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大学の外国語学部における必修科目再履修者の現状と取り組み

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(1)

大学の外国語学部における必修科目再履修者の現状

と取り組み

著者

平田 和彦

雑誌名

研究論集

91

ページ

247-265

発行年

2010-03

URL

http://doi.org/10.18956/00006169

(2)

大学 の外 国語学部 にお ける

必修科 目再履修者 の現状 と取 り組み

平  田 和  彦

要   旨   本 学 外 国語 学 部 に お け る必 修 科 目再 履 修 者 の 現 状 を論 考 す る。 筆 者 は本 年 度(2009-2010)、 1年 次 必 修 科 目で あ る 「英 語Ⅱ 」(全 員 再 履 修 生)を 担 当 して い る。 した が って この ク ラ ス は 受 講 牛 全 員 が2年 生 ∼4年 生 で あ り、 通 常 の1年 生 だ け で 編 成 さ れ て い る 「英 語Ⅱ 」 の ク ラ ス とは 大 き く性 格 が 異 な って い る。 す な わ ち 、 初 期 段 階 よ り学 習 者 の 習 熟 度 ・学 習意 欲 ・学 習傾 向 お よ び 学 習 嗜 好 ・授 業 態 度 ・参 加 意 欲 等 の 点 で さま ざま な 学 生 た ちが1つ の 教 室 に 会す る状 況 が 生 ま れ て い る と言 え る。   木 稿 で は 授 業 担 当者 が 直 接 的 な学 習指 導 の み な らず 、 ク ラス を取 り巻 くさ ま ざま な 問題 点 を 報 告 し、 そ の 実 態 の 検 証 と改 善 策 を 学 生 か らの ア ンケ ー ト ・デ ー タを も とに 考 察 して い く。 キ ー ワ ー ド:英 語 教 育 、 再 履 修 、 必 修 科 目、 欠 席過 多 、 学 習 意 欲 1.は じ め に   今 日大 学 で は 学 生 の 基 礎 学 力 の 低 下 が 問 題 視 され て い るが 、 この こ とは 必 修 科 目に お け る再 履 修 生 の 増 加 に も影 響 を 与 えて い る。 しか し、 「ど う して 再 履 修 しな け れ ば な らな くな った の か 」 とい う問 い に対 す る各 学 生 の 事 情 は 基 礎 学 力 の 低 下 だ け で は な く、 多 岐 に わ た って い る。 そ の1つ として 、 学 生 の 授 業 へ の 不 参 加 が あ げ られ る。 具 体 例 として 、 再 履 修 生 の 出席 状 況 を 表1と して 示 す 。 247

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表1  再履修生の授業への出席状況 授 業 回(月/日) 登録 出席 率 授 業 回(月/日) 登 録 出席 率 第1回(4/15)* 40名 32名 80% 第15回(6/12) 39名 19名 49% 第2回(4/17) 40名 24名 60% 第16回(6/17) 39名 9名 23% 第3同(4/22) 40名 24名 60% 第17「 可(6/19) 39名 15名 38% 第4回(4/24) 40名 22名 55(% 第18回(6/24) 39名 15名 38(% 第5回(4/29) 40名 19名 48(% 第19回(6/26) 39名 18名 46(% 第6回(5/1) 40名 26名 65% 第20回(7/1) 39名 20名 51(% 第7回(5/8) 40名 25名 63(% 第21回(7/3) 39名 16名 41% 第8回(5/13) 40名 19名 48% 第22回(7/8) 39名 15名 38% 第9回(5/15) 39名 24名 62% 第23回(7/10) 39名 12名 31% 第10回(5/27) 39名 16名 41% 第24回(7/15) 39名 23名 59% 第11回(5/29) 39名 17名 44% 第25回(7/17)** 39名 18名 46% 第12回(6/3) 39名 19名 49% 第26回(7/22)*** 39名 18名 46% 第13回(6/5) 39名 18名 46% 第27回(7/24)*** 39名 20名 51% 第14回(6/10) 39名 18名 46% 第28回(7/29)**** 39名 28名 72% (注)*はオリエンテーション、**は考査範囲発表、***は考査範囲連絡、****は前期末考査の実施を示す。   表1に 示 し た よ うに 英 語]1は 前 期 合 計28回 の 授 業 を 行 っ た。 表 か ら分 か る よ うに 、 出席 者 が 登 録 者 の 半 数 に満 た な か った 回 もあ り、 そ れ が28回 中17回 も存 在 す る。   一 般 的 に必 修 科 目は 授 業 へ の 出席 を 重 視 す る場 合が 多 い 。 しか し 出席 状 況 を 見 る限 り、 これ が 本 当 に 「必 修 科 目」=「 卒 業 必 要 単 位 」 と学 生 が 強 く意 識 して い る とは 考 えに くい 。 この 点 は 他 の 必 修 科 目で あ る英 語 の 再 履 修 ク ラス(但 し1回 生 対 象)で も同 じで 、 欠 席過 多 の 者 は 単 位 を 取 得 す る こ との 重 要 性 を 理 解 して い な い よ うに 思 え る。 もち ろん 、 出席 状 況 の み で そ の ク ラス 実 態 の 全 て を 判 断 す る こ とは で きな い 。 しか し必 修 科 目へ の 参 加 は 学 生 として の 最 低 条 件 で あ ろ う。 基 本 的 な こ とで あ るが 、 授 業 に 参 加 し よ う としな い 学 生 に 対 して 、 直 接 指 導 を 行 う こ とは 不 可 能 で あ る。 少 し以 前 ま で は 「欠 席 」=「 コ ミュニ ケ ー シ ョンの 消 滅 」 とい う状 態 に な ら ざ る を得 な か った が 、 本 学 で はBlackboardな ど最 新 シ ス テ ム が 完 備 され て い る。 この 方 法 は 消 極 的 な コ ミュニ ケ ー シ ョン法 とも とれ るが 、 欠 席 者 を 放 置 して お くこ とは 避 け られ るの で は な い か と考 えて い る。 この 論 考 で は 再 履 修 者 ク ラス の 現 状 報 告 と取 り組 み を 報 告 す る。 2.「 再 履 修 」 が 学 生 に及 ぼ す 影 響(報 告)   筆 者 は4月 第1回 目の授 業 で ク ラ ス の 学 生 に対 し、Uehara(2000)の ア ン ケ ー トに若 干 手 を 加 えた もの を 用 い、 再 履 修 生 の 実 態 と意 識 調 査 を 実 施 した 。 内容 を 表2に 示 す 。 248

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表2  再 履 修 生 へ の ア ンケ ー ト結 果(第1回 授 業 時) 1 あなたはふだん自宅 で英語 を勉強 しますか? ア TOEFL・TOEICな どの検 定 対 策 2名 ア す る 11名 イ 英 字 新 聞 ・雑 誌 な どを 読 む 1名 イ しな い 21名 ウ 英 会 話 ス クー ル に 通 う 0名 2 1 で ア と答 え た人 は ど れ ぐ ら い の時 間 勉 強 しま す か? 工 TV・ ラ ジオ 講 座 な どを利 用 す る 0名 ア 30分 以 下 5名 オ その他 0名 イ 30分 ∼1禺 問 5名 6 あ な た は 海 外(英 語 圏)に 行 った こ とが あ りま す か? ウ 1時 間 ∼2時 間 1名 ア あ る 13名 工 2時間以上 0名 イ な い 19名 3 あ な た が英 語 で苦 手 と感 じる も の は何 で す か? 7 6で ア と答 え た 人 は 場 所 ・期 間 を教 え て くだ さい 。 (複数回答可) (※ 詳 細 は 表3参 照) ア 文法 19名 8 今 年 度 『英 語 ∬』 を再 履 修 す る こ と に な った 理 由 は何 イ リ ー デ ィ ン グ 15名 で す か? ウ ラ イ テ ィ ン グ 24名 (※ 詳 細 は 表6参 照) 工 ス ピ ー キ ン グ 21名 9 8の 内容 を ふ ま え て、 『英 語 ∬』 の 授 業 に ど の よ う に オ リス ニ ン グ 21名 取 り組 も う と考 え て い ま す か?(回 答 形 式 自由) カ その 他 5名 授業 にで きる だけ 出席 す る 26名 4 あなたは大学の授業等以外にも英語を勉強 していますか? 予 習 ・復 習 ・課 題 提 出 をす る 6名 ア して い る 3名 授業に集巾する 2名 イ して い な い 8名 その他 4名 5 4で ア と答 え た人 は具 体 的 に何 を して い ま す か? (複数回答可) 2.1.再 履 修 者 の 英 語 学 習 の 特徴   表2か ら再 履 修 者 の 英 語 学 習 へ の 取 り組 み の 特 徴 が 顕 著 に 表 れ て い る。 特 に 自宅 で の 学 習 状 況 と英 語 の 苦 手 分 野 の 質 問 に お いて は 、 再 履 修 に 至 った 要 因 が 明確 に 表 れ て い る。 次 項 よ り再 履 修 者 が 英 語 学 習 を す る上 で の 問 題 点 に つ い て 述 べ る。 2.1.1.再 履 修 者 の 自宅 で の 英 語 学 習   再 履 修 者 の 自宅 で の 英 語 学 習 へ の 取 り組 み を 調 査 した 。 そ の 結 果 、 平 素 か ら 自宅 で 英 語 学 習 を して い る者 が11名 、 して いな い者 が21名 と、 学 習 を して い な い 者 が 約2倍 も存 在 す る こ とが 明 らか にな った 。 加 えて 学 習 を して い る者 で もそ の ほ とん どが1時 間 以 内 と非 常 に 短 時 間 で あ る。 この 事 実 か らや は り再 履 修 者 の 多 くは 自宅 で の 勉 強 が 習 慣 化 して お らず 、 授 業 の 予 習 や 復 習 に も十 分 取 り組 ん で い な い こ とが 推 測 され る。 い ず れ の 授 業 に 対 して も予 習 ・復 習 は 必 ず 必 要 で あ るが 、 必 修 科 目で あ るr英 語Ⅱ 』 等 で さ え、 多 くの 学 生 達 が 自宅 学 習 を ほ とん ど行 って い な い とい う状 況 で は 単 位 の 取 得 は 非 常 に 困 難 で あ る。 249

