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明星大学天文台によるフレア星EV Lacの観測及び発生頻度・放出エネルギー量の算出

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Academic year: 2021

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1

明星大学望遠鏡による

フレア星

EV Lac の観測

及び発生頻度・

放出エネルギー量の算出

14R1009 山村 高成

(2)

2

目次

要旨

1 研究対象の説明

1-1 フレア星 P4

1-2 EV Lac P5

2 観測

2-1 使用機材 P6-P8

2-2 観測方法 P9,P10

3 画像解析

3-1 画像処理 P11,P12

3-2 光度測定 P13

4 観測結果

4-1 観測データ P14-P17

4-2 フレアの有意性 P18-p20

4-3 フレアの放出エネルギーの算出 P21

5 考察 P22

謝辞 参考文献

(3)

3

要旨

本研究はフレア星 EV LAC を観測しフレアの発生頻度とフレアの放出エネルギーを求め ることを目的として行った。 大学構内のリッチー・クレチアン型反射望遠鏡(RC望遠鏡)と冷却CCD カメラを用いて フレア星EV LAC の観測を行った。その結果、12 月 22 日の 20 時 30 分 49 秒から一分間 (一分間の増光の直後、観測が中断し10 分後の再開時にはほとんどもとの明るさに戻って いた。)フレアと思われる増光を観測した。 この増光の有意性を検定した結果、十分の有意性でこの増光はフレアであったと言えた。 結果として、九時間の観測期間内に一個のフレアが放出されたこととなった。 フレアで放出されたエネルギーを計算し、定常的なエネルギー放出率の2×10!! の割合がフレアという形で平均的に放出されていると計算できた。これは、太陽のフレア 活動と比べて10!~10!倍大きい値である。

(4)

4

1-1 フレア星

図1フレア放射予想図

http://win.eanweb.com/prog_maass_monterosso.htm

(L’Osservatorio Astronomico di Monterosso Almo (RG))

太陽で起きるフレアと同じ爆発現象によって光度が増光する天体を閃光星やフレア星と 呼ぶ。フレアとはコロナに蓄積された磁場のエネルギーが、「磁気リコネクション」によっ て解放されることで発生する。磁気リコネクションとは、互いに逆方向を向いた磁力線が 接触して、磁力線のつなぎ変わりが起きる。そのときに、磁場のエネルギーが熱や運動エ ネルギーに変換される現象である。 通常太陽ではフレアが発生しても太陽全体の明るさはほぼ変わらないが、天体の光度が太 陽よりも遥かに低いフレア星はフレアの規模が小規模でも光の増光を観測することができ る。

(5)

5

1-2 EV Lac

EV Lac トカゲ座

等級

V=10.09 B=11.8

スペクトル型

: M4.5V

距離:

16.5 光年

半径:

0.35R☉

質量:

0.35M☉

赤経

22:46;49;73

赤緯 +

44:20:02.4

(6)

6

2 観測内容

2.1 使用機材

リッチー・クレチアン式望遠鏡

(RC 望遠鏡)

反射望遠鏡は、ニュートン式でもカセグレン式でもコマ収差があることが最大の欠点で ある。 コマ収差とは光軸外の一点を光源とする光が像面において一点を収束しない収差のことで 視野のすみに行くほど大きくなり、星像が扇状に広がって写る。コマ収差は眼視観測の場 合にはそれほど気にならないが直焦点撮影で写真を撮影するときには大きな問題になる。 デジタルカメラの場合では、撮像素子の面積が大きくなるほど、コマ収差が大きくなる。 このコマ収差を克服したのがリッチー・クレチアン型反射(rc)望遠鏡である。RC 望遠 鏡はコマ収差が全くなく、大型のデジタルカメラにも使用することができる。 構造は、凹面鏡で集めた光を凸面鏡で引き伸ばし、凹面鏡の後ろ側で観察する。筒の長さ に対して焦点距離が長くできる特徴もある。 口径 40cm 焦点距離 2800mm 図2 リッチー・クレチアン式望遠鏡

(7)

