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日本歯科理工学会誌35-4-5

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原稿受付 2016 年 3 月 15 日,受理 2016 年 6 月 16 日

1 日本歯科大学生命歯科学講座(〒102︲8159 東京都千代田区富士見 1︲9︲20)

2 日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座(〒102︲8159 東京都千代田区富士見 1︲9︲20)

1 Department of Life Science Dentistry, The Nippon Dental University(1︲9︲20, Fujimi, Chiyoda︲ku, Tokyo 102︲8159)

2 Department of Dental Materials Science, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University(1︲9︲20, Fujimi, Chiyoda︲ku, Tokyo 102︲8159)

CAD/CAM

で作製したワックスパターンおよび鋳造体の寸法精度

石 田 祥 己

1,2

  宮 坂   平

2

  青 木 春 美

2

青 柳 有 祐

2

  三 浦 大 輔

2

Dimensional accuracy of the wax pattern created by CAD/CAM

and the cast crown

Yoshiki I

SHIDA1,2

, Taira M

IYASAKA2

, Harumi A

OKI2

,

Yusuke A

OYAGI2

and Daisuke M

IURA2

Keywords:Dental high︲speed wax cutting machine, CAD/CAM, Dimensional accuracy, Wax pattern,

3D scanning

The STL data of the dental crown, which fits the abutment model, was created using only the 3D CAD soft-ware enlarged to 100, 101, and 102 % , and was also created from 3D scanned data and the dental CAD softsoft-ware with a cement space of 0, 50, and 100 mm. Using six types of STL data, wax patterns were created by the dental high︲speed wax cutting machine. The dimensional accuracy of the wax patterns and the fit with the model were assessed, and then the patterns were casted and the same investigations of the cast crown were carried out. Using a specific enlargement ratio of inner and outer diameters, the inner and outer diameters closest to the designed values were obtained. The inner diameter of the wax patterns and cast crowns created from the scanned data, became smaller than the STL data of the model, even if a cement space of 100 mm was secured. The best fit was obtained at an expansion rate of 102 % or with a cement space of 100 mm from the fitting test. Using the best fit︲designed data, there was no significant difference between a wax pattern and a cast body in the dimensional accuracy or fit test.

キーワード:歯科用高速ワックス加工機,CAD/CAM,寸法精度,ワックスパターン,3D スキャン 支台模型に適合するクラウンの STL データを 3D CAD のみを用いて構築し,拡大率を 100,101,102%と したデータ,および支台模型をスキャンしたデータから歯科用 3D CAD を用いて構築し,セメントスペース 0, 50,100 mmとしたデータの 6 種類から歯科用高速ワックス加工機で作製したワックスパターンおよび鋳造体 について寸法精度および適合性を比較検討した.この結果,内径と外径は,それぞれ異なる拡大率とするこ とにより設計値に近い値が得られた.支台模型のスキャンデータからワックスパターンや鋳造体を作製した 場合は,セメントスペースを 100 mm 増加させても内径は模型の STL データより小さな値となった.適合性 試験では,拡大率が 102%で,セメントスペースが 100 mm で最も優れた適合性を示した.また,適合性の優 れた設計では,寸法精度および膨縮率についてワックスパターンと鋳造体の間に有意な差は認められなかっ た. 原   著 日本歯科理工学会誌 Vol. 35 No. 4・5 277︲283(2016)

