 偏 差6.46で あ る 。 個 人 別 期 見 る と(図1)8例 目 で は 個 人 差 が あ る 。 カ テ ゴ リ ー 毎に み る と 、 得 点 の 高 い もの は心 理 的 援 助5.2点(86.7%)胎 盤 娩 出4.2点(84.7%)分 娩 の 準 備9.6点表1分 娩介助技術・情報 ・思考の到達度 表2分 娩介助技術の場面別到達度 (80.0%)で 低 い の は直 後 の観 察1.9点(63.3%)呼 吸 法 の指 導2.1点(70.0%)会 陰 保 護 11.8点(73.8%)で あ る。 次 に、 8、9、10例 の 比 較 をす る と図 2の よ うに直 後 の 観察 、呼 吸指 導 は8例 で は低 く10例 目に は高 くな るが 他 の 技 術 に比 べ て 低 い。 ま た8例 で は技 術 の得 点 の バ ラ ツキが 大 きい。 2.「 情 報 選 択 」に つ いて は(表 1)平 均 得 点69.9点(55.5%)、 最 高 得 点115点(91.3%)、 最 低 点24点(19.0%)標 準 偏 差 24.55で あ る。 分 娩介 助 の場 面 ごと の情 報 選 択 を み る と、 分娩 準 備 で は(図3)、E以 外 の6 カ テ ゴ リーの情 報 は97.5∼86.7 %も 選 択 で きて い るが 、E胎 児 付 属 物 の 情 報 は28.3%し か選 択 で きて いな い。 会 陰保 護 の場 面 で はC分 娩 進 行に 関 す る情 報 78.9%とF胎 児情 報75.6%は 選 択 率 が 高 い がG分 娩 環 境に 関 す る情 報 は26.7%の み 選 択 して い る。 分 娩 介助 例 数 別に み る と、 どの 場 面 で も8、9、10例 で 同 じカテ ゴ リー の情 報 を選 択 す る 傾 向が あ った 。 3.「 思考 」に つ いて は(表 1) 図1分 娩介 助技 術 の 個 人 別、 総 得 点 の 分 布 図2分 娩介助技術の例数別要素別到達度
最 高 点 は71点(100%)、 最 低20点 (28.2%)、 平 均47.9点(67.5%)、 標 準 偏 差15.84で あ る 。 「思 考 」 の 要 素 別 に 得 点 を み る と 高 い も の か ら順 に 、 確 実 さ75.6%、 予 測73. 5%、 配 慮72.1%、 経 過64.5%、 指 示49.7%で あ る 。 例 数 ご と の 得 点 差 を み る と(図4)確 実 さで は10 例 目 が8、9例 目 よ り も 有 意 に 高 得 点 で あ り(p<0.02)配 慮 、 指 示 で は 高 い 傾 向 に あ る 。 4.技 術 と 思 考 と の 相 関 は0.02∼ 0.36で 関 係 は 認 め ら れ な か っ た 。 情 報 選 択 と 思 考 の 得 点 間 は 相 関 係 数0.79で か な り 強 い 相 関 関 係 が 認 め ら れ る 。 IV考 察 1.分 娩 介 助 技 術 の 得 点 率 は、 平 均 77.7%で あ り、30例 中27例 が60% 以 上 の 得 点 率 を 示 し た。 最 終 段 階 に お い て ほ ぼ 到 達 で き た と考 え る。 到 達 で きな か っ た3例 は 分 娩 経 過 が 遷 延 した り、 学 生 の 予 測 に 反 し て 急 速 に 経 過 した も の な ど で あ る。 内 容 要 素 別 に み る と 、 産 婦 の 「分 娩 直 後 観 察 」 等 実 習 の 後 半 に な っ て か ら初 め て 体 験 した 為 で 一 概 に は 習 得 困 難 な 技 術 と は い え な い 。 実 習 の 機 会 と指 導 方 法 を 考 え る必 要 が あ る。 「呼 吸 指 導 」 が 低 得 点 で あ った の は 「産 婦 の 状 態 に あ っ た 呼 吸 の しか た 」 の 指 導 は軟 産 道 の 伸 展 性 と 分 娩 経 過 を み なが ら 、 し か も 産 婦 の 精 神 状 態 を 考 え て 刻 々 と呼 吸 指 導 内 容 も変 化 さ せ る こ と を 求 め られ て い る た め難 易 度 が 高 い 項 目 で あ る た め と い え る 。 分 娩 介 助 技 術 に は 非 常 に 難 易 性 の 図3 分娩介助 におけ る情報選択 の傾 向 図4 例数別 にみた要 素別判 断の到達度 表3 思考の要 素別得点