7

冷却

CCD カメラ

CCD とは日本語で「電荷結合素子」と呼ばれ、各画素ごとに蓄えられている光量の情報 を画素ごとの電荷を結合しながら一列に転送する構造のイメージセンサである。 CCD は、光が全く当たっていなくても、暗電流と呼ばれる熱的に発生する電流が生じ、画 素ごとに異なる電荷信号が出力され、画像に白点のノイズとして、表示されてしまう。 このノイズを暗電流ノイズと言い、常温の場合では、数秒間以上の露出をかけると画像全 体がノイズに埋もれてしまうが、冷却することによりノイズを軽減することができる。 この構造を持つのが冷却CCD である。 露出時間は伸ばすと画像の解析度が上がる代わりにノイズが増えてしまう。 図3 冷却CCD カメラ

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8

ジョンソンフィルター

研究で使用したCCD カメラはジョンソンフィルターが装填されており、今回のフレア観 測ではB バンドを使用した。 ジョンソンフィルターとは、恒星の色で分類する標準化された分光システムで用いられる。 紫外域(U:ultraviolet)、青色域(B:blue)、実視域(V:visual)の 3 色のフィルターであ る。また後に、もう一人の研究者「カズンズ」が、「R」及び「I」バンドを測定するための フィルターを定義した。 Bバンドが適している理由は定常時とフレア発生時の主に放射される波長の違いからフレ アを観測しやすくするためである。 温度T の星が主に放射される波長はウィーンの変位則 λ=β/T から求められる ウィーンの変位則とは、1893 年にドイツの物理学者ウィーンが発見したもので、 λは放射エネルギー(m)を示し、T は星の表面温度(K)、 β は比例定数でありその値は β=2.8977729×10!!(Km)である。 EV Lac の表面温度はおよそ 3400K とされており、定常時に主に放射されている波長は ≅ 850nmとなる。それに対し、フレア発生時は表面の温度が上昇し波長が短くなるので B バンドで測定する方が観測しやすくなる。 図4 http://www.sbig-japan.com/UBVRI/ubvri_m.html (世界標準規格「ジョンソン光電測光専用フィルター」)

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9

.2 観測方法

目標天体

EV LAC

EV LAC を観測対象に決定した理由は、EV LAC は 2014 年の同じテーマの卒業研究を行 った毛利直明さんの卒業研究論文を参考にできることがあった。またその他候補は、高度 が低く明星大学の望遠鏡による観測が適さないものや、観測可能な時間が日中であったた め決定した。 AAVSO(アメリカ変光星観測者協会)による目標天体の星図を使い、これを基準に観測を 行った。 同じ星図内に表示されている、光度変化が少ない星を比較星とした。 星の明るさは地上で観測する際に地球の大気層の状態変化により明るさが変化することが あり得る。目標天体だけでは光度変化が正確に観測できない恐れがあるため近くの変光し ない天体と相対的な光度を比較する必要がある。 AAVSO にある 107 と 98、二つ星を選出し比較星の等級は AAVSO で調べることができ目 標天体の光度を測定する基準にした。 AAVSO とはアメリカ変光星観測者協会の略称で、主にアマチュア天文家による変光星の観 測を組織し、観測結果を収集、評価分析を行い、天文学者や研究者にデータを提供する組 織である。本研究では、AAVSO のデータを使用させていただき、比較星 107,98 の等級、 EV Lac の定常的に放出している放射エネルギー量などを参考にしている。 観測したEV LAC は 11 等級の暗い天体であるため、露出時間を30秒に決定した。フレ アの発生時間は短く、一分だとフレアの観測を見逃す恐れがあるためである。 逆に露出時間を短く設定しすぎると画像解析の時間が膨大になってしまうことや天体が暗 すぎてピントがずれやすくなるなどの問題があると考えた。

(10)

10

図5、http://www.aavso.org/vsp/chart(AAVSO)

(11)

11

画像解析

3.1 画像処理

冷却CCD は、CCD カメラより軽減されているがそれでも暗電流ノイズが発生してしま う。観測して得た画像(ライトフレーム)は、フレーム補正が行われていなく白点の暗電 流ノイズ(ダークフレーム)が画面に映し出され正確なデータの解析ができないので、初 めにダークフレーム補正を行う。 ダークフレーム補正は初めに冷却CCD カメラを光が全く入らない状態で撮影し暗電流ノイ ズのみの画像(ダークフレーム)を撮影する。画像ごとに微小だがノイズの位置にばらつ きが出るため複数枚、本研究では10 枚撮影しそれらを加算平均した画像を用意する。 ライトフレームを加算平均したダークフレームで画像処理(ダークフレーム補正)を行っ た画像をデータ解析に使用する。 ノイズが同じ条件になるように、ダークフレームはライトフレームで撮像したときと同じ 露出時間と冷却温度で撮像すればよい。

