大阪市耐震改修促進計画
平成 28 年 3 月
目 次
は じ め に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 １．計画の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 １−１．計画の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 １−２．計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 １−３．計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 １−４．対象建築物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ２．現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ２−１．現 状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ２−２．課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 ３．計画の目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 ３−１．民間の住宅及び多数の者が利用する建築物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・10 ３−２．市設建築物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 ４．基 本 方 針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 ５．今後取り組むべき施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 ５−１．民間の住宅及び多数の者が利用する建築物・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 ５−２．市設建築物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 お わ り に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 用 語 解 説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24は じ め に
平成 7 年の阪神・淡路大震災、さらに平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災は、大規模地震の恐ろしさと地震災害に対する備え の重要性を教訓として与えました。現在、大阪市をはじめ関西地方には、内陸活断層による上町断層帯地震や海溝型の南海トラフ地 震など、近い将来、市域に大きな影響を及ぼすと考えられる地震の発生が具体的なリスクとして想定されています。 大阪市では、地震災害への対策として建築物の耐震化の促進を重要な課題としてとらえ、平成 20 年 3 月に「大阪市耐震改修促進 計画」を策定し、普及啓発や耐震診断＊・耐震改修＊に対する補助＊など耐震化に対する様々な取り組みを進めてきました。こうした 取り組みにより市内の建築物の耐震化は着実に進んできているものの、依然として耐震性の不十分な住宅・建築物が多く残されてお り、耐震化の促進は決して手を緩めることのできない課題となっています。 一方、国においては、平成 25 年 11 月に南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の切迫性から、平成 7 年に制定した「建築物の耐震 改修の促進に関する法律＊」（以下「耐震改修促進法」という。）を改正し、不特定多数の者が利用する大規模建築物等の所有者に対す る耐震診断の義務付けを行うなど、規制の強化が図られています。また、大阪府においては、平成 28 年 1 月に、この法改正を受けて 平成 18 年に策定した計画を改定し、「住宅建築物耐震 10 ヵ年戦略・大阪＊」（以下「府計画」という。）として今後の施策方針が示さ れたところです。 こうした状況を踏まえ、大阪市における更なる耐震化の促進に向け、今年度までを計画期間としていた「大阪市耐震改修促進計画」 を改定し、新たな目標の設定とその実現をめざした取り組みの方向性を示すものとして本計画を定めます。 （右肩に「＊」を付した用語については、P24 以降で解説をしています。）１．計 画 の 目 的
１−１．計画の目的
・本計画は、地震による被害から市民の生命と財産を保護するために、市内の住宅・建築物について、耐震診断・耐震改修を計画的・ 総合的に促進するための指針として定めます。１−２．計画の位置付け
・国は、平成 25 年 11 月の耐震改修促進法の改正に伴い、「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針＊」（以下 「国の基本方針」という。）を改正しています。大阪府は、耐震改修促進法に基づき、国の基本方針を勘案して、平成 28 年 1 月に 従前の計画を改定しています。 ・本計画は、耐震改修促進法に基づき、国の基本方針、府計画等を踏まえて、前計画を改定したものです。 ・また、本市域の震災に係る災害予防、災害応急対策等の事項を定めた「大阪市地域防災計画」や防災・減災に関して基本理念等を 定めた「大阪市防災・減災条例」、市設建築物の総合的かつ計画的な維持管理を進めるうえでの基本的な方針を定めた「大阪市公共 施設マネジメント基本方針」、市営住宅ストックを総合的に活用するために定められた「大阪市営住宅ストック総合活用計画」と整 合を図ります。１−３．計画の期間
・本計画の計画期間は、平成 28 年度から平成 37 年度までの 10 年間とします。 ・計画期間の中間時点（平成 32 年度）を目途に、本計画に基づく施策の実施状況及び耐震化の目標の達成状況について検証を行うこ ととします。 ・また、検証の結果、必要に応じて目標等を見直すこととします。１−４．対象建築物