高 い もの か ら低 い もの が あ り、 内 容 に よ って到 達 時 期 が 異 な る ため 、 分娩 介 助 実 習例 数 は一 概に10例 で 良 い とは結 論 で きな い。 2.思 考 過程 につ いて 、情 報 の 選 択 は 「準 備 」 の場 面 や 「呼 吸 指導 」の 場 面で は広 く情 報 を 集 めて い る。 「会 陰 保 護 」 の場 面 で は分 娩進 行 と胎 児情 報 は選 択率 が 高 いが 、産 道 の情 報 が 低 か った。 会 陰 の伸 展性 は よ いか の判 断 は助 産婦 の 責任 上 必 要 だが 会 陰 切 開 は ルー チ ン化 して い る臨 床に あ って 、 学 生 が会 陰 切 開が 必 要 か ど うか 判断 す る場 面 は非 常に 少 な い状 況下 に あ る こ と も影 響 して い る と 考 え る。 「思 考 」 は双 峰 型 分 布で あ る。低 得 点 群 の 「指 示 」 と高 得 点 群 の 「確実 さ 」 「配 慮 」の 影響 と考 え る。 直接 介助 者 は責任 者 と して 経過 を推 理 し、外 回 りや新 生 児 係 りに連 絡 した り指 示 す る こ とで 、安 全 分娩に 備 え た り、緊 急 時に 対 処 しな けれ ば な らな いの で 「指 示 」 は重 要 な 判断 項 目で あ る。 学 生 は 、主 体 的に 判 断 して 、 指 示す る体 験 が少 な く学 べて いな い。 例 数 別に 思 考 の 到 達度 をみ ると、8例 目と 9例 目は変 化 が な く、10例 目で は準備 の 場 面 で や や 伸 び る傾 向に あ る(Pく0. 1)。つ ま り思 考 は分 娩 介 助 例 数 を重 ね る こ とで 緩 や かに 伸 び る能 力 で あ り、10 例 目で も十 分 と はい え な い。 ま た 、個 人 の習 得状 況 の 差 が 大 きい。 個 人差 を 考慮 して 指導 の仕 方 を 考 え る必 要 が あ る。 V結 論 1.分 娩 介助 技 術 は平均77.7の 得点 率 で60 %以 上 習得 で きた ものが30例 中27例 あ り、 最 終 段 階で ほ ぼ到 達 した。 「呼吸 指 導 」 「会 陰 保護 」 は難 易 度 の 高 い技 術で あ り、 徐 々に 伸 び10例 目で も到達 しに くい技 術 で あ る。 2.情 報 の選 択 は、分 娩 介 助 の 各場 面 で 優 先 す る情 報 を選 択 的 に把 握 して お り、 緊 急 度 の 高 い場 面 で は特 にそ の傾 向が 強 く な る。 しか し、 準備 と呼 吸 指導 場 面 で は 全 体 的 な情 報 選 択 を して い る。 3.「 思 考 」 は平均67.5の 得 点率 で あ る。 思 考 は例数 を重 ね る ことで緩 やかに 到達 す る能 力 で あ り、10例 で も十 分 と はい え な い。 おわ りに 今 回 は最 終段 階に 焦 点 を 当て 横 断 的に み た が 、今 後 は個 人 別 に1例 目か ら10数例 の 分 娩 介 助 の継 続 して評 価 を 行 い 、助 産 婦教 育に お け る妥 当 な分 娩 介助 件 数 に つ いて の 検討 が 課 題で あ る。 また 、技 術 の 難 易度 の 違 い を考 慮 して 、 場 面 ・事 例 の状 況に 応 じた教 育方 法 の 検討 が 必 要 で あ る。 参考 文 献 1)勝 島喜 美:助 産 実 習件 数に 関 す る調 査 、助 産 婦雑 誌27、(7)46∼48、1973. 2)全 国助 産 婦教 育 協 議 会:助 産 婦教 育 制 度 試 案 、看 護 教 育 、27、(12)821∼824. 3)増 田 尚子 ほか:助 産 婦学 生 の 卒 業 時に お け る分娩 介 助技 術 の到 達 度 、第22回 日本 看 護 学 会集 録 、 看 護教 育 、235∼237. 4)小 山都余 子 ほか:分 娩 介 助実 習に お け る10 例 の妥 当性 の検 討(第1報)、 技 術 チ ェ ッ ク リス ト評 価 表に み る技 術 面 の習 得状 況 、 母性 衛生 、34(2)1993.