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緒   言

近年,歯科医療のデジタル化が進んでおり,その中で も CAD/CAM システムの発展は著しいものがある1,2) わが国においても 2014 年 4 月 1 日,歯科用 CAD/CAM システムを用いたハイブリッドレジンブロックによる歯 冠補綴が先進医療から健康保険に導入され,小臼歯に対 し保険適用となり3,4),さらに条件付きながら大臼歯へ の保険適用が可能となった3,4).これに伴い,歯科用 CAD/CAMシステムの普及が一層進んでいる.しかし, 従来の歯科用 CAD/CAM システムは,コンポジットレ ジン2∼4),陶材1,5,6),ジルコニア7,8)などからなるブロッ クやプレートから歯冠補綴物を削り出して作製するもの が多く,これら従来の機材では鋳造操作を要する金属な どへの応用は難しいと考えられる.最近の傾向として は,歯冠補綴治療には審美性や金属アレルギーの観点か らメタルフリーが求められているが,メタルフリー治療 とした場合には歯冠補綴物破損の可能性という問題9∼11) があるため,場合により金属を含む歯冠補綴が必要にな ることもある.そのため,鋳造を要する金属からなる歯 冠補綴の重要性は依然高いままであり,今後も使われ続 けて行く技術であると言える.これを裏付ける事実とし て,鋳造用ワックスパターンを CAD/CAM により作製 するためのシステムとして,ワックスディスクからパ ターンを削り出すことができる歯科用高速ワックス加工 機が登場した12).CAD/CAMにより作製したワックス パターンは,最終的な微調整を人の手によって行うこと が可能であり,その後の通常の歯科鋳造操作により金属 補綴物作製への応用が可能である.また,機械加工であ るため,熟練を要せずに誰にでも高い寸法精度で容易に 鋳造用パターンを作製することが可能である.この時, ワックスパターン作製には STL データを使用するため, 今後の光学印象など,さらに進化が予想される歯科医療 のデジタル化にも対応可能である. しかし,歯科用 CAD/CAM システムを使用してワッ クスパターンを作製し,その寸法精度を検討した基礎的 研究はほとんど見当たらない.そこでわれわれは,この 歯科用高速ワックス加工機を用いて支台模型に適合する ようなワックスパターンを作製し,この寸法精度につい て検討することを目的として研究を行った.また,この ワックスパターン作製時に支台への適合性を高めるため のデータ加工についても検討し,評価を行った.

実験材料および方法

本 研 究 で は, 歯 頸 部 の 外 径 10 mm, 高 さ 10 mm, 1/10テーパーを付与した支台模型金型(F︲001,日本 メック)を用いて実験を行った.実験に用いた支台模型 金型を図 1(a)に示す.この支台模型金型に適合する フルクラウンパターンの 3D 模型となる STL データを, 二種類の方法で構築した.一つ目の方法として,3D CADソフトのみを用いて,仮想空間上でフルクラウン パターンを構築した.すなわち,歯頸部の内径 10 mm, 外径 13 mm,内面の深さ 10 mm,外形高さ 11 mm とし, 内面および外形に 1/10 テーパーを付与したフルクラウ ンパターンを 3D CAD ソフト(iCAD SX,富士通)を用 いて作製した.このようにして作製したフルクラウンパ ターン(以下,IC)を図 1(b)に示す.二つ目の方法 として,支台模型金型をスキャンしたデータから仮想空 間上に支台模型を再現し,その再現した模型上に適合す るように 3D CAD ソフトを用いて構築した.すなわち,

3Dスキャナ(DORA 3D Dental Scanner,デジタルプロ

セス)で支台模型金型を 3D スキャンして STL データを 取得し,そのデータ上で支台模型に適合するように歯科 用 CAD ソフト(exocad,exocad)を用いてフルクラウ ンパターンの STL データを作成した.この時,歯科用 CADソフトでは先に作製したフルクラウンの形状が設 計できないため,最もフルクラウンの形状に近いコーピ ングとして設計した.このようにして作製したコーピン グ(以下,EX)の STL 画像を図 2 に示す.なお,3D スキャンを行うに際し,支台模型金型が金属製であるこ とから,3D スキャナが投影するパターンの反射により 3Dスキャンがスムーズに行えないため,前処理材の白 図 1  支台模型金型およびクラウンパターン(断面図) の寸法 図 2  歯科用 CAD ソフトで設 計したコーピングの STL データ画像