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2.1.2.再 履 修 者 の 英 語 にお け る苦 手 意 識   次 に英 語 の 分 野 別 に 苦 手 意 識 の 有 無 を 調 査 した 。 そ の 結 果 、 筆 者 の 予 想 を 大 き く上 回 る分 野 にお い て 、 再 履 修 者 は 苦 手 意 識 を 持 って い る こ とが 明 らか に な った 。 これ は 英 語 を 専 攻 して い る に もか か わ らず 、 英 語 学 習 が ス ム ーズ に 進 ん で い な い とい う深 刻 な 事 態 を 意 味 す る もの で あ る。 この こ とは 本 学 の 入 試 制 度 に も関 連 す る。 そ れ は た とえ英 語 専 攻 の 学 生 で あ って も、 指 定 校 推 薦 入 試 ・ス ポ ー ツ推 薦 入 試 に よ って 入 学 した 学 生 は 英 語 を 含 む 学 科 試 験 が 入 学 試 験 時 に 課 され て いな い こ とか ら も分 か る。 当 然 入 学 試 験 で 英 語 力 が 判 別 され な い とい うこ とだ け で 、 英 語 力 が 低 い と決 め つ け る こ とは で きな い が 、 入 学 試 験 方 式 と英 語 に 対 す る苦 手 意 識 との 関 連 性 は 、 後 述 す る入 学 試 験 方 式 と授 業 欠 席 者 数 との 関 連 か ら も 明 らか で あ る。 2.1.3.再 履 修 者 と海 外(英 語 圏)長 期 滞 在 経 験 者   授 業 を 始 め る にあ た って 、 英 語 圏 各 国 で の 滞 在 経 験 者(い わ ゆ る 「帰 国 子 女 」 ・ 「留 学 生 」 か ら 「旅 行 」 ま で)の 有 無 を 調 査 した 。 結 果 は 表3の 通 りで あ る。 表3  再履修者の海外渡航経験 国 ・地 域 期間 目  的 人数 国 ・地 域 期間 目  的 人数 1 ア メ リカ 1週 間 ホ ー ム ス テ イ 13名 9 タイ 10口 間 旅行 2 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド ア メ リ カ 2週 間 旅行 10 シ ン ガ ポ ール オ ー ス トラ リア イ ギ リス タ イ 5目 問 5年 間 10日 間 10日 間 旅行 居住 旅行 旅行 3 ハ ワ イ 一 修学旅行 4 ア メ リカ 2週 間 語学留学 5 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 5日 間 旅行 11 ハ ワ イ ・ グ ア ム バ リ ・フ ィ リ ピ ン イ ギ リ ス ・カ ナ ダ 5日 間 2週 間 旅 行 ホ ー ム ス テ イ 6 ア メ リカ 6ケ 月 間 ホ ー ム ス テ イ 7 グ ア ム 一 旅行 8 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 5週 間 語学留学 12 オ ー ス トラ リ ア 3週 間 旅行 9 ア メ リカ オ ース トラ リア 2週 間 5年 間 ホ ー ム ス テ イ 居 住 旅 行 13 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 6週 間 ホ ー ム ス テ イ (海外 経 験 な し) 19名 イ ギ リス 10日 間   表3が 第1回 目の 出席 者32名 の 海 外 渡 航 歴 の す べ て で あ る。 海 外 渡 航 経 験 が 少 な い ・全 く無 い 学 生 が31名 で 、 海 外 長 期 滞 在 経 験 者 は1名 で あ った 。   科 目が 異 な るの で 厳 密 な比 較 は で きな い が 、 筆 者 が 担 当 す るReading  I(1年 次 必 修 科 目 ・ 在 籍25名)に 海 外 滞 在 経 験 の ア ン ケ ー トを 実 施 した とこ ろ、2年 以 上 の 海 外 長 期 滞 在 経 験 者 が 250

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7名 い る こ と か ら も 、 再 履 修 者 ク ラ ス の1名 は 非 常 に 少 な い 。 2.2.再 履 修 者 の 本 学 入 学 試 験 方 式   近年 の 大 学 入 試 の 形 態 は 十 数年 前 と比 べ る と非 常 に 多様 化 して きて い る。 各 大 学 とも さま ざ ま な 入 学 試 験 の 導 入 に 努 め て い る。 こ こで は 必 修 科 目の 再 履 修 者 が ど うい った 入 学 試 験 を 受 け て きた の か とい うこ とに つ い て 論 考 す る。   次 に挙 げ る3種 の デ ー タ とそ こか ら得 られ る情 報 を 整 理 して み たい 。 表4  受験方式別 クラス構成人数 入試方式 公募制推薦 指定校推 薦 一    般 ス ポ ー ツ推 薦 セ ン タ ー試 験 ク ラ ス在 籍 者 数 18名 3名 11名 5名 2名 大学在籍者数 1,318名 218名 617名 70名 187名 比 率(ク ラス/大 学全 体) 1.4% 1.4% 1.8% 7.1% 1.1%   表4か ら明 らか な よ うに 、 ス ポ ー ツ推 薦 に よ る 入学 者 が 他 方 式 の1%台 な の に対 して 、7.1 %と 群 を 抜 いて 再 履 修 率 が 高 い。 ア ンケ ー トに も多 く書 か れ て あ った が 、 外 国 語 大 学 生 で あ り な が ら外 国 語 が 苦 手 で あ る とい う皮 肉な 結 果 が 得 られ て い る。 当 然 この 結 果 は この ク ラス の 中 で も最 も深 刻 な 問 題 で あ る こ とを 示 す と同時 に 、 教 授 者 側 に も多 くの 課 題 を もた ら して い る。 2.3.授 業 へ の 出 席 状 況  授 業 へ の 出席 状 況 に つ いて 報 告 す る。 再 履 修 者 は 概 ね 授 業 へ の 出席 が 良 好 とは 言 えな い 。 も ち ろん 積 極 的 に 出席 し よ う として い る学 生 もい るが 、 必 修 科 目で あ りな が ら皆 勤 者 は 皆 無 で あ る。 精 勤 者 は 少 数 で 、 ほ とん どが 欠 席 過 多 、 中 に は 現 時 点 まで 皆 欠 席 の 学 生 も存 在 す る。  前 回 使 用 した 受 験 方 式 別 の 表 を 利 用 して 、 各 受 験 類 型 別 の 欠 席 状 況 を 表5に ま とめ る。 表5  の べ 欠 席 回 数 とそ の 比 率 公募制推薦 指定校推 薦 一    般 ス ポ ー ツ推 薦 セ ン タ ー試 験 のべ欠席 回数 189回 78回 130回 123回 35回 のべ授業 回数 476回 84回 308回 140回 56回 欠席比率 40(% 93% 42% 88% 63%   こ こで きわ め て 顕 著 な こ とは 指 定 校 推 薦 入 学 者 とス ポ ー ツ推 薦 入 学 者 の 欠 席 割 合 が 公 募 制 推 薦 入 学 者 や 一 般 入 試 入 学 者 の ほ ぼ 倍 に 近 い 欠 席 率 を 示 して い る こ とで あ る。 この 数 字 は 授 業 の 251