第5群
2産
婦 の看護実習 における看護学生の学習 内容
― 実 習 記 録 の 分 析 か ら―
東海大学医療技術短大
○大野
知代
恵美須文枝
は じめ に 看 護基 礎 教 育 課程に お け る母性 看 護 実 習で は、出 生数 の減 少 と共に 出産 場面 に立 ち 会 い 、 産 婦 の看 護 を 実 際に 体 験 して学 ぶ 実 習 が次 第 に困 難 に な って きて い る。 一 方 、多 くの学 生 が 、 母 性看 護 実 習 の 中で 最 も印 象 の強 い学 習 場 面 と して出 産 見学 を あげ 、 他 の学 習 には な い学 びを得 た と述 べ る ことが 多 い。 これ まで の看 護 学生 の出 産 見学に 関 す る研 究に は、 学 生 の感 想 や不 安 を 調 べ た研 究 、母 性 観 の変 化 や分 娩 の イ メー ジを 調 べ た もの 等 が あ る。 し か し、実 際に 学 生 が どの よ うな 学 習 を行 って い る のか 、 そ の具 体 的 内容 の種 類 や頻 度 を 調 べ た研 究 は見 あ た らな い。 昨 今 の学 習 機 会 を 得 に くい状 況 の 中で も、出 産 場 面 の学 習 を 継 続 して行 く意 義 や 、 その 指導 方 法 を検 討 す る た め に は、 学 生 の学 びの 内容 を 明 らかに して 行 く ことが 必 要 で あ る 本 研究 で は、産 婦 の看 護 を経 験 した学 生 の 実 習記 録 を 分 析 す る こ とに よ って 、 看 護基 礎 教 育課 程 の 学 生 が 、産 婦 の 看護 実 習 で 何 を学 ん で い るか 、 学 習 内容 の種 類 と頻 度 を 明 らか にす る ことを 目的 と した。 Ⅰ 研 究方 法 1.研 究 対 象:本 学 の3年 課 程3年 生 で 1993年 度 前 期 の母 性 看 護 実 習を 行 った学 生49名 の うち、産 婦 の実 習 記録 を提 出 し、 研 究へ の同 意 が得 られ た47名 の記 録 を 分 析 の対 象 と した 。本 学 の 母性 看 護 実 習 は 、 3年 次 の1年 間 の集 中実 習 の なか で 行 わ れ て い る。 産 婦 の 看護 実 習 は、母 性 看 護 実 習135時 間 の うち 、 原 則 と して8時 間 (1日 間)で あ る。 産 婦 の 看 護 の 実習 目 的 は、出 産 過 程 の理 解 と、 そ れに 伴 う産 婦 の 心 理 的 変化 の理 解 で あ り、 更に それ らに基 づ い て産 婦 の 看 護 の 必 要性 を認 識 で き、 苦 痛 の緩 和 と基 本 的 ニ ー ド充足 の ケ アを 学 ぶ こ とで あ る。 実 習 対 象 とな る 産 婦 は、 分娩 後に も継 続 して 産褥 期 の受 持 ちが 可 能 で 、重 度 の 合 併 症 を持 た な い 産 婦 と して い る。 実 際 の実 習 場 面 で は 、 1人 の 産 婦 に2名 の学 生 が 分 娩 第1期 か ら分 娩 終 了 まで(帝 切 産 婦 は手 術 当 日) 付 き添 って 、 臨床 指 導 者 及 び産 婦 担 当助 産 婦 の指 導 によ って学 習 を行 う。 そ して 翌 日に 、 この 実 習 を行 って 学 ん だ こ と ・ 考 え た こ とを 自由 記述 し提出 す る こ とに な って い る。 この研 究 で い う学 習 内容 とは、 学生 が 実 習後に 提出 した 記録 の 中 で 、 その 後 の 類 似 の場 面 に お いて 、 そ の学 生 の行 動 も しく は行 動 の 可 能 性に 変 容 を もた らす と 考 え られ る 、看 護 に関 連 す る知識 や技 術 及 び概 念 と し、 それ が そ の時 の学 習場 面 と共 に学 生 の 思考 内容 と して 、 文章に 表 現 され て い る こ と、 と した。 