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IRUCAA@TDC : HardからSoftへ

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

HardからSoftへ

Author(s)

田中, 陽一

Journal

歯科学報, 109(2):

i-URL

http://hdl.handle.net/10130/1872

(2)

!!!!!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!

Hard から Soft へ

田 中 陽 一

1960年から2000年までの日,伊,英,米,仏5カ国の口腔・咽頭がんの男性の年齢調整死亡率をみる と,1990年代前半までは日本が最も低い。しかし日本は1990年代後半には英,米を抜き,その後も常に 増加傾向を示している(WHO 死亡統計データベース1960−2000による)。他の4カ国は減少傾向を示し ており,唯一,我が国だけが現在もなお増加している。そして高齢化社会の影響もあってか,現在まで 減少に転じる兆しはみえない。口腔を視る機会はなんと言っても口腔医療専門職が多いことから,我々 歯科医の責務は重いといえる。今,乳がん,子宮頸がんなどでは,死亡率を減らすために検診の充実が 叫ばれ,国のがん対策推進基本計画は受診率50%以上を目標としている。近年,各地で歯科医師会,大 学病院,関連学会,地方自治体などが中心となり,口腔がんの集団検診が行われるようになった。一般 的な口腔がん集団検診の検出率は約0.09%で,乳がんや大腸がんの集団検診とほぼ同等である。しかし 現状では口腔がん患者の70%以上は,いまだに進行した状態で発見される。それ故,早期発見のための さらなる展開が望まれてもいる。東京歯科大学では,千葉病院,市川総合病院が独自に自治体などと協 力して10数年前から,がん検診を行っており,それぞれに効果を上げている。千葉県市川市では,市川 歯科医師会,本学口腔がんセンター,市川総合病院オーラルメディシン・口腔外科学講座,同臨床検査 科と共同で,1996年から集団検診を行っている。さらに2006年からはモデル事業として日常歯科診療の 際に口腔粘膜疾患にも常に目を向けてもらうため,液状細胞診を導入した。本システムは Oral Cancer Detecting System Ichikawa Network(OCDSIN)と名付けられ,第1期10名,第2期26名,第3期51名 の開業歯科医の先生がたが参加し,現在市川歯科医師会会員のほぼ半数を占める。1期は約1年間で毎 月1回の勉強会を行い,粘膜疾患,細胞診の基礎知識習得をはじめ実際の症例の検討などを行ってい る。細胞診を導入したことによって,細胞を採取するために注意深く粘膜の観察をしなければならず, より詳細な診察が可能となった。また細胞診は簡便な方法で,患者さんの負担も少なく,ある程度の診 断が可能である。特に液状細胞診は,細胞採取の不慣れな先生が行っても診断に十分な細胞が得られ る。そして集団(年1回視診,触診等),細胞診を用いた個別(年間を通じ随時)の2本立ての検診は,口 腔がんの検出率を上げたばかりではなく,前癌病変や感染症も検出し,市民,歯科医師の啓蒙活動にも 大いに役立っている。本年4月からは市川市の事業計画としても正式に承認され,他の5大がん検診と 同様に市民に広報され,その結果が大いに期待されている。このような動きは各地でみられるようには なったもののその数は少なく,死亡率低下に影響を及ぼすにはまだまだ様々な努力が必要と思われる。 しかし,従来ともすれば硬組織(歯牙)の治療が主体となっていた開業医の先生がたが,軟組織(粘膜)も 注意深く観察するようになり,実際にかかりつけの歯科医の手で最も初期のがんが検出された。これは 毎日の通常の歯科診療が,がんのスクリーニングとしても有効な方法であることを示している。口腔は 直視,直達が可能な部位であり,この利点を生かすべきである。FDI も「あらゆる口腔医療専門職が 口腔がんの早期発見と高リスク行動に関する患者教育において果たす重要な役割」を強調している。口 腔がんは依然として死に至る可能性もあり,顔面の形を崩す結果をもたらす疾患である。我々歯科医や 口腔医療関係者が少しでも早期にがんを発見することで,この疾患がもたらす不幸な結果を少なくする ことができる。全国に10万人とも言われる日本の歯科医の先生がたとともに Hard から Soft へ,Hard+ Soft を Keyword にこの動きを全国,そして世界に発信できたらと考えている。

(東京歯科大学市川総合病院臨床検査科 教授)

参照

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