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N 式幼児運動イメージテストと乳幼児発達スケール(KIDS)の関連

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(1)理学療法学 第 47 巻第 3 号 247 ∼ 254 頁(2020 N 式幼児運動イメージテストと 年) KIDS の関連. 247. 短  報. N 式幼児運動イメージテストと乳幼児発達スケール(KIDS)の関連* 儀 間 裕 貴 1)# 儀間実保子 2) 浅 野 大 喜 3). 要旨 【目的】N 式幼児運動イメージテスト(以下,N 式テスト)と乳幼児発達スケールの各発達領域の関連性 を検討する。【方法】対象は 3 ∼ 6 歳の幼児 42 名および養育者とした。N 式テストからカード選択レベル (以下,絵カード課題)と姿勢変換レベル(以下,姿勢変換課題)の得点を算出した。養育者には乳幼児 発達スケールの回答を依頼し,児の発達全般(運動,言語,社会性など)を得点化した。N 式テストの得 点と月齢の相関,各発達領域の関連性を検討した。 【結果】N 式テストを完遂できた児は 32 名であった。 N 式テスト得点と月齢は有意に相関した。絵カード課題得点には,運動,言語(理解・表出),姿勢変換 課題得点には,月齢,運動,理解言語,社会性(対子ども・対成人)が有意に関連した。【結論】N 式テ ストの課題は,それぞれ異なる発達の側面と関連した。姿勢変換課題には対人的な社会性発達が関連し, 対人的なやりとりの経験が N 式テストにおける運動イメージに関与する可能性を示唆した。 キーワード 運動イメージ,発達,幼児期,社会性. 性や巧緻性などの姿勢制御や運動能力に関する問題に起. はじめに. 因していると考えられ. 7). ,中枢神経系の器質的障害によ.  近年,発達障害の代表疾患ともいえる自閉スペクトラ. る運動イメージの困難さや運動プランニングの問題との. ム症 / 自閉症スペクトラム障害,注意欠如・多動症など. 関連性も指摘されている. に,発達性協調運動症 / 発達性協調運動障害(develop-. や劣等感は二次的な社会性のつまずき(集団場面での不. mental coordination disorder:DCD)などの運動機能. 適応や友人関係の不成立)の一因となる可能性も考えら. 1)2). れ,発達障害を有する児に対して,理学療法士が運動機. また,社会性や実行機能・報酬系に関する認知機能の発. 能面に焦点をあて早期から積極的にかかわる必要性が増. 達が,協調運動(全般的協応性や微細運動)の発達と関. している。. 面の問題が高率に合併することが報告されている. 。. 3). 8‒10). 。運動に対する苦手意識. 連する可能性が示されている 。神経発達障害を有する.  発達障害児が呈する姿勢・運動機能障害について,そ. 児においては,歩行などの基本動作の獲得に大きな困難. の病態を評価する手法のひとつとして運動イメージ. さを示さない一方,全身の協調性を必要とする粗大運動. (Motor imagery)の評価が注目されている。運動イメー. 4). ,活動中. ジは,個別の運動または一連の動作の実行を心的に(思. における遊具や障害物への身体の接触,転倒,転落など. 考によって)シミュレートする動的なプロセスとして定. スキルや微細な運動制御の困難さを示すこと が多いことも報告されている. 5)6). 。これらは,発達障害. 児がもつ視覚や身体認識などの知覚に関する問題,平衡 *. Relationship between N-type Test and Kinder Infant Development Scale 1)鳥取大学 (〒 680‒8551 鳥取県鳥取市湖山町南 4‒101) Hirotaka Gima, PT, PhD: Tottori University 2)鳥取県看護協会 Mihoko Gima, PT: Tottori Nursing Association 3)日本バプテスト病院 Daiki Asano, PT, MS: Japan Baptist Hospital # E-mail: [email protected] (受付日 2019 年 8 月 8 日/受理日 2019 年 12 月 24 日) [J-STAGE での早期公開日 2020 年 4 月 8 日]. 義される. 11). 。運動イメージは幼児期から学童期にかけ. て顕著な発達を示すことが報告され. 12‒14). ,運動プラン. ニング,フィードフォワード制御,特に視覚情報がない 場合の空間における方向づけ,運動スキル学習の促進な どに重要であり. 15‒17). ,適応的な運動学習を可能とする. 脳内システムである内部(予測子)モデルにおいても重 要な役割を担っている. 18‒21). 。内部モデルが,児と外部. 環境との相互作用に基づいて絶えず更新されることを考 えれば,運動イメージの発達も児と外部環境の相互作 用,感覚運動経験,運動機能の成熟などと関連し,また,.