2.デ ー タ収 集:学 生 か ら提出 され た ひ と りひ と りの 実 習 記 録 を そ の 文脈に 従 って 、 前 述 の 学 習 の 定 義に で き るだ け近 い学 習 内容 を取 り出す た めに 、 次 の 二つ の要 素 、 即 ち(1)取り上 げ る場 面 の 状 況 が記 述 され て い る(2)の 状 況 にお いて学 生が 確 認 し た 知識 や 、 そ の場 面 の 意 味 づ け ・解 釈 、 あ るい はそ こか ら発 展 させ た 概 念 が記 述 され て い る、 の2点 を 含 む セ ンテ ン スある い はパ ラ グ ラフを ひ とつ の デー タと し て取 り扱 う こ と と した。 従 って 産 婦 の状 態 や経 過 、 及 び そ の時 の出 来 事 な どが 単 に事 実 の 存 在 と して表 現 され て いて 、 そ の学 生 独 自の 解 釈 や意 味 づ けが 述 べ られ て い な い部 分 は、 デ ー タか らは除 外 した。 デ ー タ抽 出 は、 先ず2名 の研 究 者 それ ぞ れ が 同 じ学 生 の 実 習記 録 を読 ん で 、 そ の 中 か らデ ー タ部 分 を取 り出 し、互 い の一 致 率が80%以 上 とな る と ころ まで 抽出 の 照 合 を繰 り返 して 、 次に2名 が 別 々に全 て の記 録 の デ ー タ化 を行 い、両 者 の結 果 を 照 合 して 、 不 一 致 が生 じた部 分につ い て は、2人 で 再 度 検 討 して デ ー タを決 定 した 。 3.分 析:取 り出 した 全て の デ ー タを 内容 毎に 共通 性 や 類 似 性に 基 づ い て分 類 し、 カテ ゴ リー毎 の 命 名 を行 った 。 その 後研 究 者 以外 の看 護 教 員2名に 、 命名 と分類 の妥 当性 を検 討 して も らい、修 正 を 加 え た。 次に 決 定 した カテ ゴ リーに 基 づ い て 、 れぞ れ の学 習 内容 の 頻度 を 調 べ 、そ れ ら の結 果に つ いて 内 容 の分 析 を 行 った 。 Ⅱ 結 果 47名 の学 生 が 経 験 した産 婦 の 例数 は、 経膣 分娩47例 、帝 王切 開 分 娩15例 で 、 この うち2 例 以 上 の 産 婦 の 実 習 を 経 験 した 者 が13名 (26.5%)で あ った。 従 って 、 分析 の対 象 と した47名 の記 録 は62件 とな り、 そ れ らの 記 録 か ら取 り出 した デ ー タの 総 計 は319個 で あ っ た。 また1例 の産 婦 の 実 習 につ きデ ー タの 平 均 は5.1個 とな っ た。 学 習 内容 毎 に分 類 した 結 果 は(1)出産 過 程 の 知 識 の確 認 や理 解(2)産婦 の心 理 の理 解(3)身体 の 神秘 や 生 命尊 厳(4)母性 性 の 賛 美 や 自己の 女 性性に 対 す る肯 定(5)健康 者 を 対 象 とす る こ とや 助産 婦 独 自の機 能 な ど 母 性 看 護 の特 徴(6)産痛 の個 別 性 や緩 和 法 な ど 陣 痛 の 理解 と援 助(7)不安緩 和 ・情 報提 供 ・共 図1学 習内容別頻度 感 な どの相 互 作用(8)出産 直後 の 母 子 関係(9)夫 や その他 の家 族 のサ ポー ト(10)観察 や 感染 防止 その 他 の看 護 ケア(11)否定 的体 験 お よ び(12)自己 認 識 と予 習 な どの学 習 方法 に関 す る こ とに分 類す る ことが で き た(図1)。 