(12)

12 図6 ダークフレーム画像 12/18 日撮影

(13)

13

3.2 光度測定

光度を求めることには、ステライメージを使用した。SKY 他の設定値は自動とし、測光値 はExcel によって計算した。 ステライメージの光度はボグソンの対数

m0-m1=-2.5{log10(F0)-log(F1)}

を使い等級を表している。 ボグソンの対数とはイギリスの天文学者ノーマン・ロバート・ボグソンが定義したもので、 天体の見かけの明るさから等級を計算できるようになった。 見かけの等級とは文字の通り、地球から見た時の天体の見かけの明るさを示す指標である。 本来は同じ明るさの天体であっても、近距離にあるものの見かけの明るさは明るく、遠方 にあるものは暗く見え、 また近距離であっても非常に暗い天体や、遠距離でも非常に明る い場合は、遠距離にある天体の方が明るく見える。 このような、見かけの明るさの指標と なるのが見かけの等級である。 m0 は目標天体 EV Lac、m1 は比較星。F0,F1 はステライメージで求められたカウント数 を示している。 図8 光度測定中のステライメージの画像。 赤い印は目標天体をさし、緑の印は比較星を示している。

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14

観測結果

観測は2017 年 12 月 14 日、18 日、22 日の3夜、合計九時間ほど行った。

4-1 観測データ

観測データをステライメージで測光し、テキストデータをEXCEL で比較入力して比較 星2つの等級を入力し目標天体であるEV Lac の等級光度を算出した。その後比較星2つの カウント数とEV Lac のカウント数を使い、求めた光度の精度について B バンドのデータ をグラフ化した。今回使用した比較星の等級はB バンドで 107 は 10.95 等級 98 は 11.25 等級である。 得られた光度曲線を図9から図13まで示す。 図9 2017/12/14 20:35:50-21:20:47 EV Lac B バンド 光度曲線 11.7 11.75 11.8 11.85 11.9 11.95 20:35:50 20:37:33 20:39:15 20:40:58 20:42:40 20:44:22 20:46:05 20:47:47 20:49:30 20:51:12 20:52:55 20:54:37 20:56:19 20:58:02 20:59:44 21:01:27 21:03:09 21:04:51 21:06:34 21:08:16 21:09:59 21:1 1:41 21:13:23 21:15:06 21:16:48 21:18:31 21:20:13 時間(分)

光度

EV Lac

(15)

15 図10 2017/12/18 19:35:51-20:32:13 EV Lac B バンド 光度曲線 図11 2017/12/18 20:57:43-21:54:04 EV Lac B バンド 光度曲線 11.7 11.75 11.8 11.85 11.9 19:35:51 19:38:42 19:41:33 19:44:23 19:47:14 19:50:05 19:52:55 19:55:46 19:58:37 20:01:28 20:04:19 20:07:10 20:10:00 20:12:51 20:15:42 20:18:33 20:21:24 20:24:15 20:27:06 20:30:31 時間(分)

等級

EV Lac 11.6 11.65 11.7 11.75 11.8 11.85 11.9 11.95 12 12.05 20:57:43 20:59:26 21:01:08 21:02:50 21:04:33 21:07:24 21:09:06 21:10:49 21:12:31 21:14:14 21:15:56 21:17:39 21:19:21 21:21:04 21:22:46 21:24:29 21:26:1 1 21:27:54 21:29:36 21:31:19 21:33:01 21:34:43 21:36:26 21:38:08 21:39:51 21:41:33 21:43:16 21:44:58 21:46:40 21:48:23 21:50:05 21:51:48 21:53:30 時間(分)

等級

EV Lac

(16)