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色パウダー(CEREC Optispray,Sirona Dental Systems) を薄く塗布してから 3D スキャンを行い,STL データを 取得した. このようにして作製したフルクラウンパターンの各 STLデ ー タ を も と に, 歯 科 用 高 速 ワ ッ ク ス 加 工 機 (WAXY,デジタルプロセス)を用いてワックスディス ク(ミリングワックス T14,D.C.L タニモト)からワッ クスパターンの削り出しを行った.なお,削り出し条件 は切削スピードを抑えた最も精度の高い条件とし,切削 には直径 1 mm の専用工具を使用した.この時,設計し たままのデータから削り出したワックスパターンは作製 後の支台模型金型への適合性に劣ることがわかったた め,3D CAD ソフトで作成した STL データについては 最初の設計値を 100%の大きさとして,元の設計値を 101,102%に拡大したワックスパターンを作製した(以 下,それぞれを IC︲100,IC︲101,IC︲102 と略す).一方, 支台模型金型のスキャンデータを用いて歯科用 CAD ソ フトで作製したパターンの STL データの場合は,3D CADソフトの制限により全体の寸法を倍率で指定して 拡大縮小できないため,クラウン内部の軸面と咬合面に それぞれセメントスペースを 0,50,100 m m 付与した ワ ッ ク ス パ タ ー ン を 作 製 し た( 以 下, そ れ ぞ れ を EX︲000,EX︲050,EX︲100 と略す). ICの寸法については,デジタル顕微鏡(VHX︲2000, キーエンス)を用いて倍率 ×200 にて観察し,同倍率で 内径,外径および深さの測定を行った(測定精度 1 m m).この各測定値と拡大を行う前の設計値(IC︲100 または EX︲000 の設計値)との差(mm)を求めた. 次に,設計したクラウンの STL データと支台模型金 型のスキャンした STL データの比較を行い,支台模型 金型を用いた適合性試験が可能であると判断し,これら ワックスパターンの適合性試験として,作製したワック スパターンを支台模型金型に軽く適合させ,その上に 100 gの錘を乗せて支台模型金型ショルダー部とワック スパターンのマージン部の間隙 a をデジタル顕微鏡で 測定した.用いた支台模型金型の歯頸部の直径が 10 mmであり,側面のテーパーは 1/10 であるため,下記 の式より膨縮率を求めた.ワックスパターンが原型より 大きくなった場合は,支台模型の頭部(A)とショルダー 部(B)の可撤式リングを取り外した後に,同様に適合 させてワックスパターン歯頸部とリング撤去後のショル ダー部との間隙を測定し,リングの厚みを差し引くこと で a を算出した13) 膨縮率(%)=a(mm)/10 10(mm)×100 なお,試料が収縮した場合は符号をマイナス,膨張し た場合はプラスとした. 観察および測定を終えたワックスパターンは直径 1.5 mmのスプルー(スプルーピンチューブ 中,大榮歯科) を咬合面に植立し,表面活性剤(シュールキャストスプ レー,ジーシー)を塗布したのちにフォーマーに取り付 けた.次いで,クリストバライト系埋没材(イデアベス ト,ジーシー)を用いて,混水比 0.30 で 1 分間真空練 和した後,ライニング材(ニューキャスティングライ ナー,ジーシー)を二重に内貼りした鋳造リング内で埋 没した.練和終了 2 時間後, 鋳型を 700℃ に加熱し K メタル(67% Cu−20% Zn−12% Ag−1% Si 合金,自 作13))を 都 市 ガ ス ─ 空 気 炎 に て 融 解 し 遠 心 鋳 造 機 (No.49,林鋳造機)で鋳造した. この鋳造体についても,ワックスパターンの時と同様 にデジタル顕微鏡で表面の観察を行い,IC については 内径,外径および深さの測定を行い,拡大を行う前の設 計値(100%大の設計値)との差(mm)を求めた.また, 鋳造体についてもワックスパターンの時と同様に適合性 試験を行った.すなわち,鋳造体を支台模型金型に軽く 適合させ,その上に 100 g の錘を乗せて支台模型ショル ダー部とパターンのマージン部の間隙を測定して膨縮率 を計算した.鋳造体が膨張した場合は,前述と同様に支 台の咬合面部とショルダー部の可撤式リングなどをはず して膨縮率を測定した. 全実験の繰り返しは 5 回として,すべてのパターンの 作製,鋳造をランダム化して行った(n=5).測定値の 統計処理(a=0.05 および a=0.01)は IC の外径,内径, 深さの差については測定部位ごとに,ワックスパターン と鋳造体の各拡大率での Tukey による平均値の多重比 較を行い,さらに拡大率間の平均値についても Tukey による多重比較を行った.スキャンデータから作製しセ メントスペースを変化させた EX についても,同様に, 外径,内径,深さの差について Tukey による多重比較 を行い,それぞれ付与したセメントスペース間について も多重比較を行った.また,支台模型金型に適合させて 求めた膨縮率についても同様に,測定部位と拡大率また は付与したセメントスペースについて Tukey による多 重比較を行い,同じ拡大率またはセメントスペースにつ いても多重比較を行った.