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ほ ぼ 全 て を 欠 席 して い る と言 え る もの で あ る。 当 然 この よ うな 状 況 で は 単 位 の 履 修 は 非 常 に難 しい 。 指 定 校 推 薦 入 試 や ス ポ ー ツ推 薦 入 試 は 書 類 審 査 ・面 接 ・小 論 文 の み で選 考 され 、 英 語 等 の 学 科 試 験 は 課 され な い 特 殊 な 入 試 で あ るが 、 この こ とも学 科 授 業 へ の 興 味 不 足 、 ひ い て は 欠 席 過 多の 原 因 にな って い る と考 え られ る。 2.4.受 講 態 度   出席 者 の 受 講 態 度 は概 ね 良 好 で あ る。 前 述 の よ うに 非 常 に 多 くの 欠 席 者 が い る中 で 毎 回 の 出 席 者 は 非 常 に限 られ て い る。 わず か に 居 眠 り等 を す る者 もい るが 、 他 の 学 生 は よ く授 業 に集 中 して い る と言 え る。 一 般 科 目 と同様 、 座 席 は 自 由 と して い る。 担 当 者 は 毎 回 授 業 開 始10分 前 に は 教 室 で 待 機 す る こ とに して い る。 しか しな が ら大 半 の 学 生 は 早 くか ら教 室 に 入 り、 授 業 の 予 習 を して い る。 再 履 修 者 ク ラス な が ら意 外 な こ とは 、 学 生 の 何 人 か は 積 極 的 に 最 前 部 の 座 席 に 着 き、 授 業 参 加 意 欲 が 旺 盛 な こ とで あ る。   学 生 へ の 質 問 形 態 は 最 初 指 名 せ ず 、 誰 が 答 えて もい い よ うに 発 問 し、 応 答 が な い 場 合 指 名 す る こ とに して い る。 質 問 の 難 易 度 に も よ るが 、 ほ とん どの 場 合 積 極 的 に 答 え よ う とす る学 生 が 多 い 。 ま た 挙 手 が な い 場 合 は 指 名 す る こ とに な るが 、 平 素 は あ ま り 目立 た な い 学 生 に 解 答 を 求 め た 場 合で も、 何 らか の 返 答 を し よ う とす る者 が ほ とん どで あ る。 筆 者 の 経 験 か ら判 断 す る と、 一 般 ク ラス の 場 合 よ りこの 点 に お い て は、 は るか に 積 極 的 な 学 習 活 動 が 見 られ る。 3.指 導 方 法   学 生 の 学 習 状 況 に対 して 、 現 在 採 用 して い る指 導 方 法 に つ い て 述 べ る。 ク ラス の 実 態 は 「寄 せ 集 め 」 的 傾 向が 強 い 。 公 平 に 課 題 を 出す もの の 、 学 年 が2∼4年 生 に ま た が って い るの で 、 で き るだ け 全 員 が 意 欲 的 に 参 加 で き る授 業 形 態 を 模 索 す る必 要 が あ る。 3.1.リ ー デ ィング 指 導 と ラ イ テ ィング 指 導   英 語 」1の授 業 で は2種 類 の テ キ ス トを 使 用 して い る。 リーデ ィ ン グ用 教 材 とラ イテ ィ ン グ用 教 材 で あ る。 実 際 の 授 業 で は リーデ ィ ン グを 中 心 に 授 業 を 展 開 して い るの で 、 予 習 として 学 生 に次 回 授 業 の 内容 把 握 を 課 して い る。 一 方 、 ラ イテ ィ ン グは 授 業 で は 直 接 取 り上 げ ず 、 自宅 で 専 用 テ キ ス トを よ く参 照 し、 決 め られ た トピ ッ クに した が って 英 作 文 を 完 成 させ た 上 で の 提 出 を 義 務 づ け て い る。 3  1.1.リ ー デ ィング 指 導 にお け る取 り組 み ○ 使 用 教 材   『構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ  (改訂 版)』 石 谷 由美 子 編(南 雲 堂) 252

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授 業 そ の もの は リーデ ィ ン グ指 導 を 中 心 に 進 め て い る。 テ キ ス トの 難 易 度 は 高 くな い 。 3.1.1.1.英 文 構 造 の 理 解   授 業 で は 学 生 を 無 作 為 に 指 名 し、 自宅 で ま とめ て きた 英 文 の 内容 解 釈 を 発 表 させ て い る。 そ の 後 、 教 授 者 を 中 心 に 学 生 に 意 見 を 求 め な が ら、 確 認 作 業 を 行 う とい う方 法 で 進 め て い る。 し か しな が ら大 半 の 学 生 が 狭 義 で の 単 語 の 意 味 に 固 執 し、 英 文 を 和 訳 して は い る もの の 、 結 局 日 本 語 と して 訳 文 の 意 味 が よ く理 解 で きな い もの が 多 い 。 つ ま り英 文 を 全 体 として 捉 えて 、 充 分 理 解 す る こ とな く、 と りあ えず 日本 語 に 訳 した の み の 状 態 で あ る。   教 授 者 は英 文 の 意 味 を ス ム ー ズ に理 解 す る方 法 の ひ とつ と して 、 「速 読 」 を 推 奨 して い る。 「速 読 」 に よ り英 文 を構 造 で 捉 え、 その 論 理 的 展 開 を つ か む とい う練 習 を させ て い る。 そ の 際 には 細 か い こ とを い くらか 捨 象 して い くこ とな るが 、 近 視 眼 的 な 英 文 解 釈 か ら脱 却 させ る方 法 と して の 必 要 性 を 重 視 して い る。 た だ し、 は た して この 速 読 だ け で 英 文 の 構 造 が 捉 え られ るか 疑 問 も残 る。   日本 で は 高 等 学 校 以 前 の 英 語 学 習 は 、 与 え られ た文 章 の 意 味 を 正 確 に 理 解 す る こ とだ け に 重 点 が 置 か れ て い る。 た しか に 一 文 一 文 を 丁 寧 に 理 解 す る こ とも時 に は 必 要 で あ ろ うが 、 も う一 つ 重 要 な こ とは 、 全 体 として 何 を 言 って い るの か 理 解 す る こ とで あ る。 そ の 助 け とな る もの の ひ とつ が 「論 理 」 で あ る と筆 者 は 考 えて い る。 学 生 達 の 目に 触 れ る英 文 は 一 定 の 知 識 を 持 った 大 人 が 書 い て い る もの が 多 い 。 そ れ ゆ えそ こに は 「論 理 」 に 基 づ い た 構 造 が 存 在 す るは ず で あ る。 日本 語 で 言 え ば 「∼ で あ る か ら、 だ か ら こ うな る 」 「こ うい う場 合 に は3つ の 対 処 法 が あ る。 まず … 、 そ れ か ら …」r順 序 と して 、 ∼ を して か ら、 それ か ら… を す る」 の 類 で あ る 。 こ の よ うな 構 造 が 分 か れ ば 、 あ る程 度 分 か らな い 単 語 や 文 が 出て きて も、 大 筋 は 理 解 で き る と筆 者 は 考 えて い る。 この ア プ ロ ーチ を 重 視 す れ ば 多 少 分 か らな い 英 文 で も、 全 体 像 を 捉 え る こ と は 十 分 可 能 で あ る。 この こ とに つ いて は 次 項 の 「英 文 速 読 の 実 践 」 と併 せ て 解 説 す る。 3.1.1.2.英 文 速 読 の 実 践   前 項 で 「構 造 」 を 把 握 す れ ば英 文 は速 読 で き る と述 べ た が 、 方 法 は これ だ け で は な い 。 「再 履 修」 ク ラス とい うこ とで、 教 材 も基 本 的 に難 易 度 の 高 くない もの を使 用 して い る。 筆者 が リー デ ィン グの 指 導 を して い る際 、 特 に 気 に な る こ とが 「読 解 力 」 と 「和 訳 力 」 との 混 同 で あ る。 お そ ら く高 等 学 校 以 前 で は 、 教 科 書 の 英 文 を 日本 語 に 「逐 語 訳 」、 す な わ ち英 文 を後 ろ か ら読 ん で 意 味 を 考 え る訓 練 を 受 け て い る と思 わ れ る。 言 い か えれ ば 「意 味 情 報 の 読 み 取 り」=「 読 解 力 」(図1)よ りむ しろ 「日本 文 の完 成 」=「 和 訳 力 」(図2)に 重 点 を 置 く学 生 が 多 い 。 こ れ を 防 ぐた め に筆 者 は 折 に 触 れ て 図1・ 図2を 板 書 し、 考 え方 が い か に 非 効 率 か とい うこ とを ビ ジ ュア ル 的 に理 解 させ る よ うに して い る。 学 生 達 も頭 で 理 解 は して い る よ うで あ るが 、 十 分 253

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に 実 行 し て い る と は 言 い が た い 。

例 文The  students  studying  English  at this  school  have  to go  to a country  where  English   is spoken.