(2) 248. 理学療法学 第 47 巻第 3 号. 「口頭指示による絵カード選択レベル(絵カード選択課題)」の一例(立位) ∼ 課題実施の手順 ∼. ∼ 評点の手順 ∼ 課題実施. 1.基本姿勢の指示. 2.出題:2 段階の姿勢変化を口頭指示 「両脚を前後へ開きます」 「両手を真横へ上げます」. 30 秒以内に正解 (①を選択). 指示された姿勢変化の いずれかが不正解 (②③⑤を選択). 5点. 「3 点以上確定」として 同課題を再度実施. 30 秒以内に正解 (①を選択). 指示された姿勢変化の いずれかが不正解 (②③⑤を選択). 3.選択カード(5 枚)の指示. 4点. 【カードの内容】 ① :正解 ②③:指示された姿勢変化のうちいずれかが不正解 ④ :指示された姿勢の変化のいずれも不正解 ⑤ :指示に関連しない姿勢変化を含む不正解. 3点. 指示された姿勢変化の いずれも不正解 (④を選択). 30 秒以内に 回答がない. 同課題を再度実施. 指示された姿勢変化の いずれも不正解 (④を選択). 2点. 30 秒以内に正解 (①②⑤を選択). 30 秒以内に 回答がない. 1 つの姿勢変化のみ指示して 課題を再度実施 「両脚を前後へ開きます」. 不正解 (③④を選択). 30 秒以内に 回答がない. 4.カードの選択 1点. 0点. 5.評点 * 同様の方法・手順で計 5 課題(基本姿勢:立位 2 種類,四つ. い位,座位,背臥位)実施し,25 点満点で評点する. * 「口頭指示による姿勢変換レベル(姿勢変換課題) 」も同様の方法・手順で行われ, 「3.選択カード提示」 「4.カードの選択」の 部分において児自身の姿勢を変換させて(2 段階の姿勢変化の指示に見合った姿勢をとらせて)回答する形式となる. 図 1 N 式幼児運動イメージテストの手順. 自己の運動の視覚的イメージ化には他者との相互作用経. 側面を捉えているのかを検討し,ヒトにおける運動イ. 験,つまり自己と他者の運動の比較照合過程が関与する. メージの発達過程や諸機能との関連性を明らかにするこ. ことが示唆される. 22)23). 。. とは,発達障害児を対象とした理学療法アプローチを考.  運動イメージの評価法として,Sensory Integration and Praxis Test. 24). ,Test of Visual Imagery Control. 運動イメージの統御可能性テスト. ,. 26). (Controllability of. Motor Imagery Test:以下,CMI-T) ,Virtual Radial Fitts Task. 14). えるうえで有用な知見につながる。. 25). などが考案・開発されているが,特に幼児(6. 対象および方法 1.対象  対象は,研究協力に同意が得られた 3 ∼ 6 歳の幼児. 歳以下)を対象とした評価手法には明確なものがなく,. 46 名のうち,1)出生時に早産(在胎週数 37 週未満). 開発がもとめられている。本邦においては,幼児を対象. の既往がない,2)日常生活および園生活において言語. とした運動イメージの評価尺度として,CMI-T を応用. 理解・言語表出に関する問題の指摘や,発達の遅れに関. 27)28). (以下,N 式テ. する何らかの診断名等がないことが確認できた 42 名(男. スト)が新田らによって開発・提案され,その信頼性・. 児:23 名,女児:19 名,平均月齢:62.9 ± 10.2)およ. した N 式幼児運動イメージテスト 妥当性の検証が進められている. 29). 。本研究では,3 ∼ 6. びその養育者とした。. 歳児を対象に N 式テストを実施し,月齢との相関を検 討した。また,養育者に協力を得て発達全般に関する質. 2.運動イメージの評価. 問紙調査を実施し,児の運動機能やその他(言語や社会.  幼児に対する運動イメージの評価は,N 式テストを使. 性)の機能が運動イメージとどの程度関連しているのか. 用して実施した。N 式テストは,1)口頭指示による絵. を検討した。N 式テストが児の発達・機能のどのような. カード課題と 2)口頭指示による姿勢変換課題から構成.