結   果

3D CADソフトのみから設計したクラウン型および金 型の 3D スキャンデータから歯科用 CAD ソフトで設計 したコーピングをそれぞれ歯科用高速ワックス加工機に より削り出して作製したワックスパターンについて,咬 合面を上方とし,マージン側を下方とした外観を図 3 に 示す.クラウン型では設計どおりに外形は角張った形が 再現されており,コーピングでは丸みを帯びた形となっ

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ている. 作製したワックスパターンのマージン部側から内面を 観察した全体像と内面の最深部表面および歯頸部外側側 面の拡大写真を図 4 に示す.全体像では切削加工時に切 削用バーが動いた跡と思われる筋が認められ,特に EX では,設計段階ですでに咬合面隅角部が軸面より膨らん だ丸みを帯びた形状であり,内面の最上部の線角部は丸 みを帯びて大きめに削り取った形状となっており,実際 のワックスパターンもそのような形状となるように余分 に削除されていた.また,歯頸部外側側面では切削痕が 認められ,小さな段差が多数存在した. ICのワックスパターンおよびこれらのパターンを鋳 造した鋳造体の各部測定値と 100%大の設計値との差 (mm)についての結果を表 1 に示す.表より内径にお いては,IC︲100 のパターンと鋳造体の間に高度な有意 差(p<0.01)が認められた.外径については,内径と 同じく IC︲100 でパターンと鋳造体の間に高度な有意差 (p<0.01)が認められ,深さについては,IC︲101 でパター ンと鋳造体の間に高度な有意差(p<0.01)が認められ た.各拡大率の間にはすべて高度な有意差が認められた (p<0.01). また,同様に EX についても,ワックスパターンとこ れらの鋳造体について,スキャンデータから作成した STLデータとの差(mm)の結果を表 2 に示す.表より, 深さについて,EX︲050 でワックスパターンと鋳造体と の間に高度な有意差(p<0.01)が認められ,外径につ いては,EX︲100 でワックスパターンと鋳造体との間に 高度な有意差(p<0.01)が認められ,これ以外のワッ クスパターンと鋳造体との間には有意差が認められな かった.拡大率の間では,内径,外径,深さについて, パターンも鋳造体もセメントスペース 50 mm と 100 mm との間で有意差が認められず,内径についてはセメント スペース 0 m m と 50 m m との間で有意差が認められな かった.これ以外のすべての組合せで有意差が認められ た(p<0.05). 支台模型金型の寸法を EX︲000 設計時の STL データ と比較すると,EX︲000 設計時の STL データにおいて, 内径では 400 mm,外径では 80 mm,深さでは 87 mm 大 きな値を示し,内面の形状も支台模型金型と同一であっ たため適合性試験を行うこととした.すなわち,作製し 図 3  2 種の CAD ソフトで設計したデータ を用いて歯科用高速ワックス加工機に より作製されたパターンの全体写真 図 4  3D CAD ソフトで設計 したデータを用いて作 製したパターンおよび その鋳造体の拡大写真