16 図12 2017/12/22 19:35:00-20:31:23 EV Lac B バンド 光度曲線 図13 2017/12/22 20:41:04-21:37:26 EV Lac B バンド 光度曲線 11.65 11.7 11.75 11.8 11.85 11.9 19:35:00 19:37:18 19:39:00 19:40:42 19:42:25 19:44:07 19:45:50 19:47:32 19:49:15 19:50:57 19:52:40 19:54:22 19:56:05 19:57:47 19:59:30 20:01:12 20:02:55 20:04:37 20:06:20 20:08:02 20:09:45 20:1 1:27 20:13:10 20:14:52 20:16:35 20:18:17 20:20:00 20:21:42 20:23:25 20:25:07 20:26:50 20:28:32 20:30:15 時間(分)

等級

EV Lac 11.7 11.75 11.8 11.85 11.9 20:41:04 20:43:55 20:46:46 20:49:36 20:53:01 20:55:52 20:58:43 21:01:34 21:04:25 21:07:16 21:10:06 21:12:57 21:15:48 21:18:39 21:21:30 21:24:21 21:27:1 1 21:30:05 21:32:53 21:35:44 時間(分)

等級

EV Lac

(17)

17 図12の右端の観測データ20:30:49 と 20:31:23 の二点が増光しておりフレアと思われるも のを観測した。 観測データが20:31:23 で途切れているのは、時間の経過とともに焦点がずれ正確な数値を 図るためにピントを合わせ直しているタイミングと重なってしまったためである。約10 分 間の最初の点20:41:04 にはまだ少し増光が残っているように見えるが次の点からは通常の 明るさに戻っている。20:30:49 からの増光の継続時間は 1 分以上 10 分未満ということにな る。 2017/12/22 は天気の状態は快晴で、観測時間も EV Lac の高度が高い時点での観測を行 ったため、天候によるシーイングのずれも少なく等級光度のぶれも少ない中、数値が上昇 したのはフレアが発生したためだと思われる。 その他の観測データでは突出して数値が上昇しているものはなく、上昇している場合の等 級光度データはぶれ幅が大きい。また図9や図10のデータの終わりごろにはむしろ減光 しているように見える。これらは天候が観測にすぐれない状態であった場合やEV Lac の高 度が低くシーイングが悪い状態であったためだと思われる。

(18)

18

4-2 フレアの有意性

図10のデータはステライメージによるボグソンの対数で求めた等級表示で、天候(主に雲 に隠れるなど)やシーイングが原因で比較星の光度が下がり相対的に EV Lac の光度が上昇 している可能性もあるため、補正後の画像のカウント数(放射強度[F])をグラフ化してフ レアの発生が測定による誤差でないことを検証した。 図14のデータからフレアの発生時と思われる時間帯に比較星二つの光度に特別な変化は 見えず観測値はEV Lac のみ大幅に上昇しているのが確認できる。 図14 2017/12/22 20:00:38-20:31:23 EV Lac カウント数表示 0 50000 100000 150000 200000 250000 300000 350000 20:00:38 20:01:46 20:02:55 20:04:03 20:05:1 1 20:06:20 20:07:28 20:08:37 20:09:45 20:10:53 20:12:01 20:13:10 20:14:18 20:15:27 20:16:35 20:17:43 20:18:51 20:20:00 20:21:08 20:22:16 20:23:25 20:24:33 20:25:41 20:26:50 20:27:58 20:29:06 20:30:15 20:31:23 カウント数 時間(分) EV Lac 比較星 1 比較星 2

(19)

19 より明確にフレアの発生と思われる有意性を検定するために、検定する数値の平均からの ずれを全体の標準偏差で割った量を見る方法を使用した。 測定したそれぞれの数値をXi、測定された全体の平均を Xa、標準偏差σを用いて平均から のずれの度合いYi とすると YI = (Xi − Xa)/σ この量が3 以上になるとカウント数の増加はデータの標準的なばらつきとは考えにくくフ レアが発生していると言える。 図15 2017/12/22 20:00:38-20:31:23 標準偏差を用いて求めた平均からのずれ(YI) 図15 はフレアが発生したと思われる図 12 のデータの後半部分につき、EV Lac の比較星1、 比較星2に対し、上記Yi の計算を行った結果を示す。EV Lac の最後の 2 点だけが4~5 の数値に上がっているのがわかる。 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 20:00:38 20:01:46 20:02:55 20:04:03 20:05:1 1 20:06:20 20:07:28 20:08:37 20:09:45 20:10:53 20:12:01 20:13:10 20:14:18 20:15:27 20:16:35 20:17:43 20:18:51 20:20:00 20:21:08 20:22:16 20:23:25 20:24:33 20:25:41 20:26:50 20:27:58 20:29:06 20:30:15 20:31:23 YI 時間(分)