・新耐震基準＊導入以前（昭和56 年5 月以前）に建築された建築物などを対象とし、とりわけ、生活の基盤となる「民間住宅」や、多くの 市民が利用する「多数の者が利用する民間建築物＊」、「市設建築物」を重要な対象建築物とします。 【 国 】 ・建築物の耐震改修の促進に関する法律 ・建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針（国土交通省） ・南海トラフ地震防災対策推進基本計画（内閣府）等 【 大阪府 】 ・住宅建築物耐震 10 ヵ年戦略・大阪 （大阪府耐震改修促進計画） 【 大阪市 】 ・大阪市地域防災計画 ・大阪市防災・減災条例 ・大阪市公共施設マネジメント基本方針 ・大阪市営住宅ストック総合活用計画大阪市耐震改修促進計画
大阪市耐震改修促進計画の位置付け２．現 状 と 課 題
２−１．現 状
（１）民間建築物 ① 民間住宅 ・前計画では、平成 27 年における民間住宅（戸建住宅、長屋、共同 住宅（分譲・賃貸）を含む全ての民間住宅）の耐震化率の目標を 90％ として、耐震化の促進に取り組んできました。 ・耐震化率は、平成 27 年推計で約 85％となっています。 ・前計画当初（平成 19 年）の約 77％より約 8 ポイント上昇しました が、目標としていた 90％を約 5 ポイント下回っています。 257,960 220,000 188,900 848,400 941,000 1,040,000 76.7% 81.1% 84.6% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 110% 0 250,000 500,000 750,000 1,000,000 1,250,000 1,500,000 平成19年 (2007年) 平成23年 (2011年) 平成27年 (2015年) 耐震化率 居 住 の あ る 住 宅 数 （戸） 耐 震 化 率 （％） 耐震性の 不十分な 住 宅 住宅総数 約123万戸 住宅総数 約116万戸 住宅総数 約111万戸 耐震性 のある 住 宅 23.3% 19.9% 15.4% 民間住宅の耐震化の現状（平成 27 年推計） （単位：戸） 民間住宅の耐震化率の推移（平成 19 年∼27 年） 住宅・土地統計調査＊から推計 住宅・土地統計調査＊から推計 A B C D E=C-D F=B+D G=F/ A 1,228,900 910,900 318,000 129,100 188,900 1,040,000 84.6 % 木造戸建 268,600 150,700 117,900 20,400 97,500 171,100 63.7 % 共同住宅等 960,300 760,200 200,100 108,700 91,400 868,900 90.5 % 注１：｢木造戸建｣とは、木造及び防火木造の戸建住宅 注２：｢共同住宅等｣とは、共同住宅、長屋、非木造戸建、その他の合計 民間住宅 総住宅数 耐震性 のある 住 宅 平成27年 耐震化率 新耐震 基準以降 (昭和57年 以降) 新耐震 基準以前 (昭和56年 以前) 耐震性を 満たす 住 宅 耐震性の 不十分な 住 宅② 多数の者が利用する民間建築物等 ・前計画では、平成 27 年における、学校、病院、ホテル等で一定規模 以上の多数の者が利用する民間建築物等＊の耐震化率の目標を 90％ として、耐震化の促進に取り組んできました。 ・耐震化率は、平成 27 年推計で約 91％となっています。 ・前計画当初（平成 19 年）の約 79％より約 12 ポイント上昇し、目標 としていた 90％を約 1 ポイント上回っています。 7,014 5,110 3,115 26,419 28,183 29,965 79.0% 84.7% 90.6% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 110% 0 10,000 20,000 30,000 40,000 平成19年 (2007年) 平成23年 (2011年) 平成27年 (2015年) 耐震化率 建築物総数 約33,100棟 建築物総数 約33,400棟 建築物総数 約33,300棟 耐 震 化 率 （％） 耐震性の 不十分な 建築物 耐震性 のある 建築物 21.0% 15.3% 9.4% 多 数 の 者 が 利 用 す る 民 間 建 築 物 等 （棟） 耐 震 化 率 （％） 多数の者が利用する民間建築物等の耐震化の現状（平成 27 年推計） 多数の者が利用する民間建築物等の耐震化率の推移 （平成 19 年∼27 年） （単位：棟） A B C D E=C-D F=B+D G= F/A 33,080 25,791 7,289 4,174 3,115 29,965 90 .6% 多数の者が利用する 民間建築物等 建築物 総 数 耐震性 のある 建築物 平成 27年 耐震 化率 新耐震 基準以降 (昭和57年 以降) 新耐震 基準以前 (昭和56年 以前) 耐震性を 満たす 建築物 耐震性の 不十分な 建築物
（２）市設建築物 ① 災害対策施設等 （耐震化） ・市設建築物には、災害対策の指揮・情報伝達の中枢拠点となる区役所や、消火活動の拠点となる消防署、及び避難所に指定されて いる小中高等学校等があります。こうした施設をはじめ、災害時に重要な役割を担う市設建築物を、本市では災害対策施設等＊と 位置づけています。 ・平成 20 年 3 月に策定した「市設建築物耐震改修計画」に基づき、耐震基準＊を満たしていない災害対策施設等について、平成 27 年度までの完了をめざして、計画的に耐震化を推進してきました。 ・これまでの取り組みにより、災害対策施 設等の耐震化率は、「市設建築物耐震改 修計画」の当初において約 83％でした が、平成 27 年度末には約 99％となり、 耐震基準を満たしていない施設（未診断 の施設を含む。）は、計画当初の 729 棟 から、平成 27 年度末には 40 棟となりま す。 