はじめに
本市では、平成 23 年 4 月に水道事業と下水道事業の組織 統合を行い、より総合的に水環境を創る体制を整えました。 この組織統合後、枚方市上下水道局として、市民の暮らし や企業活動を支えるために、お客さまに信頼され、満足いた だける、持続可能な水道をめざす水道事業と、水環境を保全し、 快適な生活環境を創造するとともに、大雨による浸水被害から市民 生活を守る下水道事業に取り組んでいます。 本市の上下水道事業は、長引く景気の低迷や人口減少、さらには社会全体で の節水意識の広がりによる水需要の減少が見込まれ、厳しい経営環境の中で、 老朽化施設の更新・改良、局地的豪雨や地震などの災害への対応、技術の継承 問題など、さまざまな課題に対して取り組んでいく必要があります。 こうした状況に対応していくため、今後9年間で取り組むべき課題や目標を 掲げた新たな経営戦略として、「枚方市上下水道ビジョン」を策定しました。 今後は、このビジョンに掲げた目標の実現をめざし、より一層、職員の意識 改革を進め、能力の向上を図るとともに、効率的な経営のもとに、常に事業の あり方を検証し、本市上下水道事業を着実に進めていきたいと考えています。 本ビジョンの策定にあたり、ご尽力いただきました枚方市上下水道事業経営 委員の皆様、また、貴重なご意見、ご提言をいただきました市民の皆様に心か ら感謝申し上げますとともに、今後とも本市の上下水道事業に対するより一層 のご理解とご協力をお願い申し上げます。 平成 25 年4月 枚方市上下水道事業管理者 西尾 和三目 次 ページ 第1章 策定の趣旨と位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1節 策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第2節 ビジョンの体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第2章 施策の進行管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 第1章 枚方市水道事業の歩み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第2章 水道の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第1節 水需要の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第2節 水道施設の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第3節 給水の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第4節 水質の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 第5節 危機管理・防災対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第6節 環境保全に関する取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第7節 経営状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第3章 水道事業に係る将来予測指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第1節 人口予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第2節 給水人口と水需要予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第4章 水道事業のめざすべき方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第1節 基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第2節 基本方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第5章 今後の水道事業の基本施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 第1節 危機管理による安全重視の水道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 第2節 安定的な給水の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 第3節 安心して飲める良質な水の供給 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第4節 お客さまへのサービス向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第5節 官民の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 第6節 省エネルギーと環境保全 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
第 1 編 水道編
枚 方 市 上 下 水 道 ビ ジ ョ ン
ページ 第1章 下水道の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 第2章 下水道事業の歩み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 第3章 下水道の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 第1節 汚水事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 第2節 雨水事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 第3節 経営健全化に向けた取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 第4章 課題の解決に向けた方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 第1節 汚水整備の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 第2節 雨水整備・浸水対策の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 第3節 経営の健全化に向けた方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 *を付した用語は、巻末の「用語解説」で解説していますので、 ご参照ください。
第 2 編 下水道編
