プリント回路基板周辺の電磁界解析へのスーパーコ
ンピュータの利用(3.2 第3回情報シナジー研究会,
3. 研究活動)
著者
春日 貴志, 井上 浩
雑誌名
年報
巻
4
ページ
83-86
発行年
2005-05
URL
http://hdl.handle.net/10097/48511
プリント回路基板周辺のt租界解析へのスーパーコンピュータの利用
春日 貴志 井上 浩 秋田大学 工学資源学部
あらまし 電子機器からの広い帯域に渡る電磁ノイズ放射が問題となっており,電子機器周辺での 電磁ノイズ分布を求めることが必要である.本研究では,電磁界解析法の一つである有限差分時間 領域駐(Fimite Difference Time Domin method: FDTD method)を用いて電磁界分布を解析するた め,スーパーコンピュータを用いた計算の高速化と,プリント回路基板(PCB)周辺の電磁界 分布を求めた.ベクトル化,並列化に適したプログラミングを行うことにより,計算の効率化 が実現できた. PCBから放射する電磁界ノイズをFDTD法により解析した結果, PCB中心か ら±150mm以内では基本周波数の3MHzで放射が最大となることが明らかとなった.
1.はじめに
DC・DCコンバータやスイッチング電源などの プリント回路基板酔IiI血CirdtBoard: PCB)か らは,スイッチングに伴うノイズ放射が広帯域で 観測される111.特に低周波の電磁波ノイズは電子 機器周辺で問題となっているが, pCB周辺での電 磁ノイズを測定もしくは予測する方法は無い【21. このため, PCB周辺でのノイズを予測する方法を 確立することが必要である. 本研究ではこれまで,有限差分時間領域法t3,4】(FirBte Diqem TiI聡DoI血l II血: FDTD
med血)を用いてPCB周辺の電磁界解析を行って きた. FDTD法は,マクスウェルの電磁界方程式 を差分化し,空間と時間簡戒で数値解析するシミ ュレーション法である.この方法はモデル4ヒが容 易であることや,時間領敏すなわち波形での解析 が出来ることなどから,近年アンテナや亀鑑界の 解析に良く用いられる解析手法である【41.微分方 程式を数値計算する方法であるため,解析空間内 のセル数を細かくとれさff十算精度の向上が望まれ るものの,解析量が膨大となるため「股のコンピ ュータでの計算は困難である.精度良く広範囲の 計算を行うためには,ス-づ1-コンピュータのよ うな大規模な計算機システムを利用することが必 要である【5,6】. これまで,東北大学情報シナジーセンターのス ーパーコンピュータを利用して,高速計算に適し たFDTDシミュレーションのアルゴリズムについ て検討してきた[6・S).本稿ではPCBモデルからの 電舷放射解析のための高速化を行い, PCB周辺部 における電磁界分布を解析した. 2. FDTDシミュレーションの高速化 2.1. FDTt)解析モデル スイッチング素子を搭載したPCBモデルから の電磁放射を検計するため,図1に示すモデル基 板を作製し,実験とシミュレーションによって pcB周辺の電磁界分布を求めた. PCBモデ/レは, 長さ185m,幅2rrmの信号線路を,トランジス タによるスイッチング回路で駆動した.線路の終 端はlknのチップ抵抗で終端した.裏面は全面銅 箔である.低周波で駆動したPCBモデルからの電 磁界放射を想定して, 3Mtk, 5Vp・pの方形波によ ってスイッチング回路を駆動した. 図2にFDTD法による電磁界分布解析モデルを 示す.単位セルサイズはAx=1, 4戸2.5, Azg.255mm であり,時間ステップ加は0.82psである.吸収境 界条件にはM肝の吸収境界条件を用いた. PCB周 辺での電磁界解析を行うため,図2に示す解析蘭 域を確保した.解析空間が非常に広い場合, 3重 ループの計算量が膨大となるため汎用コンピュー タでは計算が困難となる.また,解析モデルの電 気的相性に応じて電界と磁界のパラメータが異な るため,計算時にはそれぞれの媒質毎の電界もし くは磁界計算を行う必要がある.このため,大規 模計算システムすなわちスーパーコンピュータを 利用する計算が必要となる.この際,スーパーコ ンピュータの高速化に適したアルゴリズムを適用
することが重要であることから, 2.2節で高速化の 検討を行った. ぐW aHIWlウ息r轡叩盛碓脚tW iy'芳 .1ヱさTTtTTT 図1 PCBモデル _1Etd MLが5, ,tBC 図2 PCB周辺の葡法界分布解析モデル - 子 てT:- 一一一一一一一‥二T=二子=== i
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・4---I-〟--.---MJW---.-..---・.---.-225mm 図3 高速化シミュレーションに使用したPCBモ デル 2.2.高射ヒの手法と検討[6] 高速化を図るため, (1)プログラミング言語による計算速度の違い (2)ベクトル化・並夕牝に適したプログラミング (3)ノイズスペクトルの推定に必要な最短信号 長 の3点について検討した. (2)の具体的な対策とし ては,ベクトル/レープ中にF-a.SE文があると計 算効率が悪くなることから, 『且SE文を用いな いプログラミングを行った.さらに/レープ長の最 も長いループにはべクトJLlヒ命令を,次に長いル ープには並列化命令を指定した. (3)については, 繰り返し連続波形を想定して,スペクトルが推定 可能な最短デ」タ長について検討した.検討には 簡易的なpCBモデルを用いて検討を行った.高速 化の検討に用いたPCBモデルを図3に示す. FDTD法における単位セルサイズは.b-2.51mm, AJF5mm, Azg.35mとし,時間ステップ心は I.15psである.