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早 稲 田 短 歌 号 積 雪 革 靴 揃 ぶ 秋 来 秋 耳 高 位 置 降 声 拾 器 放 長 ネ ギ 物 袋 丈 夫 味 付 濃 野 菜 多 肩 肩 寄 骨 組 差 込 光 真 湯 沸 袖 口 決 ず 肋 骨 ャ ツ 間 ず 厚 部 屋 ホ ョ コ レ 満 全 身 気 夕 暮 枕 毛 布 他

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Academic year: 2021

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(1)

連作

30首

*****4作品

  

近いうちに****山階

 

基‥

2

ゆれる、ゆれる、ゆれる***藤本未奈子‥

4

パンケーキ爆破****松永洋平‥

6

archaeopteryx diary

****吉田隼人‥

8

1

早稲田短歌四十一号

(2)

今夜のは積らない雪みたいだよ革靴を揃えながらつぶやく 夏にうまれたあなたには秋が来て秋にうまれたわたしには冬 耳よりも高い位置から降ってくる声を拾って器に放つ たとえ長ネギが買い物袋からはみ出していても大丈夫ですか いつもより味付けをちょっと濃くして野菜をちょっと多くしている なで肩に肩を寄せれば骨組みがこんなにはっきり差し込む光 真夜中にお湯を沸かしているためにほころびてゆく袖口がある すべて決まっているかもしれず肋骨とシャツの間のわずかな厚み もうじきに夜が明けてくるこの部屋をぬくいホットチョコレートで満たす 全身がひるむ気がした夕暮れの枕も毛布も他人のにおい こすったら火が点く仕組み冬なのでどこもかしこも成り立っている 缶コーヒー買って飲むってことだってひとがするのを見て覚えたの 大したものはないというのに電話ののちすぐに訪ねてくるのかお前 点々と残ってしまう梨の皮ひとつひとつをあらためて剥く

近いうちに

       

山階

 

(3)

近いうちに                山階基        夜明けまで話せるくらいお互いに知っているからくるしいことも 友人が嘔吐している   友人はわたしの前で嘔吐ができる 転生をすすめる友をあしらってわたしは冬の上着を羽織る 起きぬけにくしゃみが五度もつづくのはきっと紅茶の飲みすぎだねえ アスファルトのあちらこちらに蓋がありそこにたしかに満ちる空洞 帰り道あなたがわたしを覗きこむ顔の角度をみつけてしまう 買ってから一度も開けたことのない瓶が出てきた日のゆうごはん 朝なのでめざめるのですかめざめたら朝なのですか   傘なのですか 明日もここにいられましょうか咲き初めの桜の枝にさんざんと風 約束を一時間ほどまちがえたことに気付いた一時間前 よく見えないことを楽しもうよってめがねをふたつ並べてみたり 眠らないでいてくれたっていいよね   髪をかわかす間だけでも ドライヤーのがさつな風におこされてあなたがひとり伸びをする音 半身を預けた肩の凪いだ赤凪いだ緑をかき混ぜたくて 銀紙は光りものですポケットにいれっぱなしにしないでください あたらしい四月の朝の改札へ何んとはなしに見送りにゆく 3

(4)

プーさんが手放せぬ夜あの人は今何をしているのだろうか 思い出が雪崩落ちてきた机(どれもこれもかさばりやすい) 使わない鉛筆削る午後3時誰もワタシを認識しない 「戦争」と呟きながら荷造りを始める家族(何だか遠い) これほどにラジオを流す日々はなく、かえって気が滅入るようである 「顔立ちも生まれも育ちも違うけど『絆』を信じることは出来るの」 繰り返す(映像)繰り返す(言葉)繰り返す(映像)繰り返す 日常は有限だから気まぐれな放送禁止用語に注意 分かるもの分からぬものが混在す   リンゴが割れた金曜の夜 「この中に何が入っているでしょう?」 (茨城県のいちご狩りにて) プーさんの体内探るある深夜(これが、はらわた)チャックを閉じる 水底で溺れるような深い夢   五本の指で潰れる海月 「戦争だ」買い物帰り、母は言う膨らみ過ぎたビニール袋 重い蓋開けて溢れる災厄は全ての雲を深紅に染める

ゆれる、ゆれる、ゆれる

      

藤本未奈子

(5)

ゆれる、ゆれる、ゆれる                藤本未奈子        魔法とは解けないものだ(一人でも多くの人が焼かれない限り) 描き出す地図の中に潜む闇(角を曲がれば天神様が、 ) 亡き祖母を想う初冬   道端に置いて行かれた赤い手袋 劇場に何度も足を運ぶ子よ( 宴 うたげ は今も流されている) 秋冬が思ったよりも早く来た今年は何故か謳いたくなる 朽ち果てた城に接吻   今もなお 眼 まなこ に残るあの夜の虹 父親のうなじに残る黒歴史老いて生まれた嘘の申し子 魂の底に書かれた遺言書   最後の文字は波に呑まれる 「平穏は戻らないかもしれないの」安楽椅子で眠るイグアナ プーさんを抱いて眠る真夜中に狂ったように初めての自慰 他ならぬワタシが欲しい頭から爪先までの存在証明 焼け落ちた夕陽の中に閉じ込めた名前の付かぬ飴色の鈴 三日月の如く凍える指先で貞操守る醜き乙女 一昨日の月食前に叫ばれた二十世紀の滅びの呪文 もう一度ワタシの名前刻んでよ、首から下が消えないうちに これほどに空にぶちまけられたのだ   季節外れの花火に 幸 さち を 5