枚方市上下水道ビジョン - 1 - 第 1 章 策定の趣旨と位置づけ 第 1 節 策定の趣旨 本市の水道事業は、昭和 9 年 2 月に給水を開始して以来、行政区域の拡大や 人口急増に対応し、安定給水という「量」的課題への対応に力を注いできまし た。また、水源である琵琶湖・淀川水系の水質の改善など「質」的課題にも積 極的に取り組み、今日では、市民約 41 万人に水道水を供給しており、市民・事 業者等(以下、「お客さま」という。)に満足いただける、おいしくて安全な水 を安定的に供給するため、計画的かつ効率的な施設整備を行いつつ、より効率 的な水道事業経営を推進することを目標として、平成 19 年 8 月に「枚方市水道 ビジョン」を策定し事業を推進してきました。 一方、本市の下水道事業は、汚水と雨水を分けて排水する環境にやさしい分 流式下水道を採用し、昭和 33 年に整備事業を開始しました。今日では、汚水整 備事業は、人口普及率が 9 割を超え、公共下水道の普及に重点を置いた建設の 時代から、今後は施設の老朽化に対応するなど、維持管理の時代を迎えており ます。より効率的な施設の維持管理を進め、健全な経営を推進するため、地方 公営企業法を適用とすることとしました。 この下水道事業への地方公営企業法の適用を円滑に進めるため、また、水循 環を環境保全の観点から総合的に捉え事業展開を行える体制とするため、水道 事業と下水道事業は平成 23 年 4 月に組織統合を行いました。 そして、上下水道組織の統合を機に、水道事業、下水道事業のそれぞれの方 向性を示すために、従来の「枚方市水道ビジョン」を改定し、下水道ビジョン と併せ「枚方市上下水道ビジョン」(以下、「ビジョン」という。)として策定し ました。 本市の上下水道事業を取り巻く環境は近年大きく変化しています。 本市の上下水道の組織統合と時期を同じくして、平成 23 年 4 月に本市が浄水 の一部を受水*している大阪府営水道が本市を含む府内 42 市町村で構成する大 阪広域水道企業団へ再編されました。 また、東日本大震災を経験し、改めて耐震化の重要性が浮き彫りになりまし た。気象の変化に伴い、近年多発する局地的豪雨などによる浸水被害への対応 も大きな課題です。
枚方市上下水道ビジョン - 2 - さらに、水道施設、下水道施設ともに老朽化が進んでおり、施設を適切に維 持していくことがこれからの大きな課題であり、施設の更新、改良を耐震化と ともに積極的に進めていく必要があります。 経営面においては、長引く景気の低迷、節水意識の高まり、人口減少傾向な どによる水需要の減少に伴い、厳しい経営状況が予測されます。 このような本市の上下水道事業を取り巻く環境の変化や新たな課題にも的確 に対応し、次世代に安心して引き継いでいける施設のあり方や健全な事業経営 を進めるための基本的な方向性を示すものとして、平成 25 年度から平成 33 年 度までを計画期間として本ビジョンを策定しました。 本ビジョンの策定にあたっては、水道事業と下水道事業には、それぞれ個別 の課題と目的があり、それぞれに収支均衡の維持、収益の確保を図るなど適切 な経営管理を行い、両事業において経営健全化を目指す必要があります。この ため、本ビジョンの構成については、両事業の課題や方針を明確に整理し、わ かりやすくするために、「第 1 編 水道編」、「第 2 編 下水道編」としました。 なお、地方公営企業法においても、1 事業 1 会計を原則とされています。 また、本ビジョンの策定にあわせて、「枚方市水道施設整備基本計画」(以下、 「水道施設整備基本計画」という。)及び「枚方市水道事業中期経営計画」(以 下、「水道中期経営計画」という。)を改定し、「枚方市下水道事業経営計画」(以 下、「下水道経営計画」という。)を新たに策定し、効果的・効率的な上下水道 事業経営に取り組んでいきます。 上下水道ビジョン策定のイメージ ●上下水道組織の統合 ●大阪府営水道の大阪広域水道企業団への再編 ●震災を教訓にした耐震化のさらなる推進 ●局地的集中豪雨などによる浸水被害の軽減 ●施設の老朽化に伴う維持管理と更新・改良 ●より一層の経営健全化 上下水道事業を取り巻く環境の変化と課題
上下水道ビジョン
◇施設の整備、維持・更新、 耐震化を総合的に進めるため の方針 ◇安定経営に向けた経営指針 対応枚方市上下水道ビジョン - 3 - 第 2 節 ビジョンの体系 水道と下水道の組織統合に伴い、水道ビジョンと下水道ビジョンを合わせ「上 下水道ビジョン」として策定しました。なお、ビジョンは、国の「水道ビジョ ン」、「下水道ビジョン」及び「第4次枚方市総合計画」との整合を図り、本市 上下水道事業の目指すべき方向を示しています。また、ビジョンの実施計画と しての役割を担う「水道施設整備基本計画」、「水道中期経営計画」、「下水道経 営計画」をあわせて策定しました。 第4次枚方市総合計画(第2期基本計画)〔平成 21 年度~27 年度〕 水道ビジョン(厚生労働省) 下水道ビジョン(国土交通省)
枚方市上下水道ビジョン
〔平成 25 年度~33 年度〕水 道 編
下 水 道 編
実施計画 〔平成 25 年度~33 年度〕 ・枚方市下水道事業経営計画 実施計画 〔平成 25 年度~33 年度〕 ・枚方市水道施設整備基本計画 〔平成 25 年度~30 年度〕 ・枚方市水道事業中期経営計画枚方市上下水道ビジョン - 4 - 第 2 章 施策の進行管理 お客さまに信頼され、安定したサービスを継続できる上下水道事業を実現す るためには、本ビジョンに示した基本施策が確実かつ効果的に推進できる体制 の構築と進行管理の仕組みが重要になります。このため、ビジョンの実施計画 的な役割を担う「水道施設整備基本計画」、「水道中期経営計画」、「下水道事業 経営計画」を策定し、これらの計画の取り組みを客観的に評価する機関として、 有識者や市民等で構成する枚方市上下水道事業経営委員会において、経営評価 システムに基づく外部評価を実施します。 また、評価結果をホームページに公表するとともに、その結果を施策に反映 していきます。 1.枚方市上下水道事業経営委員会 経営委員会は、上下水道局が実施する経営評価の客観性を確保するため、 枚方市上下水道事業経営委員会規程に基づき設置した上下水道事業管理者 の諮問機関です。 平成 23 年 4 月の組織統合以降は、上下水道両事業の経営評価等をその担 任事務として、専門的見地から調査、審議し、管理者への意見具申を行っ ています。 2.経営評価システム 従来の「枚方市水道ビジョン」において、事業の進捗管理、事業効果の 点検・改善を図るため、水道施設整備基本計画及び水道中期経営計画の進 行管理等を目的に、水道事業ガイドライン業務指標(PI)*と水道中期経 営の計画主要施策に焦点をあてた「水道事業経営評価システム」を平成 20 年度に構築しました。 このシステムは、類似団体と業務指標等を活用した比較を行い、今後の 水道事業の方向を表わす「経営評価」と、中期経営計画に掲げた計画主要 施策の実績・成果について評価する「基本施策評価」からなっており、そ の評価結果をもとにビジョンの達成状況を検証しています。なお、水道事 業の経営・業務分析は、PI を活用しています。 今回のビジョン策定にあわせ、水道事業については、このシステムを継 承し、評価項目については見直しを行うものとします。 下水道事業については、水道事業に準じた「経営評価」と「基本施策評 価」を行うものとし、新たな上下水道経営評価システムを構築します。
枚方市上下水道ビジョン - 5 - 3.計画推進と進行管理の枠組み PLAN DO CHECK ACTION ◆水道中期経営計画 ◆下水道経営計画 ◆水道施設整備基本計画 上下水道事業経営評価システム ○上下水道局自己評価 ○外部評価(経営委員会) 外部評価に対する対処方針 ホームページ公表 (1)経営評価 (2)基本施策評価 上下水道ビジョン基本 方向の達成状況確認 施策への反映 上下水道ビジョンに基づく 基本施策の推進