災害対策施設等の耐震化率の推移 3,463 3,607 3,726 3,822 3,861 3,901 3,683 3,712 3,693 729 587 454 317 270 221 163 103 40 82.6％ 86.0％ 89.1％ 92.3％ 93.5％ 94.6％ 95.8％ 97.3％ 98.9％ 0 20 40 60 80 100 120 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 平成19年度 (2007年度) 4,192棟 平成20年度 (2008年度) 4,194棟 平成21年度 (2009年度) 4,180棟 平成22年度 (2010年度) 4,139棟 平成23年度 (2011年度) 4,131棟 平成24年度 (2012年度) 4,122棟 平成25年度 (2013年度) 3,846棟 平成26年度 (2014年度) 3,815棟 平成27年度 (2015年度) 3,733棟 耐震化率 災 害 対 策 施 設 等 （棟） 耐 震 化 率 （％） [見込] 耐震性 のある 施設 耐震性の 不十分な 施設等
（特定天井脱落対策） ・平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災では、体育館、劇場、ホールなどの大規模空間を有する建築物の天井の脱落被害が多く見 られました。 ・これを受け、建築基準法施行令が改正され、新築の建築物等の特定天井＊について、脱落防止の観点から規制が強化されました。 ・本市では、施設の安全・安心を確保するため、新築に加えて、既存の市設建築物についても特定天井脱落対策に取り組むこととし、 平成 26 年度から、「大阪市地域防災計画」に防災活動拠点として位置づけられた、学校施設をはじめとする災害時に重要な機能を 果たす施設の特定天井脱落対策に着手しています。 ・学校施設については、特定天井に加えて、一定規模以上の吊り天井等（特定天井を含む 555 箇所）の脱落対策を実施し、平成 27 年 度で全ての対策を完了します。 ・また、災害時避難所や庁舎等 16 施設で特定天井脱落対策を実施しています。 ② 市営住宅 ・市営住宅については、前計画を受け、各住棟の補 強方法の検討などを進め、平成 22 年度以降、費 用対効果も考慮して、耐震スリット＊の設置による 一定の耐震性能を確保するための段階的な改修を 行うとともに、平成 23 年度からは、鉄骨ブレー ス＊の設置等による本格的な改修も進め、合わせて 149 棟について耐震改修を実施してきました。 ・これまでの建替えや耐震改修により、耐震基準 を満たしていない住棟（既に建替と判定されて いる住宅は除く。）は、平成 27 年 9 月末時点で 約 320 棟となっています。 市営住宅建設年代別耐震性棟数 （単位：棟） 昭和40年度以前 (1965年度以前) 昭和41∼45年度 (1965∼1969年度) 昭和46∼50年度 (1970∼1974年度) 昭和51∼56年度 (1975∼1981年度) 昭和57年度以降 (1982度以降) 総計 20 176 178 261 781 1,416 36 139 80 67 0 322 (B) 0.3≦Is＜0.6 36 137 79 67 0 319 (C) Is＜0.3 0 2 1 0 0 3 56 315 258 328 781 1,738 注１：｢Is｣は構造体の耐震性能を表す指標 平成27年9月末時点 (B)0.3≦Is＜0.6 震度6∼7程度の規模の地震に対して倒壊、又は崩壊する危険性がある (C)Is＜0.3 震度6∼7程度の規模の地震に対して倒壊、又は崩壊する危険性が高い 注２：大阪市営住宅ストック総合活用計画(平成19年)で既に建替と判定されている住宅を除く 注３：平成27年8月1日に府から移管された住宅を含む 現行耐震基準未満 現行耐震基準以上 (A) Is≧0.6 総 計 ※災害対策施設等の耐震化率等は、平成 28 年 3 月末時点の見込み。
２−２．課 題
（１）民間建築物 ① 建物所有者の耐震改修費用の負担感 ・地震に対する安全性を高める耐震改修工事は、内壁や床等の一部を撤去しながら、筋交い等の耐震壁の設置や基礎の増し打ちなど 構造躯体を補強する工事であり、多額の費用が必要となります。 ・本市の耐震改修工事費補助を利用した戸建住宅等の工事費の平均額は、約 220 万円となっており、建物所有者にとって、耐震改修 工事に要する費用負担が建築物の耐震化を進めるうえで課題になっているといえます。 ・また、平成 27 年 6 月に市民を対象に実施した「住宅の耐震診断・耐震改修工事に関する市政モニターアンケート調査」（以下「市 民アンケート」という。）においても、耐震改修工事を実施しない理由として、「費用がかかる」と回答した人が最も多くなってい ます。 ② 耐震化の合意形成の難しさ ・マンションや長屋等は、一棟の建物を区分所有者が所有していることが多く、耐震改修や建替えを行うためには、区分所有者の合 意が必要となります。しかし、年齢や経済状況など区分所有者の置かれた立場は様々であり、耐震改修や建替えに対する考えがま とまりにくい状況にあります。 ・マンションや長屋等の建物所有者にとって、耐震化の合意形 成の難しさが建築物の耐震化を進めるうえで課題になって いるといえます。 ・また、市民アンケートでは、耐震改修工事を実施しない理由 として、「費用がかかる」に続いて、「マンションや長屋等で 合意形成が難しい」と回答した人が多くなっています。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 費用がかかる ﾏﾝｼｮﾝや長屋等で合意形成が難しい 誰に頼めば良いかわからない どのような効果があるのか理解できない 時間がかかる 引越し・仮住まいが必要 その他 特にない ｻﾝﾌﾟﾙ数 ：365件 回答方式：複数回答 耐震改修工事を実施しない理由（平成 27 年度・市民アンケート）③ 建物所有者の耐震化に関する知識・情報の不足 ・被害の大きな地震が発生した時には、市民の耐震化の意識が高まりますが、その後の時間の経過とともに薄れていく傾向にありま す。本市の耐震改修の補助利用件数を見ると、東日本大震災発生直後の平成 23 年度には約 200 件でしたが、平成 24 年度以降は毎 年 150 件前後となっており、減少傾向にあります。 ・また、市民アンケートでは、耐震診断や耐震改修工事に対する補助制度の認知状況について、「制度そのものを知らない」と回答し た人が約 6 割と多くなっており、補助制度の普及啓発が、市民のもとへ効果的に伝わっていない状況にあります。 ・建物所有者の耐震化に係る知識や情報が十分に伝わってい ないことが、所有者の耐震化への関心や動機づけにつなが っていないと考えられ、建築物の耐震化を進めるうえで課 題になっているといえます。 ④ 改正された耐震改修促進法への対応 ・切迫する南海トラフ巨大地震や首都直下地震への対策として、平成 25 年に耐震改修促進法が改正され、耐震診断義務付け対象建 築物＊の診断実施・診断結果の公表、耐震性に係る表示制度といった措置が定められました。 ・建築物の耐震化を促進するために、こうした措置を的確に実施する必要があります。 （２）市設建築物 ① 災害対策施設等 ・残る 40 棟の耐震化を早急に進めるとともに、引き続き、特定天井脱落対策を推進する必要があります。 ② 市営住宅 ・耐震基準を満たしていない住棟（既に建替と判定されている住宅は除く。）について、耐震化を進める必要があります。 耐震診断・耐震改修工事に係る補助制度の認知状況（平成 27 年度・市民アンケート） （平成 27 年度市民アンケート） 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 制度そのものを知らない 制度は知っているが内容はわからない 制度を知っており内容も理解している ｻﾝﾌﾟﾙ数 ：604件 回答方式：単純回答
３．計 画 の 目 標
３−１．民間の住宅及び多数の者が利用する建築物
本計画における耐震化率の目標を、国の基本方針及び府計画に準じて定めます。３−２．市設建築物
民 間 住 宅 耐震化率を平成 37 年までに 95％ 多数の者が利用する民間建築物 耐震化率を平成 32 年までに 95％ 災害対策施設等 （耐震化） 平成 27 年度までに耐震化が終了しない災害対策施設等について、計画 期間中の早期の耐震化完了をめざします。 （特定天井脱落対策） 大阪市地域防災計画に位置付けられた、災害時に重要な機能を果たす施 設の特定天井について、計画期間中の早期の脱落対策完了をめざします。 市 営 住 宅 耐震基準を満たしていない住宅について、計画期間内での解消をめざし ます。４．基 本 方 針
・建築物の耐震化の促進のためには、まず、住宅・建築物の所有者が地震やその対策について正しく理解し、自身の所有する建築 物の地震防災対策を自らの問題としてとらえ、個人の生命・財産をはじめ周辺地域に及ぼす影響についても十分に意識して、自 主的に耐震化に取り組む必要があります。 ・本市は、こうした建物所有者の自主的な取り組みを支援するとともに、改正された耐震改修促進法を的確に運用する必要があり ます。 ・また、市民の安全・安心の確保に向け、災害時に重要な役割を担うことが求められる市設建築物について、地震に対する安全性 の確保に取り組む必要があります。 ・こうした観点から、耐震化促進に向けた基本方針を定め、この方針に基づき、住宅や多数の者が利用する建築物及び市設建築物 といった重要な対象建築物について耐震化に向けた様々な施策を実施します。また、その他の建築物についても普及啓発等の取 り組みを進めます。 ○建物所有者の耐震化の取り組みへの支援 建物所有者の耐震化に係る費用負担の軽減や老朽住宅の自主建替えへの支援 ○耐震改修促進法に基づく規制措置の的確な実施 耐震改修促進法に基づく耐震診断・耐震改修に係る適切な指導、助言や認定制度等の周知 ○地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及 耐震化に関する充実した情報発信や建物所有者への確実な普及啓発、区・地域等と連携した普及啓発の実施 ○市設建築物の地震に対する安全性の確保 災害時に重要な役割を担うことが求められる市設建築物の耐震化や特定天井脱落対策といった、施設の役割や用途に応じ た適切な安全対策の計画的な推進５.今後取り組むべき施策
５−１．民間の住宅及び多数の者が利用する建築物
（１）建物所有者の耐震化の取り組みへの支援 耐震改修費用等の負担軽減や円滑な合意形成等が図られるよう、建物所有者の耐震化の取り組みを引き続き支援します。 ① 木造戸建住宅等に対する支援 ○ 耐震診断・耐震改修に対する補助 ・一定の要件を満たす戸建住宅等について、耐震診断費・耐震改修工事費等の一部を補助することにより、建物所有者の耐震化の 取り組みを支援します。 ・補助の実施にあたっては、耐震診断とあわせて耐震改修設計と、その設計内容に基づく耐震改修工事費の見積もりまでを一貫し て行うパッケージ耐震診断を実施するとともに、費用負担などの問題から建物全体の耐震改修が困難な場合も多いことを踏まえ、 段階的に補強を行う簡易な耐震改修や寝室等の居住空間に限定してシェルター＊を設置する工事などについても対象とします。 ○ 老朽住宅の建替え等に対する支援 ・一定の要件を満たす老朽住宅について、アドバイザーの派遣や建替建設費の一部補助等を行い、老朽住宅の自主更新による住環 境の整備とあわせた耐震化を支援します。 ・密集住宅市街地＊においては、早急な整備・改善が求められていることから、老朽住宅の建替建設費の一部補助について要件緩和 や補助率の引き上げを行うとともに除却費の一部補助を行うなど、老朽住宅の建替え等を促進します。② マンションに対する支援 ○ 耐震診断・耐震改修に対する補助 ・一定の要件を満たすマンションについて、耐震診断費・耐震改修工事費等の一部を補助することにより、建物所有者の耐震化の 取り組みを支援します。 ○ 円滑な建替えや耐震改修に向けた合意形成に対する支援 ・分譲マンションについては、費用負担や改修方法等に関する住民の合意形成を図ることが難しく、耐震化が進みにくい状況にあ ると考えられることから、一定の要件を満たすものについて、アドバイザーの派遣や検討に要する費用の一部を補助することに より、円滑な建替えや耐震改修に向けた合意形成に対する取り組みを支援します。 ③ 耐震診断義務付け対象建築物に対する支援 ○ 耐震改修に対する補助 ・耐震診断を義務付けられた建築物のうち、学校・病院・ホテル等で災害時に本市が防災拠点として利活用できる覚書等の締結が 可能なものについて、耐震改修設計費・耐震改修工事費の一部補助により、建物所有者の耐震化の取り組みを支援します。 （２）耐震改修促進法に基づく規制措置の的確な実施 ① 耐震診断義務付け対象建築物の規制措置の的確な実施 不特定多数の者が利用するなどの耐震診断義務付け対象建築物の耐震化を促進するため、耐震改修促進法に基づく規制措置を的確 に実施します。