図1  意 味 情 報 の 読 み 取 りを 重 視 した リー デ ィ ング

      ② stud  in  En  lish at this school

① 図2  日本 文 の 完 成 を重 視 した リー デ ィング   速 読 にか ぎ らず 、 読 解 をす る た め に は 情 報 構 造 の観 点 か ら図1の 方 式 で 、 文 の 流 れ に従 い 前 の 方 か ら情 報 を次 々 と言 語 処 理 し、 短 期記 憶(short-term  memory)に 保 留 して 、 次 に 来 る表 現 と合 体 させ て 処 理 す る とい う操 作 を 繰 り返 さね ば な らな い が 、 再 履 修 生 の 多 くは 図2の よ う に和 訳 文 を 作 る こ とに 固 執 し、 日本 語 の 語 順 に 従 って 、 後 に 来 る表 現 を まず 翻 訳 し、 次 に 前 の 表 現 に戻 って 翻 訳 解 釈 す る とい う、 時 間 的 ロス を 伴 う非 効 率 的 な 読 解 作 業 して しま うの で あ る。 い ず れ の 方 式 で も これ に 加 えて 、 文 脈 を 手 が か りに して 賦 活 され る一 般 的知 識 、 即 ち 長 期 記憶 (long-term mernory)に 蓄 え られ た 知 識 を も動 員 す る こ とに な る。 一 般 ク ラス の 場 合 、 図1の よ うに英 語 長 文 の 読 解 が 早 く、 内容 に 関 す る質 問 に 対 して も正 確 な 返 答 が な され るの に 対 し、 再 履 修 ク ラス で は 図2の よ うに 和 訳 文 の 作 成 に 終 始 し、 文 章 全 体 の 把 握 が ほ とん どで きな い 。 当 然 の 結 果 として 、 内容 に 関 す る質 問 に もス ム ーズ な 返 答 が な され な い 。 この 事 実 は 一 般 ク ラ ス と再 履 修 ク ラス との 英 文 読 解 方 法 の違 い が 結 果 として 顕 著 に 表 れ て い る例 で あ る。 3  1.1.3.文 章 構 成 の 理 解 多 くの 英 語 の 文 章(即 ち 、 文 の 集 合)は あ る 程 度 の ル ー ル を も っ て 書 か れ て い る 。 時 に は 複       254

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雑 な 構 成 の 文 章 もあ るが 、 あ くま で も文 章 を 書 く 目的 は 読 み 手 に 理 解 して も ら うこ とで あ る。 そ れ を 実 践 す るた め に 、 文 章 の 書 き手 側 は さ ま ざ まな 文 章 構 成 を す る。 再 履 修 生 ク ラス で は そ の 中 で も ご く一 般 的 な 構 成 を 何 点 か 例 示 し、 パ タ ー ン として 理 解 す る よ う指 導 した 。 内容 は 以 下 の 通 りで あ るが 、 紙 面 の 都 合 上 、 パ タ ー ン1・ パ タ ー ン2の み 例 文 を 示 す: パ タ ー ン1  結 論Conclusions   [① 導 入(意 見 ・結 論)一 ② 理 出1 パ タ ー ン1の 例 文 理 由Reasons (結論 を 支 え る理 由)一 ③ 理 由2(〃)一 ④ 結 論(導 入 の 確 認)] ①

Should smoking be banned in public places?

Smokers may claim the right to smoke, but non-smokers' right to protect themselves is more important. Smoking should be banned in public places for two main reasons.

Firstly, this measure will protect non-smokers. Smokers can choose whether they smoke or not, but non-smokers don't have a choice. Non-smokers are forced to smoke. In a sense, the smoker is an offender and non-smokers are his victims.

Secondly, the attitude of smokers may influence other people. If somebody is smoking in a public place, young people may be encouraged to follow. Furthermore, if a person is trying to quit smoking and sees someone else smoking, it makes it harder for him to stick to his de-cision.

Therefore, to protect non-smokers, young people, and those who have decided to give up the habit, smoking should not be permitted in public places.

      (石谷 由美 子 編 「構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ (改訂 版)』 南 雲 堂 、2008、p.14) パ タ ー ン2  分 析Analysis

  [① 導 入(事 実 の 提 示)  ② 理 山1(社 会 的 背 景1)  ③ 理 山2(社 会 的 背 景2)  ④ 補 足]

パ タ ー ン2の 例 文

Green tea is booming

D Green tea is now very popular among young people. Oolong and other Chinese teas were accepted about twenty years ago as popular drinks. Previously, cola, soda, and juices had been predominant. Now, alongside Chinese teas, Japanese green tea has become increasingly popular with young people.

® Green tea's healthy image is probably the main reason for this development. Cola and juices can contain a lot of additives, whilst in their ads tea companies emphasize tea's healthy ingredients, such as vitamins and minerals, herbs and so on.

© Furthermore, many young people, especially women, are diet conscious. They are always watching their weight. Juices and cola contain a lot of sugar, which keeps young women away from such sweet drinks.

® Green tea is also drawing attention from Westerners for the same reasons mentioned above. But now, with consumers wanting ever healthier and lower-calorie drinks, water has become the next big thing.

(石谷 由美 子 編 「構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ(改 訂 版)』 南 雲 堂 、2008、p.18)

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パ タ ー ン3  仮 説Theory  立 証Proof   [① 導 入(理 論 ・仮 定 の 提 示)  ② 実 験(実 験 方 法 の 説 明)  ③ 結 論(事 件 結 果 か らわ か った こ と)]   ※ 以 降 例 文 省 略 パ タ ー ン4  論 争Controversy   [① 導 入(ト ピ ッ クの 提 示)  ② 賛 成 意 見   ③ 反 対 意 見   ④ 結 論(ま とめ)] パ タ ー ン5  比 較Comparison・ 対 比Contrast   [① 導 入(比 較 ・対 象 物 の 提 示)一 ② 基 準1(AとBの 比 較)一 ③ 基 準2(〃)一 ④ 結 論(ま とめ)] パ タ ー ン6  分 類Classification   [① 導 入(分 類 基 準 の 提 示)  ②Aタ イ プ(第1グ ル ープ の 説 明)       ③Bタ イ プ(第2グ ル ープ の 説 明)  ④ 結 論(ま とめ)] パ タ ー ン7  指 示Instructions   [① 導 入(ト ピ ッ クの 提 示)  ② 指 示1  ③ 指 示2  ④ 指 示3  ⑤ 結 論(ま とめ)] パ タ ー ン8  発 生 川頁序Chronologica10rder   [① 導 入(ト ピ ッ クの 提 示)一 ② 第1段 階(始 ま り)一 ③ 第2段 階(展 開)       ④ 第3段 階(最 終 段 階 ・現 在 の形)  ⑤ 結 論(ま とめ)]

パ タ ー ン9  原 因 と 結 果Cause  and  Effect   [① 導 入   ② 原 因(原 因 とな る事 象 の 説 明)       ③ 結 果 ・影 響(事 象 に よ る結 果 ・影 響)  ④ 結 論(ま とめ)] パ タ ー ン10経 過Process   [① 導 入(ト ピ ッ クの 提 示)  ② 第1段 階   ③ 第2段 階   ④ 第3段 階   ⑤ 結 論(ま とめ)] パ タ ー ン11新 製 品 の 説 明Explanation(New  Product)   [① 導 入(新 製 品 の提 示)  ② 機 能(使 い 方 の 説 明)  ③ 詳 細(寸 法/価格 な ど)  ④ 結 論(コ メ ン ト)] パ タ ー ン12定 義 づ けDefinition   [① 導 入(ト ピ ッ クの 提 示)  ② 定 義(言 葉 の 定 義)       ③ 説 明(ト ピ ッ クが 問 題 とな る社 会 的 背 景 な ど)  ④ 結 論] パ タ ー ン13デ ー タ の 説 明   Explanation  (Statistics)   [① 導 入(デ ー タの 提 示)  ② デー タの 説 明(提 示 され た デ ー タを 説 明)       ③ 分 析 ・説 明(デ ー タか らわ か る こ と ・社 会 背 景 な ど)  ④ 結 論(ま とめ)]        (石谷 由 美 子 編『 構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ (改訂 版)』 南 雲 堂 、2008)   以 上 、13の パ タ ー ン か ら構 成 さ れ て い る 英 文 を 授 業 で 内 容 把 握 を 行 っ た 。 各 パ タ ー ン と も4 つ(一 部5つ)の 段 落 か ら 成 り立 っ て お り、 構 造 を 理 解 し て い れ ば 簡 単 に 全 体 の 文 意 は 把 握 で き る も の ば か りで あ る 。 こ の パ タ ー ン の 構 造 は 談 話 文 法 の 扱 う問 題 で あ る 。 した が っ て 、 こ れ に は 談 話 文 法 の 知 見 が 役 立 つ で あ ろ う。 談 話 は 意 味 上 ま とま っ た 統 一 体 を な す 。 す な わ ち 脈 絡 256