(3) N 式幼児運動イメージテストと KIDS の関連. 表 1 N 式テストの課題. No.2:立位 No.3:四つ. 者に直接記入による回答を依頼・実施し,Type C で設. 課題. けられている 8 つの領域別得点(①運動:16 点,②操. 両脚を前後へ開き,両手を真横へ上げる. 作:16 点,③理解言語:16 点,④表出言語:16 点,⑤. 体を前へ傾け,両手を前へ伸ばす. 概念:16 点,⑥対子ども社会性:16 点,⑦対成人社会. 基本姿勢 No.1:立位. 27)28). 249. い位 顔をこちらに向け,片手を前へ伸ばす. 性:16 点,⑧しつけ:21 点)を算出した。記入漏れな. No.4:長座位. 両膝を曲げて,こちらを向く. どの欠損データがある場合には無効とし,集計・分析か. No.5:背臥位. 頭を上げて,両足を上げる. ら除外した。 4.統計解析. されている。N 式テストの一連の手順を図 1 に示す。絵.  1)N 式テストにおける絵カード課題・姿勢変換課題. カード課題では,まず対象児を椅座位とし,4 つの基本. の得点と児の月齢の相関について,Pearson の積率相関. 姿勢(立位・四つ. い位・長座位・背臥位)のうち 1 つ. 係数を用いて検討した。2)得点の性別間および課題間. を口頭でイメージさせ,その後に 2 段階の姿勢変化を口. の差を検討するため,分散分析(性別(2 水準)×課題(2. 頭で指示する(表 1) 。児はこの指示に対して,自身の. 水準))を用いて比較した。3)絵カード課題,姿勢変換. 身体を動かすことなく与えられた姿勢変化をイメージ. 課題の得点をそれぞれ従属変数とし,月齢および KIDS. し,提示される絵カードの中から,指示に対応した最終. の各領域得点を独立変数とした重回帰分析(強制投入. 的な姿勢を示していると考えられるものを 1 つ選択す. 法)を行い,関連性を検討した。統計処理には SPSS. る。提示される絵カードは,①正解,②指示された姿勢. (ver24.0,IBM)を使用した。. 変化のうちいずれかが不正解(2 枚),③指示された姿 勢変化のいずれも不正解,④指示に関連しない姿勢変化. 5.倫理的配慮. を含む不正解の計 5 枚となっており,1回で正答できれ.  本研究の実施にあたり,鳥取大学(29-04)の倫理委. ば 5 点が与えられ,正答までに要した援助のレベルに. 員会承認を得た。また,対象児の保護者には情報の取り. よって 0 ∼ 4 点が与えられる。この課題は 5 問設けられ. 扱いについて説明し,署名による同意を得て実施した。. ており,絵カード課題の得点は 25 点満点で評価される。 姿勢変換課題では,絵カード課題と同様の基本姿勢を実. 結   果. 際に児にとらせ,2 段階の姿勢変化を口頭で指示し,最. 1.N 式テストの実施. 終的な姿勢をイメージさせる。その後,イメージした姿.  N 式テストを実施し,絵カード課題および姿勢変換課. 勢を実際に自身の身体で示すよう指示し,児が示した姿. 題とも完遂でき採点を行えた児は 32 名であった。N 式. 勢に基づいて採点する。絵カード課題と同様に,1回で. テストを完遂できなかった児は,5 歳児 2 名,4 歳児 6 名,. 正答できれば 5 点,正答までに要した援助のレベルに. 3 歳児 2 名であり,検査途中で回答を諦めてしまう児が. よって 0 ∼ 4 点が与えられ,5 問実施し 25 点満点で評. 多かった。N 式テストと月齢および KIDS の関連につい. 価される。N 式テストでは,絵カード課題が自己の客観. ての検討は,N 式テストを完遂した 32 名(男児:20 名,. 化イメージの成熟度を反映しており,その成熟度が未熟. 女児:12 名)を対象とした。. な場合に姿勢変換課題の実施が必要となる. 27). 。検査者. は 1 名の理学療法士とし,個室にて対面式で実施した。. 2.N 式テストと月齢の関連,N 式テストの性別間・課. 3.発達全般の評価.  N 式テストの絵カード課題および姿勢変換課題の得点.  児の発達全般に対する評価は,養育者への質問紙調査. と月齢,絵カード課題得点と姿勢変換課題得点の相関を. にて行った。評価法には乳幼児発達スケール(kinder. 図 2 に示す。絵カード課題得点(r=0.48,p<0.01)と姿. 題間の比較. 