○ 不特定多数の者が利用する大規模建築物等の耐震診断結果の公表等 ・不特定多数の者が利用する大規模建築物及び避難に特に配慮を要する者が主として利用する大規模建築物等（要緊急安全確認大 規模建築物＊（P15 表参照））や大阪府が指定した「優先して耐震化に取組む路線」の沿道建築物（要安全確認計画記載建築物＊（P15 図参照））の所有者は、当該建築物について耐震診断を実施し、その結果を所管行政庁（大阪市）に報告することが義務付けられ ています。 ・報告された耐震診断の結果については、要緊急安全確認大規模建築物については用途ごとに、要安全確認計画記載建築物につい ては期限が同一である建築物ごとに建築物の概要等とあわせて公表し、報告を行わない建物所有者に対しては耐震改修促進法に 基づく命令等を行うことにより報告を促します。 ○ 耐震改修の指導及び助言等 ・アンケート調査等により耐震診断・耐震改修の状況把握を行いながら、個別訪問等により建物所有者に対して補助制度の周知や 耐震化の働きかけを行うなど、必要に応じて耐震改修促進法に基づく指導及び助言等を行います。 ・地震に対する安全性について著しく保安上危険であると認められる建築物等については、必要に応じて建築基準法第 10 条に基づ く勧告又は命令を行います。 ② 多数の者が利用する民間建築物等の規制措置の実施 建物所有者の耐震化の意識を高めるため、必要に応じて耐震改修促進法の規制措置を実施します。 ○ 指導及び助言等 ・新耐震基準導入以前に建築された多数の者が利用する民間建築物等（耐震診断義務付け対象建築物を除く。）について、アンケー ト調査等を通じて耐震診断・耐震改修の状況把握や建物所有者の耐震化の意識の醸成を図り、耐震診断及び耐震改修の実施につ いて、必要に応じて指導及び助言等を行います。
要緊急安全確認大規模建築物（対象建築物一覧） 用 途 耐震診断義務付け対象建築物の要件 学校 小学校、中学校、中等教育学校の前期課程若しくは特別支 援学校 階数２以上かつ3,000㎡以上 ※屋内運動場の面積を含む。 上記以外の学校 ― 体育館（一般公共の用に供されるもの） 階数１以上かつ 5,000 ㎡以上 ボーリング場、スケート場、水泳場、その他これらに類する運動施設 階数３以上かつ 5,000 ㎡以上 病院、診療所 劇場、観覧場、映画館、演芸場 集会場、公会堂 展示場 卸売市場 ― 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗 階数３以上かつ 5,000 ㎡以上 ホテル、旅館 賃貸住宅（共同住宅に限る。）、寄宿舎、下宿 ― 事務所 老人ホーム、老人短期入所施設、福祉ホームその他これらに類するもの 階数２以上かつ 5,000 ㎡以上 老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他こ れらに類するもの 幼稚園、保育所 階数２以上かつ 1,500 ㎡以上 博物館、美術館、図書館 階数３以上かつ 5,000 ㎡以上 遊技場 公衆浴場 飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これら に類するもの 理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行、その他これらに類するサービス業を営 む店舗 工場（危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物を除く。） ― 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で 旅客の乗降又は待合の用に供するもの 階数３以上かつ 5,000 ㎡以上 自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設 保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物 危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物 階数１以上かつ 5,000 ㎡以上 (敷地境界線から一定距離以内に存する 建築物に限る。) 耐震診断義務付け対象となる一定の高さ以上の沿道建築物 ［ 道路幅員が 12ｍを超える場合］ ［ 道路幅員が 12ｍ以下の場合 ］ 優先して耐震化に取組む路線（府指定） （ 参考 ） ・大阪府は、「優先して耐震化に取組む路線」の沿道建築物（要安全確認計画記載 建築物）に対して、耐震診断費・耐震改修工事費の一部補助を実施しています。 (｢優先して耐震化に取組む路線｣の沿道建築物であって、一定の高さ以上のもの) 要安全確認計画記載建築物
③ 認定制度の活用促進 ・認定制度の活用促進のため、平成 25 年 11 月の耐震改修促進法の改正において、新たに設けられた関係法令の緩和等に係る認定制 度等の周知に努めます。 ・耐震改修計画の認定（建築基準法の容積率・建ぺい率の特例） 耐震改修工事を実施しようとするときに、所管行政庁（大阪市）から「耐震改修計画の認定」を受けた場合、工事 後も引き続き既存不適格建築物＊として取り扱うことが可能となっているが、法改正により、耐震改修のためやむ を得ない範囲で容積率又は建ぺい率を緩和する特例が設けられている。 ・区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定（建物の区分所有等に関する法律の集会の決議規定の緩和） 所管行政庁（大阪市）から「区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定」を受けた場合、耐震改修の区分所有 法に基づく議決要件が区分所有者及び議決権の過半数となる緩和措置の適用を受けることができる。 ・建築物の地震に対する安全性に係る認定 所管行政庁（大阪市）から「建築物の地震に対する安全性に係る認定」を受けた場合、当該建築物が耐震性を有し ている旨を記した表示を行うことができる。 耐震改修促進法に基づく認定制度等