(6)

パンケーキ爆破

       

松永洋平

負けるって思い込んでろ   岡井すら光るレベルで私ははしゃぐ マニーマニーお金たくさん持ってきて   君とおうちを買いに行くんだ うん、この日。ワイシャツね。うん。これまでの愚息は派手に、鹿苑寺 バ バ バ バ バ バ バ ババババババ あかねさすゆふぐれは外道ともかくフレンチキッス うどんうどんメディカルチェック論理的に生きようとして窓から落ちる 未開拓ゾーン突入2分後の洋画を止めて夕立を待つ 相談を受けてみました(なんということはないけどちょっと漏らした) いくらでも。いえ、いくらとは赤道の長さに合わせ僕が決めます。 日和見のぴよぴよ徒党を組んでいる春が過ぎたら結婚しよう ゼンベイガ・ナイタ・カミングスーン・ドーン・ハニカミ・オン・ザ・ファンタグレープ 効け薬!信号無視しか悪いことしてない俺が頼んでるんだ! 明日から暴徒になって行き当たりばったり愛でて生きていくのだ (何様だ)ナイスミドルだ賞与くれ。くれなかったら直に触るぜ。 どっこい今夜は枕元からびよーんて伸びてくるから青白い腕 Be Gentleman. か ま し た れ ようこそ、相棒。

(7)

パンケーキ爆破                松永洋平        入り口でカートもらって駆け抜ける魚売り場の目玉のさんま ブオーン今夜はどこまで行こう   カタツムリ愛でるさながら天使のように おいちんはなにちんですか(ちんちんよ)頭良くなれ体なくなれ 畦道の上空遥か雲を行く   みんな普通に飛べないんだな バインバインボインボインと高鳴れば何処も同じ秋のゆふぐれ 退屈はしてないですか物陰を出ようとしない海に敬礼 タワーから飛び降りたって降り立ってやるよいいから俺に金貸せ パンケーキ爆破テロテロみんなみんな   朝の女子高生が走るよ 思ったんだけど紺地に大き目のクラゲ描いたらいい浴衣だな ぬるぬるの窓になりぬる原因のハゲは少女の肩で寝りぬる 枕投げ禁止たって先生、ベジタリアンは菊地だけだよ それはまた別のお話アフロって頭掻けないじゃんねかかりちょ 貯金して使ってまたちょ貯金していつも綺麗な顔をしている 珍しい奴を夢から取り出して昼夜を問わず水槽で飼う そのボタンツヨクオしたい衝動にかられて今日も火事がないこと 仲直りするのが昔嫌いでね東名高速道路のひかり チェイン   チェイン にんじんさんごぼうさんしいたけさん 7

(8)

archaeopteryx diary

   

吉田隼人

「現実」のてざはり粗し   ひのくれのきみの乳房の南半球 交接がうまくいかずにふたり聴くその冬いちばんつめたい雨を 春 し ゆ ん せ つ 雪 はかういふ音がするのだと嘘つく真夜に壁白かりき 「すぷらつたらつぱすらつぷすていつくのトムとジェリーのトムばりに死ね」 希望的観測   僕を棄ててのちきみにあかるい傘が似合ふよ ちきゆうにやさしいセブンの袋を提げてゐる僕に地球はもつとやさしく! 雨もやう東北道をくだりつつ泣きたいひとは後部座席へ 福 ち 島 に帰るまでが遠足   帰宅部の僕はそのみちのプロだと思ふ 庭には二羽ガッルス・ガッルス・ドメスティクスもつと僕にも敬意を払へ 葉桜は花の否定のただなかに dead or asleep   寝かせて。 分布図のごと点々と痣をなすきみのからだにけもの棲まふや 水棲のころの名残を露拭いた風呂の鏡にうつしてゐたり 古代種の鰭ふるゆふべ羊歯のごときみの睫毛は 侏 ジ ュ ラ 羅 紀を孕む シャワー室もくらがりなれば胸郭にしづく、とまがふ乳首をうかべ 関係はみづ浴びののち関係の濡れ羽色して飛び立ちにけり 七月六日 四月八日~十二日 三月二十九日~四月二日 三月十日

(9)

archaeopteryx diary                吉田隼人        うつくしいこひびとたちの死で終はる童話のやうに朝の吐瀉物 カーテンの一面はひかり孕むため拡がるものか   けふからが夏 はなたばは 放 は な つた場合はなたばは離ればなれの母にあなたに 夏風邪をひとの沙漠にきらめかせあなたの性欲をゆるさない 生きるのがつらうござるよ七月は僕にだけ遅刻してくるやうだ 点たちを積分すると線になるやうに故郷とあなたと僕は ねむること。きみの寝息のきこえない土地でねむること   どしやぶりのワイパー ねむるとき用の覚醒ねむれないとき用の夢   合歓、猫、音色 古書店に文学全集『白鯨』の巻のみ残し海とほき町 海つてさ遠いもんだね僕はきみの晩年によりそふ弱き葦 まつくろな電車だつたか盆すぎの海邊を 領 る生死といふは 夏が夏でなくなつてしまふあさつての方向へ消えてゆくあなたたち 大馬鹿者隼人のうへに満天の星をひろげて土曜は過ぎぬ ことごとにことだまを言ふ少女らの手紙てかがみ髪のたましひ 大陸でやがて発掘さるるといふかつてあなたであつた始祖鳥 九月二十六日~十月十四日 九月四日 八月十四日 七月九日~十二日 9

参照

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