この う ち身 体 の神 秘 や生 命 の尊 厳 及 び 、母 性 性 や 女性 性 の 肯 定 につ いて は、全 体 の70%の 学 生に これ ら の記 述 が あ り、 そ の うち の70%の 学 生 は 、両 方 を重複 して 述 べて いた。 次 いで 多 か った の は 、相 互作 用 と陣痛 の 理解 や援 助に 関 す る こ とで あ ったが 、 家族 のサ ポ ー トに関 す る内容 は最 も少 なか った。 Ⅲ 考 察 産 婦 の 看護 実 習 を行 って 、学 生 が 実 習 記 録 に表 現 した学 習 内容 は、12カ テ ゴ リー に分 類 す る こ とが出 来 た 。産 婦 の 看 護 実 習 は 、母 性 看護 実 習 全体 の15日 間の 中 で 、 わ ず か1日 間 と短 い期 間 で あ るが 、 カ テ ゴ リー数 か らみ る と比 較 的 多面 的 な 学 習 内容 が 含 まれ て い る こ
とが わ か った 。一 般 に 出産 場 面 の学 習 に は、 人 間 の価 値 や尊 厳 ・家 族 の 看 護 ・看 護 の 基 本 概 念 ・看 護 実践 等 の学 習 が あ る といわ れ て い るが 、 今回 の 結 果 は これ らの 事実 を示 す もの で あ った。 身体 の神 秘 や 、 生 命尊 厳 と母 性性 の 賛 美 や、 女性 性 の 肯 定 につ いて 重 複 して述 べ て い る者 が 多 か ったが 、 この こ とは産 婦 の 実 習 を行 う こ とが 、 生 命 を もた らす 母 性 の理 解 ば か りで な く、同 時 に 生命 尊 厳 の 学 び と も 結 び っ いた 学 習 の機 会 にな って い る とい え る。 また 母性 の 素晴 ら しさや 女性 と して の 自己 の 性 を肯 定 す る学 習 が 多 か った こと は、対 象 と な った学 生 の 発達 年 齢 に 沿 った人 間 形成 や 、 自己 同一 性 の形 成 に も役立 つ 学 習 にな って い る と考 え る。 ま た、 産 婦 の 身体 的 変 化 や心 理 過 程 は 、既 に学 ん で い る15時 間 の 授 業 の 中心 で あ り、 この実 習 の学 習 目的 に もな って い る が 、学 習 内容 と して 挙 げ た学 生 の 割 合 は 、 そ れ ほ ど多 くなか った 。 これ は、 分 娩 経過 や 産 婦 の状 態 と して 記述 は して も、 改 め て解 釈 や 意 味 づ け と して 文 章 表 現 を しな い た め に、 デ ー タ に取 り出 され な か った場 合 が あ る ため と考 え られ る。 相 互作 用 につ いて の学 習 は、 産婦 へ の共 感 や 情 報提 供 ・出産 時 の テ ィー ム ワー ク等 の場 面 を通 して、 産 婦 との一 体 感 を 感 じる こ とや 感 動 の理 由 と共 に表現 され て い た。 これ まで の 報 告 で も分 娩 見 学 は 、学 生 が 強 い感動 や 感 激 を体 験 す る学 習 で あ る と報 告 され て いるが 、 今 回 の結 果 か ら感 動 や感 激 が 、 相 互 作用 に よ って も強 め られ て い る ことが 推 察 で きた。 否定 的体 験 で は会 陰 切 開 や産 婦 の 苦 痛 に つ いて の記 述 が 多 く、 出 産全 体 を 否 定 的 に捉 え た もの は少 なか った 。 