（３）地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及 ① 地震から身を守るための情報の充実 市民が地震やその対策について正しく理解できるよう、地震から身を守るための情報の充実を図ります。 ○ 防災・耐震化に関する情報の充実 ・建築物の耐震化の必要性や耐震診断・耐震改修に関わる補助制度、法令の概要といった耐震化に関する情報の充実を図ります。 ・地震防災対策を自らの問題としてとらえられるよう、地震や津波、河川氾濫等の自然災害による被害に関する情報（想定される 地震毎の震度分布図、液状化予測図、南海トラフ巨大地震の津波浸水図など）を提供します。 ・家具の転倒防止対策やブロック塀の倒壊対策、天井等の非構造部材の脱落防止等の落下防止対策、エレベーターの耐震対策、耐 震改修の工法紹介などといった防災・耐震化に関する情報の充実を図ります。 ② 情報を確実に届ける普及啓発の実施 建物所有者自らが耐震化の必要性を理解し、耐震診断・耐震改修の取り組みを進められるよう、建物所有者に向けた普及啓発をよ り一層強化します。 ○ 安心して相談できる窓口の設置 ・住まい情報センターに相談窓口を設置し、耐震診断・耐震改修に関する相談や補助事業の説明・受付、信頼できる耐震事業者の 紹介等を行います。 ・本市が参画する大阪建築物震災対策推進協議会＊において窓口を設置し、専門技術者等による耐震診断・耐震改修に関する相談に 応じます。
○ ダイレクトメールの送付やポスティングの実施 ・新耐震基準導入以前に建築された建築物等の所有者に対して、耐震化の必要性や補助制度の概要といった情報をポスティングや ダイレクトメールにより直接伝える取り組みを強化します。 ○ 耐震化に関するガイドブックの作成 ・耐震化に関する情報をわかりやすく記載したガイドブックを作成し、セミナーや個別相談会などで活用します。 ○ インターネットを活用した情報提供 ・本市のウェブサイトで、本市の防災・耐震化に関する情報をはじめ、国や府等の関連情報についても集約するなど、充実した情 報を提供します。
大阪市耐震改修支援機構の構成（平成 27 年度） ③ 区・地域や関係団体と連携した耐震化の意識の醸成 市民の耐震化の意識の醸成を図るため、区や地域等と連携し、様々な普及啓発を実施します。 ○ 大阪市耐震改修支援機構＊による普及啓発の推進 ・住宅等の耐震化を促進するため、平成 20 年に建築関係団体等と連携して設立した「大阪市耐震改修支援機構」（耐震化支援団体 8 団体、40 耐震事業者）において、耐震化に関するイベントや出前講座＊・セミナー、個別相談会など、様々な普及啓発を実施し ます。 ・住宅の所有者が安心して耐震診断・耐震改修を依頼することのできる実績のある事業者の紹介を行います。 建 物 所 有 者 等 セミナー・相談会等の普及啓発 安心して依頼することのできる事業者の紹介 大阪市耐震改修支援機構 耐震事業者 耐震化支援団体 認定・処分 活動支援 活動等報告 支援機構の運営を行う (一財)大阪建築防災センター (一社)日本建築構造技術者協会 (独)住宅金融支援機構 大阪市住まい公社 本 部 大 阪 市 大阪市耐震改修支援有識者会議 耐震化支援団体の認定・処分（指導・ 勧告・除名）に関し意見を聴く。 事業者紹介にかかるトラブルが生じた 場合、法的考え方に関し意見を聴く。 コンプライアンス専門部会 耐震化支援団体評価専門部会 意見照会 意見 耐震事業者 a1 耐震化支援団体Ａ ∼ 耐震事業者 a2 耐震事業者 b1 耐震化支援団体Ｂ 耐震事業者 b2 ∼ ⋮ 耐震化支援団体Ｃ 耐震事業者 c1 耐震事業者 c2 ∼
○ 区や地域等との協働による市民の耐震化の意識の向上 ・イベントや出前講座・セミナー、個別相談会、パンフレットの回覧など区や地域等と連携した取り組みの充実を図ります。 ○ 大阪建築物震災対策推進協議会による技術者に対する知識の普及 ・適切な耐震診断・耐震改修が行われるよう、耐震診断・耐震改修のポイント等をまとめた事業者向けのマニュアルを改訂し普及 に努めます。 ○ リフォーム事業者団体等との連携による耐震改修の促進 ・リフォームとあわせた耐震改修工事はコスト等の面からも効果的であることから、リフォーム事業者団体等と連携し、リフォー ム等にあわせた耐震改修の実施について普及啓発を行います。
５−２．市設建築物
（１）災害対策施設等 （耐震化） ・平成 27 年度までに耐震化が終了しない災害対策施設等 40 棟については、計画期間中の早期の完了をめざして、耐震改修や建替え 等の実施時期などを公表し、着実に耐震化を実施します。 ・また、民間との合築施設については、耐震化に向けて、引き続き関係者との調整を進めます。 （特定天井脱落対策） ・震災時の応急対策活動を迅速かつ円滑に行うため、大阪市地域防災計画で防災活動拠点に位置づけられた、災害時に重要な機能 を果たす施設（災害時避難所や庁舎、ボランティア活動支援センター、遺体仮収容(安置)所など）の特定天井（40 施設※）につい て、優先的に脱落対策を推進します。 ※供用廃止予定等の施設を除く。 （２）市営住宅 「大阪市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、耐震基準を満たさない住宅（建替と判定されているものを除く。）について、 計画期間内での解消に向けて、耐震化を進めます。（ 参 考 ） 大阪市住宅供給公社による取り組み ・公社賃貸住宅全体での耐震化率は平成 27 年度末で約 93％に達する見込みとなっており、引き続き、原則として建替え事業等 を計画的に実施することにより、計画期間である平成 37 年度までに耐震化率 95%の実現をめざします。 都市再生機構による取り組み ・都市再生機構のＵＲ賃貸住宅の住棟の全体としての耐震化率は平成 26 年度末時点で約 91％となっており、引き続き、耐震性 の向上に向けて、耐震診断及び耐震診断結果に基づき必要となる耐震改修等を計画的に推進していきます。
お わ り に