平均からのずれ

(YI)

EV Lac 比較星 1 比較星2

(20)

20 さらに図16には図15中のEV Lac の YI の数値の頻度分布を作った。大部分のデータは 0 の周りにガウス分布的に分布しているのに対しフレアと考える 2 点はそこから大きく外れ ていることがわかる。以上のことから2017/12/22 の 20 時 30 分 15 秒と 20 時 30 分 49 秒 の二点で観測された増光は実際のフレアによるものだったと言える。 図16 2017/12/22 20:00:38-20:31:23 YI 観測各点のカウント数を頻度分布表示 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 個数 YI

頻度分布

EV Lac

(21)

21

4-3 フレアの放出エネルギーの算出

本研究で観測したフレアの放出エネルギーをAAVSO で得られた EV Lac の定常的な放出エ ネルギーと本研究で観測したデータを使用し比を使ってフレアの大きさを求める。 フレアの増加した部分をxi,平均を xa とすると、 増加量∆xi は ∆𝑥i=(𝑥𝑖−𝑥𝑎) 本研究でのフレアで増加した全てのカウント数を足した値Y は Y = ∆𝑥𝑖 ! !!! 一方、EV Lac の定常的な光度は L=4×10!"𝐽𝑠!! なので、露出時間を30秒で行った観測の平均的な30 秒ごとのカウント数 xa に対応する 放射エネルギーEx は Ex = 4×10!"𝐽𝑠!!×30𝑠 = 1.2×10!"𝐽 フレアの放射エネルギーEyを求めるは、 𝑋a:𝐸𝑥=𝑌:𝐸𝑦 より、 Ey ≅ 2.8×10!"𝐽 となる。

(22)

22

5 考察

今回のEV LAC の観測にあたり、天候次第で数値が乱れフレアの発見が困難であった。 また明星大学の望遠鏡では1つの波長でしか観測できず、小型のフレアの観測を見逃して いる可能性がある。 過去に同じ内容の研究を行っていた毛利直明さんの観測結果では≅ 1×10!"𝐽のフレアを観 測しているフレアの継続時間は約90 秒程で、本研究でのフレアも約 60 秒以上(ピント合わ せで観測が途中で途切れている)で観測内容は特別大きな差がないと言える。 毛利直明さんの観測結果では 9 時間の観測の中で 1 つフレアを観測している、今回の観測 も約9時間行われ一つのフレアを観測した。 一方で過去の京都大学のフレアの観測結果と比較すると毛利直明さんの論文にも記載さ れているが明星大学(RC)望遠鏡ではフレアの抽出時間は約 90 秒なのに対して京都大学 のデータでは、継続時間が約430 秒であった。 広島大学の望遠鏡は口径が 1.5m で観測波長域 360-1000nm,波長分解能 R~20,時間分解能 1 秒という高性能分光装置を持つ高性能な望遠鏡である。それに対して明星大学望遠鏡では 一つの波長しか観測できなかった。またフレアの発生回数も京都大学のデータでは47 時間 当たり、31 個のフレアが観測されている。本研究と毛利直明さんの観測データでは共に約 九時間に一度と言う観測結果が出ていることから明星大学望遠鏡では小型のフレアの観測 が口径の違いや天候の影響で観測できていない可能性がある。また、本研究では B バンド を使用したがさらに観測に適しているのはU バンドである。EV Lac は M 型星であり、赤 い波長域が優勢であるのに対して、フレアは青いほうの光が優勢であるのでフレア検出に は可視光の中で一番青い波長域の長いのU バンドの方が良い。さらに今回の EV Lac の観 測は露出時間を30 秒で設定したためフレアの放出エネルギーの最大値の観測を見逃してい る可能性もあるためフレアの放出エネルギーは測定された値よりも大きい可能性があり、 小型のフレアを見逃している要因になっている可能性がある。 しかし明星大学望遠鏡での観測データだけでもこの規模の大きさのフレアと太陽の同規 模のフレア発生頻度を比較すると EV Lac のフレアの発生頻度がとても高いことが説明で きる。 下の図17から太陽の発生頻度を求めると ≅ 2.8×10!!/日) であり、太陽では1 2.8×10!! 個/日≅ 36日に一回フレアが起きることになる。それに比べ EV Lac は九時間に一度と非常に頻繁にフレアが発生していると言える。