歯頸部外側側面の

拡大像

内面の最深部表面の

拡大像

マージン部から内面を

観察した全体像

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たワックスパターンおよびこれらのパターンを鋳造した 鋳造体を支台模型金型に適合させたときの浮き上がり量 から算出した膨縮率(%)について,IC および EX の 結果をまとめて表 3 に示した.表より,IC については, 各拡大率においてパターンと鋳造体との間に有意差は認 められなかった.拡大率の違うすべての組合せ間で高度 な有意差(p<0.01)が認められた.他方,EX について は,EX︲000 のみ高度な有意差(p<0.01)が認められた.

考   察

1985 年にドイツシーメンス社(現シロナ)は,Mör-mannが開発したチェアサイドで加工できるシステムと してセレックを発売した1,14∼18).歯科用 CAD/CAM シ ステムの元祖ともいえる装置である.当時のシステムは 陶材から削り出すことが主であったが,歯科材料および 技術の進歩とともにジルコニア,チタン,コンポジット レジンと切削加工可能な材料が増えていった14∼17,19) しかし,従来の CAD/CAM システムでは切削工具のサ イズや角度などの制限により,複雑な形状の加工は難し いという欠点が存在する16,19∼21).また,これらの材料 では鋳造が不可能であり,金属に置き換えることができ ない.金属の鋳造による歯冠補綴治療は依然日常的に行 われており,歯科にとって代替の効かない技術であると 考えられる9∼11) 他方,近年の 3D プリンターの出現に伴い,これを用 いた歯冠補綴物作製が可能となってきている.3D プリ ンターでは造形方法によって作製できるものは異なる が,鋳造用パターンの作製16,21)や,レーザー積層造形 法であればチタンやコバルトクロムを用いた歯冠補綴物 が作製15,19∼22)可能である.この 3D プリンターでは一 層ずつ積層により造形していくため,造形完了には時間 がかかることが知られている23).また,3D プリンター で作製するパターンはレジンパターンがほとんどである が,パターン作製後の寸法精度についての報告は少な 表 1  3D CAD ソフトで設計したワックスパターン (IC)およびこれらのパターンを鋳造した鋳 造体の各部測定値と 100%大の設計値との差 拡大率 パターン 内径 鋳造体 100% −0.158 (0.014) −0.104 (0.023) 101% −0.002 (0.031)a −0.021 (0.024)a 102%  0.090 (0.013)b  0.091 (0.019)b           外径   パターン 鋳造体 100% −0.279 (0.027) −0.185 (0.041) 101% −0.161 (0.006)c −0.131 (0.020)c 102% −0.051 (0.020)d −0.026 (0.043)d           深さ   パターン 鋳造体 100%  0.012 (0.021)e  0.050 (0.009)e 101%  0.136 (0.013)  0.176 (0.017) 102%  0.228 (0.035)f  0.245 (0.019)f 単位:mm,( ):SD 同一文字間には有意差は認められない 表 2  歯科用 CAD ソフトで設計したワックスパ ターン(EX)およびこれらのパターンを鋳 造した鋳造体の各部測定値とスキャンデー タから作成した STL データとの差 セメント スペース パターン 内径 鋳造体 0 mm −0.120 (0.017)a −0.159 (0.030)a 50 mm −0.088 (0.020)b −0.104 (0.024)b 100 mm −0.053 (0.022)c −0.063 (0.032)c 外径 パターン 鋳造体 0 mm −0.309 (0.031)d −0.264 (0.011)d 50 mm −0.005 (0.051)e  0.027 (0.019)e 100 mm  0.015 (0.020)  0.069 (0.019) 深さ パターン 鋳造体 0 mm −0.005 (0.022) f −0.005 (0.002) f 50 mm  0.111 (0.026)  0.074 (0.010) 100 mm  0.094 (0.004)g  0.068 (0.013)g 単位:mm,( ):SD 同一文字間には有意差は認められない 表 3  作製したワックスパターンおよびこれらの パターンを鋳造した鋳造体を支台模型金型 に適合させたときの浮き上がり量から算出 した膨縮率 拡大率 IC パターン 鋳造体 100% −1.938 (0.186)a −2.081 (0.176)a 101% −0.243 (0.027)b −0.350 (0.162)b 102% −0.082 (0.030)c −0.172 (0.019)c セメント スペース EX パターン 鋳造体 0 mm −0.324 (0.070) −0.777 (0.136) 50 mm −0.110 (0.023)d −0.248 (0.114)d 100 mm  0.007 (0.009)e −0.193 (0.016)e 単位:%,( ):SD 同一文字間には有意差は認められない