30). infant development scale:以下,KIDS) の Type C(3. 勢変換課題得点(r=0.55,p<0.01)は,それぞれ月齢と. 歳 0 ヵ月∼ 6 歳 11 ヵ月児用)を使用した。KIDS は乳. 有意な相関を認めた。. 幼児の心身発達,特に精神機能にかかわる領域の発達に.  分散分析の結果,絵カード課題得点と姿勢変換課題得. 焦点をあてて開発された質問紙検査法であり,各設問項. 点の平均値において,性別間(df=1,F=0.10,p=0.75). 目に対する回答(○=明らかにできるもの,過去におい. および課題間(df=1,F=1.56,p=0.22)に有意な差は. てできたもの,やったことはないがやらせればできるも. 認 め ず, 交 互 作 用 も 認 め な か っ た(df=1,F=0.91,. の,×=明らかにできないもの,やったことがないので. p=0.34) (図 3)。. わからないもの)から,発達年齢,発達指数,領域別の 得点を算出することができる。本研究では,主たる養育.

(4) 250. 理学療法学 第 47 巻第 3 号. 図 2 N 式幼児運動イメージテスト得点と月齢の相関. 考   察  本研究では,42 名の 3 ∼ 6 歳児とその養育者を対象 とし,N 式テストと月齢および全般的な発達との関連性 を検討した。本研究において運動イメージの評価に使用 した N 式テストは,新田らによって幼児向けに開発され た手法であり. 27)28). ,西田らによって提案された CMI-T 26). が応用されている。西田らは,CMI-T について一般的 には絵画的なイメージとして捉えられやすいとし,「過 去経験(知覚的,感覚的,感情的経験など)によって, 外界の事物の知覚と類同的に習得,保持された情報が, 自己の記憶を手がかりとして意識的なレベルで想起ある いは再生されたもので,絵画的な特性をもつもの」とし 図 3 N 式幼児運動イメージテスト得点の性別間・課題間 の比較. ている. 26)31). 。CMI-T は, 「描かれた運動パターンのイ. メージを,指示にしたがって付加変換,再構成する能力」 と定義された運動イメージの統御可能性を評価する手法 であり,この統御可能性は,運動の視覚的な要素のみな. 3.N 式テストと KIDS 項目の関連. らず,運動に伴って生じる筋感覚的な要素や自己の主体.  絵カード課題,姿勢変換課題の得点をそれぞれ従属変. 的な表象も含むとしている。また,記憶の保持,変換の. 数,KIDS の各領域得点を独立変数とした重回帰分析. 正確性と関連し,心的回転(mental rotation)などとも. (強制投入法)の結果を表 2・3 に示す。絵カード課題得 点を従属変数とした分析では,重回帰式の適合度は分散 2. 密接に関連することが示唆されている. 26). 。.  本研究において,N 式テストの絵カード課題(r=0.48,. 分析:p<0.01,調整済み R =0.74 であり,有意な独立変. p<0.01) ,姿勢変換課題(r=0.55,p<0.01)の得点は,そ. 数 と し て 運 動(β =0.69,p=0.03), 理 解 言 語(β =0.99,. れぞれ月齢と有意な正の相関を認め,幼児期における運. p<0.01) ,表出言語(β =‒0.46,p=0.047)が採択された。. 動イメージ統御可能性の発達(成熟度)を反映している. また,姿勢変換課題得点を従属変数とした分析では,重. ことが示唆された。新田らは,姿勢変換課題に比して絵. 2. 回帰式の適合度は分散分析:p<0.01,調整済み R =0.77. カード課題の難易度が高い(より高い自己の客観化イ. であり,有意な独立変数として月齢(β =0.57,p<0.01),. メージの成熟度を要する)としているが. 運 動(β =0.70,p=0.02), 理 解 言 語(β =0.45,p=0.03),. 性別および課題を要因とした分散分析の結果,両要因と. ,対成人社会性(β = 対子ども社会性(β =‒0.69,p<0.01). もに有意な主効果を認めなかった。課題間の難易度の差. 0.53,p<0.01)が採択された。. に関しては,今後,運動イメージ統御可能性に顕著な未. 27). ,各得点の. 熟さを呈すると考えられる発達障害児などを対象として.