これ は、 実 習 場 面 での 学 生 に対 す る指 導 者 の 関わ り方 や 、 実 際 の臨 床 看 護 の 内容 や 質 が 、影 響 して い る と考 え られ る。 この 研 究 の 限界 は 、学 習 内 容 の デ ー タが文 章 に よ って 表 現 されて い る こ と に限定 して い る こ とで あ り、学 生 が 表 現 して い な い こ とや 、 デ ー タの 条件 と して設 定 した 要件 を満 た して い な い部 分 は、学 習 内容 と し て取 り扱 って いな い ことで あ る。今 後 さ らに、 学 習 内容 を よ り正 確 に把 握 す る検 討 が 必 要 で あ る。 IV ま とめ 看 護 基 礎 教育 課 程 にお け る学 生 の 出産 場 面 の学 習 を 、 実 習記 録 を 用 い て分 析 し、 そ の結 果12の カ テ ゴ リー に分類 す る ことが で きた 。 産 婦 の 看 護 実 習で は、 看 護 の専 門 職 を 育 て る 上 で 重 要 な生 命 の 尊 厳 や 、対 象 の理 解 、母 性 看 護 の特 徴 に関 す る こ とな ど比 較 的 多 くの学 習 内 容 を含 ん で い る こ とが わ か った 。
第5群
3ハ
イ リス ク施 設 にお け る母性 看 護 実 習 の あ り方 を考 え る
神奈川県立看護専門学校 ○ 本多 洋 子 神奈川県立看護専門学校 須 崎 時 子 は じめ に 本校 の母性 看 護 実 習 は平 成4年 まで は 自然 分 娩 が主 流 の2病 院 で 実習 を 行 って きたが 、 学 生 の定 員 増に 加 えて 実 習病 院 の 一つ が 閉 鎖 にな り、平 成5年 よ りハ イ リス ク周産 期 医 療 の性 格 を持つKセ ン ターの母 性 病 棟(以 下K セ ンター と略 す)で 実 習 を 行 う ことに な った。 そ こで ハ イ リス ク医療 施 設 に お け る母性 看 護実 習 が実 習 の 到 達 目標に 及 ぼす 影 響 を知 り、 今後 の 実 習指 導 に役 立 て るた め 調査 を 行 った の で報 告 す る。 な お、 本 校 の母 性 看 護実 習 及 び実 習 病 院 の 概 要 は次 の とお りで あ る。 本 校の 母 性 看護 実 習 の概 要 Ⅰ 母性 看 護 実 習 の 目的 1.母 性 の 特徴 を理 解 し、妊 娠 ・分娩 ・産 褥各 期に お け る母 性 及 び新 生 児 に必 要 な 援助 が 実 施 で きる能 力 を養 う。 2.母 性 看 護 実 習 を通 して 自 らの 母性(父 性)へ の 意 識 を 高 め る。 Ⅱ 実 習 目標 1.妊 娠 ・分娩 ・産 褥期 及 び新 生 児 の心 理 的 ・生 理 的変 化 を 理解 し、 母 子 の健 康 の 保持 増 進 の援 助に 必要 な知 識 ・技 術 ・援 助が わ か る。 2.周 産 期 の 母性 ・新 生 児 の健 康 レベ ル に 応 じた個 別 的 な看 護 が実 施 で き る。 3.母 性 看 護に 必 要 な基礎 的技 術 を 習得 す る。 Ⅲ 実 習 形 態 1.病 棟 実 習2週 間で 分 娩 か ら産 褥 期 及 び 新 生 児 の看 護 を学 ぶ 。 2.産 科 外 来1日 間 で妊 婦 の 看護 を 学 ぶ 。 3.助 産 所2日 間 で 地域 に密 着 した妊 産 婦 の看 護 を 学ぶ 。 Ⅳ 実習 病 院 の概 要 表1の とお りで あ る。 1.研 究 目的 ハ イ リス ク医療 施 設に お け る母 性看 護 実 習 の 内容 の 傾 向 を知 る。 表1実 習病院の概要表2 受 持 ちケ ー スの概 要
表3 問 題 リス トの 内容 と問 題件 数