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が 、 談 話 が 成 立 す る た め に は 必 要 とな る(Edmondson  1981)。 「視 点 の 一 貫 性 の制 約 」 な どの 談 話 制 約 も 「文 章 」 の読 解 に 関 係 して くる(Erteschik-Shir  1979)。 この よ うな 広 義 の言 語 学 の 知 見 を 基 に して 、 文 章 の パ タ ー ンを 考 えて み る こ とが 必 要 と思 わ れ る。 教 授 者 は この よ うな 談 話 文 法 の 知 見 を 十 分 理 解 した 上 で 、 そ の 理 論 を 学 生 に 教 え るの で は な く、 そ の知 見 の エ ッセ ンス を 生 か す 形 で 、 読 解 力 の 育 成 に 努 め る こ とが 大 切 で あ ろ う。 この 姿 勢 は 後 述 す る文 文 法 の 知 見 を 生 か す 場 合 にお い て も 同様 で あ る。 この 談 話 の 読 解 の た め に は 、 さ らに 当 該 社 会 の 歴 史 と風 土 、 慣 習 、 社 会 的 状 況 、 並 び に 国 際 関 係 な どの そ の 社 会 の 一 般 常 識 も必 要 とな って くる。 これ らの 点 に も配 慮 が 必 要 で あ る し、 ま た 学 生 の知 的 関 心 を 呼 び 起 こす チ ャ ンス で もあ る。   も う1つ 、 再 履 修 者 に 対 して 特 に 力 を 入 れ て 指 導 して い る こ と と して 、 単 語 の 発 音 が あ る。 中 学 校 ・高 等 学 校 で の 英 語 リーデ ィ ン グの 授 業 に お い て よ くあ る こ とだ が 、 発 音 が 分 か らな い 単 語 を ロ ーマ 字 的 に読 む 学 生 が 非 常 に 多 い の で あ る。 これ らの 学 生 は 予 習 を 怠 って い る こ とは 言 うま で もな いが 、 辞 書 を 使 用 させ て も発 音 記 号 が 全 く読 め な い の で あ る。 学 生 は 電 子 辞 書 の 単 語 発 音 機 能 を 使 用 す る者 も少 な くは な い 。 た だ し、 電 子 辞 書 を使 用 しな が ら発 音 調 べ を 行 っ て も、 読 解 速 度 、 結 局 英 文 内容 把 握 の 足 か せ とな って い る だけ で な く、 これ が 本 当 に 授 業 中 の 学 習 活 動 とい え るの か ど うか 筆 者 は 強 く疑 問 に 思 って い る。 当 然 の こ とな が ら、 この 点 に つ い て も是 正 しな い限 り、 ス ム ーズ な 内容 把 握 は 難 しい と思 わ れ る。1つ の 対 策 として 、 学 期 の 最 初 の 授 業 で 発 音 記 号 の 解 説 を す る とよい か も しれ な い 。   以 上 の こ とか らテ キ ス トの 進 め 方 に も十 分 な 配 慮 が 必 要 とな って くる。 テ キ ス トは 各 ユ ニ ッ トそ れ ぞ れ2つ の 長 文 問 題 か ら構 成 され て い る もの で 、1つ め の 長 文 は そ の 内容 に 関 す る確 認 問 題 が12題 ほ ど付 され て お り、2つ め は 各 段 落 の 要 点 整 理 を 要 求 す る設 問 が あ る。 最 初 の もの だ け 次 にあ げ て お く。 ^1Do bodies. men's Reading 1 Mobile you use a mobile phone?

One possible risk many fertility.

Phones may affect your Many people fear that mobile

researchers have pointed out fertility phones is that may adversely mobile phones affect our can affect ^2 Dr. Agarwal and his colleagues at

Western Reserve University in Ohio, tionship between mobile phone usage the center for infertility tests. These quency of their mobile phone usage.

the Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine conducted the following experiment to examine and men's fertility. He examined 361 men who

men were divided into four groups, according to at Case the rela-came to the fre-^3 The examination quality according to bile phone for more ment) and viability

showed that a man's sperm count declined not only in volume but also in the frequency of the subject's mobile phone usage. In men who used a

mo-than four hours a day, there was a 30% drop in sperm mobility (move-compared with men who did not use a mobile phone. Dr. Agarwal

(13)

concludes  that  mobile  phone  radiation  may  harm  sperm  by  damaging  DNA  and  disrupting  cells that  produce  testosterone.

厘]Scientists  believe  this  study  is  still in  the  preliminary  stages  and  needs  further  research. More  samples  are  necessary  to  test  the  influence  of  mobile  phones  on  sperm.  Also,  how  do age,  weight,  smoking,  and  stress  affect  the  relationship  between  mobile  phones  and  fertility? Such  questions  require  answers  as  well.  Today,  it is difficult  to  imagine  life  without  mobile phones.  However,  if mobile  phone  usage  really  does  affect  fertility,  more  and  more  men  may soon  be  faced  with  a hard  choice    phones  or  fatherhood.

Φ

(石谷 由美 子 編 「構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ (改訂 版)』 南 雲 堂 、2008、p.20) 【1】 そ れ ぞ れ の段 落 に つ い て次 の 質 問 に答 え な さ い。 1.こ こで検証 しよ う として い るテ ーマ は? 2,Dr.  Agarwalは ど の よ う な 調 査 を 行 っ た か 。 3.そ の 調 査 結 果 か ら わ か っ た こ と とは? 4.こ れ か ら どん な こ と も調 べ ら れ な い とい け な い と筆 者 は 言 っ て い るか? [2] (a) (b) True or False?

Dr. Agarwal examined the relationship between mobile phones and women's fertility. Dr. Agarwal based his study on how often each subject used his mobile phone.

(

(

)

)

(c) He found that the volume but not the quality of sperm declined according to the frequency of mobile (d) (e) (f) C3] (a) (b) (c) phone usage.(

According to Dr. Agarwal, mobile phone radiation may affect sperm.( Scientists have already proved that smoking affects men's fertility(

Some experts say that more studies will be needed before a definite conclusion can be reached. Answer the following questions in English.

What did Dr. Agarwal and his colleagues try to examine by collecting data from 361 men? A:

How many groups were the 361 men divided into? A:

According to Dr. Agarwal, what cells may be affected? A:

)

)

)

)

Title  affect影 響 す る  fertility生 殖 能 力   [工]risk危 険 性   adversely逆 に  point out指 摘 す る 圖colleague同 僚   conduct行 う  examine検 証 す る  usage使 用   infertility不 妊   frequency頻 度 圖sperm精 子   count総 数   subject被 験 者   mobility動 き  movement運 動   viability生 存 能 力 radiation放 射 能   harm害 す る  disrupt壊 す   testosteroneテ ス トス テ ロ ン(男 性 ホ ル モ ン) 國preliminary準 備 の 3.Th…y/P…fΦ (石谷 山美 子 編r構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ (改訂 版)』 南 雲 堂 、2008、p.21) 教 授 者 は これ ら設 問 に 対 して 、 学 生 に 問 題 文(英 文)の 音 読 を させ た 後 、 解 答 の 確 認 を 行 っ て い る 。 258

(14)

3.1.2.ラ イ テ ィ ン グ 指 導 に お け る 取 り組 み   ○ 使 用 教 材rラ イ テ ィ ン グ ・フ ル ー エ ン シ ー 』 西 本 有 逸 ・高 津 由 紀 著(英 宝 社)   上 記 の テ キ ス トは 自 己 表 現 的 な 英 文 を 養 成 す る た め の も の で あ る 。 各 章 に1ト ピ ッ ク とい う 形 で 構 成 さ れ て お り、 そ れ ぞ れ に 実 際 の 言 語 の 使 用 場 面 を 想 定 さ れ た 模 範 例 が 付 さ れ て い る 。 テ キ ス トの 難 易 度 は 高 くな い 。 以 下 に 各 ト ピ ッ ク を 示 す 。   ○ 各 章 の ト ピ ッ ク 【Part.1】 到 達 目標:分 量 の あ る 英 語 を 自 由 に 書 け る よ う に す る 。 Unitご と に 挙 げ る と、

  Unit1.フ ァ ン レ タ ー 、 Unit2.  Travel  is fun./Travel  is not fun.、 Unit3.笑 え る 失 敗 談 、 Unit4.大 学 周 辺 の お す す め ス ポ ッ ト、 Unit5.  She  was  not enjoying  the party.、 Unit6.水 晶 の 玉 に 映 る10年 後 の 私 、Unit7.梅 雨 時 の 過 ご し方 、 Unit8.私 の 好 き な ○ ○ 、 Unit9.  Tokyo vs. Kyoto、  Unit 10.私 の ス ト レ ス 解 消 法 。