(23)

23

(24)

24 本研究で抽出したフレアの平均放出エネルギーがEV Lacの定常的に放出しているエネル ギーに対してどのくらいの割合になっているかを求めてみる。 2.8×10!"J のフレアが9時間で一つ発生したことを単位時間当たりのエネルギー放出率を 計算すると

2.8×10

!"

𝐽

32400𝑠

!!

8.8×10

!"

𝐽𝑠

!! となり、定常的なエネルギー放出率に対する割合は

8.8×10

!"

𝐽𝑠

!!

4×10

!"

𝐽𝑠

!!

≅ 2.2×10

!! となりフレアの発は EV Lac が定常的に放出しているエネルギーに微小な影響しか与えず 光度にはほとんど影響しないことがわかる。 毛利直明さんの観測データで計算した場合は

1×10

!"

𝐽

32400𝑠

!!

= 3.1×10

!"

𝐽𝑠

!!

1×10

!"

𝐽𝑠

!!

4×10

!"

𝐽𝑠

!!≅ 2.5×10−4 で平均を求めても両者ほとんど同じ数値となる。フレアで平均的に放出されるエネルギー はEV Lac が定常的に放出しているエネルギーに比べ格段に小さいことがわかる。 しかし、太陽においてはフレアで放射される平均エネルギーは、定常的に放射されてい るエネルギーの10!!~10!!程度とされている。このフレア星でのフレア活動は太陽に比べ格 段に活発であると言えよう。 今回の観測で明星大学望遠鏡で観測できるフレアの頻度やフレアで放射されるエネルギ ーが EV Lac の定常的に放出するエネルギーにどのくらいの割合になっているかなど求め ることができたが、毛利直明さんの観測データと含めても2個のフレアしか観測できなか った。より正確な数値を求めるためのデータとしては不十分であった。観測内容が不十分 だった要因はフレアの発生は不規則で継続時間も約90 秒と短く観測が難しいことがあげら れる。さらに過去に毛利直明さんは露出時間を5秒と設定し観測したが画像解析の時間に 膨大な時間が費やされ全てのデータを解析することができずに研究が終了していた。本研 究では露出時間を30 秒に設定して観測したがこの露出時間ではフレアが放出するエネルギ ーの最大値を観測し損ねている恐れがある、また露出時間を30 秒としても解析時間は充分 長い。しかし露出時間を短く設定するとEV Lac が観測に適する期間である 10 月以降の観 測で長期的に観測するには卒業研究の内容としては解析時間の負担が大きい。 もし、次回観測をする場合は、解析を自動的に行うプログラムを作るなどして膨大な解析 時間を短縮する方法を考えるべきである。解析時間が短縮できればより正確に多数のフレ アを観測できるようになりフレアの性質の理解を深めることができるだろう。

(25)

25

謝辞

本研究を行うにあたり井上一先生、小野寺幸子先生、日比野由美さん本当にお世話になり ました。また知識が乏しい私に観測方法から解析方法まで何度も丁寧にご指導していただ き本当にありがとうございました。

参考文献

http://win.eanweb.com/prog_maass_monterosso.htm

(L’Osservatorio Astronomico di Monterosso Almo (RG))

http://www.sbig-japan.com/UBVRI/ubvri_m.html (世界標準規格「ジョンソン光電測光専用フィルター」) http://www.aavso.org/vsp/chart(AAVSO) http://www.jaxa.jp (JAXA) https://www.nasa.gov (NASA) 冷却CCDカメラによる観測入門 福島 英雄 シリーズ現代の天文学 恒星 日本評論社 シリーズ現代の天文学 太陽 日本評論社 明星大学 卒業研究論文 明星大学望遠鏡によるフレア星EV Lacの観測 毛利直明

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