2.研 究 方 法 Kセ ン ター及 びM病 院 で 実 習 した学 生 の看 護 計画 の問 題 リス トを 用 い て比 較 す る。 3.研 究 期 間 平 成5年6月2日 ∼平 成5年11月20日 4.研 究 結 果 1)受 持 ち ケ ー ス につ いて は表2の とお りで あ る。 2)問 題 リス ト 学 生 の 看 護計 画 のな か で上 げ た 問題 リ ス トの 内容 及 び受 持 ち ケー ス数 に対 す る 割 合 は表3、 図1の とお りで あ る。 V 結 果 1.学 生 が受 け持 った ケ ー ス はM病 院 で は 自然 分 娩 後 の 褥 婦 で 、 新 生 児 も正 常 の ケー スが多 く、Kセ ン ターで は 自然 分娩 と帝 王 切 開術 を 受 け た 人 と半 々で あ る。 ま た、Kセ ンタ ーで は半 数 が低 出生 体 重 児(大 半 は極 小 未 熟 児)の 母 親 を 受 け 持 って い る。 児がNICUへ 収 容 され て い る場 合 の実 習 の対 象 は母 親 だ け とな る。 2. 表3に 見 られ る とお り、件 数 で 多 いの はKセ ンター で は子 宮 復古 の促 進 、母 乳 分 泌促 進 、退 院指 導 、 乳房 トラ ブル 、新 生 児 の問 題 で あ り、M病 院 で は子 宮 復古 の 促進 、母 乳 分泌 促 進 、疲 労 の回 復 、創 の 治癒 促 進 で あ る。 2施 設 で 大 差 な く上 げ られ て い るの は ベ ビー イ メ ー ジ及 び母 乳 分 泌促 進 、 家族 計 画 、育 児 技 術 で あ る。 Kセ ン ター とM病 院で 差 の 大 き いの は 退 院 後 の生 活 、 児 の不 安 、 疲労 回 復 で あ る。 VI 考 察 1.2施 設 と もに子 宮 復 古 、母乳 分 泌 促 進 、 乳 房 トラブ ル、 ベ ビー イ メ ー ジ、家 族 計 画 、育 児 技 術 も同 じ程 度 に上 げ られ て い る こ とか ら、母 性 看 護 実 習 の実 習 目標 の 一 つ で あ る産 褥 期 及 び新生 児期 の生 理 的 変 化 の 学 習 に つ なが る視点 は とれ て い る と考 え られ る。 2.M病 院 で は疲 労 の 回復 、創 の治 癒 促 進 とい った 項 目がKセ ンター に比 し多 く上 げ られ て い るが 、 これ は産 褥 早期 の褥 婦 を受 け持 つ ことが 多 いた め と考 え られ 、 一 般 的 な 復 古現 象 ・進 行現 象 の 促 進 に つ い ての 援 助 が学 習 で き る機 会 が 多 い こ と を示 して い る。 Kセ ン タ ー で は 児 が 低 出 生 体 重 児 で あ った り、 疾 患 を持 つ こ とが 多 く、NI CUに 収 容 され る場 合 が 多 い ため か 、母 子 分離 に よ る児へ の不 安 、母 子 関 係 の早 期 確立 へ の 援 助 の必 要 性 に 問題 件 数 が 多 く上が って い る。病 棟 の 新 生 児室 に収容 され る 児 の場 合 で も低 出生 体 重 児で あ る こ とが 多 く、 新 生 児 の問 題 や 、退 院 後 の 生 活指 導 が 必 然 的 に 多 く上 が って い る と 考 え られ る。 また 、 退 院後 の 生活 指 導 で はKセ ン ターの 対 象 の特 殊 性 か ら個 別 指 導 が 中 心 とな り、M病 院 で は正 常 な褥 婦 が 多 い こ とか ら、 集 団 指導 に よ る退 院指 導 が 行 わ れ てお り、 退 院後 の生 活 指導 の 必 要 性 にっ い て の気 づ きに差 が 見 られ る の で はな いか と思 わ れ る。 