今回の改定により、耐震化率の目標を新たに定め、「建物所有者の耐震化の取り組みへの支援」「耐震改修促進法に基づく規制措置 の的確な実施」「地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及」「市設建築物の地震に対する安全性の確保」という 4 つの 方針に沿って、今後取り組むべき具体的施策について取りまとめました。 今後、建築物の耐震化の一層の促進に向け、これらの施策を着実かつ効率的に実施していくことが重要です。そのためには、まち づくりや公共施設整備、建築指導等の関連部局はもとより、耐震化に関わる民間事業者団体などとの連携を的確に図っていくととも に、社会経済情勢や市民ニーズの変化に応じて適宜事業の改善を行うなど、計画期間内であっても柔軟に事業を展開していくという 姿勢で取り組む必要があります。 また、現在、国において検討が進められている長周期地震動＊対策についても、今後、国が定める基準に沿った適切な対応が求めら れます。 さらに、厳しい財政事情のなか、事業実施に必要な財源の確保について、国への積極的な働きかけを行っていくことが重要です。 こうした点に十分留意し、本計画に定めた目標に向け、建築物の耐震化施策の積極的な取り組みを進めていくこととします。用 語 解 説 P1．耐震診断 住宅や建築物の地震に対する安全性を評価すること。 P1．耐震改修 地震に対する安全性の向上を目的として、増築、改築、修繕、模様替え 若しくは一部の除却又は敷地の整備を行うこと。 P1．耐震診断・耐震改修に対する補助 民間の住宅・建築物の耐震化を促進するため、一定の要件を満たすもの について、耐震診断費・耐震改修工事費等に対する補助を実施している。 実施している補助制度（平成 27 年度）の概要は以下のとおり。 大阪市耐震・診断改修補助事業（平成 17 年度から実施） 耐震診断費補助 補助率 9/10 以内 補助限度額 4 万 5 千円/戸 18 万円/棟 耐震改修設計費補助 (耐震診断費補助とセット) 補助率 2/3 以内 補助限度額 10 万円/戸 18 万円/棟 耐震改修工事費補助 補助率 1/2 以内 補助限度額 100 万円/棟 最大 20 万円/戸加算※1 (自己負担額による上限あり) （※1 平成 26,27 年度限り） ※平成 7 年度より補助事業を実施している。 大阪市マンション耐震化緊急支援事業（平成 24 年度∼平成 27 年度実施） 耐震診断費補助 補助率 2/3 以内 補助限度額 200 万円/棟 耐震改修設計費補助 補助率 2/3 以内 補助限度額 400 万円/棟 耐震改修工事費補助 補助率 1/2 以内 補助限度額 5,000 万円/棟 ※平成 23 年度までは、大阪市耐震診断・改修補助事業として補助を実施してきている。 大阪市耐震診断義務化建築物耐震診断費補助（平成 26 年度∼平成 27 年度実施） 補助対象建築物 学校、病院等、避難上配慮を要する市民が利用す る建築物及び危険物の貯蔵場等周辺住民等に危害 を与える可能性がある建築物 補助率 2/3 以内 補助限度額 650 万円/棟 (ただし、危険物の貯蔵場等：325 万円/棟) 大阪市耐震診断義務化建築物耐震改修費補助（平成 27 年度から実施） 補助対象建築物 学校、病院、ホテル等災害時に一定の役割が期待 できる用途で、本市と災害時の覚書等の締結を行 う建築物 耐震改修設計費補助 補助率 2/3 以内 補助限度額 700 万円/棟 耐震改修工事費補助 補助率 23％以内 補助限度額 1 億円/棟
P1．建築物の耐震改修の促進に関する法律（耐震改修促進法） 建築物の地震に対する安全性の向上の促進を図るために、阪神・淡路大 震災を受けて平成 7 年に制定された法律。 平成 18 年の法改正では、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図る ための計画の策定が都道府県に対して義務付けられ、市町村に対しては努 力義務が定められた。 平成 25 年の法改正では、不特定多数の者が利用する大規模建築物等に ついて耐震診断実施の義務化、診断結果の公表が定められた。また、耐震 化の円滑な促進のための措置として、耐震改修計画の認定に係る緩和や区 分所有建築物の耐震改修の必要性にかかる認定、耐震性にかかる表示制度 が創設された。 P1．住宅建築物耐震 10 ヵ年戦略・大阪 大阪府の耐震改修促進計画。平成 25 年 11 月の耐震改修促進法の改正を 受けて、平成 28 年１月に改定された。耐震化率の目標について、住宅は 平成 37 年までに 95%、多数の者が利用する建築物は平成 32 年までに 95% と設定し、今後の施策方針が示されている。 P2．建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針 （国の基本方針） 耐震改修促進法に基づき国土交通大臣が定める、建築物の耐震診断及び 耐震改修の促進を図るための基本的な方針。建築物の耐震診断及び耐震改 修の促進に関する基本的な事項等が定められている。 P3．新耐震基準 昭和 56 年 6 月の建築基準法の改正により導入された耐震基準。震度５ 強程度の中規模の地震に対してはほとんど損傷を受けず、極めてまれにし か発生しない大規模地震（震度６強から震度７程度）に対しては、人命に 危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標として定められ た基準。昭和 56 年 6 月 1 日以降に新築等の工事に着手した建築物につい ては、この基準が適用されている。 P3．多数の者が利用する民間建築物 耐震改修促進法で定められている学校、病院、ホテル、事務所等一定規 模以上で多数の者が利用する民間建築物のこと。 P4．住宅・土地統計調査 総務省が、住生活関連施策の資料を得ることを目的に 5 年ごとに実施し ているもの。住宅及びそこに居住している世帯、また、世帯の保有する土 地等の実態を把握し、その現状と推移を全国及び地域ごとに明らかにする 調査。 P5．多数の者が利用する民間建築物等 耐震改修促進法で定められている学校、病院、ホテル、事務所等一定規 模以上で多数の者が利用する民間建築物、危険物の貯蔵・処理場及び大阪 市地域防災計画における広域緊急交通路、地域緊急交通路、避難路の沿道 にあり、地震により倒壊し当該道路を閉塞させるおそれのある民間建築物 のこと。