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く,人手による微調整法を含めて実用化には不明な点が 多い. 本研究で使用した歯科用高速ワックス加工機では, ワックスからなるディスクより切削加工を行うことか ら,作製されるのはワックスパターンである.そのため 従来どおりの技工操作による鋳造や手技による微調整が 可能である.また,ワックスディスクは従来の CAD/ CAMシステムで使用されている材料に比べてきわめて 軟らかいため,作製時間の大幅な短縮が可能であり,切 削器具の摩耗による寸法精度の低下も少ないと考えられ るため,鋳造パターンの作製という点ではきわめて優れ た方法であると言える. 本研究では,このようにして作製したワックスパター ンについて,寸法精度を検討し,鋳造体の寸法精度につ いても検討を行った.この結果,IC に関しては,内径 および外径でパターンも鋳造体も 100%大の設計値より 小さくなることがわかった.また,IC︲102 においても 外径は 100%大の設計値より小さく,内径では IC︲101 でほぼ設計値と同じ大きさになった.深さについては, IC︲100 でほぼ 100%大の設計値と同じ値を示し,それ以 上でより大きな値を示した. 以上のことから,3D CAD ソフトのみからワックスパ ターンを作製すると,内径,外径ともに小さくなる傾向 を示すため,内径では 1%,外径では 2%程度の拡大を 行い,深さ方向は拡大しないという補正を行うことによ り,設計値どおりのパターンや鋳造体が得られると考え られる.本研究で使用した歯科用高速ワックス加工機は 高精度,高負荷,高剛性,高速性が注目されているパラ レルリンク機構12,23,24)を有している.また,ワックス ディスクが 180°反転することにより,ワックスディス クの表裏の両面から削り出すシステムになっている.こ の時,設計値との誤差が生ずる原因としては,加工機の 切削工具を駆動するシステムによる影響が考えられる. 歯科用高速ワックス加工機においては,作製後の補綴物 は技工士の手による最終調整を経ることを前提としてい るため,クラウンで言えば,咬合高径や外側は大きく, 内側は小さめになるように入力データを補正して切削し ているものと考えられる.しかし,どの程度の自動的な 補正が行われるかは加工機の切削工具を駆動するシステ ムに依存しており,この駆動システムについては全くの ブラックボックスであるため予測は不可能である.しか し,上述のように設計時の STL データを拡大させるな どの加工により,その寸法補正は可能であることが明ら かになった. 支台模型金型のスキャンデータから歯科用 CAD ソフ トで設計したコーピングについて同様に検討を行った結 果,内径については,ワックスパターンと測定した STL データとの間にはセメントスペースを 100 m m 程度に大 きく取らないと有意差は認められなかったが,鋳造体で は 50 m m で有意差が認められた.しかし,外径や深さ に比べるとその差は小さかった.外径については,セメ ントスペースが増えると大きくなる傾向を示し,深さに ついてもセメントスペースの付与でやや大きくなった. セメントスペースの付与により内径および深さはセメン トスペース分だけ大きくなるのは設計時の STL データ に関してのことであり,外径や深さが,セメントスペー スが増加すると大きくなるという傾向についての適切な 説明は理論的には不可能である.ただし,加工機の特徴 として中ぐり加工時と外形切削とでは切削工具が被研削 材に当たる方向が異なるため,内径と外径で仕上げの精 度に差が出ることは考えられる.また,深さ方向に関し ても,切削工具の切削部位が他と異なるため内径や外径 と異なる精度となると考えられる.しかし,セメントス ペースの付与による外径の増加は切削工具の動作とは無 関係のように思われるため,原因は不明である.内径に ついては,セメントスペースを 100 m m まで増加させて も設計値より小さな値となり,適合精度という点で問題 となると考えられるが,表 3 に示した適合性試験の結果 からは適合性に優れていることがわかる.この原因は, スキャンした STL データからワックスパターン削り出 しのデータを 3D CAD ソフトで作成するときに,ソフ ト的に適合させるためのセメントスペースの付与などを 考慮した処理が行われているのではないかと予想され, 加工時の切削工具を駆動させるソフトや駆動システムに よる補正が行われた状態で,ワックスの削り出しが行わ れたのではないかと予想される. 支台模型金型を用いて,実際に作製したワックスパ ターンおよび鋳造体の適合性試験を行った結果の表 3 か らは,IC では,設計値を 102%としたものでもわずかな 浮き上がりがあり,セメントスペースを考慮すると設計 値を 3%程度大きくしたもので成形する必要があると考 えられる.また,EX では,セメントスペースを 50 m m としてもわずかな浮き上がりを示し,セメントスペース 100 m mでほぼ膨縮率ゼロとなった.このことから,EX においても同様に設計値に 100 m m 以上のセメントス ペースを付与する必要があると考えられる.支台模型金 型の 3D スキャンを行った時にはホワイトパウダーを塗 布しており,取り込んだ模型は原型より大きいサイズと な っ て い る は ず で あ る が, パ ウ ダ ー の 厚 み(40 ∼ 60m m25))はあまり影響していないと考えられる.この 模型に適合するクラウンがセメントスペースを 100 m m も取らないと適合性に欠けるという結果からは,上述の ようにブラックボックス化されている 3D CAD ソフト と切削機の切削工具駆動ソフトの特徴と考えられる.