M病 院 で は成 熟 新 生 児 が多 い こ とか ら 授 乳場 面 にか か わ る機 会 も多 く、授 乳 の 援 助 を通 して 育 児行 動 や 具 体 的 な育 児 不 安 が問 題 と して上 げ やす か った と いえ る。 これ らの ことか らKセ ンターで は受 け 持 った褥 婦 の 産 褥 日数 に長 短 が あ る こ と と、 目に見 え る異常 が多 い こ とか ら、 ど う して も現 れ て い る問 題 に着 目 しや す く、 正 常 な 経過 につ い て の 問題 を上 げ る こと が 少 な くな りが ちで はな い か と思 わ れ る。 そ こで 指導 上 の留 意 点 と して 正 常 な 産
褥 経 過 を促 す 援 助 や 、授 乳 につ い てで き るだ け機 会 を 多 く持 たせ 、 気 づ かせ る指 導 が 必 要 で あ る と思 われ る。 M病 院 で は正 常 な分 娩 ・産 褥経 過 を た ど る母 児 で あ って も、母 子 関 係 へ の援 助 や 児 の 不 安 が何 か しらあ る と思 わ れ るが 、 受 け持 ち期 間が 短 か った り、 授乳 場 面 だ け を通 して の関 わ りで あ る と見過 ご して しま う危 険性 が あ る こ とを念 頭 に 置 いて 、 学 生 に指 導 す る こ とが必 要 で はな い か と 考 え られ る。 3.2施 設 に共 通 して 不足 して い るの は発 達 課 題 の 母 親役 割 取 得 に 関す る援 助で 、 学 生 の中 に は実 母 へ の 依存 か ら母 子関 係 の不 安 が あ る と した もの 、上 の子 が い る こ とか ら兄 弟 関係 の 調 整 な ど、 そ れ ら し い ものが 上 が って い るが 、役 割 取 得 と し て 明確 に は して い な い。 ま と め 1.Kセ ン ターで 実 習 した学 生 は子 宮 復 古 、 母 乳 分 泌促 進 、 母 子 関係 や 退 院後 の 生活 指 導 を 上 げ て お り、 個 別 的 な問 題 の気 づ きが 多 い。 2.M病 院 で 実習 した 学生 は産 褥 の復 古 現 象 の促 進 を 問題 リス トに上 げて い るが 、 母 子 関係 や 退 院後 の生 活 指導 につ い て の気 づ き が少 な い。 3.母 性 看 護実 習 の 目標 に到 達 させ る に は2 施 設 の特 徴 に応 じた意 図 的 な指 導 が必 要 で あ る。 お わ りに 今 年 度 か ら開始 したハ イ リス ク施 設 で の母 性 看 護 実 習 につ い て問 題 リス トを用 いて検 討 したが 、 実 習 中途 で 行 った もので あ り、 ま た 問 題 リス トか らだ けで 実 習 全体 を評 価 す る こ とは不 十 分 で あ り、今 後 、 適切 な方 法 を 用 い て 検 討 した い。 しか し、 この研 究 の 結 果 か ら 指 導上 の留 意 点 が 明 らか に な ったの で 、 今 後 の 実 習指 導 に役 立 て て い きた い。 この研 究 を ま とめ る に当 り、 ご協 力 頂 いた 両 実 習施 設 の か た が た 、 並 び に諸 先 生 に 深 く 感 謝 致 します 。 参 考 文献 1)厚 生 省 健 康 政 策 局 看 護課 編 集 、 看 護教 育 カ リキ ュラ ム、 第一 法規 、1989 2)菅 谷 しず 子 ら、 母 性 看護 実 習 の 段 階 別実 習 の進 め方 、 看 護 展 望 、15(2)、1990