(5) N 式幼児運動イメージテストと KIDS の関連. 251. 表 2 N 式テスト絵カード課題得点を従属変数,月齢・KIDS 各領域得点を独立変数とした重回帰分析 独立変数. 偏回帰係数 B(95%信頼区間). 標準化偏回帰係数 β. p値. VIF. 定数. 11.27 ( 4.41 ∼ 18.13 ). <0.01. 月齢. 0.07 ( ‒0.03 ∼ 0.17 ). 0.29. 0.137. 2.12. 運動. 0.48 ( 0.07 ∼ 0.89 ). 0.69. 0.03. 4.81. 操作. ‒0.21 ( ‒0.70 ∼ 0.27 ). ‒0.27. 0.36. 5.24. 理解言語. 1.36 ( 0.78 ∼ 1.94 ). 0.99. <0.01. 2.44. 表出言語. ‒0.60 ( ‒1.19 ∼ ‒0.01 ). ‒0.46. 0.05. 2.86. 概念. ‒0.08 ( ‒0.57 ∼ 0.41 ). ‒0.06. 0.75. 2.17. 対子ども社会性. ‒0.41 ( ‒0.86 ∼ 0.04 ). ‒0.46. 0.07. 3.45. 対成人社会性 しつけ. 0.21 ( ‒0.13 ∼ 0.54 ). 0.22. 0.21. 1.66. ‒0.28 ( ‒0.63 ∼ 0.08 ). ‒0.33. 0.12. 2.38. 2 2 重相関係数 R=0.86,決定係数 R =0.74,調整済み R =0.59,分散分析 p<0.01 VIF: variance inflation factor. 表 3 N 式テスト姿勢変換課題得点を従属変数,月齢・KIDS 各領域得点を独立変数とした重回帰分析 独立変数. 偏回帰係数 B(95%信頼区間). 標準化偏回帰係数 β. p値. VIF. 定数. 9.23 ( 0.02 ∼ 18.44 ). 0.05. 月齢. 0.20 ( 0.07 ∼ 0.33 ). 0.57. <0.01. 2.12. 運動. 0.69 ( 0.14 ∼ 1.24 ). 0.70. 0.02. 4.81. 操作. 0.05 ( ‒0.60 ∼ 0.69 ). 0.04. 0.88. 5.24. 理解言語. 0.88 ( 0.10 ∼ 1.65 ). 0.45. 0.03. 2.44. 表出言語. ‒0.44 ( ‒1.23 ∼ 0.36 ). ‒0.24. 0.26. 2.86. 概念. ‒0.47 ( ‒1.13 ∼ 0.18 ). ‒0.27. 0.15. 2.17. 対子ども社会性. ‒0.87 ( ‒1.48 ∼ ‒0.27 ). ‒0.69. <0.01. 3.45. 0.72 ( 0.27 ∼ 1.17 ). 0.53. <0.01. 1.66. ‒0.37 ( ‒0.85 ∼ 0.10 ). ‒0.31. 0.12. 2.38. 対成人社会性 しつけ. 重相関係数 R=0.88,決定係数 R2=0.77,調整済み R2=0.64,分散分析 p<0.01 VIF: variance inflation factor. 検討する必要がある。. ワーキングメモリとは異なる視空間性ワーキングメモリ.  絵カード課題の得点を従属変数,月齢および KIDS の. を必要とする課題と考えられる。このため,言語能力が. 各領域得点を独立変数とした重回帰分析の結果では,有. 高い児ほど,課題達成において言語性ワーキングメモリ. 意な独立変数として運動,理解言語,表出言語の領域得. を使用した言語的思考に依存しており,これが視覚イ. 点が採択され,幼児期の運動イメージ統御可能性の成熟. メージの操作に干渉した可能性が考えられた。実際に,. 度に,運動,言語の機能が関与していることが示唆され. 絵カード課題中の口頭指示(課題提示)に対して,「こ. た。この結果は,運動能力,言語理解能力が高いほど絵. ちらってどっち?」,「真横ってどこ?」などの質問があ. カード課題の得点が高く,表出言語能力が絵カード課題. り,課題の達成のために表出言語による情報をもとめる. の得点に対して負の効果をもつことを示した。運動イ. 児が多く見られた。. メージにかかわる神経基盤は,実際の運動生成にかかわ.  一方,姿勢変換課題の得点を従属変数,月齢および. る神経基盤(前頭前皮質,補足運動野,小脳,後頭頂皮. KIDS の各領域得点を独立変数とした重回帰分析の結果. 32)33). 。また,課題提示が. では,有意な独立変数として月齢,運動,理解言語に加. すべて口頭指示によって与えられる N 式テストの特性. えて,対子ども社会性および対成人社会性の領域得点が. を考慮すると,絵カード課題における運動および理解言. 採択された。これは,月齢,粗大運動能力,言語の理解. 語の機能との有意な関連性は妥当な結果と考えられた。. 力が高く,対成人との社会性が高いほど運動イメージ統. 表出言語の効果については,絵カード課題は視覚イメー. 御可能性の成熟度が高く,対子どもの社会性が高いほど. ジの課題であり,ワーキングメモリのなかでも言語性. 運動イメージ統御可能性の成熟度が低くなることを示唆. 質など)と強く関連している.