解析空間のセル数と計算時間の関 係を考察するため, 2種類の解析空間(l00× 100× 2∝加11, 300 × 300 × 400cdu)について計算した. プログラミング言語の違いによる計算時間につ いて検討した. C言語とFORIRAN90による計算 プログラムは,それぞれシングル, 8, 16, 32並 列で計算し,並列CPUの違いについても比較した. また,時間ステップ数〃は1,㈱回とした.シン グルはUserTmc,並夕は計算で使用したCPUの うち最も利用時間の長いCPU時間を表1にまとめ た. 100×100×2∝加11における解析では, 8並列 の結果が最も良く, C言語よりもFOm90の 方が6.3倍高速計算可能であった. 16, 32並列の 計算に時間がかかったのは,オー/もー、ツドによ る影響と考えられる. また,ベクトル,並夕Fyヒに適したプログラミン グの改善前後の比較,および解析空間の違いによ る比較も表1に示した. S並列で比較すると,改 善によって約1.3倍の高速化が可能であった. 『・Ⅲ一SE文の除去により,計算回数が増加するも のの,ベクトルループ中の計算効率が高まったた め,計算時間の短縮につながったと考えられる. 300×300×4hllの解析では, 100× 100×200ceu よりも並列ループにかかる計算量が増加したため, 16並列で最も効率が良くなったものと考えられ る.解析量の異なる二つのモデルについて,時間 ステップ数に対するCPU時間の関係を図5に示す. 二つの解析モデルは,最適な計算条件によって解 析を行っている.時間ステップ数が増加するにつ れて, CPU時間も比例して増加する.解析空間の 計算量によって比例係数は異なるが,時間ステッ プ数とCPU時間に比例関係が成り立つため,少な い時間ステップ数から最終的な計算に要する時間 が予測できる.あらかじめ少ない時間ステップ数 によって最適な並夕倣を探ることは,計算効率の点で重要であると考えられる. 表l CPU時間の比較uvTEl㈱ステッフつ CPU ニ 誣V vR ト ツ鵜2 鳴 Fo血190 1(氾×lOOX2(氾cBll 00×3(氾 ×4(氾ceu Uhimprovd ラfB Sin貞e 鼎 2 158S 塔52 1556S 8円Ⅰdlel 兎2 3ls 52 217S
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Number of calculation time stでPS
図4 時間ステップ数に対する計算時間 3. P岱周辺の電磁界分布 図5に給電点から1cmにおける電乾界波形を示 す. 0.16psにおいて,スイッチングトランジスタ はOFFからONに遷移する.トランジスタは 0.16ps毎にONとOFFを繰り返す.トランジスタ がOFFからONに遷移するとき,電界は急激に nghからbwに遷移するが,逆にトランジスタ がONからOFFに遷移するときさ斬ゝに勧ロす る.磁界波形もONからOFF, OFFからON-逮 移する場合によって特性が異なる. 図6に信号線路上の電殉均と磁界職分布を示 す. 3MItzの電界・磁界分布は均一であるが, 216MtkでGu4, 438MHzでGu2の特長が現れ ている.スイッチングトランジスタの出力インピ ーダンスは,スイッチングによって変化するが, 定在波が勧rJされる. 0 4 号fv] 蛋_0 .0 0.I 0.ヱ 03 0.4 0.5 0.6 Time litS.7 (a)電界
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0 0.I 0.2 0,3 0,4 0.5 0.6 'nme fpsI O))磁界 図5 電磁界波形(給電点より100カ封50
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50 0 5 10 15 y lcm] (a)電界 00恥帥706050胡 ■一ll一 首fvTigp] 首… '■一一'■'■ー'l'-I 3MHZ. '●--。...バー. ネ ツ ヱl糾l..kU ▲▲▲▲-AA▲▲▲▲▲.▲▲ ■■暮一■ ■ ■● 4r3毛批 白 ツ 0 5 10 15 y tem] O))磁界 図6 信号線路上の電舷界分布図7はPCB周辺における電界何と磁界岬の分 布である. X方向は,基板中心から±15cTn. Z方 向は基板上3mの範囲とした.電磁界分布は, 基板長手方向の電磁界の平均値をプロットし,エ ラーバーは最大値と最/日直を示している. 3 MHzでは最大値と最小値の差が小さく, y方 向の分布はほぼ一定であることがわかる.一方, 216および438MIkの共振周波数では, PCB上で の分布のばらつきさ朝を大で約25 dBあるが, PCB 縁端から12 cm離れたX-150 ce皿, 450 ceuでは最 大値と最小値の差は6dB以内であった.このこと は,基板から12 cm以上離れると基板の長手方向 の葡滋界分布の差はほぼなくなることを示してい る. 首,[^ま宅】蔓 x lccul (a)電界 X LC亭lり
¢)磁界
図7 PCB周辺の髄界分布4.おわりに
PCB周辺の電敵界分布をFDTD法によって解析 するため,計算の高射ヒについて検討し,実際に PCB周辺の電磁界分布を解析した.スーパーコン ピュータSX-7を用いることにより,高速計算が 実現した.また,ベクトル化,並列化に適したプ ログラミングを行うことにより,計算の効率化が 実現できた. PCBから放射する髄界ノイズをm法によ り解析した結果,スイッチングがα甲からONに 遷秒するときにノイズ蜘ミ大きく,このノイズ 放射が間頓となることが明らかとなった. PCB中 心から± 150m以内では基本周波数の3MIzで 放射が最大となることが明らかとなった.参考文献
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SENAC vol.36, rK).4, pp2 I-30, (2003年).
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