(7)

このように,IC および EX の結果から,3D CAD ソフ トの特徴と CAM の特徴を知ったうえで補綴物を設計す る必要性が大きいことがわかった.このような特徴を 知ったうえでデータ加工を行うことにより,歯科用高速 ワックス加工機を用いて適合性に優れたパターンや鋳造 体を作製することが可能であることが明らかとなった.

結   論

2種の方法で支台模型に適合するように STL データを 作成し,歯科用高速ワックス加工機で作製したワックス パターンおよび鋳造体について寸法精度および膨縮率を 測定し,比較検討した結果,以下の結論を得た. 1.ICでは,内径は 101%に拡大し,外径は 102%に 拡大したものが最も設計値に近い値を示した. 2.EXでは,内径はセメントスペースを 100 m m 増加 させても支台金型模型をスキャンしたときの STL デー タより小さな値となった. 3.適合性試験では,IC では 102%の拡大率で最も良 い適合性を示し,EX ではセメントスペースとして 100 mm で最も優れた適合性を示した. 4.IC︲101,IC102,EX︲050,EX︲100 など適合性の優 れた設計では,寸法精度および膨縮率についてワックス パターンと鋳造体の間に有意な差は認められなかった. 謝   辞 ワックスパターンの切削加工に多大なご尽力を頂いた テクニカルセンター DNC ミリングセンター関東の伊藤 隆文様に感謝の意を表します. 文   献

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参照

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