(6) 252. 理学療法学 第 47 巻第 3 号. している。絵カード課題と同様に,姿勢変換課題に回答. 示唆された。また,本研究においては運動イメージの評. するためには言語指示を理解し,さらに四肢の運動を. 価得点に言語機能が強く関連することも示唆され,今後. 使って目標とする姿勢を再現する必要があるため,これ. は言語での指示理解に依存しない評価方法も検討してい. らの能力との有意な関連性は妥当な結果といえる。ま. く必要性があると考えられた。. た,対成人社会性が運動イメージに与える影響について は,成人とやりとり(コミュニケーション)することが. 結   論. 得意な児ほど,N 式テストを手際よく進めて回答できた.  幼児 42 名とその養育者を対象とし,N 式テストの得. ことを示している。対成人の模倣能力は運動機能と有意. 点と月齢および各発達領域(言語や社会性)の機能との. 34). ,対成人社会性に. 関連性について検討した。N 式テストにおける二種類の. 模倣能力が関与するならば,運動能力に加え,模倣に関. 課題(絵カード課題・姿勢変換課題)は,それぞれ異な. する機能も運動イメージの統御可能性に影響を及ぼす可. る発達・能力の側面と関連していることが示唆された。. 能性が考えられた。対子ども社会性の得点は,対成人社. 特に,姿勢変換課題の得点には,運動や言語の機能に加. 会性の結果とは逆に,運動イメージとの負の関連が示さ. えて対人的な社会性の機能が関与していることが示さ. れた。子ども同士の社会性と,成人を相手にした際の社. れ,対人的なやりとり経験が N 式テストの成績に寄与. 会性は質的に異なると考えられ,日常的に共感を基盤と. している可能性を示唆した。. に関連することが報告されており. した情動的なやりとりの多い対子ども社会性の高さが, 成人の言語指示にしたがい冷静に考えて回答しなければ ならない状況において,負の効果をもつ可能性が示唆さ. 利益相反  開示すべき利益相反はない。. れた。今回,N 式テストの絵カード課題と姿勢変換課題 に児の能力の異なる側面が関連していたことは,これら. 謝辞:本研究の実施にあたり,データ計測にご協力をい. 2 つの課題は類似しているが一部異なる能力を測定(反. ただきました鳥取大学附属幼稚園の教諭の皆さま,研究. 映)していることを示唆した。本研究でもっとも興味深. にご参加いただきました対象者の皆さまに深謝いたし. かった点は,姿勢変換課題において,一見すると運動と. ます。. 直接的な関係性が薄そうな対人的な社会性が関与してい たことである。これは,発達・成長の過程におけるジェ スチャーなどの身体を通した対人的やりとり経験が,自 己の運動イメージの発達に関与している可能性を示唆し ている。児の運動発達を促進するリハビリテーションお よび理学療法の現場において,運動の反復的な練習だけ でなく,対人的な相互作用を含めた自他の身体の比較照 合経験も考慮して介入することが重要と考えられた。  本研究において,N 式テストを完遂できた児は 42 名 中 32 名(76.2%) (年齢別:6 歳児 10 名(100%) ,5 歳児 10 名(83.3%) ,4 歳児 7 名(53.8%) ,3 歳児 5 名(71.4%) ) であった。これまでの研究において N 式テストの完遂 率は報告がないため,本研究における完遂率の妥当性を 言及することは難しいが,特に 5・6 歳児にとっては安 定して実施が可能な評価手法であることが示唆された。 3・4 歳児においては「できない」 ,「わからない」と訴 えて課題を途中で止めてしまう児も多かった。これは, N 式テストの評点が課題に誤答する度に減点されていく 方式(低い点数(0 ∼ 1 点)を確定させるまでに 3 度課 題が実施される)であることが影響していると考えら れ,課題が難しいと感じる児にとっては,回答へのモチ ベーションを低下させてしまう可能性が示唆された。今 後,3・4 歳児や,運動イメージがより未熟と考えられ る発達障害児などを対象に実施していくうえで,課題の 内容や検査実施の流れ,評点方式などを検討する必要が. 文  献 1)Goulardins JB, Rigoli D, et al.: Attention deficit hyperactivity disorder and developmental coordination disorder: two separate disorders or do they share a common etiology. Behav Brain Res. 2015; 292: 484‒492. 2)Sumner E, Leonard HC, et al.: Overlapping phenotypes in autism spectrum disorder and developmental coordination disorder: a cross-syndrome comparison of motor and social skills. J Autism Dev Disord. 2016; 46(8): 2609‒2620. 3)Miyachi T, Nakai A, et al.: Evaluation of motor coordination in boys with high-functioning pervasive developmental disorder using the Japanese version of the developmental coordination disorder questionnaire. J Dev Phys Disabil. 2014; 26(4): 403‒413. 4)Higashionna T, Iwanaga R, et al.: Relationship between motor coordination, cognitive abilities, and academic achievement in Japanese children with neurodevelopmental disorders. Hong Kong J Occup Ther. 2017; 30(1): 49‒55. 