【Part.2】 到 達 目標:形 式 を 意 識 して 英 語 を 書 け る よ う に す る 。 Unitは 、

  Unit.1Chronological  Order、   Unit.2Controversy、   Unit.3Comparison/Contrast、 Unit.4Process、  Unit.5Cause  and  Effect。

  以 上 の 構 成 と な っ て い る 。 特 に 【Part.2】 の 内 容 は リ ー デ ィ ン グ教 材 の 内 容 と連 動 し た 形 と な っ て お り、 そ の ま ま 予 習 ・復 習 に 活 用 で き る よ う に な っ て い る 。 た だ し、 【Part.2】 の 内 容 に つ い て は 後 期 に 行 う予 定 で あ り、 今 回 は 報 告 で き な い こ とを 断 っ て お く。   ラ イ テ ィ ン グ の 指 導 方 法 は 毎 時 間 教 室 で 上 記 の トピ ッ ク に つ い て 簡 単 に 作 成 要 領 を 口 頭 で 説 明 し、 作 成 自 体 は 各 自 の 宿 題 と し て 次 の 授 業 時 ま で に 提 出 す る こ とを 原 則 と し て い る 。 た だ し 未 完 成 の も の や 、 提 出 締 切 に 間 に 合 わ せ る た め の 「手 抜 き 」 作 成 を 防 止 す る 策 と し て 、 学 生 自 身 が 不 十 分 と 自 覚 し て い る も の に つ い て は1週 間 の 延 長 を 認 め て い る 。 各 章 の タ イ トル か ら 分 か る よ う に 、 英 文 作 成 レ ベ ル は 高 くな い 。 テ キ ス トは ユ ニ ッ ト毎 に3例 ほ どの 模 範 文 が 最 初 に 提 示 さ れ 、 こ れ ら を 参 考 に 文 章 構 成 す る よ うに な っ て い る 。 そ の 後 に イ ラ ス トを 用 い た 作 成 手 順 が 紹 介 さ れ 、 視 覚 的 に 文 章 を 組 み 立 て て い け る よ うに 工 夫 さ れ て い て 、 完 成 文 が イ メ ー ジ で き る よ う に な っ て い る 。   こ れ ら の 課 題 に 関 し て は 、 出 席 学 生 の 約 半 数 が 指 示 通 りの 作 成 ・提 出 を し て い る 。 し か し 提 出 が 遅 れ た り、 全 く提 出 し な い 学 生 も 少 数 な が ら 存 在 す る 。 3.2.指 導 上 の 問 題 点   当 該 ク ラ ス と他 ク ラス との最 も大 き な 相違 は 「再 履 修 」 ク ラス とい うこ とで あ る。 そ れ は 「再 履 修 」=「 や り直 し」 とい う単 純 な 図式 で は な く、 「な ぜ 再 履 修 す る こ とに な った の か 」 と い う理 由が 学 習 指 導 に 関 係 して くる。 この 理 由の 検 証 が 大 きな 課 題 で あ り、 学 生 各 自に とって も深 刻 な 苦 悩 とな って い るの で あ る。 259

(15)

3.2.1.学 習 面 にお け る問 題 点   学 習 面 にお け る問 題 点 は 明確 で あ る。 習 熟 度 の 差 で あ る。 一 般 ク ラス に お い て は 習 熟 度 別 に ク ラス を編 成 して い るが 、再 履 修 ク ラ ス にお い ては この 点 の配 慮 は 実質 不 可 能 で あ る。 したが っ て 個 人 指 導 が 重 要 とな るが 、 十 分 で きて い る とは 言 えな い 。 現 在 は 最 初 に 指 名 した 学 生 の 発 表 内容 に よ って 授 業 の レベ ル が 大 筋 決 ま って し ま う。 教 授 者 は あ らか じめ 用 意 して い る各 時 間 の 指 導 内容 を こな して は い るが 、 臨 機 応 変 に 対 応 して い る とい うの が 実 情 で あ る。   授 業 が 進 行 す る上 で 現 状 に 応 じ た柔 軟 性 が 必 要 で あ る こ とは 言 うまで もな い 。 しか しな が ら、 再 履 修 ク ラス の 場 合 は この 点 に つ い て は 筆 者 自身 、 良 く言 えば 柔 軟 性 か も しれ な い が 、 言 い 方 を 変 えれ ば 授 業 到 達 目標 に 「ぶ れ 」 が 生 じて い るの で は な い か とも 自省 して い る。 学 生 間 の 習 熟 度 に大 きな 差 が あ る 「寄 せ 集 め 」 ク ラス の 場 合 、 学 生 個 々の 実 力 に 応 じた 学 習 指 導 は 実 質 不 可 能 で あ るか も しれ な い 。 しか し理 想 的 に は 「再 履 修 」 ク ラス は 柔 軟 性 あ り き と した 上 で 、 「ぶ れ な い 」 配 慮 も充 分 に 行 うべ き と筆 者 は考 え て い る。 これ は再 履 修 ク ラス だ け の 問題 で は な い が 、 シ ラバ ス の 到 達 目標 に 安 易 な 妥 協 は 許 され な い と教 授 者 自身 、 強 く認 識 す べ きで あ ろ う。 個 別 指 導 が 必 要 で あ る点 を 考 え る と、 再 履 修 ク ラス の サ イズ を 小 さ くし、 少 人 数 教 育 を 目 指 す べ ぎで あ る。 3.2.2.教 授 法 の 問 題 点   一 般 学 生 の 中 に は 英 文 の 構 造 ・構 文 の 基 本 的 事 実 が 理 解 で き て い な い 者 が 多 い が 、 こ れ は そ の ま ま 再 履 修 者 に も 当 て は ま る 。 そ こ で 学 生 の 必 要 に 応 じ て 適 宜 、 構 文 の 解 説 を し て い くべ き で あ ろ うが 、 現 在 の と こ ろ 充 分 に で き て い る とは 言 え な い 。 こ れ が 反 省 点 で あ る と同 時 に 今 後 の 課 題 で も あ る 。 構 文 の 解 説 に は 過 去 半 世 紀 以 上 に わ た り言 語 学 を リ ー ド し て き た 変 形 生 成 文 法 の 研 究 が も た ら し た 成 果 を で き る だ け 取 り入 れ る こ と が 有 益 で あ ろ う(Chomsky(1965),

Emonds(1976),  Jackendoff(1972)等)。 例 え ばputと い う動 詞 は 目 的 語 を 取 る だ け で な く、

さ ら に 必 ず 場 所 ま た は 方 角 を 表 す 表 現 を 教 え る 。 こ れ が5文 型 中 、 どの 文 型 に 入 る か な どの 無

用 な 配 慮 は せ ず(5文 型 で は 説 明 で き な い こ とが あ ま り に も 多 い)、 文 法 事 実 を そ の ま ま 教 え

る 。 ま たsayは 目 的 語 を1つ と る だ け で 充 分 で あ る が 、 te11は 間 接 目 的 語 と そ の 後 に 目 的 語 と

して 節 を と る こ とを 教 え る 。 ま たwant(like/wish/prefer等)も 、 persuade(ask/urge

/order/force等)も 外 見 上 、 類 似 し た 不 定 詞 構 文 を と る が 、 want型 の 動 詞 の 場 合 、 I want

(John)to  go.で はJohnはwantの 目 的 語 で は な く、goの 主 語 と し て の み 働 く が 、 他 方

persuade型 の 動 詞 の 場 合 、 I persuaded  John  to go.で はJohnはpersuadeの 目 的 語 で あ り、

且 つ 同 時 にgoの 主 語 で もあ る と い う構 文 上 の 違 い が あ り 、 一 見 同 一 に み え る 異 な る 構 文 の 存

在 を 意 識 さ せ る 。 つ ま り動 詞 を 中 心 と して 文 型 が 決 ま る こ とを 意 識 さ せ る 。 こ の 文 の 統 語 構 造 を 理 解 さ せ て 、 文 意 を 正 し く把 握 さ せ る こ とが 英 文 読 解 の 第1歩 で あ る 。 こ の よ う な 言 語 理 論

(16)