P6．災害対策施設等 市設建築物で、災害対策の指揮・情報伝達の中枢拠点となる区役所や、消火 活動の拠点となる消防署及び避難所に指定されている小中高等学校など、災 害時に重要な役割を担う建築物。 P6．耐震基準 新耐震基準又は耐震改修促進法に基づく耐震診断基準。 P7．特定天井 吊り天井であって、次のいずれにも該当するもの。 ① 居室、廊下等の人が日常立ち入る場所に設けられたもの ② 高さが６ｍ超の天井で面積 200 ㎡超のもの ③ 天井の単位面積質量が２kg/㎡以上のもの P7．耐震スリット 鉄筋コンクリート造の建築物の柱と壁等の間に設けた隙間や目地のこ と。建築物の耐震性の向上を目的として設置される。 P7．鉄骨ブレース 鉄骨製の筋交い。建築物の耐震性の向上を目的として設置される。 P9.耐震診断義務付け対象建築物 耐震改修促進法により、建物所有者に耐震診断の実施とその結果の報告 が義務付けられている建築物。 昭和 56 年以前に建築された、病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が 利用する大規模建築物等（要緊急安全確認大規模建築物）と大阪府が「優 先して耐震化に取り組む路線」として指定した耐震診断義務化対象路線の 沿道建築物（要安全確認計画記載建築物）が対象となっている。 P12．シェルター 地震発生時の緊急避難場所として、住宅内の一部に木材や鉄骨で強固な 箱型の空間（シェルター）を作り、住宅が倒壊した場合でも安全な空間を 確保するもの。 P12．密集住宅市街地 当該区域内に老朽化した木造住宅が密集しており、かつ、道路や公園な どの公共施設が十分に整備されていないことなどから、火災や地震が発生 した際に火災の延焼防止や避難に必要な機能が確保されていない状況に ある市街地。 大阪市においては、ＪＲ大阪環状線外周部の戦災を免れた地区を中心に 災害対策施設等 一覧 対象施設 指揮、情報伝達等の中枢拠点機能 市役所、分庁舎 消火、医療、救護の拠点施設 消防局、消防署、病院 指揮および情報伝達等関係施設 区役所 消火、医療、救護関係施設 消防出張所、保健所 ライフライン機能、輸送機能 市民サービス等関連施設 浄水場、配水場、下水処理場、抽水所 中央卸売市場、焼却工場、斎場 水道工事センター、建設局工営所等 小中高等学校等避難所として 位置づけられた施設 老人保健施設、特別養護老人ホーム等 大規模展示場、大規模スポーツ施設 区民センター、地域スポーツセンター デイサービスセンター 区在宅サービスセンター等 危険物を貯蔵又は使用する施設 放射性物質・石油類等貯蔵・取扱施設 放射性物質・石油類等貯蔵、取扱施設 美術館、博物館、文化財等の施設 美術館、博物館 高齢者や障がい者が利用する施設 不特定多数の者が利用する施設等 図書館、体育館、児童福祉施設 老人福祉施設、障がい者福祉施設 社会福祉施設、会館、幼稚園 等 その他の 市設特定建築物 人命及び物品 の安全性確保が 特に必要な施設 多数の者が利用する施設 上記の施設に該当しないもので、耐震改修促進法で定められている多数の者が利用する建築物及び大阪市地域防災 計画における広域緊急交通路、地域緊急交通路、避難路の沿道にあり、地震により倒壊し当該道路を閉塞させるお それのある建築物 施設の防災機能 災害応急対策 活動に必要な 施設 災害対策の中枢機能を担う施設 災害対策活動を行うための施設 避難所及び 災害対策活動 を支援する施設 避難所 要介護者の施設 災害対策活動を支援する施設
分布しており、「特に優先的な取り組みが必要な密集住宅市街地（約 1,300ha）」を中心に、密集住宅市街地の整備に取り組んでいる。 P14．要緊急安全確認大規模建築物 病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び小・中学校、 保育所、老人ホーム等の避難に特に配慮を要する者が主として利用する大 規模建築物であって、昭和 56 年 5 月 31 日以前に着工し、地震に対する安 全性が明らかでない建築物。 耐震診断結果の報告期限は平成 27 年 12 月 31 日となっている。 P14．要安全確認計画記載建築物 大阪府が広域緊急交通路のうち、「優先して耐震化に取り組む路線」と して指定した耐震診断義務化対象路線（大阪市内 9 路線 約 48 ㎞）の沿 道にある建築物。昭和 56 年 5 月 31 日以前に着工し、地震に対する安全性 が明らかでない建築物で倒壊時に道路を閉塞するおそれのあるものが対 象となる。 耐震診断結果の報告期限は平成 28 年 12 月 31 日となっている。 P16.既存不適格建築物 建築基準法において適法に建築された後、法改正によって改正後の法律 に適合しない状態となった建築物。既存不適格建築物については、耐震改 修促進法に基づく耐震改修計画の認定等の緩和措置を受けずに増築行為 を含む耐震改修工事を実施する場合、通常、工事実施時点の法律に適合さ せる(既存不適格の状態を解消する)必要がある。 P17.大阪建築物震災対策推進協議会 大阪府内の建築物等の震災対策を推進するために平成 10 年 6 月に設立 された協議会。大阪府、大阪市をはじめとする府内市町村、建築団体及び 事業者団体により構成され、耐震性向上のために普及啓発等を行っている。 P19.大阪市耐震改修支援機構 住宅や建築の分野において専門性を有する公的団体や建築関係団体等 が連携し、耐震化の促進に向けた幅広い取り組みを積極的に進めていくこ とを目的として、平成 20 年に設立。平成 27 年度時点、本部（4 団体）及 び耐震化支援団体（8 団体）で組織され、耐震化にかかわるセミナーや出 前講座、耐震診断・耐震改修工事の実績がある耐震事業者の紹介等を行っ ている。 P19.出前講座 大阪市の職員や大阪市耐震改修支援機構の耐震事業者等が、開催を希望 する地域の方々のもとへ伺い、住まいの耐震化の方法などを分かりやすく 説明する講座。 P23.長周期地震動 揺れの周期が長い波を多く含む地震動で、ゆっくりとした揺れが非常に 長く続く特色がある。超高層建築物等への影響が大きいと考えられている。