5)島谷康司,田中美吏,他:くぐり動作における身体接触の 実証的研究─発達障害児は物にぶつかることが多い─.理 学療法科学.2008; 23(6): 721‒725. 6)伊藤秀志:遊びの相手や内容が幼児の体力・運動能力に及 ぼす影響について─子どもの体力・運動能力の変化,発 育・発達の特性等からの考察─.静岡総合研究機構情報誌. 2008; 92: 51‒62. 7)Gomez A, Sirigu A: Developmental coordination disorder: core sensori-motor deficits, neurobiology and etiology. Neuropsychologia. 2015; 79: 272‒287. 8)McInnes K, Friesen C, et al.: Specific brain lesions impair explicit motor imagery ability: a systematic review of the evidence. Arch Phys Med Rehabil. 2016; 97(3): 478‒489..

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(8) 254. 理学療法学 第 47 巻第 3 号. 〈Abstract〉. Relationship between N-type Test and Kinder Infant Development Scale. Hirotaka GIMA, PT, PhD Tottori University Mihoko GIMA, PT Tottori Nursing Association Daiki ASANO, PT, MS Japan Baptist Hospital. Purpose: This study aimed to examine the relationship between N-type test and each developmental domain of the Kinder Infant Development Scale (KIDS). Methods: This study included 42 children aged 3-6 years along with their parents. The N-type motor image test for toddlers (N-test) was used to evaluate motor imagery, and scores were calculated for selecting picture cards representing posture (card task) and for change in posture (postural task). Parents answered questions from the KIDS (Type C), and each subscale was scored (etc. physical-motor, receptive language, expressive language, social relationships with children, and social relationships with adults). These scores were then used to examine the relationship between the N-test scores and the development of each domain. Results: 32 children completed the N-test. The scores of the N-test and age (in months) showed a significantly positive correlation. The scores for the card task were significantly related to the scores for physical-motor, receptive language, and expressive language from the KIDS. The scores for the postural task were significantly related to the age (in months) as well as scores for physical-motor, receptive language, social relationships with children, and social relationships with adults from the KIDS. Conclusion: Our results suggest that the tasks of the N-test are associated with the development of different domains. Postural tasks are related to social development, and it is hypothesized that interpersonal communication experience may be involved in the function of motor imagery. Key Words: Motor imagery, Development, Childhood, Sociality.

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参照

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