研 究 の 成 果 を 、 理 論 自体 を 教 え るの で は な く、 利 用 で ぎ る成 果 だ け を 理 解 しや す い よ う、 必 要 に応 じて 多少 修 正 して 学 生 に 教 示 す る こ とは 有 意 義 で あ ろ う。 以 上 は 英 文 の 読 解 ・作 文 両 方 の 指 導 にあ て は ま る と思 わ れ る。 3.2.3.そ の 他 の 問 題 点   再 履 修 ク ラス には 学 習 面 の 他 に も深 刻 な 問 題 が あ る。 授 業 へ の 出席 意 欲 や 学 習 意 欲 の 欠 落 、 モ チ ベ ー シ ョンの 低 さ、 ま た精 神 面 で の 不 調 な どで あ る。 誤 解 の な い よ うに 言 い か えれ ば 、 こ れ らは い ず れ も学 生 の 学 習 習 熟 度 と直 接 関 係 が な い とい うこ とで あ る。   Uehara(2000)に よ る 各学 生 へ の ア ンケ ー トの 結 果 か ら、 過年 度 な ぜ単 位 を取 得 で きな か っ た の か 、 そ の 理 由を 表6に ま とめ て み る。 表6  単 位 を 取 得 で きな か った 理 由(自 己 申告)※ 複 数 回 答 あ り    ※()内 は 内 訳 単 位 を取 得 で きな か った 理 由 人数 単 位 を 取 得 で きな か った 理 由 人数 1.出 席 日数 の 不 足       「うつ 」 「ひ き こ も り」 等 の 精 神疾 患     そ の他 の 体調 不 良     ・不 登校     ・早 朝1限 目の 授 業 に よ る起 床 困 難     クラ ブ ・ア ル バ イ トへ の専 念     ・怠惰 ・そ の 他 29 (6) (4) (3) (3) (2) (11) 2.英 語 に 興 味 が な くな っ た 。 5 3.提 出 物 を 出 さ な か っ た 。 5 4.先 生 が 厳 し す ぎ た 。 2 5.授 業 の レベ ル に つ い て い く こ と が     で き な か っ た 。 1 6.ク ラ ス に 友 人 が い な か っ た 。 1 7.分 か ら な い 1   注 目す べ きは 、 大 半 の 学 生 が 単 位 を 取 得 で きな か った 理 由を 自分 自身 の 欠 席 で あ る として い る こ とで あ る。 欠 席 過 多 に よ る落 第 は 珍 しい こ とで は な い が 、 そ れ が ゆ えに 再 履 修 とな って い る に もか か わ らず 、 欠 席 者 の 数 は きわ め て 多 い 。 この 構 図 は 単 純 で は あ るが 、 非 常 に 奥 深 い厄 介 な 問 題 で あ る と再 認 識 せ ざ るを 得 な い 。 い か な る状 況 に お い て も最 低 限 出席 さ えす れ ば 何 ら か の 指 導 を 与 え る こ とが で き る。 しか し意 思 疎 通 の 手 段 が 完 全 に 断 ち 切 られ た 状 況 で の ク ラス 運 営 は 非 常 に難 しい 。 不 本 意 な が ら 「授 業 に 出な い の な ら仕 方 が な い 。 大 学 はr義 務 教 育 』 で は な い 」 と割 り切 って 考 え るほ か 、 ど うす る こ ともで きな い とい うの が 現 状 で は な い だ ろ うか 。 次 項 にお いて は この 問 題 に 関 して の 改 善 案 を 模 索 して み た い 。 4.授 業 効 果 の 向 上   こ こま で 本 学 外 国 語 学 部 に お け る必 修 科 目の 再 履 修 者 の 現 状 と取 り組 み に 関 して 報 告 を して きた 。 調 査 範 囲 は 「学 部 必 修 科 目(英Ⅱ)」 に限 定 したが 、 「再 履 修 」 ク ラス で の 授 業 効 果 を 高 261

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め るた め には 、 教 授 者 が 一 般 ク ラス よ りもは るか に 多 く、 個 々の 学 生 に つ い て の 情 報 や 人 間 性 な ど、 コ ミュニ ケ ー シ ョンを 通 じて 知 って お く必 要 が あ る。 しか し 「個 人 情 報 」 の 取 り扱 い に つ い て は 昨 今 よ く問 題 に され る よ うに 、 非 常 に デ リケ ー トな 部 分 が あ る。 結 果 として 学 生 と教 授 者 との 信 頼 関 係 が な け れ ば 、 両 者 の 情 報 交 換 に も 自ず と制 約 が か か って しま い 、 最 終 的 に 「信 頼 関係 」 「情 報 交 換 」 ともに 未 確 立 の ま ま授 業 を 開 始 して し ま うこ とに な るの で あ る。 難 し い 問 題 で は あ るが 、 可 能 な 限 りこの よ うな 事 態 は 避 け るべ く努 力 す べ きで あ る。 4.1.英 語 学 習 意 欲 の 啓 発   再 履 修 ク ラス の 学 生 の 抱 え る最 大 の 問 題 は 、 程 度 差 は あ るに しろ、過 去 に お け る単 位 取 得 の 失 敗 か ら くる挫 折 感 とそ れ に 伴 う語 学 力 等 に 対 す る 自信 の 喪 失 、 無 気 力 で あ ろ う。 これ を 克 服 す る1つ の方 法 はCrookes(2003,  ch.8)が 指 摘 して い る、 学 生 間 の 競 争 に よる の で は な く、 協 同作 業 に よ る グ ル ー プ学 習 で あ る(pp.136-138)。 これ はAmes(1984)な どの報 告 に 基 づ く有 効 な 方 法 で あ る。 教 室 内に い くつ か の グル ー プを 作 り、 仲 間 意 識 を 芽 生 え させ 、 教 材 を 与 え、 お 互 い に助 け 合 って 、 例 えば 英 文 読 解 や 英 作 文 を や らせ 、 グル ー プ全 体 で 解 答 を 出 させ る。 こ れ に よ り学 生 が 自信 を 取 り戻 す こ とに 成 功 して い る。 ま た 各 学 生 の レベ ル に 合 った 到 達 目標 を 設 定 し、 宿題 や テ ス トを課 す の も有 効 で あ る とい う報 告 が あ る(McCombs  l994な ど)。 この 方 法 は 習 熟 度 に差 が 目立 つ 再 履 修 ク ラス に は 特 に 適 切 と思 わ れ る。 この 学 習 意 欲 の 問 題 の 解 決 は 今後 の 検 討 課 題 で あ る。   近 年 急 速 に発 達 して きた マ ル チ メ デ ィア に 支 え られ た 語 学 教 育 の テ ク ノ ロ ジ ーを 積 極 的 に活 用 して 、 学 生 の 学 習 意 欲 を 引 き 出す こ とも今 後 検 討 す る。 教 材 として 今 ま で 通 りの プ リン ト教 材 に加 えて 、 毎 回20分 程 度 ビデ オ 教 材 を 利 用 し、 現 代 社 会 の 諸 問 題 を 英 語 を 通 して 考 え させ る。 この 方 法 の 有 効 性 は既 に 指 摘 さ れ て い る(Moore,  ed.1996,  ch.12)。 ま た これ は 本 学 に お い て も成 功 して い る実 践 例 が あ る(Cohen  2009)。 4.2.コ ミ ュニ ケー シ ョンの 確 立   い か な る場 合 にお い て も、 教 授 者 と学 生 との 問 に 信 頼 関 係 が な け れ ば 授 業 効 果 の 向 上 は 困 難 で あ る。 同 じ 「ク ラス 」 とは 言 って も高 等 学 校 の よ うに 学 級 担 任 が い て 、 同 じ顔 ぶ れ の 仲 間 が いつ も集 って い る状 況 とは か な り異 な る。 も し高 等 学 校 及 び そ れ 以 前 と全 く同 じ ク ラス 編 成 を 組 む こ とが さほ ど困 難 で な け れ ば 一 考 に値 し よ うが 、 一 般 的 な 大 学 の 教 育 シス テ ム は 高校 の そ れ とは か な り異 な って お り、 事 実 上 実 施 は 不 可 能 で あ る。 コ ミュニ ケ ー シ ョンの 改 善 だ け が 授 業 効 果 の 向上 につ な が る わけ で は な い が 、 本 稿 で は 主 に この 点 に つ い て 論 考 して い きた い 。 262

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4.2.1.オ リエ ン テー シ ョン   英 語Ⅱ(再 履 修)ク ラス で は 前 述 の よ うに 、 欠 席 者 が 非 常 に 多 い 。 特 に4月 の 授 業 開 始 の 時 点 か ら全 く出席 して い な い 学 生 に とって は 、 オ リエ ンテ ー シ ョンを は じめ 、 授 業 の 状 況 が 全 く 分 か らず 、 更 に 出席 意 欲 を 失 わ せ る結 果 とな って い る と思 わ れ る。   通 常 ク ラス の オ リエ ンテ ー シ ョンを 行 う時 は 授 業 の 方 針 や 学 生 の 心 構 えな どに 重 点 を 置 い て い るが 、 再 履 修 ク ラス の 場 合 は ア ンケ ー ト実 施 の ほ か 、 簡 単 な 英 語 で 学 生 に 話 しか け て 学 生 の 緊 張 感 を 解 きほ ぐしつ つ 、 学 生 が 英 語 の 授 業 自体 に 興 味 を 持 つ よ うに した 。 授 業 後 、 数 名 の 学 生 に過 年 度 の 当 該 授 業 と本 年 度 の 授 業 との違 い に つ い て 感 想 を 求 め て み た とこ ろ、 ほ とん どの 学 生 が 「以前 の 授 業 ほ ど緊 張 しな か った 。」 と答 え た 。 これ は 「緊 張 感 の な い 授 業 」 とい う意 味 な の か 「肩 を 張 らず に リラ ックス して 参 加 で き る授 業 」 とい う意 味 な の か 理 解 し難 い が 、 少 な く とも この 問 い か け に 応 じた 学 生 は 授 業 の 出席 率 が 良 好 で あ る。 初 歩 的 な こ とだ が 、 授 業 は 学 生 が 出席 して は じめ て 成 立 す る もの で あ る こ とを 再 認 識 した 。 4.2.2.Blackboardの 導 入   本 学 は 他 大 学 に さ きが け 、 最 新 学 習 設 備 等 の 導 入 に 積 極 的 で あ る。 中 で も特 に 注 目に値 す る もの と してBlackboardシ ス テ ム が あ る。 先 般 か ら何 度 も指 摘 して い る よ うに、 授 業 に1回 で も 出席 して さ え くれ れ ば 何 らか の コ ミュニ ケ ー シ ョンを 取 る こ とが で き るが 、 初 回 の 授 業 か ら 全 く出席 しな い 学 生 に 対 して は コ ミュニ ケ ー シ ョンの 手 段 が 全 くな い 。 そ こで 筆 者 は 本 学 独 自 の この シス テ ム に着 目した 。   Blackboardシ ス テ ム は イ ン タ ー ネ ッ ト上 の や り と りで あ る か ら直 接 顔 を 合 わ せ る こ とは 出 来 な いが 、 少 な く とも教 師 側 か らの 連 絡 や 授 業 内容 、 宿 題 な どを 欠 席 者 に 知 らせ る こ とは 可 能 で あ る し、 学 生 か らの 問 い 合 わせ に 応 じ る こ ともで き る。 学 生 が 端 末機 器 さ え持 って い れ ば 、 当 該 授 業 の 連 絡 事 項 ・授 業 内容 な ど、 非 常 に 多 くの 情 報 を 学 生 に伝 え る こ とが で き る。 教 授 者 は 毎 回 掲 載 事 項 を 更 新 しな け れ ば な らな い が 、 ほ ぼ リア ル タ イム で 学 生 に 情 報 を伝 え る こ とが で き るの は 大 きな 特 徴 で あ る。   当 然 の こ とで あ るが 、 この こ とに よ り授 業 へ の 出席 意 義 が 損 な わ れ る こ とも危 惧 され る。 再 履 修 学 生 は一 般 学 生 とは 違 い 、 大 学 に 来 る こ と自体 難 しい の で あ る。 このBlackboardシ ス テ ム も使 い方 を誤 れ ば 「消 極 的 コ ミ ュニ ケ ー シ ョン」、 さ ら に は単 な る 「通 信 教 育 」 に な って し ま う可 能 性 は 否 定 で きな い 。 しか し、 少 しで も コ ミュニ ケ ー シ ョンの 手 段 が あ れ ば 、 何 らか の 糸 口が 見 いだ せ る可 能 性 は 増 加 す る と考 え られ る。 4  3.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 授 業 の 限 界   コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 向 上 は 授 業 を 成 立 さ せ て い く上 で の 重 要 な 手 段 の ひ とつ で あ る が 、 こ 263

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れ だ け で 再 履 修 ク ラス の 全 て の 問 題 が 解 決 され るわ け で は な い 。 前 述 の よ うに 筆 者 は 初 回 の 授 業 で ア ンケ ー トを 実 施 し、 で き る限 り学 生 の こ とを知 る よ うに 努 力 した 。 そ の 他 に も授 業 中 の 学 習 作 業 や 自宅 で 行 う課 題 な どを 工 夫 した 。 しか し、 この 成 果 を 客 観 的 に 評 価 し学 習 の 成 果 を 判 断 す る こ とは 単 純 で は な い 。 5.ま と め   「再 履 修 ク ラス 」 に お け る客 観 的 評 価 は この ク ラス 編 成 の 形 態 上 簡 単 で は な い 。 そ れ は 受 講 生 の 学年 が2年 生 ∼4年 生 と幅 広 い こ とや 、 入 試 方 式 に よ り学 生 の 出席 状 況 が 異 な って い る こ と な ど、 そ もそ も授 業 の 内容 とは あ ま り関 係 の な い 部 分 に お い て 差 異 が 生 じて しま って い るか ら で あ る。 学 生 達 か ら可 能 な 限 り情 報 ・デ ー タ等 を 収 集 し、 授 業 に 役 立 て る こ とは 重 要 で あ るが 、 これ らを そ の ま ま 成 績 評 価 に 結 び つ け る こ とは 不 可 能 で あ る。 授 業 時 間 内の 学 習 活 動 ・出席 回 数 ・試 験 や 課 題 な どを 総 合 的 に 判 断 し、 成 績 を 確 定 す るべ きで あ る。 しか し、 「再 履 修 ク ラス 」 の 場 合 は 学 生 個 々の 状 況 が 異 な りす ぎて 、 基 準 の 設 定 が きわ め て 難 しい とい うの が 実 態 で あ る。 この 部 分 に関 して は さ らに 踏 み 込 ん だ 調 査 ・分 析 が 必 要 で あ ろ う。   今年 度 初 め て 「再 履 修 ク ラス 」 を 担 当 す る者 として 、 当 初 の 予 想 よ りは るか に 多 くの 問 題 点 の 存 在 に気 付 い た 。 例 え ば 、 大 学 で は 学 習 者 が す す ん で 自学 自習 に取 り組 む こ と も多 く、 TOEFL・TOEICな どの 資 格 試 験 に も積 極 的 に チ ャ レ ン ジす る 学 生 も決 して 少 な くな い 。 学 生 自身 が 自分 を コ ン トロ ール しな が ら将 来 に 向け て 学 力 を 身 に つ け よ う とす る こ とは 、 本 学 の 標 榜 す る 「実 学 」 の 理 念 に も通 じて い る。 とこ ろが 再 履 修 ク ラス に お い て は 、 これ らの 積 極1生 に逆 行 す る側 面 も垣 間 見 え る。 ま だ 年 度 の 半 分 が 経 過 した だ け に 過 ぎな い が 、 再 履 修 生 には 単 位 の 取 得 を 目指 す だ け で な く、 同時 に 自 らの 英 語 力 を 高 め て い く動機 付 け を 模 索 す る努 力 が 必 要 とされ る。 【参 考 文 献 】

Ames, C (1984) "Competitive, Cooperative, and Individualistic Goal Structure," in R.E. Ames & C. eds., Research on Motivation in Education (vol. 1), Academic Press, New York.

Chomsky, N. (1965) Aspects of the Theory of Syntax, MIT Press, Cambridge, Mass.

Cohen, T. (2009) "`Reading' Movies," Journal of Inquiry and Research 90, 103-120, Kansai University, Osaka.

Crookes, G. (2003) A Praticum in TESOL, Cambridge University Press, Cambridge. Edmondson, W. (1981) Spoken Discourse, Longman, London.

Ames,

Gaidai

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Emonds, J. (1976) A Transformational Approach to English Syntax: Root, Structure-Preserving and Local Transformations, Academic Press, New York.

Erteschik-Shir, N. (1979) "Discourse Constraints on Dative Movement," in T. Givon, ed., Syntax and Semantics 12: Discourse and Syntax, Academic Press, New York.

Uehara, Y. (2000) An Approach to School English, Osaka University Press, Osaka.

McCombs, B. L. (1994) "Strategies for Assessing and Enhancing Motivation," in H.F. O'Neill & M. Drillings, eds., Motivation: Theory and Research, Erlbaum, Hillsdale, NJ.

Moore, Z. ed. (1996) Foreign Language Teacher Education, Multiple Perspectives, University Press of America, Lanham, Maryland.

石 谷 由美 子 編(2008)『 構 造 で 読 む 英 文 エ ッセ イ』東 京:南 雲 堂

西 木 有 逸/高 津 由紀(2009)『 ラ イテ ィ ン グ ・フル ー エ ン シ ー』東 京:英 宝 社

(ひ らた ・か ず ひ こ  本 学 大 学 院 博 士 課 程後 期 修 了)

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